JP4292013B2 - 回路基板検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実際に部品が実装されている回路基板の検査装置(インサーキットテスタ)に関し、さらに詳しく言えば、回路基板の電源パターンとグランドパターンとの間に設けられるバイパスコンデンサの実装状態を検査するのに好適な回路基板検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インサーキットテスタなどの回路基板検査装置において、回路素子の実装検査を行う場合には、例えば回路素子の規格値を基準として、得られた測定値がその規格値内にあるかどうかにより良否判定を行うようにしている。
【0003】
一例として、1kΩの抵抗素子が実装されているかどうかを検査する場合、その抵抗素子の両端間の抵抗値を測定し、その測定値が1kΩ±α(許容値)の範囲内であれば良品と判定し、例えば100kΩが測定されたときには誤実装と判定される。
【0004】
この判定方法は、バイパスコンデンサには適用できない場合がある。すなわち、バイパスコンデンサは、直流電流と交流電流とが重ね合わさって流れている回路において、例えば負荷抵抗に直流電流のみを流したい場合に、その負荷抵抗と並列に接続されるものであるため、コンデンサ自体に余り精度が要求されず、また、その静電容量値もまちまちである。
【0005】
多くの場合、バイパスコンデンサは回路基板の電源パターンとGND(グランド)パターンとの間に、その複数個が並列的に接続される。例えば、電源パターンとGNDパターンとの間にバイパスコンデンサとして、(1)120nF,(2)150nF,(3)150nF,(4)100nF,(5)80nFの5個のコンデンサが並列に接続されているとする。
【0006】
上記5個のコンデンサ群の電源パターンとGNDパターンとの間の静電容量Cを測定すると、並列接続であるからC=600nFが得られる。ここで仮に、(4)100nFのコンデンサが非実装で実際に実装されていないとすると、C=500nFとなる。したがって、良品判定基準値を例えば500nF±30%としてコンデンサの有無を検出する場合、(4)100nFのコンデンサが非実装でもOK(PASS)判定となる。
【0007】
そこで、上記のような特に多数の並列接続されたバイパスコンデンサの有無を検査するにあたっては、画像処理を採用するようにしている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−243235号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像処理には高価な設備を必要とするため、その導入コスト負担が大きい。また、画像パターンによる対比検査であるため、特に小さなチップになると誤検出が生じやすい。さらには、電気的に導通していなくても、そこに部品があれば良品と判断してしまう、という問題がある。
【0010】
したがって、本発明の課題は、画像処理によることなく、より低廉な設備で簡単かつ確実にバイパスコンデンサなどのチップ部品の有無を含めて、その実装状態を確実に検査できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されているように、対向する2辺にリード電極を備えているチップ型コンデンサが、回路基板側に一対として形成されている電源パターン側およびグランドパターン側の各ハンダパッド上に実装されているかどうかを検査するため、少なくとも上記回路基板に対して垂直のZ軸方向に相対的に移動可能な第1および第2の2つのプローブと、上記各プローブ間の電気的状態を計測する計測手段とを含み、上記第1プローブおよび上記第2プローブは、上記Z軸方向に沿って上記回路基板側に近づく際に、その各々の先端部が上記回路基板に当接する手前側の位置で、上記チップ型コンデンサのリード電極の上端縁に接触し得る傾斜面をそれぞれ有し、上記第1プローブと上記第2プローブとを、それらの各傾斜面が上記チップ型コンデンサの同一側のリード電極の異なる上端縁に接触する位置に配置して、上記各プローブを上記回路基板にプロービングし、上記計測手段にて上記各プローブ間のショート,オープン状態を計測することにより、上記チップ型コンデンサの実装状態を検査することを特徴としている。
【0012】
本発明において、請求項2に記載されているように、上記第1プローブと上記第2プローブとが、それらの各傾斜面同士を対向させた状態で電気絶縁材を介して一体に接合されていることが好ましい。
【0013】
また、上記チップ部品が回路基板に実装されていない場合、上記第1プローブと上記第2プローブの各先端部が回路基板に接触することになるため、請求項3に記載されているように、上記第1プローブと上記第2プローブの各先端部には、電気絶縁処理が施されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施形態】
次に、図面を参照して、本発明の参考実施形態を説明したのち、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
各実施形態での検査対象は、図1に示すバイパスコンデンサ1である。このバイパスコンデンサ1は、内部にコンデンサ素子を有する四角筒状の樹脂外装体2の対向する2辺にリード電極3,4が設けられたチップ型コンデンサである。なお、以下の説明において、バイパスコンデンサ1を単にコンデンサもしくはチップ部品ということがある。
【0016】
図1には一つしか示されていないが、通常、バイパスコンデンサ1は、その複数個が回路基板Pに形成されている電源パターン5とグランドパターン6との間に並列にハンダ付けされる。そのため、電源パターン5とグランドパターン6は、バイパスコンデンサ1をハンダ付けするためのハンダパッド5a,6aを備えている。
【0017】
まず、図2および図3(a),(b)を参照して、本発明の参考実施形態について説明する。回路基板P上でのバイパスコンデンサ1の実装状態を検査するため、参考実施形態では、第1プローブ100および第2プローブ200と、これらの各プローブが接続される計測部300とを備えている。
【0018】
この例において、第1プローブ100および第2プローブ200は可動プローブで、図示しない駆動機構により、回路基板Pと平行なX−Y軸方向と、回路基板Pに対して垂直なZ軸方向とに自在に移動する。なお、第1プローブ100および第2プローブ200を図示しないピンボードに植設した固定プローブとし、回路基板PをZ軸方向に可動としてもよい。
【0019】
第1プローブ100には、Z軸に対して所定の角度で交差する傾斜面が形成されている。この例において、第1プローブ100は、その先端部側がV字の突起状に形成されていて、Z軸を中心として対称な2つの傾斜面101,101を備えている。
【0020】
また、第1プローブ100の先端部102は、電気絶縁体103によって被覆されている。電気絶縁体103には、例えば絶縁樹脂の塗膜や絶縁フィルムの貼着物を用いることができる。この例において、第1プローブ100は平板材よりなるが、円錐体としてもよい。第2プローブ200は、通常よく用いられているピンプローブであってよい。
【0021】
バイパスコンデンサ1を検査するにあたって、第1プローブ100を、その一方の傾斜面101が同プローブ100の先端部102が回路基板Pに接触する手前側の位置で、コンデンサ1の例えばリード電極3側の上端縁(肩)3aに接触する位置に配置する。また、第2プローブ200を、リード電極3が接続される側の電源パターン5の任意の位置に接触するように配置する。
【0022】
そして、第1プローブ100と第2プローブ200を下降させて回路基板Pにプロービングする。このとき、図3(a)に示すように、回路基板Pにバイパスコンデンサ1が実装されていれば、第1プローブ100の傾斜面101がリード電極3の上端縁3aに接触する。第2プローブ200は電源パターン5に接触しているため、第1プローブ100と第2プローブ200は導通(ショート)状態となる。計測部300は、この導通状態を検出して、コンデンサ1が実装されていると判断する。
【0023】
これに対して、図3(b)に示すように、回路基板Pにバイパスコンデンサ1が実装されていなければ、第1プローブ100の傾斜面101はリード電極3と接触しない。仮に、第1プローブ100の先端部102が電源パターン5にプロービングされたとしても、その先端部102は電気絶縁体103によって被覆されているため、第1プローブ100は電源パターン5と導通しない。
【0024】
したがって、第1プローブ100と第2プローブ200は非導通(オープン)状態となり、これにより計測部300はコンデンサ1が実装されていないと判断する。また、見かけ上バイパスコンデンサ1が実装されているが、リード電極3がハンダパッド5aから浮いている場合には、第1プローブ100と第2プローブ200は非導通状態となるため、このようなハンダ付け不良も検出できる。
【0025】
なお、第2プローブ200をグランドパターン6側に接触させてもよい。この場合、バイパスコンデンサ1が実装されていれば、計測部300にてコンデンサ1の静電容量が測定され、バイパスコンデンサ1が非実装であれば、浮遊容量が測定されることになり、測定値はほぼ0〔F〕となる。また、この場合には、一度でリード電極3,4の両方のハンダ付け不良も検出することが可能となる。
【0026】
上記参考実施形態の第1プローブ100に代えて、図4に示す第1プローブ110を用いてもよい。この第1プローブ110は、その先端部側がV字状の凹溝に形成されていて、Z軸を中心として対称な互いに向かい合う2つの傾斜面111,111を備えている。
【0027】
この第1プローブ110は、二股状に分岐された2つの先端部112,112を持つが、上記第1プローブ100と同じく、その各先端部112,112を電気絶縁体113,113によって被覆することが好ましい。
【0028】
図5を参照して、この第1プローブ110は、2つの傾斜面111,111がバイパスコンデンサ1の例えばリード電極3側の対向する2辺の上端縁3b,3cに接触するようにプロービングされる。この場合、傾斜面111,111の角度は、同プローブ110の先端部112,112が回路基板Pに接触する手前側の位置で、傾斜面111,111がリード電極3の上端縁3b,3cに接触する角度に設定される。
【0029】
次に、図6ないし図9を参照して、本発明の実施形態と上記とは別の参考実施形態について説明する。この実施形態には、図6に示す第1プローブ120のみを使用する場合と、図9の参考実施形態に示すように、第1プローブ120と第2プローブ200とを併用する場合とが含まれる。
【0030】
第1プローブ120は、先に説明した図4の第1プローブ110をZ軸に沿って分割した格好のものである。すなわち、第1プローブ120は、Z軸を中心として対称に形成された一対のプローブメンバ121(請求項1における第1プローブに相当),123(請求項1における第2プローブに相当)を備えており、プローブメンバ121,123には、それらの間の間隔が回路基板P側に向けて漸次広くなる傾斜面122,124が形成されている。
【0031】
プローブメンバ121,123は、それぞれ独立した配線を介して計測部300に接続される。プローブメンバ121,123は、図示しない別々の支持体によって相互に無関係に移動できるように支持されてもよいが、検査対象の大きさが決まっていて、各プローブメンバの間隔などを調整する必要がない場合には、図6に示すように、プローブメンバ121,123を電気絶縁材126により一体に接合してもよい。また、図示しないが、プローブメンバ121,123の各先端部を上記参考実施形態と同じく電気絶縁体で被覆することが好ましい。
【0032】
第1プローブ120のみによって、バイパスコンデンサ1の実装状態を検査する場合には、図7の参考実施形態に例示するように、一方のプローブメンバ121の傾斜面122をコンデンサ1のリード電極3側の上端縁3aに接触させ、他方のプローブメンバ123の傾斜面124をリード電極4側の上端縁4aに接触させ、計測部300にてプローブメンバ121,123間の静電容量を測定する。
【0033】
回路基板P上にバイパスコンデンサ1が実装されている場合、コンデンサ1が有する静電容量が測定される。これに対して、バイパスコンデンサ1が非実装の場合には、プローブメンバ121,123間の浮遊容量が測定され、その測定値はほぼ0〔F〕となる。
【0034】
本発明では、図8に示すように、プローブメンバ121,123の各傾斜面122,124をバイパスコンデンサ1の同一側のリード電極、例えばリード電極3の対向する2辺の上端縁3b,3cに接触させ、プローブメンバ121,123間のショート・オープン検査により、コンデンサ1の実装・非実装を検査することもできる。すなわち、ショートであればコンデンサ1が実装されていると判断でき、オープンであればコンデンサ1が実装されていないと判断できる。
【0035】
ところで、図7の検査例においては、プローブメンバ121,123がバイパスコンデンサ1のリード電極3,4に接触しさえすれば、ハンダ付け不良であってもコンデンサ1の静電容量が測定される。そこで、ハンダ付け状態までも含めて検査をより確実なものとするには、図9に示すように、第2プローブ200を使用するとよい。
【0036】
バイパスコンデンサ1のリード電極3が電源パターン5側に接続され、リード電極4がグランドパターン6側に接続され、かつ、プローブメンバ121がリード電極3に接触し、プローブメンバ123がリード電極4に接触しているものとして、まず、プローブメンバ121,123間の静電容量を測定し、コンタクトチェックとして、その測定値が0でなければ、プローブメンバ121,123が実装されているコンデンサ1に接触していると判断する。すなわち、プローブメンバ121,123間にコンデンサ1が存在していると判断する。
【0037】
次に、第2プローブ200を例えば電源パターン5に接触させて、プローブメンバ121と第2プローブ200との間のショート・オープン検査を行い、ショートであればハンダ付け良好と判断し、引き続いて第2プローブ200をグランドパターン6側に接触させてプローブメンバ123と第2プローブ200との間のショート・オープン検査を行う。
【0038】
このようにして、コンデンサの実装の有無のみならず、ハンダ付け状態までも検査することができる。なお、固定プローブを用いる場合には、第2プローブ200としてのプローブピンを2本用意して、その各々を電源パターン5とグランドパターン6に同時に接触させるようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像処理などの高価な設備を用いることなく、プローブをチップ部品に接触させるだけの操作で、バイパスコンデンサなどのチップ部品の実装状態を確実に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が検査対象とする回路基板上のチップ部品の実装状態を示す斜視図。
【図2】本発明の参考実施形態で用いられる第1プローブを示した斜視図。
【図3】上記参考実施形態の動作説明図。
【図4】上記参考実施形態の別の例で用いられる第1プローブを示した斜視図。
【図5】上記参考実施形態の別の例の動作説明図。
【図6】本発明の実施形態で用いられる第1プローブを示した斜視図。
【図7】本発明の参考実施形態の動作説明図。
【図8】本発明の実施形態の動作説明図。
【図9】本発明の参考実施形態の動作説明図。
【符号の説明】
1 バイパスコンデンサ(チップ部品)
3,4 リード電極
5 電源パターン
6 グランドパターン
5a,6a ハンダパッド
100,110,120 第1プローブ
200 第2プローブ
300 計測部
Claims (3)
- 対向する2辺にリード電極を備えているチップ型コンデンサが、回路基板側に一対として形成されている電源パターン側およびグランドパターン側の各ハンダパッド上に実装されているかどうかを検査するため、
少なくとも上記回路基板に対して垂直のZ軸方向に相対的に移動可能な第1および第2の2つのプローブと、上記各プローブ間の電気的状態を計測する計測手段とを含み、
上記第1プローブおよび上記第2プローブは、上記Z軸方向に沿って上記回路基板側に近づく際に、その各々の先端部が上記回路基板に当接する手前側の位置で、上記チップ型コンデンサのリード電極の上端縁に接触し得る傾斜面をそれぞれ有し、
上記第1プローブと上記第2プローブとを、それらの各傾斜面が上記チップ型コンデンサの同一側のリード電極の異なる上端縁に接触する位置に配置して、上記各プローブを上記回路基板にプロービングし、上記計測手段にて上記各プローブ間のショート,オープン状態を計測することにより、上記チップ型コンデンサの実装状態を検査することを特徴とする回路基板検査装置。 - 上記第1プローブと上記第2プローブとが、それらの各傾斜面同士を対向させた状態で電気絶縁材を介して一体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
- 上記第1プローブと上記第2プローブの各先端部には、電気絶縁処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板検査装置。
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