JP3667874B2 - 昆布を添加したパンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昆布を添加した食パンもしくはあんパン等のパンの製造方法に係り、特に、風味が良好で、かつ、栄養が豊富な昆布を含有するパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昆布は、カルシウム、葉緑素、及びビタミン類等の栄養素を豊富に含む食品である。従って、昆布を多量に摂ることにより、1日に必要な栄養素のかなりの量を摂取することができる。そのため、昆布を大人で1日2〜3g程度摂るのが理想とされている。しかしながら、従来、昆布は、だしをとられる場合のほか、とろろ昆布、もしくは佃煮といった脇役の形態でのみしか使用されていなかった。
【0003】
一方、わが国では近年、食生活の欧米化に伴い、主食としてのパンの需要が増えている。特に、朝食にパンを摂る家庭が増えている。そのようなことから、パンの中に昆布を混入することにより、昆布の摂取量を増やす試みがなされている。すなわち、パンの生地に昆布を混入して焼き上げることにより、昆布の風味を有するパンを製造する。具体的には、昆布を粉末化して小麦粉等と共に混合する方法、もしくは、昆布から抽出しただし液を水と共に混入する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の昆布を添加したパンは、上述したように、粉末化した昆布か、もしくは昆布だし液が加えられることによって製造されるため、その昆布の含有量には限界があった。すなわち、粉末化した昆布、もしくは昆布だし液をある程度以上加えると、焼き上がったパンが磯臭くなる。そのため、風味がする程度の昆布の量は微量であり、十分な栄養素を摂取することができる程の量とすることは不可能であった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、風味が良好で、かつ、栄養が豊富な昆布を添加したパンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達するため、請求項1の発明は、強力小麦粉及びイーストを含む粉末類と、昆布を粉末状に加工した粉末昆布との各材料を混合する混合工程と、前記混合した材料に水と、昆布から抽出した昆布だし液とを加える加水工程と、前記水及びだし液が加えられた材料に卵、練乳、及びバターを加えて捏ね合わせて生地を作る捏合工程と、前記生地を発酵させる発酵工程と、前記発酵した生地を分割する分割工程と、前記分割した生地を成形する成形工程と、前記成形した生地を焼き上げる焼上工程とからなる昆布を添加したパンの製造方法において、前記混合工程における前記粉末昆布は、原料となる昆布を焙煎し、荒挽きして粉末加工したものであることを特徴とする。
【0007】
以上のような請求項1記載の発明によれば、生地の中に粉末昆布及び昆布だし液が含まれているため、昆布中の栄養素によりイーストの発酵が促進される。そのため、通常のパンの製造工程で必要な二次発酵が不要となり、発酵後、分割、成形、及び焼上げが可能となる。従って、製造時間を大幅に縮小することができると共に、製造コストを低減することができる。また、荒挽き昆布の歯ざわりによりぱりっとしたパン生地とすることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1の発明において、前記昆布だし液は、前記焙煎した後荒挽きする前の昆布を水に浸して抽出しただしからなることを特徴としている。
以上のような請求項2の発明によれば、焙煎した昆布はだしが出やすいため、高温の工場内においてもだしが酸化することなく、短時間でだしを抽出することができる。
【0009】
請求項3の発明は、強力小麦粉及びイーストを含む粉末類と、昆布を粉末状に加工した粉末昆布と、若生昆布を刻んでボイルして干したすき昆布を粉末状に加工したすき昆布の粉末との各材料を混合する混合工程と、前記混合した材料に水を加える加水工程と、前記水が加えられた材料に卵、練乳、及びバターを加えて捏ね合わせて生地を作る捏合工程と、前記生地を発酵させる発酵工程と、前記発酵した生地を分割する分割工程と、前記分割した生地を成形する成形工程と、前記成形した生地を焼き上げる焼上工程とからなり、前記混合工程における前記粉末昆布には、原料となる昆布を焙煎し、荒挽きして粉末加工し たものを用い、前記成形工程において、とろろ昆布を粉末状に加工したとろろ粉末か、もしくは昆布だし液を抽出した後の昆布を荒挽きして擂り身状に加工した擂り身昆布のいずれか一方を添加したあんを、前記生地によって包み込むように成形することを特徴とする。
【0010】
以上のような請求項3記載の発明によれば、あずきや芋、カボチャ等のあんに、とろろ粉末もしくは擂り身昆布を添加することにより、昆布の風味が良好で、かつ、栄養十分なあんパンを製造することができる。また、すき昆布の粉末により、パン生地に緑色の色付けをすることができる。また、荒挽き昆布の歯ざわりによりぱりっとしたパン生地とすることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記成形工程において成形した前記生地の表面に、昆布を焙煎して荒挽きした荒挽き昆布を添加することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の昆布を添加したパンの製造方法。
以上のような請求項4記載の発明によれば、焼き上がったパンの表面に付着した昆布により、通常のパンに添加された胡麻のような歯ざわりを得ることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記荒挽き昆布が、原料となる昆布を水に浸してだしを抽出した後に、七分乾燥させ、焙煎して荒挽きしたものであることを特徴としている。
以上のような請求項5記載の発明によれば、水に浸すため、その時間によって昆布の塩分を任意に低減することができる。また、だしを抽出した後の昆布を有効に利用することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記成形工程において成形した前記生地の表面に、昆布を焙煎して荒挽きした荒挽き昆布を添加することを特徴とする。
以上のような請求項6記載の発明によれば、分割工程において生地にとろろ粉末をふりかけ、それを生地全体に広げることにより、焼き上がったパン生地にとろろ巻きの模様をつけることができる。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記分割工程において、前記生地に、とろろ昆布を粉末状に加工したとろろ粉末をふりかけて、該生地全体に広げることを特徴としている。
以上のような請求項7記載の発明によれば、分割工程において生地にとろろ粉末をふりかけ、それを生地全体に広げることにより、焼き上がったパン生地にとろろ巻きの模様をつけることができる。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記とろろ粉末は、原料となる昆布をとろろ機によりとろろ状にし、粉末化して、陰干しにより乾燥させた後、冷風乾燥させたものであることを特徴とする。
請求項8記載の発明によれば、昆布そのものをとろろ機にかけ、粉末化したものを陰干しした後冷風乾燥させるため、通常は30〜40%のとろろ昆布の含水量を、7〜8%に一定化することができる。そのため、とろろ昆布の水分によって焼き上がったパンがべとつくことがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態による昆布を添加したパンの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0017】
(1)各種昆布の加工方法
本実施の形態では、以下の4種類の昆布を使用する。まず、これら4種類の昆布の加工方法について説明する。
【0018】
(a)真昆布の粉末
ここでは、1年物真昆布のすそ物といわれる葉切れや、昆布の末葉部分及び未使用部分を使用する。まず、塩分が8〜9%の通常の昆布の場合について説明する。図1は、その加工方法を示すフローチャートである。最初に、昆布を一片ずつ手分けして、砂などの混入物、すなわち異物を除去する(砂取り工程)。次に、その異物を除去した昆布を乾燥させ(乾燥工程)、切断機により1mm角に切断する(切断工程)。その後、切断した昆布を、焙焼機によって140℃の熱風で10分間程度焙煎することにより、殺菌する(焙煎工程)。ここで、昆布は、1mm角に切断されているため、7〜8分間経過すると表面が白色に変化する。最後に、焙煎済みの昆布を荒挽きした後(荒挽き工程)、粉末機にかけることによりメッシュ250の粉末状にする(粉末化工程)。なお、この粉末状の昆布の含水量は、3〜5%となっている。
【0019】
次に、塩分が2〜3%の減塩の昆布の場合について説明する。図2は、その加工方法を示すフローチャートである。この場合は、まず、真昆布を水に浸し、エキスを抽出する(浸水工程)。そして、このエキスが抽出された水を加熱して、水分を1/4まで凝縮させる(加熱工程)。このだし液は、例えば調味料等に使用することができる。一方、浸水後の昆布は、上述した通常の昆布と同様に、乾燥工程、切断工程、焙焼工程、荒挽き工程、及び粉末化工程を経て、メッシュ250の粉末状にする。また、この粉末状の昆布の含水量は、3〜5%となる。
【0020】
(b)若生昆布(すき昆布)
ここでは、春採り昆布、すなわち3月から5月上旬にかけて採取した生昆布を使用する。図3は、その加工方法を示すフローチャートである。まず、この若生昆布を、刻み状に切断する(切断工程)。そして、切断した若生昆布を、100℃の熱湯で1〜2分間ボイルする(ボイル工程)。この場合、熱湯の温度は、最低80℃とする。その後、このボイルした昆布を簾に干して乾燥させ、すき昆布を製造する(乾燥工程)。
【0021】
その後、このすき昆布を10cm角に切断する(切断工程)。そして、この切断したすき昆布を粉末機にかけて、粉末状にする(粉末化工程)。この若生昆布の含水量は、8%以下となる。
【0022】
(c)とろろ昆布の粉末
ここでは、がもめ昆布100%を原料昆布とする。図4は、その加工方法を示すフローチャートである。まず、がもめ昆布を10cm幅に切断する(切断工程)。このとき、水分を添加することにより、含有水分が30%のがもめ昆布とする。次に、砂などの混入物、すなわち異物を除去する(砂取り工程)。
【0023】
その後、上記がもめ昆布を60kgサイズのブロック状に形成する(ブロック化工程)。そして、そのブロック状のがもめ昆布をそのままとろろ機にかけ、とろろ昆布を得る(とろろ化工程)。次に、このとろろ昆布を粉末化した後(粉末工程)陰干しを繰り返すことによって乾燥させる(陰干し工程)。そして、陰干しした昆布を除湿室において冷風乾燥させ、含有水分を7〜8%に安定させる(冷風乾燥工程)。
【0024】
(d)焼き昆布の荒挽き
ここでは、促成真昆布を使用する。まず、促成真昆布を水に浸さないで荒挽き昆布を得る場合について示す。図5は、その加工方法を示すフローチャートである。最初に促成真昆布を各切りし(切断工程)、焙煎する(焙煎工程)。この場合、5〜7kg釜により、100℃〜140℃の熱風で1.5分間、及び140℃〜150℃の熱風で10分間焙煎する。その後、焙煎した昆布を、荒挽きすることにより(荒挽き工程)、荒挽きの焼き昆布が得られる。
【0025】
次に、促成真昆布を水に浸す場合について示す。図6は、その加工方法を示すフローチャートである。まず、促成真昆布を一昼夜水に漬け込む(浸水工程)。そして、水に浸した促成真昆布の水を搾り、エキスを抽出する(搾り工程)。そして、エキスを含有する水を、70℃〜80℃の熱湯でゆっくり煮詰める(煮詰工程)。この場合、原料である促成真昆布が10kgであるとすると、上記浸水工程でこの促成真昆布を100リットルの水に漬け込み、煮詰工程で、最低25リットルのだし液となるまで煮詰める。
【0026】
一方、エキスを抽出した後の昆布を、乾燥させる(乾燥工程)。そして、70%程度乾燥させたところで、角切りする(切断工程)。その後、70℃〜80℃の熱風で5分間、100℃〜140℃の熱風で15分間、及び150℃〜160℃熱風で5分間、焙煎する(焙煎工程)。この昆布の含水量は、3〜4%となる。この焙煎後の昆布を荒挽きすることにより(荒挽き工程)、荒挽きの焼き昆布が得られる。
【0027】
また、上記エキスを抽出して水を搾った昆布を、荒挽きした後(荒挽き工程)、擂り身状にすることにより(擂潰工程)、あんパンに入れる「あん」の素材とすることもできる。
【0028】
もしくは、上記乾燥工程、切断工程、及び焙煎工程を経た昆布を、ペーハー(pH)7,8程度の水に浸し、荒挽きした後に擂り身状にして、あんパンの「あん」の素材としてもよい。この場合、生昆布を水に浸して荒挽きした場合に比べ、磯臭みが少なくなる。また、このような焼き昆布を使用することにより、荒挽きの時間を短縮することもできる。
【0029】
また、このように焙煎した焼き昆布を水に浸すことによって得られるだし液を、後述するパンの製造工程において使用してもよい。焼き昆布は、10秒程度水に浸すことにより、だし液を抽出する。従って、室温が26℃程度の工場内ではだし液がすぐに酸化する恐れがあるため、だし液の出やすい焼き昆布を使用することにより酸化を防ぐことができる。
【0030】
(2)パンの製造方法
次に、上記各種昆布を用いた本実施の形態によるパンの製造方法の一例について説明する。本実施の形態では、食パンとあんパンの製造方法として説明する。
【0031】
(a)食パンの製造方法
まず、食パンの製造方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。各材料の配合は、以下の通りであるものとする。
【0032】
(配合)
強力小麦粉 1000g 砂糖 40g 食塩 10g ドライイースト 10g 卵 100g 練乳 50g 無塩バター 50g 真昆布の粉末 30g とろろ昆布の粉末 30g すき昆布(水に戻す) 10g(もどす前)
焼き昆布の荒挽き 適宜 水 650g(小麦粉の50〜70%)
昆布だし液 13〜19g(水分の1〜2%)
【0033】
まず、強力小麦粉、砂糖、塩、ドライイースト、真昆布の粉末、及び焼き昆布の荒挽きを混合する(混合工程)。次に、それら材料に水、及び水の1〜2%の昆布だし液を加える(加水工程)。その後、卵及び練乳を加え、材料を5〜7分間捏ね合わせて生地を作る。そして、無塩バターを生地に広げ入れ、混ぜ込みながら更に捏ねる(捏合工程)。
【0034】
次に、捏ね上げた生地を、26℃の発酵器で1時間発酵させる(発酵工程)。これにより、470gサイズのパン生地が出来上がる。このパン生地を、のし板に載せ、適宜分割する(分割工程)。例えば、山形パンを3個作る場合は、3つに均等に分割する。そして、とろろ昆布の粉末を生地にふりかけ、めん棒で生地全体にのばす。このとき、パン生地を広げた時と、とろろ昆布の粉末を広げ終わった時とに、霧吹きにより水分を補給する。
【0035】
次に、パン生地をめん棒により延ばし、うず巻き状に巻いて成形する(成形工程)。そして、巻き上がったパン生地の上に、水に戻したすき昆布を添加する。このパン生地を、型に入れ、そのまま30〜35分間放置することによって発酵させる。その後、200℃の釜により30〜35分間焼く(焼上工程)。焼き上がったら、型から出して冷ます。
【0036】
以上のようにして、昆布の含有率が2〜3%の食パンが得られる。この食パンは、通常のパンに比較して生地がややグリーンとなる。なお、各昆布類の分量を増やすことにより、昆布の含有率を増やすことができる。その場合、食パンの良好な味を維持するために、昆布の最大含有率は5%とする。
【0037】
また、焼き昆布の荒挽きは、混合工程で強力小麦粉等と混合するのではなく、すき昆布と同様に成形したパン生地に添加するようにしてもよい。その場合は、パンの表面に乗った状態で焼き上がり、通常のパンに添加された胡麻のような歯ざわりを得ることができる。
【0038】
(b)あんパンの製造方法
次に、あんパンの製造方法について説明する。この場合、上記加水工程においてだし液を加える代わりに、上記混合工程において、すき昆布の粉末をパン生地の1%加える。これにより、うぐいす色のあんパンが得られる。
【0039】
また、あんパンに入れる「あん」として、既知の方法によって製造されたあずきの粒あんもしくはこしあん、芋あん、またはかぼちゃあん等の各種のあんに、焼き昆布を擂り潰した擂り身状の昆布、もしくはとろろ昆布の粉末を加える。この場合、パン生地の昆布の含有率は生地全体の1〜2%とし、「あん」の昆布の含有率は2〜3%とする。なお、「あん」における昆布の最大含有率は15%とする。
【0040】
そして、あんパンの場合、上記分割工程においてパン生地を30個程度に分割する。また、成形工程において、各パン生地を広げて中央に「あん」をのせ、その「あん」を包み込むようにパン生地を丸めて成形する。
【0041】
(3)本実施の形態の効果
以上のように、本実施の形態では、単に粉末昆布を添加して昆布入りのパンを作るのではなく、数種類の昆布を1個のパンに加えることにより、昆布含有率が最大5〜6%のパンを製造することができる。そのため、十分な栄養が含まれるパンを得ることができる。また、昆布を加えることにより、通常のパンに比較してミネラルを多く含むパンとすることができる。
【0042】
また、常温で放置する実験を行った結果、従来のパンは2日後に黴が発生するのに対し、昆布類を加えたパンは、ほぼ6日間は安定した状態を維持することが分った。すなわち、昆布に含まれる栄養素により、黴の発生が防止される。
【0043】
また、通常、パンを製造する場合、一次発酵させたパン生地をガス抜きしてねかせた後、二次発酵させてから焼き上げるようになっている。しかしながら、本実施の形態によるパンの製造方法においては、パン生地に含まれる昆布の栄養素によりイーストが発酵し易いため、二次発酵させる必要がない。すなわち、一次発酵させた後に、パン生地を30〜35分間そのまま放置することによって、イーストが十分に発酵する。従って、ガス抜き及び二次発酵等を行うことなく、分割、成形後に焼き上げを行うことができる。そのため、製造時間を従来のパンの時間の半分とすることが可能となる。また、パンの製造コストを低減することができる。
【0044】
更に、昆布は、通常200℃の高温釜に入れると炭化するが、本実施の形態ではパン生地が器、すなわち焙焼機の役割を果たすため、蒸し焼きの状態となって炭化が防止される。
【0045】
また、上述したように、本実施の形態においては、1年物真昆布のすそ物といわれる葉切れや、昆布の末葉部分及び未使用部分を粉末化して使用するため、昆布を有効に利用することができる。
【0046】
また、パン生地の表面に、ボイル干ししたすき昆布の水に戻したものを添加することにより、焼き上がった食パンの表面に付着した昆布によってパリッとした食感が得られる。ここで、ボイル干ししていない単なるボイル生昆布を使用すると、出来上がったパンがパリッとした食感になりにくく、表面が炭化しやすい。
【0047】
また、一般のとろろ昆布は、水分が35〜40%となっている。そのため、パン生地そのもの水分が50%以上となることから、とろろ昆布を用いて焼き上げたパンはべとつく風味となる。本実施の形態によれば、水分が7〜8%のとろろ昆布を使用するため、一般のとろろ昆布を使用した場合のようなべたつきは生じない。
【0048】
更に、一般のとろろ昆布を使用した場合、アミノ酸、ステビア、及びねん粘材等のため、異臭が出やすい。そのため、上述したように、昆布そのものをとろろ機にかけて、天日干しにより粉末乾燥させて陰干しを繰り返し、除湿室に入れて水分を一定化することにより、異臭の発生を防ぐことができる。
【0049】
また、上述したように、各昆布の含水量を以下のような一定の値とすることにより、昆布自体の歯ざわりをパンのソフトな歯ざわりと同様なものとすることができる。すなわち、真昆布の粉末は7%以下とし、すき昆布は8%以下とし、とろろ昆布の粉末は3〜5%以下とし、焼き昆布の荒挽き3〜4%以下とする。
【0050】
なお、上述した各種材料の分量、焙煎等の温度、及び各工程の時間等の数値については、一例であって、パンの種類等によって適当な値が選択されるものとする。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、風味が良好で、かつ、栄養が豊富な昆布を添加したパンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図2】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図3】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図4】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図5】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図6】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
【図7】 同実施の形態による昆布を添加したパンの製造方法を示すフローチャート。
Claims (8)
- 強力小麦粉及びイーストを含む粉末類と、昆布を粉末状に加工した粉末昆布との各材料を混合する混合工程と、前記混合した材料に水と、昆布から抽出した昆布だし液とを加える加水工程と、前記水及びだし液が加えられた材料に卵、練乳、及びバターを加えて捏ね合わせて生地を作る捏合工程と、前記生地を発酵させる発酵工程と、前記発酵した生地を分割する分割工程と、前記分割した生地を成形する成形工程と、前記成形した生地を焼き上げる焼上工程とからなる昆布を添加したパンの製造方法において、
前記混合工程における前記粉末昆布は、原料となる昆布を焙煎し、荒挽きして粉末加工したものであることを特徴とする昆布を添加したパンの製造方法。 - 前記昆布だし液は、前記焙煎した後荒挽きする前の昆布を水に浸して抽出しただしからなることを特徴とする請求項1記載の昆布を添加したパンの製造方法。
- 強力小麦粉及びイーストを含む粉末類と、昆布を粉末状に加工した粉末昆布と、若生昆布を刻んでボイルして干したすき昆布を粉末状に加工したすき昆布の粉末との各材料を混合する混合工程と、前記混合した材料に水を加える加水工程と、前記水が加えられた材料に卵、練乳、及びバターを加えて捏ね合わせて生地を作る捏合工程と、前記生地を発酵させる発酵工程と、前記発酵した生地を分割する分割工程と、前記分割した生地を成形する成形工程と、前記成形した生地を焼き上げる焼上工程とからなり、
前記混合工程における前記粉末昆布には、原料となる昆布を焙煎し、荒挽きして粉末加工したものを用い、
前記成形工程において、とろろ昆布を粉末状に加工したとろろ粉末か、もしくは昆布だし液を抽出した後の昆布を荒挽きして擂り身状に加工した擂り身昆布のいずれか一方を添加したあんを、前記生地によって包み込むように成形することを特徴とする昆布を添加したパンの製造方法。 - 前記成形工程において成形した前記生地の表面に、昆布を焙煎して荒挽きした荒挽き昆布を添加することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の昆布を添加したパンの製造方法。
- 前記荒挽き昆布は、原料となる昆布を水に浸してだしを抽出した後に、七分乾燥させ、焙煎して荒挽きしたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の昆布を添加したパンの製造方法。
- 前記成形工程において成形した前記生地の表面に、若生昆布を刻んでボイルして干したすき昆布を水に戻して添加することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の昆布を添加したパンの製造方法。
- 前記分割工程において、前記生地に、とろろ昆布を粉末状に加工したとろろ粉末をふりかけて、該生地全体に広げることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の昆布を添加したパンの製造方法。
- 前記とろろ粉末は、原料となる昆布をとろろ機によりとろろ状にし、粉末化して、陰干しにより乾燥させた後、冷風乾燥させたものであることを特徴とする請求項7記載の昆布を添加したパンの製造方法。
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