JP3663258B2 - 制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パワーMOSFETやIGBT(Insulated gate bipolar transistor)等の絶縁ゲート型半導体装置に係り、特に、負ゲート電圧保護や過熱保護回路等の制御回路を同一チップ上に備えた制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置としては、例えば信頼性向上のために特開平7−58293号公報に開示されるような同一チップ上に過熱保護回路等の制御回路を内蔵したパワーMOSFETが知られている。この従来例では、外部ゲート端子と内部ゲート端子との間にゲート抵抗を接続し、さらに内部ゲート端子と外部ソース端子との間にゲート遮断回路用MOSFETを接続している。これにより、チップ温度が規定温度以上に上昇した場合、前記ゲート遮断回路用MOSFETをオンさせて前記抵抗にゲート電流を流し、パワーMOSFETが破壊する前にパワーMOSFETを遮断させることができる。
【0003】
この従来例では、同一チップ上に内蔵する制御回路は、プロセスステップの増加を抑さえるために、パワーMOSFETのドレイン領域に形成する自己分離型素子分離構造の素子を用いて構成している。このため、コストは安く抑さえられるものの、ゲート電圧が負になった場合にゲート遮断回路用MOSFETのドレインとパワーMOSFETのドレインとの間に存在する寄生npnトランジスタにより、外部ドレイン端子から外部ゲート端子にリーク電流が流れる可能性が生じる。そこで、この対策として寄生npnトランジスタのベース電流を遮断するためのダイオードを、ゲート遮断回路用MOSFETと直列に接続し、さらにこのダイオードが降伏するのを防止するダイオードを外部ゲート端子と外部ソース端子との間に接続していた。
【0004】
また、過熱保護回路を内蔵したパワーMOSFETの高周波化を図るために上記ゲート抵抗の代わりにMOSFETを用いた例が、特開平6−244414号公報に開示されている。この従来例では、外部ゲート端子と内部ゲート端子との間にゲート抵抗を使用する代わりに、ボディの電位がソース端子電圧に固定されているMOSFETを使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した前者の従来例によれば、後者の従来例のようにゲート抵抗の代りにMOSFETを使用して高周波化を図ろうとしても、高周波化のために内部ゲート端子と外部ゲート端子との間に挿入するMOSFETのソースとドレインが共にパワーMOSFETのソース端子に接続されていないため、前述したゲート遮断回路用MOSFETとダイオードの直列回路および外部ゲート端子と外部ソース端子との間に設けたダイオードによっては、ゲート電圧が負になった際に、挿入したMOSFETのドレインとパワーMOSFETのドレインとの間に存在する寄生npnトランジスタが動作するのを防止することができなかった。また、パワーMOSFETの内部ゲート端子と外部ソース端子との間に挿入される前記直列回路のダイオードの電圧降下により、パワーMOSFETを完全に遮断できなかったり、制御回路が正常動作するための最小ゲート端子電圧がこのダイオードを挿入した分高くなってしまうという問題点があった。
【0006】
さらに、高周波化を図った後者の従来例には、ゲート抵抗の代りに基板内に形成したMOSFETを用いる場合に、基板バイアス効果によりしきい値が高くなり、ゲート抵抗の代りに用いた前記MOSFETのオン抵抗が下がらずそれほど高周波化を図れないという難点があった。なお、ゲート抵抗の代りの前記MOSFETに基板上に形成した多結晶シリコンのMOSFETを用いる場合には、多結晶シリコン中のキャリア移動度が低くパワーMOSFETを十分に駆動できない上にオン抵抗もあまり低くならないので、高周波化は困難である。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、制御回路用MOSFETのソースとドレインが共にパワーMOSFETのソース端子に接続されていない場合にも、寄生npnトランジスタ動作が問題とならない負ゲート電圧保護を有する制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、パワーMOSFETの遮断を確実に行ない、制御回路が正常動作するための最小ゲート端子電圧を従来に比べ低減できる制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の第3の目的は、前記ゲート抵抗の代りに用いるMOSFETの基板バイアス効果の影響を回避するようにボディ電位を制御してオン抵抗を低減し高周波化が可能な制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置を提供することにある。
【0010】
また更に、本発明の第4の目的は、MISFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)を用いた半導体装置一般において、前記MISFETのソース・ドレイン経路に逆極性信号(nチャネル型FETの場合にはその通常のボディ電位に対して負極性)が入力されても、半導体基板とボディとソース又はドレインとで形成される寄生バイポーラトランジスタ動作が問題とならない装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置は、例えば図1に示すように、ドレイン端子60とゲート端子61とソース端子62を少なくとも具備し、ドレインをドレイン端子60に接続しソースをソース端子62に接続したパワーMOSFET29と、該パワーMOSFETのゲート64とゲート端子61との間に設けられたパワーMOSFETを制御する第1のMOSFET33と、ボディとソースを第1のMOSFETのボディと接続しドレインをゲート端子61に接続しゲートをソース端子62に接続した第2のMOSFET34とから少なくとも構成することを特徴とするものである。
【0012】
また、前記制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置において、第2のMOSFETに代えて、ボディとソースを第1のMOSFETのボディと接続しドレインをソース端子に接続しゲートをゲート端子に接続した第3のMOSFET(図1で言えば、MOSFET41)、及び/又は、第1のMOSFETのボディとソース端子との間に接続した第1のダイオード(図4で言えば、ダイオード18)を用いて構成しても良いし、或いは、第2のMOSFETと共に前記第3のMOSFETを用いて構成することもできる。
【0013】
更に、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置は、例えば図5に示すように、ドレイン端子60とゲート端子61とソース端子62を少なくとも具備し、ドレインをドレイン端子60に接続しソースをソース端子62に接続したパワーMOSFET29と、該パワーMOSFETのゲートとゲート端子61との間に設けられたパワーMOSFETを制御する第1のMOSFET33と、ボディとソースを第1のMOSFET33のボディと接続しドレインをソース端子62に接続しゲートをゲート端子61に接続した第3のMOSFET41との他に、ボディとソースを第3のMOSFET41のボディに接続した少なくとも1つの第4のMOSFETすなわちMOSFET31やMOSFET32等を設けて構成するか、または、例えば図6に示すように、第3のMOSFET41に代えて第1のダイオード18を用い、MOSFET31やMOSFET32等の第4のMOSFETのボディとソースを第1のダイオードに接続した構成としても良い。
【0014】
この場合、更に、ボディとソースを第1のMOSFET33のボディと接続しドレインをゲート端子61に接続しゲートをソース端子62に接続した第2のMOSFET34を設ければ好適である。
【0015】
また更に、ボディとソースをソース端子62に接続した少なくとも1つの第5のMOSFETすなわち図3で言えばMOSFET36を設けても良い。
この場合、第5のMOSFETのドレインとゲート端子61またはパワーMOSFETのゲ−トとの間に第2のダイオード16を更に設ければ好適である。
【0016】
また、例えば図7に示すように、ボディを第3のMOSFET41のボディに接続しソースをソース端子62に接続した少なくとも1つの第6のMOSFET、例えばMOSFET37,MOSFET38等を更に設けてもよい。
この場合、第6のMOSFETのドレインとゲート端子61との間に第3のダイオード11,14又は17を更に設ければ好適である。
【0017】
また、例えば図1に示すように、更にゲート端子61とソース端子62との間に第4のダイオード12を設けるか、或いは第4のダイオード12及びこれに直列で逆向きに接続された第5のダイオード13を設ければ好適である。
更に、例えば図1に示すように、第1のMOSFET33のボディとソース端子62の間に第1の抵抗58を更に設ければ好適である。
【0018】
また、例えば図1に示すように、第1のMOSFET33は、ソースをパワーMOSFETのゲート64に接続しドレインをゲート端子61に接続すれば好適である。この場合、パワーMOSFETのゲート64とゲート端子61の間に第6のダイオード15及び/又は第2の抵抗50を設けても良く、更にゲートとドレインをパワーMOSFETのゲート64に接続しボディを第1のMOSFET33のボディに接続しソースをゲート端子61に接続した第7のMOSFET48を設けても良い。
【0019】
更に、例えば図1に示すように、第1のMOSFET33のゲートとゲート端子61との間に第3の抵抗51、及び/又は第7のダイオード14を設ければ好適であり、また更に第1のMOSFET33のゲートとソースとの間にキャパシタ25を設ければ好適である。
【0020】
また、上記第1のMOSFET〜第3のMOSFETをデプレッション型とすれば好適である。
そして、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置は、例えば図2に示すように、第1のMOSFET33のボディ領域104aとパワーMOSFET29のボディ領域107とをパワーMOSFETのドレイン領域102で分離した構造とすれば好適である。
【0021】
また、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置は、例えば図8に示すように、ドレイン端子60とゲート端子61とソース端子62を少なくとも具備し、ドレインをドレイン端子61に接続しソースをソース端子62に接続したパワーMOSFET29と、ゲートとソースを接続しドレインをゲート端子61に接続しパワーMOSFET29の制御回路に用いる少なくとも1つのデプレッション型の第8のMOSFETすなわちMOSFET43やMOSFET44等と、ボディとソースを第8のMOSFETのボディと接続しドレインをゲート端子61に接続しゲートをソース端子62に接続した第2のMOSFET34とから少なくとも構成することができる。
【0022】
この場合、第2のMOSFETに代えて、ボディとソースを第8のMOSFETのボディと接続しドレインをソース端子に接続しゲートをゲート端子に接続した第3のMOSFET41、及び/又は、第8のMOSFETのボディとソース端子との間に接続した第1のダイオード(図4で言えば、ダイオード18)を用いて構成しても良いし、或いは、第2のMOSFETと共に第3のMOSFETを用いて構成することもできる。
【0023】
また、この場合も、第8のMOSFETのボディ領域とパワーMOSFETのボディ領域とをパワーMOSFETのドレイン領域で分離した構造とすれば好適である。
【0024】
さらに、本発明を一般化して、MISFETを用いた半導体装置に応用する場合には、例えば図1及び図2に示すように、基板と、該基板に設けられた第1導電型の第1領域102と、該第1領域102に接する第2導電型の第2領域104aと、該第2領域104a内に設けられた第1導電型チャネルの第1のMISFET33とを具備する半導体装置において、前記第1のMISFETのソース又はドレイン109bに該ソース又はドレインと前記第2領域との間のpn接合の順方向となる第1入力電圧が入力された場合に、前記第2領域をフローティング状態とするか、又は、前記第1入力電圧が入力されたソース又はドレインと前記第2領域とを接続するかのいずれかを行うスイッチング手段(34,41)を具備すればよい。
【0025】
この場合に、前記スイッチ手段を、前記第1のMISFETの前記第1入力電圧が入力されるソース又はドレインにそのソース又はドレインが接続され、前記第1のMISFETのボディにそのドレイン又はソースとそのボディとが接続され、そのゲートが第1の電位に接続された第2のMISFET34で構成すれば好適である。
【0026】
また、前記スイッチング手段を、前記第1のMISFETの前記第1入力電圧が入力されるソース又はドレインにそのゲートが接続され、前記第1のMISFETのボディにそのソース又はドレインとそのボディとが接続され、そのドレイン又はソースが第1の電位に接続された第3のMISFET41で構成してもよいし、前記第2のMISFET34と組み合わせてもよい。第3のMISFET41と第2のMISFET34とを組み合わせた場合には、前記第1のMISFETのボディと前記第3のMISFETのソース又はドレイン及びボディとの間に接続された抵抗素子を設ければ好適である。
【0027】
また、前記スイッチング手段を、前記第1のMISFETのボディと第1の電位との間に接続されたダイオードで構成してもよいし、前記第2のMISFET34と組み合わせてもよい。ダイオードと第2のMISFET34とを組み合わせた場合には、前記第1のMISFETのボディとダイオードとの間に接続された抵抗素子を設ければ好適である。
【0028】
さらに、前記第1領域102は、前記第2領域104aが前記第1の電位に接続されているときに前記第1領域102と前記第2領域104aとの間のpn接合に対して逆方向となる電圧が印加される如き第2の電位に接続されれば、ブレークダウンが阻止されて好適である。
【0029】
【発明の実施の形態】
従来の制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置では、パワーMOSFETのドレイン領域に形成した自己分離型素子分離構造の横型MOSFETを用いて制御回路を構成していた。従来のようにパワーMOSFETを制御する第1のMOSFETを横型MOSFETとすると、ゲート端子が負になった場合、第1のMOSFETのボディをベース、第1のMOSFETのソースまたはドレインをエミッタ、パワーMOSFETのドレインをコレクタとする寄生npnトランジスタがオンしてしまい、ドレイン端子からゲート端子へリーク電流が流れた。これに対して、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の好適な実施の形態によれば、例えば図1に示すように、第1のMOSFET33のボディに、ボディとソースを接続すると共にドレインをゲート端子61に接続した第2のMOSFET34を設けたことにより、ゲート端子が負になった場合には第2のMOSFETがオンするため、第1のMOSFET33に存在する前記寄生npnトランジスタのエミッタ・ベース間が順バイアスされてオンするのを防止できる。ここで、第2のMOSFETをデプレッション型にした場合には、この負ゲート電圧保護が早く働くようになる。
【0030】
また、第1のMOSFET33のボディとソース端子間に第1のダイオード18を設けた場合には、この第1のダイオードはゲート端子に正の電圧が印加されているとき順バイアスされるため、第1のMOSFETのボディはソース電位にほぼ等しいが、ゲート端子に負の電圧が印加されているときには第1のダイオードは逆バイアスされるため、第1のMOSFETに存在する前記寄生npnトランジスタにベース電流は流れない。このため、寄生npnトランジスタはオンしない。
【0031】
また、第1のMOSFET33のボディに、ボディとソースを接続すると共にドレインをソース端子62に接続しゲートをゲート端子61に接続した第3のMOSFET41を設けた場合には、この第3のMOSFETはゲート端子に正の電圧が印加されているときには第1のMOSFETのボディがソース端子電圧となるようにオンするが、ゲート端子に負の電圧が印加されているときにはオフするため第1のMOSFETに存在する寄生npnトランジスタにベース電流は流れない。このように第3のMOSFET41を設けることにより、従来例のダイオードを用いた負ゲート電圧保護回路に比べてゲート端子電圧の最小値を低減でき、ゲート電圧の動作マージンが増加するという利点がある。さらに、第3のMOSFETをデプレッション型とした場合には、ゲート端子電圧が低くても第1のMOSFETのボディ電圧はソース端子電圧に等しくなるため、ゲート電圧の動作マージンをさらに向上することができる。
【0032】
また、第2のMOSFET34を用いて寄生npnトランジスタのエミッタ・ベース間が順バイアスされるのを防止すると共に、第3のMOSFET41または第1のダイオード18を用いて寄生npnトランジスタのベース電流を阻止する場合には、寄生npnトランジスタ動作防止効果が増加する。これは、第2のMOSFETの電流駆動能力が十分高まっているときには、第2のMOSFETだけでも、たとえ高速にゲート端子電圧が低下しても寄生npn動作防止効果があるが、ゲート電圧の値が0ボルト近辺のため第2のMOSFETが十分オン状態にならないと寄生npnトランジスタ動作の防止効果が現われない可能性があるためであり、一方、第3のMOSFETまたは第1のダイオードを用いるだけの場合は、ゲート電圧の値が0ボルト近辺でも寄生npnトランジスタ動作の防止効果があるが、高速にゲート電圧が低下すると一時的に寄生npnトランジスタがオンする可能性があるためである。
【0033】
また、ドレインもソースも共にソース端子に接続されていない制御回路用MOSFET、例えば図3に示したMOSFET33に関しては、上述した寄生npnトランジスタ動作の防止対策を行ない、一方、ソース接地で使用する制御回路用の第5のMOSFET、例えばMOSFET36に存在する寄生npnトランジスタの動作防止に関しては、これと直列に第2のダイオード16を接続し、さらに第2のダイオードが降伏するのを防止するため、第2のダイオード16より耐圧が低い第5のダイオード13をゲート端子61とソース端子62の間に接続してもよい。
【0034】
第1のMOSFETのソースをパワーMOSFETのゲートに接続すると共に第1のMOSFETのドレインをゲート端子に接続する場合、図2に示したように第1のMOSFET33のボディをパワーMOSFET29のボディと分離することにより、ゲート端子に正の電圧が印加されたときには第1のMOSFETのボディの電位も上昇することができるので、第1のMOSFETの基板バイアス効果が軽減される。このため第1のMOSFETの実効的オン抵抗が低減し、高速にパワーMOSFETをオンすることができる。
【0035】
また、ボディとソースをソース端子に接続した第5のMOSFET、例えば図3で言えば過電流保護回路に用いているMOSFET36の場合には、第2のダイオード16をパワーMOSFETのゲート64とMOSFET36のドレインとの間に設けることにより、ゲート端子に負ゲート電圧が印加されたときに生じる寄生npnトランジスタ動作を防止している。なお、制御回路内に同様のソース接地した第5のMOSFETがあり、そのドレインがゲート端子側に接続されるような場合には、第2のダイオードは第5のMOSFETのドレインとゲート端子61との間に設ければよい。
【0036】
更に、第1のMOSFETのボディとソース端子との間に第1の抵抗を接続することにより、第1のMOSFETのボディ電位が高くなるので、パワーMOSFETを高速にオンすることができ、定常状態ではボディ電圧はソース電圧近辺に低下するので第1のMOSFETのオン抵抗の変動がなくなり、パワーMOSFETの特性を安定させることができる。
【0037】
また、例えば図1に示すように、第1のMOSFET33のソースをパワーMOSFETのゲート64に接続すると共に第1のMOSFET33のドレインをゲート端子61に接続する場合、第6のダイオード15をパワーMOSFETのゲート64とゲート端子61との間に接続するか、或いはゲートとドレインをパワーMOSFETのゲート64に接続すると共にボディを第1のMOSFET33のボディに接続し、かつ、ソースをゲート端子61に接続した第7のMOSFET48を更に設けることにより、パワーMOSFETのゲート電荷を高速に放電することができる。
【0038】
更に、第2の抵抗50をゲート端子61とパワーMOSFETのゲート64との間に接続することにより、パワーMOSFETがオン状態のときのゲート電圧がゲート端子の電圧と等しくなるため、パワーMOSFETのオン抵抗を低減できる。
【0039】
また、第1のMOSFET33のゲートとゲート端子61との間に第7のダイオード14と第3の抵抗51とを設けると共に、第1のMOSFETのゲートとソースとの間にキャパシタ25を設けたブートストラップ回路構成とすることにより、第1のMOSFETのゲート電圧が高くなるためオン抵抗が低くなり、パワーMOSFETのオンタイムが向上する。
【0040】
第1のMOSFET33には基板バイアスがかかるためオン抵抗が増加するが、第1のMOSFETをデプレッション型MOSFETとすることにより、基板バイアスがかかってもオン抵抗が小さくなるように設定できるためパワーMOSFETのターンオン速度を向上することができる。
【0041】
また、第1のMOSFETのボディ領域とパワーMOSFETのボディ領域とを、パワーMOSFETのドレイン領域で分離したことにより、第1のMOSFETのボディ領域をベースとする寄生npnトランジスタがオンしないように、第1のMOSFETのボディ電位をパワーMOSFETの電位と独立に制御できる。更に、第1のMOSFETのボディの電位をパワーMOSFETのソース電位より高くして、基板バイアス効果による第1のMOSFETの実効的なオン抵抗の増加を抑えることが可能となる。上記ボディ領域の分離は、追加プロセスなしで実現できる。
【0042】
また、ゲートとソースを接続しドレインをゲート端子61に接続しパワーMOSFETの制御回路に用いる少なくともデプレッション型の第8のMOSFETのボデイ、例えば図8で言えばアクティブ負荷を構成するMOSFET43〜45、のボディに、ボディとソースを接続しゲートをソース端子62に接続した第2のMOSFET34を設けることにより、ゲート端子に負ゲート電圧が印加されたときには第2のMOSFETがオンして、第1のMOSFETと同様に第8のMOSFETにも存在する寄生npnトランジスタが動作するのを防止する。
【0043】
また、第8のMOSFETのボディとソース端子間に第1のダイオードを設けた場合、或いは第8のMOSFETのボディに、ボディとソースを接続すると共にドレインをソース端子に接続しゲートをゲート端子に接続した第3のMOSFETを設けた場合、或いは第2のMOSFETと第3のMOSFETを設けた場合の作用及び効果は、上述した第1のMOSFETに対して設けた場合と同様の作用及び効果である。
【0044】
さらに、本発明を一般化して考えれば、MISFETのソース・ドレイン経路に逆極性信号が入力された時に、通常はそのボディ104aとソース又はドレインとの間のpn接合にpからnへの順電圧が印加されることになって、半導体基板とボディとソース又はドレインとで形成される寄生バイポーラトランジスタ動作が発生してしまうという問題があるが、逆極性信号である第1入力電圧が入力された場合に、ボディとなる第2領域104aをフローティング状態とするか、又は、前記第1入力電圧が入力されたソース又はドレインと前記第2領域(ボディ)とを接続して同電位にすることにより寄生バイポーラトランジスタのベース電流が流れないので前記問題は解決される。
【0045】
【実施例】
次に、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の更に具体的な実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0046】
<実施例1>
図1は本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第1の実施例を示す回路構成図であり、図2は図1に示した回路構成を実現する制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の要部断面構造図である。
【0047】
図2に示した構造を有する本実施例の半導体装置は、従来の縦型パワーMOSFETと同様のプロセスで形成できる。図2において、参照符号101はアンチモン又は砒素を不純物とした抵抗率0.02Ω・cm〜0.002Ω・cm程度の高濃度n型半導体基板を示し、このn型半導体基板101上には抵抗率1〜2Ω・cm程度のn型エピタキシャル層102が10μm程度形成されている。
【0048】
パワーMOSFETの形成部分には、約50nmのゲート酸化膜105a上に形成した多結晶シリコンゲート層106aのパターン間に深さ6μm、ドーズ量1×1015cm-2程度の第1のp型ウエル拡散層103aと、多結晶シリコンゲート層106aをマスクにして自己整合的に形成した深さ2μm、ドーズ量5×1013cm-2程度のボディ用p型拡散層107と深さ0.4μm、ドーズ量1×1016cm-2程度のソース用n型拡散層109aを設け、ボディ107とアルミ電極112a間のオーミックコンタクトを取るために深さ0.5μm、ドーズ量1×1015cm-2程度の高濃度p型拡散層110aを設け、多結晶シリコンゲート層106aの上には絶縁層111を介してソース電極となるアルミ電極層112aを形成してある。
【0049】
また、保護回路部には深さ5μm、ドーズ量2×13cm-2程度の第2のp型ウエル拡散層104a,104bをボディとし、前記n型拡散層109aと同一工程で形成される高濃度n型拡散層109bをドレイン拡散層およびソース拡散層とし、前記高濃度p型拡散層110aと同一工程で形成される高濃度p型拡散層110bをボディ104a,104bとアルミ電極112b〜112eとの間のオーミックコンタクトを取るための高濃度p型拡散層とし、前記多結晶シリコンゲート層106aと同じ工程で形成される多結晶シリコンゲート層106bを保護回路用MOSFETのゲート電極とし、低濃度n型領域108はドレイン耐圧向上のためのドーズ量5×1012cm-2程度の低濃度n型オフセット領域として形成してある。
【0050】
更に、2つの電極が共にソース端子62の電位に対し変動する図1のキャパシタ25は、MOSFET33のゲートに接続される一方の電極として多結晶シリコンゲート層106aと同じ工程で形成される多結晶シリコンゲート層106cを用い、パワーMOSFET29のゲート64に接続される他方の電極として多結晶シリコンゲート層106cの形成工程前にドーズ量1×1015cm-2程度の砒素またはリンをイオン打込みにより形成したn型拡散層113を用いて構成している。尚、参照符号105bはフィールド酸化膜、112g,112fはアルミ電極である。
【0051】
図1に示した制御回路用MOSFETであるソース接地又はドレイン接地のMOSFET31,41や、ドレインとソースの両方共接地されないMOSFET33を、パワーMOSFETのドレイン領域であるn型エピタキシャル層102の中に形成している(尚、図2の要部断面構造図には、MOSFET41,33、キャパシタ25、及びパワーMOSFET29の一部を示す)。このため、従来のパワーMOSFETプロセスと同様に低コストで制御回路を内蔵できるという利点があるけれども、パワーMOSFETのドレイン領域102をコレクタ、制御回路用MOSFETであるMOSFET31やMOSFET33のドレイン・ソース領域109bをエミッタ、制御回路用MOSFETであるMOSFET31やMOSFET33のボディ領域104a,104bをベースとする寄生npnトランジスタが存在するという問題がある。この問題に対して、本実施例の制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置では、図1に示すような回路構成を採用することにより解決している。
【0052】
図1において、参照符号60はドレイン端子、61はゲート端子、62はソース端子、63は遮断端子である。この遮断端子63は、ゲート端子61に正の電圧が印加されている場合にも強制的にパワーMOSFET29を遮断するための端子であり、この図の場合は遮断端子63の入力電圧がMOSFET31,32のしきい電圧よりも高い電圧であるとき、強制的にパワーMOSFET29を遮断することができる。
【0053】
ドレインをMOSFET33のゲートに接続すると共にソースをパワーMOSFET29のソース端子62に接続したMOSFET32は、通常オフ状態であり、遮断端子63に遮断するための電圧が印加されたときにオン状態となる。このMOSFET32を用いることにより、パワーMOSFET29をオンするときにはMOSFET32はオフしているのでゲート端子61の電圧がダイオード14と抵抗51の直列回路を介してMOSFET33のゲートに印加される結果MOSFET33のオン抵抗を下げて高速スイッチングを可能にし、パワーMOSFET29を遮断端子63により強制的に遮断する場合にはMOSFET32はオン状態となるのでMOSFET33のゲートをソース端子62の電圧まで下げる結果MOSFET33のオン抵抗が上がり、MOSFET31の駆動能力が低くてもパワーMOSFET29を遮断することができる。
【0054】
本実施例では、MOSFET34のドレインはゲート端子61に接続し、ソースとボディはMOSFET33のボディに接続し、ゲートはソース端子62に接続してある。MOSFET41のドレインはソース端子62に接続し、ソースとボディは抵抗58を介してMOSFET33のボディに接続し、ゲートはゲート端子61に接続してある。また、ソース接地のMOSFET31にはダイオード11が、パワーMOSFETのゲート64とソース端子62間に直列に挿入されるように接続され、ソース接地のMOSFET32にはダイオード14が、ゲート端子61とソース端子62間に直列に接続してある。さらに直列で逆向きに接続されたダイオード12とダイオード13がゲート端子61とソース端子62間に接続してある。MOSFET33のドレインはゲート端子61に接続され、ソースはパワーMOSFETのゲート64に接続され、MOSFET33のドレイン・ゲート間にはダイオード14と抵抗51の直列回路を接続し、MOSFET33のゲート・ソース間にはキャパシタ25を接続してある。なお、抵抗58はなくてもよいが、抵抗58があることによりMOSFET33のボディ電位が高くなるので、パワーMOSFETは高速にオンすることができ、定常状態ではボディ電位はソース電圧近辺に低下するので、MOSFET33のオン抵抗の変動がなくなり、パワーMOSFETの特性を安定化させる利点がある。
【0055】
このように構成される本実施例の半導体装置では、図2の断面構造図から明らかなように、ソース接地のMOSFET31,32のドレインをエミッタとし、これらのボディをベースとし、パワーMOSFET29のドレインをコレクタとする寄生npnトランジスタが存在するが、これに対しては従来例の特開平7−58293号公報で述べた負ゲート電圧保護回路の構成と同様に、ダイオード11,14により寄生npnトランジスタのベース電流を遮断して寄生npnトランジスタの動作を防止し、さらに直列で逆向きに接続されたダイオード12とダイオード13の耐圧の合計をダイオード11,14の耐圧よりも低く設定することにより、ゲート端子61が負になった時にダイオード11,14が降伏することを防止している。
【0056】
しかし、ドレインがゲート端子61に接続され、ソースがパワーMOSFETのゲート64に接続された制御回路用MOSFET33とパワーMOSFET29との間には、MOSFET33のドレインをエミッタ、MOSFET33のボディをベース、パワーMOSFET29のドレイン端子60をコレクタとする寄生npnトランジスタが存在する。このようなソースもドレインも共にソース端子62に接続されていないMOSFETに起因する寄生npnトランジスタに関しては、前記従来の負ゲート電圧保護回路の構成では寄生npnトランジスタ動作を防止できない。
【0057】
そこで、本実施例ではMOSFET34を用い、次のようにしてこの寄生npnトランジスタ動作を防止している。負ゲート電圧がゲート端子61に印加された時にはMOSFET34がオンし、MOSFET34のドレイン(すなわち寄生npnトランジスタのエミッタ)がMOSFET34のソースとボディの接続ノード71を介してMOSFET33のボディ(すなわち寄生npnトランジスタのベース)と接続される。従って、寄生npnトランジスタのエミッタ・ベース間ダイオードが短絡されることになり、これによって寄生npnトランジスタ動作が防止される。また、MOSFET41は次のように動作する。ゲート端子61の電圧が正の時にはMOSFET41はオンしてMOSFET33のボディをソース端子62に接続してソース端子電圧となるようにするが、ゲート端子61の電圧が負になった場合にはMOSFET41はオフしてMOSFET33に存在する前記寄生npnトランジスタのベース電流を遮断し、寄生npnトランジスタ動作を防止している。このようにして、上述の寄生npnトランジスタが動作することによって生じるドレイン端子60からゲート端子61へのリーク電流を防止できる。
【0058】
上記寄生npnトランジスタの耐圧はパワーMOSFET29の耐圧よりも低いことから、ゲート端子61に負ゲート電圧が印加され、さらにドレイン端子60にも高電圧が印加されるときには、寄生npnトランジスタにブレークダウン電流が集中して素子破壊する可能性があるけれども、ダイオード11,14およびMOSFET34,41を用いた本実施例回路では寄生npnトランジスタはベース・エミッタ間をほぼ短絡してベース開放耐圧BVCEOよりも高い耐圧、すなわち、ほとんどコレクタ・ベース間耐圧BVCBOに近い耐圧となるので、この素子破壊を防止できるという効果がある。
【0059】
制御回路用MOSFET33の寄生npnトランジスタ動作を防止するためには、MOSFET34またはMOSFET41だけを使用してもよいが、本実施例では負ゲート電圧保護の効果を高めるためにMOSFET34と41の両方を使用した場合を示している。これは、MOSFET34の電流駆動能力が高ければたとえ高速にゲート端子電圧が低下するときでもMOSFET34を使用するだけで寄生npnトランジスタ動作の防止効果があるけれども、ゲート端子電圧の値が0ボルト近辺ではMOSFET34が十分オン状態になりにくいため、寄生npnトランジスタ動作の防止効果が現れない可能性があり、一方、MOSFET41だけを用いる場合は、ゲート端子電圧の値が0ボルト近辺でも寄生npnトランジスタ動作の防止効果があるけれども、高速にゲート電圧が低下すると一時的に寄生npnトランジスタがオンする可能性があるためである。なお、MOSFET34をデプレッション型にすることにより、ゲート端子61に負ゲート電圧が印加され始めたときの電流駆動能力が向上するので、寄生npnトランジスタ動作の防止効果を向上することができる。
【0060】
更に、本実施例回路においては、ゲート端子61に電圧が印加された時、MOSFET33のボディ電位は寄生容量の影響で上昇するため、MOSFET33の基板バイアス効果が軽減される。このため、MOSFET33の実効的なオン抵抗は低減し、高速にパワーMOSFET29をターンオンできるという効果がある。ゲート端子電圧が高電位で一定となった後には、抵抗58と寄生容量とで決まる時定数でMOSFET33のボディ電位はソース端子62の電圧に下がる。ここで、抵抗58の値が高くなるほどパワーMOSFET29のターンオン速度は向上するが、ドレイン端子60の電圧が下がったとき、MOSFET33のボディ領域からパワーMOSFETのドレイン領域へ注入された少数キャリアの放出に時間がかかるようになるため、パワーMOSFETのターンオフ時間が長くなる可能性がある。従って、この問題を回避するように抵抗58の値は最適化する。なお、抵抗58を短絡させてMOSFET41のオン抵抗を増加するかしきい電圧を増加することによっても同様の効果が得られる。
【0061】
MOSFET33は基板バイアス効果がかかるためオン抵抗が増加するが、デプレッション型にすることにより基板バイアスがかかってもオン抵抗が小さくなるようにして、パワーMOSFET29のターンオン速度を向上することもできる。
【0062】
また、本実施例回路においては、ゲート端子61に正の電圧を印加するとダイオード14と抵抗51を介してMOSFET33のゲートを充電してパワーMOSFET33をオンすると共に、さらにキャパシタ25を充電する。このため、パワーMOSFETのゲート64の電圧が上昇する時には、ダイオード14とキャパシタ25はMOSFET33のゲートを昇圧するように働くブートストラップ回路として動作する。従って、ダイオード14とキャパシタ25がない場合に比べてMOSFET33のゲート電圧は高くなるので、MOSFET33は低オン抵抗となり、高速にパワーMOSFET29をオンできるという効果がある。なお、キャパシタ25については、その容量値が小さくてよい場合にはMOSFET33の寄生容量を用いることも可能である。また、ダイオード14に関しても、MOSFET33のドレイン・ゲート間に配置しなくてもよい場合がある。それは、MOSFET33のゲート電圧がゲート端子61の電圧より昇圧されなくとも、すなわちブートストラップ原理を用いなくとも、MOSFET33をオンさせるためのゲート端子61の電圧が、パワーMOSFETのゲート64の電圧よりも高くできる場合である。このような場合はパワーMOSFETの高周波化が図れるため、ダイオード14の役割は、MOSFET32のドレイン・ソース間に負方向ドレイン電流が流れることを防止するだけとなる。従って、ダイオード14はMOSFET33のゲート・ドレイン間ではなく、MOSFET33のゲートとMOSFET32のドレインとの間に配置しても構わない。
【0063】
また更に、ゲートとドレインをパワーMOSFETのゲート64に接続し、ソースはゲート端子61に接続し、ボディはMOSFET33のボディに接続したMOSFET48を追加した場合には、パワーMOSFETのゲート64の電荷をより早く引き抜けるので、パワーMOSFET29を高速に遮断できるという効果がある。ダイオード15をゲート端子61とパワーMOSFETのゲート64との間に追加した場合にも、抵抗50だけよりもパワーMOSFET29を高速に遮断できるという効果がある。
【0064】
また、本実施例ではパワーMOSFETのゲート64の電位はゲート端子61の電位より低いが、抵抗50を追加することによりDCレベルにおいてはパワーMOSFETのゲート64にもゲート端子61と同じ電圧が印加され、パワーMOSFET29のオン抵抗を十分下げられるという効果がある。
【0065】
本実施例の制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の特徴は、図2の要部断面構造図に示したように、縦型パワーMOSFET29のボディ領域と制御回路用の横型MOSFET33のボディ領域を、パワーMOSFET29のドレイン領域により分離している点にある。このようにボディ領域によって分離することにより、前述したように、ゲート端子61に正のゲート電圧が印加された時にはMOSFET33のボディ電位がパワーMOSFETのソース電位よりも高くなり、ゲート端子61とパワーMOSFETのゲート64の間に接続するMOSFET33のオン抵抗が低減し、パワーMOSFET29を高速スイッチングできる。
【0066】
さらに、本実施例の場合にはMOSFET41とMOSFET33の間もパワーMOSFET29のドレイン領域により分離している。これにより、図1の回路で示したように、抵抗58によりMOSFET33のボディ電位とMOSFET41のボディ電位を分離することが可能となる。
【0067】
また、キャパシタを構成する2つの電極が共にソース端子62の電位に対して変動する図1のキャパシタ25については、MOSFET33のゲート側に接続される一方の電極として多結晶シリコンゲート層106aと同じ工程で形成される多結晶シリコンゲート層106cを用い、パワーMOSFETのゲート64に接続される他方の電極としてn型拡散層113を用い、n型拡散層113とパワーMOSFET29のドレインとなるn型エピタキシャル層102の分離を確実に行ない、かつ、負ゲート電圧保護を達成するために、常にMOSET33のボディと共に電位が変動するp型拡散層104cをn型拡散層113の分離に用いる。
【0068】
図1の回路の場合、MOSFET33とMOSFET34のボディは直接接続してあるため、1つのボディ領域(p型拡散層104a)の中に形成できる。また、MOSFET31とMOSFET32はパワーMOSFET29のボディ領域と接続した領域に、MOSFET33,41の第2のp型ウエル拡散層104a,104bと同じp型拡散層を設けて形成する。このような分離構造は、従来のパワーMOSFETプロセスに対して追加工程なしで実現できるため、低コストであるという利点がある。
【0069】
なお、MOSFET33とMOSFET41の周辺には、保護回路用の第2のp型ウエル拡散層104a,104bより表面濃度が高く、第1のp型ウエル拡散層103aと同一工程で形成できる高濃度p型拡散層103bを設けて、保護回路部のMOSFET間や、保護回路部のMOSFETとパワーMOSFETのドレイン領域との間にチャネルが形成されることを防止している。また、本実施例で用いる抵抗やダイオードは、従来例の特開平7−58293号公報に開示されているものと同様に、多結晶シリコン層を用いて寄生素子が発生しないようにしている。
【0070】
<実施例2>
図3は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第2の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図3において実施例1の図1に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例では、MOSFET31,32は実施例1のように外部端子63により制御するのではなく、半導体チップ内の温度が規定以上に上昇した場合とドレイン電流が規定値以上に流れた場合にパワーMOSFET29のドレイン電流を制限または遮断する内蔵回路により制御している点が実施例1と相違する。図1の構成で述べた、MOSFET33と、MOSFET33のドレイン・ゲート間に設けたダイオード14と抵抗51の直列回路、MOSFET33のソース・ゲート間に設けたキャパシタ25等のパワーMOSFET29を高周波駆動するための構成、及びゲート端子61がソース端子62より低くなった場合に生じる寄生npnトランジスタ動作を防止するための負ゲート電圧保護回路の構成、並びにそれらの作用及び効果も、実施例1により得られる作用及び効果とほぼ同じである。
【0071】
図3において、ダイオード9と抵抗52は定電圧回路を構成し、ノード65に定電圧を発生する。ダイオード17はゲート端子61が負電圧となった場合に、MOSFET37〜40に存在する寄生npnトランジスタ動作を防止するためのものであり、MOSFET31に対するダイオード11の役割と同じである。
【0072】
また、ダイオード列10と抵抗53,54とMOSFET40は温度検出回路を構成し、チップ温度が上昇するとダイオード列10の順方向電圧が低下するためMOSFET40のゲート66の電圧が低下する。ゲート66の電圧がMOSFET40のしきい電圧よりも低くなるとMOSFET40がオフし、抵抗55,56とMOSFET37〜39で構成するラッチ回路の入力電圧が増加する。このラッチ回路は、常温ではMOSFET37がオン状態でMOSFET38と39がオフ状態である。ところが、規定温度以上にチップ温度が上昇してラッチ回路の入力電圧が増加すると、MOSFET38と39がオンし、MOSFET37がオフし、図1の遮断端子63と同じ働きを持つノード67の電圧が高くなる。このため、パワーMOSFET29は遮断する。
【0073】
さらにパワーMOSFET部は、セル比率が例えば1000:1のMOSFET29と30で構成されており、パワーMOSFET29に流れるドレイン電流の約1/1000がMOSFET30に流れる。抵抗57とMOSFET36は過電流保護回路を構成し、MOSFET30のドレイン電流が増加するとMOSFET36のゲート68の電圧が増加する。規定以上のドレイン電流が流れるとMOSFET36がオンし始める。このため、MOSFET33のドレイン・ソース間抵抗が増加し、パワーMOSFET29,30のゲート64の電圧が下がることにより、パワーMOSFETのドレイン電流が規定電流値に収まるように制御される。また、ダイオード16は、ゲート端子61が負ゲート電圧となった場合に、MOSFET36に存在する寄生npnトランジスタ動作を防止するために設けたものであり、MOSFET31に対するダイオード11の役割と同じである。
【0074】
尚、本実施例の半導体装置の断面構造に関しては、実施例1で示した図2の構造とほぼ同じである。すなわち、MOSFET37〜40のボディ電位もパワーMOSFET29のボディ電位と等しいため、MOSFET31やMOSFET32と同じにパワーMOSFETのボディ領域と接続したp型拡散層の中に形成できる点が異なるだけであり実質的には全く同じである。
【0075】
<実施例3>
図4は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第3の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図4において実施例2の図3に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例では負ゲート電圧保護としてMOSFET41の代りにダイオード18を使用している点が実施例2と相違する。このため、MOSFET33のボディ電位の最小値がゼロボルトにならずに0.5V程度となるだけで、その他の点に関しては図3に示した構成部分と全く同じである。従って、パワーMOSFET29を高周波駆動するための回路構成、ならびにゲート端子61がソース端子62より低くなった場合に生じる寄生npnトランジスタ動作を防止するための負ゲート電圧保護の回路構成は、図1及び図3で述べた実施例1及び実施例2と同じであり、得られる効果も同じである。
尚、本実施例の半導体装置の断面構造に関しては、MOSFET41が不要であるという点を除くと実施例2の場合と同じである。
【0076】
<実施例4>
図5は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第4の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図5において実施例2の図3に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例では過熱保護回路部分のグランドをソース端子62に直接接続するのではなくMOSFET41のボディに接続している点及びダイオード11,17を省略している点が実施例2と相違する。ダイオード11,17を不要にできるのは、MOSFET41によりMOSFET31,32,37〜40のドレインをエミッタとし、これらのボディをベースとし、パワーMOSFETのドレインをコレクタとする寄生npnトランジスタの動作防止を達成できるからである。従って、図3の実施例の場合にはダイオード11があるためにパワーMOSFET29のゲート電圧は0.5V程度以下に下げられず、このため過熱遮断状態でのパワーMOSFETのドレイン電流を十分遮断できない可能性があるのに対して、本実施例の場合には低オン抵抗のMOSFET41を使用することによりパワーMOSFETを確実に遮断できるという利点がある。
【0077】
また、図3の実施例の場合に比べダイオード17での電圧降下がなくなるために、定電圧回路やラッチ回路等の制御回路が正常動作するためのゲート端子電圧の動作マージンが向上するという効果もある。
【0078】
なお、MOSFET41をデプレッション型MOSFETにした場合には、ゲート端子61の電圧が低くてもMOSFET31,32,37〜40のソース電位をソース端子62の電圧にそろえることができるため、定電圧回路やラッチ回路のゲート電圧に対する動作マージン向上を達成しやすい。
【0079】
また、本実施例において、過電流保護回路のMOSFET36のボディとソースは、MOSFET41のボディに接続せずに図3や図4の実施例と同様にソース端子62に接続してある。これは、ゲート端子61に電圧が印加される時ならびにその直後に、MOSFET41のドレイン・ソース間の電圧が高くなってMOSFET36がオンしにくくなり、過電流保護回路が正常動作しなくなることを防止するためである。
【0080】
その他の点に関しては、図3に示した構成部分と全く同じである。従って、パワーMOSFET29を高周波駆動するための回路構成、ならびにゲート端子61がソース端子62より低くなった場合に生じる寄生npnトランジスタ動作を防止するための負ゲート電圧保護の回路構成は、図1及び図3で示した実施例1及び実施例2と同じであり、得られる効果も同じである。
【0081】
尚、本実施例の半導体装置の断面構造に関しては実施例2の場合とほぼ同じであるが、MOSFET31,32,37〜40のボディはパワーMOSFETのボディ領域と分離し、MOSFET41のボディと接続したボディ領域(p型拡散層104b)の中に形成する。
【0082】
<実施例5>
図6は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第5の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図6において実施例4の図5に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例ではMOSFET41の代わりに、ダイオード18を用いている点が実施例4と相違する。従って、図5に示した構成の実施例のように過熱遮断時のパワーMOSFETを遮断する能力の向上やゲート端子電圧に対する動作マージンの向上はないが、図3や図4に示した構成の実施例で必要であった負ゲート電圧保護用のダイオード11,17が不要になる。その他は、図3や図4に示した実施例により得られる作用及び効果と同じである。
【0083】
尚、本実施例の半導体装置の断面構造に関しては実施例4とほぼ同じある。すなわち、本実施例の場合には図5に示してあるMOSFET41はないので、その代わりにMOSFET31,32,37〜40を1つのボディ領域(p型拡散層104b)の中に形成した構造となる。
【0084】
<実施例6>
図7は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第6の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図7において実施例4の図5に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例ではMOSFETT31,32,37〜40のソース、ダイオード9、及びダイオード列10を、ソース端子62に接続している点とダイオード11,17を設けている点が実施例4と相違する。従って、正のゲート電圧が印加されると、MOSFET41がオンしてMOSFETT31,32,37〜40のボディとソースは同電位となる。尚、本実施例の場合、ダイオード11,17がなくてもMOSFETT31,32,37〜40のドレインをエミッタとし、これらのMOSFETのボディをベースとし、パワーMOSFETのドレインをコレクタとする寄生npnトランジスタのベース電流は遮断できる。しかし、この寄生npnトランジスタのコレクタ電流は遮断できないため、過渡的に寄生npnトランジスタのベース電流が流れると、ソース端子62からゲート端子61に電流が流れる可能性がある。このコレクタ電流が寄生npnトランジスタをオンさせる方向に働く可能性があるため、本実施例ではダイオード11とダイオード17を設けている。その他は、図3や図4に示した実施例により得られる作用及び効果と同じである。
【0085】
尚、本実施例の半導体装置の断面構造は、MOSFET31,32,37〜40のボディとソースのコンタクトの取り方が異なるだけで、実施例4の場合とほぼ同じである。
【0086】
<実施例7>
図8は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第7の実施例を示す回路構成図である。尚、説明の便宜上、図8において実施例4の図5に示した構成部分と同一部分については、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、本実施例では過熱保護回路用の抵抗54〜56の代わりにデプレッション型でゲートとソースを接続したMOSFET43〜45をアクティブ負荷として用いている点、MOSFET33及びこれを駆動するMOSFET48と抵抗50,51とダイード14,15とキャパシタ25とからなる駆動回路を用いていない点、ゲート64とゲート端子61間に抵抗49を接続している点が実施例4と相違する。尚、MOSFET43〜45の各ボディはノード71に接続されている。
【0087】
このように構成することにより、本実施例では抵抗面積の低減が図れると共に、抵抗54〜56を用いる場合に比べて、アクティブ負荷のMOSFET43〜45を用いることで、パワーMOSFETの駆動電力が一定ならば高速に駆動できるし、速度が一定ならば駆動電力を低くできる。また、抵抗49は、MOSFET31或いはMOSFET36がオンした場合に、ゲート端子61から抵抗49を介して流れる電流の電圧降下によってゲート64の電位を下げるための抵抗であり、これによりパワーMOSFETを遮断して過熱保護を行ったり、或いはパワーMOSFETのドレイン電流を低減して過電流保護を行うことができる。
【0088】
図8には、実施例1〜6で用いたパワーMOSFETを高周波駆動するためのMOSFET及びその駆動回路、すなわちソースとドレインが共にソース端子62と接続されないMOSFET33及びMOSFET33を駆動するための回路がないけれども、アクティブ負荷として用いるMOSFET43〜45がソースとドレインが共にソース端子62に接続されていないMOSFETであるので、MOSFET43〜45に対しては、MOSFET33に対してと同様な負ゲート電圧保護回路、すなわちMOSFET34と41で構成した負ゲート電圧保護回路が必要となる。
【0089】
尚、本実施例の半導体装置の断面構造に関しては、実施例4の場合と同じである。
また、図3〜図7の実施例で述べた抵抗54〜56を負荷とする構成を、本実施例のようにアクティブ負荷43〜45で置き換えても同様の作用及び効果が得られることはいうまでもない。
【0090】
<実施例8>
図9は、本発明に係る制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置の第8の実施例を示す回路構成図である。本実施例では、MOSFET33のドレインに逆極性信号が入力された時に、寄生バイポーラトランジスタ動作による耐圧不良の発生や、或いは寄生ダイオード動作による逆方向ドレイン電流の発生を阻止できるトランジスタ構成を示す。図9において、参照符号60はMOSFET33のドレイン端子、69はMOSFET33のゲート端子、70はMOSFET33のソース端子をそれぞれ示す。このソース端子70にMOSFET34のゲートとMOSFET41のドレインが接続され、MOSFET33のボディにMOSFET34のソースとボディ並びにMOSFET41のソースとボディが接続され、MOSFET33のドレイン端子60にMOSFET41のゲートとMOSFET34のドレインが接続されている。
【0091】
このような回路構成を有する本実施例の半導体装置の断面構造は、実施例1の図2に示した断面構造図及び配線図において、パワーMOSFET29とキャパシタ25を不要にし、抵抗58を短絡した状態である。尚、図9に示した本実施例の回路構成の場合、図2に示した構造における抵抗58が短絡状態であるからp型ウエル層104aと104bは接続しても構わない。また、縦型パワーMOSFET29を内蔵しないため、高濃度n型基板101上にn型エピタキシャル層102を形成する必要は無く、従来のMOSFETプロセスで使用されるn型基板を使用しても良い。或いは、n型基板を使用せずにp型基板を使用する場合には、p型ウエル層104a,104bを形成しなくとも構わない。
【0092】
本実施例の半導体装置は、次のように動作する。
(a)ゲート端子69の電圧がソース端子70の電圧と等しい場合:
ドレイン端子60の電圧が高くなり、MOSFET41のゲートにしきい電圧以上の電圧が印加されたときには、MOSFET41がオンするためMOSFET33のボディはソース端子70に接続される。この場合、ドレイン端子60とソース端子70の間に存在するMOSFET33のソース、ボディ、ドレインを各々エミッタ、ベース、コレクタとする寄生npnトランジスタは遮断状態であるため、MOSFET33のドレイン耐圧低下やドレインリーク電流が生じるのを防止できる。このため、MOSFET33は遮断状態となる。
【0093】
一方、ドレイン端子60の電圧が下がり、MOSFET41のゲートにしきい電圧以下の正の電圧が印加されたときには、MOSFET41とMOSFET34は共にオフ状態であるため、MOSFET33のボディ電位はフローティングとなる。このため、ドレイン端子60とソース端子70の間に存在する上記寄生npnトランジスタを介してドレイン電流が流れることはない。また、この条件(ゲート端子69とソース端子70の電圧が等しく、且つ、ドレイン端子60の電圧が下がり、MOSFET41のゲートにしきい電圧以下の正の電圧が印加された状態)では、ドレイン端子60とソース端子70の間に低電圧しか印加されないため、上記寄生npnトランジスタが降伏することも無い。
【0094】
(b)ゲート端子69の電圧がドレイン端子60の電圧と等しい場合:
ソース端子70の電圧が高くなり、MOSFET34のゲートにしきい電圧以上の電圧が印加されたときには、MOSFET34がオンするためMOSFET33のボディはドレイン端子60と接続される。この場合、MOSFET33のソース、ボディ、ドレインを各々コレクタ、ベース、エミッタとする寄生npnトランジスタは遮断状態であるため、MOSFET33のドレイン耐圧低下やドレインリーク電流が生じるのを防止できる。このため、MOSFET33は遮断状態となる。
【0095】
一方、ソース端子70の電圧が下がり、MOSFET34のゲートにしきい電圧以下の正の電圧が印加されたときには、MOSFET34とMOSFET41は共にオフ状態であるため、MOSFET33のボディ電位はフローティングとなる。このため、ドレイン端子60とソース端子70の間に存在する上記寄生npnトランジスタを介してドレイン電流が流れることはない。また、この条件(ゲート端子69とドレイン端子60の電圧が等しく、且つ、ソース端子70の電圧が下がり、MOSFET34のゲートにしきい電圧以下の正の電圧が印加された状態)では、ドレイン端子60とソース端子70の間に低電圧しか印加されないため、上記寄生npnトランジスタが降伏することも無い。
【0096】
本実施例の回路構成を有する半導体装置は、以上のように動作するため、バッテリを使用するパワースイッチ回路のスイッチ素子としてMOSFET33を使用する場合に、バッテリが誤って逆接続される状態、すなわち逆極性信号がMOSFET33のドレインに入力された状態が生じても、本実施例の半導体装置ではMOSFET33の逆方向ドレイン電流を阻止できるため、MOSFET33並びにこれを用いるパワーシステムを保護することが可能となる。
【0097】
なお、本実施例において、実施例1の図1で示した回路構成のように抵抗58を入れたり、実施例3の図4で示した回路構成のようにMOSFET41の代わりにカソードをソース端子70に接続し、アノードをMOSFET33のボディに接続したダイオード18を用いた構成としても同様の効果が得られる。また、このダイオード18として多結晶シリコンダイオードを用いた場合には、MOSFET33のドレイン電圧が正の場合の耐圧を向上できる。これは、MOSFET33のボディ・ソース間のビルトインポテンシャルよりも多結晶シリコンダイオードのpn接合のビルトインポテンシャルの方が低いため、寄生バイポーラトランジスタ動作が起りにくいからである。
【0098】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定するものではなく、例えば、前記実施例ではパワーMOSFETを含む全てのMOSFETはnチャネル型MOSFETとして説明したが、全ての素子をpチャネル型MOSFETとしても同様の効果が得られ、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設計変更をなし得ることは勿論である。
【0099】
また、これまでの実施例ではパワーMOSFETを用いた制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置を例にして述べてきたが、パワーMOSFETの代わりにIGBT(Insulated gate bipolar transistor)を用いた制御回路内蔵IGBTの場合には寄生npnトランジスタではなく寄生サイリスタが発生し、IGBTのコレクタ端子からゲート端子にリーク電流が流れるという問題がある。この対策として、これまで述べた回路ならびにデバイス構造と全く同様にして負ゲート電圧を印加した場合の寄生素子の動作の防止や、制御回路内蔵IGBTの高周波化等を実現することができる。
【0100】
【発明の効果】
前述した実施例から明らかなように、本発明によれば、例えば制御回路内蔵型パワーMOSFETの高周波化を図るために用いるドレインとソースの両方共ソース端子に接続されていない制御用MOSFETを、パワーMOSFETのドレイン領域に形成しても寄生npnトランジスタが動作しないようにできる。このため、ソースフォロア回路のように負ゲート電圧が印加される場合でもドレイン端子とゲート端子との間にリーク電流が発生しないようにできる。
【0101】
また、パワーMOSFETの遮断を確実に行ない、制御回路が正常動作するためのゲート端子電圧の動作マージンを従来に比べ拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体装置の第1の実施例を示す回路構成図である。
【図2】図1に示した回路構成を実現する半導体装置の要部を示す断面構造図である。
【図3】本発明に係る半導体装置の第2の実施例を示す回路構成図である。
【図4】本発明に係る半導体装置の第3の実施例を示す回路構成図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の第4の実施例を示す回路構成図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の第5の実施例を示す回路構成図である。
【図7】本発明に係る半導体装置の第6の実施例を示す回路構成図である。
【図8】本発明に係る半導体装置の第7の実施例を示す回路構成図である。
【図9】本発明に係る半導体装置の第8の実施例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
9…ダイオード、
10…ダイオード列、
11〜17…ダイオード、
25…キャパシタ、
29,30…パワーMOSFET、
31〜34,36〜41…MOSFET、
43〜45,48…MOSFET、
49〜58…抵抗、
60…ドレイン端子、
61…ゲート端子、
62…ソース端子、
63…遮断端子、
64…パワーMOSFETのゲート、
65…定電圧回路の出力ノード、
66…MOSFET40のゲート、
67…ラッチ回路の出力ノード、
68…MOSFET36のゲート、
69…ゲート端子、
70…ソース端子、
71…MOSFET34のソースとボディの接続ノード、
101…n型基板、
102…n型エピタキシャル層、
103a,103b…第1のp型ウエル層、
104a,104b,104c…第2のp型ウエル層、
105a,105b…酸化膜、
106a,106b…ゲート電極、
106c…多結晶シリコンゲート層(キャパシタ電極)、
107…p型拡散層、
108…低濃度n型拡散層、
109a,109b,113…n型拡散層、
110a,110b…n型拡散層、
111…絶縁層、
112a〜112g…アルミ電極。
Claims (18)
- ドレイン端子とゲート端子とソース端子を具備し、
ドレインを前記ドレイン端子に接続しソースを前記ソース端子に接続した第1の絶縁ゲート型トランジスタと、
該第1の絶縁ゲート型トランジスタのゲートと前記ゲート端子との間に設けられた第1のMOSFETと、
ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続しドレインを前記ゲート端子に接続しゲートを前記ソース端子に接続した第2のMOSFETから少なくとも構成されることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。 - ドレイン端子とゲート端子とソース端子を具備し、
ドレインを前記ドレイン端子に接続しソースを前記ソース端子に接続した第1の絶縁ゲート型トランジスタと、
該第1の絶縁ゲート型トランジスタのゲートと前記ゲート端子との間に設けられた第1のMOSFETと、
ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続し、ドレインを前記ソース端子に接続し、ゲートを前記ゲート端子に接続した第2のMOSFETから少なくとも構成されることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。 - 請求項2において、ボディとソースを前記第2のMOSFETのボディに接続し、ドレインを前記第1の絶縁ゲート型トランジスタのゲートに接続した少なくとも1つの第3のMOSFETを更に設けることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項2において、ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続し、ドレインを前記ゲート端子に接続しゲートを前記ソース端子に接続した第3のMOSFETを更に設けることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項4において、ゲートを前記第1の絶縁ゲート型トランジスタのゲートに接続し、ドレインを前記ドレイン端子に接続し、抵抗を介してソースを前記ソース端子に接続した第2の絶縁ゲート型トランジスタと、
ボディとソースをソース端子に接続し、ドレインを前記第1のMOSFETのゲートに接続し、ゲートを前記第2の絶縁ゲート型トランジスタのソースと前記抵抗の間のノードに接続した第4のMOSFETとを設けることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。 - 請求項2において、ボディを前記第2のMOSFETのボディに接続し、ドレインを前記第1の絶縁ゲート型トランジスタのゲートに接続し、ソースを前記ソース端子に接続した第3のMOSFETを更に設けることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項1または2において、前記第1の絶縁ゲート型トランジスタは、MOSFETであることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項1または2において、前記第2のMOSFETは、デプレッション型であることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- ドレイン端子とゲート端子とソース端子を具備し、
ドレインを前記ドレイン端子に接続し、ゲートを前記ゲート端子に接続し、ソースを前記ソース端子に接続した第1の絶縁ゲート型トランジスタと、
ドレインを前記ゲート端子に接続した第1のMOSFETと、
ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続し、ドレインを前記ゲート端子に接続し、ゲートを前記ソース端子に接続した第2のMOSFETから少なくとも構成されることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。 - ドレイン端子とゲート端子とソース端子を具備し、
ドレインを前記ドレイン端子に接続し、ゲートを前記ゲート端子に接続し、ソースを前記ソース端子に接続した第1の絶縁ゲート型トランジスタと、
ドレインを前記ゲート端子に接続した第1のMOSFETと、
ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続し、ドレインを前記ソース端子に接続し、ゲートを前記ゲート端子に接続した第2のMOSFETから少なくとも構成されることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。 - 請求項10において、ボディとソースを前記第1のMOSFETのボディと接続し、ドレインを前記ゲート端子に接続し、ゲートを前記ソース端子に接続した第3のMOSFETを更に設けることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項9または10において、前記第1のMOSFETのボディ領域と前記第1の絶縁ゲート型トランジスタのボディ領域とが、前記第1の絶縁ゲート型トランジスタのドレイン領域により分離されることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 請求項9または10において、前記第1の絶縁ゲート型トランジスタは、MOSFETであることを特徴とする制御回路内蔵絶縁ゲート型半導体装置。
- 基板と、該基板に設けられた第1導電型の第1領域と、該第1領域に接する第2導電型の第2領域と、該第2領域内に設けられた第1導電型チャネルの第1のMISFETとを具備する半導体装置において、
前記第1のMISFETのソース又はドレインに第1入力電圧が入力された場合に、前記第2領域をフローティング状態とするか、又は、前記第1のMISFETのソース又はドレインと前記第2領域との電位差を変化させるかのいずれかを行うスイッチング手段を具備することを特徴とする半導体装置。 - 請求項14において、前記スイッチング手段は、前記第1のMISFETの前記第1入力電圧が入力されるソース又はドレインにそのソース又はドレインが接続され、前記第1のMISFETのボディにそのドレイン又はソースとそのボディとが接続され、そのゲートが第1の動作電位に接続された第2のMISFETを有することを特徴とする半導体装置。
- 請求項14において、前記スイッチング手段は、前記第1のMISFETの前記第1入力電圧が入力されるソース又はドレインにそのゲートが接続され、前記第1のMISFETのボディにそのソース又はドレインとそのボディとが接続され、そのドレイン又はソースが第1の動作電位に接続された第2のMISFETを有することを特徴とする半導体装置。
- 基板と、該基板に設けられた第1導電型の第1領域と、該第1領域に接する第2導電型の第2領域と、該第2領域内に設けられた第1導電型チャネルの第1のMISFETとを具備する半導体装置において、
前記第1のMISFETのソース又はドレインに第1入力電圧が入力された場合に、前記第2領域をフローティング状態とするか、又は、接続状態とするかのいずれかを行うスイッチ手段を具備し、
前記フローティング状態は、前記第2領域と前記第1のMISFETのソース又はドレインとの電位差を第1の電圧とし、
前記接続状態は、前記第2領域と前記第1のMISFETのソース又はドレインとの電位差を第2の電圧とし、
前記第1の電圧は、前記第2の電圧よりも大きいことを特徴とする半導体装置。 - パワーMOSFETのゲートと入力端子の間に接続される第1MOSFETと、前記第1MOSFETのゲートに接続される保護回路とを有し、前記保護回路は、前記入力端子に負電圧が発生したのを検出する機能を有することを特徴とする半導体装置。
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