JP3661045B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は正極にニッケル酸化物を用いたアルカリ蓄電池に関するものであり負極に水素吸蔵合金を用いたニッケル・水素蓄電池や負極にカドミウムを用いたニッケル・カドミウム蓄電池として使用できる。この中で特に電池の高容量化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポ−タブル機器の普及に伴い、小型二次電池の需要が高まっている。その中で正極にニッケル酸化物を用い、アルカリ水溶液を電解液として用いるアルカリ蓄電池は、そのコストとエネルギー密度および堅牢さの利点から多くの需要を得てきた。
【0003】
この中で、ニッケル・水素蓄電池は負極に電気化学的に水素を吸蔵・放出を行うことができる水素吸蔵合金を用いることでニッケル・カドミウム蓄電池よりもさらに容量を高めることができた。このアルカリ蓄電池、すなわちニッケル・水素蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池は、小型ポータブル機器用から大型の電気自動車用までの広範囲の応用に対応できる電池として期待されているが、その中で電池の小型化、軽量化を可能にする電池の高エネルギー密度化が特に市場から求められている。この電池系における電池の高容量化技術に関して従来の主要な技術を説明する。
【0004】
アルカリ蓄電池の正極活物質に用いる水酸化ニッケルは本来導電性が非常に低いが、充電を行うことにより導電性のやや高い3価のオキシ水酸化ニッケルへと変化する。しかし、放電末期には活物質粒子内に2価の水酸化ニッケルが多くなり、導電性が減少するために過電圧が上昇し、急激に放電電圧が低下する現象がある。
【0005】
この現象を抑制するために正極にコバルト酸化物を主体とする添加物を加えることで、水酸化ニッケル活物質表面に導電性に一層効果の高い3価のオキシ水酸化コバルトを形成し、活物質全体に高い導電性を付与し前記の過電圧上昇抑制を行うことが知られている。これにより、活物質の利用率を100%まで用いることができるようになった。
【0006】
また、さらに活物質の利用率を向上するため、例えば特開平8−148145号公報や特開平8−148146号公報の様に、従来よりさらに導電性の高いコバルト化合物を添加する方法が提案されている。
【0007】
一方、活物質自体の高容量化の改良も進み、特願平8−249496号公報、特開平8−236110号公報の様に、ニッケル酸化物を主体とする活物質粒子中にマンガンやクロム,アルミニウムなどを固溶させることで利用率を向上する試みも行われている。通常の水酸化ニッケルは充電によりβ型のオキシ水酸化ニッケルとなるが、マンガンなどを活物質に固溶させることで従来の技術ではその生成が懸念されていたγ型のオキシ水酸化ニッケルを積極的に生成しようとするものである。
【0008】
すなわち、β型のオキシ水酸化ニッケルに対し、γ型のオキシ水酸化ニッケルの体積が大きく正極板の膨潤を引き起こす上、その放電電圧もかなり低いものであり、なるべくγ型のオキシ水酸化ニッケルの生成を抑制することが重要視されてきた。そのために正極への添加剤や活物質への固溶材として酸化亜鉛などがγ型のオキシ水酸化ニッケルの生成を抑制する目的で導入が図られてきた。
【0009】
しかし、活物質粒子中にマンガンを固溶させる最近の技術では放電しにくいとされてきたγ型のオキシ水酸化ニッケルの放電電位が、β型のオキシ水酸化ニッケルの放電電位と同等レベルまで上昇させることが可能となった。従って、最近では電池の高容量化のために、このγ型のオキシ水酸化ニッケルを積極的に活用しようとする動きが出始めた。
【0010】
充電状態でのγ型のオキシ水酸化ニッケル中のニッケルは3価以上4価未満の酸化数をとるといわれているが、酸化数はオキシ水酸化ニッケル結晶中の層間へのアルカリカチオンおよび水分子の取り込み方により多少変化すると考えられ、一般的には3.5価程度の値となる様である。
【0011】
一方、放電状態のβ型の水酸化ニッケル中のニッケルは2価であり、γ型オキシ水酸化ニッケルとβ型水酸化ニッケルの間での充放電反応においてニッケル原子当たり、最大で1.5電子が移動できると考えられる。つまり、従来型のβ型のオキシ水酸化ニッケルの充電状態でのニッケルは3価であるのに対し、ニッケル酸化物の利用率を150%程度にまで高めることができる可能性がある。
【0012】
なお、これらとは別に米国特許5523182号において、水酸化ニッケル活物質にAl,Bi,Co,Cr,Cu,Fe,In,La,Mn,Ru,Sb,Ti,Znから選ばれた少なくとも3種のコンポジショナル・モディファイヤーとAl,Ba,Ca,Co,Cr,Cu,F,Fe,K,Li,Mg,Mn,Na,Sr,Znから選ばれた少なくとも1種のケミカル・モディファイヤーを有した活物質材料を用い、これらの粒子表面にコバルト化合物を形成し初充電時にコバルトカプセル層を形成することなどがすでに提案されている。
【0013】
また負極として現在は希土類−ニッケルを主体とするAB5型の水素吸蔵合金が多用されてきたが、これに代わってジルコニウムやニッケルを主体としたAB2型のC14またはC15ラーベス相を主体とする水素吸蔵合金が、その高容量の利点から注目されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでに提案されている高容量化の手法ではこの電池系の高容量化技術として十分であるとは言い難い。
【0015】
例えば、特開平8−148145号公報や特開平8−148146号公報などのコバルト化合物を添加する方法では活物質の利用率が110%程度で限界となり、それ以上の利用率は望めない。これでは電池全体での高容量化も不十分である。
【0016】
また、特開平8−236110号のマンガンと亜鉛などを活物質に固溶する方法では、活物質中に亜鉛などのγ型のオキシ水酸化ニッケルの生成を抑制する元素を固溶させているために、γ型のオキシ水酸化ニッケルの生成が抑制され、やはり110%程度の利用率しか得られず、高容量化材料としては十分であるとは言い難い。
【0017】
これらとは別に、米国特許5523182号に提案されている手法を用いた場合、γ型のオキシ水酸化ニッケルが生成したときに起きる活物質の膨張により、オキシ水酸化コバルトのネットワークが破壊され、活物質粒子間もしくは活物質粒子と芯材間の電子伝導の効率が低下するために、十分な利用率を得られるとは言い難い。さらに、オキシ水酸化コバルトのネットワークの破壊による活物質粒子間もしくは活物質粒子と芯材間影響と活物質自身の導電性低下のため、放電末期には過電圧が急激に上昇し、ニッケルが2.1価以上の状態までしか還元されず、活物質の性能を十分に発揮しているとは言い難い。
【0018】
さらに、負極を高容量のAB2型のC14またはC15ラーベス相を主体とする水素吸蔵合金に代えたとしても同様に電池の高容量化には不十分である。
【0019】
すなわち、現在実際の市場に出回っている最高のエネルギー密度を有するこれらのニッケル・水素蓄電池において、電池内の占有体積比率を調べてみると、電池全体の内、約50%が正極の占有体積、約25%が負極の占有体積である。残り25%はセパレータ,電解液,空間で占められており、負極よりも正極の体積が大きい。この電池の電池容量を決めているのは正極の容量であり、電池の容量を増やすためには正極の活物質量を増やすこと、または正極の利用率を向上することが不可欠であり、体積的に少ない負極の高容量化を著しく向上したとしても電池の容量アップへの寄与は以外に少ないのが事実である。
【0020】
従って、これらの電池の高容量化には正極の高容量化が大前提であり、正極の高容量化が図られれば、電池内での正極の占有体積が減少し負極の占有体積が増大するため、負極の高容量化の価値も増してくることになる。従来の米国特許4946646号の様な方法では負極のみの高容量化にとどまっており、負極の高容量化による電池の容量増大効果を十分に発揮しているとは言い難い。
【0021】
本発明は上記の問題点を改善するもので、正極の活物質自体の利用率を向上し、さらに正極活物質粒子間および活物質と芯材間の導電性を向上させて放電末期の過電圧上昇を抑制し、より多くの電気量取り出せるようにする。
【0022】
そして、より高容量の負極材料を用いることで負極の占有体積を減少し、これらを最適に組み合わせることにより、高容量のアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ニッケル酸化物粉末を主たる活物質とした正極,負極,セパレータおよびアルカリ電解液で構成されるアルカリ蓄電池であって、該ニッケル酸化物粉末にはマンガンが、ニッケルに対して合計7mol%以上13mol%以下固溶されており、その粉末粒子の表面および/または表面近傍は比抵抗が15Ω・cm以下の結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを含む高導電性物質により被覆されていることを特徴とするアルカリ蓄電池である。
【0024】
また、これ以外に負極の水素吸蔵合金として、Zr,Niを主成分とするC14型もしくはC15型Laves相を主体とする合金を用いることを特徴とするアルカリ蓄電池である。これらの技術を組み合わせることにより、より高容量なアルカリ蓄電池を提供することが可能となる。
【0025】
さらに、アルカリ蓄電池のニッケル酸化物粉末の製造方法において、まずニッケル酸化物粉末にマンガンが、ニッケルに対して合計7mol%以上13mol%以下固溶された活物質粒子を合成し、その後、前記高導電性オキシ水酸化コバルトを活物質粒子表面に被覆する方法として、2価のコバルト酸化物を主体とする正極添加剤を機械的混練法もしくは反応晶析法により、ニッケル酸化物を主体とする正極活物質粒子の表面および/または表面近傍に付加し、さらにナトリウム,カリウム,リチウムの水酸化物から選ばれる少なくとも1種の粉末もしくは水溶液を添加し、酸化雰囲気中で80℃以上120℃以下で酸化処理することを特徴とするアルカリ蓄電池の製造法である。従来知られている方法ではアルカリイオンが存在しない、あるいは、酸化が弱いなどの理由で100Ω・cmよりも小さい値のものを作製できなかったが、前記アルカリ酸化処理を行うことで、活物質表面にアモルファス状の、導電性が15Ω・cm以下まで向上した高導電性のオキシ水酸化コバルトが得られる。それを1.5電子程度の反応まで可能なマンガンが固溶された活物質粒子の表面に被覆することにより、電子伝導性が向上し、充放電に伴う過電圧が減少し、従来よりも深い充放電が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ニッケル酸化物を主体とした正極,負極,アルカリ電解液,セパレ−タから構成されるアルカリ蓄電池であって、前記ニッケル酸化物にはマンガンを、ニッケルに対して合計7mol%以上13mol%以下固溶し、さらにその表面に機械的混練法もしくは反応晶析法によりコバルト酸化物を付加し、そのコバルト酸化物をアルカリ酸化処理により高導電性の結晶性の低いコバルト酸化物にすることで活物質粒子間および活物質と芯材間の導電性を向上するという作用を有し、これにより従来の手法の利点である利用率向上効果を飛躍的に向上し、結果的に電池の容量化を図る効果を有する。
【0027】
なお、従来からのニッケル酸化物にマンガンを固溶する技術だけによる正極あるいは粉末粒子の表面および/または表面近傍は比抵抗が15Ω・cm以下の結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを含む高導電性物質により被覆しただけの正極に比べて、本発明のニッケル酸化物にマンガンをニッケルに対して合計7mol%以上13mol%以下固溶する技術と、粉末粒子の表面および/または表面近傍は比抵抗が15Ω・cm以下の結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを含む高導電性物質により被覆する技術とを組み合わせた技術はニッケル酸化物にマンガンを固溶した活物質表面の導電性を向上するため活物質の充電効率を向上し、β型のオキシ水酸化ニッケルより層間距離の大きいγ型のオキシ水酸化ニッケルをより多く生成させることができるという効果を有するものである。また、高い導電性被覆層の効果で、より深くまで放電ができるというものである。これによって従来に比べて画期的な正極の高容量化が図られるという効果を有する。
【0028】
また、本発明の請求項4に記載の発明はZr,Niを主成分とし、その他に、Mg,Ca,Ti,Hf,La,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Cu,Al,Siから選ばれる元素をZrおよび/またはNiと置換したC14またはC15Laves相を主体とする水素吸蔵合金を負極に用いることで負極の占有体積を減少し、より大きな正極を用いることができるという作用を有する。正極を高容量化する技術と併せて用いることにより、従来の負極単独の改良に比べて、負極の容量向上効果がより顕著になるという効果を有する。
【0029】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明する。
【0030】
(実施例1)
まず、本発明の電池を従来の電池と性能比較した結果について説明する。
【0031】
本発明の一つの活物質である平均粒径が30μmの球状水酸化ニッケル(Ni(OH)2中にマンガンを10mol%固溶している)100gに対して7gとなるように水酸化コバルトを反応晶析法により水酸化ニッケル表面に付加し、水洗、乾燥した。
【0032】
これを100μm以下の粒径の水酸化ナトリウム粉末と混合し、大気中110℃で加熱処理した。その後、水洗、乾燥を行い、正極活物質混合物を得た。
【0033】
この正極活物質混合物に水を加えて混練しペースト状とし、発泡式ニッケル多孔体に充填し、乾燥,加圧,切断により所定の寸法(39mm×75mm×0.7mm)に成形し、Niの1電子反応を基準とした時の理論容量が1400mAhの正極を作製した。
【0034】
負極の水素吸蔵合金にはZr,Ti,Ni,Mn,Cr,Co,Moを一定量に秤量,混合,加熱,溶解の後に冷却して得られた組成式Zr0.8Ti0.2Mn0.5Mo0.05Cr0.15Co0.1Ni1.2で表されるLaves相構造を有する合金を平均粒径30μmに粉砕後、合金粉末を結着剤であるポリビニルアルコール(PVA)の水溶液と混練し、ペースト状にして、発泡状ニッケル多孔体に充填後、加圧し所定の寸法(39mm×100mm×厚さ0.3mm)に切断し、水素吸蔵合金負極とした。
【0035】
この負極と前記正極を組み合わせ、比重1.30の水酸化カリウム水溶液に40g/lの水酸化リチウムを添加した電解液を2ml注液した後、封口することで、正極容量規制で理論容量1200mAhのAAサイズの密閉型ニッケル水素蓄電池を作製し、本発明の実施例による電池Aとした。
【0036】
また、実施例電池Aと性能比較を行うために従来例として、正極の水酸化コバルトの添加後の酸化処理を行わない他は本発明の電池Aと同様工程を経て電池を作製し、比較例電池Bとした。
【0037】
さらに水酸化ニッケルにコバルト1mol%,亜鉛3mol%のみを固溶した正極活物質を用いる他は実施例電池Aと同様の製造方法を経た電池を作製し、比較例電池Cとした。
【0038】
以上の電池A,BおよびCを注液,封口後に20℃の一定温度で充電を120mAで15時間行い、次いで放電を同様の温度で240mAで終止電圧を0.8Vとして行い、この充放電操作を5回繰り返した。
【0039】
次に、これらの電池を用いて充放電試験を行った。まず、20℃の一定温度にて、充電を120mAで15時間行い、1時間の休止の後、放電を240mAで電池電圧が1.0Vになるまで行い、このときの放電電気量を測定して標準放電容量とした。なお、これらの電池A,B,Cはいずれも通常の電池と同様に電池容量が正極容量で決まっている様に設計している。
【0040】
表1に充放電試験の結果を正極の利用率として示す。ただし、利用率はニッケルの1電子反応を基準として計算したものを理論容量とし、理論容量に対してどれだけ放電したか示す指標として、利用率(%)=放電容量/理論容量×100で定義した。
【0041】
【表1】
Figure 0003661045
【0042】
表1からわかるように、本発明の電池Aは非常に大きな利用率を示しており、本発明の優位性が確認できた。
【0043】
この利用率向上は、活物質表面に被覆されている高導電性の結晶性の低いコバルト酸化物の効果でより深くまで充電ができ、効率よくγ型のオキシ水酸化ニッケルが生成し、さらに、活物質に固溶されたマンガンの効果により、γ型のオキシ水酸化ニッケルの放電電位が放電可能な範囲にまで上昇したことが原因であると思われる。なお、放電状態の電池を分解し、正極材料をX線回折により測定したところ、水酸化ニッケルはβ型が主として存在することがわかった。これは、電極構成前に測定したものと同じ結果であった。充電状態で同様に電池を分解して行った実験ではγ型のオキシ水酸化ニッケルが主として存在し、その他、β型のオキシ水酸化ニッケルも見られた。
【0044】
次に、本発明の電池Aについてその他の電池特性である低温高率放電、充放電の繰り返し、放電状態での高温保存などの放電,寿命,保存特性などについて調べた結果、良好な性能を示した。
【0045】
また、上記の試験とは別に以下の試験を行った。負極にMmNi5系水素吸蔵合金(MmはLa,Ce,Nd,Smなどを含む希土類元素の混合物)である組成式MmNi3.9Mn0.3Al0.3Co0.5で表される合金を平均粒径30μmに粉砕したものを上記実施例電池Aの負極合金に代えて用いた他は電池Aと同様の電池を作製したが、初期の充電時に負極の容量不足のために、正極から発生する酸素ガスと負極から発生する水素ガスを再結合して水に戻すことができず、安全弁が作動し、電解液が電池外に出てしまったため、評価ができなかった。これにより、MmNi5系の合金では本発明の実施例電池Aの負極としては設計上、容量不足となることが確認できた。
【0046】
さらに、別の試験として本発明の電池Aの負極の代わりに表2に示す電池Aとは組成の異なるその他のLaves相構造を主体とする水素吸蔵合金を用いた先の電池Aと同様な試験を行った。
【0047】
【表2】
Figure 0003661045
【0048】
その結果、これらの合金で構成した電池においても先の電池Aとほぼ同様の良好な性能が得られることがわかった。また、合金3のMoの組成比を0.05に変えて、Mg,Ca,La,Nb,Ta,W,Fe,Cu,Al,Siをそれぞれ組成比で0.05追加した10種類の合金、およびZrを組成比で0.8に変え、Hfを組成比で0.2追加した合金についても同様の試験を行い、本発明の電池Aとほぼ同等の性能が得られることがわかった。
【0049】
従って、Zr,Niを主成分とし、その他にMg,Ca,Ti,Hf,La,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Cu,Al,Siから選ばれる元素をZrおよび/またはNiと置換したC14またはC15Laves相を主体とする水素吸蔵合金を用いれば同等の結果が得られることを確認した。
【0050】
(実施例2)
次に、実施例1の水酸化ニッケルに固溶する元素をマンガンからカルシウム,クロム,アルミニウムに代えた他は実施例1における電池Aと同様の電池を作製し、それぞれ、本発明の電池D,EおよびFとして実施例1と同様に利用率を測定した結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003661045
【0052】
表3より、マンガンに代えてカルシウム,クロム,アルミニウムを用いてもマンガンと同様の結果が得られることを確認した。また、マンガンを固溶させた場合には他の元素種を用いた場合よりも利用率が高く、良好な結果を示すことも確認できた。
【0053】
(実施例3)
マンガンの水酸化ニッケルへの固溶量は次の検討から決定した。
【0054】
水酸化ニッケルへのマンガンの固溶量を0.1,1,3,5,7,10,13,15,17,20mol%と変化させた10種の活物質を用いて,実施例1の本発明の電池Aと同様の電池を作製し、実施例1と同様の充放電試験を行ったところ、図1に示すような結果を得た。
【0055】
図1は正極の容量密度をマンガン固溶量に応じて示しているが、従来の600mAh/ccを25%以上上回る容量密度である750mAh/cc以上を示すのはマンガン固溶量がmol%以上13mol%以下の範囲であった。
【0056】
このことから、水酸化ニッケルへのマンガンの固溶量はmol%以上13mol%以下であることが望ましいと考えられる。また、カルシウム、アルミニウム,クロムについても利用率の差は多少あるが、ほぼ同様の結果を示し、これらの元素をmol%以上13mol%以下の範囲で固溶することが望ましいことを確認した。
【0057】
(実施例4)
アルカリ中での酸化処理条件を決定するために以下の検討を行った。
【0058】
本発明の一つの活物質である平均粒径が30μmの球状水酸化ニッケル(Ni(OH)2中にマンガンを10mol%固溶している)100gに対して7gとなるように水酸化コバルトを反応晶析法により水酸化ニッケル表面に付加し、水洗,乾燥した。
【0059】
これを100μm以下の粒径の水酸化ナトリウム粉末と混合し、大気中、50,60,70,80,100,120,130,150℃という8種類の温度条件で酸化処理を2時間行った。
【0060】
その後、実施例1の本発明の実施例による電池Aと同様の電池を作製し、実施例1と同様の充放電試験を行ったところ、80℃以上120℃以下の温度において良好な利用率を示すことがわかった。
【0061】
また、80℃以上120℃以下の範囲で水酸化ナトリウムの水溶液を活物質混合物に対して噴霧しながら酸化処理を行った場合にも同様の結果が得られることを確認した。
【0062】
さらに、上記で作製した8種類のオキシ水酸化コバルトを被覆したマンガン固溶水酸化ニッケルを、非導電性の型に入れ、一定の圧力を加えながら、一般的な4針式の交流抵抗計で測定したところ、80℃以上120℃以下の範囲で処理したものは15Ω・cm以下であり、高い導電性を持つことがわかった。80℃以上120℃以下の範囲以外で処理されたものについては10倍以上の大きさの比抵抗であった。マンガン固溶水酸化ニッケルの比抵抗は6桁以上大きいため、ここではそれを無視して測定を行った。また、水酸化ニッケルなしで水酸化コバルトのみをアルカリ酸化処理した場合にも同様の結果が得られ、マンガン固溶水酸化ニッケルの影響が無視できることを確認した。他の固溶元素に関しても同様に実験を行い、同様の結果を得ている。
【0063】
処理時間については30分以上であれば十分な酸化状態が得られ、同様の結果が得られる。また、240時間という酸化処理時間でも同様の結果が得られていることから、高導電性オキシ水酸化コバルトは安定であり、本発明の条件ではこれ以上酸化状態が変化しないと考えられる。
【0064】
次に、処理を行うアルカリ種について検討を行い、水酸化リチウム,水酸化カリウムにおいて同様の結果を得ることができた。さらに、水酸化ナトリウム,水酸化リチウム,水酸化カリウムを様々な比率で混合し、同様の試験を行ったところ1種のアルカリを用いた時と同様の結果を得ることができた。
【0065】
X線回折を行うと高導電性オキシ水酸化コバルトは通常のオキシ水酸化コバルトよりもc軸方向に長くなっており、層間にNa+,Li+,K+などのアルカリカチオンを含むことが示唆され、ICP分析により、これらが存在することを確認した。また、X線の回折強度は非常に低く、ブロードであり、結晶性が低いということも確認できた。
【0066】
なお、本実施例ではマンガン固溶水酸化ニッケルに反応晶析法を用いて水酸化コバルトを被覆したが、メカノフュージョンの様な機械的混練による水酸化ニッケルへの水酸化コバルトの被覆法を用いても同様の結果が得られる。
【0067】
以上が本発明の実施例であるが、水酸化ニッケルに固溶する元素は1種類だけでなくマンガン,アルミニウム,クロム,カルシウムから選ばれる元素を2種類以上用いても同様の効果が得られる。
【0068】
なお、本発明のアルカリ蓄電池用の正極は高容量密度化が可能な材料であり、実施例に示したAB2,AB5ベースの水素吸蔵合金負極は勿論であるが、他のカドミウム負極や亜鉛極負極などのアルカリ蓄電池負極に全て有効である。
【0069】
また、本発明と類似する特許に米国特許5523182号がある。本発明が米国特許5523182号と異なる点に関して若干の説明を加える。本発明は、マンガン,アルミニウム,クロム,カルシウムから選ばれる少なくとも1種の元素が水酸化ニッケルに固溶している点、また15Ω・cm以下といった非常に導電性が高く結晶性が低いオキシ水酸化コバルトを、電池を構成する前の状態の活物質表面に形成している点で基本的な違いがある。電池構成前に表面被覆層を形成することによって、堅牢な高導電性の表面被覆層が得られるとともに、15Ω・cm以下といった非常に導電性の高い結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを用いるために、放電末期の過電圧上昇を抑制でき、Niの価数が2.05価より低い状態まで、つまり、より深くまで放電できる。しかし、従来の酸化手法を用いたオキシ水酸化コバルトは、アルカリカチオンが層間に存在せずアモルファス状になっていないこと、あるいは、酸化条件が弱く、酸化があまり進行しないなどの理由で、導電性が低く、100Ω・cm以下にすることさえ非常に困難であったために、充放電に伴う過電圧の減少効果が低く、本発明と比較すると浅い充放電しかできない。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高導電性で結晶性の低いオキシ水酸化コバルトでニッケル酸化物活物質表面を被覆することにより、充放電時の過電圧を減少し、活物質の利用率を向上することができるとともに、マンガンを、ニッケルに対して合計7mol%以上13mol%以下となるようにニッケル活物質に固溶させることでγ型のオキシ水酸化ニッケルを放電できるようにし、活物質利用率を向上する。
【0071】
これは単なる二つの技術の組み合わせによる高容量化の効果以外に、充電効率を向上することによりγ型のオキシ水酸化ニッケルの生成を容易にする作用効果を付与することが可能で、高容量でかつ長寿命なアルカリ蓄電池を提供することができる。
【0072】
さらに、負極にZr,Niを主成分とし、その他にMg,Ca,Ti,Hf,La,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Cu,Al,Siから選ばれる元素をZrおよび/またはNiと置換したC14またはC15Laves相を主体とする水素吸蔵合金を用いて高容量化することにより、この電池が持っている高容量化の可能性を十分に発揮させることができるという効果が得られ、一層の高容量アルカリ蓄電池を提供することができる。
【0073】
本発明により、従来に比べて最大で40%程度電池の容量密度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正極の容量密度と水酸化ニッケルへのマンガン固溶量の関係を示した図

Claims (2)

  1. ニッケル酸化物粉末を主たる活物質とした正極,負極,セパレータおよびアルカリ電解液で構成されるアルカリ蓄電池であって、該ニッケル酸化物粉末にはマンガンが、ニッケルに対して合計mol%以上13mol%以下固溶されており、その粉末粒子の表面および/または表面近傍は比抵抗が15Ω・cm以下の結晶性の低いオキシ水酸化コバルトを含む高導電性物質により被覆されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  2. Zr,Niを主成分とし、その他にMg,Ca,Ti,Hf,V,La,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Cu,Al,Siから選ばれる元素をZrおよび/またはNiと置換したC14またはC15Laves相を主体とする水素吸蔵合金を負極に用いることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ蓄電池。
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