JP3728143B2 - 密閉型アルカリ蓄電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池に関するものである。放電スタートの蓄電池とは、予め充電することなく初回の放電を行うことができる蓄電池のことである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、亜鉛を負極活物質とする密閉型アルカリ蓄電池用の正極活物質としては、二酸化マンガンが提案されている(特公昭45−3570号公報参照)。また、亜鉛を負極活物質とするアルカリ蓄電池の正極活物質として、酸化ニッケルと二酸化マンガンを混合したものが提案されている(特公昭49−114741号公報参照)。
【0003】
しかしながら、二酸化マンガンは充放電サイクルにおける可逆性が悪く、初回の放電を行った後充電しても当初の二酸化マンガンに戻らないので、充放電サイクルにおいて放電容量が急激に低下する。また、二酸化マンガンの酸素過電圧が低いために、充電時に正極側で酸素ガス(水の電気分解による)が発生して電池内圧が上昇し、それに伴い電池外装部材の接合部における密着性が低下して、電解液が外部に漏出しやすい。また、酸化ニッケルと二酸化マンガンとの混合物を蓄電池に用いた場合、活物質である酸化ニッケルの酸素過電圧が低いために、二酸化マンガンを単独で使用した場合と同様に、電池内圧が上昇しやすく漏液が起こりやすい。
【0004】
このような問題を解消し得る正極活物質として、本出願人はマンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルを提案している(特開平10−214621号公報参照)。マンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルを正極活物質として用いることにより、充放電サイクルの長期に渡って電解液が外部に漏出しにくい、信頼性の高い放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池を得ることができる。しかしながら、このような密閉型アルカリ蓄電池においては、さらに放電容量を高めることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、充放電サイクルの長期に渡って電解液が外部に漏出しにくく、かつ放電容量の高い放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の密閉型アルカリ蓄電池は、電池缶と、該電池缶と電気的に接触するように電池缶内に配置される、γ型オキシ水酸化ニッケルからなる正極活物質を成形した中空状の正極と、正極の内側に配置される、亜鉛を負極活物質とした負極と、正極と負極の間に配置されるセパレータと、負極内に挿入された状態で配置される負極集電体と、正極、負極、及びセパレータ内に含浸される電解液とを備える密閉型アルカリ蓄電池であり、γ型オキシ水酸化ニッケルがマンガンを固溶しており、かつ正極成形体の密度が2.5〜3.5g/cm3 であることを特徴としている。
【0007】
本発明においては、正極成形体の密度が2.5〜3.5g/cm3 に規定されている。正極成形体の密度が2.5g/cm3 より小さいと、正極成形体の強度が弱くなり、電池缶内へ正極成形体を挿入する際にクラックが生じて挿入が困難となる。また、正極成形体の密度が3.5g/cm3 より大きくなると、正極成形体内部への電解液の浸透が困難になるため、充放電サイクルを経過するに伴い、放電容量の低下を生じる。正極成形体の密度は、成形時のプレス圧を調整することにより変化させることができる。正極成形体の密度は、正極成形体の寸法から体積を算出するとともに、正極成形体の重量を測定して、以下の式により求めることができる。
【0008】
正極成形体の密度=(正極成形体の重量)/(正極成形体の体積)
本発明において正極活物質として用いるγ型オキシ水酸化ニッケルは、好ましくは、マンガン(Mn)を5〜50重量%固溶している。マンガンの固溶量は以下の式により定義される。
【0009】
マンガンの固溶量(重量%)=(γ型オキシ水酸化ニッケル中のマンガン量)/(γ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル及びマンガンの合計量)×100
マンガンの固溶量が5重量%未満になると、充放電サイクルの経過に伴い、オキシ水酸化ニッケルの放電生成物である水酸化ニッケルの結晶構造が、α型からβ型へ変化するため、酸素過電圧(酸素発生電位−充電電位)が低下し、充電時に正極側で酸素が発生しやすくなる傾向にある。一方、固溶量が50重量%を超えると、正極活物質であるγ型オキシ水酸化ニッケルの量が減少するため、十分な放電容量を得ることが困難になる。マンガンの固溶量は、マンガンの原料とニッケル原料の混合割合を変化させることにより、調整することができる。
【0010】
本発明におけるγ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル原子の価数は、初回放電前において、すなわち満充電状態で、3.4〜3.8価であることが好ましい。ニッケル原子の価数が3.4未満になると、十分な放電容量が得られにくく、また酸素過電圧が低いため充電時に電解液の漏れが発生する場合がある。また、一般にオキシ水酸化ニッケルにおいては、ニッケル原子の価数が3.8価よりも大きなものは存在しない。従って、満充填状態の後にさらに充電を続けても、水が分解して酸素ガスが発生するだけであり、ニッケル原子の価数が3.8価を超えることはない。
【0011】
本発明において用いるγ型オキシ水酸化ニッケルは、例えば水酸化ニッケルを次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)等の酸化剤で酸化することにより得られる。またニッケルの価数は、反応させる酸化剤の添加量により調整することができる。
【0012】
本発明において用いるγ型オキシ水酸化ニッケルには、マンガン以外に、さらにアルミニウム(Al)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)及びガドリニウム(Gd)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素が固溶されていてもよい。これらの元素が固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルを用いることにより、正極の酸素過電圧をさらに高めることができる。これらの元素の固溶量としては、0.5〜5重量%程度が好ましい。なお、この固溶量は以下の式により定義される。
【0013】
他の元素の固溶量(重量%)=(γ型オキシ水酸化ニッケル中の他の元素の量)/(γ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル及び他の元素の合計量)×100また、本発明においては、正極、負極、セパレータ、負極集電体、及び電解液が、電池缶内の容積の75体積%以上を占めることが好ましい。これにより、電池缶内における活物質の充填量を高めることができ、放電容量の高い密閉型アルカリ蓄電池とすることができる。また、このような放電容量の高い密閉型アルカリ蓄電池において、電池内圧の上昇を抑制し、充放電を繰り返した際に電解液が外部へ漏出するのを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0015】
〔実験1〕
この実験1では、正極活物質であるγ型オキシ水酸化ニッケルを成形した正極の密度とクラック発生率、初期容量、充放電サイクル経過に伴う放電容量、及び漏液電池発生数の関係を調べた。
【0016】
(実施例1)
〔正極の作製〕
ステップ1:水酸化ニッケルの作製
1.4Mの硫酸ニッケル水溶液500ml、0.37Mの硫酸マンガン水溶液500ml、及び30重量%アンモニア水溶液1.9Lを1時間混合した。この溶液に、温度を30℃に保持しながら、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して攪拌し、反応溶液のpHを11.0の一定値となるように保持して8時間反応させた。そして、この生成物をろ過、水洗し、60℃で乾燥してマンガンを固溶させたα型の水酸化ニッケルを作製した。この際、α型水酸化ニッケル内のマンガン固溶量をICP(発光分析法)により定量分析した結果、20重量%であった。
【0017】
ステップ2:酸化処理
酸化剤である10重量%の次亜塩素酸ナトリウム1450mlと40重量%水酸化ナトリウム水溶液500mlとを混合した水溶液を用意し、この水溶液を80℃に加熱した。この水溶液中に、上記ステップ1で作製したマンガンを固溶したα型水酸化ニッケル粉末を100g攪拌しながら投入し、1時間反応させた。その後、ろ過、水洗し、60℃で乾燥して、活物質であるマンガンを固溶したγ型オキシ水酸化ニッケルを作製した。得られた生成物について、マンガンの固溶量をICPにより定量分析した結果、ステップ1で作製したα型水酸化ニッケル中の固溶量と同量で、20重量%であった。また、鉄の2価/3価酸化還元滴定測定法により、生成物のニッケル原子の価数を測定した結果、3.5であった。
【0018】
なお、上記の例では、酸化剤として、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を使用しているが、他に過硫酸ナトリウム(Na2 2 8 )を酸化剤として用いた場合でも、同様の処理が行えることを確認した。
【0019】
ステップ3:電極の作製
上記ステップ2で得られたγ型オキシ水酸化ニッケル粉末100重量部と黒鉛粉末10重量部と30重量%水酸化カリウム水溶液10重量部とを、らいかい機で30分間混合し、得られた正極合剤2.9gをプレス圧3.7ton/cm2 で加圧成形して、外径13.3mm、内径9mm、高さ13mmの円筒中空状の正極成形体a1を作製した。電極a1の体積は0.978cm3 であり、正極A1の重量は2.9gであったので、正極成形体a1の密度は3.0g/cm3 となる。なお、電池の作製においては、この円筒中空状の正極成形体を3個直列に重ねて、全体として1個の円筒中空状正極として使用した。
【0020】
〔負極の作製〕
負極活物質としての亜鉛粉末65重量部と、酸化亜鉛(ZnO)を飽和量含む40重量%水酸化カリウム水溶液34重量部と、ゲル化剤としてのアクリル酸樹脂(日本純薬社製、商品名「ジュンロンPW150」)1重量部とを混合して、ゲル状の負極を作製した。
【0021】
〔電池の作製〕
上記の正極及び負極を用いて、通称「インサイドアウト型」と呼ばれている構造(電池缶側が正極側、電池蓋側が負極側:「アウトサイド・正極型」とも呼ばれる)で、AAサイズの密閉型アルカリ蓄電池(本発明電池)A1を作製した。なお、放電容量を正極容量で規定するために、正極と負極との電気化学的な容量を1:1.2とした(以下の電池も全てこれと同じ容量比にした)。また、負極、正極、セパレータ、負極集電体、及び電解液からなる発電要素体が占める体積を、電池缶内の容積に対して、80体積%とした(以下の電池も全てこれと同じ充填率にした)。
【0022】
図1は、作製した密閉型アルカリ蓄電池を示す部分断面図である。図示の密閉型アルカリ蓄電池は、有底円筒状の正極缶(正極外部端子)1、負極蓋(負極外部端子)2、絶縁パッキング3、真鍮製の負極集電棒4、円筒中空状の正極(ニッケル極)5、ビニロンを主材とする円筒フィルム状のセパレータ6、ゲル状負極(亜鉛極)7などからなる。
【0023】
正極缶1には、正極缶1の円筒部の内周面に当接させて正極5が収納されており、該円筒中空状の正極5の内周面には、セパレータ6が外周面を当接させて設けられており、セパレータ6の内側には、ゲル状の負極7が充填されている。負極7の中央部には、正極缶1と負極蓋2とを電気的に絶縁する絶縁パッキング3により一端を支持された負極集電棒(負極集電体)4が挿入されている。正極缶1の開口部は、負極蓋2により閉蓋されている。電池内部の密閉は、正極缶1の開口部に絶縁パッキング3を嵌め込み、その上に負極蓋2を載置した後、正極缶1の閉口端を内側にかしめることによりなされている。本実施例の密閉型アルカリ蓄電池において、電極缶は、正極缶1、負極蓋2及び絶縁パッキング3から構成される。
【0024】
なお、上記実施例の密閉型アルカリ蓄電池においては中空状正極として円筒状の正極を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、角筒状などの中空状正極であってもよい。
【0025】
(実施例2)
上記〔正極の作製〕のステップ3において、正極成形体を作製する際の正極合剤の重量及びプレス圧を表1に示すように変化させて、円筒中空状の正極成形体a2〜a7を作製した。正極成形体の外径、内径及び高さは、正極成形体a1と同じ寸法とした。
【0026】
【表1】
Figure 0003728143
【0027】
次に、正極成形体a2〜a7を用い、上記実施例2と同様にして、電池A2〜A7を作製した。
(比較例1)
二酸化マンガン粉末90.5重量部と、黒鉛粉末4.5重量部と、40重量%水酸化カリウム水溶液5重量部とを混合し、得られた正極合剤を用いて、密度3.05g/cm3 の正極成形体を作製した。この正極成形体を使用したこと以外は、上記実施例1と同様にして比較電池Xを作製した。
【0028】
〔各電池の充放電サイクルにおける放電容量及び漏液電池発生個数〕
上記電池A1〜A7及び比較電池Xについて、100mAの電流で電池電圧が1Vになるまで放電した後、100mAの電流で電池電圧が1.95V(比較電池Xについては1.65V)に達するまで充電を行う工程を1サイクルとする充放電サイクル試験を行った。そして、各電池の5サイクル目及び20サイクル目における放電容量及び漏液電池発生数を調べた。各電池それぞれ10個について、放電容量及び漏液電池発生数を調べた。
【0029】
この結果を表2に示す。表2中の5サイクル目及び20サイクル目の放電容量は、各電池の1サイクル目の放電容量を100とした指数であり、電解液が漏出しなかった電池の放電容量の平均値である。また、表2中の漏液電池発生数は20サイクル目の測定値であり、充放電サイクル試験を行った電池の個数(10)を分母とし、分数の分子が「電解液が漏出した漏液電池の個数」を表している。
【0030】
また、表2には、正極成形体を電池缶内に挿入する際に生じたクラックの発生率を併せて示している。クラック発生率は、以下の式で定義される。
クラック発生率(%)=(クラックが生じた正極成形体の個数)/(作製した正極成形体の個数)×100
【0031】
【表2】
Figure 0003728143
【0032】
正極成形体の密度が2.5〜3.5g/cm3 である電池A1及びA3〜A6においては、充放電サイクルを経過しても放電容量の低下が小さく、電解液が外部に漏出していないことがわかる。正極成形体の密度が本発明の範囲よりも低い電池A2においては、正極成形体を電池缶内に挿入する際のクラック発生率が大きく、電池の作製が困難であることがわかる。また、正極成形体密度が3.7g/cm3 である電池A7においては、放電容量が若干低くなっていることがわかる。また、電池Xでは、正極活物質として、二酸化マンガンを使用しているため、充放電サイクルの経過に伴い放電容量が減少していることがわかる。
以上の結果から、正極成形体の密度としては、2.5〜3.5g/cm3 であることが好ましいことがわかる。
【0033】
〔実験2〕
この実験2では、正極活物質に固溶されるマンガンの含有量と、充放電サイクル経過に伴う放電容量及び漏液電池発生数との関係を調べた。
【0034】
上記〔実験1〕の(実施例1)のステップ1において、硫酸ニッケル水溶液に同時に添加する硫酸マンガン水溶液の濃度を表3に示すように変化させ、マンガンを固溶した水酸化ニッケルを作製した。なお、表3には本発明電池A1の条件もあわせて示す。得られた水酸化ニッケルを〔実験1〕のステップ2と同様の方法で酸化処理し、γ型オキシ水酸化ニッケルを作製した。得られたγ型オキシ水酸化ニッケルのマンガン含有量をICPにより測定し、マンガン固溶量を表3に示した。
【0035】
次に、これらのγ型オキシ水酸化ニッケルを用いて、上記〔実験1〕の(実施例1)と同様にして正極成形体を作製し、この正極成形体を用いて電池B1〜B7を作製した。なお、正極成形体の密度は、すべて3.0g/cm3 であった。
【0036】
【表3】
Figure 0003728143
【0037】
上記電池A1及び電池B1〜B7について、上記〔実験1〕と同じ条件で充放電サイクル試験を行い、その際の1サイクル目、5サイクル目及び20サイクル目の放電容量、及び漏液電池発生数を調べた。各電池それぞれ10個について放電容量及び漏液電池発生数を調べた。
【0038】
得られた結果を表4に示す。各電池の1サイクル目の放電容量は、電池A1の1サイクル目の放電容量を100とした指数で示している。また5サイクル目及び20サイクル目の放電容量は、各電池の1サイクル目の放電容量を100とした指数で示しており、電解液が漏出しなかった電池の放電容量の平均値である。また、漏液電池発生数は20サイクル目の測定値である。表4には、正極成形体を電池缶内に挿入した際のクラック発生率も併せて示している。
【0039】
【表4】
Figure 0003728143
【0040】
表4に示す結果から明らかなように、電池A1及び電池B2〜B6においては、初期の放電容量が高く、充放電サイクルを経過しても放電容量は維持されており、漏液電池は認められなかった。
【0041】
一方、電池B1においては、充放電サイクルを経過しても放電容量は維持されるが、漏液電池発生数が高くなっている。これは、γ型オキシ水酸化ニッケル内のマンガン固溶量が少ないため、酸素過電圧の上昇が不十分であったためと考えられる。また、電池B7においては、マンガンの固溶量が多いため、充放電サイクルを経過しても放電容量は維持されるが、初期の段階から十分な放電容量が得られていない。
以上のことから、マンガン固溶量としては、5〜50重量%が好ましいことがわかる。
【0042】
〔実験3〕
この実験3では、正極活物質であるγ型オキシ水酸化ニッケルのニッケル原子の価数と放電容量及び漏液電池発生数の関係を調べた。
【0043】
上記〔実験1〕の(実施例1)のステップ2で、酸化剤である10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量を、1450mlから、1350ml、1400ml、1600mlと変化させて正極活物質を作製した。得られたγ型オキシ水酸化ニッケルのニッケルの価数は、鉄の2価/3価酸化還元滴定法により測定した結果、それぞれ3.3、3.4、3.8であった。
【0044】
次いで、上記の正極活物質を用いて、上記(実施例1)と同様にして正極成形体を作製し、電池C1〜C3を作製した。なお、得られた正極成形体の密度は、いずれも3.0g/cm3 であった。
【0045】
上記電池A及び電池C1〜C3について、上記〔実験1〕と同じ条件で充放電サイクル試験を行い、その際の1サイクル目及び20サイクル目の放電容量、及び漏液電池発生率を調べた。
【0046】
その結果を表5に示す。表5中の1サイクル目の放電容量は、電池A1の1サイクル目の放電容量を100とした指数で示しており、また、20サイクル目の放電容量は、各電池の1サイクル目の放電容量を100とした指数で示しており、電解液が漏出しなかった電池の放電容量の平均値である。また、正極成形体を電池缶内に導入した際のクラック発生率を表5に併せて示す。
【0047】
【表5】
Figure 0003728143
【0048】
表5に示すように、電池A1及び電池C2及びC3においては、充放電サイクル経過に伴う放電容量が高く、電解液の漏出は認められなかった。しかしながら、電池C1においては、初期の放電容量が低くなっていた。これは、正極活物質中のニッケル原子の価数が低いため、十分な電池容量が得られなかったことによるものと考えられる。従って、正極活物質としてのγ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル原子の価数は、3.4〜3.8の範囲内が好ましいことがわかる。
【0049】
〔実験4〕
この実験4では、マンガン以外の元素のγ型オキシ水酸化ニッケルへの固溶と、初期容量、充放電サイクル経過に伴う放電容量、及び漏液電池発生率の関係を調べた。
【0050】
(実施例3)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0049Mの硫酸エルビウム水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D1を作製した。このときのエルビウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、エルビウムの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0051】
(実施例4)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0048Mの硫酸イッテルビウム水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D2を作製した。このときのイッテルビウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、イッテルビウムの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0052】
(実施例5)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0092Mの硫酸イットリウム水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D3を作製した。このときのイットリウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、イットリウムの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0053】
(実施例6)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0052Mの硫酸ガドリニウム水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D4を作製した。このときのガドリニウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、ガドリニウムの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0054】
(実施例7)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.030Mの硫酸アルミニウム水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D5を作製した。このときのアルミニウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、アルミニウムの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0055】
(実施例8)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0014Mの硫酸コバルト水溶液500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D6を作製した。このときのコバルト及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、コバルトの固溶量は1重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0056】
(実施例9)
〔実験1〕の〔正極の作製〕において、硫酸ニッケル水溶液及び硫酸マンガン水溶液と同時に0.0025Mの硫酸エルビウム水溶液500ml及び0.0046Mの硫酸イットリウム500mlを添加したこと以外は、〔実験1〕と同様にして、電池D7を作製した。このときのエルビウム、イットリウム及びマンガンの固溶量をICP(発光分析)により定量した結果、エルビウム及びイットリウムの固溶量はそれぞれ0.5重量%、マンガンの固溶量は20重量%であった。
【0057】
上記実施例3〜9において、得られたγ型オキシ水酸化ニッケルのニッケル原子の価数はいずれも3.5であり、これらを用いて得られた正極成形体の密度はいずれも3.0g/cm3 であった。上記の固溶元素の異なる7種の電池D1〜D7について、〔実験1〕と同様の条件にて充放電サイクル試験を行い、その際の5サイクル目及び20サイクル目の放電容量、及び漏液電池発生率を調べた。放電容量は、各電池の1サイクル目の放電容量を100とした指数であり、電解液が漏出しなかった電池の放電容量の平均値である。結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
Figure 0003728143
【0059】
表6に示すように、正極活物質であるγ型オキシ水酸化ニッケルに、マンガン以外の元素として、エルビウム、イッテルビウム、イットリウム、ガドリニウム、アルミニウム及びコバルトから選ばれる1種以上の元素が固溶された場合においても、充放電サイクルの長期にわたり、放電容量の低下が小さく、電解液の外部への漏出が認められないことがわかる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、充放電サイクルの長期にわたって電解液が外部に漏出しにくく、かつ放電容量の高い放電スタートの密閉型アルカリ蓄電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例の密閉型アルカリ蓄電池を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…正極缶
2…負極蓋
3…絶縁パッキング
4…負極集電棒
5…正極
6…セパレータ
7…ゲル状負極

Claims (5)

  1. 電池缶と、前記電池缶と電気的に接触するように前記電池缶内に配置される、γ型オキシ水酸化ニッケルからなる正極活物質を成形した中空状の正極と、前記正極の内側に配置される、亜鉛を負極活物質とした負極と、前記正極と前記負極の間に配置されるセパレータと、前記負極内に挿入された状態で配置される負極集電体と、前記正極、前記負極、及び前記セパレータ内に含浸される電解液とを備える密閉型アルカリ蓄電池であって、
    前記γ型オキシ水酸化ニッケルがマンガンを固溶しており、かつ前記正極成形体の密度が2.5〜3.5g/cm3 であることを特徴とする密閉型アルカリ蓄電池。
  2. 前記マンガンの固溶量が、5〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の密閉型アルカリ蓄電池。
  3. 初回放電前の前記γ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル原子の価数が3.4〜3.8価である請求項1または2に記載の密閉型アルカリ蓄電池。
  4. 前記γ型オキシ水酸化ニッケルに、マンガン以外に、さらにアルミニウム(Al)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)及びガドリニウム(Gd)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素が固溶している請求項1、2または3に記載の密閉型アルカリ蓄電池。
  5. 前記正極成形体が円筒状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の密閉型アルカリ蓄電池。
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