JP3663071B2 - 密閉型アルカリ亜鉛蓄電池 - Google Patents

密閉型アルカリ亜鉛蓄電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、γ型オキシ水酸化ニッケルを活物質とする筒状の正極の筒内に、セパレータを介して、負極が配されており、且つ前記正極と、前記負極と、アルカリ電解液と、前記セパレータと、負極集電体とからなる発電要素体が電池缶内容積の75%以上を占める、放電スタートの密閉型アルカリ亜鉛蓄電池に係わり、詳しくは、充放電サイクルにおける放電容量の減少が小さく、電池内圧の上昇乃至アルカリ電解液の漏出が起こりにくく、しかも歩留り良く製造することが可能な密閉型アルカリ亜鉛蓄電池を提供することを目的とした、正極の改良に関する。ここに、放電スタートの電池とは、予め充電することなく初回の放電を行うことが可能な電池をいう。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、亜鉛を活物質とする密閉型アルカリ亜鉛蓄電池の正極活物質として、二酸化マンガンが提案されている(特公昭45−3570号公報参照)。また、亜鉛を負極活物質とするニッケル・亜鉛一次電池の正極活物質として、酸化ニッケルと二酸化マンガンとの混合物が提案されている(特開昭49−114741号公報参照)。
【0003】
しかしながら、二酸化マンガンを正極活物質とするアルカリ蓄電池においては、二酸化マンガンの充放電サイクルにおける可逆性が悪く、放電したのち充電しても放電前の二酸化マンガンには戻らないので、放電容量が急激に減少する。また、二酸化マンガンは、酸素過電圧が小さいので、充電時に正極側で水の電気分解に因り酸素が発生して電池内圧が上昇し(4OH- ⇒O2 +2H2 O+4e- )、それに伴い電池外装部材の接合部の密着性が低下するため、アルカリ電解液が漏出し易い。
【0004】
また、酸化ニッケルも二酸化マンガンと同様に酸素過電圧が小さいので、酸化ニッケルと二酸化マンガンとの混合物を蓄電池の正極活物質として用いた場合は、充電時に、電池内圧が上昇して、アルカリ電解液が漏出し易い。
【0005】
このように、いずれの正極活物質も密閉型アルカリ亜鉛蓄電池の正極活物質としては問題があった。斯かる充電時の電池内圧の上昇及びそれに伴う漏液は、電池缶内の空間部分の割合が小さい密閉型アルカリ亜鉛蓄電池において、特に問題となる。
【0006】
最近、筒状の正極(成型体)の筒内に、セパレータを介して、負極を配した密閉型アルカリ亜鉛蓄電池(以下、この構造の密閉型アルカリ亜鉛蓄電池を、「インサイドアウト型電池」と記す。)の正極活物質として、γ型オキシ水酸化ニッケルが提案されている。このインサイドアウト型電池では、筒状の正極の外周面を電池缶の内周面に密着させる必要があるので、電池缶の内寸より少し大きめの外寸を有する筒状の正極を作製し、正極の電池缶内への挿入を、正極の外周面を圧縮してすぼめながら行うが、正極活物質にγ型オキシ水酸化ニッケルを使用した場合、挿入時に、成型体にクラックが発生して破損し易い。すなわち、インサイドアウト型電池には、電池製造の歩留りが良くないという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、充放電サイクルにおける放電容量の減少が小さく、電池内圧の上昇乃至アルカリ電解液の漏出が起こりにくく、しかも歩留り良く製造することが可能な、放電スタートのインサイドアウト型電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る密閉型アルカリ亜鉛蓄電池(本発明電池)は、筒状の正極の筒内に、セパレータを介して、亜鉛を活物質とする負極が配されており、且つγ型オキシ水酸化ニッケルを活物質とする筒状の正極の筒内に、セパレータを介して、負極が配されており、且つ前記正極と、前記負極と、アルカリ電解液と、前記セパレータと、負極集電体とからなる発電要素体が電池缶内容積の75%以上を占める密閉型アルカリ亜鉛蓄電池において、前記正極の活物質が、γ型オキシ水酸化ニッケルに、マンガンが、マンガンとニッケルとの総量に基づいて、5〜50原子%固溶した固溶体粉末であり、当該固溶体粉末に、一酸化マンガン、四酸化三マンガン、三酸化二マンガン及びγ型二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のマンガン酸化物の粉末が添加されており、且つ前記正極が、前記固溶体粉末と、前記マンガン酸化物の粉末と、導電剤とを含む混合物を、加圧成型してなる成型体であることを特徴とする。
【0009】
正極活物質は、γ型オキシ水酸化ニッケルにマンガンが固溶した固溶体粉末である。γ型オキシ水酸化ニッケルにマンガンが固溶することにより、正極の酸素過電圧が増大する。マンガンの固溶量(以下、「マンガン固溶率」と記す。)は、マンガンとニッケル(γ型オキシ水酸化ニッケル中のニッケル)との総量に基づいて、5〜50原子%に規制される。この理由は、マンガン固溶率が、5原子%未満の場合は、正極の酸素過電圧が充分に大きくならないために、漏液が起こり易くなり、一方マンガン固溶率が、50原子%を越えた場合は、正極活物質たるγ型オキシ水酸化ニッケルの充填量が減少するために、充分な電池容量が得られないからである。
【0010】
γ型オキシ水酸化ニッケルとしては、満充電状態でのニッケルの価数が3.4〜3.8のものが好ましい。満充電状態でのニッケルの価数が3.4未満のβ型オキシ水酸化ニッケルでは、十分な電池容量が得られない。また、β型オキシ水酸化ニッケルは、酸素過電圧が小さいので、充電時に漏液が起こり易くなる。なお、γ型オキシ水酸化ニッケルには、満充電状態でのニッケルの価数が3.8を越えるものは存在しない。満充電後さらに充電、すなわち過充電しても、水が分解して酸素が発生するだけであり、ニッケルの価数が3.8を越えることはない。
【0011】
γ型オキシ水酸化ニッケルは、例えば、水酸化ニッケルを次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)等の酸化剤にて酸化することにより得られる。γ型オキシ水酸化ニッケルのニッケルの価数は、酸化剤の量を調節することにより調整することができる。固溶体粉末は、水酸化ニッケルに代えて、マンガンが固溶した水酸化ニッケルを使用することにより得られる。マンガンが固溶した水酸化ニッケルは、マンガン塩とニッケル塩とを含む水溶液に、アルカリを添加してpHを9〜12に調整した後、所定時間混合することにより(アルカリ共沈法)、得られる。
【0012】
固溶体粉末として、マンガンの外にさらに、亜鉛、コバルト、ビスマス、アルミニウム及び希土類元素(イットリウム、エルビウム、イッテルビウム、ガドリニウムなど)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を固溶元素として含有するものを使用してもよい。これらの元素がさらに固溶することにより、正極の酸素過電圧が一層高められる。
【0013】
本発明においては、上記の固溶体粉末に、一酸化マンガン、四酸化三マンガン、三酸化二マンガン及びγ型二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のマンガン酸化物の粉末が添加されている。これら特定のマンガン酸化物の粉末を添加することにより、得られる正極の強度が増し、正極を電池缶内に挿入する際のクラックの発生が抑制されて、電池製造の歩留りが向上する。正極の強度が増す理由は定かでないが、上記のマンガン酸化物が加圧成型時に結着剤として機能するためではないかと考えられる。
【0014】
固溶体粉末に対するマンガン酸化物の粉末の添加量は、マンガン酸化物の種類によって異なる。γ型二酸化マンガンを添加する場合は、固溶体粉末とγ型二酸化マンガン粉末との重量比が、99:1〜65:35となるように添加する必要がある。γ型二酸化マンガン粉末の添加割合が上記の範囲より少ない場合は、正極の強度を充分に向上させることができず、一方γ型二酸化マンガン粉末の添加割合が上記の範囲より多い場合は、固溶体粉末の充填量が減少するために、電池容量が減少する。
【0015】
正極は、上記固溶体粉末と、上記マンガン酸化物の粉末と、導電剤と、アルカリ電解液とを混合し、円筒状に加圧成型することにより得られる。導電剤としては、黒鉛が例示される。
【0016】
本発明が、正極と、負極と、アルカリ電解液と、セパレータと、負極集電体とからなる発電要素体が電池缶内容積の75%以上を占める密閉型アルカリ亜鉛蓄電池を対象とするのは、斯かる高密度充填型の密閉型アルカリ亜鉛蓄電池において、電池内圧が特に上昇し易く、充放電を繰り返した際にアルカリ電解液が漏出し易いからである。
【0017】
上述したように、本発明電池は、γ型オキシ水酸化ニッケルにマンガンが所定量固溶しているので、正極の酸素過電圧が大きい。また、正極がマンガン酸化物を含有しているので、強度が高い。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能なものである。
【0019】
(実験1)
本発明電池及び比較電池を作製し、電池容量(1サイクル目の放電容量)、容量維持率、漏液電池数及び電池缶内に正極を挿入する際のクラック発生電池数を調べた。
【0020】
(本発明電池(A1)の作製)
下記の手順により本発明電池(A1)を作製した。
【0021】
〔正極の作製〕
硫酸マンガン(MnSO4 )40.4g及び硫酸ニッケル(NiSO4 )154.8gの水溶液を5000mlに、10重量%アンモニア水と10重量%水酸化ナトリウム水溶液との重量比1:1の混合水溶液を滴下し、pHを9.5±0.3に調整した。pHが一定になった後、1時間攪拌混合し、ろ過し、水洗した後、80°Cで乾燥して、マンガンが固溶した水酸化ニッケル粉末を作製した。作製した水酸化ニッケル粉末のマンガン固溶率を原子吸光分析により求めたところ、20%であった。
【0022】
次いで、上記のマンガンが固溶した水酸化ニッケル粉末100gを、水酸化ナトリウムの10モル/リットル水溶液500mlと10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1500mlとの混液に、攪拌しながら投入し、1時間攪拌混合した後、生成した沈殿物を、ろ別し、水洗し、60°Cで乾燥して、γ型オキシ水酸化ニッケル(γ−NiOOH)にマンガンが固溶した固溶体粉末を得た。この固溶体粉末のマンガン固溶率を原子吸光分析により求めたところ、20%であった。また、この固溶体粉末のニッケルの価数を鉄の2価・3価の酸化還元滴定法により求めたところ、3.6であった。以下の実験におけるマンガン固溶率及びニッケルの価数も全て、それぞれ原子吸光分析及び鉄の2価・3価の酸化還元滴定法により、求めたものである。
【0023】
上記の固溶体粉末とγ型二酸化マンガン(γ−MnO2 )粉末とを重量比95:5で混合し、得られた混合粉末100重量部と、導電剤としての黒鉛粉末10重量部と、30重量%水酸化カリウム水溶液10重量部とを、らいかい機にて30分間混合し、加圧成型して、外径1.3cm、内径0.85cm、高さ1.15cmの円筒状の成型体を作製した。電池の作製においては、この円筒状の成型体を3個直列に接合して、全体として1個の円筒状をなす正極として使用した。
【0024】
〔負極の作製〕
負極活物質としての亜鉛粉末65重量部と、飽和量の酸化亜鉛(ZnO)を含む40重量%水酸化カリウム水溶液34重量部と、ゲル化剤としてのポリアクリル酸(日本純薬社製、商品コード「ジュンロンPW150」)1重量部とを混合して、ゲル状の負極を作製した。
【0025】
〔電池の作製〕
上記の正極及び負極を用いて、AAサイズのインサイドアウト型電池(本発明電池)(A1)を作製した。なお、電池容量が正極容量により規制されるようにするために、正極と負極との電気化学的な容量を1:1.2とした(以下の電池も全てこれと同じ容量比にした)。また、正極と、負極と、アルカリ電解液と、セパレータと、負極集電体とからなる発電要素体の電池缶内容積(絶縁パッキングの内側部分の体積)に占める体積比率を、80%とした(以下の電池についても同比率を全て80%とした。)。
【0026】
図1は、作製したインサイドアウト型電池の断面図である。図示のインサイドアウト型電池(A1)は、有底円筒状の電池缶(正極外部端子)1、電池蓋(負極外部端子)2、 絶縁パッキング3、真鍮製の負極集電棒4、円筒状の正極(ニッケル極)5、ビニロンを主材とする円筒状のセパレータフィルム6、ゲル状負極(亜鉛極)7などからなる。
【0027】
電池缶1には、円筒の外周面を電池缶1の内周面に当接させて正極5が収納されており、正極5の内周面には、外周面を当接させて円筒状のセパレータフィルム6が圧接されており、セパレータフィルム6の内側には、ゲル状の負極7が充填されている。負極7の円形断面の中央部には、電池缶1と電池蓋2とを電気的に絶縁する絶縁パッキング3により一端を支持された負極集電棒4が挿入されている。電池缶1の開口部は、電池蓋2により閉蓋されている。電池の密閉は、電池缶1の開口部に絶縁パッキング3をはめこみ、その上に電池蓋2を載置した後、電池缶の開口端を内側にかしめることによりなされている。
【0028】
(本発明電池(A2)の作製)
正極の作製において、硫酸マンガンの使用量を、40.4gに代えて、10.2gとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、本発明電池(A2)を作製した。正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率は、5%であった。
【0029】
(本発明電池(A3)の作製)
正極の作製において、硫酸マンガンの使用量を、40.4gに代えて、20.2gとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、本発明電池(A3)を作製した。正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率は、10%であった。
【0030】
(本発明電池(A4)の作製)
正極の作製において、硫酸マンガンの使用量を、40.4gに代えて、101gとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、本発明電池(A4)を作製した。正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率は、50%であった。
【0031】
(比較電池(B1)の作製)
正極の作製において、硫酸マンガンの使用量を、40.4gに代えて、5.1gとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、比較電池(B1)を作製した。正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率は、2.5%であった。
【0032】
(比較電池(B2)の作製)
正極の作製において、硫酸マンガンの使用量を、40.4gに代えて、121gとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、比較電池(B2)を作製した。正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率は、60%であった。
【0033】
(比較電池(B3)の作製)
正極の作製において、γ型二酸化マンガン粉末を固溶体粉末に添加しなかったこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、比較電池(B3)を作製した。
【0034】
(比較電池(B4)の作製)
γ型二酸化マンガン粉末100gと、黒鉛粉末15gと、ポリエチレン樹脂5gとを混合し、得られた混合物に水酸化カリウムの7モル/リットル水溶液20mlを混合し、加圧成型して、円筒状の正極を作製した。円筒状の正極として、この正極を使用したこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、比較電池(B4)を作製した。
【0035】
(比較電池(B5)の作製)
硝酸ニッケルの2モル/リットル水溶液500mlと、10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1500mlとを、水酸化カリウムの14モル/リットル水溶液2000mlに滴下混合した後、1時間かけて徐冷した。次いで、生成した沈殿物をろ別し、水洗し、90°Cで乾燥して、正極活物質としての酸化ニッケル粉末を作製した。作製した酸化ニッケル粉末50gと、γ型二酸化マンガン粉末30gと、黒鉛15gとポリエチレン樹脂5gとを混合し、得られた混合物に水酸化カリウムの7モル/リットル水溶液20mlを混合し、加圧成型して、円筒状の正極を作製した。円筒状の正極として、この正極を使用したこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、比較電池(B5)を作製した。
【0036】
〈正極挿入時のクラック発生電池数〉
各電池10個について、正極を電池缶内に挿入する際のクラックの発生の有無を目視にて観察し、クラック発生電池数を調べた。結果を表1に示す。表1中のクラック発生電池数の欄の分数の分子が正極挿入時にクラックが発生した電池の数である。
【0037】
〈放電容量、容量維持率及び漏液電池数〉
各電池10個について、100mAで1Vまで放電した後、100mAで1.95Vに達するまで充電する充放電を25サイクル行って、各電池の1サイクル目の放電容量、25サイクル目の容量維持率及び25サイクル目の漏液電池数を調べた。結果を表1に示す。表1中の漏液電池数の欄の分数の分子が漏液した電池の数である。表1中の1サイクル目の放電容量は、本発明電池(A1)の1サイクル目の放電容量を100とした指数である。また、容量維持率は、各電池の1サイクル目の放電容量に対する25サイクル目の放電容量の比率(%)であり、且つ電解液が漏出しなかった電池の容量維持率の平均値である。
【0038】
【表1】
Figure 0003663071
【0039】
表1に示すように、正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率が5〜50%である本発明電池(A1)〜(A4)は、容量維持率が高く、漏液電池数が0(零)であり、クラック発生電池数が0(零)である。これに対して、マンガン固溶率が2.5%である比較電池(B1)は、容量維持率が80%と低く、25サイクル目において10個の電池のうちの5個に漏液が発生しており、またマンガン固溶率が60%である比較電池(B2)は、1サイクル目の放電容量が85と小さい。比較電池(B1)の容量維持率が低く、漏液電池数が多いのは、正極に使用した固溶体粉末のマンガン固溶率が低過ぎたために、正極の酸素過電圧を充分に増大させることができなかったからである。また、比較電池(B2)の1サイクル目の放電容量が小さいのは、マンガンの固溶量が増加した分、正極活物質たるγ−オキシ水酸化ニッケルの充填量が減少したためである。比較電池(B3)のクラック発生電池数が多いのは、γ−オキシ水酸化ニッケルにγ型二酸化マンガンが添加されていないために、正極の強度が低かったからである。比較電池(B4)の容量維持率が低いのは、γ型二酸化マンガンのトンネル状の空孔を有する結晶構造が崩壊したからであり、漏液電池数が10と極めて多いのは、正極の酸素過電圧が極めて小さいためである。比較電池(B5)の1サイクル目の放電容量が小さいのは、正極の酸素過電圧が小さいために、正極側で酸素が発生して、活物質利用率が低下したからであり、また容量維持率が低く、漏液電池数が多いのも、正極の酸素過電圧が小さいために、充電時に正極側で酸素が発生したためである。
【0040】
(実験2)
固溶体粉末にγ型二酸化マンガン粉末を添加する場合のγ型二酸化マンガン粉末の添加量について検討した。
【0041】
正極の作製において、固溶体粉末とγ型二酸化マンガン粉末とを、重量比95:5に代えて、重量比99.5:0.5、99:1、90:10、80:20、70:30、65:35及び62.5:37.5で、それぞれ混合したこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、順に、電池(X1)〜(X7)を作製した。
【0042】
各電池10個について実験1で行ったものと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の正極挿入時のクラック発生電池数、1サイクル目の放電容量、25サイクル目の容量維持率及び25サイクル目の漏液電池数を調べた。結果を表2に示す。表2には、本発明電池(A1)の結果も示してある。表2中の1サイクル目の放電容量は、本発明電池(A1)の1サイクル目の放電容量を100とした指数である。また、容量維持率は、各電池の1サイクル目の放電容量に対する25サイクル目の放電容量の比率(%)であり、且つ電解液が漏出しなかった電池の容量維持率の平均値である。
【0043】
【表2】
Figure 0003663071
【0044】
表2より、マンガン酸化物の粉末としてγ型二酸化マンガン粉末を使用する場合は、固溶体粉末とγ型二酸化マンガン粉末との重量比が、99:1〜65:35となるようにγ型二酸化マンガン粉末を添加する必要があることが分かる。
【0045】
(実験3)
固溶体粉末に添加するマンガン酸化物の粉末の種類について検討した。
【0046】
固溶体粉末に添加するマンガン酸化物の粉末として、γ型二酸化マンガン粉末に代えて、一酸化マンガン、四酸化三マンガン、三酸化二マンガン、β型二酸化マンガン(β−MnO2 )(γ型二酸化マンガンを450°Cで焼成して作製したもの)及び炭酸マンガン(MnCO3)の各粉末を、それぞれ添加したこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、順に、電池(Y1)〜(Y5)を作製した。固溶体粉末と各マンガン酸化物の粉末との重量比は、いずれも95:5とした。
【0047】
各電池10個について実験1で行ったものと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の1サイクル目の放電容量、25サイクル目の容量維持率、25サイクル目の漏液電池数及び正極挿入時のクラック発生電池数を調べた。結果を表3に示す。表3には、本発明電池(A1)の結果も示してある。表3中の1サイクル目の放電容量は、本発明電池(A1)の1サイクル目の放電容量を100とした指数である。また、容量維持率は、各電池の1サイクル目の放電容量に対する25サイクル目の放電容量の比率(%)であり、且つ各電池10個の容量維持率の平均値である。
【0048】
【表3】
Figure 0003663071
【0049】
表3より、正極の強度を高めるためには、マンガン酸化物として、一酸化マンガン、四酸化三マンガン、三酸化二マンガン及びγ型二酸化マンガンのいずれかを使用する必要があり、β型二酸化マンガン及び炭酸マンガンでは、正極の強度を高めることができないことが分かる。なお、電池(Y4)及び(Y5)については、正極挿入時のクラック発生電池数が極めて多かったために、漏液電池数については調べなかった。
【0050】
(実験4)
固溶体粉末のニッケルの価数と電池特性の関係を調べた。
【0051】
正極の作製において、水酸化ナトリウム水溶液500mlと混合する10重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量を、1500mlに代えて、それぞれ1350ml、1400ml及び1600mlとしたこと以外は本発明電池(A1)の作製方法と同様にして、電池Z1〜Z3を作製した。各電池に使用した固溶体粉末のニッケルの価数は、順に、3.3、3.4及び3.8であった。
【0052】
各電池10個について実験1で行ったものと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の1サイクル目の放電容量、25サイクル目の容量維持率、25サイクル目の漏液電池数を調べた。結果を表4に示す。表4には、本発明電池(A1)の結果も示してある。表4中の1サイクル目の放電容量は、本発明電池(A1)の1サイクル目の放電容量を100とした指数である。また、容量維持率は、各電池の1サイクル目の放電容量に対する25サイクル目の放電容量の比率(%)であり、且つ電解液が漏出しなかった電池の容量維持率の平均値である。なお正極挿入時のクラック発生電池数はいずれも0(零)であった。
【0053】
【表4】
Figure 0003663071
【0054】
表4より、1サイクル目の放電容量が大きい電池を得るためには、正極活物質として満充電状態でのニッケルの価数が3.4〜3.8である固溶体粉末を使用することが好ましいことが分かる。なお、電池(Z1)の漏液電池数が多いのは、固溶体中のオキシ水酸化ニッケルが、酸素過電圧の小さいβ型オキシ水酸化ニッケルであるためである。
【0055】
【発明の効果】
充放電サイクルにおける放電容量の減少が小さく、電池内圧の上昇乃至アルカリ電解液の漏出が起こりにくく、しかも歩留り良く製造することが可能な密閉型アルカリ亜鉛蓄電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製したインサイドアウト型電池の断面図である。
【符号の説明】
A1 インサイドアウト型電池
1 電池缶(正極外部端子)
2 電池蓋(負極外部端子)
3 絶縁パッキング
4 負極集電棒
5 円筒状の正極(ニッケル極)
6 円筒状のセパレータフィルム
7 ゲル状負極(亜鉛極)

Claims (4)

  1. 筒状の正極の筒内に、セパレータを介して、亜鉛を活物質とする負極が配されており、且つ前記正極と、前記負極と、アルカリ電解液と、前記セパレータと、負極集電体とからなる発電要素体が電池缶内容積の75%以上を占める密閉型アルカリ亜鉛蓄電池において、前記正極の活物質が、γ型オキシ水酸化ニッケルに、マンガンが、マンガンとニッケルとの総量に基づいて、5〜50原子%固溶した固溶体粉末であり、当該固溶体粉末に、一酸化マンガン(MnO)、四酸化三マンガン(Mn3 4 )、三酸化二マンガン(Mn2 3 )及びγ型二酸化マンガン(γ−MnO2 )よりなる群から選ばれた少なくとも1種のマンガン酸化物の粉末が添加されており、且つ前記正極が、前記固溶体粉末と、前記マンガン酸化物の粉末と、導電剤とを含む混合物を、加圧成型してなる成型体であることを特徴とする密閉型アルカリ亜鉛蓄電池。
  2. 前記マンガン酸化物がγ型二酸化マンガンであり、且つ前記固溶体粉末とγ型二酸化マンガン粉末との重量比が、99:1〜65:35である請求項1記載の密閉型アルカリ亜鉛蓄電池。
  3. γ型オキシ水酸化ニッケルの満充電状態でのニッケルの価数が3.4〜3.8である請求項1記載の密閉型アルカリ亜鉛蓄電池。
  4. 前記固溶体粉末が、さらに、亜鉛、コバルト、ビスマス、アルミニウム及び希土類元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を固溶元素として含有している請求項1記載の密閉型アルカリ亜鉛蓄電池。
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