JP3652512B2 - 詰物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、家具などに用いられるシートの詰物に関し、詳しくは、詰物中の線部材の存在及び状態の認識並びに表皮材と線部材との係合を容易なものとする一方、それら詰物を廃棄等処分する際、パット材と線部材との分離、分別を不要とした詰物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、図7に示すように、車両用シート(A)は通常、座部(101)と背もたれ部(102)によって構成されており、それらは外表面を形成する表皮材(103)と、その中に充填されている詰物(B)から構成されている。詰物(B)は通常、パット材(1)と該パット材(1)中に埋め込まれた線部材(2)からなっている。
【0003】
パット材(1)を形成する材料としては、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの発泡性材料や、パームロック、フェルトなどが挙げられ、これらを用いてクッション機能が付与される。
また、線部材(2)は一般にワイヤーと称する鋼線をパット材(1)の下部形状に合わせるように構成して、車両用シートを車体へ取り付ける取り付ける部材としての機能、シートカバーをシートへ張り込む張り込み部材としての機能、シートの保形部材としての機能等を付与するものである。
【0004】
そして、前記のようにパット材(1)と線部材(2)とはパット材(1)の中に線部材(2)が埋め込まれている構造を採っている場合が一般的であって、その埋込みは、例えば、パット材(1)形状のモールドに線部材(2)を懸架し、当該モールド内にポリウレタンフォーム発泡原液を所定量注入し、パット材(1)の発泡により、線部材(2)を巻き込んで一体成形して製造する。
【0005】
しかし、パット材の中に線部材が埋め込まれているこのような一般的構造の詰物においては、例えば、廃車の解体作業時、または、意図しないトラブルなどによって発生するスペック外の製品や寿命が到来した製品の処理に当たって、単に廃棄するのではなく資源の有効活用を図るためには、特別の方策が必要となり、手作業での処理には限界がある。
すなわち、パット材のポリウレタンフォームと線部材とが強固に接着しているため、ポリウレタンフォームと線部材の分離、分別が困難である。即ち、線部材に大量のポリウレタンフォームの残渣が密着し、それを取り除くのに多大の工数がかかり、分離、分別作業の隘路となっており、このため資源の有効活用推進の大きな障害となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に鑑み、詰物中の線部材の存在及び状態の認識並びに表皮材と線部材との係合を容易なものとする一方、それら詰物を廃棄等処分する際、パット材と線部材とを分離、分別を不要とした詰物を提供することを目的とするものであって、使用済み資源の回収、有効活用推進に寄与することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「パット材に線部材がパット材と一体成形により埋入されている詰物であって、前記パット材がポリウレタンフォーム材料からなり、同前記線部材が断面積5mm 〜100mm の紐状体からなり前記パット材と同系材であるポリウレタン材料からなることを特徴とする詰物。」、(2)「前記線部材のポリウレタン材料が、密度0.02〜0.20g/cm のポリウレタンフォームチップ固め品からなることを特徴とする前記(1)に記載の詰物」によって達成される。
【0008】
本発明によれば、所謂モノマテリアル化され、廃棄等処分する際にパット材と線部材とを分離、分別を不要とした詰物が提供される。さらに本発明によれば、パット材と線部材と間の接着が強く、形崩れの少ない耐久性のある詰物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面によって詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態例に制限されるものではない。
ここで、図1は、本発明で使用される詰物の1例を示す斜視図であり、図2は、図1の詰物におけるX−Y断面図であり、図3は、図2の詰物と表皮材の取り合いの態様を示す図であり、図4は、図2に対応する従来例であり、図5は、図2に対応する、従来の詰物と表皮材の取り合いの態様を示す図であり、図6は、本発明の詰物を製造するためのモールドの断面図であり、図7は従来の車両シートの1例を示す斜視図である。
【0010】
本発明は、図7に示されるような車両用シート(A)の座部(101)における詰物(B)についても適用することができるが、背もたれ部(102)の詰物に関しても座部(101)の詰物と同様に本発明を適用できることは、いうまでもない。また、図の符号については、本発明、従来例共通部分については、同一符号を用いている。
【0011】
図1の本発明の詰物の例は、特に車両用に適しているものである。この例において、パット材(1)はポリウレタンフォームからなり、線部材(2)はパット材(1)のポリウレタンフォームと同系材のポリウレタンフォーム・チップ固め品を使用する。本発明で使用される線部材(2)は、断面積5mm2〜100mm2程度の紐状体であって、ポリウレタンフォーム・チップと接着剤を、適宜、混合加熱圧縮することにより簡単に得ることができる。これら、ポリウレタンフォーム・チップ固め品は、ポリウレタンフォーム・チップの大きさ、接着剤の混合比率、モールドの容積当たりのチップ投入量、プレス圧などによって、その物性を調整することができる。特に、密度に関しては0.02〜0.20g/cm3のチップ固め品が、本発明の線部材として好適に用いられる。また、チップは通常ポリウレタン廃棄物を活用する場合が多い。
この例で使用したポリウレタンフォーム・チップ固め品は、廃棄物リサイクルの一環として、廃棄すべきポリウレタンフォームを、10〜25mm程度の大きさに破砕してチップとし、ポリウレタン系接着剤で当該チップ相互を接着、加熱、加圧して、密度0.11g/cm3の板状体を得た。これを紐状に裁断して断面積25mm2の紐状体としたものを線部材として使用した。
【0012】
本発明の詰物の製造方法は、図6に示すように、線部材(2)を、パット材(1)の形状に合致したモールド(C)のキャビティ(201)内の、表皮材張り込み凹部を形成する個所(202)に係支して、発泡原液を所定量注入し、該線部材(2)を巻き込んで発泡一体成形した。
本発明におけるこの例の詰物は、図2に示すように、ポリウレタンフォーム・チップ固め品の線部材(2)に、パット材(1)を形成したポリウレタンフォームが、その発泡圧により浸透、含浸し、その内部及び周辺が樹脂化して線部材(2)にパット材(1)が強着された詰物が提供された。
本実施例では、線部材(2)に、前記ポリウレタンフォーム・チップ固め品を使用したが、パット材(1)と同系材であれば良く、例えば、パット材(1)がポリウレタンフォームであれば、線部材(2)は前記剛性の高いポリウレタンフォーム熱圧縮品やポリウレタン繊維からなる織物編物などを使用することができるのである。
本発明のパット材(1)に関する発泡原液の処方例及び物性例は表1に示される。
【0013】
【表1】
Figure 0003652512
【0014】
本発明に係る詰物は図5で示す従来の鋼線による線部材と同様に、図3で示すように表皮材の張り込みなどを行なうことができる。
【0015】
本発明による詰物は、従来の例にみられる線部材(2)が鋼線によるものではなく、パット材(1)と同系材を使用し一体発泡により埋没したもので、パット材(1)に線部材(2)が、ある程度露出した状態で固定されているものである。そして、この詰物を廃棄、処分する場合はパット材(1)と線部材(2)に分離、分別することなく対処することができ、しかも、本発明の詰物は従来の詰物の生産工程を何等変えることなく、表皮材の張り込みなどが可能であり、性能上も当然遜色はないものである。
【0016】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明は同系材を使用した詰物であるため、この詰物を廃棄する際、パット材と線部材を分離、分別する必要がなく、使用済み資源の回収、有効活用推進に大きく寄与するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用されるパット材の1例を示す斜視図である。
【図2】図1の詰物におけるX−Y断面図である。
【図3】図2の詰物と表皮材の取り合いの態様を示す図である。
【図4】図2に対応する従来例である。
【図5】図2に対応する、従来の詰物と表皮材の取り合いの態様を示す図である。
【図6】本発明の詰物を製造するためのモールドの断面図である。
【図7】従来の車両シート全体の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 パット材
2 線部材
車両用シート
詰物
モールド
101 座部
102 背もたれ部
103 表皮材
201 キャビティ
202 表皮材張り込み凹部を形成する個所

Claims (2)

  1. パット材に線部材がパット材と一体成形により埋入されている詰物であって、前記パット材がポリウレタンフォーム材料からなり、同前記線部材が断面積5mm 〜100mm の紐状体からなり前記パット材と同系材であるポリウレタン材料からなることを特徴とする詰物。
  2. 前記線部材のポリウレタン材料が、密度0.02〜0.20g/cm のポリウレタンフォームチップ固め品からなることを特徴とする請求項1に記載の詰物。
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