JP3731330B2 - 芯体をもつ車両用内装材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドレスト、アームレストなどの芯体をもつ車両用内装材とその製造方法に関する。本発明の車両用内装材は、コア体に繊維材料を使用してリサイクルを可能としている。
【0002】
【従来の技術】
自動車のヘッドレストとしては、従来よりウレタンフォームからなるコア体と、コア体と一体化されコア体から突出するステーと、コア体を被覆する袋状の表皮とよりなるものが知られている。このヘッドレストは、ステーを座席上部に設けられた孔に挿入することで座席に保持され、コア体でクッション性が確保されるとともに、表皮で良好な触感や外観品質を確保している。
【0003】
また、このヘッドレストを製造するには、ステーが配置された金型内に発泡ウレタン樹脂を注入し、金型内で発泡成形することによりコア体を形成する。このとき発泡ウレタン樹脂は金型内に充填して所定形状となるとともにステーと接着し、ステーとコア体とは一体的に接合される。その後コア体を金型から離型し、縫製などで別に形成された袋状の表皮を被覆して一体化する。なお、袋状の表皮を予め金型内に配置し、その表皮内で発泡ウレタン樹脂を発泡させて表皮と一体化したコア体を形成する方法も知られている。
【0004】
さらに近年では、コア体の人体頭部が接触する部分のみを特に軟質としたヘッドレストも知られている。このような異硬度ヘッドレストは、頭部の接触する部分が軟質であるので触感がよく使用フィーリングに優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、地球資源の枯渇、環境汚染、地球温暖化などの問題が注目され、このような問題を解決するための物作りやリサイクルが行われつつある。ところがウレタンフォームは、その化学結合が安定なために、学術的には元の原料へのリサイクルが可能であるものの、そのコストがきわめて高いものとなる。したがって従来のヘッドレストにおいては、コア体を構成するウレタンフォームは焼却による熱を利用する熱リサイクル又は埋め立てに用いられているのが現状である。
【0006】
ところがウレタンフォームを構成するウレタン結合にはC−N結合を有しているために、熱リサイクルの条件によっては有毒物が生成する場合がある。また埋め立てでは地球資源の全くの無駄となり、上記問題を解決するものとならない。また異硬度ヘッドレストを製造するには、軟質とする部分のコア体表面に低密度のクッションパッドを配置する方法が主流であるが、硬度の異なるクッションパッドを製造する工程が別に必要となり、あるいはコア体とクッションパッドとの接着などの工数が必要となるために、コストが高いものとなっていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、コア体の元の原料へのリサイクルを可能とするとともに、容易に異硬度とできる車両用内装材とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に記載の芯体をもつ車両用内装材の製造方法の特徴は、芯体と、芯体に保持されたコア体と、少なくともコア体を被覆する袋状の表皮とよりなる車両用内装材の製造方法であって、バインダーを含む繊維集積体と芯体とを通気性の金型内に配置し、熱風を金型内に供給して加熱しながら金型で加圧することで、バインダーを軟化流動させて繊維集積体の繊維どうしを結合するとともに繊維集積体を所定形状に賦形してコア体を形成し、その後芯体を加熱して芯体の近傍のコア体を軟化流動させ、次いで金型による加圧を解除し、その後袋状の表皮をコア体に被覆することにある。
【0011】
この製造方法では、請求項2に記載のように、パイプ状の芯体に貫通孔を穿設しておき、一端から吹き込まれた熱風を貫通孔から吹き出すことでコア体を直接加熱することが望ましい。
なお、請求項3に記載のように、芯体としてステーを用い本発明をヘッドレストに適用すると特に効果的である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明により製造される車両用内装材では、コア体は繊維材料から形成された成形体よりなり、熱可塑性樹脂製のバインダーにより繊維材料どうしが結合されることで所定形状に賦形された状態が保持されている。したがってコア体を開繊することで容易に繊維集積体に戻すことができ、またコア体を構成する繊維材料に熱可塑性樹脂製の繊維材料を用いれば、加熱溶融により成形材料としてのリサイクルが可能となる。そしてバインダーに基体繊維と同種の熱可塑性樹脂を用いることで、リサイクル品の品質を安定することができ、リサイクルが一層容易となる。
【0013】
コア体を構成する繊維の材質としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂から形成された各種合成繊維、あるいは木綿、羊毛などの天然繊維などが例示される。そしてこれらの繊維から形成されたマット、ウエブなどの繊維集積体を原料としてコア体を形成することができる。なお単繊維の繊維長には特に制限がないが、あまり短いとクッション性及び耐ヘタリ性が低下するので30mm以上とするのが望ましい。
【0014】
バインダーとしては、同様にポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどの各種熱可塑性樹脂が例示される。コア体を構成する繊維と同種の熱可塑性樹脂を用いれば、リサイクル品の物性が向上するので一層望ましい。
【0015】
このバインダーは、粉末状、溶液状など各種性状のものを用いることができるが、繊維状のバインダー繊維を用いることが望ましい。バインダー繊維を用いることにより、繊維集積体の基体繊維どうしが立体的に複雑に絡み合って結合されるので、ヘタリなどの不具合が抑制される。
またバインダー繊維としては、中心繊維とその中心繊維表面に被覆された被覆層とからなる二重構造をなし、中心繊維より被覆層の融点が低く構成された二重構造のバインダー繊維を用いることも好ましい。このようなバインダー繊維を用いることにより、加熱時にバインダー繊維の表面のみを溶融させることができ、バインダー繊維をコア体を構成する基体繊維の一部として用いることが可能となる。
【0016】
基体繊維とバインダー繊維との比率は、重量比で基体繊維:バインダー繊維=8:2〜5:5とすることができ、7:3近傍とするのが特に好ましい。バインダー繊維が50重量%より多くなるとコア体内の空隙量が低下してクッション性が低下し、バインダー繊維が20重量%より少なくなると繊維間の接合点の減少によりヘタリが生じ易くなる。
【0017】
本発明により製造される車両用内装材では、部分的に繊維径を異ならせることで異硬度とすることができる。すなわち、同種の繊維で密度が同じであれば、繊維径が太くなるほどコア体としたときの硬度が硬質となり、繊維径が細くなるほど軟質となる。したがって軟質とする部分に繊維径が小さい繊維を用いることにより、全体を同一の密度としてもその部分のみを軟質とすることができるので、車両用異硬度内装材を容易にかつ安価に形成することができる。
【0018】
請求項1に記載の車両用内装材の製造方法では、先ずバインダーを含む繊維集積体と芯体とを通気性の金型内に配置する。次に熱風を金型内に供給して加熱しながら、金型で内容物を加圧・圧縮する。すると繊維集積体がチャンバー形状に変形するとともに、バインダーが軟化流動して繊維集積体の繊維どうしの間に介在する。そして金型による加圧を維持しながら冷却することで、軟化流動したバインダーが冷却固化して繊維どうしを結合するため、繊維積層体の賦形形状が保持される。また繊維が芯体に絡みつくとともに、バインダーにより繊維と芯体とが接合される作用も加わり、芯体が繊維積層体と一体的に止着される。これにより繊維材料よりなる弾性をもつコア体が形成され、その後予め縫製などで別に形成された袋状の表皮をコア体に被覆することで、車両用内装材が製造される。
【0019】
繊維集積体を金型内に配置するには、例えばマット状やウエブ状に形成されたものをそのまま配置してもよいし、充分な量の単繊維を金型内に充填することもできる。またバインダーは、粉末状や溶液状であれば繊維集積体に含浸、振り掛けなどの手段で混合して、金型内に配置できる。バインダー繊維を用いる場合は、基体繊維と混綿して均一な繊維集積体として配置することが好ましい。
【0020】
金型としては、熱風を外部から金型内に供給可能な通気性のものが用いられる。成形材料が繊維であるので、通気孔としては成形に支障がない範囲で大きなものを用いることができる。例えば一般的な金型に貫通孔を穿設したものでもよいし、金網、パンチングメタルなどから形成された金型を用いることもできる。しかし金網やパンチングメタルからヘッドレストのような複雑な三次元曲面の金型を製造するには、そのための別の金型が必要となりコスト面で好ましくない。したがって木型から製造できる電鋳型を用いるのが特に望ましい。
【0021】
熱風の温度は、バインダーの溶融温度以上で繊維集積体の溶融温度未満とする。また二重構造のバインダー繊維を用いる場合には、表面の被覆層の溶融温度以上でバインダ繊維の中心繊維及び基体繊維の溶融温度未満とする。この熱風の熱媒体としては、熱空気、蒸気などを用いることができる。
この熱風は、金型内の繊維集積体全体に均一に供給されるように構成することが望ましい。したがって熱風の送風圧力を高くしたり、熱風の供給側と反対側の金型外部から負圧で吸引したりすることが望ましい。
【0022】
繊維集積体から成形して車両用異硬度内装材を製造するには、同一径の繊維を用いて成形品の一部の密度を高くすることでその部分を硬質とすることができる。しかし一部の密度を高くするためには、予め密度の高い繊維集積体を配置したり、加圧力を部分的に異ならせたりすることが必要となるので、コスト面で問題がある。
【0023】
しかしながら本発明の製造方法によれば、異硬度の車両用内装材を一層容易にかつ安価に製造することができる。つまり硬質としたい部分を成形する金型内の一部に、他の部分に配置される繊維より繊維径の小さな繊維を配置しておく。これにより全体を同一密度として、繊維径の小さな繊維の部分のみを軟質とすることができる。
【0024】
ところで、繊維間の空隙を確保してクッション性を良好とするためには、バインダー量をできるだけ少なくすることが好ましい。しかしバインダー量が少なくなると、芯体と繊維間に介在するバインダー量が少なくなり、芯体とコア体との止着強度が低下してガタが生じる場合がある。また成形時の熱風の供給のみでは、完全に溶融しないバインダーも存在するためバインダーの有効利用が困難であり、上記不具合が発生しやすい。
【0025】
そこで、繊維集積体を賦形後にコア体の少なくとも芯体の近傍を軟化流動させ、その後金型による加圧を解除することが望ましい。これにより芯体近傍のバインダーの有効利用が図れ、ガタを抑制することができる。また接着剤を用いて芯体とコア体とを接着することもでき、少なくとも芯体の周囲に熱収縮性繊維を用いればその収縮力によりガタを抑制することができる。
【0026】
このようにコア体の少なくとも芯体の近傍を軟化流動させるには、熱風の供給時間を長くしたり、金型で加圧した状態で炉内に入れて加熱したりする方法がある。しかしこれらの方法では、加熱時間が長くなって成形のサイクルタイムが長大化し、工数が多大となるという不具合がある。また接着剤を用いる方法、あるいは熱収縮性繊維を用いる方法でも、接着剤を塗布する工数や特別な繊維を配置する工数、さらには別の原材料が必要となるため、工数が多大となりコスト面で問題がある。
【0027】
【実施例】
以下、参考例により本発明を具体的に説明する。
(参考例1)
図1に本発明の一参考例であるヘッドレストの断面図を示す。このヘッドレストは、コア体1と、コア体1内に一体的に埋設されるとともにコア体1より突出するステー2と、織布からなりコア体1を被覆する袋状の表皮3とより構成されている。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本発明の一実施例であるヘッドレストの断面図を示す。このヘッドレストは、コア体1と、コア体1内に一体的に埋設されるとともにコア体1より突出するステー2と、織布からなりコア体1を被覆する袋状の表皮3とより構成されている。
【0029】
コア体1はポリエステル繊維の繊維成形体よりなり、みかけ密度0.032g/cm3に圧縮された構造であるが、図2に示すように基体繊維10とバインダー繊維11とからなり、基体繊維10とバインダー繊維11が部分的に絡み合い、バインダー繊維11どうしが部分的に接合されている。これによりコア体1の賦形形状が保持されている。
【0030】
ステー2は鋼製パイプ材から略コ字形状に形成され、中央部分の一部がコア体1内に埋設されて、両側の脚部20がコア体1から突出して互いに平行に延びている。
表皮3は織布などから縫製により袋状に形成され、コア体1を物理的に被覆しているのみである。
【0031】
以下、上記ヘッドレストの製造方法を説明する。
図3に本参考例で用いた成形型を示す。この成形型4は、中央で分離可能に結合された上下一対の筒型40と、互いの型面どうしが対向し互いに近付く方向及び遠ざかる方向にスライド移動自在に筒型40内に配置された下型41及び上型42とから構成されている。
【0032】
下型41及び上型42はそれぞれ電鋳型からなり、それぞれ目的とするヘッドレストの三次元曲面をもつとともに、表裏面を貫通するパンチングメタル風の無数の通気孔43を備えている。
下型41の下方には図示しない真空ポンプが配置され、通気孔43から下型41の型面側の空気を吸引可能に構成されている。また上型42の上方には図示しない熱風供給装置が配置され、通気孔43から上型42の型面側へ熱風を供給可能に構成されている。
【0033】
先ず上型42を筒型40から抜き、上部の筒型40を中央から分離して、下方へ移動している下型41上にマット状に形成された繊維集積体5を投入する。次にステー2を配置し、再び一対の筒型40を結合する。このときステー2の脚部21が一対の筒型40に挟持されて固定される。
次に、筒型40内にマット状に形成された繊維集積体5をさらに投入する。繊維集積体5の投入量は合計で 160gである。この繊維集積体5は、繊維径12d(デニール)の基体繊維10としてのポリエステル綿((株)帝人製)と、ポリエステル製の繊維径4dのバインダー繊維11((株)帝人製)とが7:3の重量比で混綿されて形成され、その密度は 0.005〜0.010g/cm3である。バインダー繊維11は中心繊維と被覆層の二重構造をなし、中心繊維のポリエステルの溶融温度は 254℃、被覆層のポリエステルは70℃程度から軟化して流動性を示す。基体繊維10のポリエステルの溶融温度は 254℃である。
【0034】
そして上型42を筒型40に挿入し、下型41と上型42とで繊維集積体5を圧縮する。これとほぼ同時に、下型41の下方から真空ポンプにより通気孔43を介してチャンバー内の空気を吸引するとともに、上型42の上方から通気孔43を介してチャンバー内に 170℃の熱空気を供給する。
これにより図4に示すように、繊維集積体5は筒型40、下型41及び上型42の型面で囲まれた所定体積に圧縮され、その状態でバインダー繊維11の被覆層が溶融して基体繊維10どうしの間、あるいはバインダー繊維11と基体繊維10の間に含浸される。
【0035】
その状態で3分間保持し、その後熱風を冷風に切り替える。これにより溶融したバインダー繊維11の被覆層が固化し、基体繊維10どうしを接合するとともに、バインダー繊維11と基体繊維10を接合してコア体1が形成され、かつコア体1とステー2とが接合される。
そして下型41と上型42を互いに遠ざかる方向へ移動させ、次いで筒型40を分離することでステー2が一体化されキャビティ形状に賦形されたコア体1を離型する。そして別に形成された表皮3をコア体1に被せることで、本発明の一参考例のヘッドレストが製造される。
【0036】
得られたコア体1の物性を表1に示す。なお、乾熱圧縮残留歪率は、試験片の厚さの約75%の距離まで手掌圧にて予備圧縮を10回行い、1分間以上放置後、試験片の厚さを測定し、金属製の両面平行な圧縮板で試験片の厚さの25%に圧縮固定して70±2℃の恒温槽中で連続22時間加熱したのち取り出し、試験片を圧縮板から外し室温中で30分間放置したのち、その厚さを測定する。そして初めの試験片の厚さと試験後の試験片の厚さとの差の、初めの試験片の厚さに対する割合を乾熱圧縮残留歪率とする。
【0037】
(参考例2)
基体繊維10として繊維径12dのものを40重量%と繊維径6dのものを30重量%用い、バインダー繊維11を30重量%用いて繊維集積体5を構成したこと以外は参考例1と同様にして、参考例2のヘッドレストを製造した。得られたコア体1の物性を表1に示す。
【0038】
(参考例3)
基体繊維10として繊維径12dのものを40重量%と、繊維径2dのものを30重量%用い、バインダー繊維11を30重量%用いて繊維集積体5を構成したこと以外は参考例1と同様にして、参考例3のヘッドレストを製造した。得られたコア体1の物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
表1より、基体繊維10に繊維径が細いものが多くなるとコア体1が軟質となることがわかる。しかし上記実施例では、いずれのコア体も乾熱圧縮残留歪率が20%以上であり、耐ヘタリ性が少しばかり弱い。
【0040】
そこで耐ヘタリ性を改良した参考例4のヘッドレストを製造した。
(参考例4)
上記参考例に比べて弾性率の高い二重構造のバインダー繊維(「エルク」(株)帝人製)を30重量%用いて繊維集積体5を構成したこと以外は参考例1と同様にして、参考例4のヘッドレストを製造した。
【0041】
(参考例5)
基体繊維10を80重量%用い、バインダー繊維(「エルク」(株)帝人製)を20重量%用いて繊維集積体5を構成したこと以外は参考例1と同様にして、参考例5のヘッドレストを製造した。
参考例1、参考例4〜5で製造されたコア体1の密度と乾熱圧縮残留歪率を測定し、結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
表2より、弾性率の高いバインダー繊維を用いることで乾熱残留歪率が大幅に低下し、同じ密度でも耐ヘタリ性が格段に向上していることがわかる。
【0043】
(参考例6)
本参考例では、人体頭部が接触する部分のみが軟質で、多の部分が比較的硬質なヘッドレストを製造している。
図5に示すように、繊維径6dの基体繊維70重量%と、参考例1と同様のバインダー繊維30重量%とからなる第1繊維集積体60を下型41表面に40g投入し、次いで繊維径12dの基体繊維70重量%と、参考例1と同様のバインダー繊維30重量%とからなる第2繊維集積体61を、既に投入されている第1繊維集積体60の上に重ねて 120g投入した。
【0044】
そして参考例1と同様にして成形し、参考例6のヘッドレストを製造した。
参考例1と参考例6のヘッドレストについて、5mm撓み時の荷重と 29.4N荷重時の撓み量をそれぞれ測定し、結果を表3に示す。なお、測定は以下のようにして行う。つまり図6に示すようにコア体 100を固定台 101にセットし、先端の曲率半径82.5mmで直径25mmの圧縮子 102がコア体 100の加圧位置に面に直角に接する点を基点として、最初に荷重39.2Nまで圧縮する。そののち直ちに荷重をとり除く。あらためて1分後に荷重39.2Nまで圧縮して、図7のような”圧縮撓み荷重曲線”を作成し、その曲線から読み取ることで、5mm撓み時の荷重と 29.4N荷重時の撓み量をそれぞれ測定する。圧縮スピードは20mm/min、除圧スピードは300mm/min以上、チャートスピードは200mm/min、フルスケール49Nとする。
【0045】
【表3】
表3より、参考例6のヘッドレストの方が軟質であり、これは第1繊維集積体60をコア体1の表面に用いた効果であることが明らかである。つまり繊維径の細い繊維集積体を用いることで、その部分を軟質とすることができ、異硬度ヘッドレストを容易に製造することができる。
【0046】
(参考例7)
図8に本発明の一参考例であるアームレストの断面図を示す。このアームレストは、コア体7と、コア体7内に一体的に埋設された金属製の芯体8と、織布からなりコア体7及び芯体8を被覆する袋状の表皮9とより構成されている。
このアームレストは、ステー2の代わりに芯体8を金型内に配置したこと以外は参考例1のヘッドレストと同様に形成されている。したがってコア体7は基体繊維及びバインダー繊維が芯体8に絡みつくことで芯体8に止着されている。
【0047】
【発明の効果】
すなわち本発明で製造された車両用内装材によれば、コア体が繊維から形成されているので、従来のウレタンフォームに比べてリサイクルが容易となり地球資源の節約に貢献できる。
また本発明の製造方法によれば、上記内装材及び異硬度の内装材を工数少なく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一参考例であるヘッドレストの断面図である。
【図2】本発明の一参考例であるヘッドレストのコア体の模式的拡大図である。
【図3】本発明の一参考例であるヘッドレストの製造方法に用いた成形型を示し、繊維集積体を投入した状態の断面図である。
【図4】本発明の一参考例であるヘッドレストの製造方法に用いた成形型を示し、加圧・圧縮した状態の断面図である。
【図5】本発明の第7の参考例であるヘッドレストの製造方法に用いた成形型を示し、繊維集積体を投入した状態の断面図である。
【図6】ヘッドレストの圧縮撓み試験方法の説明図である。
【図7】圧縮撓み荷重曲線の一例を示すグラフである。
【図8】本発明の他の参考例であるアームレストの断面図である。
【符号の説明】
1:コア体 2:ステー(芯体) 3:表皮
4:成形型 5:繊維集積体 10:基体繊維
11:バインダー繊維 43:通気孔
Claims (3)
- 芯体と、該芯体に保持されたコア体と、少なくとも該コア体を被覆する袋状の表皮とよりなる車両用内装材の製造方法であって、
バインダーを含む繊維集積体と該芯体とを通気性の金型内に配置し、熱風を該金型内に供給して加熱しながら該金型で加圧することで、該バインダーを軟化流動させて該繊維集積体の繊維どうしを結合するとともに該繊維集積体を所定形状に賦形してコア体を形成し、その後該芯体を加熱して該芯体の近傍の該コア体を軟化流動させ、次いで該金型による加圧を解除し、その後袋状の表皮を該コア体に被覆することを特徴とする芯体をもつ車両用内装材の製造方法。 - パイプ状の前記芯体に貫通孔を穿設しておき、一端から吹き込まれた熱風を該貫通孔から吹き出すことで前記コア体を直接加熱する請求項1に記載の芯体をもつ車両用内装材の製造方法。
- 前記芯体はステーであり、前記車両用内装材はヘッドレストである請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材の製造方法。
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