JP3644135B2 - ホログラフィックステレオグラムの作成方法及び作成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、実写画像やコンピュータ生成画像等を三次元認識することができるホログラフィックステレオグラムの作成方法及び作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラフィックステレオグラムは、被写体を異なる観察点から順次撮影することにより得られた多数の画像を原画として、これらを1枚のホログラム記録媒体に短冊状又はドット状の要素ホログラムとして順次記録することにより作成される。
【0003】
例えば、水平方向のみに視差情報を持つホログラフィックステレオグラムでは、図6に示すように、被写体100を水平方向の異なる観察点から順次撮影することにより得られた複数の原画101a〜101eが、短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体102に順次記録される。
【0004】
このホログラフィックステレオグラムは、これをある位置から片方の目で見た場合、各要素ホログラムの一部分の画像情報の集合体である二次元画像が見え、目の位置を水平方向に動かせば、各要素ホログラムの別の部分の画像情報の集合体である二次元画像が見える。したがって、このホログラフィックステレオグラムを観察者が両目で見たときには、左右の目の位置が水平方向で異なるために、これらの目にそれぞれ写る2次元画像は若干異なるものとなる。これにより、観察者は視差を感じ、3次元画像として認識される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ホログラフィックステレオグラムを作成する際に、それぞれの要素ホログラムは、干渉性の良いレーザ光源を分岐し、一つは画像表示手段(例えば液晶パネル)により二次元画像変調された投影像(物体光)として、一つは参照光として、感光材料を記録材料とするホログラム記録媒体に集光し、前記感光材料の屈折率変化として干渉縞を記録することにより形成される。
【0006】
このとき、高画質のホログラムを得るためには、画像表示手段の近傍に拡散板を置くことが有効である。
【0007】
しかしながら、前記拡散板を配置しても、得られるホログラムに観察される無限遠に定位したノイズを解消することはできない。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであって、無限遠に定位するノイズを解消することができ、高画質なホログラムを得ることが可能なホログラフィックステレオグラムの作成方法を提供することを目的とし、さらには作成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明のホログラフィックステレオグラムの作成方法は、表示手段にホログラム記録媒体の座標位置に対応した画像を表示させ、この表示手段を透過したレーザ光を物体光としてホログラム記録媒体の前記座標位置に集光するとともに、表示手段を透過する前のレーザ光の一部を参照光としてホログラム記録媒体に同時に照射し、前記ホログラム記録媒体に短冊状またはドット状の要素ホログラムを順次形成するホログラフィックステレオグラムの作成方法において、上記表示手段の近傍にレーザ光を拡散する第1の拡散板を配するとともに、ホログラム記録媒体の直前に要素ホログラム幅に対応した開口部を有するマスク及びこのマスクの開口部を透過した物体光を一次元拡散する第2の拡散板を配し、上記第1の拡散板の位置を要素ホログラム毎に任意に変えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のホログラフィックステレオグラムの作成装置は、ホログラム記録媒体の座標位置に対応して画像を表示する表示手段と、上記表示手段を透過するレーザ光を物体光としてホログラム記録媒体に照射するとともに、表示手段を透過する前のレーザ光の一部を参照光としてホログラム記録媒体に同時に照射するためのレーザ光源と、上記表示手段の近傍に配されレーザ光を拡散する第1の拡散板と、上記第1の拡散板を要素ホログラム毎に移動する拡散板移動手段と、上記ホログラム記録媒体の直前に配され要素ホログラム幅に対応した開口部を有するマスク及びこのマスクの開口部を透過した物体光を一次元拡散する第2の拡散板とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、物体光は第1の拡散板により要素ホログラム幅方向に適正に拡散され、マスクにより不要な物体光が遮蔽される。
【0012】
このとき、拡散板を固定状態とするのではなく、各要素ホログラムの露光毎に移動し、その位置を変えているので、光学系の不均一性が分散され、各要素ホログラムの露光の均一性が高まり、同時に無限遠に定位するノイズが解消される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に構成を変更することが可能である。
【0014】
先ず、ホログラフィックステレオグラムを作成するホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例について説明する。なお、本実施の形態では、短冊状の複数の要素ホログラムを1つの記録媒体上に記録することにより、水平方向の視差情報を持たせたホログラフィックステレオグラムを例に挙げる。ただし、本発明は、ドット状の複数の要素ホログラムを1つの記録媒体上に記録することにより、横方向及び縦方向の視差情報を持たせたホログラフィックステレオグラムに対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0015】
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたホログラム記録媒体をそのままホログラフィックステレオグラムとする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムであり、図1に示すように、記録対象の画像データの処理を行うデータ処理部1と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ2と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3とから構成されている。
【0016】
データ処理部1は、多眼式カメラや移動式カメラ等を備えた視差画像列撮影装置13から供給される視差情報を含む複数の画像データD1や、画像データ生成用コンピュータ14によって生成された視差情報を含む複数の画像データD2等に基づいて、視差画像列D3を生成する。
【0017】
ここで、視差画像列撮影装置13から供給される視差情報を含む複数の画像データD1は、例えば、多眼式カメラによる同時撮影、又は移動式カメラによる連続撮影等によって、実物体を水平方向の異なる複数の観察点から撮影することにより得られた複数画像分の画像データである。
【0018】
また、画像データ生成用コンピュータ14によって生成された視差情報を含む複数の画像データD2は、例えば、水平方向に順次視差を与えて作成された複数のCAD(Computer Aided Design)画像やCG(Computer Graphics)画像等の画像データである。
【0019】
そして、データ処理部1は、視差画像列D3に対して画像処理用コンピュータ11によってホログラフィックステレオグラム用の所定の画像処理を施す。そして、所定の画像処理が施された画像データD4を、メモリ又はハードディスク等の記憶装置12に記録する。
【0020】
また、データ処理部1は、ホログラム記録媒体に画像を記録する際に、記憶装置12に記録された画像データD4から、1画像分毎にデータを順番に読み出し、この画像データD5を制御用コンピュータ2に送出する。
【0021】
一方、制御用コンピュータ2は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3を駆動し、データ処理部1から供給された画像データD5に基づく画像を、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3内にセットされたホログラム用記録媒体30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
【0022】
このとき、制御用コンピュータ2は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3に設けられたシャッタ32、表示装置41及び記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ2は、シャッタ32に制御信号S1を送出してシャッタ32の開閉を制御し、また、表示装置41に画像データD5を供給して表示装置41に当該画像データD5に基づく画像を表示させ、また、記録媒体送り機構に制御信号S2を送出して記録媒体送り機構によるホログラム用記録媒体30の送り動作を制御する。
【0023】
上記ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3について、図2を参照して詳細に説明する。なお、図2(A)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3全体の光学系を上方から見た図であり、図2(B)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の光学系の物体光用の部分を横方向から見た図である。
【0024】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、図2(A)に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32及びハーフミラー33とを備えている。本実施の形態では、レーザ光源31には、波長が514.5nm、出力200mWのアルゴンレーザを用いた。
【0025】
上記シャッタ32は、制御用コンピュータ2によって制御され、ホログラム記録媒体30を露光しないときには閉じられ、ホログラム記録媒体30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0026】
なお、上記光学系において、ハーフミラー33によって反射され、ホログラム記録媒体30に入射する参照光の光路長と、ハーフミラー33を透過しホログラム記録媒体30に入射する物体光の光路長とは、ほぼ同じ長さとする。これにより、参照光と物体光との干渉性が高まり、より鮮明な再生像が得られるホログラフィックステレオグラムを作成することが可能となる。
【0027】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する全反射ミラー36とがこの順に配置されている。
【0028】
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、全反射ミラー36によって反射され、ホログラム記録媒体30に入射する。
【0029】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、図2(A)及び図2(B)に示すように、物体光用の光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する全反射ミラー38、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40、記録対象の画像を表示する表示装置41、表示装置41を透過してきた光を要素ホログラムの幅方向に拡散させる一次元拡散板42、一次元拡散板42を透過した物体光をホログラム記録媒体30上に集光するシリンドリカルレンズ43、要素ホログラムの幅に対応して短冊状の開口部が形成されたマスク44がこの順に配置されている。
【0030】
また、反射型のホログラムの場合には、ホログラム記録媒体30の直前に一次元拡散板を配するのが一般的であり、本例でもマスク44とホログラム記録媒体30の間に一次元拡散板45が第2の拡散板として配置されている。
【0031】
この一次元拡散板45は、集光された物体光を短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散するもので、垂直方向(縦方向)での視点の移動に対応するためのものである。
【0032】
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、全反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの発散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、本実施の形態では、スペーシャルフィルタ39には、20倍の対物レンズと直径20μmのピンホールを用いた。また、コリメータレンズ40の焦点距離は100mmとした。
【0033】
表示装置41は、例えば液晶ディスプレイからなる投影型の画像表示装置であり、制御用コンピュータ2によって制御され、制御用コンピュータ2から送られた画像データD5に基づく画像を表示する。本例では、画素数480×1068、大きさ16.8mm×29.9mmの白黒液晶パネルを用いた。
【0034】
そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像によって変調された光となり、一次元拡散板42によって拡散される。一次元拡散板42は、表示装置41の近傍に配置すればよく、表示装置41の直前、あるいは直後に配置される。本例では、表示装置41の直後に配置した。
【0035】
ここで、拡散板42は、表示装置41からの透過光を要素ホログラム幅方向に若干拡散させることにより、要素ホログラム内に光を分散させることで、作成されるホログラフィックステレオグラムの画質の向上に寄与する。
【0036】
このとき、拡散板42には、拡散板移動手段(図示は省略する。)を設け、各要素ホログラムを形成する毎にこれをランダムに移動し、その位置を要素ホログラム毎に変えるようにする。これにより、ホログラムを観察したときに無限遠に定位するノイズを低減することができる。
【0037】
拡散板42の移動のための拡散板移動手段としては、ステッピングモータ等の機械的手法によって拡散板42を一定量ずつ移動する移動機構等が採用でき、これによる拡散板42の移動方向は、要素ホログラムの幅方向[図2(B)中、矢印X方向]であってもよいし、これとは直交する方向[図2(A)中、矢印Y方向]であってもよい。さらには、これらを組み合わせてもよいし、全くのランダムに移動してもよい。往復動とすることも可能である。
【0038】
本実施の形態では、拡散板42を要素ホログラムの幅方向(矢印X方向)に0.5mm程度ずつ移動し、良好な結果を得た。移動量は、これより少なくてもよいし、多くてもよい。表示装置41の透過光が拡散板42内に収まる範囲内で任意に設定することができる。
【0039】
このように、拡散板42を配置することで、要素ホログラムの幅内が一様に露光されるため、得られるホログラムの画質が向上するが、前記一様な露光を実現しようとすると、拡散板42の拡散をある程度強くする必要があり、拡散板42により拡散された物体光は、ホログラム記録媒体30上で広がりを持ち、本来の要素ホログラムの幅よりも広い範囲を露光してしまうことになる。
【0040】
そこで、マスク44によって不要な光を遮蔽し、各要素ホログラムが適正な幅で露光されるようにする。すなわち、拡散板42による拡散と、マスク44による不要光の遮蔽によって、一様で適正な露光幅が得られるようにする。
【0041】
すなわち、表示装置41からの透過光は、拡散板42を透過して要素ホログラムの幅方向に拡散された後、シリンドリカルレンズ43によりホログラム記録媒体30上に集束される。このとき、拡散板42の影響により、物体光は1点には集光せず、ある範囲に広がる。
【0042】
この広がった集束光のうち、中心部の所定範囲だけをマスク44の開口部44aを透過させ、物体光としてホログラム記録媒体30に入射する。
【0043】
物体光の形状は短冊状である。
【0044】
上記マスク44とホログラム記録媒体30の間には、一次元拡散板45が第2の拡散板として配置されており、マスク44を通過した物体光は、短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散され、ホログラム記録媒体30に照射される。これにより、反射型ホログラムの縦方向(垂直方向)の視野角を広げることができる。
【0045】
この一次元拡散板45は、固定状態とすることも可能であるが、ホログラム面上に定位するノイズを解消するために、第1の拡散板42と同様、各要素ホログラムの露光毎に移動することが好ましい。移動方向は任意であるが、通常は、水平方向のスジを解消するために、短冊状の要素ホログラムの長手方向[図2(A)中、矢印V方向]とされる。
【0046】
上記ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、制御用コンピュータ2の制御のもとに、ホログラム記録媒体30を1要素ホログラム分だけ間欠送りし得る記録媒体送り機構50を備えている。この記録媒体送り機構50は、後述するように、制御用コンピュータ2からの制御信号に基づいて、フィルム状のホログラム記録媒体を間欠送りし得るようになっている。そして、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3でホログラフィックステレオグラムを作成する際は、記録媒体送り機構50に所定の状態でセットされたホログラム記録媒体30に対して、視差画像列の各画像データに基づく画像を短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
【0047】
ここで、上記ホログラフィックステレオグラム作成システムにおいて使用されるホログラム記録媒体30について、図3及び図4を参照して、詳細に説明する。
【0048】
このホログラム記録媒体30は、図3に示すように、テープ状に形成されたフィルムベース材30a上に光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層30bが形成されるとともに、当該フォトポリマ層30b上にカバーシート30cが被着されることにより形成された、いわゆるフィルム塗布タイプの記録媒体である。なお、本実施の形態において、感光部となるフォトポリマ層30bには、デュポン株式会社製の商品名「OMNI−DEX」を使用し、その膜厚は約20μmとした。
【0049】
光重合型フォトポリマは、初期状態では、図4(A)に示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図4(B)に示すように、10〜400mJ/cm2 程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図4(C)に示すように、1000mJ/cm2 程度のパワーの紫外線又は可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の変化として記録することができる。
【0050】
このような光重合型フォトポリマを用いたホログラム記録媒体30は、露光後に特別な現像処理を施す必要が無い。したがって、光重合型フォトポリマを感光部に用いたホログラム記録媒体30を使用する本実施の形態に係るホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、構成を簡略化することができる。
【0051】
次に、上記記録媒体送り機構50について、図5を参照して詳細に説明する。ここで、図5は、上記ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の記録媒体送り機構50の部分を拡大した図である。
【0052】
図5に示すように、記録媒体送り機構50は、ローラ51と、間欠送り用ローラ52とを備えており、ホログラム記録媒体30は、ローラ51に巻き付けられた状態でフィルムカートリッジ53内に収納されている。そして、この記録媒体送り機構50は、所定位置に装填されたフィルムカートリッジ53内のローラ51を所定のトルクをもって回転自在に軸支するとともに、当該フィルムカートリッジ53から引き出されたホログラム記録媒体30を、ローラ51と間欠送り用ローラ52とで保持し得るようになされている。このとき、記録媒体送り機構50は、ホログラム用記録媒体30の主面が、ローラ51と間欠送り用ローラ52と間において物体光に対してほぼ垂直となるように、ホログラム記録媒体30を保持する。また、ローラ51及び間欠送り用ローラ52は、トーションコイルばねにより互いに離反する方向に付勢されており、これにより、ローラ51と間欠送り用ローラ52との間に掛け渡されるようにローディングされたホログラム用記録媒体30に対して、所定のテンションが付与される。
【0053】
上記記録媒体送り機構50の間欠送り用ローラ52は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて、図中矢印A1で示す方向に自在に回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ2から供給される制御信号S2に基づいて、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ52を順次回転させる。これにより、ホログラム記録媒体30は、1画像分の露光毎に1要素ホログラム分だけ送られることとなる。
【0054】
また、ホログラム記録媒体30の進路のうち間欠送り用ローラ52の後段には、当該進路に沿って紫外線ランプ54が配設されている。この紫外線ランプ54は、露光されたホログラム記録媒体30のモノマMの重合を完了させるためのものであり、間欠送り用ローラ52によって送られてきたホログラム記録媒体30に対して、所定パワーの紫外線UVを照射し得るようになされている。
【0055】
さらに、ホログラム記録媒体30の進路のうち紫外線ランプ54の後段には、回転自在に軸支されたヒートローラ55と、一対の排出用送りローラ56,57と、カッター58とが順次配設されている。
【0056】
ここで、排出用送りローラ56,57は、ホログラム記録媒体30のカバーシート30c側がヒートローラ55の周側面に約半周にわたって密着した状態に巻きつくように、ホログラム記録媒体30を送るようになされている。この排出用送りローラ56,57は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ2から供給される制御信号S2に基づいて、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ52の回転と同期して、排出用送りローラ56,57を順次回転させる。これにより、ホログラム記録媒体30は、間欠送り用ローラ52と排出用送りローラ56,57と間において弛むことなく、確実にヒートローラ55の周側面に密着した状態で送られることとなる。
【0057】
上記ヒートローラ55は、内部にヒータ等の発熱手段を備えており、この発熱手段により、その周側面が約120℃程度の温度を保ち得るようになされている。そして、このヒートローラ55は、送られてきたホログラム記録媒体30のフォトポリマ層30bをカバーシート30cを介して加熱することにより、フォトポリマ層30bの屈折率変調度を増加させ、ホログラム記録媒体30に記録画像を定着させる。このため、ヒートローラ55は、その周側面にホログラム記録媒体30が当接し始めてから離れるまでに記録画像が定着し得る程度の時間がかかるようにその外径が選定されている。
【0058】
また、カッター58は、図示しないカッター駆動機構を備えており、このカッター駆動機構を駆動することにより、送られてきたホログラム記録媒体30を切断し得るようになされている。このカッター駆動機構は、制御用コンピュータ2から供給される制御信号S2に基づいて、ホログラム記録媒体30に視差画像列の各画像データに基づく各画像が全て記録された後、当該ホログラム記録媒体30の画像が記録された全ての部分がカッター58よりも外部に排出された段階で、カッター58を駆動させる。これにより、画像データが記録された部分が他の部分から切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
【0059】
最後に、以上のような構成を有するホログラフィックステレオグラム作成システムでホログラフィックステレオグラムを作成する際の動作について説明する。
【0060】
ホログラフィックステレオグラムを作成する際、制御用コンピュータ2は、データ処理部1から供給された画像データD5に基づいて表示装置41を駆動して、表示装置41に画像を表示させる。その後、制御用コンピュータ2は、シャッタ32に制御信号S1を送出して所定時間だけシャッタ32を開放させ、ホログラム記録媒体30を露光する。このとき、レーザ光源31から出射されシャッタ32を透過したレーザ光L2のうち、ハーフミラー33によって反射された光L3が、参照光として、光導入用ブロック37を介してホログラム記録媒体30に入射する。同時に、ハーフミラー33を透過した光L4が、表示装置41に表示された画像が投影された投影光となり、当該投影光が物体光としてホログラム記録媒体30に入射する。これにより、表示装置41に表示された1画像が、ホログラム記録媒体30に短冊状の要素ホログラムとして記録される。
【0061】
そして、ホログラム記録媒体30への1画像の記録が終了すると、次いで、制御用コンピュータ2は、間欠送り用ローラ52に接続されたステッピングモータと、排出用送りローラ56,57に接続されたステッピングモータとに制御信号S2を送出してこれらを駆動し、これにより、ホログラム記録媒体30を1要素ホログラム分だけ送らせる。同時に、制御用コンピュータ2から供給される制御信号に基づいて、拡散板移動手段の例えばステッピングモータを駆動し、拡散板42をランダムに移動する。本例では、要素ホログラムの幅方向(矢印X方向)に0.5mm程度ずつ移動した。
【0062】
次いで、制御用コンピュータ2は、データ処理部1から供給される次の画像データD5に基づいて表示装置41を駆動して、次の画像を表示装置41に表示させる。この後、上述と同様の動作を順次繰り返すことにより、データ処理部1から供給される各画像データD5に基づく各画像が、ホログラム記録媒体30に短冊状の要素ホログラムとして順次記録される。
【0063】
すなわち、このホログラフィックステレオグラム作成システムでは、記憶装置12に記録された画像デー夕に基づく画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体30に順次記録される。このとき、ホログラム記録媒体30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、水平方向(横方向)に連続して並ぶこととなる。これにより、水平方向の視差情報を含む複数の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム用記録媒体30に記録され、水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られる。
【0064】
この後、以上のように要素ホログラムが記録されたホログラム記録媒体30には、紫外線ランプ54から紫外線UVが照射される。これにより、モノマMの重合が完了する。次いで、ホログラム記録媒体30は、ヒートローラ55により加熱され、これにより、記録画像の定着がなされる。
【0065】
そして、画像が記録された部分が全て外部に送り出されると、制御用コンピュータ2は、カッター駆動機構に制御信号S2を供給して、カッター駆動機構を駆動する。これにより、ホログラム記録媒体30のうち、画像が記録された部分がカッター58によってから切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
【0066】
以上の工程により、水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが完成する。
【0067】
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明してきたが、本発明がこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記の説明では、水平方向視差のみの(すなわち、短冊状の要素ホログラムを持つ)ホログラフィックステレオグラムについて説明してきたが、全く同様に、矩形ドット状の要素ホログラムを持ち縦横両方の視差を持つホログラフィックステレオグラムについても本発明を適用することができる。
【0069】
また、上記の説明では、反射型ホログラムを例に説明したが、透過型ホログラムやエッジリット型ホログラムに対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、無限遠に定位するノイズを解消することができ、高画質のホログラフィックステレオグラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例を示す模式図である。
【図2】ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の一例を示す模式図である。
【図3】ホログラム用記録媒体の一例を示す断面図である。
【図4】光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す模式図である。
【図5】記録媒体送り機構の一構成例を示す模式図である。
【図6】ホログラフィックステレオグラムの作成方法を示す模式図である。
【符号の説明】
30 ホログラム記録媒体、31 レーザ光源、41 表示装置、42 第1の拡散板、44 マスク、45 一次元拡散板、L3 参照光、L4 物体光
Claims (2)
- 表示手段にホログラム記録媒体の座標位置に対応した画像を表示させ、この表示手段を透過したレーザ光を物体光としてホログラム記録媒体の前記座標位置に集光するとともに、表示手段を透過する前のレーザ光の一部を参照光としてホログラム記録媒体に同時に照射し、前記ホログラム記録媒体に短冊状またはドット状の要素ホログラムを順次形成するホログラフィックステレオグラムの作成方法において、
上記表示手段の近傍にレーザ光を拡散する第1の拡散板を配するとともに、ホログラム記録媒体の直前に要素ホログラム幅に対応した開口部を有するマスク及びこのマスクの開口部を透過した物体光を一次元拡散する第2の拡散板を配し、上記第1の拡散板の位置を要素ホログラム毎に任意に変えることを特徴とするホログラフィックステレオグラムの作成方法。 - ホログラム記録媒体の座標位置に対応して画像を表示する表示手段と、
上記表示手段を透過するレーザ光を物体光としてホログラム記録媒体に照射するとともに、表示手段を透過する前のレーザ光の一部を参照光としてホログラム記録媒体に同時に照射するためのレーザ光源と、
上記表示手段の近傍に配されレーザ光を拡散する第1の拡散板と、
上記第1の拡散板を要素ホログラム毎に移動する拡散板移動手段と、
上記ホログラム記録媒体の直前に配され要素ホログラム幅に対応した開口部を有するマスクと、
このマスクの開口部を透過した物体光を一次元拡散する第2の拡散板と
を備えることを特徴とするホログラフィックステレオグラム作成装置。
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