JP3637192B2 - 電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置および分光分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体表面部の成分を光学的処理により検出する分光分析装置に関し、特に、これに限定する意図ではないが、電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化層中の酸化物をオンラインで赤外分光により定量的に測定する分光分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化層は、最表面の外部酸化層とその直下の内部酸化層からなる。外部酸化層にはSiO2とFe系及びMn系酸化物が存在し、内部酸化層にはSiO2が存在することがわかっている。Fe系及びMn系酸化物は、(Fe,Mn)2SiO4又は(Fe,Mn)SiO3として存在している。電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を定量的に測定する方法としては、特開平8−246053号公報に開示されているように、FT−IR法を用いて赤外反射スペクトルを測定する方法が知られている。
【0003】
この特開平8−246053号公報に開示の方法は、電磁鋼脱炭焼鈍板の赤外吸収スペクトル(検出スペクトル)が、該焼鈍板の酸化層の各成分の赤外吸収スペクトル(成分スペクトル)の和であるとして、検出スペクトル=Σ〔(1つの成分の概知の赤外吸収スペクトル)×(該成分の量対応係数)〕と見なし、各成分の量対応係数を未知数(求める値)として、複数の波数(波長)の各検出スペクトル値(各波数での吸収度)を上記の左辺に代入した複数の式を連立式とし、全連立式を同時に満す各成分の量対応係数を算出し、算出した係数を成分含有量に変換する。
【0004】
前記従来技術では、電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物の赤外反射吸収スペクトルの測定は一般的なFT−IR法を用いて行うので、オフラインでの測定が前提とされている。FT−IR法では、サンプル台に標準ミラ−を置き標準ミラ−のスペクトルを測定し、次にサンプル台に分析対象(サンプル)を置きサンプルのスペクトルを測定する。その後サンプルのスペクトルを標準ミラ−のスペクトルで補正する事によりサンプルの反射スペクトルを得る。電磁鋼脱炭焼鈍板では高感度反射吸収スペクトルを測定する。サンプルは静止しているので、測定に時間的制約はなく必要な精度が得られるまで長時間の測定が可能である。また、FT−IR装置では、除振台の上に設置できるので、光学系の設計は比較的簡単である。故に測定の精度を高くすることは容易である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところがオンラインで連続的に測定するためには、電磁鋼脱炭焼鈍ラインでは鋼板が移動(例えば100m/分程度)しているので、所要波数(複数)の赤外吸収スペクトル(吸光度)を数秒程度以下で測定する必要がある。すなわち、オフラインの場合よりも高速で測定する必要があり、所要波数の赤外吸収スペクトルを実質上同時に測定するのが好ましい。
【0006】
また、電磁鋼脱炭焼鈍ラインでは移動鋼板が振動し赤外光の反射する位置や角度が変化し反射光の光路がずれるので、光路変動の影響を受けにくくする対策が必要である。さらに、電磁鋼の製造現場は振動があり実験室のように環境が良くないので、分析装置、特に光学系は、耐環境性の高いものでなければならない。
【0007】
通常用いられている従来のFT−IR法では、十分な精度を得るためには測定に3分程度以上を要する。また、干渉計を走査することによってインターフェログラムを測定しそのインターフェログラムをフーリエ変換して赤外スペクトルを得ているので、測定中の光路変動や光路変動による受光光量変化はインターフェログラムの形を変えることになり赤外スペクトルそのものが変わってしまうことになる。さらに、干渉計のような精密可動部を備えたものは、耐久性が悪く、振動対策が施されていない製造現場には適さない。つまり、従来のFT−IR法では干渉計を走査する必要があるために、オンラインでの連続測定には適しておらず、実際にはオンラインでの使用は不可能であった。
【0008】
本発明は、連続的に移動する物体の分光分析を連続的に行なうことを第1の目的とし、短時間で複数波数の光吸収スペクトルを得ることを第2の目的とし、幅方向の複数点の分光分析を連続的に行なうことを第3の目的とし、比較的にコンパクトな機構にて複数波数の光吸収スペクトルを得ることを第4の目的とし、移動物体の移動方向と直交する幅方向の複数点の分光分析を連続的に行なうことを第5の目的とし、オンラインで連続的に電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を赤外反射吸収法を用いて定量的に測定することを第6の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)高感度反射法により、連続的に供給される電磁鋼脱炭焼鈍板表面の極薄膜の赤外反射スペクトルを測定し、測定値に基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板表面の吸光成分量を算出する分光分析方法において、前記電磁鋼脱炭焼鈍板表面に、入射面に平行に偏光されたP偏光と称する赤外光と入射面に対し垂直に偏光されたS偏光と称する赤外光を入射し、それらの反射スペクトルの強度比を測定し、この比を、あらかじめ標準試料について測定した前記P偏光による反射スペクトルと前記S偏光による反射スペクトルの強度比で除算することを特徴とする電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析方法。
【0010】
(2)高感度反射法により、連続的に供給される電磁鋼脱炭焼鈍板表面の極薄膜の赤外反射スペクトルを測定し測定値に基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板表面の吸光成分量を算出する分光分析装置において、
赤外光を発生させる赤外光源,該赤外光源からの赤外光を直線偏光としかつ直線偏光の向きをP偏光およびS偏光に切替えるための回転機構を備えた偏光板を備えた投光手段,前記電磁鋼脱炭焼鈍板の保持装置,赤外光を分光して検出するための分光測定手段、および、検出された赤外光の強度を信号処理するためのデータ処理手段、を備え、
該データ処理手段は、該電磁鋼脱炭焼鈍板について測定したP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの強度比を、あらかじめ標準試料について測定したP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの強度比で除算する手段を含む、ことを特徴とする電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0011】
(3)前記分光測定手段 (5 〜 7,10,12,19 〜 21) は、該電磁鋼脱炭焼鈍板(OP)表面で反射された赤外光を強度分割して複数の光路に分配する複数の赤外光分割手段(A1〜A5,B1, B2)を含む光分配手段(22〜24,A1〜A5,B1,B2);該赤外光分割手段によって分割された赤外光を分光する赤外フィルタ(48)と該フィルタを透過した光の強度を電気信号に変換する光電変換手段(50)を含む、それぞれが前記複数の光路のそれぞれに配置された複数の分光検出手段(C1〜C8);および、各分光検出手段(C1〜C8)の電気信号を光レベルデ−タに変換する光強度計測回路(80,90);を備え、
前記デ−タ処理手段(90)は、該複数の分光検出手段のそれぞれが検知した光レベルに基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化物を構成する成分を定量的に求めるものであり、
さらに、該投光手段、該光分配手段、該複数の分光検出手段、光強度計測回路、およびデータ処理手段を収納する単一または複数のケーシングを備えることを特徴とする上記(2)に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0012】
(4)前記複数の分光検出手段(C1〜C8)は、電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化物によって実質上吸収のない3つ以上の波数の赤外光のそれぞれを検知する3以上の第1グル−プの分光検出手段(C1,C2,C8)、および、電磁鋼脱炭焼鈍板の、少くとも分析対象の酸化物の種類数に対応する数の、各酸化物によって実質上吸収のある波数の赤外光のそれぞれを検知する第2グル−プの分光検出手段(C3〜C7)を含み;
前記デ−タ処理手段(90)は、第1グル−プの分光検出手段(C1,C2,C8)が検知した光レベルに基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板の、分析対象の酸化物が存在しないとした分光スペクトルすなわちベ−スラインを算出し、このベ−スラインと第2グル−プの分光検出手段(C3〜C7)が検知した光レベルに基づいて第2グル−プの分光検出手段が検知する波数に対する電磁鋼脱炭焼鈍板の吸光度を算出し、算出した吸光度に基づいて分析対象の酸化物の種類それぞれの量を算出することを特徴とする上記(3)に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0013】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事項の符号を、参考までに付記した。
【0014】
この分光分析装置によれば、電磁鋼脱炭焼鈍板表面からの反射赤外光を赤外光分割手段(A1〜A5,B1,B2)が分割し、分割された各々の赤外光を赤外フィルタ(48)が分光し、分光した各々の赤外光を各々の光電変換手段(50)が検出し、検出した各々の赤外光信号を光強度計測手段(80,90)が光レベルデ−タに変換し、デ−タ処理手段(90)が、光レベルデ−タに基づいて、電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を構成する成分を定量的に求める。
【0015】
FT−IR法のように干渉計を走査する必要がなく直接赤外スペクトルを得ることができるので、短時間で複数波数の光吸収スペクトルを得ることが出来、オンラインで連続的に電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を赤外反射吸収法を用いて定量的に測定することが可能となる。
【0016】
金属面に照射された光は金属内の自由電子の作用により180°の位相飛びをもって反射するため、高感度反射法では、赤外光の電場ベクトルの振動方向つまり偏光方向が入射面に垂直な場合つまり垂直偏光(P偏光)の場合は入射光の電場ベクトルと反射光の電場ベクトルが金属面で強め合い金属表面に垂直な定常振動電場をつくるので高感度で金属面上に存在する薄膜を検出し、赤外光の電場ベクトルの振動方向つまり偏光方向が入射面に平行な場合つまり平行偏光(S偏光)の場合は入射光の電場ベクトルと反射光の電場ベクトルが金属面で相殺し合い金属表面に定常波はほとんど観測されないので金属面上に存在する薄膜を検出しない。
【0017】
したがって、投光手段(5〜7,10,12,19〜21)からの無偏光の赤外光をそのまま電磁鋼脱炭焼鈍板表面入射させて測定した場合には、垂直(P偏光)成分については電磁鋼脱炭焼鈍板表面の酸化層中の酸化物を検出し、平行(S偏向)成分については電磁鋼脱炭焼鈍板表面の酸化層中の酸化物を検出しないことになる。
【0018】
一方、投光手段(5〜7,10,12,19〜21)からの無偏光の赤外光を直線偏光手段(10)によって入射面に対して垂直な電場ベクトルを有する赤外光(P偏向)にしてから電磁鋼脱炭焼鈍板表面に入射させて測定した場合には、入射した赤外光すべてが電磁鋼脱炭焼鈍板表面の酸化層中の酸化物を検出することになる。したがって、P偏向は無偏向に比ベ、全赤外光強度に対する電磁鋼脱炭焼鈍板表面の酸化層中の酸化物の信号強度が約2倍になるので、直線偏光手段(10)を設けることによって、より高感度で測定することが可能である。
【0019】
なお、上記のことから直線偏光手段(10)がない場合でも電磁鋼脱炭焼鈍板表面の酸化層中の酸化物を測定できることは明らかである。
【0020】
測定したP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの比を、予め標準試料について測定しておき、分析対象材の測定値をP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの比で補正することによって、電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を赤外反射吸収法を用いて定量的に測定することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(5)前記投光手段はケーシングに収納され、該ケーシングは電磁鋼脱炭焼鈍板(分析対象材)に光を投射するための投光開口を有し、該投光開口は、第1グループの分光検出手段および第2グル−プの分光検出手段の波数域より低い波数域をカットする投光側フィルタで閉じられており、前記光分配手段を囲むケ−シングは、前記ケーシングと同一または異なるケーシングであって、分析対象材が反射した光を通すための受光開口を有し、該受光開口は、第1および第2グル−プの分光検出手段の波数域より低い波数域をカットする受光側フィルタで閉じられていることを特徴とする上記(4)に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0022】
測定光の減衰や光学要素の汚れを防ぐために、光路を外部環境から極力分離又は遮断するのが好ましく、ケ−シング(Ct),(Cr)がこれに貢献する。このようにケ−シングを備える場合、測定光が透過する窓が必要であるが、窓材は小さいながらも測定光を反射又は吸収するが、投,受光側フィルタ(21,22)を窓材に兼用しているので、別途の窓材付加はなく、その分測定光の反射又は吸収が少い。
【0023】
(6)前記光分配器は、入射角が15°以上30°以下の、入射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射して第2出射光とするミラ−を有することを特徴とする上記(3)、(4)、または(5)のいずれか1項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0024】
2色フィルタ(43)の入射角が大きいと、P偏光とS偏光の遮断波数及び透過率が異なるので、分析対象材および又は標準試料のP偏光とS偏光の反射強度を測定して、分析対象材の光吸収スペクトルを補正する実施態様においては、たとえ透過率の相違に対する補正を行なったとしても、P偏光とS偏光の遮断波数の相違によって生じる、P偏光とS偏光での中心波数及び波数幅の相違に対する一般的な補正を行なうことはできないので、測定精度が低下してしまう。例えば2色フィルタ(43)の入射角が45°と大きい場合には、図10の(b)に示すように、P偏光とS偏向の遮断波数が大きくずれ、透過率も異なるが、例えば入射角を22.5°と小さくすると、図10の(a)に示すように遮断波数が実質上同一となり、透過率も実質上同一となるので、遮断周波数及び透過率の相違に対する測定精度の低下を防ぐことができる。また、2色フィルタ(43)の入射角が小さくなり過ぎると、その分だけミラ−(46)の入射角が大きくなり、ミラ−(46)に大サイズのものが必要となる。
【0025】
(7)前記投光手段は、電磁鋼脱炭焼鈍板に平行光を投射することを特徴とする上記(3)乃至(6)のいずれか1項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0026】
これによれば、投光手段(5〜7,10,12,19〜21),光分配手段(22〜24,A1〜A5,B1,B2)および分光検出手段(C1〜C8)をすべて平行光学系として設計し配列することができ、光分配手段(22〜24,A1〜A5,B1,B2)による光配分の設計および調整ならびに分光検出手段(C1〜C8)の検出レベルの調整および校正が容易であり、しかも、電磁鋼脱炭焼鈍板(OP)が平行移動した場合でも、光電変換手段(50)に入射させるための集光位置がほとんどずれないので、電磁鋼脱炭焼鈍板(OP)の平行位置ずれ又は振動による測定誤差が低減する。
【0027】
(8)前記投光手段は、長手方向yに移動する電磁鋼脱炭焼鈍板に幅方向xに光を投射し;前記光分配手段は、電磁鋼脱炭焼鈍板のx方向の反射光を複数の光路に分配する;上記(3)乃至(7)のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0028】
(9)長手方向yの、投光手段が投射した光が電磁鋼脱炭焼鈍板に当る位置よりも、移動方向で上流側と下流側に配設され、電磁鋼脱炭焼鈍板を下押えするサポ−トロ−ル;を更に備え;前記投光手段は電磁鋼脱炭焼鈍板の上面に光を投射する;上記(8)記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0029】
(10)前記投光手段,光分配手段および分光検出手段の光路を囲むケ−シング;および、該ケ−シング内に、前記光の吸収が実質上ないガスを供給する手段;を有する上記(3)乃至(9)のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0030】
(11)前記投光手段、前記光分配手段、及び前記複数の分光検出手段をxy平面を有する光学定盤にマウントし、該光学定盤に設置されそれをz方向に貫通する開口を通して分析対象材に光を投射し、前記光学定盤に設置されそれをz方向に貫通する開口を通った、分析対象材の反射光を複数の光路に分配することを特徴とする上記(8)乃至(10)の電磁鋼脱炭焼鈍板のいずれか一項に記載の分光分析装置。
【0031】
(12)前記光分配手段は、x方向に平行な入射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射してy方向に平行な第2出射光とするミラ−を有し、受光側方向変換ミラ−の反射光路上にそれぞれの2色フィルタを置いてシリアルに配列された、第1組の複数の光分配器;および、第1組の光分配器の第2出射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射してx方向に平行な第2出射光とするミラ−を有し、第1組の光分配器の第2出射光の光路上にそれぞれの2色フィルタを置いて配置された、第2組の複数の光分配器;を備える、上記(3)乃至(11)のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0032】
(13)前記光分配器は、それぞれの光分配器が別個にユニット基板を有し、光分配器の2色フィルタ,ミラ−およびユニット基板が一体化され一ユニットを複数ユニット組み合わせて構成した;上記(12)記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
【0033】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0034】
【実施例】
−第1実施例−
図1に、本発明の第1実施例である分光測定機OMDを設置した電磁鋼板の脱炭焼鈍ラインを示す。電磁鋼板は、巻戻機100でコイル状態から帯状に巻戻されて入側搬送テ−ブル(搬送ロ−ラ列)で脱炭焼鈍炉100に連続的に送り込まれ、脱炭焼鈍炉100にて加熱されて脱炭および焼鈍が同時に行なわれる。これにより電磁鋼板表面の酸化が進行する。脱炭焼鈍炉100から連続的に送り出される電磁鋼板(これを電磁鋼板脱炭焼鈍板と称し、略して焼鈍板と称す)OPは出側搬送テ−ブル(搬送ロ−ラ列)で巻取機120に送り込まれ、巻取機120にてコイル状に巻取られる。
【0035】
脱炭焼鈍炉100から出た直後の焼鈍板OPの温度は高く、数百°Cであるが、出側搬送テ−ブルで送られている間に低下して、巻取機120の直前では数十°Cと低温である。出側搬送テ−ブルの、巻取機120近くの、焼鈍板OPの温度が定常的に100°C以下の位置に、分光測定機OMDが設置されている。
【0036】
分光測定機OMDの基体は光学定盤1であり、これが搬送テ−ブルの基台とは分離した支持脚で支持され、支持脚が、床面とは分離した基礎ブロックに固定されている。焼鈍板OPの送り方向(第1水平方向y;図1では左から右)で、光学定盤1の上流側と下流側に、搬送テ−ブルの焼鈍板支持面よりも少し下のレベル(高さ方向z)に焼鈍板OPを押下するサポ−トロ−ル35と36があり、これらが焼鈍板OPを下押えするので、光学定盤1直下において焼鈍板OPの水平x,y方向、特にy方向の張り(張力)が強く、焼鈍板OPの平面度(上面の水平度)が高く、また、高さ方向zおよび第2水平方向xの振動が小さい。
【0037】
光学定盤1の下面から下方に対物ヘッド(ケ−シングCt,Cr:図2)が突出して焼鈍板OPと略10mmの短距離にあるが、焼鈍板OPが対物ヘッドに当るのを妨げるために、焼鈍板OPの送り方向yで、対物ヘッドの上流側と下流側に、対物ヘッドの下面よりも更に5mm下のレベル(焼鈍板OPの上面より5mm上のレベル)に外周面が位置する保護ロ−ル37と38があり、これらは図示しない支持ビ−ムで回転自在に支持され、該支持ビ−ムは光学定盤の支持脚に固着されている。
【0038】
光学定盤1には、赤外分光分析のための光学要素が装備されており、それらは冷却用の銅板ケ−シング4内にある。
【0039】
図2および図3に、銅板ケ−シング4のxz断面およびxy断面を、拡大して示す。両図を参照すると、光学定盤1上に赤外光源(200Wヒ−タ)5があり、光源5が放射する赤外光(以下単に光又は光線と称す)は、非軸パラボラ鏡(以下単に放物面鏡と称す)6で反射されて、x方向に平行な平行光となり、集光レンズ7で集光され、そしてコリメ−トレンズ12で再びx方向で平行な平行光となる。
【0040】
図4に、光源5の外観を示す。光源5は透光窓41付のハウジング40に収納されており、ハウジング40には水冷用の銅パイブ42が巻回されており、この銅パイプ42に循環冷却装置54(図13,図14)が冷却水を循環供給する。
【0041】
再度図2および図3を参照すると、集光レンズ7の焦点位置にはチョッパプレ−ト8があり、このチョッパプレ−トを電気モ−タ9が回転駆動する。集光レンズ7の焦点位置での光のチョッピング周波数は70Hzである。なお、図示は省略したが、チョッパプレ−ト8には集光レンズ7の焦点位置を横切る位置(半径方向)に36°ピッチで、透光開口が開けられており、外周縁には、回転角検出用の広幅スロットが同じく36°ピッチで刻まれており、図示しない光電スイッチが該広幅スロットの透光を検出するように配置され、チョッパプレ−ト8の回転に同期した電気パルス(速度同期パルス)を発生する。モ−タドライバ(駆動回路)62(図14)が、速度同期パルスがチョッピング周波数指令値(70Hz)となるように、電気モ−タ9を回転駆動する。
【0042】
チョッパプレ−ト8と拡散レンズ10の間には偏光板10があり、この偏光板10は、ベルト駆動機構を介してステッピングモ−タ11で回転駆動され、P偏光をレンズ12に与えるP偏光位置(回転角度)と、それより90°回転した、S偏光をレンズ12に与えるS偏光位置(回転角度)に、位置決めされる。図示は省略したが、ベルト駆動機構に、P偏光位置(0度)とS偏光位置(90度)を検知するための遮光板と光電スイッチが結合しており、モ−タドライバ63が、位置指定(P偏光位置/S偏光位置)に対応して、指定位置(回転角)に偏光板10を回転駆動し位置決めする。
【0043】
図5の(a)に、偏光板10がP偏向位置にあるときの、レンズ12以降の光学系によって測定対象材OP(焼鈍板OP,標準試料としての金ミラ−SP又は参照試料としての焼鈍板サンプルSP;いずれとなるかは後述)に投射されるP偏光を示し、図5の(b)に、偏光板10がS偏向位置にあるときのS偏光を示す。
【0044】
再度図2および図3を参照すると、上述の光源系(5〜12)を略シ−ルドするための区画板13の透光開口を通して、レンズ12の、x方向に平行な平行光が、投光側方向変換ミラ−19に至る。区画板13の透光開口を開閉するシャッタ14があり、このシャッタ14はエア−シリンダ15で開,閉駆動される。
【0045】
投光側方向変換ミラ−19は、x方向に平行な平行光をz方向に平行に反射し、この反射光を投光側対物ミラ−20が、水平面(xy面)と10°をなす方向に平行光を反射する。図2に示す状態では、投光側対物ミラ−20が窓板21を通して焼鈍板OPの上面(実質上水平)に10°の角度で平行光を投射する。焼鈍板OPの上面で反射した平行光は、窓板22を通して受光側対物ミラ−23に当り、そこでz方向に平行に反射され、そして受光側方向変換ミラ−24でx方向に平行に反射されて、第1グル−プの第1分配器A1に至る。窓板21および22は、BaF2(フッカバリウム)で作った、800(1/cm)以下の低波数域をカットするフィルタである。
【0046】
ミラ−19,20,23および24は、蒸着金メッキの表面反射鏡である。窓板21および22は、赤外光透過フィルタであり、標準試料(金ミラ−SP)の、光学定盤1上の光学系を用いた測定スペクトルの反射強度分布を平準化(平滑化)する赤外光透過特性(吸収特性)を有する。
【0047】
レンズ12の、x方向に平行な光軸上に第1分配器A1の入射光軸がある。光学定盤1の、レンズ12から第1分配器A1を見通す線の直下に、厚み方向を貫通する開口2があり、この開口2のx方向に平行な内側面に、x方向に平行な1対のレ−ル3があり、これらのレ−ルでキャリッジ16がx方向に移動可に支持されている。つまり、キャリッジ16が、開口2の長さ方向xに移動自在に、開口2内にはめ込まれている。定盤1上には、減速機付電気モ−タ18で回転駆動される、x方向に平行に延びるねじ棒27が回転自在に支持されており、このねじ棒27に、キャリッジ16に固定されたナット(雌ねじ:図示略)がねじ結合している。減速機付電気モ−タ18が正転するとねじ棒27が正転して、キャリッジ16が図2上で左から右方向に移動し、モ−タが逆転するときには左方向に移動する。
【0048】
キャリッジ16の機械的な左移動限界位置の少し右側にホ−ムポジションが定められ、そこへのキャリッジ16の到達を検知する図示しない光電センサ(ホ−ムポジションセンサ),キャリッジ16の機械的な右移動限界位置の少し左側にリタ−ン位置が定められ、そこへのキャリッジ16の到達を検知する図示しない光電センサ(リタ−ンポジションセンサ)、ならびに、ねじ棒17の所定小角度の回転につき1個の電気パルスを発生する図示しないロ−タリエンコ−ダがあり、これらの検知信号に基づいて、キャリッジ16の位置決めあるいはx走査駆動が行なわれる。
【0049】
上述のホ−ムポジションからリタ−ンポジションまでが、対物ヘッド(Ct,Cr,16)の移動領域であり、対物ヘッドがホ−ムポジションにあるときの、対物ミラ−21/23間中点の位置が、測定ホ−ムポジションXhであり、対物ヘッドがリタ−ンポジションにあるときの、対物ミラ−21/23間中点の位置が、測定リタ−ンポジションXrであり、Xh〜Xrの領域をサンプリング的に、あるいは連続的に分光分析することができる。
【0050】
光学定盤1を支える支持脚には、ア−ム30が水平回動しうるように装着されており、このア−ム30に試料台31が固着されている。この試料台31を開口2の直下に回動させると、試料台31の中心が、測定ホ−ムポジションXhとなる。試料台31に載置される試料RPは、標準試料である金ミラ−又は参照試料であり(これらに関しては詳細を後述)、試料台31に載置された試料RPの上面は、測定ホ−ムポジションXhにおいて、焼鈍板OPの予定した上面レベル(基準レベル)と同一となる。図2には、試料台31をホ−ムポジションXhに置き、焼鈍板OPの幅(x方向)は測定可領域のx長より短い形で示しているが、焼鈍板OPの分光分析(オンライン測定)中には、試料台31はz軸廻りに回動されて、対物ヘッド移動領域の外に置かれている。また焼鈍板OPは測定可領域幅と同等又はそれより広い幅の場合もあり得る。
【0051】
キャリッジ16には、前述の、投光側方向変換ミラ−19,投光側対物ミラ−20,受光側対物ミラ−22および受光側方向変換ミラ−24が、それぞれミラ−ホルダを介して固定されている。キャリッジ16の下面より下方に位置する投光側対物ミラ−20および受光側対物ミラ−22はケ−シングCtおよびCrで覆われ、これらのケ−シングCtおよびCrの透光開口を前述の窓板21および22が塞いでいる。投光側方向変換ミラ−19の反射光はキャリッジ16を貫通する透光穴を通ってケ−シングCt内に入り、対物ミラ−20で反射され窓板21を通ってケ−シングCtの外に出て測定対象材OPに当る。測定対象材OPが反射した光は、窓板22を通ってケ−シングCr内に入り、対物ミラ−23で反射され、そしてキャリッジ16の透光穴を通って方向変換ミラ−24に至る。
【0052】
光学定盤1の上側空間(主光学系)と下側空間(測定物系)とを分離するために、キャリッジ16に、ケ−シングCtとCrの間の開口2領域を下方で閉じるための底板BPが固着されている。光学定盤1の底面には、開口2と平行に、x方向に延びる1対のシャッタレ−ル26,27が、開口2を間に置いて装備されており、これらのレ−ル26,27で、積層スライドプレ−ト型のシャッタ28,29が、x方向に伸縮自在に装着されており、図2を参照すると、シャッタ28の左端はレ−ル端に固定され、伸縮先端がケ−シングCtに固着されている。シャッタ29の右端はレ−ル端に固定され、伸縮先端がケ−シングCrに固着されている。上述のケ−シングCt,Cr,底板BPならびにシャッタ28,29で開口2の全領域が主に下方で閉じられている。しかし、これらと光学定盤1との間には、微細なギャップがあるので、該ギャップを通して流体(気体,液体)は通流しうる。キャリッジ16および底板BPには、銅板ケ−シング4に供給されるパ−ジガス(窒素ガス)の底板BPの下方空間(投光空間)への吹出しを行なう通気口がある。
【0053】
ケ−シングCt,Crには、それらを周回する、ロ型スカ−ト形状の弾力性ゴム板25が貼付けられており、ゴム板25の下端はケ−シングCt,Crの下面から5mm程度下方(焼鈍板OPから3mm程度上方)にあり、底板BPの下方空間(投光空間)に供給されたパ−ジガスは、弾力性ゴム板25の下端と焼鈍板OPとのギャップを通って定盤1の下方の自由空間に出る。弾力性ゴム板25は、底板BPの下方の投光空間に多量のパ−ジガスを常時保持するため、ならびにケ−シングCt,Crへの焼鈍板OPの衝突を防止もしくは緩衝するために備わっている。
【0054】
定盤1には、焼鈍板OPのz方向変位を検出する3台の変位計の検出ヘッド32〜34(図3)が装着されており、ヘッドから焼鈍板OP上面までの距離を検出する。
【0055】
光学定盤1上には、図3に示すように、前述の光分配器A1を含めて総計7個の光分配器A1〜A5,B1,B2があり、また、これらの光分配器のそれぞれの出射光のレベルを検知する受光器C1〜C8がある。これらの光分配器A1〜A5,B1,B2および受光器C1〜C8は、大要表現では、同一xy平面上に、x,yマトリクス状に配列されている。これらの配列をより詳しく図6に示す。
【0056】
図6を参照する。受光側方向変換ミラ−24(図2)の、x方向に平行な反射光ライン上すなわち図6に示す入射光の進行方向前方に、第1グル−プの光分配器A1〜A3がシリアルに配置されており、このグル−プの最後(第3番目)の光分配器A3の透過光を受光器C8が受ける。第1グル−プの第1番目の光分配器A1は、2色フィルタで反射した光を金ミラ−で、入射光を含むxy平面上で入射光と直交するy方向に反射し、この反射光を受光器C1が受ける。
【0057】
第1グル−プの第2番目の光分配器A2も同様に、第1番目の光分配器A1を透過した入射光を、上記xy平面上で入射光と直交するy方向に反射する。このy方向に第2グル−プの光分配器A4,A5および受光器C4がある。光分配器A4は、y方向の入射光を2色フィルタで反射しそして金ミラ−で、上記xy平面上でx方向に反射し、この反射光を受光器C2が受ける。光分配器A5も、y方向の入射光を2色フィルタで反射しそして金ミラ−で、上記xy平面上でx方向に反射し、この反射光を受光器C3が受ける。
【0058】
第1グル−プの第3番目の光分配器A3は、第2番目の光分配器A2を透過した入射光を、上記xy平面上で入射光と直交するy方向に反射する。このy方向に第2グル−プの光分配器B1,B2および受光器C7がある。光分配器B1は、y方向の入射光を2色フィルタで反射しそして金ミラ−で、上記xy平面上でx方向に反射し、この反射光を受光器C5が受ける。光分配器B2も、y方向の入射光を2色フィルタで反射しそして金ミラ−で、上記xy平面上でx方向に反射し、この反射光を受光器C6が受ける。
【0059】
光分配器A1〜A5,B1,B2は、実質上同一構造であり、A1とA2とは配置姿勢も同一である。A4とA5は、A1を時計廻りに90度回転させた姿勢である。B1とB2は、A4とA5を裏返(y軸廻りに180度回転)した姿勢である。ここで代表例として光分配器A5の構造を説明する。
【0060】
光分配器A5の2色フィルタ43は、図7の(a)に示すように、所定波長(カットオフ波長)より長い波長の光を透過し、短い波長の光を反射するものであり、金ミラ−46が、その反射光を、図7の(b)に示すように、y方向の入射光を含むx,y平面上で入射光と直交してそれを横切るx方向に反射する。光分配器A1〜A5,B1,B2それぞれの2色フィルタのカットオフ波長を次に示す。
【0061】
光分配器 光分配器のカットオフ波長(μm)
A1 6.3
A2 6.3
A3 8.2
A4 7.4
A5
A6(B1) 9.5
A7(B2)
光分配器A4(図6)を拡大して図8の(a)に示す。2色フィルタ43はホルダ44に固着されており、このホルダ44がユニット基台45に固着されている。金ミラ−46は、角度調整機構を介してホルダ47に固定されており、このホルダ47がユニット基台45に固着されている。この実施例での、2色フィルタ43および金ミラ−46の取付角度を図8の(b)に示す。
【0062】
図9に、光分配器A4を分解して示す。ホルダ44には透光開口がありそこに2色フィルタ43がはめ込まれ、基台45の、x方向に対して22.5°の角度をなす垂直面にホルダ44がねじ止めされる。金ミラ−ホルダ47は、y方向に対して22.5°の角度をなす垂直面にねじ止めされる。2色フィルタ43の入射角はしたがって22.5°、金ミラ−46の反射角は22.5°である(図8の(b)を参照)。2色フィルタ43の入射角が大きいと、P偏光が入射したときとS偏光が入射したときの2色フィルタのカットオフ波長のずれが大きく、同一波長における透過率差が大きい。例えば入射角が45°の場合には図10の(b)に示すようにカットオフ波長ずれを生じ、大きな透過率差を生ずる。
【0063】
この実施例では、後述するが、各波数の受光器C1〜C8でのP偏光とS偏光の受光レベルを正確に測定する必要がある。標準ミラ−(金ミラ−)のP偏光での各受光レベルを、標準ミラ−のS偏光での受光レベルで割り算して計算機に記憶させる標準試料補正モ−ド(Au(S)/Au(P))と、分析対象材のP偏光での各受光レベルを、分析対象材のS偏光での受光レベルで割り算して計算機に記憶させるP/S比測定モ−ドとを選択的に実施する。いずれの場合もP偏光とS偏光を利用するので、P偏光とS偏光の間で受光レベルに波長依存する差異があれば得られた結果に大きな誤差が生まれる。
【0064】
そこでこの実施例では、P偏光が入射したときとS偏光が入射したときの2色フィルタのカットオフ波長および受光レベルのずれがほとんど見られない22.5°に、2色フィルタ43の入射角を定めている。この入射角での2色フィルタ43の透過率を図10の(a)に示す。問題のずれの影響を実質上なくすためには2色フィルタ43の入射角は30°以下にすればよい。一方、入射角を小さくするに従って、透光出射光が増え反射出射光が減るので、光分配比の観点からあまり小角度は好ましくない。加えて、入射角が小さいと2色フィルタの入射光と反射光とのなす角度が小さくなるので、金ミラ−46を大きくして2色フィルタ43からy方向の遠方に配置しなければならなくなる。すなわち、2色フィルタ43の入射角を小さくすると、金ミラ−46の入射角が大きくなって、2色フィルタの反射光すべてを反射するための金ミラ−46の面積が大きくなる。この大きな金ミラ−46が2色フィルタ43への入射光を遮らないように、y方向に長距離ずらさなければならない。これは光分配器A4(1ユニット)のサイズを大きくすることになり、装置をコンパクトにできなくなる。これらの観点から、2色フィルタ43の入射角は15°以上とするのが好ましい。
【0065】
なお、図6に示す光分配器B1,B2は、光分配器A5をy軸廻りに180°回転させて、その基板45の下面を上に向けて、別途ホルダで基板45を支持した姿勢であり、7個の光分配器のすべてが、一種類のものとなっている。裏返しが不要なように、ユニット基板を、A1〜A5のユニット基板45とは別形状のものとしてもよい。
【0066】
別の態様では、上述のように数個(B1,B2)を裏返し支持することなく、同一種類の7個の光分配器を用い得るように、光分配器と受光器のマトリクス配列を変更する。この変更の一態様を図11に示す。
【0067】
図11に示す光分配器A1〜A7はすべて同一構造であり、A1〜A3は同一姿勢で、A4〜A7はA1〜A3を図11上で時計廻りに90°回転させた姿勢である。なお、図11上に示すA1は、図6に示す場合と同様に、x方向で受光器C2の位置までずらし、これに伴って受光器C1をy方向でC4の位置までずらしてもよい。こうするとA1のx方向のずらし分光分配器の配列がコンパクトになる。図11に示す配列では、光分配器A2,A4,A5ならびに受光器C2〜C4との組合せ配列と、光分配器A3,A6,A7ならびに受光器C5〜C7との組合せ配列とは同一パタ−ンである。
【0068】
再度図6を参照する。受光器C1〜C8は、実質上同一構造である。ここで代表例として受光器C2の構造を説明すると、受光器C2は、測定に必要な波長を透過させるバンドパスフィルタ48と集光レンズ49および光検知器50で構成されており、バンドパスフィルタ48と集光レンズ49は同一のホルダを介して受光器基板に固定されており、光検知器50は検知器ホルダに固定され、この検知器ホルダが前後調整(光軸方向位置調整)機構を介して受光器基板で支持されている。
【0069】
光検知器50の光電変換素子51は、図12の(a)に示すように、集光レンズ49の焦点位置(焦点距離Df)よりも大きくずれた位置にあり、このずれ量を前後調整機構で調整しうる。仮に、図12の(b)に示すように光電変換素子51が集光レンズ49の焦点の位置にあるときと、測定対象材OPが水平姿勢から傾斜すると、入射角(=反射角)が基準入射角からずれて、図12の(c)に2点鎖線で示すように、光電変換素子51の受光レベルが大幅に低下する。この低下はわずかな姿勢ずれによって生ずる。
【0070】
ところが図12の(a)に示すように、光電変換素子51が、集光レンズ49の焦点の位置より大きくずれた位置にあると、測定対象材OPがわずかに傾斜しても、光電変換素子51の受光レベルの変化は小さく、測定対象材OPに少々の姿勢ずれを生じても、信頼性が高い計測デ−タを得ることができる。すなわち、図12の(a)に示すように焦点位置から光電変換素子51をずらしておくことにより、測定対象材OPの変位又は振動により光受光器C2の光軸に対して測定対象材OPの反射光が平行シフト又は角度変化を生じても、反射光が光電変換素子51から外れる確率が低く、図12の(c)に実線で示すように、受光レベル変化が小さく、測定対象材OPの位置ずれ又は姿勢ずれによる測定誤差が低減する。
【0071】
更に、受光器C1〜C8の受光レベルの、測定対象材OPの変位又は振動による受光器C1〜C8の受光レベルの変化率が全受光器で実質上同一になるように、受光器C1〜C8それぞれの前後調整機構で各光検知器50のずらし位置が設定されているので、測定対象材OPに変位又は振動を生じたときの受光信号変化が同率となり、信頼性が高い計測デ−タが得られる。受光器C1〜C8それぞれのバンドパスフィルタ48の光透過中心波数(波長)を次に示す。
【0072】
図13に、光学定盤1の上面に装着された銅ケ−シング4の外観を示す。銅ケ−シング4の外表面には水冷管(銅パイプ)52が接合されており、この水冷管52に、冷却装置54が、冷却水を循環供給する。これにより銅ケ−シング4が冷却され、その内部の上述の各種光学要素が間接的に冷却されるので、それぞれの赤外線輻射(ノイズ放射)が少い。またケ−シング4の外部からケ−シング4内の測定光光路へのノイズの進入もない。銅ケ−シング4の内空間は区画板13で、熱発生が大きい光源5まわりの投光源空間と、熱発生が少い光分配器A1〜A5,B1,B2および受光器C1〜C8まわりの受光空間とに区分されており、各空間に別個に、窒素ガス供給装置57が、窒素ガスを供給する。供給された窒素ガスは各空間を通って開口2又は対物空間BPに至り、そして定盤1の下方の自由空間に出る。この窒素ガス供給は、ケ−シング4内の空気(湿気)を追い出しかつケ−シング4内への空気(湿気)の進入を妨げる。また対物空間BPに出た窒素ガスは、スカ−ト25の下端から外部に出て、対物投,受光路(窓板21/22間)を清浄にしかつそこへのゴミ,空気(湿気)の進入を妨げる。
【0073】
銅ケ−シング4の内空間には、上述の光学要素に加えて各種電気回路ならびにシ−ケンサ(CPUを主体とするマイクロコンピュ−タシステム;通称コントロ−ラ)が収納されている。
【0074】
図14に、銅ケ−シング4内の電気要素と、それらに接続された外部電気要素を示す。受光器C1〜C8の各光電変換素子51が接続された光レベル検出回路70〜77はすべて光強度計測回路80に接続されている。
【0075】
図15に光強度計測回路80の構成を示す。光レベル検出回路70〜77の出力信号(アナログ電圧)はマルチプレクサ81(アナログスイッチ回路)81に与えられる。マルチプレクサ81には、入出力バッファ85を通してスイッチ選択信号(入力選択信号)が、シ−ケンサ60から与えられ、該信号が指定する入力(入力端0〜8の1つ)を、バンドパスフィルタ82に接続する。すでに説明したが、チョッパプレ−ト8が70Hzで投光をチョッピングするので、受光器C1〜C8の受光レベルが70Hzで高,低変化し、これにより、光レベル検出回路70〜77の出力信号が同じく高,低変化する。すなわち70Hzの交流もしくは脈動電圧である。バンドパスフィルタ82は、この70Hzのアナログ信号を抽出してロックインアンプ(同期検波回路)83に与える。ロックインアンプ83には、チョッパ駆動回路62が発生するチョッパ回転同期信号(70Hz)が、入出力バッファ62を介して、更に移相器86で設定された位相ずれをもって与えられ、ロックインアンプ83は、この同期信号に同期してバンドパスフィルタ82の出力を検波し、検波した直流信号を平滑回路84に与える。平滑回路84には、3種の時定数回路(それぞれ時定数がt1,t2,t3)87a〜87cの1つが、マルチプレクサ88を介して接続され、接続された時定数回路の時定数で、検波信号を平滑化する。これにより、電圧レベルが受光器(C1〜C8のうち81で選択されたもの)の受光レベルピ−クに比例する直流電圧(受光レベル信号)が伝送回路78に与えられる。伝送回路78が、この直流電圧のレベル(アナログ信号)を、図14に示す受信回路79に伝送する。
【0076】
再度図14を参照する。受信回路79は、パ−ソナルコンピュ−タ(以下パソコンと称す)90の、A/D変換入力ポ−トに、受信したアナログ信号を与える。パソコン90は、受光器C1〜C8の受光レベルを読込むときには、受光レベル読込みをシ−ケンサ60に指定して、パソコン90とシ−ケンサ60の間の同期信号に同期して、A/D変換入力ポ−トのアナログ信号をデジタル変換して読込む。シ−ケンサ60は、受光レベル読込みが指定されると、該同期信号の最初のものに同期してマルチプレクサ81に入力1指定信号を与え、その後の同期信号の到来毎に入力2,3,・・・8と入力指定を切換える。これにより、同期信号に同期して受光器C1〜C8が接続した光レベル検出回路70〜77の出力信号が順次にバンドパスフィルタ82に与えられ、パソコン90が光レベル検出回路70〜77の出力信号を順次にA/D変換して読込むことになる。
【0077】
シ−ケンサ60は、パソコン90の指示に応じて、光源5のオン(ウォ−ムアップ)/オフ,チョッパプレ−ト8の回転/停止,偏光板10によるP偏光/S偏光の切換え,シャッタ14の開/閉,キャリッジ16のx位置決めあるいはx走査,変位計32〜34の検出値の読込みとパソコン90への転送等を行ない、また、光源5のオンの間は銅ケ−シング4内の温度を検出する温度センサ39の検出温度の読込みと温度異常チェックを行なう。チョッパ駆動回路62は、チョッパプレ−ト回転同期パルス(70Hz)を回転計(回転速度検出回路)RSM,シ−ケンサ60および光強度計測回路80に与える。
【0078】
回転計RSMは回転同期パルスの周波数を回転速度(rpm)に変換し、これを表わすデジタルデ−タを、シ−ケンサ60に接続された入出力ボ−ド59に与える。入出力ボ−ド59の表示盤面には、チョッパプレ−ト回転速度が表示される。入出力ボ−ド59には、指示キ−および調整値入力キ−がある。
【0079】
循環冷却装置54には、光源冷却水系の戻り冷却水の温度を検出する温度センサおよび銅ケ−シング冷却水系の戻り冷却水の温度を検出する温度センサがあり、装置54は温度異常を検知したときには、これを表わす異常信号をシ−ケンサ60に与える。
【0080】
窒素ガス供給装置57には、窒素ガス供給流量を測定する流量センサがあり、装置57は、流量異常を検知したときには、これを表わす異常信号をシ−ケンサ60に与える。
【0081】
光源5の電源回路61,チョッパ駆動回路62,偏向切換回路63,シャッタ駆動回路(エァ−シリンダ15への空気圧切換を行なう電磁弁を駆動する回路)64およびx走査駆動モ−タ18を駆動する回路(モ−タドライバ)65には、負荷電圧,電流,電源電圧を検出しそれらの異常を検出する回路があり、これらの検出値および異常検出信号がシ−ケンサ60に与えられる。
【0082】
図16に、パソコン90の、「分光測定」プログラムによる動作の概要を示す。「分光測定」プログラムは、「分光測定」の初期メニュ−を表示し表示画面上のオペレ−タ指定に従って、指定された個別処理プログラムの実行に進む統括プログラムと、複数の個別処理プログラムの集合である。
【0083】
ここで、分光測定の概要をまず説明する。オフライン計測を前提としたFT−IR法では連続的なスペクトルが得られるのに対して、オンライン計測が可能なフィルター分光法では、いくつかの特定の半値全幅をもつ特定の中心波数における赤外光強度を測定することによってスペクトルを得るので離散的なスペクトルしか得ることしかできない。さらに、実際の装置の大きさや製作可能な赤外フィルタ特性を考慮すると、離散スペクトルの測定点の数には制限が生じるので、十分な精度で酸化物を定量するためには、離散スペクトルの測定点の数及び各測定点の中心波数と半値全幅を検討して最適化する必要がある。
【0084】
電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物の主要な赤外吸収スペクトルは1350(1/cm)付近から800(1/cm)付近に分布しており、電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物等の吸収がない波数においても、スペクトル強度は100%以下で一定になっていない。したがって電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を定量測定するためには、まず赤外吸収スペクトルにおいて電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物等の吸収がないときの基準となるスペクトルつまりベースラインを求める必要がある。
【0085】
特開平8−246053号公報によると、ベースラインを、通常取り扱う電磁鋼脱炭焼鈍板は錆等の汚れがない清浄な状態で原理的に赤外吸収スペクトルは現れない3点を通る放物線で近似している。したがって、フィルタ分光法で測定された離散スペクトルにおいてもベースラインを求める必要があり、ベースラインを放物線で近似するためには少なくとも電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物等の吸収がない3つの波数について赤外光強度を測定する必要がある。
【0086】
電磁鋼脱炭焼鈍板の内部酸化層にSiO2を有し外部酸化層が(Fe,Mn)2SiO4であり、焼鈍板の酸化層がこの成分のみであるときの焼鈍板の赤外吸収スペクトル(以下スペクトルAとする)は、図22に示すように、波数985(1/cm)付近に吸収ピ−クを有する。
【0087】
電磁鋼脱炭焼鈍板の内部酸化層にSiO2を有し外部酸化層が(Fe,Mn)SiO3−Iであり、焼鈍板の酸化層がこの成分のみであるときの焼鈍板の赤外吸収スペクトル(以下スペクトルBとする)は、図23に示すように、波数1115(1/cm)付近に吸収ピ−クを有する。
【0088】
電磁鋼脱炭焼鈍板の内部酸化層にSiO2を有し外部酸化層が(Fe,Mn)SiO3−IIであり、焼鈍板の酸化層がこの成分のみであるときの焼鈍板の赤外吸収スペクトル(以下スペクトルB’とする)は、図24に示すように、波数1070(1/cm)付近に吸収ピ−クを有する。
【0089】
(Fe,Mn)SiO3−Iと(Fe,Mn)SiO3−IIの違いは、おそらく焼成温度及び雰囲気条件等のわずかな差に起因する格子歪みや欠陥による格子振動の周波数のずれや結晶方位分布の違いによる赤外スペクトルの差と考えられる。同じ成分であるが2種類のスペクトルと考えた方が各成分の量が正しく測定できる。
【0090】
電磁鋼脱炭焼鈍板の内部酸化層にSiO2を有し外部酸化層がSiO2であり、焼鈍板の酸化層がこの成分のみであるときの焼鈍板の赤外吸収スペクトル(以下スペクトルCとする)は、図25に示すように、1245(1/cm)付近に吸収ピ−クを有する。
【0091】
なお、スペクトルBおよびB’が共に含まれる場合すなわち基本のスペクトルを4つ(A,B,B’,C)含む場合と、B’が含まれない場合すなわち基本スペクトルを3つ(A,B,C)含む場合で、基本スペクトルの反射赤外光強度が異なる。上述の図22〜図25の基本スペクトルは、基本のスペクトルを4つ(A,B,B’,C)含む場合のものである。
【0092】
電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化層は、実際には、上述の成分の組合せであるので、その赤外吸収スペクトルは、上記スペクトルA,B,B’,Cの合成であり、例えば図27に示す吸収スペクトルとなる。なお、図27のグラフ(実線)は、測定した赤外吸収スペクトルを、金の赤外吸収スペクトルで補正したものである。すなわち、測定した赤外吸収スペトルの反射強度の、金の赤外吸収スペクトルの反射強度に対する強度比を示すものである。金の赤外吸収スペクトルを図26に示す。
【0093】
赤外光の吸収がない(上述の酸化物が無い)場合には、上述の強度比は図27に2点鎖線で示す滑らかな曲線となる。これがベ−スライン(基準スペクトル)である。波数1350(1/cm)付近から800(1/cm)の領域の凹凸がある実線が、上記の各種酸化物によって赤外光が吸収された結果のものである。
【0094】
図27に示すベ−スラインは、赤外吸収が実質上ない少くとも3点の波数(i=1,2,8の位置の波数)の反射強度比(図27上で反射率%)に基づいて求めることができる。
【0095】
これらの波数の強度比を求めるために、上記(4)〜(8)においては、第1グル−プの分光検出手段(C1,C2,C8)が備えられ、これらが、電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化物によって実質上吸収のない3つ以上の波数(1900/cm,1350/cm,800/cm; i=1,2,8)の赤外光のそれぞれを検知する。そして、デ−タ処理手段(90)が、それらの検出信号に基づいてベ−スラインを算出する。
【0096】
後述の実施例では、ベ−スラインを
Ei=a0+a1・Xi+a2・Xi2 ・・・(1)
Ei:波数Xiの反射強度比(測定値)
i:波数表示値,i=1,2,8
Xi:波数;X1=1900/cm,X2=1350/cm,X8=800/cm
と、放物線関数で近似し、次の(2)式の行列式を解いて、係数a0〜a2を算出する。すなわちベ−スラインを表わす関数を特定する。
【0097】
【数2】
【0098】
図27に示す波数1350(1/cm)付近から800(1/cm)の赤外吸収領域の凹凸がある実線が、酸化層の各成分の赤外吸収によって現われたものであり、上述のスペクトルA,B,B’,Cを合成したものに相当する。この合成を、
Gi=P1・q1i+P2・q2i+P3・q3i+P4・q4i ・・・(3)
Gi:赤外吸収領域の吸光度、
i:波数対応値、i=7,6,5,4,3,
P1:測定対象酸化層中の、内部酸化層がSiO2で外部酸化層もSiO2の酸 化物の吸光寄与の重み(該酸化物の量対応の係数),
q1i:スペクトルC相当の吸光度スペクトル(内部酸化層がSiO2で外部酸化 層もSiO2の酸化物の吸光度デ−タ:メモリにある既知量),
P2:測定対象酸化層中の、内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn )SiO3−Iの酸化物の吸光寄与の重み(該酸化物の量対応の係数),
q2i:スペクトルB相当の吸光度スペクトル(内部酸化層がSiO2で外部酸化 層が(Fe,Mn)SiO3−Iの酸化物の吸光度デ−タ:メモリにある 既知量),
P3:測定対象酸化層中の、内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn )SiO3−IIの酸化物の吸光寄与の重み(該酸化物の量対応の係数),
q3i:スペクトルB’相当の吸光度スペクトル(内部酸化層がSiO2で外部酸 化層が(Fe,Mn)SiO3−IIの酸化物の吸光度デ−タ:メモリに ある既知量),
P4:測定対象酸化層中の、内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn )2SiO4の酸化物の吸光寄与の重み(該酸化物の量対応の係数),
q4i:スペクトルA相当の吸光度スペクトル(内部酸化層がSiO2で外部酸化 層が(Fe,Mn)2SiO4の酸化物の吸光度デ−タ:メモリにある既 知量)、
と表わし、
第2グル−プの分光検出手段を、
内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn)2SiO4の酸化物によって実質上吸収のある波数(965/cm; i=6)の赤外光を検知する分光検出手段(C6),
内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn)SiO3−Iの酸化物によって実質上吸収のある波数(1135/cm; i=4)の赤外光を検知する分光検出手段(C4),
内部酸化層がSiO2で外部酸化層が(Fe,Mn)SiO3−IIの酸化物によって実質上吸収のある波数(1050/cm; i=5)の赤外光を検知する分光検出手段(C5)、
および、
内部酸化層がSiO2で外部酸化層もSiO2の酸化物によって実質上吸収のある波数(1225/cm; i=3)の赤外光を検知する分光検出手段(C3)、
を含むものとすると、
デ−タ処理手段(90)は、第2グル−プの分光検出手段(C3〜C7)が検知した光レベルと、上記算出したベ−スラインに基づいて、第2グル−プの分光検出手段が検知する波数(i=7,6,5,4,3)に対する電磁鋼脱炭焼鈍板の吸光度Gi(i=7,6,5,4,3)を算出し、算出した吸光度Gi(i=7,6,5,4,3)と上記(3)式に基づいて、上記(3)式を満すパラメ−タP1,P2,P3およびP4の値を算出し、算出したP1,P2,P3およびP4の値に基づいて酸化物量又は酸素量を算出する。
【0099】
具体的には後述の実施例では、パラメ−タP1,P2,P3およびP4の算出に、最小二乗法を用いる。すなわち、次の(4)式に基づいて、パラメ−タP1,P2,P3およびP4を算出する。
【0100】
【数4】
【0101】
以上により、電磁鋼脱炭焼鈍板酸化層中の酸化物を、脱炭焼鈍ライン上でオンライン測定することができる。
【0102】
なお、赤外フィルタを用いて赤外スペクトルを分光して分光した赤外光強度を測定する場合、スペクトルの山又は谷付近の波数において赤外光強度を測定すると測定した赤外光強度の誤差が大きくなるが、スペクトルの隣り合う山と谷の中間付近の波数において赤外光強度を測定すると測定誤差が小さい。
【0103】
再度図16を参照する。に、パソコン90の、「分光測定」が起動されると、パソコン90は、まず「分光測定」のメニュ−をCRT93に表示する(図16のステップMDY)。なお、以下において、カッコ内には、ステップという語を省略して、ステップNo.記号又は番号数字のみを記す。オペレ−タがメニュ−表示の各欄を指定するとパソコン90は、各欄に表記した個別処理プログラムに進む。
【0104】
1.パラメ−タ設定
オペレ−タが「1.パラメ−タ設定」を指定し実行を指示すると、パソコン90は個別処理プログラム「パラメ−タ設定」PDSに進む。「パラメ−タ設定」は、オンライン測定に必要な、演算用パラメ−タの設定とデ−タの保存の指定をオペレ−タが行なうものであり、パソコン90はここでまず、すでにハ−ドディスク(不揮発メモリ)に書込まれているパラメ−タテ−ブルのデ−タを読出して一時記憶RAMに書込み、かつCRT93に表示する。パラメ−タテ−ブルのデ−タの主要なものを次に示す。
【0105】
オペレ−タはこの画面上で変更があればそれを入力する。オペレ−タが実行を入力すると、表示中のデ−タが一時記憶RAMに更新書込みされ、このとき、「5 デ−タ保存」が「有効」の指定であると、ハ−ドディスクのパラメ−タテ−ブルも、CRT93に表示していたものに書替えられる。
【0106】
2.標準板測定
オペレ−タが「2.標準板測定」を指定し実行を指示すると、パソコン90は個別処理プログラム「標準板測定」RPMに進む。「標準板測定」は、標準板である金ミラ−の、光反射強度を測定し、オンライン測定時の受光レベルの補正に用いるデ−タを準備するものである。「標準板測定」に進むとパソコン90は、標準板測定の初期画面を表示する。すなわち、ハ−ドディスクの標準デ−タテ−ブルのデ−タを一時記憶RAMに読出し、CRT93に表示する。標準デ−タテ−ブルのデ−タの主要なものを次に示す。
【0107】
標準デ−タテ−ブルのデ−タと共に、デ−タ保存の「有効/無効」ならびに標準デ−タ測定の「指示/キャンセル」を選択するための表示が行なわれ、オペレ−タはここで、金ミラ−のデ−タの測定を希望するときには、試料台31(図2)に金ミラ−を装着してそれを測定ホ−ムポジションに置いてから、「指示」を選択する。表示された標準デ−タをそのままオンライン測定での補正用のデ−タに用いて支しつかえないと考えれば、「キャンセル」を選択する。キャンセルが選択されるとパソコン90は、初期メニュ−表示MDY(図16)に戻る。
【0108】
図17に、「標準板測定」(RPM)の内容を示す。標準板測定の初期画面で「指示」が選択されるとパソコン90は、標準板測定用の状態設定をシ−ケンサ60に指示する(図17の1〜4)。シ−ケンサ60は電源回路61に光源電源投入を指示し、循環冷却装置54に冷却水の供給を指示し、窒素ガス供給装置57にガス供給を指示し、そしてキャリッジ16を測定ホ−ムポジションXhに位置決めする。そして、回路61および装置54,57がレディを報知して来るのを待ち、すべてのレディ報知を受け終わったときに、パソコン90にレディを報知する。
【0109】
パソコン90は、このレディ報知を受けると、ハ−ドディスクのパラメ−タテ−ブルの中のデ−タ読込周期Tc,デ−タ読込み時間Td、および、平滑化時定数選択デ−タ(回路87a〜87cのいずれを選択するか)を読出して一時記憶RAMに書込む。そしてシ−ケンサ60に平滑化時定数選択デ−タを転送して時定数設定ならびにチョッパ駆動およびシャッタ開を指示する。これに応答してシ−ケンサ60は光強度計測回路80に、平滑化時定数選択デ−タが指定する時定数回路(87a〜87cの1つ)を選択する信号をマルチプレクサ88に与え、これにより選択指定された時定数回路が平滑回路84に接続される。シ−ケンサ60はチョッパ駆動指示に応答してチョッパ駆動回路63にオン(チョッパ駆動)を指示し、シャッタ駆動回路64にシャッタ開駆動を指示して、これらがレディを報知して来るのを待ち、すべてレディを報知して来るとパソコン90にレディを報知する(5,6)。
【0110】
パソコン90は、このレディ報知に応答して、「S偏向読取」(7)に進む。これにおいてはまず光レベル読込み所要回数n=Td/Tcを算出し(7a)、S偏光設定をシ−ケンサ60に指示する。シ−ケンサ60はこれに応答して偏向切換駆動回路63にS偏光を指示し、回路63がS偏向設定の完了(レディ)を報知してくると、パソコン90にS偏光設定完了(レディ)を報知する(7b)。このレディを受けるとパソコン90は、Tc時限のタイマをスタ−トして(7c)、受光レベル読取指示をシ−ケンサ60に与え、シ−ケンサ60への受光レベル読取切換同期信号の出力を開始する。シ−ケンサ60は受光レベル読取指示があると、まずマルチプレクサ81に入力1を出力に接続する指示を与え、そして同期信号に同期して、マルチプレクサ81への入力選択信号を順次に入力2,3,・・・を指示するものに切換える。パソコン90は同期信号に同期してA/D変換入力ポ−トのアナログ信号をデジタルデ−タに変換して読込み、内部メモリに書込む(7d)。このようにして、マルチプレクサ81の入力1〜入力8のアナログ信号レベル(受光器C1〜C8)の受光レベルを読込むと、パソコン90は、読込み所要回数nを1デクレメントして(7e)、それが0(所要回数のデ−タ読込み完了)になったかをチェックして(7f)、nが1以上であるとタイマTcのタイムオ−バを待って(7g)、また受光器C1〜C8の受光レベルの読込み(7c〜7d)を行なう。このようにして、所要回数n=Td/Tcの、受光器C1〜C8の受光レベル読込みを行なう。
【0111】
これを完了すると、パソコン90は「P偏光読取」(8)に進む。ここでは、シ−ケンサ60にP偏向設定を指示して、S偏向読取のときと同様に、所要回数n=Td/Tcの、受光器C1〜C8の受光レベル読込みを行なう。そしてこれを完了すると、以上のように読込んだデ−タの平均値(n個のデ−タの平均値)を算出する。すなわち、S偏光の受光器Ci(i=1〜8)の受光レベルの平均値E(Si),P偏向の受光器Ci(i=1〜8)の受光レベルの平均値E(Pi)を算出する。そして、両平均値の比 E(Pi)/E(Si) を算出する(9)。算出したデ−タはCRT93に更新表示し一時記憶RAMに更新書込みする(10)。そしてオペレ−タよりキャンセル指示又は終了指示があるのを待つ。キャンセル指示があると、そこでパソコン90は、初期メニュ−表示MDY(図16)に戻る。終了指示があると、「デ−タ保存」の指定が「有効」であると、一時記憶RAMのデ−タをハ−ドディスクの標準デ−タテ−ブルに更新書込みして(13)、初期メニュ−表示MDY(図16)に戻る。
【0112】
3.オンライン測定
オペレ−タが「3.オンライン測定」を指定し実行を指示すると、パソコン90は個別処理プログラム「オンライン測定」OPMに進む。「オンライン測定」は、焼鈍板OPの光反射強度を測定し測定値に基づいて酸化物成分量を算出するものである。
【0113】
図18に、「オンライン測定」OPMのメインル−チンを示す。これに進むとパソコン90は、オンライン測定の初期画面を表示する(SMD)。
【0114】
オンライン測定には、キャリッジ16(対物ヘッド)をx方向に連続して往,復駆動しつつ分光分析を行なう「A.スキャンモ−ド」,キャリッジ16のx方向駆動と停止を繰返してx方向複数点のみの分光分析を繰返す「B.位置サンプリングモ−ド」およびキャリッジ16を停止(位置固定)してx方向一点の分光分析を繰返す「C.位置固定モ−ド」の3モ−ドがある。これら3モ−ドの1つを、オンライン測定の初期画面上で、オペレ−タが選択する。加えて、「A.スキャンモ−ド」を選択したときには、x方向の走査始点と終点および走査速度を入力する。「B.位置サンプリングモ−ド」を選択したときには、測定点(x方向第1〜3ポイントの位置)および測定点にキャリッジ(対物ヘッド)を駆動する速度を入力する。「C.位置固定モ−ド」を選択したときには、測定点(1点のx方向位置)を入力する。
【0115】
また、焼鈍板OPの各波数の光反射強度の測定演算に、「d1.P/S比モ−ド」と「d2.P/Au(P)比モ−ド」がある。これら2つの演算モ−ドの1つを、オンライン測定の初期画面上で、オペレ−タが選択する。
【0116】
オンライン測定の場合、焼鈍板OPがy方向に連続して移動するので、対物ヘッドに対する焼鈍板OPのz位置(高さ)が変動又は振動する。オンライン測定には、変位計32〜34が検知する焼鈍板OPの変位量が、上限値DU以下下限値DL以上の範囲内のときの光レベル読込みデ−タを有効とし、該範囲外のときの光レベル読込みデ−タは破棄して酸化物量演算には用いないデ−タ選別「有効モ−ド」と、変位計32〜34の検出デ−タの何如にかかわらず、光レベル読込みデ−タのすべてを有効と見なして全デ−タを酸化物量演算に用いるデ−タ選別「無効モ−ド」がある。これら2モ−ドの1つを、オンライン測定の初期画面上で、オペレ−タが選択する。
【0117】
オペレ−タが上述の各種モ−ドの選択および入力を行なって「実行」を入力すると、パソコン90は、選択されたモ−ドの分光分析「スキャンモ−ド」SMM,「位置サンプリングモ−ド」PSC又は「位置固定モ−ド」PFMを実行する。
【0118】
図19に、「スキャンモ−ド」SMMの内容を示す。これにおいてパソコン90は、スキャンモ−ドのオンライン測定の状態設定をシ−ケンサ60に指示する(21〜24)。この内容は、すでに説明した「標準板測定」RPMのステップ1〜6(図17)の内容と大略同様である。
【0119】
パソコン90は次に、演算式の定数を設定する(25)。ここではまず、一時記憶用RAMにすでに言及したパラメ−タテ−ブルおよび標準デ−タテ−ブルが設定(書込み)されている(各テ−ブルのデ−タがある)かをチェックして、無いと、ハ−ドディスクから読出して一時記憶用RAMに設定する。
【0120】
そして、まずベ−スライン演算用の定数行列(行列Kの逆行列)を算出して、演算パラメ−タテ−ブル(一時記憶用RAM)に書込む。先に示した〔数1〕の行列式形式の(1)式と、受光器C1の受光レベルを補正して得たi=1(波数1900/cm)の光反射強度E1,受光器C2の受光レベルを補正して得たi=2(波数1350/cm)の光反射強度E2および受光器C8の受光レベルを補正して得たi=8(波数800/cm)の光反射強度E3とに基づいて、図27に示すベ−スラインを特定する(関数のパラメ−タa0〜a3を算出する)が、先に示した〔数2〕の行列式形式の(2)式に示すように、パラメ−タ行列L(a0〜a3)は、測定値E1,E2およびE8の行列Mと、定数X1(1900/cm),X2(1350/cm)およびX8(800/cm)の行列Kの逆行列(Kの−1乗)との積として求める。ここでX1,X2およびX8は、パラメ−タテ−ブルにあるデ−タ(受光器C1,C2,C8のバンドパスフィルタの中心波数)である。行列Kの逆行列(Kの−1乗と表記)を事前に算出しメモリして置くと、ベ−スライン演算タイミングでの該逆行列の演算が実質上省略となり演算速度が速くなる。このためここでは、行列Kの逆行列を算出して演算パラメ−タテ−ブルに書込む。
【0121】
次に、パラメ−タP1〜P4演算用の定数行列(行列Uの逆行列)を算出して、演算パラメ−タテ−ブル(一時記憶用RAM)に書込む。先に示した〔数4〕の行列式形式の(4)式と、受光器C2,C3,C4,C5,C6,C7およびC8の受光レベルを補正して得た各光反射強度より算出した各吸光度Gi(i=2〜8)および既知デ−タq1(Xi)〜q4(Xi)=q1i〜q4i(パラメ−タテ−ブルにある)とに基づいて、酸化物各成分量対応のパラメ−タP1〜P4を算出するが、先に示した〔数4〕の行列式形式の(4)式に示すように、パラメ−タ行列V(P1〜P4)は、算出した吸光度Giと既知デ−タq1(Xi)〜q4(Xi)との積の累算値、の行列Wと、既知数q1(Xi)〜q4(Xi)の行列Uの逆行列(Uの−1乗と表記)との積として求める。ここで既知数q1(Xi)〜q4(Xi)は、パラメ−タテ−ブルにあるデ−タである。行列Uの逆行列を事前に算出しメモリして置くと、パラメ−タP1〜P4演算タイミングでの該逆行列の演算が実質上省略となり演算速度が速くなる。このためここでは、行列Uの逆行列を算出して演算パラメ−タテ−ブルに書込む。
【0122】
次にパソコン90は、シ−ケンサ60がレディを報知して来るのを待ち(26)、レディが到来すると、シ−ケンサ60に走査開始を指示し(27)、光レベル読込み所要回数n=Td/Tcを算出し(28)、P偏光設定をシ−ケンサ60に指示する。シ−ケンサ60はこれに応答してP偏光を設定する(29)。パソコン90は、Tc時限のタイマをスタ−トして(30)、受光レベル読取指示をシ−ケンサ60に与え、シ−ケンサ60に受光レベル読取切換同期信号を与えて、受光器C1〜C8の受光レベル信号をA/D変換して読込み、内部メモリに書込む(31)。
【0123】
受光器C1〜C8の受光レベルを読込むとパソコン90は、デ−タ選別「有効モ−ド」が選択されているかをチェックして(32)、選択されていると、シ−ケンサ60から変位計デ−タを得て(33)、全変位計32〜34の計測値(各変位計に対する焼鈍板OPのz方向距離)が、上限値DU以下下限値DL以上の範囲内にあるかをチェックして、この範囲を外れているときには、今回読込んだデ−タ(受光器C1〜C8の受光レベルデ−タ)を破棄して(35)、再度受光器C1〜C8の受光レベルの読込みを行なう(30,31)。範囲内であったときには、今回読込みデ−タをそのままセ−ブして、また受光器C1〜C8の受光レベルの読込みを行なう36〜38,30〜34)。
【0124】
次に図20を参照する。このようにして、n=Td/Tc回の読込みデ−タを得ると、パソコン90は、演算モ−ドに「P/S比モ−ド」が選択されているかをチェックして(39)、「P/S比モ−ド」が選択されていると、偏光板10をS偏光に設定して、上述のP偏光のときと同様に、受光器C1〜C8の受光レベルを読込み、n=Td/Tc回の読込みデ−タを得る(40〜50)。なお、演算モ−ドに「P/S比モ−ド」が選択されていないときには、このS偏光のデ−タ読込み(40〜50)は行なわない。
【0125】
次に図21を参照する。次にパソコン90は、読込んだデ−タ(各組n個)の平均値を算出する(51)。ここで、P偏光の読込みデ−タの平均値をE(P)iと、S偏光の読込みデ−タの平均値をE(S)iと表現する。iは受光器C1〜C8の番号(1〜8)に対応する。
【0126】
次に、受光器C2〜C8の各受光レベルを吸光度Gi(i=2〜8)に変換する(52)。この内容は、「P/S比モ−ド」と「P/Au(P)モ−ド」のいずれが選択されているかにより、異なる。
【0127】
「P/S比モ−ド」が選択されている場合には、
を、受光器C1〜C8それぞれで検出した光反射強度として算出する。これらの処理の必要性を以下に述べる。
【0128】
高感度反射測定はサンプル(分析対象材)のP偏光受光レベル値(E(P)i)を標準ミラ−である金ミラ−のP偏光受光レベル値(Au(P)i)で割り算する次式により得られる。
【0129】
高感度反射吸収スペクトル(i)=E(P)i/Au(P)i
オンライン測定では金ミラ−の測定が出来ないために何らかの工夫が必要である。この値の測定にはラインを止めてオフラインで測定する必要があるが、この値は雰囲気(湿度,COガス濃度,CO2ガス濃度等)に大きく影響されるので、刻々と更新する必要があるというのが分光学上の常識である。オンラインで容易に測定出来る量としてP偏光受光レベル値(E(P)i)の他にS偏光受光レベル値(E(S)i)があり、この量を金ミラ−のP偏光受光レベル値(Au(P)i)と金ミラ−のS偏光受光レベル値(Au(S)i)を測定しておく。オンラインで測定した値を用いてE(P)i/E(S)iを計算し、これにAu(S)i/Au(P)iをかける。すなわち、
〔E(P)i/E(S)i〕×〔Au(S)i/Au(P)i〕 =〔E(P)i/Au(P)i〕×〔Au(S)i/E(S)i〕
と変形される。ここで第一のカッコの中身〔E(P)i/Au(P)i〕は、高感度反射法スペクトルそのものである。第二のカッコの中身〔Au(S)i/E(S)i〕は、金とサンプルのS偏光での受光レベルで、測定の波長が10μm近辺であることを考えると両方とも反射率が高いと考えられるので、ほぼ同じ値をとる。従って第二のカッコ内はほぼ1に近くなり、
〔E(P)i/E(S)i〕×〔Au(S)i/Au(P)i〕 ≒〔E(P)i/Au(P)i〕
と考えられ、P偏光での受光レベル値をS偏光での受光レベル値で割り算し、この値に金ミラ−のS偏光の受光レベル値をP偏光で割ったものをかければ、高感度反射スペクトルが得られる。この方法によれば、Au(S)i/Au(P)iの値は割り算された値なので、雰囲気の効果がキャンセルされた形になっているので、刻々と更新する必要がない。従ってオンライン計測が可能となる。
【0130】
「P/Au(P)モ−ド」が選択されている場合には、
Ei=E(P)i/E(Pi) ・・・(6)
i=1〜8,
E(Pi):標準デ−タテ−ブルにあるE(Pi)すなわち 金ミラ−のP偏光の受光レベル
を、受光器C1〜C8それぞれで検出した光反射強度として算出する。すなわち補正する。
【0131】
以下の処理は、「P/S比モ−ド」と「P/Au(P)モ−ド」に共通であり、まず、先に示した〔数2〕の行列式形式の(2)式と、上述のEiの中のi=1,2および8のものに基づいて、パラメ−タ行列L(a0〜a3)を算出する。このときKの逆行列の値は、図19のステップ25で演算パラメ−タテ−ブルに書込んだものを用いる。次に、各波数(i=1〜8)の光反射強度Eiを、求めたベ−スラインの光反射強度で割算した値F1i(規格化反射率)を求める。規格化反射率F1iは、例えば図28に示すものとなる。
【0132】
次に、規格化反射率F1iを、次の(7)式に従って吸光度Giに変換する。吸光度Giの算出値の例を図29に示す。
【0133】
Gi=−Log(F1i) ・・・(7)
以上がステップ52の内容である。次にパソコン90は、先に示した〔数4〕の行列式形式の(4)式と、上述の吸光度Giの中のi=2〜8のものに基づいて、パラメ−タ行列V(P1〜P4)を算出する(53)。このときUの逆行列の値は、図19のステップ25で演算パラメ−タテ−ブルに書込んだものを用いる。
【0134】
次にパソコン90は、FeO(金属酸化物)総量を表わす値FeO=P2+P3+P4を算出し、そしてO(酸素)総量を表わすO=P1+P2+P3+P4を算出する(54,55)。
【0135】
次にパソコン90は、対物ヘッドのx位置(x,y方向の測定位置),各種検出値,異常判定デ−タを含む状態デ−タの転送をシ−ケンサ60に要求し、転送された状態デ−タを読込む。そして状態チェックならびに出力デ−タの編集を行なう(56,57)。出力デ−タには、測定モ−ド,測定位置(x,y位置)に対応付けた測定デ−タおよび算出デ−タならびに状態(異常判定も含む)デ−タが含まれる。パソコン90は、この出力デ−タを一時記憶用RAMの測定デ−タエリアに書込むと共に、CRT93に表示しかつプリンタ94でプリントアウトする(58)。なお、一時記憶用RAMのパラメ−タテ−ブルにデ−タ保存「有効」を示すデ−タがあるときには、焼鈍板OPの所定の区切り毎に、一時記憶用RAMの測定デ−タエリアの測定デ−タをハ−ドディスクの測定デ−タエリアに書込む。
【0136】
「状態チェック」(57)の結果、測定継続可であると、また受光器C1〜C8の受光レベルの読込みに進む(ステップ28以下)。測定継続不可であると、そこで安全を確保するための処置(60)ならびに出力を行なって、オンライン測定の初期画面表示(図18のSMD)に戻り、異常出力(表示)を継続する。
【0137】
「位置サンプリングモ−ド」PSMでのパソコン90のデ−タ処理は、前述のスキャンモ−ドのときのものと同様であるが、計測制御が少しスキャンモ−ドと異なる。すなわち、位置サンプリングモ−ドではシ−ケンサ60が、第1ポイント−第2ポイント−第3ポイント−第2ポイント−第1ポイント−第2ポイント−・・・と対物ヘッド(キャリッジ16)のx位置を順次に変更し、各ポイントへの対物ヘッドの位置決めを完了すると計測レディをパソコン90に報知し、これに応答してパソコン90が上述の光レベルの読込みと演算および出力を行ない、それを完了するとポイントシフト(次のポイントへの対物ヘッドの駆動)をシ−ケンサ60に指示し、シ−ケンサ60はこのポイントシフト指示に応答してポイントの切換えを行なう。他の処理は上述のスキャンモ−ドと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0138】
「位置固定モ−ド」PFMでのパソコン90のデ−タ処理も、前述のスキャンモ−ドのときのものと同様であるが、計測制御が少しスキャンモ−ドと異なる。すなわち、計測開始までにパソコン90は対物ヘッドの指定x位置をシ−ケンサ60に与えてシ−ケンサ60がその位置に対物ヘッドを位置決めする。その後は、上述の光レベルの読込みと演算および出力を繰返す。他の処理は上述のスキャンモ−ドと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0139】
以上がオンライン測定の内容である。再度図16を参照する。「参照資料測定」SPMは、測定ホ−ムポジションに対物ヘッドを位置決めして、上述のスキャンモ−ドの光レベルの読込みと演算および出力の処理を1回行なうものである。
【0140】
この「参照資料測定」には、試料台31上には、酸化物成分デ−タが既知の参照試料が設置されて開口2直下にあることを想定した酸化物試料測定モ−ドと、試料台31上に標準ミラ−(金ミラ−)を設置しかつ受光側フィルタ22にその外部から、赤外材料の透過フィルタ(Siフィルタ又はZnSeフィルタ)を装着した校正測定モ−ドとがある。酸化物試料測定モ−ドを実行したときには、参照試料を計測すると、計測デ−タを該参照試料の既知デ−タと対比することにより、分光分析装置の現時点の特性と信頼性を推定することができる。
【0141】
校正測定モ−ドでは、赤外材料の透過フィルタを装着したときと、それを外したときの標準ミラ−の各分光器C1〜C8の受光レベルを計測して、赤外材料の透過フィルタがあったときの受光レベルを標準ミラ−のみの受光レベルで割り算して、各波数(各分光器C1〜C8)の、割り算で得た値を各基準値と対比して、各分光器C1〜C8およびそれに接続された検知回路70〜77の光/電気信号変換特性をチェックし、各分光器C1〜C8の光/電気信号変換特性を調整し検知回路70〜77の増幅特性を調整する。
【0142】
「状態確認」ORCは、分光分析装置の光学系および電気回路系の状態をオペレ−タが確認するためのものである。「状態確認」ORCに進むとパソコン90は確認項目リストをCRT93に表示し、オペレ−タが確認項目を選択する。パソコン90は項目が選択されると、それに対応した処理を行なう。以下に数種の処理を説明する。
【0143】
受光器C1〜C8の信号処理系のノイズレベルの確認:
オペレ−タが指定したチャンネル(C1〜C8)の受光レベル信号の電圧を、横軸を時間として時系列でCRT上にグラフ表示する。S偏光/P偏光をオペレ−タが指定する。
【0144】
迷光レベルの確認:
オペレ−タが迷光レベルの確認を起動すると、パソンコン90はシ−ケンサ60を介してシャッタ14を閉じ、CRT上に受光器C1〜C8の受光レベル信号のレベルを、電圧値で表示する。S偏光/P偏光をオペレ−タが指定する。
【0145】
ロックインアンプ83のオフセット確認:
オペレ−タがこれを起動すると、パソコン90がシ−ケンサ60に、マルチプレクサ81の入力0を指示し、マルチプレクサ81が、入力0の電圧をバンドパスフィルタ82に与え、このときの電圧レベルをパソコン90が読込み、CRTに横軸を時間として時系列で表示する。入力0は機器ア−スレベル(フィルタ82の入力ショ−ト)であり、読込み値はフィルタ82のオフセット電圧を示す。
【0146】
図16に示す「デ−タ転送」DTCは、ハ−ドディスク又は一時記憶用RAMの測定デ−タを、焼鈍板の長さ区分単位(コイル単位又は所定長単位)でMOデライバに転送してMOにコピ−する処理であり、測定デ−タの在所(ハ−ドディスク/RAM)ならびに属するグル−プ(焼鈍板の長さ区分)はオペレ−タが指定する。
【0147】
図16に示す「デ−タ解析」DTPは、オペレ−タが指定した、パソコン90のハ−ドディスク又は一時記憶用RAMもしくはMOのデ−タを、CRT上にグラフ表示し、オペレ−タ指示があればプリントアウトする。グラフ表示処理が指示されると、Execl又はLotusでグラフ表示できるように、TEXTファイルに変換する。
【0148】
−第2実施例−
上述の第1実施例では、光学定盤1の開口2にキャリッジ16を装着して対物ヘッドのみをx方向に走査駆動する構成であるので、x走査駆動を高速に行ない得る。また対物ヘッドを高精度に位置決めしうる。しかし、x方向の走査幅を広く設計する場合、光学定盤1のx方向幅が大きくなるばかりでなく、光源5から受光器C1〜C8までの光路長が長くなり、焼鈍板OPのz方向変位および振動や、水平からの角度変化又は傾き振動による、受光器C1〜C8の基準光軸に対する反射光のずれが大きくなる。この点を改善するため、第2実施例では、光学定盤1をキャリッジとしてそれをx方向に走査駆動しうる構造とした。
【0149】
図30および図31に、第2実施例の銅板ケ−シング4のxz断面およびxy断面を示す。第2実施例では、投光側方向変換ミラ−19,投光側対物ミラ−20,受光側対物ミラ−22および受光側方向変換ミラ−24も光学定盤1に固定されている。光学定盤1はx方向に延びる支持レ−ル3上に、x方向に移動自在に載っており、ねじ棒17(図31)の正,逆転によりx方向で往,復駆動される。迷光レベル検出のために光路を遮断するシャッタ14は、光学定盤1の、ミラ−19直下の透光開口2を開閉する。このシャッタ14は、第1実施例と同様に、エァ−シリンダ15で駆動される。その他の機械的な構造は第1実施例と同様である。第2実施例の電気システム構成は、図14に示す第1実施例のものと同様であり、パソコン90の分光分析プログラムも上述の第1実施例のものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0150】
この第2実施例では、形状が大きく高重量の定盤1をx方向に走査駆動するので走査速度は低く、位置決め精度も低いが、光源5から受光器C1〜C8までの光路長が、第1実施例の場合よりもかなり短いので、焼鈍板OPのz方向変位および振動や、水平からの角度変化又は傾き振動による、受光器C1〜C8の基準光軸に対する反射光のずれが小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の分光測定機OMDを装備した電磁鋼板の脱炭焼鈍ラインの概要を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す分光測定機OMDの銅板ケ−シング4のxz断面を示す拡大断面図である。
【図3】 図1に示す分光測定機OMDの銅板ケ−シング4のxy断面を示す拡大断面図である。
【図4】 図2に示す光源5の拡大斜視図である。
【図5】 図2に示す偏光板10の偏光方向を示す拡大斜視図であり、(a)はP偏光を、(b)はS偏光を示す。
【図6】 図3に示す光分配器A1〜A5,B1,B2と受光器C1〜C8のxy平面上の配列を示す拡大平面図である。
【図7】 図6に示す2色フィルタ43の光透過方向および反射方向を示す平面図であり、(a)は2色フィルタ43のみで光反射を行なうと仮定したものを、(b)は光分配器A1〜A5,B1,B2での、金ミラ−を用いる反射態様を示す。
【図8】 (a)は図3に示す光分配器A4の拡大平面図、(b)光分配器A4の2色フィルタ43の入射角度および金ミラ−46の配設角度を示す。
【図9】 図3に示す光分配器A4の拡大分解斜視図である。
【図10】 (a)は2色フィルタ43の入射角を、図7の(b)に示すように22.5としたときの、P偏光とS偏光の透過率を示すグラフ、(b)は、図7の(a)に示すように入射角を45°にしたときの、P偏光とS偏光の透過率を示すグラフである。
【図11】 光分配器A1〜A5,B1,B2と受光器C1〜C8のxy平面上の配列の一変形例を示す拡大平面図である。
【図12】 (a)は図3に示す光分配器A4および受光器C2の拡大平面図であり、(b)は受光器C2の光電変換素子51を集光レンズ49の焦点に置いたと仮定した場合の、光分配器A4および受光器C2の拡大平面図、(c)は(a)の配置での焼鈍板OPの傾斜に対する受光器C2の受光レベルの変化(実線)と、(b)の配置態様での焼鈍板OPの傾斜に対する受光器C2の受光レベルの変化(2点鎖線)を示すグラフである。
【図13】 図2に示す銅板ケ−シング4の外観を示す縮小斜斜図である。
【図14】 図1に示す分光測定機OMD内の電気要素ならびにそれらに接続された機外の電気要素を示すブロック図である。
【図15】 図14に示す光強度計測回路80の構成を示すブロック図である。
【図16】 図14に示すパソコン90の、分光分析プログラムに基づいた分光測定の流れ概要を示すフロ−チャ−トである。
【図17】 図16に示す「標準板測定」RPMの内容を示すフロ−チャ−トである。
【図18】 図16に示す「オンライン測定」OPMの内容を示すフロ−チャ−トである。
【図19】 図18に示す「スキャンモ−ド」SMMの内容の一部を示すフロ−チャ−トである。
【図20】 図18に示す「スキャンモ−ド」SMMの内容の一部を示すフロ−チャ−トである。
【図21】 図18に示す「スキャンモ−ド」SMMの内容の残部を示すフロ−チャ−トである。
【図22】 内層がSiO2で外層が(Fe,Mn)2SiO4の、赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図23】 内層がSiO2で外層が(Fe,Mn)SiO3−Iの、赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図24】 内層がSiO2で外層が(Fe,Mn)SiO3−IIの、赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図25】 内層がSiO2で外層もSiO2の、赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図26】 金のP偏光赤外線の吸収スペクトルを示すグラフである。
【図27】 内層がSiO2で、外層に、(Fe,Mn)2SiO4,(Fe,Mn)SiO3−I,(Fe,Mn)SiO3−IIおよびSiO2を含む酸化層の赤外線反射率(金の反射強度に対する該酸化層の反射強度の比率)を示すグラフである。
【図28】 図27に示すベースラインの各波数の反射率に対する各波数の実際の反射率の比F1iを示すグラフである。
【図29】 図28に示す反射率の比F1iに基づいて算出された各波数の吸光度Giを示すグラフである。
【図30】 第2実施例の分光測定機OMDの銅板ケ−シング4のxz断面を示す拡大断面図である。
【図31】 図30に示す第2実施例の分光測定機OMDの銅板ケ−シング4のxy断面を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1:光学定盤 2:開口
3:レ−ル 4:銅板ケ−シング
5:光源 6:光源ミラ−
7:集光レンズ 8:チョッパプレ−ト
9:電気モ−タ 10:偏光板
11:ステッピングモ−タ
12:コリメ−トレンズ
13:区画板 14:シャッタ
15:エァ−シリンダ 16:キャリッジ
17:ねじ棒 18:減速機付電気モ−タ
19:投光側方向変換ミラ−
20:受光側対物ミラ−
21:窓板 22:窓板
23:受光側対物ミラ−
24:受光側方向変換ミラ−
25:スカ−ト(弾力性ゴム)
26,27:シャッタレ−ル
28,29:シャッタ 30:ア−ム
31:試料皿 32〜34:変位計
35,36:サポ−トロ−ル
37,38:保護ロ−ル
A1〜A7,B1,B2:光分配器
C1〜C8:受光器 Ct,Cr:ケ−シング
BP:底板 OP:焼鈍板
RD:試料 40:ケ−シング
41:窓 42:水冷管
43:2色フィルタ 44:ホルダ
45:基台 46:金ミラ−
47:ホルダ 48:バンドパスフィルタ
49:集光レンズ 50:光電変換器
51:光電変換素子
Claims (13)
- 高感度反射法により、連続的に供給される電磁鋼脱炭焼鈍板表面の極薄膜の赤外反射スペクトルを測定し、測定値に基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板表面の吸光成分量を算出する分光分析方法において、
前記電磁鋼脱炭焼鈍板表面に、入射面に平行に偏光されたP偏光と称する赤外光と入射面に対し垂直に偏光されたS偏光と称する赤外光を入射し、それらの反射スペクトルの強度比を測定し、この比を、あらかじめ標準試料について測定した前記P偏光による反射スペクトルと前記S偏光による反射スペクトルの強度比で除算することを特徴とする電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析方法。 - 高感度反射法により、連続的に供給される電磁鋼脱炭焼鈍板表面の極薄膜の赤外反射スペクトルを測定し測定値に基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板表面の吸光成分量を算出する分光分析装置において、
赤外光を発生させる赤外光源,該赤外光源からの赤外光を直線偏光としかつ直線偏光の向きをP偏光およびS偏光に切替えるための回転機構を備えた偏光板を備えた投光手段,該電磁鋼脱炭焼鈍板の保持装置,赤外光を分光して検出するための分光測定手段、および、検出された赤外光の強度を信号処理するためのデータ処理手段、を備え、該データ処理手段は、該電磁鋼脱炭焼鈍板について測定したP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの強度比を、あらかじめ標準試料について測定したP偏光による反射スペクトルとS偏光による反射スペクトルの強度比で除算する手段を含む、ことを特徴とする電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。 - 前記分光測定手段は、前記電磁鋼脱炭焼鈍板表面で反射された赤外光を強度分割して複数の光路に分配する複数の赤外光分割手段を含む光分配手段;該赤外光分割手段によって分割された赤外光を分光する赤外フィルタと該赤外フィルタを透過した光の強度を電気信号に変換する光電変換手段を含む、それぞれが前記複数の光路のそれぞれに配置された複数の分光検出手段;および、各分光検出手段の電気信号を光レベルデ−タに変換する光強度計測回路;を備え、
前記デ−タ処理手段は、該複数の分光検出手段のそれぞれが検知した光レベルに基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化物を構成する成分を定量的に求めるものであり、
さらに、該投光手段、該光分配手段、該複数の分光検出手段、光強度計測回路、およびデータ処理手段を収納する単一または複数のケーシングを備えることを特徴とする請求項2記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。 - 前記複数の分光検出手段は、電磁鋼脱炭焼鈍板の酸化物によって実質上吸収のない3つ以上の波数の赤外光のそれぞれを検知する3以上の第1グル−プの分光検出手段、および、電磁鋼脱炭焼鈍板の、少くとも分析対象の酸化物の種類数に対応する数の、各酸化物によって実質上吸収のある波数の赤外光のそれぞれを検知する第2グル−プの分光検出手段を含み;
該デ−タ処理手段は、第1グル−プの分光検出手段が検知した光レベルに基づいて電磁鋼脱炭焼鈍板の、分析対象の酸化物が存在しないとした分光スペクトルすなわちベ−スラインを算出し、このベ−スラインと第2グル−プの分光検出手段が検知した光レベルに基づいて第2グル−プの分光検出手段が検知する波数に対する電磁鋼脱炭焼鈍板の吸光度を算出し、算出した吸光度に基づいて分析対象の酸化物の種類それぞれの量を算出することを特徴とする請求項3記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。 - 前記投光手段はケーシングに収納され、該ケーシングは電磁鋼脱炭焼鈍板に光を投射するための投光開口を有し、該投光開口は、第1グループの分光検出手段および第2グル−プの分光検出手段の波数域より低い波数域をカットする投光側フィルタで閉じられており、
前記光分配手段を囲むケ−シングは、前記ケーシングと同一または異なるケーシングであって、電磁鋼脱炭焼鈍板が反射した光を通すための受光開口を有し、該受光開口は、第1および第2グル−プの分光検出手段の波数域より低い波数域をカットする受光側フィルタで閉じられていることを特徴とする請求項4記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。 - 前記光分配器は、入射角が15°以上30°以下の、入射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射して第2出射光とするミラ−を有することを特徴とする請求項3,4,又は5のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記投光手段は、電磁鋼脱炭焼鈍板に平行光を投射することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記投光手段は、長手方向yに移動する電磁鋼脱炭焼鈍板に幅方向xに光を投射し、前記光分配手段は、電磁鋼脱炭焼鈍板のx方向の反射光を複数の光路に分配するものである請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 長手方向yの、投光手段が投射した光が電磁鋼脱炭焼鈍板に当る位置よりも、移動方向で上流側と下流側に配設され、電磁鋼脱炭焼鈍板を下押えするサポートロール;を更に備え;前記投光手段は電磁鋼脱炭焼鈍板の上面に光を投射する;請求項8記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記投光手段,光分配手段および分光検出手段の光路を囲むケ−シング;および、該ケ−シング内に、前記赤外光の吸収が実質上ないガスを供給する手段;を有する請求項3乃至請求項9のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記投光手段,前記光分配手段,及び前記複数の分光検出手段をxy平面を有する光学定盤にマウントし、該光学定盤に設置されそれをz方向に貫通する開口を通して分析対象材に光を投射し、前記光学定盤に設置されそれをz方向に貫通する開口を通った、分析対象材の反射光を複数の光路に分配することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記光分配手段は、x方向に平行な入射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射してy方向に平行な第2出射光とするミラ−を有し、受光側方向変換ミラ−の反射光路上にそれぞれの2色フィルタを置いてシリアルに配列された、第1組の複数の光分配器;および、第1組の光分配器の第2出射光のうち特定波数より小さい波数を通して第1出射光とし大きい波数を反射する2色フィルタ、および、該2色フィルタが反射した光を反射してx方向に平行な第2出射光とするミラ−を有し、第1組の光分配器の第2出射光の光路上にそれぞれの2色フィルタを置いて配置された、第2組の複数の光分配器;を備える、請求項3乃至請求項11のいずれか一項に記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
- 前記光分配器は、それぞれの光分配器が別個にユニット基板を有し、光分配器の2色フィルタ,ミラ−およびユニット基板が一体化され一ユニットを複数ユニット組み合わせて構成した;請求項12記載の電磁鋼脱炭焼鈍板の分光分析装置。
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