JP3634522B2 - 難成形樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂、特に、溶融粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂や、熱分解しやすい樹脂、低沸点の添加剤もしくは熱分解しやすい添加剤を含有する樹脂等の難成形樹脂の成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超高分子量ポリエチレンや、超高重合度ポリ塩化ビニル、高塩素化度ポリ塩化ビニル等の樹脂は、溶融粘度が高い、分解しやすい等の理由で成形が非常に難しい樹脂とされ、一般に難成形樹脂と称されている。
【0003】
従来、このように溶融粘度が非常に高い難成形樹脂では、同樹脂から成形体を製造するのに、つぎのような方法が採られている。
【0004】
(1) 圧縮成形またはラム押出成形により、板状あるいは棒状の成形体を作成し、この成形体を切削等の切出し加工により所望の製品に賦形する方法、
(2) 難成形樹脂を有機溶媒に溶解し、キャスティング法によりフィルム化またはシート化する方法、
(3) 特公平4−47608号公報記載のように難成形樹脂の粉末に有機溶媒を加えて得られる分散物または混合物を加熱溶融したあと押出成形し、成形後に有機溶媒を揮散させる方法。
【0005】
しかしながら、上記(1) の方法は、生産性が極めて低いという欠点がある。また、上記(2) および(3) の方法では、溶媒が成形体中に残っていると成形体の物性の低下を招くため、成形体を加熱して溶媒を揮散させなければならないが、溶媒の完全揮散のためには大掛りな装置が必要であると共に、長時間を要し、やはり生産性が低い。加えて、溶媒をそのまま大気中に揮散させたのでは公害を招く恐れがあるため、溶媒の回収を行わなければならず、回収設備等の設備コストが嵩むという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機溶媒の除去や回収の手間が必要でなく、高い生産性で難成形樹脂成形体を得ることができる難成形樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成すべく工夫されたものであって、まず、請求項1記載の発明は、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを難成形樹脂に、この難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした難成形樹脂を押出機中で溶融混練した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、かつ金型内を通過する溶融樹脂の外周全周に対して金型内面に設けられた多孔質体を介して潤滑剤を供給しながら樹脂を押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法である。
【0008】
また請求項2記載の発明は、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンを押出機中で溶融混練すると共に、非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法である。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンをベントタイプスクリューを備えた押出機中で溶融混練すると共に、ベントからも非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法である。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明における難成形樹脂としては、溶融粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂や、熱分解しやすい樹脂、低沸点の添加剤もしくは熱分解しやすい添加剤を含有する樹脂等が挙げられる。
【0012】
溶融粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂としては、超高分子量ポリエチレン、超高重合度ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の樹脂が挙げられる。
【0013】
また、熱分解しやすい樹脂としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート等の生分解性樹脂、高塩素化度ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0014】
これらの難成形樹脂に常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを高圧下で溶解させることにより、該樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができ、難成形樹脂を易成形化することができる。溶融粘度およびガラス転移温度の低下度合いは、樹脂と非反応性ガスの種類、非反応性ガスの溶解量等に依存する。
【0015】
本発明において使用される非反応性ガスは、常温・常圧で気体である有機ないしは無機物質であって、上記難成形樹脂と反応を起こさず同樹脂を劣化させないものであれば、特に限定されず使用できる。例えば、炭酸ガス、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等の無機ガスや、フロンガス、低分子量の炭化水素等の有機ガスが挙げられる。これらは単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。このうち無機ガス、特に炭酸ガスは、ガスの回収が不要であり、樹脂に対する溶解度が高くて樹脂の溶融粘度の低下が著しいため、最も好ましい。
【0016】
難成形樹脂に非反応性ガスを、この難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させる方法としては、同ガスを溶融状態の樹脂に溶解させる方法と、同ガスを固体状態の樹脂に溶解させる方法があるが、どちらの方法を用いてもよく、また、両者を併用してもよい。
【0017】
非反応性ガスを溶融状態の樹脂に溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させる方法としては、例えば、押出機のスクリューとしてベントタイプスクリューを使用して、シリンダーの途中に設けられたベントから同ガスをシリンダー内の樹脂に混入する方法等が挙げられる。この場合、溶融状態の樹脂で圧力シールを行う。
【0018】
非反応性ガスを固体状態の樹脂に溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させる方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。
【0019】
(1) 予め高圧容器等でペレットまたはパウダー状態の樹脂に非反応性ガスを溶解させる方法、
(2) 成形装置の耐圧ホッパーから押出機の固体輸送部に至る領域に非反応性ガスを供給し樹脂中に溶解させる方法。
【0020】
(1) の方法の場合、非反応性ガスを溶解させた樹脂の押出機への供給は、樹脂に溶解したガスが拡散によって大気中に抜けていくのを抑制するためにできるだけ速かに行うことが好ましい。
【0021】
一方、(2) の方法の場合は、非反応性ガスが押出機外へ揮散しないようにスクリュー駆動軸およびホッパーの耐圧シール構造を組み入れることが好ましい。
【0022】
上記領域への非反応性ガスの供給は、ガスをガスボンベから押出機へ直接供給してもよいし、プランジャーポンプ等を用いて加圧供給してもよい。
【0023】
本発明方法において、難成形樹脂を可塑化するために、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを難成形樹脂に、この難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させた後に、溶融樹脂を賦形金型にて押出し、成形体を製造するが、通常の押出成形を行ったのでは、樹脂に溶解していた非反応性ガスが脱圧時に発泡剤として働き、樹脂が発泡してしまい、中実の成形体が得られない。
【0024】
溶解させるガス量を極端に少なくするか、脱圧速度を極端に遅くする等により発泡を生ぜずに押出をすることも可能ではあるが、前者の方法では充分な可塑化効果が得られず、後者の方法では時間がかかりすぎ現実的でない。
【0025】
本発明方法では、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを難成形樹脂に、この難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、同樹脂を押出機内で溶融混練した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することによって、上記問題を解決するものである。
【0026】
ここで、非反応性ガスの封入可能温度とは、使用する樹脂の種類によって異なるが、結晶性樹脂の場合は樹脂の融点以下、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度以下である。
【0027】
溶融樹脂の温度を封入可能温度まで下げないと、樹脂が金型内で発泡するかあるいは金型から脱圧する際に発泡してしまい、中実の成形体を得ることができない。
【0028】
非反応性ガスの飽和溶解圧力は樹脂の温度が低いほど高いので、樹脂が押出機を出た後、金型の設定温度を非反応性ガスの封入温度以下にして樹脂を一気に急冷し、金型内で非反応性ガスを樹脂内に封入して賦形することにより中実の成形体を得ることができる。
【0029】
本発明方法を、超高分子量ポリエチレンのように自己潤滑性を持つ樹脂以外の樹脂に適用する場合は、金型内での樹脂流動抵抗が急激に増すので、金型内を通過する溶融樹脂の外周、好ましくはその全周に潤滑剤を供給してこれを潤滑剤で覆うことが望ましい。このように、樹脂外周を潤滑剤で一様に覆うには金型壁面は多孔質体で構成されていることが望ましい。多孔質体の材質としては例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、金、銀、銅等を主体とした金属系材料と、アルミナ、ムライト、ケイ酸、ジルコニア等を主体とした非金属系材料がある。潤滑剤供給に必要な圧力および流量は使用する潤滑剤の種類と、金型壁面を構成する多孔質体の気孔径、気孔率、金型壁厚で決定される。
【0030】
潤滑剤を樹脂周面に均一に塗布するためには、金型壁面を構成する多孔質体として、細孔分布曲線がシャープで、細孔が均一に分散したものを選定することが好ましい。このような条件を満足する多孔質体としては、非鉄金属系材料を使用することが望ましい。
【0031】
潤滑剤としては、非反応性ガスの封入可能温度で分解、沸騰等が起りにくく、かつ樹脂に溶解せず、樹脂の劣化を促進することのない化学的に安定な物質が好ましい。例えば、このような条件を満足する潤滑剤としては、液状のポリシロキサン、エチレングリコール等の多価アルコール、およびそのアルキルエステル並びにアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンおよびそのアルキルエステル並びにアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンおよびその2種以上のアルキレンオキサイドのランダム、ブロックまたはグラフトコポリマー等が挙げられる。中でも成形体の表面に付着した後の除去が容易な点で上記のような多価アルコール等の水溶性の潤滑剤が好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
図1において、この成形装置は、ベントタイプの同方向回転二軸押出機(スクリュー径44mm、L/D=45)(1) 、その基端部に配設されたホッパー(2) 、および同先端部に設けられた潤滑冷却金型(3) から主として構成されている。押出機(1) は、シリンダーとその内部に配されたスクリューとからなり、シリンダーの基端部上側にホッパー(2) の下端が接続され、シリンダーの先端部に金型(3) が取付けられている。また、押出機(1) とは別に、樹脂にガスを溶解させるための高圧容器(4) が配設されている。原料樹脂は高圧容器(4) に供給されついで耐圧ホッパー(2) へ給送され、ここから押出機(1) のシリンダー内へ送られる。また、高圧容器(4) にはガスボンベ(5) から非反応性ガスが開閉バルブ(6) を経て高圧で給送される。押出機(1) のシリンダーの長さ中央部にはベント(7) が設けられ、これにもガスボンベ(8) から非反応性ガスが高圧で給送される。ホッパー(2) およびスクリュー軸は耐圧シール構造となっており、供給された非反応性ガスを高圧状態に保持することができる。
【0034】
金型(3) は、押出機(1) から加圧状態を維持して導かれて来る溶融樹脂を所望の形状に成形しつつ押出すようになっている。ここで押出機(1) と金型(3) はいずれも温度コントロール装置(図示省略)を備え、所定の温度に制御できるようになっている。
【0035】
図1に示す成形装置において、難成形樹脂として超高粘度材料の超高分子量ポリエチレン(三井化学社製「ハイゼックス・ミリオン240M」、平均分子量230万、融点136℃)、非反応性ガスとして炭酸ガスをそれぞれ用い、難成形樹脂を成形装置の高圧容器(4) に投入し、炭酸ガスをガスボンベ(5) から開閉バルブ(6) を経て高圧容器(4) に給送した。高圧容器(4) において、炭酸ガスの圧力を150kgf/cm2 に保持し、温度を80℃で24時間保持し、炭酸ガスを超高分子ポリエチレンに溶解させた。こうして炭酸ガスを溶解させた超高分子量ポリエチレンを高圧容器(4) から押出機のホッパー(2) へ送り、ここから押出機のシリンダー内に供給した。この樹脂を230℃に設定されたシリンダー内で溶融し、さらに、押出機内へベント(7) から炭酸ガスを150kgf/cm2 の圧力で圧入し、樹脂を押出機内で押出量15kg/h、スクリュー回転数30rpmの条件下で充分に溶融混練した。このとき押出機の背圧は160kg/cm2 であった。
【0036】
続いて、溶融樹脂を100℃に設定された金型により急冷・固化させながらシート状に押出し、幅300mm、厚み500μmのシートを作成した。このシートの断面を顕微鏡観察したところ、気泡は確認されず、表面が平滑で均一な非発泡シートが得られた。
【0037】
実施例2
図2において、この成形装置は、シリンダーの長さ中央部のベントおよびこれに非反応性ガスを給送するためのガスボンベを備えていない。また、金型(3) の外壁面には潤滑剤供給口(9) が設けられ、金型内部には潤滑剤溜り部(10)が形成され、金型内面は多孔質体(11)で構成されている。この金型は、潤滑剤を溜り部(10)から金型内面の多孔質体(11)を通して溶融樹脂の全周面に均一に供給して塗布するようになっている。図2の成形装置は、その他の点では図1に示す実施例1の成形装置と同じ構成を有する。
【0038】
図2に示す成形装置において、熱分解し易い樹脂として、ポリ乳酸樹脂であるRESOMER L209(Boehringer Ingelheim社製、重量分子量50万)、非反応性ガスとして炭酸ガスをそれぞれ用い、ポリ乳酸樹脂を成形装置の高圧容器(4) に投入し、炭酸ガスをガスボンベ(5) から開閉バルブ(6) を経て高圧容器(4) に給送した。高圧容器(4) において、炭酸ガスの圧力を150kgf/cm2 に保持し、温度を80℃で24時間保持し、炭酸ガスをポリ乳酸樹脂に溶解させた。こうして炭酸ガスを溶解させたポリ乳酸樹脂を高圧容器(4) から押出機のホッパー(2) へ送り、ここから押出機のシリンダー内に供給した。この樹脂を130℃に設定されたシリンダー内で溶融し、押出機内で押出量15kg/h、スクリュー回転数30rpmの条件下で充分に溶融混練した。
【0039】
続いて、溶融樹脂を80℃に設定された金型により急冷・固化させながらロッド状に押出し、径10mmの中実ロッドを作成した。この押出成形の際、潤滑剤としてポリエチレングリコールを潤滑剤供給口(9) から連続的に5cc/分で溜り部(10)へ供給し、ここから金型内面の多孔質体(11)を通して溶融樹脂の全周面に均一に塗布するようにした。
【0040】
こうして得られたロッドの断面を顕微鏡観察したところ、気泡は確認されず表面が平滑な非発泡中実体が得られた。また、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量測定を行ったところ、押出の前後で分子量減少は見られず、樹脂の熱分解等は起っていないことが分かった。
【0041】
比較例1
金型の設定温度を150℃にした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたシート状の押出し成形体は、金型から出る際に発泡してしまい、厚み500μmのシートを作成することができなかった。また、一部破泡も起こり、表面も不均一なシートしか得られなかった。
【0042】
比較例2
金型に潤滑剤を供給しない以外は実施例2と同様の操作を行い、金型から溶融樹脂をロッド状に押出そうとしたが、背圧が500kg/cm2 以上かかり、押出が不可能であった。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で難成形樹脂に溶解させるので、樹脂を効果的に可塑化させることができ、超高粘度樹脂の溶融押出や熱分解し易い樹脂の低温成形が可能である。また、非反応性ガスは押出後樹脂から自然に抜け出るために、有機溶媒で可塑化させる従来方法のような溶媒回収工程が必要でない。また、脱ガス時の発泡については、金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで溶融樹脂を急冷し押出成形するので、非反応性ガスが樹脂中に封入され、発泡を抑えることが可能である。
また、金型内を通過する溶融樹脂の外周全周に対して金型内面に設けられた多孔質体を介して潤滑剤を供給しながら樹脂を押出成形するので、金型内での樹脂流動抵抗を小さくして、押出成形をスムーズに行うことができる。
【0044】
また、難成形樹脂の中でも自己潤滑性を持つ超高分子量ポリエチレンにおいては、請求項2記載発明のように、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンを押出機中で溶融混練すると共に、非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することで、表面が平滑で均一な非発泡シートを得ることができる。
また、請求項3記載発明のように、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンをベントタイプスクリューを備えた押出機中で溶融混練すると共に、ベントからも非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することで、表面が平滑で均一な非発泡シートを得ることができる。
【0045】
かくして、本発明方法によれば、有機溶媒の除去や回収の手間が必要でなく、高い生産性で難成形樹脂成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプロセスを示すフローシートである。
【図2】実施例2のプロセスを示すフローシートである。
【符号の説明】
1:押出機
2:ホッパー
3:金型
4:高圧容器
5、8:ガスボンベ
6:開閉バルブ
7:ベント
9:潤滑剤供給口
10:潤滑剤溜り部
11:多孔質体
Claims (3)
- 常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを難成形樹脂に、この難成形樹脂の溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした難成形樹脂を押出機中で溶融混練した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、かつ金型内を通過する溶融樹脂の外周全周に対して金型内面に設けられた多孔質体を介して潤滑剤を供給しながら樹脂を押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法。
- 常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンを押出機中で溶融混練すると共に、非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法。
- 常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに、この超高分子量ポリエチレンの溶融粘度およびガラス転移温度を下げることができる程度の高圧下で溶解させ、易成形状態とした超高分子量ポリエチレンをベントタイプスクリューを備えた押出機中で溶融混練すると共に、ベントからも非反応性ガスを高圧で混入した後に、この溶融樹脂を金型内で、樹脂中に溶解した非反応性ガスの飽和溶解圧力に達するまでに、溶融樹脂中の非反応性ガスの封入可能温度まで急冷し、押出成形することを特徴とする難成形樹脂成形体の製造方法。
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