JPH10193426A - 難成形樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

難成形樹脂成形体の製造方法

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JPH10193426A
JPH10193426A JP9005512A JP551297A JPH10193426A JP H10193426 A JPH10193426 A JP H10193426A JP 9005512 A JP9005512 A JP 9005512A JP 551297 A JP551297 A JP 551297A JP H10193426 A JPH10193426 A JP H10193426A
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JP
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resin
mold
gas
reactive gas
molding
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JP9005512A
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English (en)
Inventor
Kouki Deguchi
好希 出口
Hideshi Matsumoto
英志 松本
Koji Ichihara
幸治 市原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機溶媒の除去や回収の手間がなく、また成形
時に分子量低下を起こすこともなく、生産性良く難成形
樹脂成形体を得ることができる難成形樹脂成形体の製造
方法を提供する。 【解決手段】 本発明の製造方法は、難成形樹脂4 を耐
圧ホッパ2 から押出機1に供給して押出機内で固相から
溶融相へ変態せしめ、該溶融樹脂を金型3 に導入して押
出賦形するに当たり、供給された該難成形樹脂4 に高圧
状態の非反応性ガスを溶解させながら樹脂を変態させ、
得られた溶融樹脂にさらに高圧状態の非反応性ガスを溶
解させて同ガスの加圧状態を維持しながら該溶融樹脂を
押出賦形することを特徴とする。上記樹脂変態後の溶融
樹脂への非反応性ガスの溶解は、例えば、シリンダー11
に設けられた後流ガス供給孔13' を経て同ガスを供給す
ることによって行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂、特
に、溶融粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂や、熱分解
しやすい樹脂、低沸点の添加剤もしくは熱分解しやすい
添加剤を含有する樹脂等の難成形樹脂の成形体の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレンや、超高重合度
ポリ塩化ビニル、高塩素化度ポリ塩化ビニル等の樹脂
は、溶融粘度が高い、分解しやすい等の理由で成形が非
常に難しい樹脂とされ、一般に難成形樹脂と称されてい
る。
【0003】従来、このように溶融粘度が非常に高い難
成形樹脂では、同樹脂から成形体を製造するのに、つぎ
のような方法が採られている。
【0004】(1) 圧縮成形またはラム押出成形によ
り、溶融状態を減ることなく直接板状あるいは棒状の成
形体を作成し、この成形体を切削等の切出し加工により
所望の製品に賦形する方法、 (2) 難成形樹脂を有機溶媒に溶解し、キャスティング
法によりフィルム化またはシート化する方法、 (3) 特公平4−47608号公報記載のように難成形
樹脂の粉末に有機溶媒を加えて得られる分散物または混
合物を加熱溶融したあと押出成形し、成形後に有機溶媒
を揮散させる方法。
【0005】しかしながら、上記(1) の方法は、生産性
が極めて低いという欠点がある。また、上記(2) および
(3) の方法では、溶媒が成形体中に残っていると成形体
の物性の低下を招くため、成形体を加熱して溶媒を揮散
させなければならないが、溶媒の完全揮散のためには大
掛りな装置が必要であると共に、長時間を要し、やはり
生産性が低い。加えて、溶媒をそのまま大気中に揮散さ
せたのでは公害を招く恐れがあるため、溶媒の回収を行
わなければならず、回収設備等の設備コストが嵩むとい
う問題がある。
【0006】また、分解温度と成形温度が近接している
難成形樹脂では、樹脂に安定剤や可塑剤を加え、樹脂の
分解を極力抑えて成形をする方法が採られている。しか
し、この方法では、安定剤や可塑剤の添加量に比例して
樹脂の物性が低下してしまい、逆に安定剤や可塑剤を添
加せずに成形すると樹脂の分解による成形体外観の劣化
や分子量減少による成形体の品質低下が避けられない。
【0007】上記諸問題を解決するため、本発明者ら
は、先に、難成形樹脂を耐圧ホッパから押出機に供給し
て押出機内で固相から溶融相へ変態せしめ、この溶融樹
脂を金型に導入して押出賦形するに当たり、該難成形樹
脂に高圧状態の非反応性ガス例えば炭酸ガスを溶解させ
ながら樹脂を変態させることを特徴とする難成形樹脂成
形体の製造方法を提案した(特願平8−332154
号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この方法によって上記
諸問題はほぼ解決できるが、まだ次のような課題があっ
た。
【0009】(4) 結晶性樹脂では、結晶構造が存在する
ために固相から溶融相への転移過程では非反応性ガスを
溶解させるのが難しく高い溶解量を得ようとするとかな
りの高圧が必要となる。
【0010】(5) 非発泡成形体を製造する場合、樹脂を
一旦溶融状態にした後冷却固化させていく過程で粘度が
上昇し、押出が困難となりがちで、冷却過程で押出可能
な粘度を保持するのに非反応性ガスの高い溶解量が必要
であり、この場合にもかなりの高圧が必要となる。
【0011】(6) 生産性を向上すべく押出量を上げる
と、非反応性ガスの溶解時間が充分に確保できず、溶解
時間を確保させるために押出機長さを長くすれば、設備
費の増大を招き、結局生産性を向上させることはできな
い。また、溶解時間を短くしようとするとかなりの高圧
が必要となる。
【0012】以上いずれの場合も、固相から溶融相への
転移過程で非反応性ガスを溶解させるにはかなりの高圧
が必要となる場合があり、これが設備費増大等の新たに
解決すべき課題をもたらす。
【0013】本発明は、有機溶媒の除去や回収の手間が
なく、また成形時に分子量低下を起こすこともなく、生
産性良く難成形樹脂成形体を得ることができる難成形樹
脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による難成形樹脂
成形体の製造方法は、このような目的を達成すべく工夫
されたものであり、難成形樹脂を耐圧ホッパから押出機
に供給して押出機内で固相から溶融相へ変態せしめ、該
溶融樹脂を金型に導入して押出賦形するに当たり、供給
された該難成形樹脂に高圧状態の非反応性ガスを溶解さ
せながら樹脂を変態させ、得られた溶融樹脂にさらに高
圧状態の非反応性ガスを溶解させて同ガスの加圧状態を
維持しながら該溶融樹脂を押出賦形することを特徴とす
る。
【0015】この方法において、上記樹脂変態後の溶融
樹脂への非反応性ガスの溶解は、例えば、シリンダーに
設けられたガス供給孔を経て同ガスを供給することによ
って行う。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明における難成形樹脂としては、溶融
粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂や、熱分解しやすい
樹脂、低沸点の添加剤もしくは熱分解しやすい添加剤を
含有する樹脂等が挙げられる。
【0018】溶融粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂と
しては、超高分子量ポリエチレン、超高重合度ポリ塩化
ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の
樹脂が挙げられる。
【0019】また、熱分解しやすい樹脂としては、ポリ
乳酸、ポリヒドロキシブチレート等の生分解性樹脂、高
塩素化度ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル等が挙
げられる。
【0020】本発明において使用される非反応性ガス
は、常温・常圧で気体である有機ないしは無機物質であ
って、上記難成形樹脂と反応を起こさず同樹脂を劣化さ
せないものであれば、特に限定されず使用できる。例え
ば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、
酸素等の無機ガスや、フロンガス、低分子量の炭化水素
等の有機ガスが挙げられる。これらは単独で使用されて
もよいし、2種以上併用されてもよい。このうち無機ガ
ス、特に二酸化炭素は、ガスの回収が不要であり、樹脂
に対する溶解度が高くて樹脂の溶融粘度の低下が著しい
ため、最も好ましい。
【0021】樹脂に非反応性ガスを溶解させる具体的な
方法は特に限定されない。例えば、まず、固相から溶融
相への樹脂変態過程において、樹脂に非反応性ガスを溶
解させるには、成形装置の耐圧ホッパから押出機の固体
輸送部に至る領域に非反応性ガスを供給し樹脂中に溶解
させる方法が挙げられる。上記領域への非反応性ガスの
供給は、ガスをガスボンベから押出機へ直接供給しても
よいし、加圧ポンプ等を用いて高圧にして供給してもよ
い。
【0022】非反応性ガスの高圧状態を保持するために
は押出機にスクリュ駆動軸およびホッパの耐圧シール構
造を組み入れることが好ましい。さらにスクリュ駆動軸
を押出機先端側に設置することによって同駆動軸を溶融
樹脂に対する耐圧シール構造とすることが比較的容易に
できる。この方法は耐圧性を高めるのにより好ましい。
【0023】樹脂変態過程の後で上記溶融樹脂にさらに
高圧状態の非反応性ガスを溶解させるためのガス供給
は、通常の押出発泡プロセスと同様に、例えばベント式
スクリュのベント部のように、上記樹脂変態過程の後流
においてシリンダーに設けられたガス供給孔を経て行う
ことができる。
【0024】非反応性ガスの溶解量は、固相から溶融相
への樹脂変態過程においては、固相から溶融相への変態
状態の樹脂を可塑化して溶融させる際にスクリュがスム
ーズに回転できるに必要な量であればよく、また、上記
樹脂変態過程の後流においては、成形時にスクリュがス
ムーズに回転できるのに必要な量であればよい。ガス溶
解量は、樹脂の種類、非反応性ガスの種類等によって適
宜決められる。
【0025】つぎに、金型へ溶融樹脂を導入するに際し
ては、樹脂を加圧状態に維持しておくのが好ましい。一
旦圧力が低下すると溶融樹脂に溶解していた非反応性ガ
スが揮散したり気泡化する恐れがある。このような場
合、金型内での溶融樹脂の流動中に樹脂中の非反応性ガ
スの溶解量が低下し、溶融粘度が上昇して賦形が困難と
なる。また後述するような非発泡成形体が得られなかっ
たり、発泡成形体が気泡径のばらついた成形体となる。
【0026】なお、本発明による成形体の製造方法は、
発泡成形体および非発泡成形体のいずれの成形体の製造
にも適用できる。
【0027】発泡成形体を得る場合には、押出成形時に
従来の押出発泡用の構造の金型を用いれば良く、金型出
口での圧力降下度合いに影響を与える金型形状、樹脂流
動粘度、または金型温度、押出量等の成形条件を適宜設
定することによって気泡の形態および気泡径をコントロ
ールすることができる。
【0028】一方、非発泡成形体を得る場合には、以下
のような方法を採用することができる。
【0029】(7) 金型内で樹脂を充分冷却させて固化状
態で押し出す方法。この方法では、金型内での樹脂流動
抵抗を小さくするために液体潤滑剤を用いたり、金型に
振動を与えて壁面と樹脂表面との摩擦抵抗を小さくする
等の対策を講じることも好ましい。 (8) 金型出口から圧力を保持したまま急冷サイジングを
行う方法。 (9) 金型出口から発泡した成形体を賦形する時に塑性変
形の温度領域でこれを加圧することにより成形体から気
泡を除去する方法。
【0030】上記(7) の方法において液体潤滑剤を用
いる方法としては、従来公知の方法が任意に適用でき
る。この方法に用いられる液体潤滑剤としては、成形温
度で分解、沸騰などが起こりにくく、かつ樹脂に溶融せ
ず、樹脂の劣化を促進することのない化学的に安定な物
質が好ましい。このような条件を満足する潤滑剤の例と
しては、液状のポリシロキサン、エチレングリコール等
の多価アルコール、およびそのアルキルエステル並びに
アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンおよびそのア
ルキルエステル並びにアルキルエーテル、ポリオキシア
ルキレンおよびその2種以上のアルキレンオキサイドの
ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマー等が挙げ
られる。中でも成形体の表面に付着した後の除去が容易
な点で上記のような多価アルコール等の水溶性の潤滑剤
が好ましい。
【0031】また、樹脂表面が潤滑剤で一様に覆われる
ためには金型壁面は多孔質体で構成されていることが望
ましい。多孔質体の材質としては例えば、アルミニウ
ム、ステンレス鋼、チタン、金、銀、銅等を主体とした
金属系材料とアルミナ、ムライト、ケイ酸、ジルコニア
等を主体とした非金属系材料がある。潤滑剤供給に必要
な圧力および流量は使用する潤滑剤の種類と、金型壁面
を構成する多孔質体の気孔径、気孔率、金型壁厚で決定
される。
【0032】潤滑剤を樹脂界面に均一に塗布するために
は、金型壁面を構成する多孔質体として、細孔分布曲線
がシャープで、細孔が均一に分散したものを選定するこ
とが好ましい。このような条件を満足する多孔質体とし
ては、非鉄金属系材料を使用することが望ましい。
【0033】また、金型に振動を与える手段としては、
従来公知のものが適用でき、たとえば、振動モーター、
バイブレーター、超音波等を用いて金型に振動を与え
る。この場合、振動の周波数は、特に限定されないが、
好ましくは100〜100000Hz、より好ましくは
500〜30000Hzである。振動数が100Hz未
満では壁面での摩擦抵抗を充分低下できずに押出不可に
なる恐れがあり、100000Hzを越えると振動を与
えるために多くのエネルギーを要し、製造コストが嵩む
場合がある。
【0034】一方、振動の振幅は好ましくは0.5〜1
000μm、より好ましくは1〜500μmである。振
幅が0.5μm未満では壁面での摩擦抵抗を充分低下で
きずに押出不可になる恐れがあり、1000μmを越え
ると成形体の外観を劣化させる恐れがある。
【0035】上記(9) の方法において、難成形樹脂が結
晶性樹脂である場合、塑性変形の温度領域は、好ましく
は(融点−20℃)〜(融点+100℃)の温度範囲、
より好ましくは(融点)〜(融点+50℃)の温度範囲
である。(融点−20℃)より低い温度で成形体を賦形
すると、樹脂内部に発泡が残り均一な形状の成形体が得
られず、所望の物性も十分に発現しなくなる恐れがあ
り、(融点+100℃)より高いと、賦形後に重ねられ
た成形体の剥離が困難となる場合がある。
【0036】一方、難成形樹脂が非晶性樹脂である場
合、塑性変形の温度領域は、好ましくは(ガラス転移温
度−10℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の温度範
囲、より好ましくは(ガラス転移温度)〜(ガラス転移
温度+80℃)の温度範囲である。(ガラス転移温度−
10℃)より低い温度で成形体を賦形すると、樹脂内部
に発泡が残り均一な形状の成形体が得られず、所望の物
性も充分に発現しなくなる恐れがあり、(ガラス転移温
度+150℃)より高いと、賦形後に重ねられた成形体
の剥離が困難となる場合がある。
【0037】賦形に際して成形体に掛ける圧力は、好ま
しくは2〜300kgf/cm2 、より好ましくは5〜
250kgf/cm2 、特に好ましくは10〜200k
gf/cm2 である。この圧力が2kgf/cm2 未満
であると樹脂内部に発泡が残り均一な形状の成形体が得
られず、所望の物性も充分に発現しなくなる恐れがあ
り、300kgf/cm2 を越えると、成形体が過剰に
圧延され、所望の厚み精度のものが得られなくなる恐れ
がある。
【0038】加圧下の賦形に要する時間(以下、「賦形
時間」と記す)は好ましくは1秒以上、より好ましくは
5秒以上である。賦形時間が1秒未満であると樹脂内部
に発泡が残り均一な形状の成形体が得られず、所望の物
性も充分に発現しなくなる恐れがある。また、賦形時間
の上限は特にないが、この時間があまり長いと生産性が
低くなるので好ましくない。
【0039】成形体に圧力を掛ける方法としては、上記
所定の圧力および賦形時間を満足できるものであれば特
に限定されないが、たとえば、成形体を、ダブルベルト
プレスのように面圧で賦形する方法や、ベルトとロール
の間で賦形する方法や、ロールとロールとの間で賦形す
る方法等が挙げられる。
【0040】また、賦形に際してロールやベルト表面に
エンボス模様などの凹凸模様を施しておくことによっ
て、成形体表面にも凹凸模様が転写され、装飾性に優れ
た難成形樹脂成形体を得ることができる。
【0041】賦形後の冷却温度は樹脂の熱変形温度未満
である。冷却温度が熱変形温度以上であると、巻取り等
の工程で成形体が変形してしまう恐れがある。
【0042】(作用)本発明は、該難成形樹脂に高圧状
態の非反応性ガスを溶解させながら樹脂を固相から溶融
相へ変態させることを特徴の1つとするが、その理由は
次の通りである。
【0043】固相例えばペレットやパウダー状態の樹脂
に非反応性ガスを溶解させ、次いで非反応性ガスの非存
在下に樹脂を加熱溶融させると、温度を上げていく過程
では、拡散により樹脂に溶解していた非反応性ガスが揮
散したり、発泡化したりする恐れがある。また、溶融し
た樹脂に非反応性ガスを溶解させる際に、溶融粘度が非
常に高い樹脂の場合には、例えばスクリュで樹脂を可塑
化する際にトルクの急激な上昇によりスクリュが回転不
能に陥る等の問題が起きる恐れがあり、さらに熱に非常
に敏感な樹脂の場合には、溶融状態では非反応性ガスの
溶解前に樹脂の分解が進む恐れがある。
【0044】本発明による方法では、樹脂を固相から溶
融相へ変態している間、該難成形樹脂に高圧状態の非反
応性ガスを溶解させ樹脂と非反応性ガスの完全相溶状態
を形成するため、樹脂に溶解した非反応性ガスは、樹脂
が溶融される前に樹脂から揮散したり発泡を来たすこと
がない。したがって、非反応性ガスによって樹脂が可塑
化する際のエネルギーが下がり、トルクが低減し、スク
リュの回転がスムーズに行えると共に、溶融時の成形温
度も低下できる。しかも、非反応性ガスは難成形樹脂中
の溶解状態を維持しているために樹脂の溶融粘度が低下
し、押出機からスムーズに溶融樹脂を押し出すことがで
きる。さらに溶融粘度の低下度合いに依存して成形温度
も低下させることができる。
【0045】本発明は、また、樹脂変態過程の後で、得
られた溶融樹脂にさらに高圧状態の非反応性ガスを溶解
させて同ガスの加圧状態を維持しながら該溶融樹脂を押
出賦形することをもう1つの特徴とする。この非反応性
ガスの追加的供給によって、結晶性樹脂においては溶融
状態では結晶構造が崩壊して同ガスが樹脂中に溶解させ
やすくなり、またガスの拡散速度が固相状態における拡
散速度に比較して格段に速くなることから短時間で高い
ガス溶解量を確保することができる。また非発泡成形体
の製造において、冷却過程で押出可能な粘度を保持する
のに必要な溶解量のガスを溶解させることができる。さ
らに高速生産においても確実に樹脂を溶解させることが
できる。
【0046】しかも、得られた成形体中には非反応性ガ
スが溶解しているが、非反応性ガスは樹脂から自然に抜
け出るために、樹脂を有機溶媒で可塑化させる従来方法
のような溶媒回収工程が必要でなく、生産性が高い上
に、設備の小型化および製造コストの低減が可能であ
る。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0048】図1は、本発明による難成形樹脂成形体の
製造方法に使用される成形装置の1例を模式的に示した
ものである。
【0049】この成形装置(A) は、シリンダー(11)内に
スクリュ(12)を配して成る押出機(1) と、シリンダー(1
1)の始端部上側に開閉弁(6) を介して設けられた耐圧ホ
ッパ(2) と、シリンダー(11)の終端に連設された潤滑冷
却金型(3) とから主として構成されている。また、シリ
ンダー(11)の始端寄り上側には固体輸送部へのガス供給
用の前流ガス供給孔(13)、長さ中央上側には樹脂変態過
程の後流の溶融部へのガス供給用の後流ガス供給孔(1
3') がそれぞれ設けられ、これら前後ガス供給孔(13)、
(13') はそれぞれガスボンベ(15)(15') に接続され、各
ガス供給ラインに開閉弁(14)(14') および加圧ポンプ(1
6)(16') が設けられている。耐圧ホッパ(2) にもガスボ
ンベ(15)が接続され、そのガス供給ラインに開閉弁(22)
が設けられている。ガスボンベ(15)(15') から押出機
(1) および耐圧ホッパ(2) への非反応性ガスの供給は、
加圧ポンプ(16)(16') によってそれぞれ高圧下に行われ
る。
【0050】潤滑冷却金型(3) は、押出機(1) から押し
出されて来る加圧状態を維持した溶融樹脂原料を所望の
形状に成形しつつ押し出すものである。潤滑冷却金型
(3) には上面に設けられた潤滑剤供給口(31)から金型内
面(32)に潤滑剤を供給できるようになっている。
【0051】押出機(1) と潤滑冷却金型(3) はともに温
度コントロール装置(図示省略)を有し、所定の温度に
制御できるようになっている。また、スクリュ軸は、供
給される非反応性ガスを高圧状態に保持させることがで
きるように、耐圧シール構造となされている。
【0052】上記構成の成形装置(A) を用いた、本発明
による難成形樹脂成形体の製造方法は次ぎのように行わ
れる。
【0053】まず、耐圧ホッパ(2) に充填された難成形
樹脂(4) をシリンダー(11)内に供給し、シリンダー(11)
内のスクリュ(12)によって輸送しながら溶融する。この
時、開閉弁(14)を開くことによって、ガスボンベ(15)か
ら前流ガス供給孔(13)を経てシリンダー(11)内に非反応
性ガスを供給し、シリンダー(11)内で難成形樹脂(4)を
固相から溶融相に変態せしめる過程で難成形樹脂(4) に
非反応性ガスを高圧下で溶解させる。また、必要に応じ
て、開閉弁(22)を開くことによって、予め難成形樹脂
(4) を充填した密閉状態の耐圧ホッパ(2) に非反応性ガ
スを高圧で注入し、難成形樹脂(4) に非反応性ガスを溶
解させる。
【0054】非反応性ガスが溶解した溶融樹脂をスクリ
ュ(12)により完全に溶融状態とし、さらに開閉弁(14')
を開くことによって、ガスボンベ(15') から後流ガス供
給孔(13') を経てシリンダー(11)内に非反応性ガスを供
給し、シリンダー(11)内で難成形樹脂(4) に非反応性ガ
スを高圧下で溶解させる。この非反応性ガスが溶解した
溶融樹脂を潤滑剤冷却金型(3) へ供給し、金型内で潤滑
押出しながら冷却固化させて所定の成形体(5) を得る。
【0055】この製造方法では、以上のように、押出機
(1) 内で難成形樹脂(4) が溶融混練される前に、難成形
樹脂(4) に予め非反応性ガスが溶解しているため、非反
応性ガスによって難成形樹脂(4) が可塑化する際にエネ
ルギーが下がり、トルクが低減し、スクリュ(12)の回転
がスムーズになしえる上に、溶融樹脂温度も低下でき
る。しかも、固相から溶融相へ変態した溶融樹脂にさら
に高圧状態の非反応性ガスを溶解させ、溶解後も溶解状
態を維持しているために、溶融粘度が低下し、溶融樹脂
を押出機(1) からスムーズに潤滑冷却金型(3) に導入
し、ここから押出賦形することができる。
【0056】また、潤滑冷却金型(2) は温度コントロー
ル装置によって低温に保たれているため、潤滑冷却金型
(3) に導かれた溶融樹脂は金型内で急冷され、溶融樹脂
中に溶解した非反応性ガスが金型内で揮発膨張すること
がない。さらに、金型(2) 内での溶融樹脂の急冷によっ
て溶融粘度が上がり流動性が低下するが、金型(2) には
潤滑剤が供給されているため、この潤滑剤が流動性の低
下した溶融樹脂と金型(2) の内壁面との間で層流を生
じ、壁面抵抗を小さくし、スムーズな押出を可能にす
る。
【0057】したがって、得られた成形体(5) は、発泡
もなく、金型(2) の形状に沿う、表面が平滑なものであ
る。
【0058】しかも、得られた成形体中には非反応性ガ
スが溶解しているが、非反応性ガスは樹脂から自然に抜
け出るために、樹脂を有機溶媒で可塑化させる従来方法
のような溶媒回収工程が必要でなく、生産性が高い上
に、設備の小型化および製造コストの低減が可能であ
る。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】実施例1 超高粘度樹脂として超高分子量ポリエチレン樹脂である
ハイゼックス・ミリオン240M(三井石油化学社製、
平均分子量230万、融点136℃)を図1に示す成形
装置(A) の耐圧ホッパ(2) から単軸押出機(1) (スクリ
ュ径40mm、L/D=30)に供給した。非反応性ガ
スとしては二酸化炭素を用い、これを前流ガス供給孔(1
3)から押出機の固体輸送部に120kg/cm2 の圧力
で圧入した。この時、押出機(1) はスクリュ軸駆動の高
圧軸シール機構と耐圧ホッパ構造で二酸化炭素の高圧状
態を保持した。
【0061】このようにして固相から溶融相への変態過
程で二酸化炭素を溶解した樹脂に、さらに、樹脂変態過
程の後流に後流ガス供給孔(13') から二酸化炭素を12
0kg/cm2 の圧力で供給し、シリンダー(11)内で溶
融樹脂に高圧下で溶解させながら、溶融樹脂を押出量5
kg/h、スクリュー回転数30rpmの条件下で充分
に溶融混練することができた。このとき押出機の背圧は
300kg/cm2 であった。
【0062】続いてこの溶融樹脂を80℃に設定された
潤滑冷却金型(3) に導き、同金型に潤滑剤としてポリア
ルキレングリコールを5cc/minの割合で供給し
た。溶融樹脂を押出賦形時に金型内で冷却固化させ、超
高分子量ポリエチレンのロッドを得た。なお、この金型
は、潤滑剤をその溜り部から金型壁面の多孔質体を通し
て溶融樹脂との界面全周にわたって溶融樹脂に均一に塗
布するようになっている。
【0063】得られた超高分子量ポリエチレンのロッド
は直径10mmのものであり、その断面を顕微鏡観察し
たところ、気泡や層構造は確認されず、また表面は平滑
で均一であった。
【0064】実施例2 熱分解し易い樹脂として、ポリ乳酸樹脂であるRESO
MER L209(Boehringer Ingelheim社製、重量分
子量50万)を用い、前流ガス供給孔(13)から押出機の
固体輸送部への二酸化炭素の圧入圧力、および後流ガス
供給孔(13') から変態過程の後流への二酸化炭素の圧入
圧力を、いずれも80kg/cm2 とし、バレル設定温
度を後流ガス供給孔(13') までのゾーンで185℃と
し、後流ガス供給孔(13') から押出機先端までのゾーン
で150℃として点を除いて、実施例1と同じ条件で成
形を行い、ポリ乳酸のロッドを得た。
【0065】こうして、溶融樹脂を上記温度で充分に溶
融混練することができた。このとき押出機の背圧は30
0kg/cm2 であった。
【0066】得られたポリ乳酸のロッドは直径10mm
のものであり、その断面を顕微鏡観察したところ、気泡
や層構造は確認されず、表面も平滑で均一であった。ま
た、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量測定を行
ったところ、押出の前後で分子量減少は見られず、樹脂
の熱分解等は起っていないことが分かった。
【0067】比較例1 二酸化炭素の供給を前流ガス供給孔(13)から樹脂変態過
程へのみ行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
その結果、押出量5kg/hでは背圧が700kg/c
2 以上でありスクリュ回転は不能となった。
【0068】比較例2 二酸化炭素の供給を前流ガス供給孔(13)から樹脂変態過
程へのみ行った以外は実施例1と同様の操作を行った。
その結果、後流ガス供給孔(13') 以降の設定温度を15
0℃まで下げると、押出機の背圧が700kg/cm2
以上となり、スクリュ回転は不能となり、また温度を1
75℃までしか下げられなかった。このとき背圧は50
0kg/cm2 であった。
【0069】こうして得られたロッドの断面を顕微鏡観
察したところ、気泡は確認されず、表面が平滑な非発泡
の中実体が得られた。GPCによる分子量測定を行った
ところ、押出の前後で分子量が10%低下しており、熱
による分解が起こっていることが分った。
【0070】
【発明の効果】本発明の方法によれば、非反応性ガスを
高圧下で樹脂の固相から溶融相に変態せしめる状態に溶
解させるので、樹脂を効果的に可塑化させることがで
き、超高粘度樹脂の溶融押出や熱分解し易い樹脂の低温
成形が可能である。また、非反応性ガスは押出後樹脂か
ら自然に抜け出るために、有機溶媒で可塑化させる従来
方法のような溶媒回収工程が必要でない。加えて、金型
の形状や成形条件または後加工等により発泡および非発
泡の成形体を任意に提供することができる。
【0071】本発明によれば、また、樹脂変態過程の後
で、得られた溶融樹脂にさらに高圧状態の非反応性ガス
を溶解させて同ガスの加圧状態を維持しながら該溶融樹
脂を押出賦形するので、結晶性樹脂においては溶融状態
では結晶構造が崩壊して同ガスが樹脂中に溶解させやす
くなり、またガスの拡散速度が固相状態における拡散速
度に比較して格段に速くなることから短時間で高いガス
溶解量を確保することができる。また非発泡成形体の製
造において、冷却過程で押出可能な粘度を保持するのに
必要な溶解量のガスを溶解させることができる。さらに
高速生産においても確実に樹脂を溶解させることができ
る。このため、樹脂の粘度を大幅低下させることがで
き、非常に高粘度の樹脂の溶融押出や熱敏感な樹脂の分
解を生じない低温成形が可能である。
【0072】しかも、得られた成形体中には非反応性ガ
スが溶解しているが、非反応性ガスは樹脂から自然に抜
け出るために、樹脂を有機溶媒で可塑化させる従来方法
のような溶媒回収工程が必要でなく、生産性が高い上
に、設備の小型化および製造コストの低減が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例で用いたプロセス
の概要を示す成形装置の垂直縦断図である。
【符号の説明】 (1) :押出機 (2) :耐圧ホッパ (3) :潤滑冷却金型 (4) :難成形樹脂 (5) :成形体 (6) :開閉弁 (11):シリンダー (12):スクリュ (13):前流ガス供給孔 (13') :後流ガス供給孔 (14):開閉弁 (14') :開閉弁 (22):耐圧ホッパ (15):ガスボンベ (15') :ガスボンベ (16):加圧ポンプ (16') :加圧ポンプ (31):潤滑剤供給口 (32):金型内面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難成形樹脂を耐圧ホッパから押出機に供
    給して押出機内で固相から溶融相へ変態せしめ、該溶融
    樹脂を金型に導入して押出賦形するに当たり、供給され
    た該難成形樹脂に高圧状態の非反応性ガスを溶解させな
    がら樹脂を変態させ、得られた溶融樹脂にさらに高圧状
    態の非反応性ガスを溶解させて同ガスの加圧状態を維持
    しながら該溶融樹脂を押出賦形することを特徴とする熱
    可塑性樹脂成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記樹脂変態後の溶融樹脂への非反応性
    ガスの溶解を、シリンダーに設けられたガス供給孔を経
    て同ガスを供給することによって行う請求項1記載の製
    造方法。
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