JP3910723B2 - 熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融粘度が高いため溶融押出、射出などの溶融成形が困難な超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超高分子量ポリエチレンは、溶融粘度が高いとの理由で、成形が非常に難しい樹脂であり、一般に「難成形樹脂」と称されている。
【0003】
このように溶融粘度が非常に高い難成形樹脂から成形体を製造する従来方法としては、以下のような方法が挙げられる:
(1) 圧縮成形またはラム押出成形により、板状または棒状の成形体を作製し、この成形体を切削などの切り出し加工により所望の製品に賦形する方法、
(2) 難成形樹脂を有機溶媒に溶解し、キャスティング法によりフィルム化またはシート化する方法、
(3) 特公平4−47608号公報に記載されているように、難成形樹脂の粉末にp-キシレン、テトラクロロエタンなどの有機溶媒を加えて得られる分散物または混合物を加熱溶融した後に賦形し、賦形後に有機溶媒を揮散させる方法。
【0004】
しかし、上記(1)の方法は、生産性が極めて低いという欠点がある。また、上記(2)および(3)の方法では、有機溶媒が成形体内部に残っていると成形体の物性低下招くため、成形体を加熱して有機溶媒を揮散させなければならないが、有機溶媒を完全に揮散させるためには大がかりな装置が必要とされると共に、長時間揮散する必要があり、やはり生産性が低い。加えて、有機溶媒をそのまま大気中に揮散させたのでは公害を招くおそれがあるため、有機溶媒を回収しなければならず、回収設備などの設備コストが嵩むという問題がある。
【0005】
そこで本発明者らは、有機溶媒の代わりに環境汚染を招くおそれが低い二酸化炭素などの非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに高圧下で溶解させて樹脂を易成形化することを試みた。
【0006】
しかし、非反応性ガスの溶解により易成形化した超高分子量ポリエチレンを金型などの賦形装置に注入する際には樹脂に加えられていた圧力が低下するため、特開平8−85128号公報に記載されているように、樹脂中に溶解していたガスが気化して樹脂が発泡してしまう。従って、得られた成形体は発泡成形体であり、中実成形体と比較して機械強度などの強度が低く、所望の成形体が得られなかった。
【0007】
樹脂の発泡を避ける手段として、樹脂中のガス溶解量を極端に少なくするなどの手段が挙げられるが、この場合、超高分子量ポリエチレンが充分に易成形化せず、成形することが極めて困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑み、有機溶媒の除去、回収などの手間が必要でなく、高生産性および低圧で超高分子量ポリエチレンの成形体を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成すべく工夫されたものであって、まず請求項1に記載の発明は、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを高圧下で溶解させた溶融状態の超高分子量ポリエチレンを、金型内部で溶融状態の超高分子量ポリエチレンを非反応性ガスの溶解時の圧力以上に加圧することにより、超高分子量ポリエチレンに溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら超高分子量ポリエチレンの凍結可能温度まで冷却し、押出成形した後脱圧する超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを高圧下で溶解させた溶融状態の超高分子量ポリエチレンを、予め高圧ガスを封入することにより非反応性ガスの溶解時の圧力以上の高圧状態に維持した金型内に射出し、金型内部で超高分子量ポリエチレンに溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら超高分子量ポリエチレンの凍結可能温度まで冷却し、その後脱圧する超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、非反応性ガスが二酸化炭素である請求項1又は2記載の超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法である。
【0016】
上記各発明において、非反応性ガスを高圧下で溶解させた溶融状態の超高分子量ポリエチレンは、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレンに高圧下で溶解させ押出機または射出シリンダ中で溶融混練したものである。超高分子量ポリエチレンは非反応性ガスの溶解によって易成形化される。
【0019】
本発明においては、まず、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを超高分子量ポリエチレン(尚、以下の本明細書では、特に断らない限り超高分子量ポリエチレン単に「樹脂」という。)に高圧下で溶解させることにより、樹脂を溶融状態とし、樹脂の粘度を押出または射出成形することができる程度まで下げ、樹脂を易成形化する。樹脂の可塑化、およびその粘度の低下は、樹脂の分子量、ガスの種類、樹脂に対するガスの溶解量などに依存する。
【0020】
本発明において用いられるの非反応性ガスは、常温・常圧で気体状態である有機または無機物質であって、樹脂と反応を起こさず、さらに樹脂を劣化させるなどの悪影響を樹脂に与えないガスを指す。このようなガスは、上記の条件を満たせば特に限定されず、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素などの無機ガス、フロンガス、低分子量の炭化水素ガスなどの有機ガスなどが挙げられる。環境に与える悪影響が低く、そしてガスの回収を必要としない点で無機ガスが好ましく、樹脂に対する溶解度が高く、樹脂の溶融粘度の低下が大きいという観点から、二酸化炭素が好ましい。なお、このような非反応性ガスは、単独で用いられてもよく、あるいは2種類以上の非反応性ガスを併用してもよい。
【0021】
樹脂に対する非反応性ガスの溶解量および圧力、ならびに溶解後の樹脂の溶融粘度の低下度合いは、樹脂および非反応性ガスの種類、分子量などに依存する。
【0022】
樹脂に非反応性ガスを高圧下で溶解させる方法としては、
(1) 非反応性ガスを溶融状態の樹脂に溶解させる方法、および
(2) 固体状態の樹脂に溶解させる方法、
が挙げられる。どちらの方法を用いてもよく、両者を併用してもよい。
【0023】
非反応性ガスを溶融状態の樹脂に溶解させる方法(上記方法(1))としては、例えば、ベントタイプスクリューを用いて、溶融状態の樹脂が充填されたシリンダーの途中からベント部分に非反応性ガスを混入する方法が挙げられる。押出機の一端に備えられた金型近傍から非反応性ガスが放散し得るが、この場合には、金型近傍の溶融状態の樹脂が圧力シール材として作用する。
【0024】
固体状態の樹脂に溶解させる方法(上記方法(2))としては、
(2−A) 予め高圧容器などでペレットまたはパウダー状態の樹脂に非反応性ガスを溶解させる方法、および
(2−B) 成形装置の耐圧ホッパから押出機又は射出機の固体輸送部において非反応性ガスを樹脂中に溶解させる方法、が挙げられる。
【0025】
上記(2−A)の方法の場合、非反応性ガスを溶解させた樹脂を押出機または射出機に供給する際には、樹脂に溶解した非反応性ガスが拡散によって樹脂の外へ抜けてしまうことを抑制するために、できるだけ速やかに供給を行うことが好ましい。
【0026】
上記(2−B)の方法の場合には、非反応性ガスが押出機または射出機の外部に揮散しないように、スクリュー駆動軸およびホッパを耐圧シール構造とすることが好ましい。
【0027】
非反応性ガスはガスボンベから押出機、射出機などに直接供給してもよく、プランジャーポンプなどを用いて加圧供給しても良い。
【0028】
本発明においては、超高分子量ポリエチレンを可塑化するために、常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを上記の方法で超高分子量ポリエチレンに溶解させた後に、溶融樹脂を金型に圧入して成形体を作製するが、通常の押出成形、射出成形、プレス成形による賦形を行ったのでは、樹脂に溶解した非反応性ガスが脱圧時に発泡剤として働き、樹脂が発泡してしまい、所望される成形体が得られない。
【0029】
本発明においては、次に、樹脂に溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら溶融状態の樹脂を凍結可能温度まで冷却し、その後、脱圧することにより上記問題点を解決する。
【0030】
本明細書において用いられる用語「凍結可能温度」とは、降温時の結晶化ピーク温度を指す。なお、「結晶化ピーク温度」とは、溶融状態の樹脂が冷却され結晶化される際の結晶化ピーク温度を意味し、より詳細には、このような冷却の際に、樹脂が発熱する熱量が最大となる温度を意味する。なお、「結晶化ピーク温度」は、JIS K 7121の9.2にその求め方と共に詳細に記載されている。
【0031】
本発明においては、超高分子量ポリエチレンを、好ましくは(降温時の結晶化ピーク温度−10℃)以下まで、より好ましくは(降温時の結晶化ピーク温度−25℃)まで冷却する。上記の「結晶化ピーク温度」は、大気圧下で示差走査型熱量計(DSC)により測定される。
【0032】
樹脂に溶解させた非反応性ガスの状態が過飽和状態となること、非反応性ガスの圧力変化によるエネルギーが大きく気泡核の生成が可能なこと、および樹脂の粘度が発泡に適正な範囲にあることなどの要件が満たされた場合には、非反応性ガスが溶解した樹脂が発泡してしまう。また、凍結可能温度を越える温度では、樹脂の伸長粘度は小さい。従って、樹脂の凍結可能温度を越える温度において圧力バルブ開放などによる脱圧を行った場合には圧力が大きく変化し、さらに樹脂に溶解させた非反応性ガスが過飽和状態になるので、樹脂が発泡してしまい、充分な強度を有する成形体を得ることができない。
【0033】
本発明において、溶融状態の樹脂をその凍結可能温度まで冷却する際に、樹脂に溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持する手段は、高圧ガスおよび/または外力により樹脂に圧力を加え、溶融状態の樹脂を非反応性ガスの溶解時の圧力以上に維持する手段である。
【0034】
なお、樹脂に加えられた圧力が溶解時の圧力未満である場合には、樹脂の凍結可能温度以上の温度では樹脂に溶解させた非反応性ガスが過飽和状態になりやすいため、樹脂が発泡してしまうことが非常に多く、充分な強度を有する成形体を得ることができない。
【0035】
本発明においては、金型内で溶融状態の樹脂を凍結可能温度まで冷却する。射出機または押出機のシリンダー内部で冷却してしまうと、得られた成形体を射出機または押出機から取り出すことができなくなったり、押出機または射出機内部で樹脂が硬化して詰まってしまう場合があるからである。なお、本発明においては、金型は押出機または射出機のいずれにも備えられ得る。また、射出成形においては、金型内部に注入した樹脂に対して外力により圧力を加える場合には、金型を圧縮方向に動かす必要があり、これにより所望される形状(特に厚み)とは異なる形状の成形体となるおそれがあるので、金型内に予め高圧ガスを封入することにより、金型内の圧力を非反応性ガスの溶解時の圧力以上の高圧状態に維持しておき、このような圧力の金型に溶融状態の樹脂を射出する。射出時に金型内の圧力が溶解時の圧力未満である場合には、射出時に発泡が生じてしまう場合がある。
なお、金型内に予め封入する高圧ガスとしては上記の非反応性ガスについて例示されたものと同様のガスを用いることができ、窒素ガスが好ましい。
【0036】
最後に、上記のように冷却した樹脂を脱圧し、成形体を得る。
本発明により得られる成形体は、必ずしも完全な中実構造になるとは限らず、脱圧時に非反応性ガスが樹脂から抜け出すことに起因すると考えられる非常に微細な多孔質構造になる場合もある。このような多孔質構造は欠陥となることはなく、中実体と同程度以上の強度を有する。
【0037】
また、部分的または完全に微細な網目状のフィブリル構造になる場合もある。このようなフィブリル構造を有する成形体もまた、中実体と同様に、超高分子量ポリエチレンが本来備えている耐摩耗性、耐衝撃性、高摺動性などの特性を保持しており、クリープ特性にも優れている。本発明により得られる成形体が、完全な中実構造になるか、部分的または完全に多孔質構造またはフィブリル構造になるかは、非反応性ガスの溶解量、脱圧温度、冷却条件などに依存するが、基本的には、完全な中実構造の成形体を得る場合と比較して、より多くの非反応性ガスを樹脂に溶解させたか、あるいは凍結可能温度以下の比較的高い温度で脱圧した場合に、多孔質構造またはフィブリル構造を有する成形体が得られる傾向がある。また、上記のような多孔質構造およびフィブリル構造を有する成形体も、本発明における成形体に包含される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面と共に説明する。
図1は、本発明に係る超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法を実施するための射出成形装置を示す概略図である。この装置を用いた製造方法は、まず、樹脂を高圧容器4に投入し、二酸化炭素をガスボンベ5から開閉バルブ6を経て高圧容器4に供給し、圧力および温度を所定の値に維持することにより二酸化炭素を樹脂に溶解させる。次いで、二酸化炭素が溶解した樹脂を高圧容器4から耐圧ホッパー2に供給し、ここから射出機1のシリンダー内に樹脂を供給する。射出機1のシリンダー内に供給された樹脂は、射出機1内に備えられた加熱手段(図示せず)により加熱されながら、スクリュー13により図面右方向に向かって溶融混練される。さらに、図面右方向に向かう際には、ガスボンベ8から射出機1に備えられたベント7を介して供給される高圧状態の二酸化炭素に曝される。これにより、樹脂中にさらに二酸化炭素が溶解し、樹脂の溶融粘度が低くなると共に、樹脂は完全に溶融状態となる。
【0039】
一方、金型3については、ガスボンベ11から供給し、加圧ポンプ9で加圧した窒素ガスを開閉バルブ10を経て金型3に供給し、金型3内の圧力を二酸化炭素の溶解時の圧力以上の圧力雰囲気とした後、開閉バルブ10を閉じる。次いで、上記の溶融状態の樹脂を金型3内に射出し、金型3に樹脂を満たす。樹脂を金型3に射出する時から、金型3に備えられた圧力調整バルブ12により、金型3内の圧力を非反応性ガスの溶解時の圧力以上に保ちながら、すなわち樹脂に溶解させた二酸化炭素が未飽和状態または飽和状態に維持されながら、樹脂の温度が凍結可能温度以下になるまで冷却して脱圧するようになっている。
【0040】
この製造方法によれば、金型3内の圧力を非反応性ガスの溶解時の圧力以上に保って、樹脂に溶解させた二酸化炭素を未飽和状態または飽和状態に維持しながら、樹脂の温度が凍結可能温度以下になるまで溶融状態の樹脂を冷却することにより、金型3内に射出した樹脂に発泡が生じない。なぜなら、樹脂が発泡するためには、樹脂に溶解した二酸化炭素が過飽和状態になる必要があるが、本発明においては、樹脂の温度が凍結可能温度以下になるまで、金型3内の圧力が非反応性ガスの溶解時の圧力以上に保たれることによって、樹脂に溶解した二酸化炭素は未飽和状態または飽和状態にあるからである。さらに、凍結可能温度以下まで冷却した樹脂は脱圧され、これにより樹脂に溶解した二酸化炭素が過飽和状態になるが、凍結可能温度以下では樹脂の伸長粘度が非常に大きくなるので、気泡核の生成および気泡の成長は阻害されるので、脱圧時にも樹脂に発泡が生じない。このように、二酸化炭素は発泡剤として作用しないため、得られる樹脂成形体は発泡体にならずに、充分な強度を有する中実体になる。
【0041】
また、従来の方法とは異なり、本発明において樹脂の溶融粘度を下げるために二酸化炭素を用いることにより、樹脂を所望の形状に成形することが可能になる。又、均一に樹脂に圧力を加えることができ、得られる成形体の寸法の精度を向上させることができる。
【0042】
さらに、従来の方法とは異なり、本発明においては有機溶媒を用いることがなく、本発明において用いられる二酸化炭素は上記のように脱圧時に樹脂から自然に放散するため、得られた成形体から人為的に有機溶媒を除去する必要がない。従って、得られた成形体から人為的に有機溶媒を除去する装置なども必要としない。また、二酸化炭素は有機物質と比較して環境に与える悪影響は著しく低く、空気中に自然に放散させても特段の害はないという利点を有する。
【0043】
なお、上記実施の形態では、高圧容器4内で樹脂に二酸化炭素を溶解し、射出機1内のシリンダーによって樹脂を溶融混練したが、これとは別に、押出機(図示せず)において樹脂を溶融混練し、次いで押出機と射出機1とを連結して押出機から射出機に溶融混練された樹脂を供給してもよい。
【0044】
(他の実施の形態)
図2は、本発明に係る超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法を実施するための押出成形装置を示す概略図である。この装置を用いた製造方法は、まず、ガスボンベ21・21’から供給される二酸化炭素を加圧ポンプ22・22’を用いて加圧し、次いでこの高圧状態の二酸化炭素を、押出機20に設けられたガス供給口23・23’より押出機20内に供給する。ホッパ24は耐圧構造になっており、ここから押出機20内に樹脂が押出機20に供給される。この樹脂は、押出機20内に備えられたスクリュー24により、押出機20内の固体輸送部25を図面右方向に向かって進み、押出機20内に備えられた加熱手段(図示せず)により加熱溶融されながら、固体輸送部25に備えられたガス供給口23’から供給される高圧状態の二酸化炭素に曝される。これにより、樹脂中に二酸化炭素が溶解し、樹脂の粘度が低くなる。さらにスクリュー24により図面右方向に向かって進んだ樹脂は、押出機20内に備えられた加熱手段(図示せず)により完全に溶融し、液状物輸送部26に備えられたガス供給口23から供給される高圧状態の二酸化炭素に曝される。これによっても溶融した樹脂中に二酸化炭素がさらに溶解し、樹脂の粘度がさらに低くなる。これにより、樹脂は溶融混練されて溶融状態となる。
【0045】
次いで、溶融状態の樹脂をスクリュー24によりさらに図面右方向に向かって進ませ、液状物輸送部26の先端付近に備えられた金型27を通して外部に押し出す。金型27の温度は樹脂の凍結可能温度以下に設定されている。さらに、樹脂が通ることができる金型27の断面積は押出機20のシリンダーの断面積と比較して非常に小さくなっており、溶解時の圧力以上の高い圧力が金型27を通過する樹脂に加えられる。これにより、樹脂に溶解させた二酸化炭素を未飽和状態または飽和状態に維持しながら、樹脂の温度が凍結可能温度以下になるまで冷却しながら押し出して脱圧するようになっている。なお、この場合、金型27を冷却することにより樹脂の粘度が徐々に上昇し、樹脂が図の右方向に進みにくくなる。特に金型27を凍結可能温度まで冷却した場合には、樹脂が図の右方向に非常に進みにくくなるので、このようなことを防止するため、樹脂が当接する金型内面をテフロン等でコーティングしたり、潤滑押出することが好ましい。
【0046】
この製造方法によれば、金型27内を通る樹脂に溶解時の圧力以上の高い圧力が加えられることにより、樹脂に溶解させた二酸化炭素が未飽和状態または飽和状態に維持されながら、金型27に樹脂が接することにより樹脂の温度が凍結可能温度以下になるまで溶融状態の樹脂が冷却されるので、得られる樹脂成形体に発泡が生じない。また、脱圧時には樹脂に溶解した二酸化炭素が過飽和状態になるが、上記と同様、凍結可能温度以下では樹脂の伸長粘度が非常に大きくなるので、気泡核の生成および気泡の成長は阻害され、樹脂に発泡が生じず、得られる樹脂成形体は、充分な強度を有する中実体になる。
【0047】
また、一旦金型に射出した場合には、必要に応じてバルブなどを用いて人為的に金型内の圧力を高圧に保ったり、または脱圧する必要があるので、手間がかかる上、そのような高圧に耐え得なければならないため金型装置が大がかりになる場合があるが、上記のように金型を通すようにして樹脂を押し出す場合には、人為的に金型内の圧力を保ったり、脱圧する必要がなく、単に樹脂を外部に押し出すだけでよいので、手間がかからず、金型装置を簡略化することができる。また、射出する場合と比較して、押出による場合には、押し出されて得られる成形体を引き取ることにより、成形体を連続的に得ることができる。
なお、有機溶媒を用いない利点は、射出成形の場合と同様である。
【0048】
【実施例】
(実施例1)
結晶性樹脂である超高分子量ポリエチレン(Hoechst社製、商品名「HostalenGUR4120」、平均分子量440万、降温時の結晶化ピーク温度116℃)を図1に示す射出成形装置の高圧容器4に投入した。次いで二酸化炭素をガスボンベ5から開閉バルブ6を経て高圧容器4に供給した。高圧容器4において、二酸化炭素の圧力を11.3MPa、温度を80℃に保持し、24時間かけて二酸化炭素を超高分子量ポリエチレンに溶解させた。こうして二酸化炭素を溶解させた超高分子量ポリエチレンを、高圧容器4から成形装置の耐圧ホッパー2に送り、ここから射出機1(スクリュー径44mm、L/D=45)のシリンダー内に供給した。この樹脂を190℃に設定された射出機1のシリンダー内で溶融し、さらに、射出機1のベント7から二酸化炭素を圧力11.3MPaで供給し、樹脂を溶融混練した。
【0049】
続いて、予め窒素ガスを封入することにより、圧力17.6MPa、温度60℃に維持した金型3内に上記の溶融状態の超高分子量ポリエチレンを射出して金型3内部を溶融樹脂で満たした。この後、金型3内の樹脂が110℃になるまで金型3を冷却し、最後に圧力調整バルブ12を開放することにより脱圧して超高分子量ポリエチレンの中実成形体を金型3から取り出した。こうして得られた中実成形体を切断し、断面を観察したところ、気泡は確認されなかった。また、この中実成形体の引張強度は65MPaであった。
【0050】
(比較例1)
金型3内の圧力を0.1MPa(大気圧)、温度を60℃に維持したことを除き、実施例1と同様にして成形体を得たが、得られた成形体の断面を観察したところ、多数の気泡が含まれた成形体しか得ることができなかった。この成形体の引張強度は14MPaであった。
【0051】
(実施例2)
金型3内の圧力を11.3MPa、温度を110℃に維持したことを除き、実施例1と同様にして超高分子量ポリエチレンの中実成形体を得た。実施例1と同様に、得られた中実成形体を切断し、断面を観察したところ、気泡は確認されなかった。また、この中実成形体の引張強度は61MPaであった。
【0052】
(比較例2)
金型3内の圧力を11.3MPa、温度を110℃に維持し、金型3内の樹脂が130℃まで冷却された時点で脱圧して超高分子量ポリエチレンの成形体を得たこと以外は実施例1と同様にして成形体を得たが、得られた成形体の断面を観察したところ、多数の気泡が含まれた成形体しか得ることができなかった。この成形体の引張強度は18MPaであった。
【0053】
(実施例3)
超高分子量ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製、商品名「ハイゼックス・ミリオン240M」、粘度平均分子量230万、融点136℃、降温時の結晶化ピーク温度118℃)を図2に示す押出成形装置の耐圧ホッパ24から単軸押出機20(スクリュー径40mm、L/D=30)に供給し、二酸化炭素をガス供給口23・23’から押出機20の固体輸送部25および液状物輸送部26に29.4MPa(300kg/cm2)の圧力で供給した。この時、スクリュー駆動軸の高圧軸シール機構、耐圧ホッパー構造、および押出機20近傍の溶融状態の超高分子量ポリエチレン樹脂により、押出機20内の二酸化炭素を高圧状態に保持した。
【0054】
次いで、押出機20に供給された樹脂をその内部で、押出量2kg/時間、スクリュー回転数15rpm、シリンダー設定温度200℃の条件下で充分に溶融混練した。続いて、金型27の先端の温度を約100℃に保つことにより、金型27の先端を通過する樹脂の温度を100℃として金型27から樹脂をパイプ状に押し出し、孔径70mm、厚さ0.5mmのパイプ状超高分子量ポリエチレン成形体を作製した。
【0055】
作製された成形体の断面を顕微鏡観察したところ、微細な網目状のフィブリル構造が観察された。また、作製された成形体の引張強度を測定したところ、97MPaであった。
【0056】
(比較例3)
金型27の先端の温度を約130℃に保つことにより、金型27の先端を通過する樹脂の温度を130℃としたこと以外は実施例3と同様にして成形体を作製したが、作製された成形体の断面を顕微鏡観察したところ、多数の気泡が含まれた成形体しか得ることができなかった。この成形体の引張強度は23MPaであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、非反応性ガスを高圧下で超高分子量ポリエチレンに溶解させて樹脂を溶融状態とすることにより、樹脂を効果的に可塑化させることができ、溶融押出、射出成形が可能になる。さらに、樹脂に溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら樹脂の凍結可能温度まで冷却した上で脱圧するので、樹脂に溶解した非反応性ガスが発泡剤として作用せず、脱圧時に樹脂から自然に放散するため、充分な強度を有する超高分子量ポリエチレン成形体が得られる。また、非反応性ガスは有機溶媒とは異なり、回収・除去する必要がない。そのため、回収・除去工程が不要になるとともに、設備コストも低減することが出来る。さらに、金型に溶融樹脂を低圧で充填できるため、低圧成形により金型の小型化および大型品の成形が可能である。このようにして、有機溶媒の除去や回収の手間が必要でなく、高い生産性かつ低圧で、超高分子量ポリエチレンの成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法を実施するための射出成形装置を示す概略図である。
【図2】 本発明に係る超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法を実施するための押出成形装置を示す概略図である。
Claims (3)
- 常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを高圧下で溶解させた溶融状態の超高分子量ポリエチレンを、金型内部で溶融状態の超高分子量ポリエチレンを非反応性ガスの溶解時の圧力以上に加圧することにより、超高分子量ポリエチレンに溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら超高分子量ポリエチレンの凍結可能温度まで冷却し、押出成形した後脱圧する超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法。
- 常温・常圧で気体状態の非反応性ガスを高圧下で溶解させた溶融状態の超高分子量ポリエチレンを、予め高圧ガスを封入することにより非反応性ガスの溶解時の圧力以上の高圧状態に維持した金型内に射出し、金型内部で超高分子量ポリエチレンに溶解させた非反応性ガスを未飽和状態または飽和状態に維持しながら超高分子量ポリエチレンの凍結可能温度まで冷却し、その後脱圧する超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法。
- 非反応性ガスが二酸化炭素である請求項1又は2記載の超高分子量ポリエチレン成形体の製造方法。
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