JPH1034726A - 難成形樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

難成形樹脂成形体の製造方法

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JPH1034726A
JPH1034726A JP8190556A JP19055696A JPH1034726A JP H1034726 A JPH1034726 A JP H1034726A JP 8190556 A JP8190556 A JP 8190556A JP 19055696 A JP19055696 A JP 19055696A JP H1034726 A JPH1034726 A JP H1034726A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機溶媒の除去や回収の手間がなく、生産性よ
く難成形樹脂成形体を得ることができる難成形樹脂成形
体の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】加圧ホッパ14に難成形樹脂5を充填する
とともに、無機ガスを加圧ホッパ14内に注入し、難成
形樹脂5に無機ガスを収着させたのち、ホッパー13か
ら押出機1のシリンダー11内に供給し、シリンダー1
1内の耐圧シール構造としたスクリュー12によって混
練しながら溶融し、この溶融樹脂を金型2へ供給し、金
型2から所定の形状にして押出賦形したのち、賦形物を
冷却固化して所定の成形体を得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難成形樹脂成形体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超高分子量ポリエチレンや、超重合度ポ
リ塩化ビニルなどの樹脂は、溶融粘度が高いとか、分解
しやすい等の理由で成形困難なため、難成形樹脂と称さ
れている。従来、このような難成形樹脂から難成形樹脂
成形体を製造するには、つぎのような方法が採られてい
る。
【0003】(1)コンプレッション(圧縮)成形また
はラム押出成形により、板状あるいは棒状の成形品を作
製し、この成形品から、切削等の切出し加工により成形
する方法。 (2)難成形樹脂を有機溶媒に溶解し、キャスティング
(注型)法により、フィルム化あるいはシート化する方
法。
【0004】(3)難成形樹脂に有機溶媒を加えて得ら
れる分散物または混合物を押出成形し、成形後に有機溶
媒を揮散させてシートを成形体として成形する方法(特
公平4−47608号公報等参照)。
【0005】しかしながら、上記(1)の方法は、生産
性が極めて悪いという欠点がある。また、(2)、
(3)の方法では、溶媒が成形体中に残っていると成形
体の物性の低下を招くため、成形後に加熱して溶媒揮散
させなければならないが、完全に溶媒揮散させるのに大
掛かりな装置が必要であるとともに、時間もかかり生産
性が悪い。また、そのまま溶媒を揮散させたのでは公害
を招く恐れがあるため、溶媒の回収を行わなければなら
ず、回収設備等の設備コストが嵩むと言う問題がある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、有機溶媒
の除去や回収の手間がなく、生産性よく難成形樹脂成形
体を得ることができる難成形樹脂成形体の製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる難成形樹
脂成形体の製造方法は、このような目的を達成するため
に、非可塑状態の難成形樹脂にあらかじめ無機ガスを収
着させたのち、難成形樹脂を溶融し、この溶融樹脂を金
型から押し出し賦形するようにした。
【0008】本発明における難成形樹脂としては、溶融
粘度が高くて溶融押出が困難な樹脂、熱分解しやすい樹
脂、低沸点もしくは熱分解しやすい添加剤を含有する樹
脂、などが挙げられる。たとえば、溶融粘度が高くて溶
融押出が困難な樹脂としては、超高分子量ポリエチレ
ン、超高重合度ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリイミド等のスーパーエンプラ系の樹脂、な
どが挙げられる。
【0009】一方、熱分解しやすい樹脂としては、高塩
素化度ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸等の生分解性樹脂、ポ
リアクリロニトリル、などが挙げられる。
【0010】本発明において使用される無機ガスは、常
温で気体である無機物質であって、上記難成形樹脂を劣
化させないものなら特に限定されず、たとえば、炭酸ガ
ス、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素などが挙
げられる。これらは単独で使用されても良いし、2種以
上併用されても良い。このうち炭酸ガスは樹脂に対する
溶解度が高く、樹脂の溶融粘度の低下が大きいため最も
好ましい。
【0011】無機ガスを溶解させる方法としては、特に
限定されないが、たとえば、以下のような方法が挙げら
れる。 (1)予め高圧容器などでペレット又はパウダー状態の
樹脂に無機ガスを収着させる方法。 (2)押出機内のホッパから固体輸送部において無機ガ
スを樹脂中に収着させる方法。
【0012】なお、(1)の方法の場合、高圧容器への
無機ガスの供給は、ガスボンベから直接供給してもよい
し、加圧ポンプ等を用いてより高圧にして供給すること
もできる。また、収着時の温度は、効率を考慮すると、
難成形樹脂を溶融させない範囲でできるだけ高温にする
ことが好ましい。因に、難成形樹脂が超高分子量ポリエ
チレンの場合には、50℃から120℃の範囲で収着を
行うことが好ましい。
【0013】無機ガスが収着した難成形樹脂の押出機へ
の供給は、樹脂に収着したガスが拡散によって大気中に
抜けていくのを抑制するためにできるだけ速やかに行う
ことが好ましい。この場合、ホッパ自体を耐圧容器にす
ることがより好ましい。一方、(2)の方法の場合、無
機ガスが押出機外へ揮散しないようにスクリュー駆動軸
およびホッパの耐圧シール構造を組み入れることが好ま
しい。
【0014】無機ガスの溶解量は、溶解によって樹脂の
溶融粘度が成形に適した粘度になれば特に限定されず、
樹脂の種類、無機ガスの種類によって適宜選択すること
ができる。
【0015】また、この製造方法によって、発泡成形体
および非発泡成形体のいずれの成形体でも得ることがで
きる。すなわち、発泡成形体を得る場合には、押出成形
時に従来の押出発泡用の構造の金型を用いればよく、金
型出口での圧力降下度合いに影響を与える金型形状、樹
脂流動粘度、または金型温度、押出量等の成形条件を変
化させることによって気泡径をコントロールすることが
できる。
【0016】一方、非発泡成形体を得る場合には、以下
のような方法を採用することができる。 (3)金型内で溶融樹脂を充分冷却して固化状態で押し
出す方法で、この場合、金型での流動抵抗を小さくする
ために液体潤滑剤を用いたり、金型に振動を与えて壁面
との摩擦抵抗を小さくする等の対策を講じてもよい。
【0017】(4)金型出口から圧力を保持したまま急
冷サイジンクを行う方法。 (5)金型出口で発泡した成形体を賦形する時に塑性変
形領域で加圧することにより気泡を成形体から除去する
方法。
【0018】(3)の方法において金型に振動を与える
方法としては、従来公知のものが任意に使用でき、たと
えば、振動モーター、バイブレーター等を用いて振動を
与える方法が挙げられる。なお、金型と押出機のバレル
の間には金型の振動を押出機に伝えないために防振ゴム
などを挿入するのが好ましい。
【0019】また、振動の振動数は、特に限定されない
が、100〜10000Hzが好ましく、500〜200
0Hzがより好ましい。すなわち、振動数が、100Hz
未満では押出された組成物の金型内での充填が不良にな
り恐れがあり、10000Hzを越えると振動を与える
ために多くのエネルギーを要し、製造コストが嵩む恐れ
がある。
【0020】一方、振動の振幅は0.5〜1000μm
が好ましく、1〜500μmがより好ましく、10〜2
00μmが特に好ましい。すなわち、振幅が0.5μm
未満では押出された組成物の金型内での充填が不良にな
る恐れがあり、1000μmを越えると成形体の直線性
を低下させる恐れがある。
【0021】また、(5)の方法において、塑性変形の
温度領域とは、難成形樹脂が結晶性樹脂の場合、通常、
融点以上を言うが、本発明で好ましい賦形時の温度領域
とは、(融点−20)℃〜(融点+100)℃の温度範
囲を言い、融点〜(融点+50)℃の温度範囲がより好
ましい。すなわち、(融点−20)℃より低いと賦形し
た際に、樹脂内部に発泡が残り均一な形状の成形体が得
られず、物性も十分に発現しなくなる恐れがあり、(融
点+100)℃より高いと、賦形後の、成形体の剥離が
困難となる場合がある。
【0022】一方、難成形樹脂が非晶性樹脂の場合、本
発明で好ましい温度領域とは、(ガラス転移温度−1
0)℃〜(ガラス転移温度+150)℃の温度範囲を言
い、ガラス転移温度〜(ガラス転移温度+80)℃の温
度範囲がより好ましい。すなわち、(ガラス転移温度−
10)℃より低いと賦形した際に、樹脂内部に発泡が残
り均一な形状の成形体が得られず、物性も十分に発現し
なくなる恐れがあり、(ガラス転移温度+150)℃よ
り高いと、賦形後の、成形体の剥離が困難となる場合が
ある。
【0023】賦形に際してかける圧力は、2kgf/cm2
300kgf/cm2 が好ましく、5kgf/cm2 〜250kgf/cm
2 がより好ましく、10kgf/cm2 〜200kgf/cm2 が特
に好ましい。すわなち、圧力が2kgf/cm2 未満だと樹脂
内部に発泡が残り均一な形状の成形体が得られず、物性
も十分に発現しなくなる恐れがあり、300kgf/cm2
越えると、成形体が過剰に圧延され、所望の厚み精度の
ものが得られなくなる恐れがある。
【0024】圧力をかけて賦形するのに要する時間(以
下、「賦形時間」と記す)は1秒以上が好ましく、5秒
以上がより好ましい。すなわち、賦形時間が1秒未満だ
と樹脂内部に発泡が残り均一な形状の成形体が得られ
ず、物性も十分に発現しなくなる恐れがある。また、賦
形時間に上限は特にないが、賦形時間があまり長いと生
産性が著しく悪くなる。
【0025】圧力をかける方法としては、上記所定の圧
力および賦形時間を満足できるものであれば、特に限定
されないが、たとえば、シート状の成形体を製造する場
合、ダブルベルトプレスのように面圧で賦形する方法
や、ベルトとロールとの間で賦形する方法や、ロールと
ロールとの間で賦形する方法等が挙げられる。
【0026】また、賦形に際してロールやベルト表面に
エンボス模様などの凹凸模様を施しておけば、成形体表
面にも凹凸模様が転写され、装飾性に優れた難成形樹脂
成形体を得ることができる。賦形後の冷却温度は、樹脂
の熱変形温度未満である。熱変形温度以上だと、シート
状の成形体を巻取り機で巻き取ろうとした場合などにお
いて、巻取り等の工程で成形体が変形してしまう恐れが
ある。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、本発明の難
成形樹脂成形体の製造方法に使用される成形装置の1例
を模式的にあらわしている。
【0028】図1に示すように、この成形装置Aは、押
出機1,金型2,高圧容器3を備えている。押出機1
は、シリンダー11内にスクリュー12を有し、シリン
ダー11の一端に原料ホッバー13が設けられ、他端に
金型2が一体に設けられている。
【0029】また、スクリュー軸は、耐圧シール構造と
なっており、昇温により原料から揮散される無機ガスを
密閉させることができる。金型2は、押出機1から押し
出されてくる溶融樹脂原料を所望の形状に成形しつつ押
し出すようになっているとともに、図示していないが、
温度コントロール装置を有し、所定の温度に制御できる
ようになっているとともに、金型2の外壁面に沿って設
けられ発振器4によって振動する振動子41によって振
動が与えられるようになっている。
【0030】高圧容器3は、開閉バルブ31を開放する
ことによってガスボンベ32から無機ガスが充填できる
ようになっている。
【0031】この装置Aを用いた、本発明の難成形樹脂
成形体の製造方法は、まず、温度コントロール装置によ
って金型2の型面の温度を後述する溶融樹脂中の無機ガ
スが溶融樹脂中に封入可能な、溶融樹脂より低い温度に
保持しておくとともに、振動子41によって所定の振動
を金型2に与えておく。そして、高圧容器3に難成形樹
脂5を充填し、密閉状態としたのち、開閉バルブ31を
開き、ガスボンベ32の無機ガスを高圧容器3内に注入
し、難成形樹脂5に無機ガスを収着させる。
【0032】つぎに、この無機ガスが収着された難成形
樹脂5を高圧容器3から取り出し、ホッパー13からシ
リンダー11内に供給し、シリンダー11内のスクリュ
ー12よって混練しながら溶融する。この溶融樹脂を金
型2へ供給し、金型2から所定の形状にして押出賦形し
たのち、賦形物を冷却固化して所定の成形体を得るよう
になっている。
【0033】この製造方法は、以上のように、押出機1
内で難成形樹脂5が溶融混練される前に、難成形樹脂5
に予め無機ガスを収着させているため、無機ガスによっ
て難成形樹脂5が可塑化する際のエネルギが下がり、ト
ルクが低減し、スクリュー12の回転がスムーズに行え
る。しかも、無機ガスが難成形樹脂中に溶解するため、
溶融粘度も低下し、押出機1からスムーズに溶融樹脂を
押し出すことができる。
【0034】すなわち、無機ガスの混入方法としては、
例えば、ベントタイプスクリューを使用して樹脂を溶融
させたのち、シリンダーの途中からベント部分のスクリ
ュー未充満領域に混入する方法も採ることができるが、
溶融粘度が非常に高粘度な樹脂の場合には、スクリュー
で可塑化する際にトルクの急激な上昇によりスクリュー
回転不能に陥るなどの問題がでる恐れがあるが、この製
造方法によれば、その問題が全くない。
【0035】また、金型2が温度コントロール装置によ
って低温に保たれているため、金型に入った溶融樹脂
は、金型2内で急冷され、溶融樹脂中に溶解した無機ガ
スが金型内で揮発膨張することがない。さらに、金型2
で溶融樹脂が急冷されると、溶融樹脂の粘度が下がり、
流動性が悪くなるが、金型2に振動が付与されているた
め、この振動によって流動性の低下した溶融樹脂と金型
3の内壁面との摩擦抵抗が小さくなり、金型2内に溶融
樹脂が緻密に充填される。
【0036】したがって、押し出されてきた賦形物7
は、発泡もなく金型2の形状に沿う緻密なものとなり、
この賦形物7を冷却することにより、発泡のない緻密で
表面が平滑な成形体を得ることができる。
【0037】しかも、得られた成形体中には、無機ガス
が封入されているが、無機ガスが自然に樹脂から抜ける
ために、有機溶媒で可塑化させる従来の方法に比べ溶媒
回収の工程が不要であり、生産性がよい。また、有機溶
媒を用いた場合のような回収装置が不要になるため、設
備も小型化でき、製造コストも低減できる。
【0038】図2は本発明にかかる難成形樹脂成形体の
製造方法に使用される成形装置の他例をあらわしてい
る。この成形装置Bは、上記成形装置Aのような高圧容
器3がなく、押出機1´のホッパー14が加圧型にし
て、ホッパー内で無機ガスを収着させるようにするとと
もに、シリンダー11の固体輸送部にガス注入弁15を
設け、このガス注入弁15からシリンダー11内に無機
ガスを注入し、無機ガスの内部圧を高めるようにした以
外は、成形装置Aと同様になっている。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】(実施例1)難成形樹脂としての超高分子
量ポリエチレン(三井石油化学工業(株)社製ハイゼッ
クス・ミリオン240M、平均分子量230万、融点1
36℃)および無機ガスとしての炭酸ガスを図1に示す
成形装置の高圧容器に入れ、炭酸ガス温度80℃,炭酸
ガス圧150kgf/cm2 に24時間保持し、炭酸ガスを超
高分子ポリエチレンに収着させた。
【0041】この炭酸ガスが収着した超高分子ポリエチ
レンを同方向回転二軸押出機(スクリュー径44mm、
L/D=45)のホッパーから押出機のシリンダー内に
供給し、230℃の温度に設定されたシリンダー内で押
出量30kg/h、スクリュー回転数30rpm の条件下で十
分に溶融混練した。
【0042】そして、この溶融樹脂を80℃に設定さ
れ、振動子としての振動モータによって振動数500H
z、振幅100μmの振動を付与した金型に注入し、押
出賦形したのち、冷却固化して超高分子量ポリエチレン
シートを得た。得られた超高分子量ポリエチレンシート
は、幅300mm、厚み2mmでその断面を顕微鏡観察した
ところ、気泡や、層構造は確認されず、また表面も平滑
で均一であった。
【0043】(実施例2)図2に示す成形装置を用いた
以外は、実施例1と同様の条件で、超高分子量ポリエチ
レンシートを得た。得られた超高分子量ポリエチレンシ
ートは、幅300mm、厚み2mmでその断面を顕微鏡観察
したところ、気泡や、層構造は確認されず、また表面も
平滑で均一であった。
【0044】
【発明の効果】本発明にかかる難成形樹脂成形体の製造
方法は、以上のように構成されているので、有機溶媒の
除去や回収の手間がなく、発泡または非発泡の難成形樹
脂成形体を生産性よくかつ任意に得ることができる。ま
た、溶媒回収が不要のため、作業工程が少なくて済むと
ともに、設備コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の難成形樹脂成形体の製造方法に用いる
製造装置の1例を模式的にあらわす模式図である。
【図2】本発明の難成形樹脂成形体の製造方法に用いる
製造装置の他例を模式的にあらわす模式図である。
【符号の説明】 1 押出機 1´ 押出機 2 金型 5 難成形樹脂 71 賦形物

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非可塑状態の難成形樹脂にあらかじめ無機
    ガスを収着させたのち、難成形樹脂を溶融し、この溶融
    樹脂を金型から押し出し賦形することを特徴とする難成
    形樹脂成形体の製造方法。
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