JP3633173B2 - 二色成形用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、成形品の接着性が優れた二色成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂は、その優れた射出成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性などを利して、自動車、機械部品の分野で射出成形品として広範に利用されている。上記分野でのナイロン樹脂の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であり、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が進んできた。更に最近はナイロン樹脂材料の高性能化および成形加工技術の進展に伴って、大型且つ複雑形状で、従来技術では樹脂化が困難とされてきた部品へのナイロン樹脂の適用が検討されるようになっている。このような難度の高い部品を樹脂化するためには射出成形や押し出し成形、ブロー成形などの単独成形技術だけでは不十分で、切削、接着、溶着などの後加工技術をを組み合わせることが必要となる。しかし、従来のナイロン樹脂材料は、このような後加工への適用性まで考慮したものとは言えず、たとえば2つ以上のパーツからなるガラス繊維強化ナイロン樹脂成形品を二色成形法などによって接着して用いる場合には、特に部品が大型の場合、接着部分の強度が不十分であるという傾向があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述したように、成形流動性、成形品の表面平滑性、機械強度が高く、従来のナイロン樹脂における問題点であった二色成形品の接合部の接着性が高い樹脂組成物および成形品の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、ガラス繊維強化ナイロン樹脂においてマトリクス樹脂として特定の組成のナイロン樹脂2種以上を併用し、更に銅化合物を含むことにより目的が達成されることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、1.「(A)ナイロン樹脂100重量部、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有するものであって、(A)ナイロン樹脂において(a)50重量%を越え98重量%以下が、ナイロン6構造単位とナイロン66構造単位の共重合体であり、ナイロン6構造単位を75重量%以上有するナイロン(a−1)であり、2重量%以上50重量%未満がナイロン6(b)であることを特徴とする二色成形用樹脂組成物。」
2.「(a−1)成分ナイロンがナイロン6構造単位を98〜80重量%含有する共重合体である前記1記載の二色成形用樹脂組成物。」
3.「(a−1)成分ナイロンがナイロン66構造単位を2〜20重量%の範囲で含有する前記2記載の二色成形用樹脂組成物。」
4.「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有するものであって、
(A)ナイロン樹脂において
(a)50重量%を越え98重量%以下が、ナイロン66構造単位とナイロン6構造単位の共重合体であり、ナイロン66構造単位を75重量%以上有するナイロン(a−2)であり、(b)2重量%以上50重量%未満が、ナイロン6(b)であることを特徴とする二色成形用樹脂組成物。」
5.「(a−2)成分のナイロンがナイロン66構造単位を98〜80重量%含有する共重合体である前記4記載の二色成形用樹脂組成物。」
6.「(a−2)成分ナイロンがナイロン6構造単位を2〜20重量%含有する前記5記載の二色成形用樹脂組成物。」
7.「銅化合物が1価の銅化合物である前記いずれかの二色成形用樹脂組成物。」
8.「1価の銅化合物がハロゲン化第1銅である前記いずれかのの二色成形用樹脂組成物。」
9.「前記いずれかの二色成形用樹脂組成物を用いて二色成形することを特徴とする二色成形品の製造方法。」
10.「前記いずれかの二色成形用樹脂組成物から二色成形された二色成形品。」であり、大きく分けると分野、課題を同一とし、ナイロン6を主体とするもの、および主にナイロン66を主体とするものの2つの発明からなる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0006】
本発明のポリアミド樹脂では、50〜98重量%が、ナイロン6構造単位、すなわちカプラミド構造を75重量%以上、好ましくは80重量%以上有するナイロン(a−1)、またはナイロン66構造単位、すなわちヘキサメチレンジアミン由来の構造およびアジピン酸由来の構造の和を75重量%以上、好ましくは80重量%以上有するナイロン(a−2)を必須成分とする。
【0007】
上記(a−1)および(a−2)は共重合体であることが可能で、共重合し得るポリアミド形成性成分の例としては、6ーアミノカプロン酸(a−1の場合を除く)、11ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、εーアミノカプロラクタム(a−1の場合を除く)、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2ーメチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリメチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、カプラミド構造またはヘキサメチレンアジパミド構造相手となるこれら共重合成分の共重合量は通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%の範囲である。この中でも特に有用な共重合ナイロン樹脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としては、(a−2)のグループに属するものとして、ナイロン66構造単位が多いものであって、ナイロン66/6コポリマーが例示される。
【0008】
共重合比としては66/6の重量比が80/20〜98/2、さらに85/15〜96/4の範囲が好ましい。
【0009】
また、(a−1)のグループに属するものとして、ナイロン6構造単位が多いものであって、ナイロン6/66コポリマーが例示される。これらのコポリマーの共重合比としては6/66の重量比が80/20〜98/2、さらに85/15〜96/4の範囲が好ましい。
【0010】
ここで用いられるナイロン樹脂の重合度には特に制限がないが、1%の濃硫酸(98%)溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましく使用される。
【0011】
本発明では(a)成分として配合されるナイロン以外のナイロン樹脂(b)が配合される。なお(a)成分として(a−1)に定義されるポリアミドを配合した場合、(b)成分として(a−2)成分に定義される組成比を有するものを配合することができ、一方(a)成分として(a−2)に定義されるナイロン樹脂を配合した場合、(b)成分として(a−1)成分に定義される組成比を有するものを配合することもできる。
【0012】
本発明で(b)成分として用いられるナイロン樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸からなる重合構造を主たる構成成分とするナイロンである。その主要構成成分の代表例としては、6ーアミノカプロン酸、εーアミノカプロラクタムなどのラクタムが挙げられる。
【0013】
本発明において、とくに有用なナイロン樹脂(b)の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)である。
【0014】
これらナイロン樹脂の重合度には特に制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
【0015】
本発明においてはマトリクス樹脂として前記(a)および(b)成分のナイロン樹脂を併用することが二色成形時の接着部強度の高い製品を得る上で重要である。併用によって二色成形時の接着部強度の高い製品が得られる理由は明確ではないが、1種類のポリアミドを樹脂組成物の固化・結晶化挙動が変化し、成形品接着部の混和性が増すものと推定される。さらにその挙動はナイロン6構造単位を多量成分とする(a−1)を配合する場合でも、ナイロン66構造単位を多量成分とする(a−2)であって、これらが構造単位が異なっていても、これらは結晶性への寄与度が高いという観点から共通の作用を有しているものと考えられる。
【0016】
本発明においては(B)成分として用いられるガラス繊維は、平均繊維径5〜15μmであることが好ましく、その繊維長には特に制限はない。通常は押し出し混練作業性の高いストランド長3mmのガラス繊維が本発明の組成物の原料として使用できるが、ストランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜500μmのガラス繊維を混合物として原料に使用することもできる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異なる種類のものを使用することも好ましい方法である。
【0017】
本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維含有量はナイロン樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。
【0018】
ガラス繊維の含有量が少ないと得られる成形品の強度が不足し、逆にガラス繊維の含有量が多いと二色成形品の接合部の接着性低下が起こる傾向がある。
【0019】
本発明で(C)成分として用いられる銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2ーメルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどとの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は生成する樹脂組成物の成形品を二色成形法で接着した際の溶着部強度を向上せしめるに足る量であるが、これには通常ナイロン樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が求められ、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。銅化合物の添加量が少ないと二色成形した際の溶着部強度が不足となる傾向があり、逆に量が多いと溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることがある。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好まししく、これらを配合する場合、その和が、ナイロン樹脂100重量部に対して0.02〜4重量部の範囲、さらに0.03〜3重量部の範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明においては上記の特定のガラス繊維以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0021】
また本発明のナイロン樹脂組成物にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられる。
【0022】
さらに、本発明のナイロン樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、などの添加剤を添加することができる。
【0023】
本発明のナイロン樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例として原料のナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して用いるナイロン樹脂の融点に応じて220〜330℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0024】
本発明において二色成形時の接着強度向上に効果のある銅化合物の添加は上記溶融混練過程のいずれでなされても良い。また、原料ナイロン樹脂の重合時に予め添加されていてもよい。このようにして得られた本発明のナイロン樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、二色成形時の接着性が均衡して優れたものであり、二色成形として通常の2種以上の溶融樹脂を同時に射出または押し出し成形する成形法におけると同様、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を射出成形金型内にインサートし、次いで新たに射出成形を行って両者を接着せしめて用いる場合に特に有用であり、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、オイルタンクなどの中空形状部品用などに好適に用いることができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。また、実施例及び比較例中に示された配合割合で%の値は重量%を意味する。
【0026】
また、以下の実施例において材料強度、流動性、成形品表面平滑性、接着強度の評価は、次の方法により行った。
[材料強度]以下の標準方法に従って測定した。
引張強度 :ASTM D638
曲げ弾性率 :ASTM D790
[流動性]幅10mm、厚さ2mm、全長600mmの渦巻き形状を有するスパイラルフロー測定金型を用い、射出成形温度280℃、射出成形圧力30kgf/cm2、金型温度80℃の条件下で材料を射出成形した際に金型内を流れた距離を測定して流動性の指標とした。流動長が長いほど流動性が良好であることを示す。
[表面平滑性]80x80x3mmの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
◎:蛍光灯の反射像が明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
[接着強度測定]
曲げ疲労測定用試験片を半割りした形であり、図1に示す表面形状で厚さ10mmの試験片を、以下説明する方法で得られた樹脂組成物を射出成形法で成形した。この成形片1つを曲げ疲労試験片用金型にインサートし、残りの部分を同じ樹脂組成物で新たに射出成形し、図1の辺Aが接合部となる図2に示す形状の成形品を得た。この成形品の引っ張り試験を行い、破断強度を接着強度1の値とした。
【0027】
別に得られた図1の形状を有する試験片2個を、辺A同士が接触するように金型にインサートし、図3に示すように、さらに辺Aを中心線として、新たに厚さ1mm、幅10mmの帯状部Bを、同じ樹脂組成物を用いて射出成形を行い、帯状部Bによって接着された接着試験片を得た。得られた試験片について曲げ強度を測定し、その値を接着強度2とした。
【0028】
実施例1
ナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の溶融混練は日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し機を用いて行った。相対粘度2.70のナイロン66/6共重合体(66/6=95/5%)50%、相対粘度2.45のナイロン6樹脂20%、およびナイロン樹脂100重量部に対して0.05重量部のヨウ化第1銅と0.2重量部のヨウ化カリウムをドライブレンドしてシリンダー温度280℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径9μm、ストランド長3mmのガラス繊維を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化した。
【0029】
ここで得られた樹脂組成物を種々の試験片に射出成形して流動性、表面平滑性、材料強度、接着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
比較例1
ナイロン樹脂として相対粘度2.70のナイロン66/6共重合体(66/6=95/5%)のみを70%用いた以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は接着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0033】
比較例2
ナイロン樹脂として、相対粘度2.45のナイロン6樹脂のみを70%用いた以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は接着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0034】
比較例3
ヨウ化第一銅とヨウ化カリウムを添加しなかった以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は接着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0035】
実施例2、参考例1、2
表2に示すように用いるナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の種類と配合量を変えた以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も流動性、表面平滑性、接着強度の優れた実用価値の高いものであった。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のナイロン樹脂組成物から得られる二色成形品は流動性、表面平滑性、接着強度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した二色成形される前の試験片の形状を示す平面図
【図2】実施例で引っ張り強度測定した試験片の平面図
【図3】実施例で曲げ強度を測定した試験片の平面図および側面図
Claims (10)
- (A)ナイロン樹脂100重量部、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有するものであって、
(A)ナイロン樹脂において
(a)50重量%を越え98重量%以下が、ナイロン6構造単位とナイロン66構造単位の共重合体であり、ナイロン6構造単位を75重量%以上有するナイロン(a−1)であり、
2重量%以上50重量%未満がナイロン6(b)であることを特徴とする二色成形用樹脂組成物。 - (a−1)成分ナイロンがナイロン6構造単位を98〜80重量%含有する共重合体である請求項1記載の二色成形用樹脂組成物。
- (a−1)成分ナイロンがナイロン66構造単位を2〜20重量%の範囲で含有する請求項2記載の二色成形用樹脂組成物。
- (A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有するものであって、
(A)ナイロン樹脂において
(a)50重量%を越え98重量%以下が、ナイロン66構造単位とナイロン6構造単位の共重合体であり、ナイロン66構造単位を75重量%以上有するナイロン(a−2)であり、
(b)2重量%以上50重量%未満が、ナイロン6(b)であることを特徴とする二色成形用樹脂組成物。 - (a−2)成分のナイロンがナイロン66構造単位を98〜80重量%含有する共重合体である請求項4記載の二色成形用樹脂組成物。
- (a−2)成分ナイロンがナイロン6構造単位を2〜20重量%の範囲で含有する請求項5記載の二色成形用樹脂組成物。
- 銅化合物が1価の銅化合物である請求項1〜6いずれかに記載の二色成形用樹脂組成物。
- 1価の銅化合物がハロゲン化第1銅である請求項7記載の二色成形用樹脂組成物。
- 請求項1〜8いずれかの二色成形用樹脂組成物を用いて二色成形することを特徴とする二色成形品の製造方法。
- 請求項1〜8いずれかの二色成形用樹脂組成物から二色成形された二色成形品。
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