JP3830573B2 - ポリアミド樹脂製一体成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂製一体成形品 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、ポリアミド樹脂製一体成形品に関し、詳しくは、結晶性ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる射出成形品の表面に、同種または異種の、結晶性ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物を成形してなるポリアミド樹脂製一体成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性プラスチックスにおいて、エンジニアリングプラスチックスは良好な性能を有し、広範囲に使用されている。なかでもポリアミド樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などに優れており、鉄、亜鉛、アルミニウムなどの金属に替わる材料として用いられており、例えば、ポリアミド樹脂製成形品は、射出成形金型(以下単に「金型」と記載する。)に溶融された樹脂を充填することにより成形されている。
しかし、製品の用途・形状によっては、一つの金型で成形できない場合がある。こうした場合、通常、一度射出成形した成形品を別の金型のキャビティ内に挿入し、その上に再度射出成形材料を充填するダブルショット成形法が採用されている。例えば、コイルを巻いた樹脂成形品を金型内に装着し、次いで溶融樹脂を充填して一体化して、一体成形品等を得ることが行われており、また、金属をインサートした樹脂成形品を予め射出成形しておき、これを金型のキャビティ内に挿入し、次いで同種または異種の樹脂を充填してインサート成形品や2色成形品等を得ることが実施されている。また、樹脂パイプと樹脂ジョイントが一体化した複合製品等も、ダブルショット成形法によって得ることができる。
【0003】
しかし、ダブルショット成形法においては、金型に挿入される1次成形品と更に充填される樹脂との密着性が不十分であることが多く、密着性を良くするために、液状接着剤やプライマ−を1次成形品の表面に塗布することが、例えば、特願平1−281907号公報に記載されているが、塗布等の工程が必要であるという問題があった。また、1次成形品として、金属が封入されている成形品や形状が複雑な成形品が用いられる場合、あるいは、耐圧や耐衝撃性が要求される用途や精密部品の用途に一体成形品が用いられる場合においては、接着剤やプライマ−を利用したとしても密着強度が不十分であり、液漏れ、破損の問題があることが、特願平1ー236276号公報に記載されている。
【0004】
更に、1次成形品と後で充填される樹脂との密着部分をエポキシ樹脂や加流シリコ−ンで被覆して対処している場合もあるが、工程が多くなるだけでなく、温度の繰り返し変化(熱衝撃)や電気精密部品の電圧負荷時の電気ショック、エンジンオイル、水等の加圧の繰り返しにより、密着面、被覆面での境界剥離が生じ、精密機械部品や電子部品における誤動作を生じたり、液漏れが発生するなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、射出成形された1次成形品と、その表面に成形される2次成形品との密着性に優れた、ポリアミド樹脂製一体成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の上記の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である1次成形材料を射出成形して得られ、かつ、その表面から500μmまでの層の融解熱が20mJ/mg以下である1次成形品の表面に、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である2次成形材料を成形して得られたものであることを特徴とする、ポリアミド樹脂製一体成形品に存する。
【0007】
以下、本発明につき説明する。
本発明における1次成形品は、ポリアミド樹脂組成物である1次成形材料を射出成形することによって得られる。ポリアミド樹脂組成物としては、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と該結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなり、好ましくは、結晶性ポリアミド樹脂(A)70〜100重量%と該結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜30重量%とからなる。
本発明における1次成形品は、上記ポリアミド樹脂組成物を射出成形(1次成形と記載することもある。)することにより得られる成形品であり、成形品の表面から500μmまでの層の融解熱が20mJ/mg以下のものである。表面層の融解熱が20mJ/mgを超えると、一体成形品において、1次成形品とその表面に形成される2次成形材料との密着性が不十分となる。
【0008】
1次成形品の表面から500μmまでの層の融解熱を20mJ/mg以下にするには、例えば、1次成形材料を射出成形法で成形する際、樹脂温度を200〜300℃とし、金型温度を100℃以下、好ましくは80℃以下にすることにより、所望の融解熱を示す表層を有する成形品が得られる。
1次成形品における融解熱の測定方法としては、射出成形された1次成形品を精密低速切断機により、1次成形品の表面から500μmまでの層を切り出し、こうして切り出した層について示差走査熱量計を用いて測定できる。
【0009】
本発明において、1次成形品の表面に成形される2次成形材料は、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と該結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなり、好ましくは、結晶性ポリアミド樹脂(A)70〜100重量%と該結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜30重量%とから構成される。2次成形材料の組成は、1次成形材料の組成と同じでもよく、異なっていてもよい。
金型キャビティ内に装着された1次成形品の表面にポリアミド樹脂組成物を充填し2次成形する際、1次成形で得られた1次成形品を金型キャビティ内にそのまま滞留させて一体成形品を得ることもできるし、また、1次成形品と共に別の部品を金型キャビティ内に装着後、1次成形品の表面に2次成形材料を成形することもできる。1次成形品と2次成形材料が接合される面積の割合は、1次成形品の表面全体でもよく、表面の一部であってもよい。
【0010】
本発明における1次成形材料及び2次成形材料において用いられる結晶性ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン12、キシリレンジアミンとα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるポリアミド樹脂(以下、MXナイロンとも記載する。)及びこれらの混合物等が挙げられ、中でも、MXナイロン、MXナイロンとナイロン66および/またはナイロン6との樹脂が、成形性の点より好ましい。MXナイロン100重量部に対するナイロン66および/またはナイロン6の配合割合は、0〜100重量部、好ましくは0〜80重量部である。
【0011】
本発明における1次成形材料及び2次成形材料において用いられる結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、オレフィン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、変性PPE樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂またはこれら2種類以上の樹脂からなるアロイ樹脂組成物が挙げられ、好ましくは、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)である。また必要に応じてこれらの材料に無機、有機繊維状充填材、フィラー、安定剤、紫外線吸収剤、染顔料等を添加できる。
【0012】
ポリフェニレンエーテル樹脂としては、下記一般式
【0013】
【化1】
Figure 0003830573
【0014】
(式中、R1は炭素数1〜3の低級アルキル基、R2、R3は水素原子または炭素数1〜3の低級アルキル基である。)で表される構造単位を主鎖に持つものであり、ホモポリマー、コポリマーまたはグラフトポリマーのいずれであってもよい。
具体的には、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジエチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2、6−ジプロピル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1、4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1、4−フェニレン)エ−テル等があげられるが、特に、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エ−テル、2、6ジメチルフェノール/2、3、6−トリメチルフェノ−ル共重合体およびこれらにスチレンをグラフトしたグラフト共重合体が好ましい。
また、相溶性を改良したポリフェニレンエ−テル樹脂(以下、変性PPEということがある)であれば、さらに好ましい。変性PPEはPPEと不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物を反応させて得られる。
PPEの変性に不飽和カルボン酸の酸無水物を使用する場合は無触媒下に、不飽和カルボン酸の酸無水物とPPEとを溶融混合状態で反応させて変性PPEを得ることができる。この場合、溶融混合する方法としてはニ−ダ−、バンバリ−ミキサ−、押出機等特に制限はないが、操作性を考慮すると押出機を用いるのが好ましい。不飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が例示でき、この中でも特に無水マレイン酸が好ましい。
【0015】
PPEの変性に必要な前記酸無水物の使用割合はPPE100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
前記酸無水物の使用割合が、PPE100重量部に対して、0.01重量部以下の場合はPPEとナイロンとの相溶性の改善効果が小さく、強靱性のある組成物が得難い、また10重量部以上の使用割合の場合は、過剰の酸無水物が熱分解し、その結果、耐熱性の低下や外観不良等実用上の不都合を生じる。
PPEの変性に不飽和脂肪族カルボン酸を使用する時は、必要に応じて、ベンゾイルパ−オキシド、ジクミルパ−オキシド及びクメンハイドロパ−オキシド等のラジカル発生剤を触媒として使用することができる。
PPEの変性に必要な不飽和カルボン酸の使用割合はPPE100重量部に対して、0.01〜10重量部である。
【0016】
本発明における1次成形材料および/または2次成形材料として用いられるポリアミド樹脂組成物としては、結晶性ポリアミド樹脂と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂との合計100重量部に対し、無機充填材を5〜300重量部含有するポリアミド樹脂組成物であることが好ましい。
無機充填材としては、周知の無機充填材を使用することができ、形状は特に制限されず、繊維状、板状、針状、球状、粉末等いずれの場合であってもよい。無機充填材の種類としては、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、ガラスフレ−ク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビ−ズ、バル−ン、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレ−、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、単独または二種以上の混合物として用いることができる。無機充填材としては、好ましくはガラス繊維、タルク、炭酸カルシウムである。
【0017】
無機充填材の配合量は、結晶性ポリアミド樹脂と該結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂との合計100重量部に対し、5〜300重量部である。無機充填材の配合量が5重量部未満の場合では、機械的強度、熱的性質等の改善効果が少なく、300重量部を越えると、加工性が劣る。無機充填材の配合量は、好ましくは10〜250重量部、特に好ましくは50〜150重量部である。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物においては、上記の成分以外に、高分子材料に一般に用いられている各種添加剤、例えば安定剤、顔染料、離型剤、滑剤、核剤、耐候性改良剤などを適宜配合することができる。
【0018】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、通常の方法が採用でき、特に制限はされない。例えば、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、場合によってはさらに無機充填剤、各種添加剤を、任意の順序で、慣用の装置、例えばベント式押出機またはこれに類似した装置を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0019】
本発明に係る一体成形品を製造する際には、1次成形品の表面に射出成形される2次成形材料の成形における成形樹脂温度は、下限(T1)が2次成形用樹脂組成物の融点より15℃以上高い温度が好ましく、より好ましくは融点より20℃以上高い温度であり、上限(T2)は300℃以下である。成形樹脂温度が下限(T1)より低いと、1次成形品の表層が十分に溶融せず界面密着性が低下しやすく、また上限(T2)の300℃を超えると、樹脂の熱分解が起こりやすく、いずれも好ましくない。
【0020】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた原料は次のとおりである。
(1)結晶性ポリアミド樹脂a、ポリ(メタキシリレンアジパミド)(以下、ナイロンMXD6と記す。)、三菱ガス化学(株)製、相対粘度(98%硫酸を溶媒とし温度25℃で測定)2.14。
(2)結晶性ポリアミド樹脂b、ナイロン66(相対粘度2.25)
(3)結晶性ポリアミド樹脂c、ナイロン6(相対粘度2.30)
【0021】
(4)変性PPE、PPE(三菱ガス化学(株)製、極限粘度4.45)5kgに対して、無水マレイン酸50gを加え、ス−パーミキサ−で3分間混合した後、2軸押出機により300℃で加熱溶融下に混練し、無水マレイン酸変性した変性PPE
(5)エラストマー、タフテックM1913、旭化成(株)製。
(6)無機充填剤a、ガラス繊維、チョップドストランド、商品名CS03−JAFT2、長さ3mm、旭ファイバ−グラス(株)。
(7)無機充填剤b、マイカ、商品名 Y−300、タカラ産業(株)。
(8)無機充填剤c、炭酸カルシウム、商品名 NS−100、日東粉化工業(株)。
【0022】
実施例及び比較例において、1次成形品の融解熱の測定およびポリアミド系樹脂製一体成形品の密着強度の測定は、以下のようにして行った。
(9)融解熱測定
射出成形した1次成形品を精密低速切断機(ビューラー社製、アイソメット)により、表面から500μmまでの層にして切り出し、こうして切り出した層について示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC200)を用いて融解熱を測定した。単位は、mJ/mgである。なお、表ではmj/mgと記載した。
(10)密着強度
得られた一体成形品の1次成形品と2次成形品の界面の引張破断強度をASTMD638に準じて測定し、一体成形品の密着強度とした。単位は、kgf/cmである。
【0023】
〔実施例1〜9、比較例1〜3〕
結晶性ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂bおよび無機充填aを表−1に示す量秤量し、タンブラーで混合後、ベント式押出機を用いて270℃で溶融混練した後、ひも状に押出し、水槽で冷却後、切断、乾燥して1次成形材料用のペレットを製造した。同様な製造方法で結晶化ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂bおよび無機充填材aを表−1に示す量秤量し、同様の手順で、2次成形材料用のペレットを製造した。
得られた1次成形材料用のペレットを使用し、射出成形機によって、ASTMD638の引張試験片(長さ5インチ、幅1/2インチ、厚さ1/4インチ)を、成形時の樹脂温度260℃、表−1に示す金型温度で成形した。得られた1次成形品(試験片)を半分に切断し、これを金型キャビティ内に挿入後、2次成形材料用のペレットを使用し、表−1に示す成形時の樹脂温度において、金型温度130℃で成形し、一体成形品を製造した。得られた一体成形品の評価結果を表−1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003830573
【0025】
〔実施例10〜18、比較例4〜6〕
結晶性ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂cおよび無機充填材aを表−2に示す量秤量し、タンブラーで混合後、ベント式押出機を用いて270℃で溶融混練した後、ひも状に押出し、水槽で冷却後、切断、乾燥して1次成形材料用のペレットを製造した。同様な製造方法で結晶化ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂cおよび無機充填材aを表−2に示す量秤量し、同様の手順で、2次成形材料用のペレットを製造した。
得られた1次成形材料用のペレットを使用し、射出成形機によって、ASTMD638の引張試験片を、成形時の樹脂温度260℃、表−2に示す金型温度で成形した。得られた1次成形品(試験片)を半分に切断し、これを金型キャビティ内に挿入後、2次成形材料用のペレットを使用し、表−2に示す成形時の樹脂温度において、金型温度130℃で成形し、一体成形品を製造した。得られた一体成形品の評価結果を表−2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0003830573
【0027】
〔実施例19〜24、比較例7〜9〕
結晶性ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂b、結晶性ポリアミド樹脂c、無機充填a、無機充填bおよび無機充填cを表−3に示す量秤量し、タンブラーで混合後、ベント式押出機を用いて270℃で溶融混練した後、ひも状に押出し、水槽で冷却後、切断、乾燥して1次成形材料用および2次成形材料用のペレットを製造した。
得られた1次成形材料用のペレットを使用し、射出成形機によって、ASTMD638の引張試験片を、成形時の樹脂温度260℃、表−3に示す金型温度で成形した。得られた1次成形品(試験片)を半分に切断し、これを金型キャビティ内に挿入後、2次成形材料用のペレットを使用し、表−3に示す成形時の樹脂温度において、金型温度130℃で成形し、一体成形品を製造した。得られた一体成形品の評価結果を表−3に示す。
【0028】
【表3】
Figure 0003830573
【0029】
〔実施例25〜33、比較例10〜12〕
結晶性ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂b、変性PPE、エラストマー、および無機充填aを表−4に示す量秤量し、タンブラーで混合後、ベント式押出機を用いて270℃で溶融混練した後、ひも状に押出し、水槽で冷却後、切断、乾燥して1次成形材料用のペレットを製造した。また、結晶性ポリアミド樹脂a、結晶性ポリアミド樹脂bおよび無機充填材aを表−4に示す量秤量し、同様にして2次成形材料用のペレットを製造した。
得られた1次成形材料用のペレットを使用し、射出成形機によって、ASTMD638の引張試験片を、成形時の樹脂温度260℃、表−4に示す金型温度で成形した。得られた1次成形品(試験片)を半分に切断し、これを金型キャビティ内に挿入後、2次成形材料用のペレットを使用し、表−4に示す成形時の樹脂温度において、金型温度130℃で成形し、一体成形品を製造した。得られた一体成形品の評価結果を表−4に示す。
【0030】
【表4】
Figure 0003830573
【0031】
【発明の効果】
本発明に係るポリアミド樹脂製一体成形品は、1次成形品の表面への接着剤やプライマーの塗布等を必要せず、1次成形品とその表面に成形される2次成形材料との密着性に優れている。また、1次成形品にコイルを巻いたボビン部品等に2次成形材料を成形することにより、各種センサー類等の種々の機能を付与することができ、本発明に係るポリアミド樹脂製一体成形品は、極めて有用である。

Claims (5)

  1. 結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である1次成形材料を射出成形して得られ、かつ、その表面から500μmまでの層の融解熱が20mJ/mg以下である1次成形品の表面に、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である2次成形材料を、成形して得られたものであることを特徴とする、ポリアミド樹脂製一体成形品。
  2. 結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である1次成形材料を射出成形して得られ、かつ、その表面から500μmまでの薄い層の融解熱が20mJ/mg以下である1次成形品の表面に、結晶性ポリアミド樹脂(A)50〜100重量%と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)0〜50重量%とからなるポリアミド樹脂組成物である2次成形材料を成形してなり、かつ、1次成形材料と2次成形材料における結晶性ポリアミド樹脂が、キシレンジアミンとα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるポリアミド樹脂、または、キシリレンジアミンとα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸とから得られるポリアミド樹脂と、ナイロン66および/またはナイロン6との樹脂組成物であることを特徴とする、ポリアミド樹脂製一体成形品。
  3. 結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を使用する場合、該熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンエーテル樹脂である、請求項1または請求項2に記載のポリアミド樹脂製一体成形品。
  4. 1次成形材料のポリアミド樹脂組成物と、2次成形材料のポリアミド樹脂組成物が、それぞれ結晶性ポリアミド樹脂(A)と結晶性ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)との合計量100重量部に対し、無機充填材を5〜300重量部含有するポリアミド樹脂組成物である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂製一体成形品。
  5. 1次成形品が、樹脂温度200〜300℃、金型温度80℃以下で射出成形されてなり、該1次成形品の表面に、2次成形材料であるポリアミド樹脂組成物を、融点より15℃以上高く、300℃以下の樹脂温度範囲で成形されてなる、請求項2に記載のポリアミド樹脂製一体成形品。
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