JP3551674B2 - 溶着用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形製品表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れた溶着用樹脂組成物およびその製造方法に関し、更には溶融成形後の2つ以上の成形部材を振動溶着して得られる中空成形体などの溶着成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂は、その優れた射出成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性などを利して、自動車、機械部品の分野で射出成形品として広範に利用されている。上記分野でのナイロン樹脂の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であり、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が進んできた。更に最近はナイロン樹脂材料の高性能化および成形加工技術の進展に伴って、大型且つ複雑形状で、従来技術では樹脂化が困難とされてきた部品へのナイロン樹脂の適用が検討されるようになっている。このような難度の高い部品を樹脂化するためには射出成形や押し出し成形、ブロー成形などの単独成形技術だけでは不十分で、切削、接着、溶着などの後加工技術を組み合わせることが必要となる。しかし、従来のナイロン樹脂材料の設計はかかる後加工への適用性まで考慮したものとは言えず、たとえば2つ以上のパーツからなるガラス繊維強化ナイロン樹脂成形品を振動溶着法などによって溶着して用いる場合には特に部品が大型の場合、溶着部分の強度が不十分であるために使用が制限されるのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来のナイロン樹脂における問題点であった振動溶着性の改良を課題とし、更に成形性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性、成形品表面平滑性などナイロン樹脂本来の特性にも均衡して優れた振動溶着に適したナイロン樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、ガラス繊維強化ナイロン樹脂において特定の不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体を含み、更に含有されるガラス繊維の長さ分布を特定の範囲に制御することにより目的が達成されることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、
1.「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)カルボン酸基、カルボン酸無水物基、イミド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を分子内に有する不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体含有する溶着用樹脂組成物。」
2.「ガラス繊維の平均繊維径5〜15μmである前記の溶着用樹脂組成物。」、
3.「該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占める前記いずれか記載溶着用樹脂組成物。」、
4.「ナイロン樹脂がナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である前記いずれかに記載の溶着用樹脂組成物。」、
5.「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)カルボン酸基、カルボン酸無水物基、イミド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を分子内に有する不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体0.05〜10重量部を溶融混練することを特徴とする溶着用樹脂組成物の製造方法。」、
6.「用いるガラス繊維が平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維との混合物である前記記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。」、
7.「平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維の繊維径が互いに少なくとも2μm以上異なるものである前記いずれか記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。」、
8.「ナイロン樹脂がナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である前記いずれか記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。」、
9.「2個以上の成形部材を溶着して溶着成形品を製造する方法であって、少なくとも1個の成形部材が前記いずれかに記載の溶着用樹脂組成物の成形体である溶着成形品の製造方法。」
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0006】
本発明で用いられるナイロン樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするナイロンである。その主要構成成分の代表例としては、6ーアミノカプロン酸、11ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、εーアミノカプロラクタム、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2ーメチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリメチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0007】
本発明において、とくに有用なナイロン樹脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0008】
とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を成形性、耐熱性、振動溶着性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。これらのなかで、ナイロン6/66コポリマーを必須成分とすることが好ましく、その6/66の重量比が、98/2〜80/20、好ましくは97/3〜90/10の範囲にあるナイロン6を多量成分とするもの、または66/6の重量比が、98/2〜80/20、好ましくは97/3〜90/10の範囲にあるナイロン66を多量成分とするものが好ましい。
【0009】
これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制限がなく、1%濃度で98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
【0010】
本発明においては(B)成分として用いられるガラス繊維はナイロン樹脂との溶融混練後の状態、すなわち溶着用樹脂組成物の内部で、重量平均繊維長100〜400μm、且つ繊維長60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維中15〜50重量%の範囲に制御されていることが好ましい。なぜならば繊維長60μm以下のガラス繊維が特定量存在することによりナイロン樹脂組成物の成形品を振動溶着させた場合に高い溶着強度が得られるからである。この理由は必ずしも明確ではないが、摩擦熱で溶融したナイロン樹脂層中のガラス繊維の振動による配向挙動に影響を与えることが一因と考えられる。ガラス繊維の好ましい重量平均繊維長および60μm以下のガラス繊維の割合は各々120〜300μmおよび20〜40重量%の範囲である。ガラス繊維の重量平均繊維長が上記の範囲より短いと樹脂組成物の強度が低下するの傾向がある。一方上記範囲より長いと成形品外観、振動溶着性が低下する傾向がある。また、60μm以下のガラス繊維の割合が上記範囲より少ないと振動溶着性の低下を招き、逆に上記範囲より多いと機械強度への悪影響が出る傾向がある。かかる繊維長分布を有するガラス繊維強化ナイロン樹脂組成物を1回の溶融混練工程で得ることが生産効率上好ましく、それを実現するための効率的な方法の一例としてストランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜500μmのガラス繊維を適正な割合の混合物として原料に使用する方法を挙げることができる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異なる種類のものを使用することも好ましい方法である。本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維含有量はナイロン樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。
【0011】
本発明で(C)成分として用いられるカルボン酸基、カルボン酸無水物基、イミド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を分子内に有する不飽和化合物はそのカルボニル基の存在によって効果を発揮し、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドが挙げられる。また重合体としてはこれらの重合物が例示される。重合体は不飽和化合物の単量体を含んでいてもよく、重合体の数平均重合度としては、1を超え100以下、さらに50以下、さらに20以下の範囲が好ましい。また重合体には本発明の効果を損なわない範囲で他の単量体を共重合させることができる。
【0012】
これら不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体の添加量の和は、ナイロン樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部が求められ、さらに0.1〜5重量部の範囲であることが好ましい。不飽和化合物の添加量が0.05重量部に満たないと溶着強度が不足となる傾向があり、逆に10重量部を超える量の添加では得られる組成物の流動性が低下し、成形性が損なわれることになる。
【0013】
本発明においては上記の特定のガラス繊維以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0014】
また本発明のナイロン樹脂組成物にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられる。
【0015】
さらに、本発明のナイロン樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、などの添加剤を添加することができる。
【0016】
本発明のナイロン樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例として原料のナイロン樹脂およびガラス繊維の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して用いるナイロン樹脂の融点に応じて220〜330℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0017】
この溶融混練において、好ましいガラス繊維長分布を実現するためには、たとえば2軸押し出し機で溶融混練する場合にガラス繊維の一部を樹脂原料フィーダーからナイロン樹脂と共に供給し、残りのガラス繊維を押し出し機の先端部分のサイドフィーダーから供給してガラス繊維の受けるせん断履歴を制御する方法や原料として用いるガラス繊維を異なる繊維長のものとする方法などが挙げられる。
【0018】
このようにして得られた本発明のナイロン樹脂組成物は、成形品表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れたものであり、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で成形部材を得て、少なくともひとつの部材、好ましくは溶着するもの同士の部材を振動溶着法などによって溶着して、溶着成形品を製造することができる。、この利点を生かして、たとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、オイルタンクなどの複雑な形状の部品や中空形状部品用などに好適に使用できる。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を示す。また、実施例及び比較例中に示された配合割合は全て重量%である。
【0020】
また、以下の実施例において材料強度、流動性、成形品表面平滑性、振動溶着強度の評価は、次の方法により行った。
[繊維長分布]樹脂組成物約1gを電気炉中で燃焼させて樹脂成分を除去し、得られたガラス繊維を顕微鏡写真で撮影し、各々のガラス短繊維の長さを測定することによって求めた。
[材料強度]以下の標準方法に従って測定した。
【0021】
引張強度 :ASTM D638
曲げ弾性率 :ASTM D790
[表面平滑性]80x80x3mmの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
◎:蛍光灯の反射像が明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
[振動溶着強度測定]図1に示す平面形状で厚さ10mmの試験片を射出成形で成形し、この成形部材2つをブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で溶着した後引っ張り試験を行い、溶着部分の強度を測定した。
【0022】
振動数 : 120Hz
加圧力 : 70kgf
振幅 : 1.5mm
溶着代 : 1.5mm
実施例1
ナイロン樹脂、ガラス繊維および不飽和化合物または不飽和化合物の重合体の溶融混練は日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し機を用いて行った。相対粘度2.70のナイロン6樹脂70%、繊維径13μm、ストランド長1.5mmのガラス繊維10%およびナイロン樹脂100重量部に対して0.5重量部の無水マレイン酸をドライブレンドしてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径9μm、ストランド長3.0mmのガラス繊維20%を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化し樹脂組成物を得た。
【0023】
ここで得られた樹脂組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は290μm、繊維長60μm以下のガラス繊維の割合は全ガラス繊維中20%であり、これを種々の試験片に射出成形して流動性、表面平滑性、材料強度、溶着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0024】
【表1】
Figure 0003551674
【0025】
比較例1
無水マレイン酸を添加しなかった以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は溶着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0026】
実施例2〜4
表2に示すように用いるナイロン樹脂、ガラス繊維および不飽和化合物の種類と配合量を変えた以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も流動性、表面平滑性、溶着強度の優れた実用価値の高いものであった。特に良好な溶着強度を持つ信頼性の高い製品を与える。
【0027】
【表2】
Figure 0003551674
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明で得られたナイロン樹脂組成物は、成形製品表面外観、寸法安定性、溶着強度が均衡して優れたもの成形品を提供し、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形部材を振動溶着法などによって溶着して用いる場合に特に有用であり、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、オイルタンクなどの中空形状部品用などに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた溶着強度測定用の試験片の形状を示す平面図。

Claims (9)

  1. (A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊維10〜150重量部および(C)カルボン酸基、カルボン酸無水物基、イミド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を分子内に有する不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体含有する溶着用樹脂組成物。
  2. ガラス繊維の平均繊維径が5〜15μmである請求項1記載の溶着用樹脂組成物。
  3. 該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占める請求項1または2記載の溶着用樹脂組成物。
  4. ナイロン樹脂がナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である請求項1〜3いずれかに記載の溶着用樹脂組成物。
  5. (A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)カルボン酸基、カルボン酸無水物基、イミド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を分子内に有する不飽和化合物またはこれら不飽和化合物の重合体0.05〜10重量部を溶融混練することを特徴とする溶着用樹脂組成物の製造方法。
  6. 用いるガラス繊維が平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維との混合物である請求項5記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
  7. 平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維の繊維径が互いに少なくとも2μm以上異なるものである請求項6記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
  8. ナイロン樹脂がナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である請求項5〜7いずれかに記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
  9. 2個以上の成形部材を溶着して溶着成形品を製造する方法であって、少なくとも1個の成形部材が請求項1〜4いずれかに記載の溶着用樹脂組成物の成形体である溶着成形品の製造方法。
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