JP3591189B2 - 溶着用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、成形性品表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れた溶着用樹脂組成物に関し、更には溶融成形後の2つ以上の成形品を振動溶着して得られる中空成形体などに適したナイロン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂は、その優れた射出成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性などを利して、自動車、機械部品の分野で射出成形品として広範に利用されている。上記分野でのナイロン樹脂の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であり、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が進んできた。更に最近はナイロン樹脂材料の高性能化および成形加工技術の進展に伴って、大型且つ複雑形状で、従来技術では樹脂化が困難とされてきた部品へのナイロン樹脂の適用が検討されるようになっている。このような難度の高い部品を樹脂化するためには射出成形や押し出し成形、ブロー成形などの単独成形技術だけでは不十分で、切削、接着、溶着などの後加工技術をを組み合わせることが必要となる。しかし、従来のナイロン樹脂材料の設計はかかる後加工への適用性まで考慮したものとは言えず、たとえば2つ以上のパーツからなるガラス繊維強化ナイロン樹脂成形品を振動溶着法などによって溶着して用いる場合には特に部品が大型の場合、溶着部分の強度が不十分であるために使用が制限されるのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来のナイロン樹脂における問題点であった振動溶着性の改良を課題とし、更に成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性成形品表面平滑性などナイロン樹脂本来の特性にも均衡して優れた振動溶着に適したナイロン樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、ガラス繊維強化ナイロン樹脂において含有されるガラス繊維の長さ分布を特定の範囲に制御することにより目的が達成されることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、
(1)「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部含有してなる樹脂組成物であり、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占めることを特徴とする溶着用樹脂組成物。」、
(2)「平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維の繊維径が互いに少なくとも2μm以上異なるものである(1)記載の溶着用樹脂組成物。
【0005】
(3)「ナイロン樹脂が融点200℃以上の脂肪族ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である前記(1)(2)いずれかに記載の溶着用樹脂組成物。」
(4)「ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロン6およびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中から選ばれた少なくとも1種である(1)〜(3)いずれかに記載の溶着用樹脂組成物。」、
(5)「共重合ナイロンがナイロン6成分とナイロン66成分からなる共重合体である前記(4)記載の溶着用樹脂組成物。」、
(6)「共重合ナイロンがナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である請求項(5)記載の溶着用樹脂組成物。」、
(7)「共重合ナイロンがナイロン6成分97〜90重量%およびナイロン66成分3〜10重量%からなる共重合体またはナイロン66成分97〜90重量%およびナイロン6成分3〜10重量%からなる共重合体である前記(6)記載の溶着用樹脂組成物。」、そして前記組成物の製造方法として、
(8)「(A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部を溶融混練する溶着用樹脂組成物の製造方法であって、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占めるものである溶着用樹脂組成物の製造方法。」
(9)「(A)成分と(B)成分との溶融混練を1回行った段階で組成物中のガラス繊維の繊維長分布が上記の割合を満たすものである前記(8)記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
【0006】
(10)「溶融混練に供するガラス繊維が平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維との混合物である前記(8)または(9)記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。」および前記樹脂組成物の性質を利用した用途として、
(11)「前記(1)から(7)いずれかの樹脂組成物からの成形材を溶着してなる成形品。」を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0008】
本発明で用いられるナイロン樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするナイロンである。その主要構成成分の代表例としては、6ーアミノカプロン酸、11ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、εーアミノカプロラクタム、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2ーメチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリメチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0009】
本発明において、とくに有用なナイロン樹脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド)コポリマ−(ナイロン6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6T/6コポリマー、ナイロン66/6Tコポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/M5Tコポリマーなどの例を挙げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を成形性、耐熱性、振動溶着性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
【0010】
これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
【0011】
本発明においては(B)成分として用いられるガラス繊維がナイロン樹脂との溶融混練後の状態、特に1回の溶融混練を受けた状態で重量平均繊維長100〜400μm、且つ繊維長60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維中10〜50重量%の範囲に制御されていることがこのましい。なぜならば繊維長60μm以下のガラス繊維が特定量存在することによりナイロン樹脂組成物の成形品を振動溶着させた際、極めて高い溶着強度が得られるからである。この理由は必ずしも明確ではないが、摩擦熱で溶融したナイロン樹脂層中のガラス繊維の振動による配向挙動に影響を与えることが一因と考えられる。ガラス繊維の好ましい重量平均繊維長および60μm以下のガラス繊維の割合は各々120〜350μmおよび15〜40重量%の範囲である。ガラス繊維の重量平均繊維長が上記の範囲より短いと樹脂組成物の強度が低下する傾向があり、一方上記範囲より長いと成形品外観、振動溶着性が低下する傾向がある。また、60μm以下のガラス繊維の割合が上記範囲より少ないと振動溶着性の低下を招き、、逆に上記範囲より多いと機械強度への悪影響が出るのおそれがある。かかる繊維長分布を有するガラス繊維強化ナイロン樹脂組成物を1回の溶融混練工程で得ることが生産効率上好ましく、それを実現するための効率的な方法の一例としてストランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜500μmのガラス繊維を適正な割合の混合物として原料に使用する方法を挙げることができる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異なる種類のものを使用することも好ましい方法である。
【0012】
本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維含有量はナイロン樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。
【0013】
本発明においては上記の特定のガラス繊維以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0014】
また本発明のナイロン樹脂組成物にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられる。
【0015】
さらに、本発明のナイロン樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、などの添加剤を添加することができる。
【0016】
本発明のナイロン樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例として原料のナイロン樹脂およびガラス繊維の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して用いるナイロン樹脂の融点に応じて220〜330℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0017】
この溶融混練において、本発明の特定のガラス繊維長分布を実現するためには、たとえば2軸押し出し機で溶融混練する場合にガラス繊維の一部を樹脂原料フィーダーからナイロン樹脂と共に供給し、残りのガラス繊維を押し出し機の先端部分のサイドフィーダーから供給してガラス繊維の受けるせん断履歴を制御する方法や原料として用いるガラス繊維を異なる繊維長のものとする方法などが挙げられる。
【0018】
このようにして得られた本発明のナイロン樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れたものであり、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を振動溶着法などによって溶着して用いる場合に特に有用であり、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、ウオ−タ−インレット、ウオ−タ−アウトレットなどの冷却系部品、ヒュ−エルインジェクション、ヒュ−エルデリバリーパイプなどの燃料系部品、オイルタンクなどの中空形状部品用などに好適に用いることができる。特に本発明のナイロン樹脂組成物は成形品表面平滑性が良好であるためにインテークマニホールドなどの吸気系部品に用いられる場合に気体通過時の抵抗が少なく高い効率を示す。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例及び比較例中に示された配合割合は全て重量%である。
【0020】
また、以下の実施例において材料強度、流動性、成形品表面平滑性、振動溶着強度の評価は、次の方法により行った。
[繊維長分布]樹脂組成物約1gを電気炉中で燃焼させて樹脂成分を除去し、得られたガラス繊維を顕微鏡写真で撮影し、各々のガラス単繊維の長さを測定することによって求めた。
[材料強度]以下の標準方法に従って測定した。
引張強度 :ASTM D638
曲げ弾性率 :ASTM D790
[流動性]幅10mm、厚さ2mm、全長600mmの渦巻き形状を有するスパイラルフロー測定金型を用い、射出成形温度250℃、射出成形圧力30kgf/cm 2 、金型温度80℃の条件下で材料を射出成形した際に金型内を流れた距離を測定して流動性の指標とした。流動長が長いほど流動性が良好であることを示す。
[表面平滑性]80x80x3mmの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
◎:蛍光灯の反射像が明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
[振動溶着強度測定]図1に示す表面形状で厚さ10mmの試験片を射出成形で成形し、この成形片2つをブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で溶着した後引っ張り試験を行い、溶着部分の強度を測定した。
振動数 : 240Hz
加圧力 : 70kgf
振幅 : 1.5mm
溶着代 : 1.5mm
【0021】
実施例1
ナイロン樹脂とガラス繊維の溶融混練は日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し機を用いて行った。相対粘度2.70のナイロン6樹脂70%および繊維径13μm、ストランド長1.5mmのガラス繊維10%をドライブレンドしてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径9μm、ストランド長3mmのガラス繊維20%を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化した。
【0022】
ここで得られた樹脂組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は290μm、繊維長60μm以下のガラス繊維の割合は全ガラス繊維中20%であり、これを種々の試験片に射出成形して流動性、表面平滑性、材料強度、溶着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0023】
【表1】
【0024】
比較例1
用いるガラス繊維を繊維径9μm、ストランド長3mmのガラス繊維のみとし、その全てをサイドフィーダーから供給した以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物はガラス繊維長分布が適切でないために実施例1に示す本発明の組成物に比べて流動性、溶着強度、表面平滑性に劣るものであった。
【0025】
実施例2〜4
表2に示すように用いるナイロン樹脂、ガラス繊維の種類と配合量を変えた以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も流動性、表面平滑性、溶着強度の優れた実用価値の高いものであった。
【0026】
【表2】
【0027】
実施例5
融点217℃、相対粘度2.65のナイロン6/66共重合体65%をシリンダー温度250℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径9μm、ストランド長3mmのガラス繊維20%および繊維径13μm、ストランド長約0.2mmのミルドガラス繊維15%の混合物を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化した。
【0028】
ここで得られた樹脂組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は380μm、繊維長60μm以下のガラス繊維の割合は全ガラス繊維中30%であり、これを実施例1と同様種々の試験片に射出成形して流動性、表面平滑性、材料強度、溶着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0029】
実施例6、7
表2に示すように用いるナイロン樹脂、ガラス繊維の種類と配合量を変えた以外は実施例5に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も流動性、表面平滑性、溶着強度の優れた実用価値の高いものであった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、振動溶着性が均衡して優れたものであり、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を振動溶着法などによって溶着して用いる場合に特に有用であり、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、オイルタンクなどの中空形状部品用などに好適に用いることができる。特に本発明のナイロン樹脂組成物は成形品表面平滑性が良好であるためにインテークマニホールドなどの吸気系部品に用いられる場合に気体通過時の抵抗が少なく高い効率を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した溶着強度測定用試験片の形状を示す平面図
Claims (9)
- (A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部含有してなる樹脂組成物であり、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占めることを特徴とする溶着用樹脂組成物。
- ナイロン樹脂が融点200℃以上の脂肪族ナイロン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の溶着用樹脂組成物。
- ナイロン樹脂がナイロン66、ナイロン6およびそれらを主成分とする共重合ナイロンの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の溶着用樹脂組成物。
- 共重合ナイロンがナイロン6成分とナイロン66成分からなる共重合体である請求項3記載の溶着用樹脂組成物。
- 共重合ナイロンがナイロン6成分98〜80重量%およびナイロン66成分2〜20重量%からなる共重合体またはナイロン66成分98〜80重量%およびナイロン6成分2〜20重量%からなる共重合体である請求項4記載の溶着用樹脂組成物。
- 共重合ナイロンがナイロン6成分97〜90重量%およびナイロン66成分3〜10重量%からなる共重合体またはナイロン66成分97〜90重量%およびナイロン6成分3〜10重量%からなる共重合体である請求項5記載の溶着用樹脂組成物。
- (A)ナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部を溶融混練する溶着用樹脂組成物の製造方法であって、該組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が100〜400μmの範囲にあってかつ繊維長が60μm以下のガラス繊維の割合が全ガラス繊維の10〜50重量%を占めるものである溶着用樹脂組成物の製造方法。
- (A)成分と(B)成分との溶融混練を1回行った段階で組成物中のガラス繊維の繊維長分布が上記の割合を満たすものである請求項7記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
- 溶融混練に供するガラス繊維が平均繊維径5〜15μm、ストランド長が1mm以上のガラス繊維と平均繊維径5〜15μm、ストランド長が20〜500μmのガラス繊維との混合物である請求項7または8記載の溶着用樹脂組成物の製造方法。
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