JP2002114905A - エンジン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物及びそれからなる部品 - Google Patents

エンジン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物及びそれからなる部品

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JP2002114905A
JP2002114905A JP2000306901A JP2000306901A JP2002114905A JP 2002114905 A JP2002114905 A JP 2002114905A JP 2000306901 A JP2000306901 A JP 2000306901A JP 2000306901 A JP2000306901 A JP 2000306901A JP 2002114905 A JP2002114905 A JP 2002114905A
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polyamide resin
cooling water
weight
resin composition
engine cooling
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Yasuo Maeda
恭夫 前田
Takeshi Kamishiro
剛 上城
Kazuhiko Kominami
和彦 小南
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性、耐熱性、成形性、寸法安定性、
耐薬品性にすぐれ、エンジンルーム内で冷却水との接触
下で使用される部品用途に使用されるポリアミド樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】 (A)(a)ヘキサメチレンテレフタル
アミド単位80〜40重量%および(b)ヘキサメチレ
ンアジパミド単位、ヘキサメチレンイソフタルアミド単
位およびカプロアミド単位の中から選ばれる少なくとも
1種の構造単位20〜60重量%からなるポリアミド樹
脂5〜40重量%と(B)ポリヘキサメチレンアジパミ
ドおよび/またはポリカプロアミド95〜60重量%と
からなるポリアミド樹脂100重量部、ならびに(C)
無機充填材20〜150重量部からなることを特徴とす
るエンジン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機械的特性、耐熱
性、成形性、耐薬品性にすぐれた、エンジン冷却水系部
品用ポリアミド樹脂組成物に関する。更に詳しくは、特
定の構造の半芳香族ポリアミド単位を有する共重合ポリ
アミドを特定量含有した、エンジン部品という特殊な使
用温度、湿度条件下において、ラジエタータンク部品、
ウォーターポンプ部品など、特にエンジンルーム内で冷
却水との接触下で使用される用途に好適に使用される耐
道路凍結防止剤性と成形性に優れた、エンジン冷却水系
部品用ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6、ナイロン66に代表される
ポリアミド樹脂は、エンジニアリングプラスチックとし
てすぐれた特性を有し、自動車、電気・電子など各種の
工業分野において広く使用されている。
【0003】近年、自動車部品、特にエンジンルーム内
で使用される樹脂製部品においては、エンジン性能の高
性能化、高出力化に伴うエンジン冷却水の温度上昇やエ
ンジンルーム内の温度上昇、と使用環境が過酷なものな
っている。また、寒冷地域では、融雪剤として大量の耐
道路凍結防止剤が散布され、エンジン部品はこれら薬剤
にも晒される。そこで、かような過酷な使用環境下でも
高い強度、寸法安定性などの機能を維持することのでき
る素材に対する要請が非常に高まっている。しかし、汎
用的に使用されるナイロン6、ナイロン66樹脂では、
特にエンジン冷却水との接触による吸水とエンジンルー
ム内の温度上昇によって繰り返される乾燥と湿潤とのサ
イクルに塩化カルシウム、塩化亜鉛などの金属塩からな
る耐道路凍結防止剤が作用し、応力割れが起こりやすい
という問題があった。
【0004】最近、このような過酷な使用環境下でも使
用可能なポリアミド樹脂として、特開昭59−1554
26号公報、特開昭62−156130号公報、特開平
3−7761号公報にはテレフタル酸および/またはイ
ソフタル酸単位を含有した高融点コポリアミド樹脂が開
示されている。これらのポリアミド樹脂は融点が高いと
同時に芳香族ジカルボン酸単位の導入により吸水性も抑
制され、耐道路凍結防止剤との接触下でもすぐれた機械
的性質を発揮し、応力割れに対して優れた耐性を示すと
いう利点がある。
【0005】しかし、その高融点故に溶融成形法によっ
て成形品を製造する際にポリマーのゲル化や炭化に起因
すると思われる異物が混入しやすい。また、ポリマーの
一部分解で生じる揮発性ガス起因と思われるガス焼けや
金型汚染が起こりやすいなどのように、成形加工性は十
分と言えるものではなく、実用的な成形品、特に大型の
成形品、を安定的に製造することが不十分という問題が
あった。
【0006】すなわち、従来の技術では、高温の自動車
エンジン冷却水との接触下においても材料特性低下が少
なく、高い耐道路凍結防止剤性を有し、かつ、強靱性、
成形性を高度に兼備しているポリアミド樹脂系材料を得
ることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高温のエンジ
ン冷却水との接触、高温度のエンジンルームという環境
下においても材料特性の低下が少なく、また、高い耐道
路凍結防止剤性を有し、高度の機械的特性、成形性を兼
備し、特にラジエタータンク部品、ウォーターポンプ部
品など自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使
用される部品用途に好適に使用できるポリアミド樹脂組
成物を得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、本
発明は、(1)(A)(a)ヘキサメチレンテレフタル
アミド単位80〜40重量%および(b)ヘキサメチレ
ンアジパミド単位、ヘキサメチレンイソフタルアミド単
位およびカプロアミド単位の中から選ばれる少なくとも
1種の構造単位20〜60重量%からなるポリアミド樹
脂5〜40重量%と(B)ポリヘキサメチレンアジパミ
ドおよび/またはポリカプロアミド95〜60重量%と
からなるポリアミド樹脂100重量部、ならびに(C)
無機充填材20〜150重量部からなるエンジン冷却水
系部品用ポリアミド樹脂組成物、(2)(C)無機充填
材がガラス繊維である請求項1のいずれか記載のエンジ
ン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物、(3)エンジ
ンが自動車エンジンである請求項1または2記載のエン
ジン冷却水系部品用ポリアミド樹脂組成物、(4)請求
項1〜3記載のポリアミド樹脂組成物からなるエンジン
冷却水系部品、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる、(A)成分のポ
リアミド樹脂は、(a)ヘキサメチレンテレフタルアミ
ド単位80〜40重量%および(b)ヘキサメチレンア
ジパミド単位、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位お
よびカプロアミド単位の中から選ばれる少なくとも1種
の構造単位20〜60重量%からなるポリアミド樹脂5
〜40重量%からなるものである。
【0010】ここで、(a)成分のヘキサメチレンテレ
フタルアミド単位はヘキサメチレンジアミンとテレフタ
ル酸ないしはそのエステル、酸ハロゲン化物などの誘導
体等から合成される単位である。
【0011】また、(b)成分のアミド単位は該構造を
与える原料の具体例として、ヘキサメチレンジアミンと
イソフタル酸、そのエステルもしくは酸ハロゲン化物な
どの誘導体やヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩や
ε−カプロラクタム、ε−アミノカプロン酸などを挙げ
ることができる。
【0012】(A)成分のポリアミド樹脂は、上記
(a)成分および(b)成分の構造単位を各々80〜4
0重量%、20〜60重量%の割合で含有する共重合体
である。好ましい共重合割合は各々75〜50重量%、
25〜50重量%である。
【0013】かかる上記特定の共重合成分を極めて限定
された共重合比率の範囲で重合して得られた共重合ポリ
アミド樹脂を用いることにより、耐薬品性(特に耐道路
凍結防止剤性)を有し、自動車エンジン冷却水系部品と
して使用する際に、長期間の不凍液との接触下において
も応力割れがなく、かつ強度、成形性がバランスを兼備
する優れた性能を発揮し得る。
【0014】(a)成分の共重合量が上記範囲よりも多
いと生成するポリアミド樹脂の融点が高くなり(例えば
325℃超)、溶融時に劣化が生じて成形品中には異物
が多く認められるようになり、また、成形品にガス焼け
が生じるなど成形加工性が損なわれる。逆に上記範囲よ
りも少ないと吸水時粘弾性特性が低下し、吸水時の剛性
が低下する。また、(b)成分の共重合量が上記範囲よ
りも多いと必要な耐道路凍結防止剤性性を維持できなく
なる。
【0015】本発明の(A)成分のポリアミド樹脂の重
合度は特に限定されるものではないが、機械的特性およ
び成形性などの点からポリアミド樹脂1重量%の98%
濃硫酸溶液中25℃で測定したときの相対粘度として、
好ましくは1.5〜5.0であり、さらに好ましくは
1.8〜3.5、特に好ましくは2.0〜2.8の範囲
にあるものが好適である。また本発明の(A)成分のポ
リアミド樹脂においては、上記(a)成分や(b)成分
として定義されないアミド構造単位を、本発明の目的を
損なわない限り、少量、例えば5モル%以下含有させる
こともできる。
【0016】(A)成分のポリアミド樹脂の製造法は特
に限定されないが、通常の加圧溶融重合、たとえばヘキ
サメチレンジアンモニウムテレフタレート(6T塩)と
ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸塩(66塩)およ
び水の混合物を20〜60kg/cm2 の水蒸気圧下で加熱
反応せしめ、次いで系内の水を放出させながら溶融重合
を行う通常の溶融重合法、あるいは原料混合物を200
〜350℃で加熱して一旦プレポリマーを作り、これを
さらに融点以下の温度で固相重合する方法あるいは該プ
レポリマーを溶融押出機で高重合度化する方法などが挙
げられる。
【0017】また、(A)成分のポリアミド樹脂には添
加剤、例えばモノカルボン酸、多価カルボン酸、モノア
ミン、多価アミンなど通常使用される粘度調節剤、顔
料、亜リン酸、亜リン酸金属塩、次亜リン酸、次亜リン
酸金属塩などの着色防止剤、耐熱安定剤などが本発明の
目的を損なわない範囲で含有されていてもさしつかえな
い。
【0018】本発明のポリアミド樹脂組成物は(B)成
分としてポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6
6)および/またはポリカプロアミド(ナイロン6)を
含有する。かかるポリヘキサメチレンアジパミド(ナイ
ロン66)および/またはポリカプロアミド(ナイロン
6)は公知のものが採用でき、1重量%の98%濃硫酸
溶液中25℃で測定したときの相対粘度として2.0〜
5.0のものを用いることが好ましく、さらに好ましく
は2.1〜4.5、特に好ましくは2.2〜3.5であ
る。また、ここでいうナイロン66、ナイロン6には少
量(例えば10重量%以下)の他のポリアミド構造単位
を含有した共重合体も含まれる。
【0019】本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記
(A)成分のポリアミド樹脂と(B)成分のポリアミド
樹脂を重量比としてそれぞれ、5〜40重量%、95〜
60重量%含有する。好ましくは、それぞれ10〜35
重量%、90〜65重量%で含有する。(A)成分の含
有量が40重量%を超えると成形加工性等が損なわれる
ので不十分であり、一方、含有量が5重量%に満たない
と本発明の目的たる高温高湿度雰囲気下での長期的な耐
道路凍結防止剤性が得られない。
【0020】そして、本発明のポリアミド樹脂組成物は
(C)成分として無機充填材を含有する。かかる無機充
填材としては繊維状または非繊維状の無機充填材を挙げ
ることができ、その具体例としては、ガラス繊維、炭素
繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、
硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊
維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、
石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、ワラステナ
イト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、ク
レー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、
タルク、アルミノシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、
酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化
チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸
化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、
炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填材が挙げら
れ、これらは中空形状であってもよく、さらにはこれら
無機充填材を2種類以上併用することも可能である。ま
た、これら充填材をイソシアネート系化合物、アクリル
系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合
物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップ
リング剤で予備処理して使用することは、より優れた機
械的強度を得る意味において好ましい。
【0021】これら無機充填材のなかでも本発明におい
てとりわけ好ましく用いられるのはガラス繊維である。
ガラス繊維は好ましく平均繊維径が5〜15μmであ
り、その繊維長には作業性や外観などの機能を損なわな
い限り特に制限はない。通常は押し出し混練作業性の高
いストランド長3mmのガラス繊維が使用できるが、ス
トランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜50
0μmのガラス繊維を混合物として原料に使用すること
もできる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2
種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均繊維径
が2μm以上異なる種類のものを使用することも好まし
い方法である。
【0022】本発明のポリアミド樹脂組成物における
(C)成分の無機充填材の含有量は(A)成分と(B)
成分のポリアミド樹脂の合計量100重量部に対して2
0〜150重量部である。好ましくは40〜100重量
部であり、さらに好ましくは45〜80重量部である。
20重量部未満の場合は機械特性が十分なものでは無く
ない、150重量部を超えると成形性や製品外観、耐衝
撃性が低下し、エンジン冷却水系部品として用いること
ができない。
【0023】本発明の作用については明らかではない
が、(A)成分のポリアミド樹脂は主に耐道路凍結防止
剤性の向上に寄与し、(B)成分のポリアミド樹脂は主
に成形加工時の流動性や成形サイクルの向上、すなわち
成形性の向上や耐道路凍結防止剤性の長期安定化に寄与
し、(C)成分の無機充填材は機械的特性の向上に寄与
しているものと考えられ、本発明の樹脂組成物とするこ
とによって、これらの寄与が調和し、エンジン冷却水系
部品において問題であった上記の課題を一挙に解決する
優れた特性を発現するものに到ったものである。
【0024】本発明のポリアミド樹脂組成物中にエポキ
シ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプ
ト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官
能基を有するアルコキシシランを添加することは、機械
的強度、靭性などの向上に有効である。かかる化合物の
具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラ
ン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどの
メルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイ
ドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピル
トリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有ア
ルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリ
エトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロ
ピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシ
ラン化合物などが挙げられる。
【0025】さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物に
は、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなど
の結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダー
ドフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱
安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤などの添加剤を添
加することができる。
【0026】本発明のポリアミド樹脂組成物の調製方法
は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例
として(A)成分、(B)成分のポリアミド樹脂と
(C)成分のガラス繊維などの無機充填材の混合物を単
軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給
して、用いるポリアミド樹脂の融点に応じて290〜3
40℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることがで
きる。
【0027】本発明のポリアミド樹脂組成物はエンジン
冷却水系部品に用いる。このエンジン冷却水系部品と
は、ラジエタータンクのトップおよびベースなどのラジ
エタータンク部品、冷却液リザーブタンク、ウォーター
パイプ、ウォーターポンプハウジング、ウォーターポン
プインペラ、バルブなどのエンジンルーム内で冷却水と
の接触下で使用される部品であり、好適に自動車用に用
いられる。
【0028】本発明は、エンジン冷却水系部品特有の高
温高湿下という特殊な環境下において、機械特性や道路
凍結防止剤に対する長期耐久性の要請の基、加えて、優
れた成形加工性をも兼備するべく発明されたものであ
る。本発明はエンジン冷却水系部品、特に自動車用エン
ジン冷却水系部品用に用いられるものであるが、他の同
様の機能を要求される部材、例えば、床暖房用温水パイ
プや道路融雪用散水パイプその他の樹脂部品に用いるこ
とに差し支えがない。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例および比較例中に記載されている
諸特性は以下の方法で測定した。
【0030】(1)融点: セイコ−電子工業(株)製
RDC220型示差作動熱量計を用いて、一旦40℃/
分の昇温速度で昇温し、吸熱ピーク温度プラス20℃で
5分間保持し、次いで20℃/分の速度で100℃まで
降温せしめた後20℃/分の昇温速度で測定した際のピ
ーク値を融点とした。 (2)引張強度: ASTM D638に従い、測定し
た。 (3)曲げ弾性率: ASTM D790に従い、曲げ
弾性率を測定した。 (4)耐道路凍結防止剤性:100mm×150mm×
3mmの角板を成形し、この角板から樹脂流動方向と直
角方向が長手となるように100x12x3mmの短冊
状試験片を切り出し、この試験片を80℃/3時間水中
浸漬して吸水せしめ、片側を保持して他方に最大応力9
0kg/cm2 となるよう重りを取り付けて試験片上に40
重量%塩化カルシウム水溶液を塗布し、この状態で温度
80℃、湿度30%の雰囲気下で48時間処理した後に
試験片に入ったクラックの内最大の深さを測定して耐道
路凍結防止剤性の指標とした。クラックの深さが小さい
ほど耐道路凍結防止剤性が優れるものである。 (5)成形性 射出成形機を用いて、20×20×20mmの箱形の金
型に射出時間5秒で樹脂を導入し、冷却時間を変えて箱
形成形品を製作する。この時、冷却時間5秒未満で成形
品に変形が生じないものを○、そうでないものを×とし
た。
【0031】参考例1:(A)成分のポリアミド樹脂の
調製 ヘキサメチレンテレフタルアミド単位60重量%および
ヘキサメチレンアジパミド単位40重量%となるよう調
整したヘキサメチレンジアンモニウムテレフタレート
(6T塩)、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート
(66塩)および水の混合物(固形原料濃度65重量
%)を加圧重合缶に仕込み、攪拌下に昇温し、水蒸気圧
35kg/cm2 で3.0時間反応させた後反応混合物を重
合缶下部吐出口から吐出、回収した。ここで得られたポ
リアミドプレポリマーの硫酸溶液相対粘度(1重量%濃
度)は1.65であった。このプレポリマーを真空下2
20℃/10時間固相重合することにより、相対粘度
2.6のポリアミドを得た。その特性は表1に示す通り
であった。
【0032】参考例2〜4:同上 表1に示す組成となるように原料仕込み比率を変えた以
外は参考例1と同じ手順で重合を行った。得られたポリ
アミド樹脂の特性は表1に示す通りであった。 実施例1〜5、比較例1〜4 先に記述の参考例1〜3で得られた(A)成分のポリア
ミド樹脂と(B)成分のポリアミド樹脂として(東レ社
製E3001(N66)、東レ社製CM1010(N
6)、(C)成分の無機充填材としてガラス繊維(日本
板硝子社製TP−57)を表1に示す配合比でドライブ
レンドした後、40mm単軸押出機のホッパーに供給
し、シリンダー温度305〜330℃、スクリュー回転
数100rpmの条件で溶融混練を行い、ガラス繊維強
化組成物を得た。この組成物を射出成形して種々の試験
片を得て所定の特性評価を行った。結果をまとめて表1
に示す。本発明の組成物はいずれも高い耐道路凍結防止
剤性を始め、すぐれた特性を有する組成物であった。一
方比較例1、3の組成物は耐道路凍結防止剤性に劣り、
比較例2の組成物は射出成形時の固化が著しく遅く、成
形性が不足し、比較例4では機械特性に劣り、耐道路凍
結防止剤性も不十分で実用価値の低いものであった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明で得られるポリアミド樹脂組成物
は機械的特性、成形性、耐道路凍結防止剤性にすぐれ、
自動車エンジン冷却水系部品、特にラジエタータンクの
トップおよびベースなどのラジエラータンク部品、冷却
液リザーブタンク、ウォーターパイプ、ウォーターポン
プハウジング、ウォーターポンプインペラ、バルブなど
のウォーターポンプ部品など自動車エンジンルーム内で
冷却水との接触下で使用される部品用途に好適に使用さ
れ、該組成物を溶融成形して得られる成形品は実用価値
の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 77/06 (C08L 77/06 77:10) 77:10) (C08L 77/02 (C08L 77/02 77:10) 77:10)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)ヘキサメチレンテレフタル
    アミド単位80〜40重量%および(b)ヘキサメチレ
    ンアジパミド単位、ヘキサメチレンイソフタルアミド単
    位およびカプロアミド単位の中から選ばれる少なくとも
    1種の構造単位20〜60重量%からなるポリアミド樹
    脂5〜40重量%と(B)ポリヘキサメチレンアジパミ
    ドおよび/またはポリカプロアミド95〜60重量%と
    からなるポリアミド樹脂100重量部、ならびに(C)
    無機充填材20〜150重量部からなるエンジン冷却水
    系部品用ポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (C)無機充填材がガラス繊維である請
    求項1のいずれか記載のエンジン冷却水系部品用ポリア
    ミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エンジンが自動車エンジンである請求項
    1または2記載のエンジン冷却水系部品用ポリアミド樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のポリアミド樹脂組成
    物からなるエンジン冷却水系部品。
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