JP2017210514A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド樹脂組成物を、機械的強度や外観、成形加工性に優れるものとする。【解決手段】ポリアミド樹脂組成物を、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して(A)ポリアミド樹脂29.9〜99.9質量%、(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物0.1〜10質量%及び(C)無機充填材0〜70質量%を含むものとする。【選択図】なし
Description
本発明は、機械的強度や外観、成形加工性に優れるポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性(機械的強度、剛性や耐衝撃性など)、耐熱性、耐薬品性を有することから、衣料、産業資材、自動車、電気及び電子部品、その他の工業製品といった様々な産業分野で利用されている。
特に、近年は、自動車部品の軽量化を目的とした薄肉化や、電気及び電子部品の小型化、精密化に伴い、良流動性が求められている。
特に、近年は、自動車部品の軽量化を目的とした薄肉化や、電気及び電子部品の小型化、精密化に伴い、良流動性が求められている。
ポリアミド樹脂組成物の粘度を低減させるためには、酸化ポリエチレンワックス、高級脂肪酸の金属塩やアミド系の滑剤を配合することが知られているが(例えば、特許文献1)、顕著な流動性向上効果を得るためには添加量を多くしなければならず、ポリアミド樹脂本来の機械的強度を維持することが難しく、また成形時の発生ガスが増えるという問題があった。さらに、高流動性のポリアミド樹脂組成物を得るために、酸化マグネシウムや酸化亜鉛を配合する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
一方で、熱可塑性樹脂の流動性を改善する方法として、フルオレン骨格を樹脂の構造単位に導入する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、機械的強度を維持しつつ、流動性を向上させるという点では十分ではない。
しかし、機械的強度を維持しつつ、流動性を向上させるという点では十分ではない。
本発明の課題は、自動車部品や小型精密部品等に好適な、機械的強度や外観、成形加工性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂に、所定量の9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含むことが、上記特性に優れたポリアミド樹脂組成物を得るために有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、(A)ポリアミド樹脂29.9〜99.9質量%、(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物0.1〜10質量%及び(C)無機充填材0〜70質量%を含むものである。
(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上であることが好ましい。
(A)ポリアミド樹脂は、ISO 307に準拠して96%(質量分率)の硫酸で測定した粘度数が80〜140ml/gであることが好ましい。
(C)無機充填材は、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、炭酸カルシウム及びチタン酸カリウムから選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、さらに(D)滑剤を含んでいてもよい。
(C)無機充填材は、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、炭酸カルシウム及びチタン酸カリウムから選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、さらに(D)滑剤を含んでいてもよい。
本発明の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明によれば、機械的強度や外観、成形加工性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
[(A)ポリアミド樹脂]
「ポリアミド」とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。本発明で用いられるポリアミドとしては、特に限定されないが、例えば、(a)ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、(b)ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、(c)ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられる。ポリアミドは、1種で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。以下、本発明におけるポリアミドの原料について説明する。
[(A)ポリアミド樹脂]
「ポリアミド」とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。本発明で用いられるポリアミドとしては、特に限定されないが、例えば、(a)ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、(b)ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、(c)ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられる。ポリアミドは、1種で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。以下、本発明におけるポリアミドの原料について説明する。
上記(a)ポリアミドの原料となるラクタムとしては、特に限定されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、及びドデカラクタムなどが挙げられる。
また、上記(b)ポリアミドの原料となるω−アミノカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、上記ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸などが挙げられる。なお、上記(a)ポリアミド及び(b)ポリアミドは、それぞれ2種以上のラクタム又はω−アミノカルボン酸を併用して縮合させたものであってもよい。
上記(c)ポリアミドの原料となるジアミン(単量体)としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンなどが挙げられる。
他方、上記(c)ポリアミドの原料となるジカルボン酸(単量体)としては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
上記(c)ポリアミドは、それぞれ1種単独又は2種以上のジアミン及びジカルボン酸を併用して縮合させたものであってもよい。
上記(c)ポリアミドは、それぞれ1種単独又は2種以上のジアミン及びジカルボン酸を併用して縮合させたものであってもよい。
(A)ポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド410(ポリテトラメチレンセバカミド)、ポリアミド412(ポリテトラメチレンドデカミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド1010(ポリデカメチレンセバカミド)、ポリアミド1012(ポリデカメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドなどが挙げられる。
ポリアミド樹脂の末端基には、一般にアミノ基又はカルボキシル基が存在する。特に限定されないが、本発明に用いる(A)ポリアミド樹脂のアミノ末端基量とカルボキシル末端基量との総量に対するアミノ末端基量の比[アミノ末端基量/(アミノ末端基量+カルボキシル末端基量)]は、0.3以上1.0未満であることが好ましく、0.3以上0.8以下がより好ましく、0.3以上0.6以下がさらに好ましい。末端基量の比が上記範囲内であることにより、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の、色調、機械的強度、及び耐振動疲労特性がより優れる傾向にある。
ポリアミド樹脂のアミノ末端基量は、好ましくは10〜100μmol/gであり、より好ましくは15〜80μmol/gであり、さらに好ましくは30〜80μmol/gである。アミノ末端基量が上記範囲内であることにより、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度がより優れる傾向にある。
ここで、本明細書におけるアミノ末端基量及びカルボキシル末端基量の測定方法としては、1H−NMR法や滴定法が挙げられる。1H−NMR法おいては、各末端基に対応した特性シグナルの積分値によって求めることができる。滴定法においては、アミノ末端基については、ポリアミド樹脂のフェノール溶液を0.1N塩酸で滴定する方法、カルボキシル末端基については、ポリアミド樹脂のベンジルアルコール溶液を0.1N水酸化ナトリウムで滴定する方法等が挙げられる。
ポリアミド樹脂の末端基の濃度の調整方法としては、公知の方法を用いることができる。調整方法としては、特に限定されないが、例えば、末端調整剤を用いる方法が挙げられる。具体例として、ポリアミドの重合時に所定の末端濃度となるように、モノアミン化合物、ジアミン化合物、モノカルボン酸化合物、及びジカルボン酸化合物からなる群より選択される1種以上の末端調整剤を添加することが挙げられる。末端調整剤の溶媒への添加時期については、末端調整剤として本来の機能を果たす限り特に限定されず、例えば、上記したポリアミドの原料を溶媒に添加する際があり得る。
上記モノアミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン、並びにこれらの任意の混合物などが挙げられる。中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性や価格などの観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジアミン化合物は、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記モノカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などが挙げられる。本実施の形態では、これらのカルボン酸化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びスベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位(ユニット)が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の(A)ポリアミド樹脂は、ISO 307に準拠して96%(質量分率)の硫酸で測定した粘度数(VN)が、80〜180ml/gであることが、機械的強度、射出成形時の流動性、外観の観点から好ましい。より好ましくは80〜150ml/g、さらに好ましくは80〜140ml/gであり、特に好ましくは、100〜140ml/gである。
本発明の(A)ポリアミド樹脂の配合量は、流動性と外観の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して29.9〜99.9質量%である。より好ましくは29.9〜84質量%、さらに好ましくは34.9〜74質量%、特に好ましくは39.9〜73質量%である。
[(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(以下、単にフルオレン化合物という)を含む。フルオレン化合物を含有することにより、優れた流動性と外観、可塑化性が得られる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(以下、単にフルオレン化合物という)を含む。フルオレン化合物を含有することにより、優れた流動性と外観、可塑化性が得られる。
フルオレン化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有していればよく、反応性基を有しない化合物、例えば、9,9−ビスアリールフルオレンであってもよいが、反応性基を有している方が好ましい。
反応性基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。フルオレン化合物は、これらの反応性基を、単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
反応性基は、9,9−ビスアリールフルオレンに直接的に結合していてもよく、適当な連結基(例えば、(ポリ)オキシアルキレン基など)を介して結合していてもよい。
反応性基は、9,9−ビスアリールフルオレンに直接的に結合していてもよく、適当な連結基(例えば、(ポリ)オキシアルキレン基など)を介して結合していてもよい。
具体的なフルオレン化合物としては、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類[又は9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類]、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類[又は9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類]、これらの化合物において、ヒドロキシル基が、メルカプト基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基に置換した化合物などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC 1−4 アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC 6−10 アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン]などが挙げられる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応して、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレン]などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC 1−4 アルキル−ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC 6−10 アリール−ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類などが含まれる。
また、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類に対応して、フェニル基がナフチル基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC 2−4 アルコキシナフチル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
これらのフルオレン化合物のうち、特に、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(モノ又はジC 1−4 アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(モノ又はジC 6−10 アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(モノ又はジC 1−4 アルキル−ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(モノ又はジC 6−10 アリール−ヒドロキシC 2−4 アルコキシフェニル)フルオレン}、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC 2−4 アルコキシナフチル)フルオレン}である化合物が好ましい。特に、優れた流動性向上効果と可塑化向上効果が期待できることから、9,9−ビス(ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレンがより好ましい。
フルオレン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
なお、フルオレン化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法により合成したものを用いてもよい。
フルオレン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
なお、フルオレン化合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法により合成したものを用いてもよい。
本発明で用いられるフルオレン化合物の配合量は、流動性と外観、可塑化性の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して0.1〜10質量%である。より好ましくは0.1〜7質量%、さらに好ましくは1〜7質量%、特に好ましくは2〜7質量%である。
[(C)無機充填材]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(C)無機充填材を含むことが好ましい。無機充填材を含有することにより、優れた機械的強度と剛性が得られる。
無機充填材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(C)無機充填材を含むことが好ましい。無機充填材を含有することにより、優れた機械的強度と剛性が得られる。
無機充填材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記例示した中でも、本発明のポリアミド樹脂組成物の機械的強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、チタン酸カリウム、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトよりなる群から選択される1種以上が好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム及びチタン酸カリウムからなる群より選択される1種以上である。
上記ガラス繊維や炭素繊維のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できる観点から、ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、及び重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10〜100であるものがさらに好ましい。
また、ガラス繊維や炭素繊維は、断面が円形状であっても、偏平状(楕円状、繭型形状など)であってもよい。偏平状であると、低反り性の観点で好ましい。
ガラス繊維の繊維径は、偏平状の場合は、優れた機械的強度と外観、低反り性の観点から、平均短径が3〜15μmが好ましく、より好ましくは4〜10μmであり、さらに好ましくは5〜9μmである。
ガラス繊維の繊維径は、偏平状の場合は、優れた機械的強度と外観、低反り性の観点から、平均短径が3〜15μmが好ましく、より好ましくは4〜10μmであり、さらに好ましくは5〜9μmである。
また、上記ウォラストナイトのうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、及びアスペクト比が3〜100であるものがさらに好ましい。
また、上記タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、ポリアミド樹脂組成物中における数平均粒子径が0.1〜10μmであるものがさらに好ましい。
ここで、本明細書における数平均繊維径、数平均粒子径及び重量平均繊維長は、以下の方法により測定することができる。
ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、100本以上の無機充填材を任意に選択し、SEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)で観察して、これらの無機充填材の繊維径及び粒子径を測定することにより数平均繊維径及び数平均粒子径を測定する。併せて、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求めることができる。
ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、100本以上の無機充填材を任意に選択し、SEM(走査型電子顕微鏡、Scanning Electron Microscope)で観察して、これらの無機充填材の繊維径及び粒子径を測定することにより数平均繊維径及び数平均粒子径を測定する。併せて、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求めることができる。
(C)無機充填材は、シランカップリング剤などにより表面処理を施してもよい。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
特に、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
特に、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
また、ガラス繊維及び炭素繊維については、さらに集束剤として、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩などを含んでもよい。これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラス繊維及び炭素繊維は、公知のガラス繊維及び炭素繊維の製造工程において、連続的に反応させることにより得られる。
具体的には、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いて、集束剤をガラス繊維及び炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することによりガラス繊維及び炭素繊維が得られる。
繊維ストランドはロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を行いチョップドガラスストランドとして使用してもよい。
具体的には、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いて、集束剤をガラス繊維及び炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することによりガラス繊維及び炭素繊維が得られる。
繊維ストランドはロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を行いチョップドガラスストランドとして使用してもよい。
集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%相当を付与(添加)する。
ガラス繊維及び炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上相当であることが好ましい。一方、本発明のポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下相当であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、又はストランドの乾燥後に切断工程を行ってもよい。
本発明で用いられる無機充填材の配合量は、機械的強度と外観の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して0〜70質量%である。より好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは25〜65質量%、特に好ましくは25〜60質量%である。
[(D)滑剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、流動性や外観をより一層向上させる観点から(D)滑剤を含んでいてもよい。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックスなどが挙げられる。優れた外観と成形加工性の観点から、中でも脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドから選ばれる1種以上が好ましく、2種以上を併用することがより好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸エステルを併用することがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、流動性や外観をより一層向上させる観点から(D)滑剤を含んでいてもよい。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックスなどが挙げられる。優れた外観と成形加工性の観点から、中でも脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドから選ばれる1種以上が好ましく、2種以上を併用することがより好ましく、脂肪酸金属塩と脂肪酸エステルを併用することがさらに好ましい。
脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を示す。特に、炭素数8以上の脂肪酸が好ましい。より好ましくは炭素数8〜40の脂肪酸である。
脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、脂肪族モノカルボン酸が挙げられ、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、脂肪族モノカルボン酸が挙げられ、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸エステルとは、上記脂肪酸とアルコールとのエステル化合物である。
アルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸−1,3−ブタンジオールエステル、モンタン酸−トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールプロパントリラウレート、ブチルステアレート等が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸−1,3−ブタンジオールエステル、モンタン酸−トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールプロパントリラウレート、ブチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドとは、上記脂肪酸のアミド化物である。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド等が挙げられる。特に、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN−ステアリルエルカアミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド及びN−ステアリルエルカアミドがより好ましい。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド等が挙げられる。特に、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN−ステアリルエルカアミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド及びN−ステアリルエルカアミドがより好ましい。
脂肪酸金属塩とは、上述した脂肪酸の金属塩である。
脂肪酸と塩を形成する金属元素としては、元素周期律表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第3族元素、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
金属元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アルミニウム;が好ましい。
脂肪酸と塩を形成する金属元素としては、元素周期律表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第3族元素、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
金属元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アルミニウム;が好ましい。
脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
これら脂肪酸金属塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら滑剤の配合量に特に制限はないが、優れた外観と成形加工性の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し、0.05〜1.5質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.08〜0.6質量%がさらに好ましい。
付加的成分の例を以下に挙げる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤等を添加することもできるし、他の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、アジン系染料などが挙げられる。これら着色剤の配合量に特に制限はないが、優れた外観と成形加工性の観点から、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤等を添加することもできるし、他の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、アジン系染料などが挙げられる。これら着色剤の配合量に特に制限はないが、優れた外観と成形加工性の観点から、0.01〜3質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。
[ポリアミド樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、単軸または多軸押出機によってポリアミド樹脂を溶融させた状態で混練する方法により製造することができる。チョップドストランドガラス繊維を用いる場合、上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口からポリアミド樹脂を供給して溶融させた後、下流側供給口からチョップドストランドガラス繊維を供給して溶融混練する方法を好ましく使用できる。また、ガラス繊維ロービングを用いる場合も、公知の方法で複合することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、単軸または多軸押出機によってポリアミド樹脂を溶融させた状態で混練する方法により製造することができる。チョップドストランドガラス繊維を用いる場合、上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口からポリアミド樹脂を供給して溶融させた後、下流側供給口からチョップドストランドガラス繊維を供給して溶融混練する方法を好ましく使用できる。また、ガラス繊維ロービングを用いる場合も、公知の方法で複合することができる。
このようにして得られる組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品の成形体として成形できる。
これら各種部品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭品用として好適に使用できる。
これら各種部品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭品用として好適に使用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に示されたものに限定されるものではない。
(使用した原料)
(1)ポリアミド
(1−1)ポリアミド66(以下、PA−1と略記)
VN(硫酸):119ml/kg、アミノ末端基:40mmol/kg、
カルボン酸末端基:80mmol/kg
(1−2)ポリアミド66(以下、PA−2と略記)
VN(硫酸):147ml/kg、アミノ末端基:50mmol/kg、
カルボン酸末端基:80mmol/kg
(1−3)ポリアミド6(以下、PA−3と略記)
VN(硫酸):125ml/kg、アミノ末端基:40mmol/kg、
カルボン酸末端基:60mmol/kg
(1)ポリアミド
(1−1)ポリアミド66(以下、PA−1と略記)
VN(硫酸):119ml/kg、アミノ末端基:40mmol/kg、
カルボン酸末端基:80mmol/kg
(1−2)ポリアミド66(以下、PA−2と略記)
VN(硫酸):147ml/kg、アミノ末端基:50mmol/kg、
カルボン酸末端基:80mmol/kg
(1−3)ポリアミド6(以下、PA−3と略記)
VN(硫酸):125ml/kg、アミノ末端基:40mmol/kg、
カルボン酸末端基:60mmol/kg
(2)ガラス繊維
(2−1)平均繊維径10μmのガラス繊維(以下、GF−1と略記)
(2−2)平均短径7μm、平均長径28μmの扁平形状断面のガラス繊維(以下、GF−2と略記)
(2−1)平均繊維径10μmのガラス繊維(以下、GF−1と略記)
(2−2)平均短径7μm、平均長径28μmの扁平形状断面のガラス繊維(以下、GF−2と略記)
(3)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、BPEFと略記)
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下、BPEFと略記)
(4)熱安定剤
ヨウ化銅(和光純薬工業社製、以下、CuIと略記)とヨウ化カリウム(和光純薬工業社製、以下、KIと略記)の質量比1:5の混合物(以下、HSと略記)
(5)滑剤
(5−1)モンタン酸ナトリウム(以下、WAX−1と略記)
(5−2)モンタン酸エステル(以下、WAX−2と略記)
(6)着色剤
ニグロシン[ヌビアンブラック(登録商標)TN−870(オリヱント化学社製)]をポリアミド6中に40質量%含有するマスターバッチ(以下、CMBと略記)
ヨウ化銅(和光純薬工業社製、以下、CuIと略記)とヨウ化カリウム(和光純薬工業社製、以下、KIと略記)の質量比1:5の混合物(以下、HSと略記)
(5)滑剤
(5−1)モンタン酸ナトリウム(以下、WAX−1と略記)
(5−2)モンタン酸エステル(以下、WAX−2と略記)
(6)着色剤
ニグロシン[ヌビアンブラック(登録商標)TN−870(オリヱント化学社製)]をポリアミド6中に40質量%含有するマスターバッチ(以下、CMBと略記)
(評価方法)
以下に、評価方法について述べる。
<引張強度>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 3167、多目的試験片A型の成形片を成形した。得られた成形片を用いて、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
以下に、評価方法について述べる。
<引張強度>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 3167、多目的試験片A型の成形片を成形した。得られた成形片を用いて、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
<シャルピー衝撃強度>
上記多目的試験片A型を切削して使用し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、ISO 179/1eAに準拠し、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を測定した。
上記多目的試験片A型を切削して使用し、80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、ISO 179/1eAに準拠し、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を測定した。
<外観>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、金型温度を80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 294−3に従いタイプD1の金型を用いて、60mm×60mm×2mmの成形片を、射出時の充填時間を0.5秒、1秒、2秒でそれぞれ成形し、JIS Z8741に準拠し、60度鏡面光沢度を測定した。3つの充填条件の平均値を鏡面光沢度とした。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、金型温度を80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 294−3に従いタイプD1の金型を用いて、60mm×60mm×2mmの成形片を、射出時の充填時間を0.5秒、1秒、2秒でそれぞれ成形し、JIS Z8741に準拠し、60度鏡面光沢度を測定した。3つの充填条件の平均値を鏡面光沢度とした。
<流動性>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、60mm×60mm×1mmの成形片を成形した。このときの流動末端まできちんと充填できる最低射出圧力(ゲージ圧力)で評価した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、60mm×60mm×1mmの成形片を成形した。このときの流動末端まできちんと充填できる最低射出圧力(ゲージ圧力)で評価した。
<可塑化性>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、シリンダー温度300℃に設定し、60mm×60mm×2mmの成形片を20枚成形した。このときの可塑化時間(計量時間)を測定し、平均値、ばらつきσ、最長時間(MAX)と最短時間(MIN)の差で評価した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、シリンダー温度300℃に設定し、60mm×60mm×2mmの成形片を20枚成形した。このときの可塑化時間(計量時間)を測定し、平均値、ばらつきσ、最長時間(MAX)と最短時間(MIN)の差で評価した。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルに下流側供給口、11番目のバレルに真空脱揮口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを320℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、吐出量25kg/hで、表1記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、フルオレン化合物、熱安定剤、滑剤、着色剤を供給し、下流側供給口よりガラス繊維を供給し、真空脱揮口より減圧して溶融混練し樹脂組成物ペレットを作製した。得られた樹脂組成物を、樹脂温度290℃、金型温度80℃にて成形し、引張強度、シャルピー衝撃強度、外観、流動性、可塑化性を評価した。物性値を組成とともに表1に併記した。
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルに下流側供給口、11番目のバレルに真空脱揮口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを320℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、吐出量25kg/hで、表1記載の割合となるように、上流側供給口よりポリアミド、フルオレン化合物、熱安定剤、滑剤、着色剤を供給し、下流側供給口よりガラス繊維を供給し、真空脱揮口より減圧して溶融混練し樹脂組成物ペレットを作製した。得られた樹脂組成物を、樹脂温度290℃、金型温度80℃にて成形し、引張強度、シャルピー衝撃強度、外観、流動性、可塑化性を評価した。物性値を組成とともに表1に併記した。
表1に示すように、本発明のポリアミド樹脂組成物は、機械的強度や外観に優れ、さらに射出圧力が低く流動性に優れ、可塑化時間も短く、ばらつきも少ないことから成形加工性に優れていた。一方、比較例1〜4では機械的強度と外観の両立が達成されず、成形加工性にも劣った。
本発明のポリアミド樹脂組成物は機械的強度や外観、成形加工性に優れるため、自動車部品や小型電気電子部品など、良流動性が求められ、機械的強度と良外観が要求される成形品に好適に利用することができる。
Claims (6)
- ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、(A)ポリアミド樹脂29.9〜99.9質量%、(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物0.1〜10質量%及び(C)無機充填材0〜70質量%を含むポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂のISO 307に準拠して96%(質量分率)の硫酸で測定した粘度数が80〜140ml/gである請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(C)無機充填材が、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、炭酸カルシウム及びチタン酸カリウムから選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに(D)滑剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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WO2019087496A1 (ja) | 2017-10-31 | 2019-05-09 | 住友電工ハードメタル株式会社 | 切削インサート |
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