JP3626564B2 - ラインサーマルプリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、横幅サイズの異なる各種の用紙に対して良好な印字を行えるようにしたラインサーマルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラインサーマルプリンタにおける用紙のセット方法には2つの方法がある。第1のセット方法は、用紙の横幅方向のセンター位置をラインサーマルヘッドの中央に位置合わせするセンター基準のセット方法である。第2のセット方法は、用紙の横幅方向の一端をサーマルヘッドの一側端側を基準としてセットする端面基準のセット方法である。
【0003】
2つのセット方法を比較すると、セット作業の容易性、機構の簡易性等の点からは、端面基準のセット方法が優れている。
【0004】
しかし、端面基準のセット方法には、以下のような欠点がある。その欠点は、横幅サイズの小さい用紙をセットしたときに、ラインサーマルヘッドが、用紙と接触している側が持ち上がって用紙と接触していない側が下がった傾斜状態となり、ラインサーマルヘッドから用紙に作用する押圧力が用紙の横幅方向で不均一になり、印字が片当たり状態となることである。
【0005】
このような欠点への対応としては、予め設定した横幅サイズより小さい横幅サイズの用紙を使用しないようにしたり、ネジなどを用いてラインサーマルヘッドの長手方向の押圧力のバランスを給紙する用紙の横幅サイズに応じて調節したり、ラインサーマルヘッドが傾斜状態とならないようにラインサーマルヘッドの支点を強固にするとともにラインサーマルヘッドをプラテンに対して平行に対向させている。
【0006】
また、ラインサーマルヘッドから用紙に作用させる適正な押圧力は、用紙の横幅サイズに応じて異なり、横幅サイズが大きい用紙の場合には大きくなり、横幅サイズが小さい用紙の場合には小さくなる。従って、用紙に作用する押圧力を給紙する用紙の横幅サイズに応じて変更することが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のラインサーマルプリンタにおいて、設定した横幅サイズより小さい横幅サイズの用紙を使用しないようにした場合には、そのラインサーマルプリンタは汎用性がなくなり、不便である。ネジなどを用いてラインサーマルヘッドの押圧力を用紙の横幅サイズに応じて調整する場合には、使用する用紙の横幅サイズが変わる毎に調整を行わなければならず、手間がかかって煩雑である。ラインサーマルヘッドの支点を強固にする場合には、ラインサーマルヘッドとプラテンとの平行度を正確に調節しなければならず、手間がかかって煩雑である。
【0008】
また、用紙の横幅サイズが小さくなったときにその用紙に作用する押圧力を小さくしないと、その押圧力がラインサーマルヘッドにおける用紙と接触している狭い範囲に集中し、ラインサーマルヘッドやプラテンに局部的に大きな負荷が作用してその寿命が短くなる。
【0010】
発明は、給紙する用紙の横幅サイズが変わった場合にはそれに応じてその用紙における横幅方向のセンターを中心とする位置にラインサーマルヘッドの押圧力を作用させるとともに押圧力の大きさを用紙の横幅サイズに応じて調整できるラインサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項記載の発明は、支軸を支点として回動自在に支持されたラインサーマルヘッドと、前記支軸と平行に配置されて前記ラインサーマルヘッドに対向するプラテンと、前記ラインサーマルヘッドを前記プラテン方向に押圧する押圧部材とを有し、前記ラインサーマルヘッドと前記プラテンとの間に供給する用紙を前記ラインサーマルヘッドの一側端側を基準としてセットするラインサーマルプリンタにおいて、前記ラインサーマルヘッドを挾んで前記プラテンと対向する支持体と、この支持体におけるセットされる用紙が寄せられる一側端側に一端を回動自在に連結した第一リンクと、この第一リンクの他端に一端を回動自在に連結してその連結部を前記支軸側に向けて略“く”の字形に突出させる第二リンクと、この第二リンクの他端に設けたスライド支点と、このスライド支点を前記用紙の横幅方向に沿ってスライド自在に案内するガイド部と、前記スライド支点を前記ガイド部に沿ってスライドさせるように前記第一リンクと前記第二リンクとを回動させる操作摘みとを有する押圧点調整リンク機構を設け、前記第一リンクと前記第二リンクとに前記押圧部材を取付けた。
【0015】
従って、給紙する用紙の横幅サイズが小さい場合に、操作摘みを操作してスライド支点を第一リンクの一端側に近付くようにスライドさせると、第一リンクと第二リンクとがその連結部から略“く”の字形に屈曲するとともにその屈曲角度が次第に鋭角的になる。そして、第一リンクと第二リンクとに取付けた押圧部材が用紙をセットする際の基準となるラインサーマルヘッドの一側端側方向へ移動するとともに、押圧部材が支軸に近づく方向へ移動する。このため、給紙した用紙の横幅サイズが小さい場合でも、ラインサーマルヘッドの押圧力が用紙の横幅方向のセンターを中心とする位置に作用し、ラインサーマルヘッドの一側端側が持ち上がった状態とならず、片当たり状態での印字が防止される。また、押圧部材が支軸に近づくため、この押圧部材の押圧によりラインサーマルヘッドから用紙に作用する押圧力が小さくなり、横幅サイズの小さい用紙に印字するときにラインサーマルヘッドから用紙に必要以上の過大な押圧力が作用することが防止される。
【0016】
一方、給紙する用紙の横幅サイズが大きい場合には、操作摘みを操作してスライド支点を第一リンクの一端側から離反させるようにスライドさせると、第一リンクと第二リンクとがその連結部の角度が鈍角となるように屈曲する。そして、第一リンクと第二リンクとに取付けた押圧部材が用紙をセットする際の基準となるラインサーマルヘッドの一側端側から離反する方向へ移動するとともに、押圧部材が支軸から離反する方向へ移動する。このため、給紙した用紙の横幅サイズが大きくなった場合でも、ラインサーマルヘッドの押圧力が用紙の横幅方向のセンターを中心とする位置に作用する。また、押圧部材が支軸から離反するため、この押圧部材の押圧によりラインサーマルヘッドから用紙に作用する押圧力が大きくなり、横幅サイズの大きい用紙に印字するときに必要である大きな押圧力を確保できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、ラインサーマルプリンタの全体構造を示す斜視図である。このラインサーマルプリンタは、ロール状に巻回した用紙1を収納し、さらに、この用紙1を紙送りする機能を備えたプラテンであるプラテンローラ2が取付けられた本体ケース3と、この本体ケース3に支軸4を支点として上下方向回動自在に取付けられた支持体であるヘッドフレーム5とにより形成されている。用紙1の補給時や各種メンテナンス時にはヘッドフレーム5を上方に回動させて図2に示すように本体ケース3の上部を開放し、用紙1の補給やメンテナンス等が終了した後にはヘッドフレーム5を下方へ回動させて図1に示すように本体ケース1の上部を閉止する。
【0018】
前記ヘッドフレーム5には、支軸6を支点として上下方向回動自在にヘッドブラケット7が取付けられ、このヘッドブラケット7にはラインサーマルヘッド8が固定的に取付けられている。前記ラインサーマルヘッド8は前記支軸6と平行に、かつ、前記ヘッドフレーム5を閉止位置へ回動させたときに前記プラテンローラ2と平行に対向して接触するように配置されている。
【0019】
前記本体ケース3には溝9とフック嵌合ピン10とが設けられている。前記ヘッドフレーム5を閉止位置へ回動させたときに、前記支軸6が溝9に入り込み、前記ヘッドフレーム5に設けた固定用フック11がフック嵌合ピン10に嵌合する。
【0020】
前記ヘッドフレーム5には、前記ラインサーマルヘッド8を前記プラテンローラ2方向に押圧する押圧部材であるスプリング12,13と、このスプリング12,13による押圧点を給紙する用紙1の横幅サイズに応じて調整する押圧点調整リンク機構14とが取付けられている。これらの押圧点調整リンク機構14とスプリング12,13とは、ヘッドフレーム5とヘッドブラケット7との間に配置されている。
【0021】
前記押圧点調整リンク機構14は、ヘッドフレーム5における、用紙1を端面基準で給紙状態にセットする際にその用紙1が寄せられる一側端側に固定支点15aにより一端を回動自在に連結された第一リンク15と、この第一リンク15の他端に一端を可動支点16aにより回動自在に連結された第二リンク16と、この第二リンク16の他端に設けられたスライド支点17と、このスライド支点17をスライド自在に案内する用紙1の横幅方向に延出したガイド部であるガイド溝18と、スライド支点17をガイド溝18に沿ってスライドさせるように第一リンク15と第二リンク16とを回動させる操作摘み19とにより形成されている。前記ガイド溝18は前記ヘッドフレーム5に形成され、前記操作摘み19は前記スライド支点17の上部に取付けられてヘッドフレーム5の上面側に配置されている。前記押圧点調整リンク機構14は、前記第一リンク15と第二リンク16との連結部が支軸6側に向けて略“く”の字形に突出するように形成されており、前記操作摘み19を操作して前記スライド支点17を前記ガイド溝18に沿ってスライドさせることによりその屈曲角度が変化する。
【0022】
前記スプリング12,13は、それぞれ第一リンク15と第二リンク16との略中央部に固定されている。従って、前記操作摘み19を操作してスライド支点17をスライドさせたとき、その押圧点が支軸6に対して接離する方向へ、及び、固定支点15aに対して接離する方向へ移動する。
【0023】
前記ヘッドフレーム5の上面には、給紙する用紙1の横幅サイズを示す目盛20が前記ガイド溝18に沿って付けられている。従って、セットした用紙1の横幅サイズを示す目盛20の位置へ操作摘み19を操作することにより、スプリング12,13の押圧点がその用紙1に適した位置へ移動する。
【0024】
このような構成において、図3は、横幅サイズの大きい用紙1を給紙する場合における押圧点調整リンク機構14の状態とスプリング12,13の押圧点の位置とを示す。操作摘み19を目盛20の表示に従ってガイド溝18に沿ってスライドさせると、用紙1の横幅サイズが大きい場合には、第一リンク15と第二リンク16とはその連結部の屈曲角度が鈍角となるように回動し、スプリング12,13の押圧点の位置が固定支点15aから離れる方向へ移動する。これにより、スプリング12,13の押圧によりラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力は、用紙1の横幅方向のセンターに対して略対象となる位置に作用し、即ち、スプリング12,13の押圧力の合力は用紙1の横幅方向のセンターを中心とする位置に作用する。このため、ラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力が用紙1の横幅方向で均一になり、片当たりのない良好な印字を行える。
【0025】
また、第一リンク15と第二リンク16との連結部の屈曲角度が鈍角になることにより、スプリング12,13の位置が支軸6から離れ、支軸6からスプリング12,13までの寸法が“L1”となる。このため、てこの原理により、ラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力が大きくなり、横幅サイズの大きい用紙1に印字するときに必要な大きな押圧力を確保でき、この点からも良好な印字を行える。
【0026】
図4は、横幅サイズの小さい用紙1を給紙する場合における押圧点調整リンク機構14の状態とスプリング12,13による押圧点の位置とを示す。操作摘み19を目盛20の表示に従ってガイド溝18に沿ってスライドさせると、用紙1の横幅サイズが小さい場合には、第一リンク15と第二リンク16とはその連結部の屈曲角度が鋭角となるように回動し、スプリング12,13の押圧点の位置が固定支点15aに近づく方向へ移動する。これにより、スプリング12,13の押圧によりラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力は、用紙1の横幅方向のセンターに対して略対象となる位置に作用し、即ち、スプリング12,13の押圧力の合力は用紙1の横幅方向のセンターを中心とする位置に作用する。このため、ラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力が用紙1の横幅方向で均一になり、横幅サイズの小さい用紙1に印字する場合でも片当たりのない良好な印字を行える。
【0027】
また、第一リンク15と第二リンク16との連結部の屈曲角度が鋭角になることにより、スプリング12,13の位置が支軸6に近くなり、支軸6からスプリング12,13までの寸法が“L2”となる。このため、てこの原理により、ラインサーマルヘッド8から用紙1に作用する押圧力が小さくなり、横幅サイズの小さい用紙1に印字するときには押圧力を小さくできる。従って、横幅サイズの小さい用紙1に印字するときに押圧力が大き過ぎることによる弊害、例えば、その大きな押圧力がラインサーマルヘッド8における用紙1と接触している狭い範囲に集中し、ラインサーマルヘッド8やプラテンローラ2に局部的に大きな負荷が作用してその寿命が短くなるということを防止できる。
【0028】
なお、ガイド溝18に沿って目盛20が付けられているため、給紙する用紙1の横幅サイズを変えた場合にはその用紙1の横幅サイズの位置へ操作摘み19をスライドさせればよく、用紙1の横幅サイズに応じた位置へスプリング12,13を確実に、かつ、簡単に移動させることができる。
【0029】
本実施の形態では、操作摘み19をスライド支点17と同じ位置に設け、操作摘み19をガイド溝18に沿って用紙1の横幅方向へスライドさせる場合を例に挙げて説明したが、操作摘みの操作方向を変えてもよい。例えば、操作摘みを可動支点16aと同じ位置に設け、その操作摘みを用紙1の横幅方向と直交する方向へスライドさせるようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
【0032】
請求項記載の発明では、第一リンクと第二リンクとの連結部が支軸側に向けて略“く”の字形に突出する構造の押圧点調整リンク機構を設け、ラインサーマルヘッドを用紙方向に押圧する押圧部材を第一リンクと第二リンクとに取付けたので、この押圧点調整リンク機構を操作することにより、請求項2記載の発明で説明したように、用紙の横幅サイズが異なってもラインサーマルヘッドから用紙に作用する押圧力を用紙のセンターを中心とする位置に作用させることができ、かつ、用紙の横幅サイズが大小に応じてラインサーマルヘッドから用紙に作用する押圧力の大小を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるヘッドフレームを閉止位置に回動させた状態を示す斜視図である。
【図2】ヘッドフレームを開放位置へ回動させた状態を示す斜視図である。
【図3】給紙する用紙の横幅サイズが大きい場合における押圧点調整リンク機構とスプリングとの位置関係を示す説明図である。
【図4】給紙する用紙の横幅サイズが小さい場合における押圧点調整リンク機構とスプリングとの位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 用紙
2 プラテン
5 支持体
6 支軸
8 ラインサーマルヘッド
12,13 押圧部材
14 押圧点調整リンク機構
15 第一リンク
16 第二リンク
17 スライド支点
18 ガイド部
19 操作摘み

Claims (1)

  1. 支軸を支点として回動自在に支持されたラインサーマルヘッドと、前記支軸と平行に配置されて前記ラインサーマルヘッドに対向するプラテンと、前記ラインサーマルヘッドを前記プラテン方向に押圧する押圧部材とを有し、前記ラインサーマルヘッドと前記プラテンとの間に供給する用紙を前記ラインサーマルヘッドの一端側を基準としてセットするラインサーマルプリンタにおいて、前記ラインサーマルヘッドを挾んで前記プラテンと対向する支持体と、この支持体におけるセットされる用紙が寄せられる一側端側に一端を回動自在に連結した第一リンクと、この第一リンクの他端に一端を回動自在に連結してその連結部を前記支軸側に向けて略“く”の字形に突出させる第二リンクと、この第二リンクの他端に設けたスライド支点と、このスライド支点を前記用紙の横幅方向に沿ってスライド自在に案内するガイド部と、前記スライド支点を前記ガイド部に沿ってスライドさせるように前記第一リンクと前記第二リンクとを回動させる操作摘みとを有する押圧点調整リンク機構を設け、前記第一リンクと前記第二リンクとに前記押圧部材を取付けたことを特徴とするラインサーマルプリンタ。
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