JP3622605B2 - 住宅用分電盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭用の住宅用分電盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の分電盤としては、特開平6−153339号公報に記載されたものが知られている。この公報に記載された分電盤では、開閉器である主幹回路遮断器および複数の分岐回路遮断器を前面開口したボディに収納し、ボディの前面には主幹回路遮断器および分岐回路遮断器の操作部を露出させる窓孔を設けたカバーを取り付けてある。ただし、窓孔の周部はカバーと一体であって、主幹回路遮断器や分岐回路遮断器の位置や個数に応じて仕様の異なるカバーが用いられる。このように、主幹回路遮断器や分岐回路遮断器などの内器の仕様に応じて、異なる仕様のカバーを作製しなければならないから、カバーの製造や在庫のコストが増加するという問題を有している。
【0003】
これに対して、実開昭51−46031号公報に記載された分電盤では、図8に示すように、カバー20’において主幹回路遮断器や分岐回路遮断器に対応する部位に開口部22’を形成し、開口部22’にパネル23’を装着する構成により、内器の配置や個数の仕様に応じてパネル23’のみを変更すれば対応できるようにしてある。つまり、パネル23’には開口部22’の周縁に係止される爪45’が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された分電盤では、パネル23’に一体に設けた爪45’の弾性を利用しているから爪45’が折損するおそれがあり、パネル23’を十分な強度でカバー20’に取り付けることができない場合がある。また、分岐回路遮断器は複数個設けられるから、分岐回路遮断器の操作部をパネル23’に通す際に操作部がパネル23’に当たりやすく、分岐回路遮断器に対応するパネル23’に大きな力が作用して爪45’が折損したり、パネル23’が外れたりする場合がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、内器の仕様が異なっていてもパネルの交換のみでカバーを共用できるようにし、しかもパネルをカバーに対して強固に取り付けることができるようにした住宅用分電盤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、一面開口し複数の開閉器が納装されたボディと、ボディの開口側に結合され開閉器を配置している領域に対応した開口部が形成されたカバーと、開口部を左右方向に複数枚突き合わせて覆うとともに開閉器の操作部を前面側に露出させる窓孔を有したパネルとを備え、開口部の左右両端部には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で受け片が形成されるとともに開口部の上下方向周縁には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で開口部内に突出する係止突起を設け、少なくとも1枚のパネルの後面周部には係止突起の後面側に重複してパネルとの間で係止突起を挟む保持突起を設け、係止突起および保持突起は係止突起を設けた開口部の周縁に沿ってパネルを開口部の左右方向にスライドさせることにより係止突起と保持突起とが重複する位置と重複しない位置との間で移動可能となる形状に形成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開閉器が分岐回路遮断器であって複数列設され、分岐回路遮断器の操作部を露出させる窓孔を有したパネルに前記保持突起を設けているものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記開口部の定位置にパネルが位置するときに前記保持突起に当接してパネルの移動を規制する位置決め壁を前記係止突起に設けたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記開口部において前記パネル同士が突き合わされる部位の後面側に開口部の周縁間に跨る柱が形成されているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、図2および図3に示すように、開閉器である1つの主幹回路遮断器31と開閉器(分岐開閉器)である複数の分岐回路遮断器32とを箱体1の中に配置した分電盤であって、分岐回路遮断器32は複数設けられ上下2列で並設してある。箱体1は合成樹脂成形品であって、矩形枠状のボディ10と、ボディ10の前面側(図3における右下向き面側)に結合されるカバー20とで構成される。
【0012】
ボディ10は矩形枠状に形成された底板11の外周縁の全周に亘って周壁12が前方に突設された形状に形成され、底板11の中央部には矩形状に開口した開口窓13が形成される。底板11には左右2個ずつの支持台14a,14bが突設されている。
【0013】
ボディ10に形成した左右の支持台14a,14bには、主幹回路遮断器31や分岐回路遮断器32などの内器を取り付けるための架台40が架設される。架台40は全体としては矩形状の平面形状をなし、四隅にそれぞれ設けた支持片41が支持台14a,14bに載置されるとともに、支持台14a,14bに螺入される取付ねじ(図示せず)を用いてボディ10に固定される。本実施形態では、主幹回路遮断器31が遮断された状態でも火災報知器などへの電源を確保することができるように、主幹回路遮断器31の電源側から電源を得る自立電源系を設けてあり、自立電源系には分岐回路遮断器32とは別に内器としての自立回路遮断器33が挿入される。自立回路遮断器33は分岐回路遮断器32と同構成を有するものであり、架台40の左端部に取り付けられる。
【0014】
底板11における開口窓13の周縁は全周に亘って前方に突出する補強突条18を形成しており、補強突条18により開口窓13の周部が補強されている。つまり、比較的大面積である開口窓13を形成しながらも、補強突条18により剛性を保つことができる。さらに、底板11のうち開口窓13の上下の周縁には、左右方向に多数個の通し孔19が等ピッチで形成される。
【0015】
カバー20は後端部外周面がボディ10の周壁12の前端部外周面にほぼ一致する保持枠21を備え、保持枠21には矩形状の開口部22が形成される。カバー20の後面には開口部22を覆う形で複数枚(本実施形態では2枚)のパネル23a,23bが取り付けられる。パネル23a,23bはボディ10に収納される主幹回路遮断器31、分岐回路遮断器32、自立回路遮断器33の操作部であるハンドル31a,32a,33aを露出させる窓孔24を有している。本実施形態では、パネル23aを主幹回路遮断器31および自立回路遮断器33に対応させ、パネル23bを分岐回路遮断器32に対応させてある。分岐回路遮断器32は上下2列で1列6個ずつ並設されており、パネル23bの窓孔24は6個の分岐回路遮断器32のハンドル32aを一括して露出させるように形成されている。つまり、パネル23bには上下2個の窓孔24が形成される。
【0016】
また、カバー20は開口部22を覆う位置と開口部22を開放する位置との間で開閉自在となるように軸着された扉体25を備える。カバー20の周壁外側面には上部を残して段差部26が形成され、段差部26より前側は内側に落ち込んでいる。扉体25は開口部22を覆う位置においてカバー20の周壁外側面のうち段差部26よりも前側の部位に重複するように形成され、開口部22を覆う状態ではカバー20の外周面と扉体25の周壁外側面とがほぼ同一面上に位置する。また、扉体25が閉じた状態で簡単に開かないように、扉体25において軸部から遠い一端部の内側面にはロック突起27が突設され、カバー20の下端部にはロック突起27を受けるキャッチ28が設けられている。この種のキャッチ28は周知の機構であって、ロック突起27が挿入されるとロック突起27が抜けないようにロックし、ロック突起27をキャッチ28を押し込んで離すとロック突起27のロック状態が解除されるように構成されている。
【0017】
ところで、図1および図2に示すように、開口部22における上下両縁には左右方向において所定間隔で平板状の係止突起51が開口部22の内側に向かって突設されている。また、開口部22の左右両端部には端部の係止突起51に連続する形で受け片52が形成されている。さらに、パネル23a,23bの突き合わせ部位に対応して開口部22の上下両端縁間に跨る柱53を形成してある。係止突起51、受け片52、柱53の前面は同一平面であって、開口部22の周縁に対してパネル22の厚み分だけ後退した位置となるように形成されている。
【0018】
一方、パネル23bの周部後面には係止突起51に重複してパネル23bとの間で係止突起51を挟む保持突起54が上下2個ずつ形成されている。保持突起54はパネル23bの後面から突出する部分と、その部分の先端からパネル23bの外向きに突出する部分とを有するL字状に形成され、パネル23bの後面との間に係止突起51の前後方向の厚み程度の幅を有した溝を形成している。この溝内に係止突起51が挿入された状態では、パネル23bの前後の移動が禁止されてパネル23bがカバー20に保持される。このときパネル23bの後面は受け片52と柱53にも当接することになる。
【0019】
保持突起54は係止突起51に対して左右方向においては相対的にスライド可能であり、係止突起51は左右方向において保持突起54の左右幅以上の間隔で配列されている。したがって、保持突起54が係止突起51と前後に重複しない位置までパネル23bをスライドさせれば、パネル23bをカバー20から前方に取り外すことが可能になる。
【0020】
すなわち、開口部22にパネル23bを装着するには、図4および図5に示すように、保持突起54が係止突起51に重複しない位置でパネル23bを受け片52と柱53とに載せ、その後、パネル23bを正面から見て右向きにスライドさせれば、図6および図7に示すように、保持突起54が係止突起51に重複する状態となり、パネル23bがカバー20に取着される。パネル23bをカバー20に取り付ける際にパネル23bがカバー20に対して所定位置まで移動すれば、パネル23bの一端縁が開口部22の周縁に当接することによってパネル23bの移動は規制されるが、パネル23bの厚みは小さいから、場合によってはパネル23bが開口部22の周縁に乗り上げる可能性もある。そこで、図1に示すように、係止突起51の後面側には突起状の位置決め壁55が形成され、パネル23bがカバー20に対して所定位置まで移動すると、保持突起54が位置決め壁55に当接してパネル23bの移動が規制されるようになっている。
【0021】
ところで、主幹回路遮断器31に対応するパネル23aは周部後面に係止爪56を備える。係止爪56は係止突起51と受け片52とに引掛係止され、パネル23aをカバー20に取り付ける。ここで、パネル23aの後方への移動は係止突起51と受け片52と柱53とによって阻止され、前方への移動は係止爪56によって規制される。
【0022】
しかして、上述したように分岐回路遮断器32に対応するパネル23bをカバー20に対してスライドさせることによってカバー20に取り付け、その後、主幹回路遮断器31に対応するパネル23aをカバー20の前面から押しつけることによって取り付けると、図2に示すように、両パネル23a,23bによってカバー20の開口部22を覆うことができる。このとき、両パネル23a,23bの突き合わせ部分の後ろには柱53が設けられているから、両パネル23a,23bの突き合わせ部分の隙間が目立たない。また、上述したように、係止突起51、受け片52、柱53の前面は開口部22の周囲に対してパネル23a,23bの厚み分だけ後退しているから、パネル23a,23bをカバー20に装着した状態では、パネル23a,23bの前面と開口部22の周囲とはほぼ凹凸なく連続し、見映えのよい外観を呈することになる。
【0023】
なお、上述の実施形態では2枚のパネル23a,23bによってカバー20の開口部22を覆っているが、3枚以上のパネルを設けてもよい。その場合に、主幹回路遮断器31に対応するパネルのみ係止爪56により引掛係止する構成とし、分岐回路遮断器32に対応する他のパネルはスライドさせる構成とする。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明は、一面開口し複数の開閉器が納装されたボディと、ボディの開口側に結合され開閉器を配置している領域に対応した開口部が形成されたカバーと、開口部を左右方向に複数枚突き合わせて覆うとともに開閉器の操作部を前面側に露出させる窓孔を有したパネルとを備え、開口部の左右両端部には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で受け片が形成されるとともに開口部の上下方向周縁には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で開口部内に突出する係止突起を設け、少なくとも1枚のパネルの後面周部には係止突起の後面側に重複してパネルとの間で係止突起を挟む保持突起を設け、係止突起および保持突起は係止突起を設けた開口部の周縁に沿ってパネルを開口部の左右方向にスライドさせることにより係止突起と保持突起とが重複する位置と重複しない位置との間で移動可能となる形状に形成されているものであり、カバーに形成した開口窓にパネルを装着し、パネルに設けた窓孔を通して開閉器の操作部を露出させる構成としているから、内器である開閉器の配置や個数が異なる場合でもパネルの交換のみで対応することができる。パネルはカバーに比較すると低コストであるから、製造および在庫に要する費用を低減することができる。また、パネルをスライドさせることによってカバーにパネルを取り付けることができるから、パネルの弾性を利用してパネルをカバーに取り付ける従来構成に比較すると、パネルが破損する可能性が少なくなり、しかもカバーに対するパネルの取付強度も大きくすることができる。しかも、カバーに形成された開口部の左右両端部には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で受け片が形成され、係止突起の前面は開口部の周囲に対してパネルの厚み寸法だけ後退しているものであり、パネルをカバーに取り付けたときにパネルの前面と開口部の周囲の前面とが面一になるから、カバーの表面に凹凸が形成されず、見映えのよい外観を呈する。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、開閉器が分岐回路遮断器であって複数列設され、分岐回路遮断器の操作部を露出させる窓孔を有したパネルに保持突起を設けているものであり、分岐回路遮断器は箱体に複数設けられるから、組立時において分岐回路遮断器の操作部がパネルに当たってパネルに大きな力が作用しやすいが、パネルをスライドさせる方向と分岐回路遮断器からパネルに作用する力の方向とが直交するから、パネルが外れる可能性が少ないという効果がある。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、開口部の定位置にパネルが位置するときに保持突起に当接してパネルの移動を規制する位置決め壁を係止突起に設けたものであり、パネルをカバーに装着する際に、保持突起が位置決め壁に当接することによってパネルのカバーに対する移動が規制されるから、パネルをカバーに対して所定位置に正確に位置決めすることができる。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、開口部においてパネル同士が突き合わされる部位の後面側に開口部の周縁間に跨る柱が形成されているものであり、パネル同士の突き合わせ部分の後ろに柱を設けていることによって、突き合わせ部に隙間があっても目立たず、見映えのよい外観を呈する。また、柱をパネルの後面に当接するように設ければ、パネルの前面に外力が作用してもパネルが撓みにくくなり、パネルを薄型化して材料コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で用いるカバーの横断面図である。
【図2】同上の外観を示す正面図である。
【図3】同上の外観を示す分解斜視図である。
【図4】同上のパネル取付前のカバーの正面図である。
【図5】同上のパネル取付前のカバーの背面図である。
【図6】同上のパネル取付後のカバーの正面図である。
【図7】同上のパネル取付後のカバーの背面図である。
【図8】従来例を示し、(a)はカバーの正面図、(b)はパネルの正面図、(c)はパネルの断面図である。
【符号の説明】
10 ボディ
20 カバー
22 開口部
23a パネル
23b パネル
24 窓孔
31 主幹回路遮断器
31a ハンドル
32 分岐回路遮断器
32a ハンドル
33 自立回路遮断器
33a ハンドル
51 係止突起
53 柱
54 保持突起
55 位置決め壁
Claims (4)
- 一面開口し複数の開閉器が納装されたボディと、ボディの開口側に結合され開閉器を配置している領域に対応した開口部が形成されたカバーと、開口部を左右方向に複数枚突き合わせて覆うとともに開閉器の操作部を前面側に露出させる窓孔を有したパネルとを備え、開口部の左右両端部には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で受け片が形成されるとともに開口部の上下方向周縁には前面がパネルの厚み分だけ後退した位置で開口部内に突出する係止突起を設け、少なくとも1枚のパネルの後面周部には係止突起の後面側に重複してパネルとの間で係止突起を挟む保持突起を設け、係止突起および保持突起は係止突起を設けた開口部の周縁に沿ってパネルを開口部の左右方向にスライドさせることにより係止突起と保持突起とが重複する位置と重複しない位置との間で移動可能となる形状に形成されて成ることを特徴とする住宅用分電盤。
- 前記開閉器が分岐開閉器であって複数列設され、分岐開閉器の操作部を露出させる窓孔を有したパネルに前記保持突起を設けていることを特徴とする請求項1記載の住宅用分電盤。
- 前記開口部の定位置にパネルが位置するときに前記保持突起に当接してパネルの移動を規制する位置決め壁を前記係止突起に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の住宅用分電盤。
- 前記開口部において前記パネル同士が突き合わされる部位の後面側には開口部の周縁間に跨る柱が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の住宅用分電盤。
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