JP3619020B2 - 新規フッ素化剤及びその製法と使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフッ素化剤及びその製造方法と使用に関する。
【0002】
【先行技術】
フッ素化反応で従来から使用されているフッ素化剤として、フッ素、フッ化水素、四フッ化硫黄等があるが、これら従来のフッ素化剤は、毒性、腐食性、反応時における爆発危険性等のために取扱が難しく、そのために特殊な装置や技術が必要である。また、反応において、必要とするフッ素結合の選択性が良くないこと等の問題がある。一方、フッ素化合物を利用した新製品の開発は、機能材料や生理活性物質をはじめ、様々の分野で行われており、これに合わせて近年各種のフッ素化剤が開発されつつある。
【0003】
例えば、水酸基及びカルボキシル基等の酸素含有官能基のフッ素化剤として今日開発されている代表的なものとして、米国特許NO.3,976,691号公報に記載されているDAST(ジエチルアミノサルファートリフルオリド)がある。DASTは、アルコール性水酸基やカルボニル基酸素の優れたフッ素化剤として紹介されているが、そのDASTの製造方法は−78℃から−60℃という低温で、危険性の高い四フッ化硫黄とジエチルアミノトリメチルシランを反応させて製造しており、特殊な製造設備が必要である。また安全性においては、DASTの製造と使用において爆発があったという報告がある。〔J.Fluorine Chem.,42 137(1989)〕。
【0004】
また、WO96/04297号公報にテトラアルキル−フルオロホルムアミジニウム=ヘキサフルオロホスフェートが、カルボキシル基の優れたフッ素化剤として記載されている。この物質の製造方法は、対応するテトラアルキル−クロロホルムアミジニウム=クロリドとポタシウムヘキサフルオロホスフェートを反応させてテトラアルキル−クロロホルムアミジニウム=ヘキサフルオロホスフェートを合成し、これとフッ化カリウムを反応させてテトラアルキル−フルオロホルムアミジニウム−ヘキサフルオロホスフェートを得ている。ポタシウムヘキサフルオロホスフェートを必要とする分、原料費と製造工程が増えて非経済的となっている。
【0005】
また、カルボキシル基のフッ素化試剤としては優れていると記載されているものの、水酸基からフッ素への置換反応については記載が無い。そこで、本発明者等は、WO96/04297に記載されている製造法に従って合成した1,3−ジメチル−2−フルオロイミダゾリニウム=ヘキサフルオロホスフェートを使用して、ベンジルアルコール及び、n−オクタノールそれぞれの水酸基のフッ素への置換反応を行ったがいずれも目的物の生成は認められなかった。
このように、酸素含有官能基のフッ素化剤としては、その製造方法、反応の選択性及び収率、経済性などからみて、いまだ工業的に使用可能なフッ素化剤の開発は充分になされているとは言いがたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の先行技術の問題点を解消して、技術的かつ経済的に一段と改善された工業的方法で製造可能であり、かつ反応性、経済性に優れた有機化合物のフッ素化剤、及びその製造方法、ならびにこれらを用いて各種有機化合物をフッ素化した化合物の製造方法を提供することである。
本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、一般式(1):
【化31】
(式中、R1 〜R4 は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表される化合物が、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基またはケトン基等の酸素含有官能基の選択的な、新規フッ素化剤として優れていること、更にフッ素化反応における使用が、なんら特殊な装置や技術を必要とすることなく、極めて安全、かつ容易に行えることを見出した。
【0007】
更には、一般式(1)で表される化合物は、一般式(14)
【化32】
(式中、X2 およびX3 は、塩素又は臭素原子を示し、同一でも異なってもよく、R1 〜R4 は同一または異なって、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリール基を表し、また、R1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表される化合物から、ハロゲン交換反応により得ることができるので、なんら特殊な装置や技術を必要とすることなく、安全に、工業的に製造可能であることを見出した。
また、一般式(1)で表されるフッ素化剤はフッ素化反応後には一般式(14)の製造原料であるウレアとして回収、再利用できるために経済的であることも見出した。
【0008】
即ち、本発明は以下の(1)から(20)に示す通りである。
(1)一般式(1):
【化33】
(式中、R1 〜R4 は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表されるフッ素化剤、
【0009】
(2)一般式(1)で表されるフッ素化剤が、一般式(2):
【化34】
(式中、aは2または3の整数、R5 およびR6 は炭素数1〜6の置換又は無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。)で表される前記(1)のフッ素化剤、
【0010】
(3)一般式(2)で表されるフッ素化剤が、式(3):
【化35】
で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンである前記(2)記載のフッ素化剤、
【0011】
(4)一般式(2)で表されるフッ素化剤が、式(4):
【化36】
で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジブチルイミダゾリジンである前記(2)記載のフッ素化剤、
【0012】
(5)一般式(1)で表されるフッ素化剤が、一般式(5):
【化37】
(式中、R7 〜R10が炭素数1〜6の置換または無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。また、R7 とR8 ,R9 とR10が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R7 とR9 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表される前記(1)記載のフッ素化剤、
【0013】
(6)一般式(5)で表されるフッ素化剤が、式(6):
【化38】
で表されるビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタンである前記(5)記載のフッ素化剤、
【0014】
(7)一般式(5)で表されるフッ素化剤が、式(7):
【化39】
で表されるビス−ジ−n−ブチルアミノ−ジフルオロメタンである前記(5)記載のフッ素化剤、
【0015】
(8)一般式(8):
【化40】
(式中、R11は置換または無置換のアルキル基を示す。またアルキル基の中に不飽和基を含んでいてもよい。)で表されるアルコ−ル性水酸基を有する化合物と一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(8−1):
【化41】
(式中、R11は一般式(8)の場合と同じである。)で表されるフッ素化合物の製造方法、
【0016】
(9)一般式(9)
【化42】
(式中、Qは酸素または硫黄原子を表し、cは1〜5の整数であり、Y1 は電子吸引性の置換基を表し、bは1〜5の整数であり、b+c≦6である。)で表されるフェノ−ル類またはチオフェノ−ル類化合物と一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(9−1):
【化43】
(式中、Y1 、bおよびcは一般式(9)の場合と同じである)で表されるフェノ−ル類フッ素化合物の製造方法、
【0017】
(10)一般式(10)
【化44】
(式中、R12は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を有する化合物と一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(10−1):
【化45】
(式中、R12は一般式(10)の場合と同じである)で表されるフッ素化合物の製造方法、
【0018】
(11)一般式(11)
【化46】
(式中、R13およびR14は同一または異なって、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。またアルキル基の中に不飽和基を含んでいてもよく、R13とR14が結合して環を構成していてもよい。)で表されるケトン基を有する化合物と一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(11−1):
【化47】
(式中、R13およびR14は、前記一般式(11−1)の場合と同じである)で表されるフッ素化合物の製造方法、
【0019】
(12)一般式(12)
【化48】
(式中、R15は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(12−1):
【化49】
(式中、R15は一般式(12)の場合と同じである)で表される酸フルオリド類の製造方法、
【0020】
(13)一般式(13)
【化50】
(式中、X1 はフッ素以外のハロゲン原子を表し、dは1〜5の整数であり、またY1 は電子吸引性の置換基を表し、bは1〜5の整数であり、b+d≦6である。)で表されるフッ素以外のハロゲン原子を有する芳香族化合物と一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(13−1):
【化51】
(式中、Y1 、bおよびdは、一般式(13)の場合と同じである)で表されるフッ素化合物の製造方法、
【0021】
(14)一般式(24):
【化52】
(式中、R15〜R17は、水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、互いに同一でも、異なっていてもよい。また、Xは
【化53】
を示す。これらの基中、Yは、−CH2 −基を示し、nは0または1〜5の整数である)で表されるオレフィン類と一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(25)
【化54】
(式中、R15〜R17は、水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、互いに同一でも、異なっていてもよい。また、Zは
【化55】
これらの基中、Yは、−CH2 −基を示し、nは0または1〜5の整数である)で表されるフッ素含有オレフィン類の製造方法。
【0022】
(15)フッ素化剤が、前記一般式(2)で表されるフッ素化剤である前記8〜14記載の方法、
【0023】
(16)一般式(2)
【化56】
(式中、aは2または3の整数、R5 およびR6 は炭素数1〜6の置換又は無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、
【0024】
(17)一般式(2)が、式(3):
【化57】
の2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンである化合物、
【0025】
(18)一般式(2)が式(4)
【化58】
の2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリジンである化合物、
【0026】
(19)一般式(5)が、式(7):
【化59】
のビス−ジ−n−ブチルアミノ−ジフルオロメタンである化合物、
【0027】
(20)一般式(14)
【化60】
(式中、X2 およびX3 は、塩素又は臭素原子を示し、R1 〜R4 は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表される化合物とフッ素原子のアルカリ金属塩を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行わせることを特徴とする前記(1)の一般式(1)で表されるフッ素化剤の製造方法、
【0028】
(21)一般式(14)の化合物に対して半等量のフッ化ナトリウムを反応させた後、濾過分別して、次にフッ化カリウムと反応させることを特徴とする前記(20)のフッ素化剤の製造方法、
【0029】
(22)一般式(1)で表されるフッ素化剤が、一般式(2):
【化61】
(式中、aは2または3の整数、R5 およびR6 は炭素数1〜6の置換又は無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。)である前記(20)のフッ素化剤の製造方法。
【0030】
(23)一般式(1)で表されるフッ素化剤が、一般式(5):
【化62】
(式中、R7 〜R10が炭素数1〜6の置換または無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり同一でも異なっていてもよい。また、R7 とR8 ,R9 とR10が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R7 とR9 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)である前記20のフッ素化剤の製造方法。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素化剤は、前記の一般式(1)
【化63】
(式中、R1 〜R4 は前記の通りである。)で表される化合物である。
これらの一般式において、R1 〜R4 は同一又は異なって、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表し、またR1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子を含む環、または窒素原子とその他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子を含む環、または窒素原子とその他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基は直鎖状または分岐状であってもよい。すなわち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ブテニル基、n−ヘキシル基、フェニル基等であり、同一でも異なっていてもよい。
又、R1 とR2 、R3 とR4 がそれぞれ結合して、窒素原子を含む炭素数3〜5のヘテロ環を構成していてもよい。このような環の例としては、ピロリジン環、ピぺリジン環が挙げられる。
更には、R1 とR3 が結合して、2個の窒素原子を含んでなるヘテロ5員環または6員環を構成してもよい。このような環の例としては、イミダソリジン環、イミダソリジノン環、ピリミジン環、ピリミジノン環が挙げられる。
【0032】
一般式(1)で表されるフッ素化剤としての化合物は、好ましい具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はここに示した例に制限されるものではない。
(1)化合物の例
ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジエチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−プロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジイソプロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−アリルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ブチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ヘキシルアミノ−ジフルオロメタン、ビス(1−ピロリジル)−ジフルオロメタン、ビス(1−ピペリジル)ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジエチル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−プロピル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジイソプロピル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジアリル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチル−イミダゾリジン、ビス(N−メチル−N−フェニル)ジフルオロメタン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン−4,5−ジオン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチル−イミダゾリジン−4,5−ジオン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルピリミジン等が挙げられる。
とくに好ましくは、一般式(3)で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン、一般式(4)で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリジン、一般式(6)で表されるビス−ジメチルアミノジフルオロメタンおよび一般式(7)で表されるビス−ジ−n−ブチルアミノジフルオロメタンである。
【0033】
本発明の一般式(1)で表されるフッ素化剤は、次の方法で製造できる。
すなわち、一般式(14)
【化64】
(式中、X2 及びX3 は塩素又は臭素原子を示し、同一でも異なっていてもよく、式中、R1 〜R4 は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表し、同一でも異なっていてもよい。またR1 とR2 ,R3 とR4 が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。または、R1 とR3 が結合して、窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を構成してもよい。)で表される化合物とフッ素のアルカリ金属塩を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行わせることによって安全に、かつ容易に得ることができる。
【0034】
フッ素のアルカリ金属塩として、フッ化セシウム、フッ化ルビジウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等が使用可能であり、好ましくは経済的、反応効率的にも有利なフッ素化反応用のスプレードライ品のフッ化カリウムが良い。
一般式(14)で表される化合物は、通常、X2 及びX3 が塩素原子である化合物を使用するが、臭素原子である化合物を使用してもよい。
具体的には、テトラアルキルクロルホルムアミジニウム=クロリド、2−クロル−1,3−ジアルキルアミジニウム=クロリド、テトラアルキルブロムホルムアミジニウム=ブロミド、2−ブロム−1,3−ジアルキルアミジニウム=ブロミド等である。
【0035】
一般式(1)で表される化合物を製造する原料として用いられる一般式(14)で表される化合物は、例えば、テトラアルキル尿素、テトラアルキルチオ尿素、N,N’−ジアルキルイミダゾリジノン、N,N’−ジアルキルイミダゾリチノン等をホスゲンまたは、チオニルクロライド、チオニルブロマイド、三塩化燐、三臭化燐等のハロゲン化剤でハロゲン化することによって製造することができる。
例えば、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの製造は、特開昭59−25375号公報に記載されている方法で容易に製造することができる。例えば、1,3−ジメチルイミダゾリジノンにオキザリルクロライドを四塩化炭素等の溶媒に溶かした溶液を滴下して室温〜60℃で数時間〜数十時間反応させる。
【0036】
本発明の一般式(1)で表されるフッ素化剤の製造において、ハロゲン交換反応で使用するフッ素のアルカリ金属塩の使用量は、テトラアルキル−ハロホルムアミジニウム=ハライドに対して、好ましくは2当量以上、更に好ましくは2〜5当量である。2当量未満では未交換のハライドが残存し、5当量を超えて用いても反応成績は大きくは向上しない。
ハロゲン交換反応の反応溶媒は、テトラアルキル−ハロホルムアミジニウム=ハライド、及び生成する化合物と反応しない溶媒であれば特に制限はない、好ましくはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド等である。
反応溶媒量は特に限定されるものではないが、反応効率及び操作性から、好ましくは反応基質に対して1から10重量倍である。反応温度は反応速度と生成物の安定性の面から、好ましくは−20℃〜150℃、特に好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
【0037】
本発明のフッ素化剤の製造におけるハロゲン交換反応は、四級アルキルアンモニウム塩や四級アルキルホスホニウム塩等の相間移動触媒を共存させて行うことも可能である。得られた一般式(1)で表されるフッ素化剤はハロゲン交換反応液のまま次のフッ素化反応に使用することもできるし、あるいは無機塩を濾別して反応溶媒を留去した後、次のフッ素化反応に使用することもできるし、または蒸留によって単離して使用することもできる。
本発明のフッ素化剤を使用するフッ素化反応は、極めて容易であり、通常の反応装置を使用して行うことができる。例えば、カルボン酸基のフッ素化反応を行う場合は、ハロゲン交換反応終了後の反応液にカルボン酸類を装入して、室温で数時間反応させると、高収率で対応するカルボン酸フルオライドを得ることができる。また、アルコール類のフッ素化反応のフッ素化剤として使用する場合は、ハロゲン交換終了後の反応マスにアルコール類を直接装入して数時間反応させると高収率で対応するフルオライドを得ることができる。
【0038】
以下、本発明のフッ素化剤を用いるフッ素化反応を詳しく説明する。
(1)従来、アルコール性水酸基のフッ素基への直接的な変換は、モノフルオロ化合物の合成法の中でも汎用性の高い魅力ある方法である。この変換反応に有効なフッ素化試剤としては、酸性反応剤であるフッ化水素やピリジン−(HF)n、フルオロアルキルアミンのYarovenko試薬やジエチルアミン−ヘキサフルオロプロペン付加物(以下、PPDAと略記する)、4価硫黄化合物のSF4 や三フッ化ジエチルアミノ硫黄(以下、DASTと略記する)および5価リン化合物のPhPF4 が挙げられる。
フッ化水素は、先にも述べたように、毒性、腐食性、反応時における爆発危険性等のために取り扱いが難しいこと、特殊な装置や技術が必要であること等の欠点がある。ピリジン−(HF)nのフッ素化力はフッ化水素自身よりも優れているが、他のフッ素化試剤と比較してそれほど高くない。
フルオロアルキルアミンのYarovenko試薬は、クロロトリフルオロエテンにジエチルアミンを付加して得られるフッ素化試剤であり、多くの第一級および第二級アルコールを溶媒中温和な条件下でフッ素化するが、それ自身の安定性が低い(密閉し冷暗所で数日間の保存が可能)〔J.Gen.Che.USSR,19,2125(1959)〕。
【0039】
これより安定で取り扱いやすく同等の反応性を有するものとしてPPDAが多用されている。
最近では、フルオロアミン系の新しいタイプのフッ素化試剤としてN,N−ジイソプロピル−α−フルオロエナミンが報告されている。〔Tetrahedron Lett.,30,3077(1989)〕。これらの試薬はアルコール性水酸基のフッ素化試剤として有用であるが、その合成の煩雑さと経済性の面から工業的に実施するのは困難である。
その他DAST等はアルコール性水酸基のフッ素基への置換においても、前記と同様の問題点がある。
本発明のフッ素化剤は安全で取り扱い容易であり、フッ素化反応において、高選択性でフッ素化物が得られる。
本発明のフッ素化剤を使用すると、従来のフッ素化剤の問題点を解消したアルコール性水酸基のフッ素化反応を行うことができる。
【0040】
本発明のフッ素化剤を用いて、アルコール性水酸基を有する化合物からフッ素化合物の製造は次の通りである。
すなわち、一般式(8):
【化65】
(式中、R11は前記の通りである。)で表されるアルコ−ル性水酸基を有する化合物を、本発明のフッ素化剤と反応させて一般式(8−1):
【化66】
(式中、R11は前記の通りである。)で表されるフッ素化合物を製造する。
【0041】
フッ素化される水酸基を有するアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、ネオアミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、プロパギルアルコール等の第一級アルコール;およびイソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−メチルヘキシルアルコール、1−エチルペンチルアルコール、1−メチルヘプチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、sec−フェネチルアルコール等の第二級アルコール;およびtert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール等の第三級アルコール等のアルコールが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0042】
これらの一般式(8)で表されるアルコール類から、それぞれ対応する一般式(8−1)で表されるフッ素化合物であるアルキルフルオリド類を得ることができる。
フッ素化剤の使用量はアルコールの水酸基に対して通常1当量以上あればよい。反応で発生するフッ化水素は三級アミン等の塩基を使用して捕捉することができる。
反応溶媒は、フッ素化剤及び、アルコールがフッ素化されて生成するフッ素化合物が反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応温度は、反応溶媒およびアルコール類の水酸基の反応性によって左右されるが、反応速度とテトラアルキル−フルオロホルムアミジウム=フルオリドの安定性の面から、通常、好ましくは−40℃〜150℃、特に好ましくは−20℃〜80℃の範囲である。
ただし、生成するフッ素化合物が低沸点であったり、また、脱フッ化水素を起こしやすい構造を有している場合は、できるだけ反応温度を抑える必要がある。反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。
【0043】
(2)フェノール性水酸基のフッ素基への変換反応には、従来から知られているフッ化水素、ピリジン−(HF)n、フルオロアルキルアミンのYarovenko試薬、PPDA、4価硫黄化合物のSF4 、DASTまたは5価リン化合物のPhPF4 等のフッ素化剤が適用可能であろうと考えられる。しかしながら、これらのフッ素化剤をこの変換反応に用いられた例は見当たらず、また、これらのフッ素化剤を用いたとしても、前記の問題点はこの反応でも同様である。
本発明のフッ素化剤は、フェノール性水酸基のフッ素化反応に好適に用いることができる。また、チオフェノ−ルのフッ素化反応も可能である。しかし、この反応では、スルフィド又はジスルフィド化合物の副生を伴う傾向がある。
また、このフェノール性水酸基のフッ素化反応により、芳香環に位置選択的にフッ素原子を導入し芳香族フッ素化合物を製造できる。その反応方法は次のようである。
【0044】
すなわち、一般式(9):
【化67】
(式中、Q、Y1 、bおよびcは前記の通りである。)で表されるフェノ−ル類またはチオフェノ−ル類化合物を、本発明のフッ素化剤と反応させて、一般式(9−1):
【化68】
(式中、Y1 、bおよびcは一般式(9)の場合と同じである)で表されるフェノ−ル類フッ素化合物を製造する。
【0045】
フッ素化されるフェノール性化合物としては、同芳香環に少なくとも1個以上の吸電子性置換基(例えば、−NO2 ,−CN,−CF3 ,−CHO,−COOH,−CO−等)を有するものである。好ましい例としては、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−シアノフェノール、、p−シアノフェノール、p−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシ−トリフルオロメチルベンゼン、o−ヒドロキシ−トリフルオロメチルベンゼン、4,4’−ジ−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、p−ヒドロキシ−安息香酸、o−ニトロチオフェノ−ル、p−ニトロチオフェノ−ル等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
これらの一般式(9)で表されるフェノール類またはチオフェノール類から対応する一般式(9−1)で表されるフッ素化合物が得られる。
【0046】
フッ素化剤の使用量は、フェノールの水酸基に対して通常1当量以上あればよい。反応で発生するフッ化水素は、三級アミン等の塩基を使用して捕捉することができる。
反応溶媒は、フッ素化剤及び、フェノールがフッ素化されて生成するフッ素化合物が反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応温度は、反応溶媒およびフェノール類の水酸基の反応性によって左右されるが、反応速度とテトラアルキル−フルオロホルムアミジウム=フルオリドの安定性の面から、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜110℃の範囲である。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。
【0047】
(3)ホルミル基の酸素のフッ素基への直接的な変換もまた、フッ素化合物の合成法の中で有用な方法である。
前記公知フッ素化剤の中、ホルミル基やケトンのカルボニル基の直接のフッ素化反応についてはSF4 及びDASTが用いられている例がある。しかしながら、これらのフッ素化剤は前述したような理由から、その使用に制限が大きいために十分であるとは言い難い。
本発明のフッ素化剤によりケトン類のフッ素化が、効果的に達成できる。その方法は以下の通りである。
【0048】
すなわち、一般式(10):
【化69】
(式中、R12は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリ−ル基を表す。)で表されるアルデヒド基を有する化合物と本発明のフッ素化剤を反応させて一般式(10−1):
【化70】
(式中、R12は一般式(10)の場合と同じである)で表されるフッ素化合物を製造する。
このように、本発明のフッ素化剤を使用して、ホルミル基の酸素の直接的フッ素化が効果的に達成できる。
【0049】
ホルミル基がフッ素化される化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプトアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、フタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等の脂環式アルデヒド;1−ナフトアルデヒド、ニコチンアルデヒド、フルフラール等の複素環式アルデヒド等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
これらのアルデヒド類に対応する一般式(10−1)で表されるフッ素化合物が得られる。
【0050】
フッ素化剤の使用量はホルミル基に対して1当量以上が好ましい。
反応溶媒は、フッ素化剤及び、ホルミル基を有する化合物および反応生成物と反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応温度は、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20℃〜110℃の範囲である。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができ、またビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンは反応終了後には、テトラアルキルウレアとして回収可能である。
【0051】
(4)ケトンの酸素のフッ素への直接的な変換は、その方法が効果的なものであれば、フッ素化合物の製造の中でも有用な方法である。
すなわち、一般式(11):
【化71】
(式中、R13およびR14は前記の通りである。)で表されるケトン基を有する化合物を本発明のフッ素化剤と反応させて一般式(11−1):
【化72】
(式中、R13およびR14は、前記一般式(11−1)の場合と同じである)で表で表されるフッ素化合物を得ることができる。
【0052】
フッ素化反応に用いられるケトン類としては、分子中にケトンを有する化合物であればよい。例えば、アリールケトン類、アルキルケトン類等である。しかし、これらに限定されるものではない。
フッ素化剤としてのビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンの使用量は、ケトンに対して1当量以上あればよい。
反応溶媒は、フッ素化剤及びケトン類、及び反応生成物と反応しない溶媒であれば特に制限はない。好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。 反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができ、また使用したフッ素化剤は反応終了後には、対応するウレアとして回収可能である。
【0053】
(5)ケトン類化合物であるベンゾフェノンのフッ素化反応で製造されるフッ素置換ベンゾフェノンは、耐熱性、電気絶縁性、擢動性、耐薬品性等に優れるスーパーエンジニアリングプスチックであるポリエーテルエーテルケトンを始めとするポリエーテルケトン類の原料として一般的に使用される。また、難燃剤、鎮痛剤、血小板凝結防止剤、血栓症防止剤又はその中間体としても使用され、農医薬として有用な化合物である。
本発明のフッ素化剤を用いることにより、下記式(15):
【化73】
(式中、mおよびnは、0または1〜5の整数であり、ともに0ではない。)で表されるハイドロキシベンゾフェノンのハイドロオキシ基を直接フッ素化して下記式(16):
【化74】
(式中、mおよびnは、前記の通りである)で表されるフッ素置換ベンゾフェノンが得られる。
【0054】
この方法で用いるハイドロオキシ基置換ベンゾフェノンは、2−ハイドロオキシベンゾフェノン、4−ハイドロオキシベンゾフェノン、及びフェニル基が2−ハイドロオキシフェニル基、4−ハイドロオキシフェニル基、2,4−ジハイドロオキシフェニル基、2,6−ジハイドロオキシフェニル基、2,4,6−トリハイドロオキシフェニル基の内から任意の2つのフェニル基を選んだベンゾフェノンである。
【0055】
フッ素化剤の使用量は、ハイドロオキシ基に対して好ましくは1当量以上でよい。但し、反応効率を考えると1〜10当量が望ましい。1当量未満では未反応のハイドロオキシ基が残存する。
反応溶媒は、フッ素化剤及びハイドロオキシ基置換ベンゾフェノン化合物、及び反応生成物であるフッ素置換ベンゾフェノン化合物と反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。反応温度は、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20℃〜110℃の範囲である。0℃未満の温度では、反応速度が遅くなり、又操作が煩雑となる。150℃を超えるとフッ素化剤の安定性が下がり、又ケトン基がジフルオロ化した副生成物が生じやすくなる。しかし、ビス−フッ素置換フェニル−ジフルオロメタンは加水分解により容易にフッ素置換ベンゾフェノンへ戻すことができる。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留や抽出操作等により反応混合物から容易に取り出すことが出来、又、使用したフッ素化剤は反応終了後には、対応するウレアとして回収可能である。
【0056】
(6)従来、カルボン酸からカルボン酸フルオリドへの変換反応に用いられるフッ素化試剤としては、4価硫黄化合物であるSF4 や三フッ化ジエチルアミノ硫黄(以下、DASTと略記する)が用いられていた。
SF4 は、カルボキシ基を直接トリフルオロメチル基にまで変換できるが、この変換反応は加圧下高温を要すること、最適条件の選択が微妙であること、収率が必ずしも高くないこと等の欠点がある〔Org.React.,21,1(1974)〕。また、SF4 自身毒性、腐食性を有しており、反応時における爆発の危険性等の問題点もある。さらにDASTはカルボキシル基を効率的にフッ素化してカルボン酸フルオリドを与えるのみならず、第一、第二および第三級アルコールの水酸基、カルボニル基等の酸素含有官能基のフッ素化試剤とし有用ではあるが、特殊な製造設備が必要なこと、DASTが高価であること、爆発の危険性が高い等の問題点がある。
本発明のフッ素化剤を用いればこれらの問題点はなく、カルボン酸のフッ素化反応が可能である。得られる含フツ素化合物は医薬および農薬等のライフサイエンスの分野において、または機能材料物質として近年、非常に注目を集めている化合物である。
【0057】
本発明のフッ素化剤を用いるカルボン酸フルオリドの製造は次のようである。
すなわち、一般式(12):
【化75】
(式中、R15は前記の通りである。)で表されるカルボン酸基を有する化合物を本発明のフッ素化剤と反応させて一般式(12−1):
【化76】
(式中、R15は前記の通りである。)で表される酸フルオリド類を製造する。
【0058】
フッ素化反応に用いるカルボン酸類は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、3−メチルブタン酸、ビバリン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、アセト酢酸、フェニルプロピオン酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、アジピン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、1−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、3−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、1,3−ジシクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸およびジカルボン酸;安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、4−イソプロピル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族モノカルボン酸およびジカルボン酸;インドール−2−カルボン酸、インドール−3−カルボン酸、ニコチン酸等の複素環式カルボン酸等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。これらのカルボン酸類からそれぞれ対応する一般式(12−1)で表される酸フルオリド類が得られる。
【0059】
フッ素化剤の使用量は、カルボキシル基に対して、通常、1当量以上あればよい。
反応は、通常、反応溶媒中で行われ、用いられる反応溶媒は、使用するフッ素化剤、及び生成するカルボン酸フルオリドが反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応温度は、反応溶媒およびカルボキシル基の反応性によって左右されるが、反応速度、副生成物の生成を抑制するために、好ましくは−40℃〜100℃、特に好ましくは−20℃〜80℃の範囲である。反応により生成したカルボン酸フルオリドは、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。
【0060】
(7)ハロゲン交換反応によるフッ素化
金属フッ素化物を使用して、フッ素以外のハロゲン化物から、ハロゲン交換反応によりフッ素化合物を合成する方法は古くから行われている方法である。他にもテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)やTBAF・HF、70%HF−ピリジン、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム−ジフルオロトリメチルシリケ−ト(TASF)等が使用されている。但し、TBAFは吸湿性であることや高温で分解するので注意が必要である。また、TASFは高価であること等の問題がある。
本発明のフッ素化剤を使用することにより、ハロゲン交換反応によるフッ素化物の合成を効果的に行うことができる。この反応は、ハロゲン基含有化合物のハロゲン基を本発明のフッ素化剤を用いてフッ素基に交換する方法である。
フッ素化反応の対象となる化合物は、ハロゲン基がフッ素以外のハロゲン基を有するものであれば、脂肪族または芳香族化合物のいずれでもよい。但し、芳香環に直接結合したハロゲン基を本発明のフッ素化剤でフッ素化する場合は、少なくとも1個以上の吸電子性の置換基(例えばニトロ基、カルボニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルボキシ基等である)が同芳香環に直接結合している方が効率的である。
【0061】
この交換反応の好ましい例は、一般式(13):
【化77】
(式中、X1 はフッ素以外のハロゲン原子を表し、dは1〜5の整数であり、またY1 は電子吸引性の置換基を表し、bは1〜5の整数であり、b+d≦6である。)で表されるフッ素以外のハロゲン原子を有する芳香族化合物を本発明のフッ素化剤と反応させて一般式(13−1):
【化78】
(式中、Y1 、bおよびdは、一般式(13)の場合と同じである)で表されるフッ素化合物を製造する方法である。
【0062】
ハロゲン基がフッ素基に置換される化合物としては、2,4−ジニトロクロルベンゼン、4−クロルニトロベンゼン、2−クロルニトロベンゼン、2,3,4,5,6−ヘプタクロル−ニトロベンゼン、3,4,5,6−テトラクロル−無水フタル酸、3,4,5,6−テトラクロル−フタル酸クロライド、4,4’−ジクロル−3、3’−ジニトロベンゾフェノン、4−クロル−トリフルオロメチルベンゼン、4−クロル−シアノベンゼン、4−ブロム−ベンズアルデヒド等があげられるが。しかし、これらに限定されるものではない。
これらのフッ素化合物にそれぞれ対応する一般式(13−1)で表されるフッ素化合物が得られる。
【0063】
フッ素化剤の使用量は、フッ素に交換使用とするハロゲン基に対して1当量以上が好ましく、特に好ましくは、1〜10等量である。
反応溶媒は、フッ素化剤及び、ハロゲン基を有する化合物および反応生成物と反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくは、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応温度は、好ましくは、0〜150℃、特に好ましくは、20℃〜110℃の範囲である。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができ、またフッ素化剤は加水分解後に対応するウレアとして回収可能である。
【0064】
(8)本発明のフッ素化剤は、フッ素含有オレフィンの製造に好ましく利用できる。
すなわち、一般式(1)で表されるフッ素化剤と、一般式(24)
【化79】
(式中、R15〜R17は、水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、互いに同一でも、異なっていてもよい。また、Xは
【化80】
を示す。これらの基中、Yは、−CH2−基を示し、nは0または1〜5の整数である)で表されるオレフィン類とを反応させることを特徴とする、
【0065】
一般式(25)
【化81】
(式中、R15〜R17は、水素原子または炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、互いに同一でも、異なっていてもよい。また、Zは
【化82】
これらの基中、Yは、−CH2−基を示し、nは0または1〜5の整数である)で表されるフッ素含有オレフィン類の製造できる。
【0066】
使用するオレフィン類は、とくに制限はないが、次があげられる。
すなわち、分子末端にアルデヒド基を有するオレフィン類(一般式19)、分子末端にヒドロキシメチレン基を有するオレフィン類(一般式20または21)である。
【化83】
【化84】
【化85】
(式中、R15〜R17およびYは、前記のとおりである)
【0067】
これらのオレフィン類は、それぞれ−CHO基が−CHF2基に、また−CH2OH基が−CH2Fにフッ素化されて、それぞれ対応する前記一般式(19)、(20)または(21)に対応するフッ素含有オレフィン類が得られる。
一般式(1)で表されるフッ素化剤と一般式(19)で表されるアルデヒド基を有するオレフィン類のフッ素化反応を行う場合、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンの使用量は、アルデヒド基に対して1当量以上が好ましい。また、一般式(20)または一般式(21)で表される水酸基を有するオレフィン類のフッ素化反応を行う場合には、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンの使用量は、水酸基に対して1当量以上が好ましい。
反応溶媒としては、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタン及びアルデヒド基を有するオレフィン類または水酸基を有するオレフィン類と反応しない無反応性の溶媒であれば特に制限はない。好ましくは、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等である。
反応溶媒の量は、特に限定されるものではないが、反応効率及び操作性から、好ましくは、反応基質に対して1から10重量倍である。
【0068】
反応に際しては、好ましくは、三級アミンのような塩基を生成するフッ化水素酸の捕捉剤とした用いるのが好ましい。
反応温度に特に制限はないが、アルデヒド基を有するオレフィン類の場合、反応速度と生成物の安定性の面からして、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜110℃の範囲である。水酸基を有するオレフィン類の場合は好ましくは−40〜100℃、特に好ましくは−20〜80℃の範囲である。但し、フッ化水素酸の脱離が競争反応となる場合にはできるだけ低温で反応を行う方が望ましい。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り除くことができ、またビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンは反応終了後には、テトラアルキルウレアとして回収可能である。
【0069】
(9)また、本発明のフッ素化剤は、ポリイミドのモノマーとして有用なフッ素含有ジアミノベンゾフェノンやフッ素含有ジアミノジフェニルメタンの製造のためのフッ素化剤として利用できる。
すなわち、工業的に入手容易な3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロベンゾフェノンを原料として、下記の化合物を製造可能である。
【化86】
本発明のフッ素化剤を使用することによつて、フッ素化の条件を所望のフッ素化化合物の製造に適した条件を採用して製造できる。
【0070】
上記に示すように(a)の3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロベンゾフェノンを原料として、4−クロロ−4’−フルオロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノン(b)、ビス(3−ニトロ−4−クロロフェニル)ジフルオロメタン(c)、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(d)、4−クロロ−4’−フルオロ−3,3’−ジニトロベジフルオロメタン(e)、ビス(3−ニトロ−4−フルオロフェニル)ジフルオロメタンが得られる。 3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロベンゾフェノンに対するフッ素化剤の使用モル比を高くするにしたがって、置換フッ素基数の多い化合物を得ることができる。また、フッ素基数の少ないフッ素化合物を製造し、さらにこの化合物にフッ素化剤を反応させて、フッ素基数の多いフッ素化合物を製造することもできる。
【0071】
例えば、原料化合物(a)に対して、フッ素化剤を2当量以上用いるとフッ素化合物(f)を製造できる。
この反応は、前記(4)のケトンの酸素のフッ素への直接変換、および前記(7)の芳香環に置換したハロゲンの交換反応によるフッ素化反応が、本願発明のフッ素化剤により容易に進行することを示すものであり、反応溶媒、反応温度やその他の条件は前記(4)および(7)の反応条件に準じる。
この(8)に記載の反応は、本発明のフッ素化剤がケトン基やハロゲンを有する化合物のフッ素化剤として、好ましい利用態様の一つである。
【0072】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例1中のアセトニトリル溶液中の2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(以下DFIと略す)濃度はDFIをアニリンと反応させて誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィー法(以下HPLC法と略す)によって測定した。また、フッ素イオン(以下F− と略す)の濃度測定はアリザリンコンプレキソン試薬を用いる吸光光度分析法によって行った。
【0073】
実施例1
2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン(DFI)の合成
2−クロロ−1,3−ジメチル−イミダゾリニウム=クロリドの76.4g(0.452mol)とスプレードライ品のフッ化カリウム105.2g(1.810mol)とアセトニトリル320mlを500ml四つ口反応フラスコに装入して窒素雰囲気下、80℃にて17時間反応させた。反応液を25℃まで冷却した後、反応液から無機塩を分別してDFI(MW.136.15)のアセトニトリル溶液414.2gを得た。溶液中DFI濃度11.4%,収率77%。
この反応液の減圧蒸留を行い、DFI 32g(純度 97.8%)を得た。物性値は以下の通りである。
沸点 47.0℃/37mmHg、EIMS:136(M+ )、117(M+ −F+ )、IR(neat)cm−1:1486,1385,1295,1242,1085,966,711、F分析:計算値 27.9%、実測値 27.7%、 1H−NMR(δ,ppm,CDCl3 ,TMS基準):2.52(s,6H,−CH3 ×2)、3.05(s,4H,−CH2 CH2 −)、13C NMR(δ,ppm,CDCl3 ,−45℃,CDCl3 基準):31.4(s,−CH3 ×2)、47.6(s,−CH2 CH2 −)、128.5(t,J=230Hz,=CF2 )、19F NMR(δ,ppm,CDCl3 ,−45℃,CFCl3 基準):−70.9(s,=CF2 )。
IRスペクトル図を図1に示す。
【0074】
実施例2
ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン(以後TMFと略す)の合成
テトラ−メチル−クロロホルムアミジニウム=クロリド33.32g(0.224mol)のアセトニトリル(107.82g)溶液に、スプレ−ドライフッ化カリウム(52.06g、0.896mol)およびアセトニトリル33.66gを加え、85℃で52時間反応を行った。この後、反応マスを濾過してTMFのアセトニトリル溶液を得た。このアセトニトリル溶液を使用してTMFの物性を測定した。物性値は以下の通りである。
EIMS:138(M+ )、119(M−F)+ 、F分析:実測値12.1%、計算値12.4%、 1H−NMR(δ,ppm,CH3 CN溶媒,CH3 CN基準,24℃):2.44(s,−CH3 )、13C NMR(δ,ppm,CH3 CN溶媒,24℃,DMSO−d6基準):36.1(s,−CH3 ×4)、128.6(t,=CF2 )。
【0075】
実施例3
ビス−ジ−n−ブチルアミノ−ジフルオロメタン(以後TBFと略す)の合成
テトラ−n−ブチル−クロロホルムアミジニウム=クロリド74.36g(0.2129mol)のアセトニトリル(181.45g)溶液に、スプレ−ドライフッ化カリウム(50.92g,0.8864mol)およびアセトニトリル7.86gを加え、85℃で35時間反応を行った。この後、反応マスを濾過ししたところ、得られた濾液は二層に分離した。濾液の二層を合わせて減圧蒸留によりアセトニトリルを留去してTBFを蒸留釜残として得た。この釜残について物性を測定した。物性値は以下の通りである。
EIMS:306(M+ )、287(M−F)+ 、F分析:実測値12.1%、計算値12.4%、 1H−NMR(δ,ppm,溶媒希釈なし,CH3 CN基準,24℃):1.04(tj=〜8Hz,CH2 CH 3 ),1.41(m,j=〜8Hz,CH2 CH 2 CH3 )1.59(quint.,j=〜8Hz,CH2 CH 2 CH2 ,2.92(t、j=〜8Hz,NCH 2 CH2 ),、13CNMR(δ,ppm,溶媒希釈なし,24℃,DMSO−d6基準):12.8(CH2 CH 3 ),19.6(CH2 CH 2 CH3 ),30.2(CH2 CH 2 CH2 )、46.3(NCH 2 CH2 )、128.2(t,j=248Hz,CF2 )。
【0076】
実施例4
2,2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリジン(以後DFBと略す)の合成
2−クロロ−1,3−ジ−n−ブチル−イミダゾリジニウム=クロリド51.7g(純度90%,0.184mol)とアセトニトリル174gとスプレ−ドライフッ化カリウム64.3g(1.11mol)を反応容器に入れて、窒素微加圧化で、85℃で25時間反応を行った。冷却後、反応マスを濾過してDBFのアセトニトリル溶液を得た。これを使用して物性を測定した。物性値は以下の通りである。
1H−NMR(δ,ppm,CDCl3 ,TMS基準,25℃):0.93(tj=〜8Hz,CH2 CH 3 )、1.40(m,j=〜8Hz,CH2 CH 2 CH3 )1.56(quint.,j=〜8Hz,CH2 CH 2 CH2.)、2.95(t,j=〜8H,NCH 2 CH2 ),3.24(S、NCH2 CH 2 N)、13C NMR(δ,ppm,CDCl3 ,−65℃,CDCl3 基準):13.4(S,CH2 CH 3 ),19.4(S,CH2 CH 2 CH3 )、29.1(S, CH2 CH 2 CH2 )、45.1(S, NCH 2 CH2 CH2 )、45.5(S, NCH2 CH 2 N)、128.9(t, j=228Hz, CF2 ).
【0077】
実施例5
ベンゾイルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液23.89g(0.02mol)と安息香酸2.44g(0.02mol)とアセトニトリル8mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液の一部を取りGC−MS測定を行ったところ安息香酸フルオリドの生成(親イオン、124)を確認した。また、GC分析の結果反応収率は98%であった。
【0078】
実施例6
ベンジルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液1.783g(1.50mmol)とベンジルアルコール0.162g(1.50mmol)とアセトニトリル6mlを反応容器にいれ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりベンジルフルオリドの生成(親イオン、110)を確認した。また、GC分析により反応収率は83%であった。
【0079】
比較例1
ベンジルフルオリドの合成
WO96/04297号公報に記載されている製造法に従って得た、2−フルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリニウム=ヘキサフルオロホスフェート0.40g(1.5mmol)とベンジルアルコール0.162g(1.5mmol)とアセトニトリル6mlを反応器に装入して窒素雰囲気下、25℃で4時間反応を行った。このあと反応液のGC分析を行ったところ、ベンジルフルオリドは不検出であった。
【0080】
実施例7
n−オクチルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液、1.79g(1.50mmol)とn−オクチルアルコール0.195g(1.50mmol)とアセトニトリル、4mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、n−オクチルフルオリドの生成(親イオン,132)を確認した。反応収率は80%であった。
【0081】
実施例8
n−オクチルフルオリドの合成
実施例2で合成したTMFの17.56%アセトニトリル溶液、4.15g(5.29mmol)とn−オクチルアルコール0.275g(2.55mmol)とアセトニトリル、を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、n−オクチルフルオリドの生成(親イオン,132)を確認した。GC分析による反応収率は96%であった。
【0082】
実施例9
n−オクチルフルオリドの合成
実施例3で合成したTBF,0.9g(純度91%,2.9mmol)とn−オクチルアルコール0.15g(1.15mmol)とアセトニトリル,6mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、n−オクチルフルオリドの生成(親イオン,132)を確認した。GC分析による反応収率は98.2%であった。
【0083】
実施例10
n−オクチルフルオリドの合成
実施例4で合成したDFB,1.61g(純度13%,0.77mmol)とn−オクチルアルコール0.12g(0.77mmol)とアセトニトリル,2mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、1時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、n−オクチルフルオリドの生成(親イオン,132)を確認した。GC分析による反応収率は90%であった。
【0084】
比較例2
n−オクチルフルオリドの合成
WO96/04297号公報に記載されている製造法に従って得た、2−フルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリニウム=ヘキサフルオロホスフェート0.40g(1.5mmol)とn−オクチルアルコール0.195g(1.5mmol)とアセトニトリル6mlを反応器に装入して窒素雰囲気下、25℃で4時間反応を行った。このあと反応液のGC分析を行ったところ、n−オクチルフルオリドは不検出であった。
【0085】
実施例11
t−アミルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFI の11.4%アセトニトリル溶液、7.74g(6.48mmol)とt−アミルアルコール0.285g(3.24mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、1時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、t−アミルフルオリドの生成(親イオン,90)を確認した。反応収率は62%であった。
【0086】
実施例12
1,3−ジフルオロブタンの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液、7.74g(6.48mmol)と1,3−ブタンジオ−ル0.29g(3.24mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、1時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、1,3−ジフルオロブタンの生成(親イオン−H,93)を確認した。GC分析値から、反応収率は61%であった。
【0087】
実施例13
ジフルオロジフェニルメタンの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの2.43g(17.8mmol)とベンゾフェノンの1.63g(8.9mol)とアセトニトリル20mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、28時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりジフルオロジフェニルメタンの生成(親イオン、204,ベースピーク127)を確認した。また、GC分析値から反応収率は45%であった。
【0088】
実施例14
1,1−ジフルオロヘキサン及び、1−フルオロ−1−シクロヘキセンの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの1.99g(11.7mmol)とシクロヘキサノンの0.85g(8.6mmol)と1 ,2 −ジメトキシエタンの8.5g、及び25%発煙硫酸の0.15gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、20〜25℃、96時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、1 ,1 −ジフルオロヘキサン(親イオン、120)の生成と1−フルオロ−1−シクロヘキセン(親イオン、100)の生成を確認した。また、GC分析によりそれぞれの反応収率は1,1−ジフルオロヘキサン(15%)、1−フルオロ−1−シクロヘキセン(77%)であった。
【0089】
実施例15
4,4’−ジクロロ−ジフルオロジフェニルメタンの合成
実施例1と同様に行って得たDFIのアセトニトリル溶液12.2g(DFI,10.2mmol)と4,4’−ジクロロ−ベンゾフェノン1.26g(5.04mmol)を反応容器に入れて84℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、4,4’−ジクロロ−ジフルオロジフェニルメタン(親イオン、272)の生成を確認した。また、GC分析より4,4 ’−ジクロロ−ジフルオロジフェニルメタンの反応収率は90%であった。
【0090】
実施例16
α,α−ジフルオロトルエンの合成
実施例1と同様に行って得たDFI2.43g(17.8mmol)とベンズアルデヒド0.93g(8.8mmol)とアセトニトリル25mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、80℃、8時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりα,α−ジフルオロトルエンの生成(親イオン、128)を確認した。また、GC分析値から反応収率は80%であった。
【0091】
実施例17
4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
実施例1と同様に行って得たDFI4.08g(30.00mmol)と4,4’−ジハイドロオキシベンゾフェノン1.07g(5.00mmol)とアセトニトリル50mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、2時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの生成(親イオン、218,ベースピーク123)を確認した。又、GC分析値から反応収率は20%であった。
【0092】
実施例18
メタリルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液1.783g(1.50mmol)とメタリルアルコール0.108g(1.50mmol)とアセトニトリル6mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりメタリルフルオリドの生成(親イオン、74)を碓認した。また、GC分析により反応収率は95%であった。
【0093】
実施例19
シクロヘキシルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液1.783g(1.50mmol)とシクロヘキサノール0.150g(1.50mmol)とアセトニトリル6mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりシクロヘキシルフルオリド(親イオン、102)およびシクロヘキセン(親イオン、82)の生成を確認した。また、GC分析により反応収率はシクロヘキシルフルオリド10%、シクロヘキセン90%であった。
【0094】
実施例20
イソプロピルフルオリドの合成
実施例1と同様に行って得たDFIの11.4%アセトニトリル溶液1.783g(1.50mmol)とイソプロピルアルコール0.09g(1.50mmol)とアセトニトリル6mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃、4時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりイソプロピルフルオリド(親イオン、62)およびプロピレン(親イオン、42)の生成を確認した。また、GC分析により反応収率はイソプロピルフルオリド80%、プロピレン20%であった。
【0095】
実施例21
p−フルオロニトロベンゼンの合成
DFIの13.6%アセトニトリル溶液41.g(40.8mmol)とp−ニトロフェノール2.84g(20.4mmol)とトリエチルアミン2.03g(20.1mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりp−フルオロニトロベンゼンの生成(親イオン、141)を確認した。また、GC分析により反応収率は60%であった。
【0096】
実施例22
p−フルオロニトロベンゼンの合成
DFIの10.7%アセトニトリル溶液20.00g(16.0mmol)とp−ニトロチオフェノール1.256g(8.10mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃で16時間反応させた。反応終了後、反応マスを飽和重曹水20mlに排出してDFIを加水分解した後、concHClでPH2以下として、ジクロルメタン50mlで抽出した。この抽出液のGC−MS測定によりp−フルオロニトロベンゼンの生成(親イオン、141)を確認した。また、GC分析によりp−フルオロニトロベンゼンの生成率率は20%であった。
【0097】
実施例23
4,4’−ジクロロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノン 2.39g(7.01mmol)とDFI1.91g(14.00mmol)とアセトニトリル20mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、8時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりビス(4−クロロ−3−ニトロフェニル)ジフルオロメタンの生成(親イオン362、ベースピーク362)及びGC分析値から反応収率は4.0%、4−クロロ−3−ニトロフェニル−4’−フルオロ−3’−ニトロフェニルジフルオロメタンの生成(親イオン346、ベースピーク346)及びGC分析値から反応収率は8.1%、ビス(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)ジフルオロメタンの生成(親イオン330、ベースピーク330)及びGC分析値から反応収率は1.4%、4−クロロ−4’−フルオロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノンの生成(親イオン324、ベースピーク168)及びGC分析値から反応収率は30.5%、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノンの生成(親イオン308、ベースピーク168)及びGC分析値から反応収率は4.1%を確認した。
【0098】
実施例24
4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノンの合成
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの10.45g(61.81mmol)とスプレードライ品の弗化カリウム14.03g(241.48mmol)とアセトニトリル50mlを100ml四つ口反応フラスコに装入し、窒素雰囲気下、80℃で20時間反応させた。その反応マスへ4,4’−ジクロロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノン3.24g(9.50mmol)を挿入し、窒素雰囲気下、84℃、20時間反応させた。反応結果は、4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロベンゾフェノンが主生成物であり、GC分析値から収率は92.8%であった。
【0099】
実施例25
2,4−ジニトロフルオロベンゼンの合成
2,4−ジニトロクロロベンゼン1.64g(8.10mmol)とDFI2.21g(16.23mmol)とアセトニトリル25mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、7時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により2,4−ジニトロフルオロベンゼンの生成(親イオン186、ベースピーク94)を確認した。又、GC分析値から反応収率は96.0%であった。
【0100】
実施例26
ペンタクロロニトロベンゼン0.74g(2.50mmol)とDFI1.77g(13.00mmol)とアセトニトリル25mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、2時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりジクロロ−トリフルオロニトロベンゼンの生成(親イオン245、親イオン+2 247、親イオン+4 249、ベースピーク245)確認及びGC分析値から反応収率は28.0%、トリクロロ−ジフルオロニトロベンゼンの生成(親イオン261、親イオン+2 263、親イオン+4 265、ベースピーク205)確認及びGC分析値から反応収率は11.9%、テトラクロロ−フルオロニトロベンゼンの生成(親イオン277、親イオン+2 279、親イオン+4 281、親イオン+6 283、ベースピーク221)確認及びGC分析値から反応収率は9.0%であった。
【0101】
実施例27
安息香酸フルオリドの合成
安息香酸クロリド1.41g(10.03mmol)とDFI1.63g(11.97mmol)とアセトニトリル25mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、2時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により安息香酸フルオリドの生成(親イオン124、ベースピーク124)を確認した。又、GC分析値から反応収率は71.0%であった。
【0102】
実施例28
3,3−ジフルオロ−2−メチルプロペンの合成
300ml容のオートクレーブにメタクロレインの1.70g(24.3mmol)とアセトニトリルの55gとDFIの6.61g(48.6mmol)とトリエチルアミン10g(99mmol)を仕込み、系内を窒素で置換した後密閉して、100℃、5時間反応させた。この間、内圧は1.96×105 Paまで昇圧した。冷却後、反応マスに少量の水を添加した後、GC測定及び、GC−MS測定を行った。この結果、3,3−ジフルオロ−2−メチルプロペン(親イオン,92)の生成90%と未反応メタクロレイン(親イオン,70)10%を確認した。
【0103】
実施例29
3,3−ジフルオロ−プロペンの合成
300ml容のオートクレーブにアクロレインの1.40g(25.mmol)とアセトニトリルの55gとDFIの6.61g(48.6mmol)とトリエチルアミン10g(99mmol)を仕込み、系内を窒素で置換した後密閉して、100℃、5時間反応させた。この間、内圧は1.96×105 Paまで昇圧した。冷却後、反応マスに少量の水を添加した後、GC測定及び、GC−MS測定を行った。この結果、3,3−ジフルオロ−プロペン(親イオン,78)の生成88%と未反応メタクロレイン(親イオン,56)12%を確認した。
【0104】
実施例30
3−フルオロプロペンの合成
DFIの11.%アセトニトリル溶液5g(4.40mmol)とアリルアルコ−ル0.255g(4.40mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃,4時間反応させた。反応終了後に反応液のGC−MS測定を行い3−フルオロプロペン(親イオン,60)の生成を確認した。GC測定から、反応収率は98%であった。
【0105】
実施例31
2−フルオロエチル−メタクリレートの合成
DFIの9.25%アセトニトリル溶液8g(6.48mmol)と2−ヒドロキシエチル−メタクリレートの0.842g(6.48mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、25℃,2時間反応させた。反応終了後に反応液のGC−MS測定を行い2−フルオロエチル−メタクリレート(親イオン,132)の生成を確認した。GC測定から、反応収率は94%であった。
【0106】
【発明の効果】
本発明のフッ素化剤に係る化合物は、ヒドロキシル基およびカルボキシル基等、酸素含有官能基を有する化合物に対して、安全で取扱が容易な、高選択性のフッ素化剤である。また、本発明のフッ素化剤の製造は、特殊な設備も技術も必要とせず経済的に製造可能である。
本願発明のフッ素化剤は、化合物そのものの製造が、従来技術の問題点を解消した工業的な方法で製造可能であり、また有機化合物、特に酸素含有官能基を有する化合物のフッ素化剤として優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した2,2−ジフルオロ−1.3−ジメチル−イミダゾリジンのIRスペクトル図である。
Claims (23)
- フッ素化剤が、前記一般式(2)で表されるフッ素化剤である請求項8乃至14記載の方法。
- 一般式(14)の化合物に対して半等量のフッ化ナトリウムを反応させた後、濾過分別して、次にフッ化カリウムと反応させることを特徴とする請求項20記載のフッ素化剤の製造方法。
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