JP3730422B2 - 新規ハロゲン化剤及びその製法と使用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なハロゲン化剤及びその製造方法と使用に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
有機化合物のハロゲン化反応については、古くから多くの方法が知られている。
ハロゲン化剤として一般的に使用されるものには、ハロゲン化水素、ハロゲンの燐化合物、ハロゲンの硫黄化合物、ハロゲン単体等があるが、これらは腐食性や毒性が高く、取扱には特殊な装置や技術を必要とするものが多い。したがって、取扱や安全性、または反応選択性等の面から、現在も各種ハロゲン化試剤の開発研究が続けられている。
本発明の目的は、上記の問題点を克服するために、技術的かつ経済的に一段と改善された工業的ハロゲン化剤を提供することである。
【0003】
【問題を解決するための手段】
本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、一般式(2):
【化18】
(式中、X1、X2は異なるハロゲン原子を示し、X1はフッ素原子又は塩素原子を示し、X2はフッ素原子を除くハロゲン原子を示す。aは2の整数、R5、R6は炭素数1〜6の置換又は無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物が、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基またはケトン基等の酸素含有基の選択的な、新規ハロゲン化剤として優れていること、更にハロゲン化反応における使用が極めて安全、且つ容易に行えることを見いだした。
【0004】
さらには、一般式(2)で表される化合物は、一般式(10):
【化19】
(式中、X3およびX4は、塩素原子または臭素原子を示し、R5、R6及びaは、一般式(2)の場合と同じである。)で表される化合物からハロゲン交換反応により得ることができるので、なんら特殊な装置や技術を必要とすることなく、安全に、工業的に製造可能であることを見出した。
また一般式(2)で表されるハロゲン化剤はハロゲン化反応後には一般式(10)の原料であるウレアとして回収、再利用できるために経済的であることも見出した。
【0005】
即ち、本発明は以下の(1)〜(13)に示す通りである。
(1)一般式(2)
【化20】
(式中、X1、X2は異なるハロゲン原子を示し、X1はフッ素原子又は塩素原子を示し、X2はフッ素原子を除くハロゲン原子を示す。aは2の整数、R5、R6は炭素数1〜6の置換又は無置換の飽和または不飽和の低級アルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。)で表されるハロゲン化剤、
【0006】
(2)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、一般式(3):
【化21】
(式中、X1、X2は異なるハロゲン原子を示し、X1はフッ素原子又は塩素原子を示し、X2はフッ素原子を除くハロゲン原子を示す。)で表される2−ハロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=ハライドである前記1のハロゲン化剤、
【0007】
(3)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(4):
【化22】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=クロリドである前記1のハロゲン化剤、
【0008】
(4)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(5):
【化23】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=ブロミドである前記1のハロゲン化剤、
【0009】
(5)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(6):
【化24】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=ヨ−ジドである前記1のハロゲン化剤。
【0010】
(6)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(7):
【化25】
で表される2−クロル−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=ブロミドである前記1のハロゲン化剤、
【0011】
(7)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(8):
【化26】
で表される2−クロル−1,3−ジメチルイミダゾリジニウム=ヨ−ジドである前記1のハロゲン化剤、
【0012】
(8)一般式(10)
【化27】
(式中、X3およびX4は、塩素原子または臭素原子を示し、R5、R6及びaは、一般式(2)の場合と同じである。)で表される化合物とフッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子のアルカリ金属塩を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行わせることを特徴とする前記1の一般式(2)で表されるハロゲン化剤の製造方法、
【0013】
(9)一般式(11):
【化28】
(式中、R7は置換または無置換のアルキル基を示す。)で表されるアルコ−ル性水酸基を有する化合物と一般式(2):
【化29】
(式中、X1、X2、R5、R6及びaは、前記の通りである。)で表されるハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(11−2):
【化30】
(式中、X2はフッ素原子を除くハロゲン原子を示し、R7は一般式(11)の場合と同じである。)で表されるハロゲン化合物の製造方法、
【0014】
(10)一般式(12):
【化31】
(式中、R8は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と一般式(2):
【化32】
(式中、X1、X2、R5、R6及びaは、前記の通りである。)で表されるハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(12−2):
【化33】
(式中、R8は一般式(12)の場合と同じであり、X5は一般式(2)におけるX1またはX2で示すハロゲン原子である。)で表される酸ハロゲン化物類の製造方法、
【0015】
(11)一般式(13):
【化34】
(式中、R8は、置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を有する化合物と一般式(2):
【化35】
(式中、X1、X2、R5、R6及びaは、前記の通りである。)で表されるハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(13−2):
【化36】
(式中、R8は一般式(13)の場合と同じであり、X6は一般式(2)におけるX1またはX2で示すハロゲン原子であり、2個のX6は同一または異なることもある。)で表されるハロゲン化合物の製造方法、
【0016】
(12)一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、一般式(3)で表されるハロゲン化剤であることを特徴とする前記9〜11のハロゲン化合物の製造方法である。
【0017】
本発明の化合物は,ヒドロキシル基及びカルボキシル基等、酸素含有基を有する化合物に対する高選択性のハロゲン化剤であり、その製造から使用までが、安全で取り扱いが容易であり、工業的な方法で実施可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のハロゲン化剤は一般式(2):
【化37】
で表される化合物である。
【0019】
一般式(2)中、X1およびX2は、異なるハロゲン原子を示し、X1はフッ素原子又は塩素原子を示し、X2はフッ素原子を除くハロゲン原子を示す。X1とX2の組み合わせとしては、F−Cl、F−Br、F−I、Cl−Br、Cl−I等である。尚、X1およびX2のハロゲン原子が異なる場合には原子量の小さい方の原子が炭素原子と共有結合を作り、原子量の大である方の原子が、イオン対となる傾向がある。
【0020】
R5及びR6は同一または異なって、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表す。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基であり、アルキル基は直鎖状または分岐状であってもよい。すなわち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ブテニル基、n−ヘキシル基、フェニル基等であり、同一でも異なっていてもよい。
【0021】
一般式(2)で表されるハロゲン化剤として、好ましい具体例として以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらの例示化合物に制限されるものではない。
塩素化剤の例
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリド、2−フルオロ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム=クロリド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−プロピルイミダゾリニウム=クロリド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリニウム=クロリド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ペンチルイミダゾリニウム=クロリド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ヘキシルイミダゾリニウム=クロリド等が挙げられる。
【0022】
臭素化剤の例
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ブロミド、2−フルオロ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム=ブロミド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−プロピルイミダゾリニウム=ブロミド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリニウム=ブロミド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ペンチルイミダゾリニウム=ブロミド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ヘキシルイミダゾリニウム=ブロミド、等が挙げられる。
【0023】
ヨウ素化剤の例
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージド、2−フルオロ−1,3−ジエチルイミダゾリニウム=ヨージド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−プロピルイミダゾリニウム=ヨージド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリニウム=ヨージド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ペンチルイミダゾリニウム=ヨージド、2−フルオロ−1,3−ジ−n−ヘキシルイミダゾリニウム=ヨージド、等が挙げられる。
【0024】
特に好ましいものは、下記式(4);
【化38】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリド、
【0025】
下記式(5)
【化39】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ブロミド、
【0026】
下記式(6)
【化40】
で表される2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージド、
【0027】
下記式(7)
【化41】
で表される2−クロル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ブロミド、
【0028】
下記式(8)
【化42】
で表される2−クロル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージド、である。
【0029】
これらのハロゲン化剤は、所望のハロゲン化反応に、適当なハロゲン化剤を用い、前記各反応に準じて反応させ所望のハロゲン化合物を得ることができる。
例えば、これらのハロゲン化剤で、アルコール性水酸基をハロゲン化する場合、一般式(2)の対イオン(X2)のハロゲン化合物が選択的に得られる。
すなわち、一般式(11):
【化43】
(式中、R7は置換または無置換のアルキル基を示し、またアルキル基の中に不飽和基を含んでいてもよい。)で表されるアルコ−ル性水酸基を有する化合物と一般式(2):
【化44】
(式中、X1、X2、R5、R6及びaは、前記と同じ)で表されるハロゲン化剤とを反応させて一般式(11−2):
【化45】
(式中、R7は一般式(11)の場合と同じであり、X2はハロゲン原子を示す)で表されるハロゲン化合物を製造できる。
【0030】
反応に利用できるアルコール性水酸基を有する化合物の例としては以下のようなものがあげられる。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、ネオアミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、プロパギルアルコール等の第一級アルコール;およびイソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−メチルヘキシルアルコール、1−エチルペンチルアルコール、1−メチルヘプチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、sec−フェネチルアルコール等の第二級アルコール;およびtert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール等の第三級アルコール等のアルコールが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0031】
ハロゲン化剤の使用量はアルコールの水酸基に対して通常1当量以上あればよい。
反応溶媒は、反応基質や反応試剤、または生成物と反応しない溶媒であれば特に制限は無いが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等である。
反応温度は、−40℃〜100℃、好ましくは−20〜80℃である。生成物は蒸留等により、反応混合物から容易に取り出すことができる。
さらに、反応に際して、一般式(2)で表されるハロゲン化剤、酸素含有官能基を有する化合物、及び反応生成物に悪影響を与えないものであれば、ハロゲン化水素捕捉剤、塩基、酸触媒等を添加しても構わない。
反応により生成したハロゲン化物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。その際、未反応の一般式(2)で表される化合物が存在する時は、ハロゲン化水素が発生するので、重曹等で捕捉してもよい。
また、一般式(2)で表されるハロゲン化剤は、反応終了後には対応するウレアとして回収可能である。
【0032】
一方、カルボキシル基をハロゲン化する場合、すなわち、一般式(12):
【化46】
(式中、R8は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と前記一般式(2)で表されるハロゲン化剤とを反応させて一般式(12−2):
【化47】
(式中、R8は一般式(12)の場合と同じであり、X5は一般式(2)におけるX1またはX2で示すハロゲン原子である。)で表される酸ハロゲン化物類を製造する。
【0033】
一般式(2)のX1、X2のそれぞれのハロゲン原子のカルボン酸ハライドの生成が見られる。一般式(2)のX1がF、X2がBrのものをハロゲン化剤として用いた場合は、カルボン酸ブロミド、カルボン酸フルオリドおよびカルボン酸無水物の生成が見られ、カルボン酸フルオリドが最も高い選択性で得られる。一般式(2)のX1がF、X2がIのものをハロゲン化剤として用いた場合は、カルボン酸フルオリドおよびカルボン酸無水物の生成が見られ、カルボン酸フルオリドの選択性の方が高い。尚、カルボン酸ヨージドの生成は確認されない。
【0034】
反応に利用できる、カルボキシル基を有する化合物の例としては以下のようなものがあげられる。
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、3−メチルブタン酸、ビバリン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、アセト酢酸、フェニルプロピオン酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、アジピン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、1−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、3−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、1,3−ジシクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸およびジカルボン酸;安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、4−イソプロピル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族モノカルボン酸およびジカルボン酸;インドール−2−カルボン酸、インドール−3−カルボン酸、ニコチン酸等の複素環式カルボン酸等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0035】
ハロゲン化剤の使用量はカルボキシル基に対して通常1当量以上あればよい。反応溶媒は、反応基質や反応試剤、または生成物と反応しない溶媒であれば特に制限は無いが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ベンゼン、トルエン等である。
反応温度は−40℃〜100℃、好ましくは−20〜80℃である。生成物は蒸留等により、反応混合物から容易に取り出すことができる。
さらに、反応に際して、一般式(2)で表されるハロゲン化剤、酸素含有官能基を有する化合物、及び反応生成物に悪影響を与えないものであれば、ハロゲン化水素捕捉剤、塩基、酸触媒等を添加しても構わない。
反応により生成したハロゲン化物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。その際、未反応の一般式(2)で表されるハロゲン化剤が存在する時は、ハロゲン化水素が発生するので、重曹等で捕捉してもよい。
また、一般式(2)で表されるハロゲン化剤は、反応終了後には対応するウレアとして回収可能である。
【0036】
また、ホルミル基をハロゲン化する場合、すなわち、一般式(13):
【化48】
(式中、R8は、置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基または、置換または無置換のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を有する化合物と前記一般式(2)で表されるハロゲン化剤とを反応させて一般式(13−2):
【化49】
(式中、R8は一般式(13)の場合と同じであり、X6は一般式(2)におけるX1またはX2で示すハロゲン原子であり、2個のX6は同一または異なることもある。)で表されるフッ素化合物を製造する。
【0037】
一般式(2)のX1がF,X2がClのものをハロゲン化剤として用いた場合は、ホルミル基のクロロフルオロメチル基への変換、およびジクロロメチル基への変換が見られる。この場合、クロロフルオロメチル基の方が高い選択性で得られる。
【0038】
ホルミル基がハロゲン化される化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプトアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、フタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等の脂環式アルデヒド;1−ナフトアルデヒド、ニコチンアルデヒド、フルフラール等の複素環式アルデヒド等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
ハロゲン化剤の使用量はホルミル基に対して通常1当量以上であればよい。反応溶媒は、反応基質や反応試剤、または生成物と反応しない溶媒であれば特に制限は無いが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ベンゼン、トルエン等である。
反応温度は、0℃〜150℃、好ましくは20〜110℃である。生成物は蒸留等により、反応混合物から容易に取り出すことができる。
さらに、反応に際して、一般式(2)で表されるハロゲン化剤、酸素含有官能基を有する化合物、及び反応生成物に悪影響を与えないものであれば、ハロゲン化水素捕捉剤、塩基、酸触媒等を添加しても構わない。
【0039】
反応により生成したハロゲン化物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。その際、未反応の一般式(2)で表されるハロゲン化剤が存在する時は、ハロゲン化水素が発生するので、重曹等で捕捉してもよい。
また、一般式(1)で表されるハロゲン化剤は、反応終了後には対応するウレアとして回収可能である。
【0040】
一般式(2)〜(8)で表されるこれらのハロゲン化剤の製造は、一般式(10):
【化50】
(式中、X3およびX4は、塩素原子または臭素原子を示し、R5及びR6は、置換または無置換の飽和または不飽和のアルキル基、置換または無置換のアリ−ル基を表し、同一でも異なっていてもよい。aは2の整数である。)で表される化合物と目的とするハロゲンのアルカリ金属塩を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行わせることによって安全に、かつ容易に得ることができる。
【0041】
一般式(10)で表される化合物は、それ自身、塩素化剤、または臭素化剤として使用可能であるが、反応性の高いハロゲン化試剤を得るため、フッ化セシウム、フッ化ルビジウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のフッ素のアルカリ金属塩と反応させて、テトラアルキル−2−フルオロホルムアミジニウムクロリドを合成して、塩素化剤または臭素化剤として使用可能である。
X3およびX4が塩素原子である化合物から臭素化剤を得たいときには、臭化ナトリウム、臭化カリウム、その他臭素のアルカリ金属塩が使用可能である。
またヨウ素化剤を得たいときには、ヨウ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等が使用可能である。
【0042】
一般式(2)で表されるハロゲン化剤を製造する原料として用いられる、一般式(10)で表される化合物の製造方法は、N,N’−ジアルキルイミダゾリジノンをホスゲンまたは、チオニルクロライド、チオニルブロマイド、三塩化燐、酸臭化燐等のハロゲン化剤でハロゲン化することによって製造することができる。
例えば、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの製造は、特開昭59−25375号公報に記載されている方法で容易に製造することができる。例えば、1,3−ジメチルイミダゾリジノンにオキザリルクロライドを四塩化炭素等の溶媒に溶かした溶液を滴下して室温〜60℃で数時間〜数十時間反応させる。
【0043】
本発明の一般式(2)で表されるハロゲン化剤の製造において、ハロゲン交換反応で使用するハロゲンのアルカリ金属塩の使用量は、一般式(10)で表される化合物に含まれるハロゲン原子のうち、交換使用とするハロゲン原子と、当量あればよい。
ハロゲン交換反応の反応溶媒は一般式(10)で表される化合物、および生成する化合物と反応しない溶媒であれば特に制限はない、好ましくはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド等である。
反応溶媒量は特に限定されるものではないが、反応効率及び操作性から、好ましくは反応基質に対して1から10重量倍である。
反応温度は反応速度と生成物の安定性の面からして、−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の範囲である。ヨウ素化剤を得る場合には、ヨウ素化剤の酸化を防ぐために、遮光、窒素雰囲気下で、好ましくは0℃〜80℃の範囲で行う方が良い。
【0044】
上記方法における、ハロゲン交換反応は四級アルキルアンモニウム塩や四級アルキルホスホニウム塩等の相間移動触媒を共存させて行うことも可能である。
得られた一般式(2)で表されるハロゲン化剤はハロゲン交換反応液のまま次のハロゲン化反応に使用することもできるし、あるいは無機塩を濾別して反応溶媒を留去した後、次のハロゲン化反応に使用することもできる。
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中に示す各ハロゲン化剤の濃度は、各ハロゲン化剤をアニリンと反応させて誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィー法(以下HPLC法と略す)によって測定した。また、ハロゲン化剤中のフッ素原子(以下F−と略す)の濃度測定はアリザリンコンプレキソン試薬を用いる吸光光度分析法によって行い、その他のハロゲン原子は硝酸銀滴定法により求めた。GC−MSのスキャン範囲は500≧M/Z≧50で行った。
【0046】
実施例1
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリド(DMFC)の合成
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリド(DMC)の30.42g(0.1799mol)とフッ化ナトリウム15.11g(0.3598mol)とアセトニトリル104.9gを200ml四つ口反応フラスコに装入して窒素雰囲気下、85℃にて8時間反応させた。反応液を25℃まで冷却した後反応液から無機塩を分別してDMFC(MW.152.60)のアセトニトリル溶液116.09gを得た。溶液中DMFC濃度21.01wt%,収率89%。
物性値は以下の通りである。
FABMS:117((M−Cl)+)、269((2×M−Cl)+).
F分析:理論値 2.6wt%、実測値2.7wt%.
Cl分析:理論値 4.8wt%,実測値4.9wt%.
1H−NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、CH3CN基準、25℃):2.98(s、6H、−CH3×2)、3.91(s、4H、−CH2CH2−).13C NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、DMSO−d6基準、25℃):31.3(s、−CH3×2)、46.8(s、−CH2CH2−)、157.7(d、J=280Hz、C−F).
【0047】
実施例2
n−オクチルクロリドの合成
n−オクチルアルコール0.5789g(4.445mmol)と21.01wt%DMFCアセトニトリル溶液3.29g(DMFC分 0.691g、4.530mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、室温で5時間反応させた。反応後、反応溶液のGC分析により、n−オクチルクロリドの収率は93.1%、未反応のn−オクチルアルコールは6.6%であった。
【0048】
比較例 1
n−オクチルクロリドの合成
n−オクチルアルコール0.7333g(5.631mmol)とDMC0.956g(5.655mmol)とアセトニトリル3.8gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、室温で6時間反応させた。反応後、反応溶液のGC分析により、n−オクチルクロリドの収率は29.3%、未反応のn−オクチルアルコールは70.0%であった。
【0049】
実施例3
安息香酸クロリドの合成
安息香酸0.566g(4.636mmol)と21.01wt%DMFCアセトニトリル溶液3.34g(DMFC分 0.707g、4.636mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、室温で3時間反応させた。反応後、反応溶液のGC分析により、安息香酸クロリドの収率は91.9%、安息香酸フルオリド収率は8.0%であった。
【0050】
実施例4
α−クロロ−α−フルオロトルエンの合成
ベンズアルデヒド0.9935g(9.361mmol)と21.01wt%DMFCアセトニトリル溶液6.81g(DMFC分 1.431g、9.4mmol)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、85℃で17時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりα−クロロ−α−フルオロトルエンの生成(親イオン144、ベースピーク109)およびベンザルクロリドの生成(親イオン160、ベースピーク125)を確認した。また、GC分析値からα−クロロ−α−フルオロトルエンの収率は63.6%、ベンザルクロリドの収率は19.7%、未反応のベンズアルデヒドは14.5%であった。
【0051】
合成例1
2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン(DFI)の合成
2−クロロ−1,3−ジメチル−イミダゾリニウム=クロリドの76.4g(0.452mol)とスプレードライ品のフッ化カリウム105.2g(1.810mol)とアセトニトリル320mlを500ml四つ口反応フラスコに装入して窒素雰囲気下、80℃にて17時間反応させた。反応液を25℃まで冷却した後、反応液から無機塩を分別してDFI(MW.136.15)のアセトニトリル溶液414.2gを得た。溶液中DFI濃度11.4%,収率77%。
この反応液の減圧蒸留を行い、DFI 32g(純度 97.8%)を得た。物性値は以下の通りである。
沸点 47.0℃/37mmHg、EIMS:136(M+、117(M+−F+)、IR(neat)cm-1:1486、
1385、1295、1242、1085、966、711、F分析:計算値 27.9%、実測値 27.7%、 1H−NMR(δ、ppm、CDCl3,TMS基準):2.52(s、6H、−CH3×2)、3.05(s、4H、−CH2CH2−)、13C NMR(δ、ppm、CDCl3、−45℃、CDCl3基準):31.4(s、−CH3×2)、47.6(s、−CH2CH2−)、128.5(t、J=230Hz、=CF2)、19F NMR(δ、ppm、CDCl3,−45℃,CFCl3基準):−70.9(s、=CF2)。
【0052】
実施例5
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ブロミド(DMFB)の合成
合成例1で合成した2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(DFI)13.78g(0.101mol)と臭化ナトリウム10.25g(0.0995mol)とアセトニトリル126.5gを300ml四つ口フラスコに装入して窒素雰囲気下、25℃で4時間反応させた。2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムブロミドの収率は84%であった。
物性値は以下の通りである。
FABMS:117((M−Br)+),313((2×M−Br)+),315((2×M−Br)+の同位体).
Br分析:理論値 10.51wt%,実測値10.42wt%.
1H−NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、CH3CN基準、22℃):3.00(s、6H、−CH3×2)、3.92(s、4H、−CH2CH2−).13C NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒,DMSO−d6基準,22℃):31.5(s、−CH3×2)、46.8(s、−CH2CH2−)、157.6(d、J=278Hz、C−F).
【0053】
実施例6
n−オクチルブロミドの合成
n−オクチルアルコール0.247g(1.9mmol)と25.91wt%DMFBアセトニトリル溶液1.60g(DMFB分 0.414g,2.1mmol)とアセトニトリル3.86gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、室温で5時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定によりn−オクチルブロミドの生成(親イオン192,ベースピーク135)を確認した。また、GC分析値からn−オクチルブロミドの収率は98.8%であった。
【0054】
実施例7
安息香酸ブロミドの合成
安息香酸0.24g(2.0mmol)と25.91wt%DMFBアセトニトリル溶液1.60g(DMFB分 0.414g,2.1mmol)とアセトニトリル3.86gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、室温で43時間反応させた。GC分析により、反応結果は、安息香酸ブロミド11.0%、安息香酸フルオリド31.5%、無水安息香酸26.0%、未反応の安息香酸16.0%であった。
【0055】
実施例8
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージド(DMFI)の合成
合成例1で合成した2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(DFI)13.56g(0.10mol)とヨウ化ナトリウム15.0g(0.10mol)とアセトニトリル125gを300ml四つ口フラスコに装入して遮光、窒素雰囲気下、25℃で4時間反応させた。2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヨージドの収率は79%であった。
物性値は以下の通りである。
FABMS:117((M−I)+)、361((2×M−I)+).
F分析:理論値 2.47wt%,実測値2.77wt%.
I分析:理論値 16.38wt%,実測値16.41wt%.
1H−NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒,CH3CN基準,24℃):3.02(s、6H、−CH3×2)、3.93(s、4H、−CH2CH2−).13C NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、DMSO−d6基準、24℃):31.6(s,−CH3×2)、46.7(s,−CH2CH2−)、157.6(d、J=278Hz、C−F).
【0056】
実施例9
ベンジルヨージドの合成
ベンジルアルコール0.216g(2.0mmol)と31.73wt%DMFIアセトニトリル溶液1.92g(DMFI分 0.610g,2.5mmol)とアセトニトリル3.8gを反応容器に入れ、遮光、窒素雰囲気下、室温で5時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、ベンジルヨージドの生成(親イオン218、ベースピーク92)を確認した。また、GC分析値からベンジルヨージドの収率は92.2%であった。
【0057】
実施例10
安息香酸フルオリドの合成
安息香酸0.60g(4.91mmol)と31.73wt%DMFIアセトニトリル溶液4.13g(DMFI分 1.31g,5.36mmol)とアセトニトリル3.8gを反応容器に入れ、遮光、窒素雰囲気下、室温で12時間反応させた。GC分析により、反応結果は安息香酸フルオリド35.7%、無水安息香酸17.2%、未反応の安息香酸40.6%であった。
【0058】
実施例11
2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージドの合成
合成例1で合成したDFIの11.7wt%アセトニトリル溶液19.78g(0.017mol)とヨウ化ナトリウム2.55g(0.017mol)とアセトニトリル10mlを100ml四つ口フラスコに装入して遮光、窒素雰囲気下、25℃で3時間反応させて、2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージドを合成した。
【0059】
実施例12
ベンジルヨージドの合成
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリド8.45g(0.05mol)、ヨウ化ナトリウム29.98g(0.20mol)とアセトニトリル60mlを100ml四つ口フラスコに装入して遮光、窒素雰囲気下、25℃で55時間反応させた。続いて、この反応マスに、ベンジルアルコール5.4g(0.05mol)を加えて遮光、窒素雰囲気下、60℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、ベンジルヨージドの生成(親イオン,218)を確認した。反応収率は62%であった。
【0060】
実施例13
ベンジルヨージドの合成
実施例11で得られた2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージドに、ベンジルアルコール1.2g(0.011mol)を加えて遮光、窒素雰囲気下、25℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、ベンジルヨージドの生成(親イオン、218)を確認した。反応収率は90%であった。
【0061】
実施例14
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ヨージド(DMCI)の合成
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの16.90g(0.10mol)とヨウ化ナトリウム14.99g(0.100mol)とアセトニトリル60gを100ml四つ口反応フラスコに装入し、窒素雰囲気下、遮光しながら室温で40時間反応させた。反応液から無機塩を濾別し、濃度27.3%のDMCI/アセトニトリル溶液82.6gを得た。DMCIの収率は86.6%であった。
物性値は以下の通りである。
上記溶液のハロゲン(ヨード分)分析:計算値 13.3%、実測値 13.1%、上記溶液のハロゲン(塩素分)分析:計算値 3.7%、実測値 3.8%、1H−NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、CH3CN基準、21℃):3.12(s、6H、−CH3×2)、4.00(s、4H、−CH2−CH2−)、13C−NMR(δ、ppm、CH3CN溶媒、DMSO−d6基準、21℃):34.5(s、−CH3×2)、49.9(s、−CH2−CH2−)、155.9(s、=C−Cl)、FAB−MS(マトリックス:m−ニトロベンジルアルコール:133〔(DMCI−I)+〕,393〔(2×DMCI−I)+〕
【0062】
実施例15
ベンジルヨージドの合成
ベンジルアルコール1.08g(9.98mmol)と27.3wt%DMCIアセトニトリル溶液11.43g(DMCI分 3.12g,11.98mmol)を反応容器に入れ、遮光、窒素雰囲気下、60℃で40時間反応させた。反応終了後、反応液のGC−MS測定により、ベンジルヨージドの生成(親イオン218、ベースピーク92)を確認した。また、GC分析値からベンジルヨージドの収率は86.5%であった。
【0063】
実施例16
安息香酸クロリドの合成
安息香酸1.22g(9.99mmol)と27.3wt%DMCIアセトニトリル溶液11.43g(DMCI分 3.12g、11.98mmol)とアセトニトリル20.0gを反応容器に入れ、遮光、窒素雰囲気下、60℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液のGC−MS測定及びGC分析により、安息香酸クロリドの生成を確認した(親イオン 140、ベースピーク105)。副生成物として無水安息香酸(ベースピーク 105)が生成しており、それぞれの反応収率は、安息香酸クロリド92.5%、無水安息香酸5.5%であった。
【0064】
実施例17
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=ブロミド(DMCB)の合成
2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロリドの50.00g(0.296mol)と臭化ナトリウム30.86g(0.300mol)とアセトニトリル240mlを500ml四つ口反応フラスコに装入し、窒素雰囲気下、80℃で30時間反応させた。反応液を70℃以上で熱時濾過して無機塩を分別した後脱溶媒し、アセトニトリルを析出固体1gに対して0.7ml使用し再結晶してDMCBを白色結晶として得た。
得られたDMCBの重量は、37.5g、収率59.34%であった。
物性値は以下の通りである。
ハロゲン(臭素分)分析:計算値 37.4%、実測値 37.7%
ハロゲン(塩素分)分析:計算値 16.6%、実測値 16.4%
1H−NMR(δ、ppm、CD3CN溶媒,TMS基準、21℃):3.15(s、6H、−CH3×2)、4.00(s、4H、−CH2−CH2−)
13C−NMR(δ、ppm、CD3CN溶媒、CD3CN基準、21℃):35.2(s、−CH3×2)、50.8(s、−CH2−CH2−)、156.3(s、=C−Cl) FABMS(マトリックス:m−ニトロベンジルアルコール):133〔(DMCB−Br)+〕、347〔(2×DMCB−Br)+の同位体ピーク〕
【0065】
実施例18
n−オクチルブロミドの合成
n−オクチルアルコール 1.30g(9.98mmol)とDMCB 2.14g(10.02mmol)とアセトニトリル 50mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、33時間反応させた。反応終了後、反応溶液のGC−MS測定により、n−オクチルブロミドの生成(ベースピーク 55、標準チャートとの一致)を確認した。又、GC分析から反応収率は96%であった。
【0066】
実施例19
ベンジルブロミドの合成
ベンジルアルコール 1.08g(9.99mmol)とDMCB 2.14g(10.02mmol)とアセトニトリル 50mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、24時間反応させた。反応終了後、反応溶液のGC−MS測定により、ベンジルブロミドの生成(親イオン 170、ベースピーク 91)を確認した。又、GC分析から反応収率は85%であった。
【0067】
実施例20
安息香酸クロリドの合成
安息香酸 1.22g(9.99mmol)とDMCB 2.14g(10.02mmol)とアセトニトリル 50mlを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、84℃、24時間反応させた。反応終了後、反応溶液のGC−MS測定及びGCの標準物質との保持時間比較により、安息香酸クロリドの生成(親イオン 140,ベースピーク 105)及び無水安息香酸の生成(ベースピーク 105)を確認した。又、それぞれの反応収率は66%及び12%であった。
【0068】
【発明の効果】
本発明の化合物は、ヒドロキシル基及びカルボキシル基等、酸素含有官能基を有する有機化合物に対して、安全で取扱が容易な、高選択性の新規ハロゲン化剤である。また、その製造から使用までが、なんら特殊な技術を必要とすることなく、経済的かつ、工業的に使用可能である。
Claims (12)
- 一般式(2)
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、一般式(3):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(4):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(5):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(6):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(7):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、式(8):
- 一般式(10)
- 一般式(11):
- 一般式(12):
- 一般式(13):
- 一般式(2)で表されるハロゲン化剤が、一般式(3)で表されるハロゲン化剤であることを特徴とする請求項9〜11のハロゲン化合物の製造方法。
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