JP2002265418A - エチニルフェニルカルボキシレート類の製造方法および新規なエチニルフェニルカルボキシレート類 - Google Patents

エチニルフェニルカルボキシレート類の製造方法および新規なエチニルフェニルカルボキシレート類

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JP2002265418A
JP2002265418A JP2001071478A JP2001071478A JP2002265418A JP 2002265418 A JP2002265418 A JP 2002265418A JP 2001071478 A JP2001071478 A JP 2001071478A JP 2001071478 A JP2001071478 A JP 2001071478A JP 2002265418 A JP2002265418 A JP 2002265418A
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JP2001071478A
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Takanori Fukumura
考記 福村
Hiroshi Sonoda
寛 園田
Hidetoshi Hayashi
秀俊 林
Masahiko Kusumoto
昌彦 楠本
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、医薬原料や液晶原料として有用な新
規なエチニルフェニルカルボキシレート類およびそれら
の工業的に容易かつ安価な新規製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、はそれぞれ水素、C
1〜C4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、C1〜C4の
直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ
基、シアノ基を表し、それぞれ同一でも異なっていても
よく、式中、R5はC2〜20の直鎖または分岐のアル
キル基、C3〜6のシクロアルキル基、主鎖中に少なく
ともひとつの不飽和結合を含むC2〜20の直鎖または
分岐の一価炭化水素鎖を表す。)で表されるエチニルフ
ェニル カルボキシレート類。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なエチニルフ
ェニルカルボキシレート類に関する。さらにはエチニル
フェニルカルボキシレート類の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】エチニ
ルフェニルカルボキシレート類は医薬中間体や液晶の原
料として有用な化合物である。特に4−エチニルフェニ
ルカルボキシレート類はトラン系液晶材料の原料として
有用な化合物になりうるが、従来それらの化合物はほと
んど合成された例がなかった。
【0003】既存のエチニルフェニルカルボキシレート
類としては、K. Matinらによって4−エチニルフェニル
アセテートおよび2,6−ジブロモ−4−エチニルフェ
ニルアセテートが医薬原料を目的とした合成された例が
知られている(Synthesis(1997),(1),12
1−128)。
【0004】また、I.L.Kotlyarevskiiらによって、4
−エチニルフェノールを安定化する目的で4−エチニル
フェニルベンゾエートが合成されている(Izv. Akad.
NaukSSSR,Ser. Khim. 1964(11),2073−
4)。しかし特に液晶用途に有用である比較的長いアル
キル鎖を有するカルボン酸とエステル結合したタイプの
エチニルフェニルカルボキシレート類は今まで安価な製
造法が知られていないことから合成された例はなかっ
た。
【0005】例えばK. Matinらは、4−ヨードフェノー
ルをトリエチルアミン存在下塩化アセチルと反応させて
4−ヨードフェニルアセテートを得、その後Pd(PPh3)4
触媒存在下でエチニル亜鉛ブロマイドと反応させること
によって4−エチニルフェニルアセテートを単離収率7
3%で得ている。しかしこの方法では高価なヨードフェ
ノールを原料に用いており、さらにエチニル亜鉛ブロミ
ドのような有機金属化合物を使用するため、コスト面お
よび安全性、作業性の面からとても安価な工業的製造法
とは言い難い。
【0006】またI.L.Kotlyarevskiiらは4−ヒドロキ
シアセトフェノンを原料に、五塩化りんによる塩素化を
行った後、金属ナトリウム−液体アンモニア中での脱塩
酸および次いで水で処理することによって4−エチニル
フェノールを収率46%で合成した後、エーテル中でエ
ステル化することによって4−エチニルフェニルベンゾ
エートを得ている。この方法は4−エチニルフェノール
そのものが収率が低くかつ不安定なため安価なエチニル
フェニルカルボキシレート類の製造方法とはなり得な
い。
【0007】したがって液晶用途に有用である新規なエ
チニルフェニルカルボキシレート類およびエチニルフェ
ニルカルボキシレート類を安価にかつ工業的に製造でき
る方法の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは一般式(4)
で表される化合物を用いることによって、ヒドロキシア
セトフェノン類を一工程で容易に対応するエチニルフェ
ノール類に変換できる方法を以前見出したが、その後さ
らに検討を続けた結果、驚くべきことにヒドロキシアセ
トフェノン類と一般式(2)で表される化合物を反応さ
せた反応マス中にカルボン酸類を添加してさらに反応さ
せることによって、不安定なエチニルフェノール類を取
出すことなくワンポットでエチニルフェニル カルボキ
シレート類が容易に得られることを見出し、この方法に
よって医薬中間体や液晶材料合成原料として有用である
新規エチニルフェニルカルボキシレート類を製造できる
ことを明らかにし、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は以下の通りである。 (1) 一般式(1)
【化8】 (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水素原子、C
1〜C4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、C1〜C4の
直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニト
ロ基、シアノ基を表し、それぞれ同一でも異なっていて
もよく、式中、R5はC2〜20の直鎖または分岐のアル
キル基、C3〜6のシクロアルキル基、主鎖中に少なく
ともひとつの不飽和結合を含むC2〜20の直鎖または
分岐の一価炭化水素鎖を示す。)で表されるエチニルフ
ェニルカルボキシレート類、
【0010】(2) 一般式(1)で表される化合物
が、一般式(2)
【化9】 (式中、R6はC2〜12の直鎖アルキル基を表す。)で
表される(1)記載のエチニルフェニルカルボキシレー
ト類、
【0011】(3) 一般式(2)で表される化合物
が、4−エチニルフェニルノナノエートである(2)記
載のエチニルフェニル カルボキシレート、
【0012】(4) 一般式(3)
【化10】 (式中、R1、R2、R3、R4は、前記と同じ意味を示
す。)で表されるヒドロキシアセトフェノン類を、下記
一般式(4)
【0013】
【化11】 (式中、R7、R8、R9、R10は、C1〜C6のアルキ
ル基又はアリール基を示し、それぞれ同じであっても異
なっていてもよい。又、式中のR8とR10は結合して5
員環、もしくは6員環を構成していてもよく、R7、R8
またはR9、R10が結合していてもよい。)で表される
化合物と反応させて、アセチル基をエチニル基に変換し
た後、得られた反応混合物中に、さらに一般式(5)
【0014】
【化12】 (式中、R11は水素原子、C1〜20の直鎖または分岐
のアルキル基、C3〜6のシクロアルキル基、置換また
は無置換のアリール基またはアラルキル基、主鎖中に少
なくともひとつの不飽和結合を含むC2〜20の直鎖ま
たは分岐の一価炭化水素鎖を示す。)で表されるカルボ
ン酸類を添加して、エステル化反応させることを特徴と
する一般式(6)
【0015】
【化13】 (式中、R1、R2、R3、R4、R11は、前記と同じ意味
を示す。)で表されるエチニルフェニルカルボキシレー
ト類の製造方法、
【0016】(5) 一般式(4)の化合物が、式
(7)
【化14】 で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イ
ミダゾリジンであることを特徴とする(4)に記載のエ
チニルフェニルカルボキシレート類の製造方法。
【0017】(6) エステル化反応を有機塩基存在下
に行うことを特徴とする(4)および(5)に記載のエ
チニルフェニルカルボキシレート類の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(1)で表されるエチニルフェニルカルボキシレ
ート類の具体例としては、3−エチニルフェニルプロピ
オネート、4−エチニル−3−メトキシフェニルブタノ
エート、4−エチニル−3−フルオロフェニルペンタノ
エート、4−エチニルフェニル−2−エチルヘキサノエ
ート、4−エチニルフェニルシクロプロパンカルボキシ
レート、4−エチニルフェニルアクリレート、3−エチ
ニルフェニルオレイノエート、2−エチニルフェニルク
ロトノエート、2,5−ジメチル−4−エチニルフェニ
ルウンデカノエート、3−エチニル−4−ニトロフェニ
ルドデカノエート、4−シアノ−2−エチニルフェニル
ペンタノエート等を挙げることが出来るが、本発明はこ
こに示した例に制限されるものではない。
【0019】一般式(2)で表されるエチニルフェニル
カルボキシレート類の具体例としては、4−エチニルフ
ェニルプロピオネート、4−エチニルフェニルブタノエ
ート、4−エチニルフェニルペンタノエート、4−エチ
ニルフェニルヘキサノエート、4−エチニルフェニルヘ
プタノエート、4−エチニルフェニルオクタノエート、
4−エチニルフェニルノナノエート、4−エチニルフェ
ニルデカノエート、4−エチニルフェニルウンデカノエ
ート、4−エチニルフェニルドデカノエートである。こ
れらの化合物は新規化合物であり、特に液晶材料の合成
原料として有用であり、それらの中で特に4−エチニル
フェニルノナノエートはトラン系液晶原料として有用で
ある。
【0020】これらの化合物は、従来知られた方法で製
造可能ではあるが、(3)〜(6)に記載の方法で容易
に合成できる。一般式(4)中、R7〜R10で表される
アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基又はアリ
ール基である。例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基、およびフェニル基が挙げられる。
式中のR8とR10は結合して5員環、もしくは6員環を
構成する化合物、および、R7とR8、R9とR10がそれ
ぞれ結合してそれぞれのN原子に結合して炭素数3〜5
のヘテロ環の化合物等が挙げられる。
【0021】一般式(4)で表される化合物の内、具体
例として、ビス−ジメチルアミノ−ジフルオロメタン、
ビス−ジエチルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジプ
ロピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−i−プロ
ピルアミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ブチル
アミノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−i−ブチルアミ
ノ−ジフルオロメタン、ビス−ジ−t−ブチルアミノ−
ジフルオロメタン、ビス−ジ−n−ペンチル−ジフルオ
ロメタン、ビス−ジ−n−ヘキシル−ジフルオロメタ
ン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イミダゾ
リジン、2,2−ジフルオロ−1−エチル−3−メチル
−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−ジエ
チル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオロ−1,3−
ジ−n−プロピル−イミダゾリジン、2,2−ジフルオ
ロ−1,3−ジ−i−プロピル−イミダゾリジン、2,
2−ジフルオロ−1,3−ジ−n−ブチル−イミダゾリ
ジン、N,N−ジメチル−N’−メチル−N’−フェニ
ル−ジフルオロメタン、ビス−ピペリジル−ジフルオロ
メタン等を挙げることが出来るが、本発明はここに示し
た例に制限されるものではない。これらのなかで式
(7)で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチ
ル−イミダゾリジンが特に好ましい。
【0022】これらの化合物の製造は、一般式(8)
【化15】 (式中、R7、R8、R9、R10は前記と同じ意味を示
す。)で表されるクロロホルムアミジニウム=クロリド
とフッ素のアルカリ金属塩とを溶媒中でハロゲン交換反
応を行なわせることによって、安全に且つ容易に得るこ
とが出来る。フッ素のアルカリ金属塩の具体例として
は、フッ化セシウム、フッ化ルビジウム、フッ化カリウ
ム、およびフッ化ナトリウム等が挙げられるが、経済
的、反応効率的にも有利なフッ素化反応用のスプレード
ライフッ化カリウムを用いるのが好ましい。
【0023】一般式(4)で表される化合物を製造する
原料として用いられる一般式(8)で表されるクロロホ
ルムアミジニウム=クロリドは、テトラアルキル尿素、
1,3−ジアルキルイミダゾリジノン等をホスゲン、塩
化チオニル等の塩素化剤で塩素化することによって製造
することが出来る。例えば、2−クロロ−1,3−ジメ
チルイミダゾリニウム=クロリドの製造は、特公昭59
−25375号公報に記載されている方法で容易に製造
することが出来る。
【0024】本発明の一般式(4)で表される化合物の
製造において、ハロゲン交換反応で使用するフッ素のア
ルカリ金属塩の使用量は一般式(8)で表される化合物
に対して好ましくは2倍モル以上、更に好ましくは2〜
5倍モルである。2倍モル未満では未交換のクロリドが
残存し不十分であり、5倍モルを超えて用いても反応成
績は大きく向上しない。
【0025】反応溶媒は、一般式(8)で表される化合
物および一般式(4)で表される化合物と反応しない溶
媒であれば特に制限はない。好ましくはアセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド
等である。溶媒量は特に限定されるものではないが、反
応効率及び操作性から、好ましくは反応基質に対して1
から10重量倍である。反応温度は特に制限はないが、
反応速度と生成物の安定性の面からして−20℃〜15
0℃、好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
【0026】一般式(4)で表される化合物の製造にお
いて、ハロゲン交換反応は四級アルキルアンモニウム塩
や四級アルキルホスホニウム塩等の相関移動触媒を共存
させて行なうことも可能である。得られた一般式(4)
で表される化合物はハロゲン交換反応液のまま、次のエ
チニルフェニルカルボキシレート類の合成反応に使用す
ることが出来る。また、反応液から無機塩を濾別して使
用することも出来るし、或いは無機塩を濾別した後、蒸
留もしくは晶析によって単離して使用することも出来
る。
【0027】原料として使用される一般式(3)で表さ
れるヒドロキシアセトフェノン類の具体例としては、
4’−ヒドロキシアセトフェノン、3’−ヒドロキシア
セトフェノン、2’−ヒドロキシアセトフェノン、4’
−ヒドロキシアセトフェノン、2’,5’−ジメチル−
4’−ヒドロキシアセトフェノン、2’−クロロ−
4’−ヒドロキシアセトフェノン、4’−ヒドロキシ
−5’−メトキシアセトフェノン等が挙げられるが、こ
れらの例示化合物に制限されるものではない。
【0028】一般式(5)で表されるカルボン酸類の具
体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、
ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノ
ナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、2−エ
チルヘキサン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロヘ
キサンカルボン酸、安息香酸、4−メチル安息香酸、フ
ェニル酢酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、
プロピン酸等が挙げられるが、これらの例示化合物に制
限されるものではない。
【0029】一般式(6)で表されるエチニルフェニル
カルボキシレート類の具体例としては、4−エチニルフ
ェニルアセテート、4−エチニルフェニルプロピオネー
ト、4−エチニルフェニルブタノエート、4−エチニル
フェニルペンタノエート、4−エチニルフェニルヘキサ
ノエート、4−エチニルフェニルヘプタノエート、4−
エチニルフェニルオクタノエート、4−エチニルフェニ
ルノナノエート、4−エチニルフェニルデカノエート、
4−エチニルフェニルウンデカノエート、4−エチニル
フェニルドデカノエート、2,6−ジブロモ−4−エチ
ニルフェニルアセテート、4−エチニルフェニルベンゾ
エート、3−エチニルフェニルプロピオネート、4−エ
チニル−3−メトキシフェニルブタノエート、4−エチ
ニル−3−フルオロフェニルペンタノエート、4−エチ
ニルフェニル−2−エチルヘキサノエート、4−エチニ
ルフェニルシクロプロパンカルボキシレート、4−エチ
ニルフェニルアクリレート、3−エチニルフェニルオレ
イノエート、2−エチニルフェニルクロトノエート、
2,5−ジメチル−4−エチニルフェニルウンデカノエ
ート、3−エチニル−4−ニトロフェニルドデカノエー
ト、4−シアノ−2−エチニルフェニルペンタノエート
等を挙げることが出来るが、本発明はここに示した例に
制限されるものではない。
【0030】一般式(3)で表されるヒドロキシアセト
フェノン類を一般式(4)で表される化合物と反応させ
る場合、一般式(4)で表される化合物の使用量は、ヒ
ドロキシアセトフェノン類に対して2〜5当量が望まし
い。2当量未満では原料転化率が低くなるため、あまり
好ましくない。また5当量を超えて使用しても反応成績
はあまり大きく向上しない。
【0031】次のエステル化反応に使用される一般式
(5)で表されるカルボン酸の量は、原料のヒドロキシ
アセトフェノン類に対して0.9〜1.5当量が好まし
い。0.9当量以下では未反応のヒドロキシ体が多く残
存するため、あまり好ましくなく、1.5当量以上では
未反応のカルボン酸が多く残存し好ましくない。またこ
のエステル化反応はそのままでも進行するが、ピリジ
ン、トリエチルアミン等の有機塩基を用いた方が、反応
速度が大きく増大するので好ましい。この際使用する有
機塩基の量は特に制限はないがカルボン酸に対し1〜5
当量が好ましい。
【0032】一般式(3)で表されるヒドロキシアセト
フェノン類を一般式(4)で表される化合物と反応さ
せ、次いで一般式(5)で表されるカルボン酸を添加し
て一般式(6)で表されるエチニルフェニルカルボキシ
レート類を製造する場合の反応溶媒は、一般式(3)で
表されるヒドロキシアセトフェノン類、一般式(4)で
表される化合物、一般式(5)で表されるカルボン酸お
よび一般式(6)で表されるエチニルフェニルカルボキ
シレート類と反応しない溶媒であれば特に制限はない
が、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン
等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニト
ロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジクロロメタン、クロロ
ホルム、エチレンジクロリド等のハロゲン系溶媒、アセ
トニトリル、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プ
ロトン性極性溶媒等である。
【0033】一般式(3)で表されるヒドロキシアセト
フェノン類を一般式(4)で表される化合物と反応さ
せ、次いで一般式(5)で表されるカルボン酸を添加し
て一般式(6)で表されるエチニルフェニルカルボキシ
レート類を製造する場合の反応温度は、好ましくは0℃
〜150℃、更に好ましくは20℃〜120℃の範囲で
ある。0℃未満の温度では、反応速度が極端に遅くなり
好ましくない。150℃を超えると一般式(4)で表さ
れる化合物の安定性が下がるので好ましくない。
【0034】反応により生成したエチニルフェニルカル
ボキシレート類は安定な化合物であり、濃縮や抽出操作
等により反応混合物から容易に取り出すことが出来る。
又、一般式(4)で表される化合物は、反応終了後に
は、テトラアルキル尿素、1,3−ジアルキルイミダゾ
リジノン等として回収することが可能である。回収した
該化合物は、前記の方法で塩素化することによって一般
式(8)で表されるクロロホルムアミジニウム=クロリ
ドとし、さらには一般式(8)で表される化合物とフッ
素のアルカリ金属塩とのハロゲン交換反応を行なわせる
ことによって再び一般式(4)で表される化合物として
使用することが可能である。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、合成例1中のアセトニトリル溶液中の2,2−ジフ
ルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン(以下DFI
と略記する)濃度はDFIをアニリンと反応させて誘導
化した後、高速液体クロマトグラフィー法(以下HPL
Cと略記する)により測定した。又、フッ素イオン(以
下F-と略記する)の濃度測定はランタン−アリザリン
コンプレキソン試薬を用いる吸光光度分析法により行っ
た。エチニルフェニル カルボキシレート類について
は、ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記する)に
より評価した。
【0036】(合成例1) 2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリジン
(DFI)の合成 2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム=クロ
リドの80.0g(0.452mol)とスプレードラ
イ品のフッ化カリウム105.1g(1.810mo
l)とアセトニトリル320mlを500ml四つ口反
応フラスコに装入して窒素雰囲気下、80℃で17時間
反応させた。反応液を25℃まで冷却したあと反応液か
ら無機塩を分別してDFI(MW136.14)のアセ
トニトリル溶液414.2gを得た。溶液中DFI濃度
11.4wt%、収率77%。この反応液の減圧蒸留を
行い、DFI 32g(純度 97.8%)を得た。物
性値は以下の通りである。
【0037】沸点 47.0℃/37mmHg、 EI−MS:136(M+),117(M+−F+)、 IR(neat)cm-1:1486,1385,129
5,1242,1085,966、 F分析:計算値 27.9%,実測値 27.7%、1 H−NMR(δ,ppm,CDCl3,TMS基
準):2.52(s,6H,−CH3×2),3.O5
(s,4H,−CH2CH2−)、13 C−NMR(δ,ppm,CDCl3,−45℃,C
DCl3 基準):31.4(s,−CH3×2),4
7.6(s,−CH2CH2−),128.5(t,J=
230Hz,=CF2)、19 F−NMR(δ,ppm,CDCl3 ,−45℃,C
FCl3 基準):−70.9(s,=CF2 ).
【0038】実施例1 4−エチニルフェニルノナノエートの合成 4'−ヒドロキシアセトフェノン 5.00g(36.
72mmol)と98.7%DFI 11.77g(8
5.33mmol)とアセトニトリル20mlを反応容
器に入れ、窒素雰囲気下還流させながら8時間反応させ
た後、ペラルゴン酸6.97g(44.06mmol)
とピリジン14.37g(181.67mmol)をア
セトニトリル10mlに溶解させた溶液を25分間かけ
て、反応マス中に滴下し、さらに還流条件下4.3時間
反応させた。GC分析の結果、目的の4−エチニルフェ
ニルノナノエートの反応収率は71%であった。得られ
た反応マスに水を添加した後、トルエンにて生成物を抽
出し、その後トルエン相を水洗しついで無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。その後減圧下トルエンを留去し得られ
た褐色オイルをシリカゲルカラム(展開溶媒n−ヘキサ
ン:ジエチルエーテル=7:2)で精製することによっ
てGC純度98%の4−エチニルフェニルノナノエート
5.84g(単離収率60%)を得た。物性値は以下の
とおりである。
【0039】淡黄色オイル、 EI−MS:258(M+)、 IR(KBr錠剤法)cm-1:1762(C=O エス
テル),3298(炭素−炭素3重結合)、1 H−NMR(δ,ppm,CDCl3 ,TMS基
準):0.89(t,3H),1.22〜1.46
(m,10H),1.68〜1.80(m,2H),
2.55(t,2H)、3.05(s,1H),7.0
5(d,2H),7.50(d,2H)、13 C−NMR(δ,ppm,CDCl3,TMS基
準):14.1,22.6,24.9,29.1,2
9.2,31.8,34.4,77.2,82.9,1
19.6,121.7,133.3,151.0,17
1.9。
【0040】実施例2 4−エチニルフェニルアセテートの合成 4'−ヒドロキシアセトフェノン 4.07g(29.
91mmol)と98.7%DFI 10.08g(7
3.08mmol)とアセトニトリル16mlを反応容
器に入れ、窒素雰囲気下還流させながら9時間反応させ
た後、酢酸2.65g(44.13mmol)とピリジ
ン14.31g(180.91mmol)を、反応マス
中に添加しさらに還流条件下4.5時間反応させた。G
C分析の結果、目的の4−エチニルフェニル アセテー
トの反応収率は73%であった。
【0041】実施例3 4−エチニルフェニルアセテートの合成(塩基未使用) 4'−ヒドロキシアセトフェノン2.37g(17.4
1mmol)と98.7%DFI 5.12g(37.
12mmol)とアセトニトリル10mlを反応容器に
入れ、窒素雰囲気下還流させながら4時間反応させた
後、酢酸1.04g(17.37mmol)とアセトニ
トリル10mlの溶液を室温まで冷却した反応マス中に
25分間で滴下し、30分そのまま攪拌をつづけた後還
流下で1時間反応させた。GC分析の結果、目的の4−
エチニルフェニルアセテートの反応収率は5%であっ
た。
【0042】
【発明の効果】本発明は、医薬原料や液晶原料として有
用な新規なエチニルフェニルカルボキシレート類および
それらの工業的に容易かつ安価な新規製造方法を提供す
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楠本 昌彦 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井化学株式 会社内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC13 AC48 BA51 BD70 BJ50 BT16 KA06 4H039 CA66 CD10 CD30 CE10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水素原子、C
    1〜C4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、C1〜C4の
    直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニト
    ロ基、シアノ基を表し、それぞれ同一でも異なっていて
    もよく、式中、R5はC2〜20の直鎖または分岐のアル
    キル基、C3〜6のシクロアルキル基、主鎖中に少なく
    ともひとつの不飽和結合を含むC2〜20の直鎖または
    分岐の一価の炭化水素鎖を示す。)で表されるエチニル
    フェニルカルボキシレート類。
  2. 【請求項2】 一般式(1)で表される化合物が、一般
    式(2) 【化2】 (式中、R6はC2〜12の直鎖アルキル基を示す。)で
    表される請求項1記載のエチニルフェニルカルボキシレ
    ート類。
  3. 【請求項3】 一般式(2)で表される化合物が、4−
    エチニルフェニルノナノエートである請求項2記載のエ
    チニルフェニルカルボキシレート。
  4. 【請求項4】 一般式(3) 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水素原子、C
    1〜C4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、C1〜C4の
    直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニト
    ロ基、シアノ基を表し、それぞれ同一でも異なっていて
    もよい。)で表されるヒドロキシアセトフェノン類を、
    下記一般式(4) 【化4】 (式中、R7、R8、R9、R10は、C1〜C6のアルキ
    ル基又はアリール基を示し、それぞれ同じであっても異
    なっていてもよい。又、式中のR8とR10は結合して5
    員環、もしくは6員環を構成していてもよく、R7、R8
    またはR9、R10が結合していてもよい。)で表される
    化合物と反応させて、アセチル基をエチニル基に変換し
    た後、得られた反応混合物中に、さらに一般式(5) 【化5】 (式中、R11は水素原子、C1〜20の直鎖または分岐
    のアルキル基、C3〜6のシクロアルキル基、置換また
    は無置換のアリール基またはアラルキル基、主鎖中に少
    なくともひとつの不飽和結合を含むC2〜20の直鎖ま
    たは分岐の一価炭化水素鎖を示す。)で表されるカルボ
    ン酸類を添加して、エステル化反応させることを特徴と
    する一般式(6) 【化6】 (式中、R1、R2、R3、R4、R11は、前記と同じ意味
    を示す。)で表されるエチニルフェニルカルボキシレー
    ト類の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(4)の化合物が、式(7) 【化7】 で表される2,2−ジフルオロ−1,3−ジメチル−イ
    ミダゾリジンであることを特徴とする請求項4に記載の
    エチニルフェニルカルボキシレート類の製造方法。
  6. 【請求項6】 エステル化反応を有機塩基存在下に行う
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載のエチニルフェ
    ニルカルボキシレート類の製造方法。
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