JP4551533B2 - 新規フッ素化剤及びフッ素含有化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素含有化合物の製造方法及びフッ素化剤とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般にフッ素化反応は危険を伴い、フッ素ガスの使用や電解反応においては選択性にも乏しいことが知られている。これら従来のフッ素化剤に比較して、デュポン社のDAST(ジエチルアミノサルファートフルオリド)は、アルコール性水酸基を含有する化合物またはカルボニル基を含有する化合物と反応して選択的にまた、効率よくフッ素化合物を製造するフッ素化剤としてよく知られている。
しかしながらそれでも製造や使用の面から安全性に問題があり、また、高価であるために経済的にも問題である。したがって、製造や使用において、安全で経済的でしかも反応において高選択的である新規フッ素化剤の開発が課題となっている。
【0003】
上記課題に対して、我々は、新規フッ素化剤、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンを提案した(特開平12−038370号公報)。該フッ素化剤はDASTとほぼ同等のフッ素化性能を有し、その製造法や使用法また経済性においても優位であるが、高温でのフッ素化反応(約120℃以上)の場合、反応試剤またはフッ素化反応後に生成するウレア体の一部が変質するという問題があった。
【0004】
本発明の課題は上記の先行技術の問題点を解消し、一段と改善されたフッ素化剤及びその製造と使用について提案するものである。
【0005】
本発明者等は、上記課題の解決のために鋭意検討を行なった結果、一般式(1)
【化16】
(式中、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表される化合物が、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、チオフェノール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン、ハロゲン化物等のフッ素化剤として優れていること、更にその製造やフッ素化反応における使用において何ら特殊な装置を必要とする事なく、極めて安全、かつ容易に行なえることを見出した。さらに、本発明のフッ素化剤は高温での反応においても安定であることを見出した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の()から(11)の通りである。
【0007】
(2)一般式(1)
【化18】
(式中、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表されるフッ素化剤。
(3)一般式(1)で表されるフッ素化剤が式(2)
【0008】
【化19】
で表される2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾールである(2)記載のフッ素化剤。
(4)一般式(1)
【0009】
【化20】
(式中、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表される化合物。
(5)式(2)
【0010】
【化21】
で表される2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾール。
【0011】
(6)一般式(3)
【化22】
(Rは、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または無置換の飽和もしくは不飽和のアラルキル基を示す。)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物と、前記(2)に記載の一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(3−1)
【0012】
【化23】
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
(7)一般式(4)
【0013】
【化24】
(式中、Qは酸素または硫黄原子を表し、cは1〜5の整数であり、Yは電子吸引性の置換基を表し、bは1〜5の整数であり、b+c≦6である。)で表されるフェノール類またはチオフェノール類化合物と前記(2)に記載の一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(4−1)
【0014】
【化25】
(式中、Y、b及びcは、前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
(8)一般式(5)
【0015】
【化26】
(式中、Rは、水素原子、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、無置換のアリール基、またはニトロ基若しくはアルコキシ基で置換の飽和もしくは不飽和のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を含有する化合物と前記(2)に記載の一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(5−1)
【0016】
【化27】
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるジフルオロメチル基含有化合物の製造方法。
【0017】
(9)一般式(6)
【化28】
(式中、Rは、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または無置換のアリール基を示す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と前記(2)に記載の一般式(1)で表される前記フッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(6−1)
【0018】
【化29】
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるカルボン酸フルオリド化合物の製造方法。
(10)フッ素化剤が、前記式(2)
【0019】
【化30】
で表される2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾールである(6)〜(9)記載のフッ素含有化合物の製造方法。
(11)一般式(7)
【0020】
【化31】
(式中、X及びXは、塩素または臭素原子を表し、同一でも異なっていても良い、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表される化合物とフッ素原子のアルカリ金属塩またはテトラアルキルアンモニウムフルオリド類を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行なうことを特徴とする(2)記載の一般式(1)で表わされるフッ素化剤の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフッ素化剤は、前記一般式(1)
【0022】
【化32】
(式中、A、R及びRは、前記と同じ意味を示す。)で表される化合物である。
【0023】
これらの一般式において、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0〜4である。好ましくは、nが0の場合、水素原子、またはメチル基、エチル基、メトキシ基等である。
【0024】
及びR は、無置換の炭素数1〜6の低級アルキル基を表す。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の低級アルキル基である。
【0025】
一般式(1)で表される化合物は、好ましい具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はここに示した例に制限されるものではない。
【0026】
(化合物の例)
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル(orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−ベンズイミダゾール、
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル(orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−5−メチル−ベンズイミダゾール、
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル (orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−4−メチル−ベンズイミダゾール、
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル(orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−5−エチル−ベンズイミダゾール、
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル(orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−5−メトキシ−ベンズイミダゾール、
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル(orジエチルor ジn−プロピルor ジイソプロピルor ジn−ブチル)−5−エトキシ−ベンズイミダゾール等である。
【0027】
特に好ましくは式(2)で表される、2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾールまたは、2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−5-メチル−ベンズイミダゾール、2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−4-メチル−ベンズイミダゾールである。
【0028】
本発明の一般式(1)で表されるフッ素化剤は、次の方法で製造できる。即ち、一般式(7)
【0029】
【化33】
(式中、X、X、A、R、Rは、前記と同じ意味を示す。)で表される化合物と、フッ素のアルカリ金属塩またはテトラアルキルアンモニウムフルオリド類を使用して無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行なうことによって製造することができる。一般式(7)で表される化合物は、通常、X、Xは塩素原子である化合物を使用するが、臭素原子である化合物を使用してもよい。具体的には、
2−クロロ−N,N’−ジアルキル−ベンズイミダゾリジウム−クロリド、
2−クロロ−N,N’−ジアルキル−5−アルキル−ベンズイミダゾリジウム−クロリド、
2−クロロ−N,N’−ジアルキル−4−アルキル−ベンズイミダゾリジウム−クロリド、
2−クロロ−N,N’−ジアルキル−5−アルコキシ−ベンズイミダゾリジウム−クロリド、
2−クロロ−N,N’−ジアルキル−4−アルコキシ−ベンズイミダゾリジウム−クロリド等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)で表される化合物を製造する原料として用いられる一般式(7)で表される化合物は、N,N’−ジアルキル−ベンズイミダゾール−2−オン又は、4〜5位に低級アルキル置換基(またはアルコキシ置換基)を持つN,N’−ジアルキル−ベンズイミダゾール−2−オン等をホスゲンまたはチオニルクロライド、チオニルブロマイド、三塩化燐、三臭化燐等のハロゲン化剤でハロゲン化することによって製造することができる。
【0031】
例えば、2−クロロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾリジウム−クロリドを製造するには、N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾール−2−オンをモノクロロベンゼン中に溶解させて、通常80〜130℃でホスゲンを吹き込みながら、通常数時間〜数十時間反応させれば良い。
【0032】
本発明の一般式(1)で表されるフッ素化剤の製造において、ハロゲン交換反応で使用するフッ素のアルカリ金属塩の使用量は、N,N’−ジアルキル−ベンズイミダゾリジウム−ハライドに対して、通常好ましくは2当量以上、更に好ましくは2〜5当量である。ハロゲン交換の反応溶媒は原料及び、生成する化合物と反応しない無反応性溶媒であれば特に制限はない。好ましくはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グライム、ジグライム等である。
【0033】
反応溶媒量は特に限定されるものではないが、反応効率及び操作性から、好ましくは反応基質に対して通常1〜50倍量である。
反応温度は、通常20℃〜150℃、好ましくは50〜120℃の範囲である。
また、ハロゲン交換反応に相間移動触媒であるテトラアルキルアンモニウム塩やテトラアルキルホスホニウム塩、18−クラウン−6等を共存させて行なうことも可能である。
【0034】
また、一般式(7)の化合物にテトラアルキルアンモニウムフルオリドを反応させて一般式(1)の化合物を製造する場合は、テトラアルキルアンモニウムフルオリドの使用量は、一般式(7)の化合物に対して、通常2〜3当量使用すれば良い。反応溶媒にはジクロロメタンが好ましく、反応温度は通常−10〜30℃が適当であり、反応時間は通常1〜3時間あれば良い。
【0035】
得られた一般式(1)で表されるフッ素化剤は、ハロゲン交換反応液のまま次のフッ素化反応に使用することもできるし、あるいは無機塩を濾別して反応溶媒を留去した後、次のフッ素化反応に使用することもできる。
【0036】
本発明のフッ素化剤を使用するフッ素化反応は、極めて容易であり、通常の反応装置を使用して行なうことができる。例えば、反応終了後の反応液にアルコール類を装入して室温で通常数分〜数時間攪拌すると、高収率で対応するフッ素化合物を合成することができる。
【0037】
以下、本発明のフッ素化剤を用いるフッ素化反応を詳しく説明する。
本発明は、一般式(1)で表されるフッ素化剤と、アルコール、フェノール、チオフェノール、アルデヒド、カルボン酸、ケトン、ハロゲン化物のグループの中から選ばれた化合物とを反応させることにより、フッ素含有化合物とすることができる。
(1)従来、アルコール性水酸基のフッ素基への直接的な変換は、フルオロ化合物の合成法の中でも汎用性の高い魅力ある方法である。この変換反応に有効なフッ素化試剤としては、酸性反応剤であるフッ化水素やピリジン−(HF)n、フルオロアルキルアミンのYarovenko試薬やジエチルアミン−ヘキサフルオロプロペン付加物(以下、PPDAと略記する)、4価硫黄化合物のSF4 や三フッ化ジエチルアミノ硫黄(以下、DASTと略記する)および5価リン化合物のPhPF4 が挙げられる。
【0038】
フッ化水素は、先にも述べたように、毒性、腐食性、反応時における爆発危険性等のために取り扱いが難しいこと、特殊な装置や技術が必要であること等の欠点がある。ピリジン−(HF)nのフッ素化力はフッ化水素自身よりも優れているが、他のフッ素化試剤と比較してそれほど高くない。
【0039】
フルオロアルキルアミンのYarovenko試薬は、クロロトリフルオロエテンにジエチルアミンを付加して得られるフッ素化試剤であり、多くの第一級および第二級アルコールを溶媒中温和な条件下でフッ素化するが、それ自身の安定性が低い(密閉し冷暗所で数日間の保存が可能)〔J.Gen.Che.USSR,19,2125(1959)〕。
これより安定で取り扱いやすく同等の反応性を有するものとしてPPDAが多用されている。
【0040】
最近では、フルオロアミン系の新しいタイプのフッ素化試剤としてN,N−ジイソプロピル−α−フルオロエナミンが報告されている。〔Tetrahedron Lett.,30,3077(1989)〕。これらの試薬はアルコール性水酸基のフッ素化試剤として有用であるが、その合成の煩雑さと経済性の面から工業的に実施するのは困難である。
【0041】
その他DAST等はアルコール性水酸基のフッ素基への置換においても、前記と同様の問題点がある。我々は、特開平12−038370号公報で新規のフッ素化剤、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンを提案し、これがアルコール性水酸基のフッ素基への直接の変換反応に有効であることを示した。
【0042】
我々の先願同様に、本発明のフッ素化剤も安全で取り扱い容易であり、フッ素化反応において、高選択性でフッ素化物が得られる。
本発明のフッ素化剤を使用すると、従来のフッ素化剤の問題点を解消したアルコール性水酸基のフッ素化反応を行うことができる。
【0043】
本発明のフッ素化剤を用いて、アルコール性水酸基を有する化合物からフッ素化合物の製造は次の通りである。
【0044】
すなわち、一般式(3):
【化34】
(式中、R3は前記と同じ意味を示す。)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物を、本発明のフッ素化剤と反応させて一般式(3−1):
【0045】
【化35】
(式中、R3は前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素化合物を製造する。
【0046】
フッ素化される水酸基を有するアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、ネオアミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、プロパギルアルコール等の第一級アルコール;およびイソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−メチルヘキシルアルコール、1−エチルペンチルアルコール、1−メチルヘプチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、sec−フェネチルアルコール等の第二級アルコール;およびtert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール等の第三級アルコール等のアルコールが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0047】
これらの一般式(3)で表されるアルコール類から、それぞれ対応する一般式(3−1)で表されるフッ素化合物であるアルキルフルオリド類を得ることができる。
【0048】
フッ素化剤の使用量はアルコールの水酸基に対して通常1当量以上あればよい。反応で発生するフッ化水素は三級アミン等の塩基を使用して捕捉することができる。
【0049】
反応溶媒は、フッ素化剤及び、アルコールがフッ素化されて生成するフッ素化合物が反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、o-ジクロロベンゼン、グライム、ジグライム等である。
【0050】
反応温度は、反応溶媒およびアルコール類の水酸基の反応性によって左右されるが、通常、好ましくは−40℃〜150℃、特に好ましくは−20℃〜80℃の範囲である。
ただし、生成するフッ素化合物が低沸点であったり、また、脱フッ化水素を起こしやすい構造を有している場合は、できるだけ反応温度を抑える必要がある。
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。
【0051】
(2)フェノール性水酸基のフッ素基への直接の変換反応例は極めて少ない。我々は、特開平12−038370号公報で新規のフッ素化剤、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンを提案し、これがフェノール性水酸基のフッ素基への直接の変換反応に有効であることを示した。
我々の先願同様に本発明のフッ素化剤もまた、フェノール性水酸基のフッ素化反応に好適に用いることができる。また、チオフェノールのフッ素化反応も可能である。しかし、この反応では、スルフィド又はジスルフィド化合物の副生を伴う傾向がある。
【0052】
また、このフェノール性水酸基のフッ素化反応により、芳香環に位置選択的にフッ素原子を導入し芳香族フッ素化合物を製造できる。その反応方法は次のようである。
【0053】
すなわち、一般式(4):
【化36】
(式中、Q、Y、bおよびcは、前記と同じ意味を示す。)で表されるフェノール類またはチオフェノール類化合物を、本発明のフッ素化剤と反応させて、一般式(4−1):
【0054】
【化37】
(式中、Y、bおよびcは、前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素化合物を製造する。
【0055】
フッ素化されるフェノール性化合物としては、同芳香環に少なくとも1個以上の吸電子性置換基(例えば、−NO2 ,−CN,−CF3 ,−CHO,−COOH,−CO−等)を有するものである。好ましい例としては、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−シアノフェノール、、p−シアノフェノール、p−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル、p−ヒドロキシ−トリフルオロメチルベンゼン、o−ヒドロキシ−トリフルオロメチルベンゼン、4,4’−ジ−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、p−ヒドロキシ−安息香酸、o−ニトロチオフェノール、p−ニトロチオフェノール等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
これらの一般式(4)で表されるフェノール類またはチオフェノール類から対応する一般式(4−1)で表されるフッ素化合物が得られる。
【0056】
フッ素化剤の使用量は、フェノールの水酸基またはチオフェノール基に対して通常1当量以上あればよい。反応で発生するフッ化水素は、三級アミン等の塩基を使用して捕捉することができる。
【0057】
反応溶媒は、フッ素化剤及び、フェノールまたはチオフェノールがフッ素化されて生成するフッ素化合物が反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、o-ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グライム、ジグライム等である。
【0058】
反応温度は、反応溶媒およびフェノール類の水酸基またはチオフェノール基の反応性によって左右されるが、反応速度と本発明のフッ素化剤の安定性の面から、好ましくは通常0℃〜190℃、特に好ましくは20℃〜170℃の範囲である。
【0059】
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。また2,2−ジフルオロ−N,N’−ジアルキルベンズイミダゾールは反応終了後には、N,N’−ジアルキルベンズイミダゾール−2−オンとして回収可能である。特に、高温(実施例は150℃)での反応でも、N,N’−ジアルキルベンズイミダゾール−2−オンとしての回収率は高いという特徴を持つ。
【0060】
(3)アルデヒド基の酸素のフッ素基への直接的な変換もまた、フッ素化合物の合成法の中で有用な方法である。
前記公知フッ素化剤の中、アルデヒド基やケトンのカルボニル基の直接のフッ素化反応についてはSF4 及びDASTが用いられている例がある。しかしながら、これらのフッ素化剤は前述したような理由から、その使用に制限が大きいために十分であるとは言い難い。
【0061】
我々は、特開平12−038370号公報で新規のフッ素化剤、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンを提案し、これがアルデヒド基のジフルオロメチレン基への直接の変換反応に有効であることを示した。同様に本発明のフッ素化剤でもアルデヒド類のフッ素化により、ジフルオロメチレン基を持つ化合物の合成が効果的に達成できる。その方法は以下の通りである。
【0062】
すなわち、一般式(5):
【化38】
(式中、Rは、水素原子、無置換の飽もしくは不飽和のアルキル基、無置換のアリール基、またはニトロ基若しくはアルコキシ基で置換の飽和もしくは不飽和のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を有する化合物と本発明のフッ素化剤を反応させて一般式(5−1):
【0063】
【化39】
(式中、R4は、前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素化合物を製造する。
このように、本発明のフッ素化剤を使用して、アルデヒド基の酸素の直接的フッ素化が効果的に達成できる。
【0064】
アルデヒド基がフッ素化される化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサアルデヒド、ヘプトアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、フタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等の脂環式アルデヒド等が挙げられる。
これらのアルデヒド類に対応する一般式(5−1)で表されるフッ素化合物が得られる。
【0065】
フッ素化剤の使用量は、アルデヒド基に対して通常1当量以上が好ましい。
反応溶媒は、フッ素化剤及び、アルデヒド基を有する化合物および反応生成物と反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド、N−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、o−ジクロロベンゼン、グライム、ジグライム等である。
反応温度は、好ましくは通常0〜190℃、特に好ましくは20℃〜180℃の範囲である。
【0066】
反応により生成したフッ素化合物は、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができ、また2,2−ジフルオロ−N,N’−ジアルキルベンズイミダゾールは反応終了後には、N,N’−ジアルキルベンズイミダゾール−2−オンとして回収可能である。
【0067】
(4)カルボン酸からカルボン酸フルオリドへの変換反応に用いられるフッ素化試剤としては、Yarovenko試薬、ヘキサフルオロプロペン(PPDA)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(以下、DASTと略記する)等が挙げられる。
しかしながらYarovenko試薬については、試剤の保存安定性がやや低いとされており、PPDAの方がより安定な試薬とされているが、その原料であるヘキサフルオロプロペンの製造には特殊な設備が必要とされる。
【0068】
DASTはカルボキシル基を効率的にフッ素化してカルボン酸フルオリドを与えるのみならず、第一、第二および第三級アルコールの水酸基、カルボニル基等の酸素含有官能基のフッ素化試剤とし有用ではあるが、特殊な製造設備が必要なこと、DASTが高価であること、爆発の危険性が高い等の問題点がある。
また、WO96/04297号公報にテトラアルキル−フルオロホルムアミジニウム=ヘキサフルオロホスフェートがカルボン酸基のすぐれたフッ素化剤として記載されているが、その製造においてポタシウムヘキサフルオロホスフェートを使用する分、原料費と製造工程が増えて非経済的となっている。
【0069】
我々は、特開平12−038370号公報で新規のフッ素化剤、ビス−ジアルキルアミノ−ジフルオロメタンを提案し、これがカルボン酸基からカルボン酸フルオリドのへ変換反応に有効であることを示した。
本発明のフッ素化剤もまた同様に、カルボン酸基からカルボン酸フルオリドのへ変換反応が可能である。得られる含フツ素化合物はライフサイエンス分野または機能性材料分野の中間体として近年注目を集めている化合物である。
【0070】
本発明のフッ素化剤を用いるカルボン酸フルオリドの製造は次のようである。すなわち、一般式(6):
【化40】
(式中、R5 は、無置換の飽和または不飽和のアルキル基、または無置換のアリール基を表す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と本発明のフッ素化剤を反応させて一般式(6−1):
【0071】
【化41】
(式中、R5は前記と同じ意味を示す。)で表される酸フルオリド類を製造する。
【0072】
フッ素化反応に用いるカルボン酸類は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、3−メチルブタン酸、ビバリン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、アセト酢酸、フェニルプロピオン酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、1,5−ペンタンジカルボン酸、アジピン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、1−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、3−メチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、1,3−ジシクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸およびジカルボン酸;安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、4−イソプロピル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族モノカルボン酸およびジカルボン酸;インドール−2−カルボン酸、インドール−3−カルボン酸、ニコチン酸等の複素環式カルボン酸等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。これらのカルボン酸類からそれぞれ対応する一般式(6−1)で表される酸フルオリド類が得られる。
【0073】
フッ素化剤の使用量は、カルボキシル基に対して、通常、1当量以上あればよい。
反応は、通常、反応溶媒中で行われ、用いられる反応溶媒は、使用するフッ素化剤、及び生成するカルボン酸フルオリドが反応しない溶媒であれば特に制限はないが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、o−ジクロロベンゼン等である。
【0074】
反応温度は、反応溶媒およびカルボキシル基の反応性によって左右されるが、反応速度、副生成物の生成を抑制するために、好ましくは通常−40℃〜100℃、特に好ましくは−20℃〜80℃の範囲である。反応により生成したカルボン酸フルオリドは、蒸留等により反応混合物から容易に取り出すことができる。
また2,2−ジフルオロ−N,N’−ジアルキルベンズイミダゾールは反応終了後には、N,N’−ジアルキルベンズイミダゾール−2−オンとして回収可能である。
【0075】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例1および実施例2中の2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾール(以下、DFDMBと略す)濃度は、DFDMBをアニリンと反応させて誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィー法(以下HPLC法と略す)によって測定した。また、フッ素イオン(以下Fと略す)の濃度測定はアリザリンコンプレキソン試薬を用いる吸光光度分析法によって行った。塩素イオンの分析は硝酸銀滴定法によって行なった。
【0076】
(合成例1)N,N’−ジメチルベンズイミダゾール−2−オン(DMBI)の合成
ベンズイミダゾール−2−オン 100gとジメチルホルムアミド 400gを攪拌器、温度計、冷却コンデンサーを備えた1Lの反応容器に装入し、攪拌しながら溶解した。次に、攪拌を続けながらtert−ブトキシカリウム 50gを装入して30分間19〜40℃で保持した。次に、ヨードメタン63.15gを徐々に装入して30分間保持した。この間反応温度は30〜60℃に保った。さらに、3回、交互にtert−ブトキシカリウム 50gとヨードメタン63.15gの装入を繰り返した後、反応を終了した。反応マスに水 400mlと ジクロロメタン 400mlを加えて攪拌抽出を行なった。分液してジクロロメタン層を水洗した後、脱水、ジクロロメタン留去と行なって粗 DMBI 92.5gを得た。最後に、四塩化炭素で再結晶精製を行ない、精 DMBI 88gを得た(GC純度99%、収率73%)。
【0077】
(合成例2)2−クロロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾリジウム−クロリド(CDMBI)の合成
上記合成で得たDMBI 45gとモノクロロベンゼン175gを反応容器に入れ、ホスゲンによる塩素化反応を行なった(反応温度 100℃、反応時間 15h)。反応終了後、濾過・洗浄・乾燥と行ない、CDMBIの白色結晶 35gを得た(純度 100% 、取り出し収率 58%)。
【0078】
実施例1
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾール(DFDMB)の合成
窒素ボックス中で、合成例2で得たCDMBI 2.01g(9.3mmol)と、モレキュラシーブスで脱水したジクロロメタン 50mlを小型反応容器に入れ、これをマグネチックスターラーで攪拌しながら、これにテトラメチルアンモニウムフルオリド純度96.8% 2.02g(21.0mmol)を約5分間で分割装入した。この間、反応温度は室温16℃から27℃まで昇温した。
【0079】
この後密栓をして2時間反応を行なった。反応終了後、濾過してジクロロメタン層 63gを取り出した。ジクロロメタン層の一部を取り、塩素分測定とHPLC,GC分析を行なった。分析結果より、DFDMB 5.35mmolとDMBI 2.72mmolが生成していることが分かった(DFDMBの反応収率 57%)。残りのジクロロメタン層を二分割して、一方はジクロロメタンを減圧下に留去し、残った残分をアセトニトリル2mlで溶解し、これをNMR測定用の試料液とした。
また、残り半分のジクロロメタン層は減圧下にジクロロメタンを留去して残分(固体)を取り出し、DI−MS測定用の試料とした。
各分析値を以下に示す。
【0080】
塩素分:不検出
DI−MS:184(M)+,165(M−F)+
1H−NMR(δ,ppm,CH3CN溶媒,CH3CN基準,23℃) : 3.15(s,6H,−CH3 ×2),6.73(m,2H,−CH×2),6.89(m,2H,−CH×2)
13C−NMR(δ,ppm,CH3CN溶媒,CDCl3基準,−20℃) :26.5(s,−CH×2),105.6(s,−CH×2),120.0(−CH×2),129.0(t,JCF=230Hz,−CF2×2),133.0(−CH×2),
【0081】
実施例2
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾール(DFDMB)の合成
窒素ボックス中で、合成例2で得たCDMBI 0.50g(2.31mmol)と、モレキュラシーブスで脱水したジクロロメタン 15mlを小型反応容器に入れ、これをマグネチックスターラーで攪拌しながら、これにテトラメチルアンモニウムフルオリド純度86.9% 0.487g(4.55mmol)を約5分間で分割装入した。この間、反応温度は室温20℃から28℃まで昇温した。
この後密栓をして1時間反応を行なった。反応終了後、濾過してジクロロメタン層 19gを取り出した。ジクロロメタン層の一部を取り、フッ素イオン及び塩素イオンの測定を行なった、フッ素イオンは4.65mmol検出、塩素イオンは不検出であった。また、HPLC、GC分析結果より、DFDMB 1.95mmolとDMBI 0.37mmolが生成していることが分かった(DFDMBの反応収率 84%)。
【0082】
実施例3
2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾール(DFDMB)の合成
小型オートクレーブ中に、合成例2で得たCDMBI 2.0g(9.26mmol)、スプレードライ KF2.15g(37mmol)、モレキュラシーブスで脱水したアセトニトリル40mlを装入し、密閉して100℃、30時間反応を行なった。反応終了後、濾過によりアセトニトリル層を取り出し、フッ素イオン及び塩素イオンの測定を行なった、測定値より計算の結果、フッ素イオンは8.45mmol検出、塩素イオン 0.467mmol検出であった。また、HPLC、GC分析結果より、DFDMB3.16mmolとDMBI 5.11mmolが生成していることが分かった,但し、塩素イオンが検出されていることから、一部塩素イオンを含む2−フルオロ−N,N’−ジメチル−ベンズイミダゾリジウム−クロリドが生成しているものと思われる。
【0083】
実施例4
ベンジルフルオリドの合成
小型反応容器に、実施例3で得たDFDMBのアセトニトリル溶液 5g(0.50mmol)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながらこれに、ベンジルアルコール 0.054g(0.50mmol)/アセトニトリル2mlの溶液を滴下した。室温にて1時間反応させた後、反応マスのGC測定を行なった。測定値の計算結果より、ベンジルフルオリド 0.274mmol(反応収率54%)、ベンジルクロリド 0.066mmol(反応収率13%)が生成していることが分かった。
【0084】
実施例5
ベンジルフルオリドの合成
小型反応容器に、実施例2と同様の方法で得たDFDMBのジクロロメタン溶液7g(0.67mmol)を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながらこれに、ベンジルアルコール 0.072g(0.67mmol)/ジクロロメタン5mlの溶液を滴下した。室温にて1時間反応させた後、反応マスのGC測定を行なった。測定値の計算結果より、ベンジルフルオリド 0.61mmol(反応収率91%)が生成していることが分かった。
【0085】
実施例6
p−フルオロ安息香酸メチルエステルの合成
小型反応容器に、実施例1と同様の方法で得た純度53.4%のDFDMB 1.307g(3.80mmol)、o-ジクロロベンゼン 10ml、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステル 0.385g(2.528mmol)]を装入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、窒素ガス微加圧下で150℃ 5時間反応を行なった。冷却後、濾過して濾液についてGC及びGC−MSにより分析を行なった。GC−MSの測定より、p−フルオロ安息香酸メチルエステル(M+152)の生成を確認した。GC測定値より、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルの転化率 55%、p−フルオロ安息香酸メチルエステルの生成 0.324mmol、選択率 23%であった。また、反応により生成した N,N’−ジメチルベンズイミダゾール−2−オン 3.601mmolを検出した。これは使用したDFDMBの95%に相当する。
【0086】
比較例1
p−フルオロ安息香酸メチルエステルの合成
小型反応容器に、2,2-ジフルオロ-1,3-ジメチルイミダゾリジン(DFI)0.715g(5.25mmol)、o-ジクロロベンゼン 10mmol、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステル 0.50g(3.29mmol)を装入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、窒素ガス微加圧下で150℃ 5時間反応を行なった。冷却後、濾過して濾液についてGC及びGC−MSにより分析を行なった。GC−MSの測定より、p−フルオロ安息香酸メチルエステル(M+152)の生成を確認した。GC測定値より、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルの転化率 61%、p−フルオロ安息香酸メチルエステルの生成 0.361mm ol、選択率 18%2.956mmolを検出した。これは使用したDFIの56%に相当する。
【0087】
比較例2
p−フルオロ安息香酸メチルエステルの合成
小型反応容器に、2,2-ジフルオロ-1,3-ジメチルピリミジン(DFDMP)0.783g(5.21mmol)、o-ジクロロベンゼン 10mmol、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステル 0.53g(3.477mmol)を装入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、窒素ガス微加圧下で150℃ 5時間反応を行なった。冷却後、濾過して濾液についてGC及びGC−MSにより分析を行なった。GC−MSの測定より、p−フルオロ安息香酸メチルエステル(M+152)の生成を確認した。GC測定値より、p-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルの転化率 63%、p−フルオロ安息香酸メチルエステルの生成 1.180mmol,選択率 34%であった。また、反応により生成した N,N’-ジメチルプロピレンウレア5.21mmolを検出した。これは使用したDFIの100%に相当する。
【0088】
実施例7
α,α−ジフルオロトルエンの合成
小型反応容器に、実施例2と同様の方法で得たDFDMBのジクロロメタン溶液 16.0g(DFDMB 1.142mmol)、o-ジクロロベンゼン 10ml、ベンズアルデヒド0.101g(0.952mmol)]を装入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、窒素ガス微加圧下で85℃ にてジクロロメタンを系外に留出させた。この後、150℃に昇温して 5時間反応を行なった。冷却後、濾過して濾液についてGC及びGC−MSにより分析を行なった。GC−MSの測定より、α,α−ジフルオロトルエン(M+ 1 28)の生成を確認した。GC測定値より、α,α−ジフルオロトルエンの生成 0.50mmol,反応収率 52.5%であった。
【0089】
実施例8
安息香酸フルオリドの合成
小型反応容器に、実施例2と同様の方法で得たDFDMBのジクロロメタン溶液6.43g(DFDMB 0.459mmol)、o-ジクロロベンゼン 10ml、ベンズアルデヒド 0.101g(0.952mmol)]を装入し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、窒素ガス微加圧下20℃、0.5時間反応を行なった。反応終了後、ジクロロメタン層のGC−MS測定を行なったところ、安息香酸フルオリド(M+ 124)の生成を確認した。他に反応生成物は検出されなかった。
【0090】
【発明の効果】
本発明のフッ素化剤に係る化合物は、アルコール、フェノール、チオフェノール、アルデヒド、カルボン酸、ケトン、ハロゲン化物を有する化合物に対して、安全で取扱が容易な、高選択性のフッ素化剤である。また、本発明のフッ素化剤の製造は、特殊な設備も技術も必要とせず経済的に製造可能である。また、本フッ素化剤は、120〜150℃におけるフッ素化反応において安定であり、反応終了後のウレア体回収率が高いという特徴がある。
本発明のフッ素化剤は、化合物そのものの製造が、従来技術の問題点を解消した工業的な方法で製造可能であり、また有機化合物、特に酸素含有官能基を有する化合物のフッ素化剤として優れた効果を示す。

Claims (10)

  1. 一般式(1)
    (式中、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表されるフッ素化剤。
  2. 一般式(1)で表されるフッ素化剤が式(2)
    で表される2,2−ジフルオロ−N,N'−ジメチルベンズイミダゾールである請求項1記載のフッ素化剤。
  3. 一般式(1)
    (式中、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表される化合物。
  4. 一般式(1)で表される化合物が、式(2)
    で表される2,2−ジフルオロ−N,N'−ジメチルベンズイミダゾールである請求項3に記載の化合物。
  5. 一般式(3)
    (Rは、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または無置換の飽和もしくは不飽和のアラルキル基を示す。)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物と、請求項1に記載の一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(3−1)
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
  6. 一般式(4)
    (式中、Qは酸素または硫黄原子を表し、cは1〜5の整数であり、Yは電子吸引性の置換基を表し、bは1〜5の整数であり、b+c≦6である。)で表されるフェノール類またはチオフェノール類化合物と請求項1に記載の一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(4−1)
    (式中、Y、b及びcは、前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
  7. 一般式(5)
    (式中、Rは、水素原子、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、無置換のアリール基、またはニトロ基もしくはアルコキシ基で置換の飽和もしくは不飽和のアリール基を表す。)で表されるアルデヒド基を含有する化合物と請求項1に記載の一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(5−1)
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
  8. 一般式(6)
    (式中、Rは、無置換の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または無置換のアリール基を示す。)で表されるカルボン酸基を有する化合物と請求項1に記載の一般式(1)で表されるフッ素化剤を反応させることを特徴とする一般式(6−1)
    (式中、Rは前記と同じ意味を示す。)で表されるフッ素含有化合物の製造方法。
  9. フッ素化剤が、下記式(2)
    で表される2,2−ジフルオロ−N,N’−ジメチルベンズイミダゾールである請求項5〜8記載のフッ素含有化合物の製造方法。
  10. 一般式(7)
    (式中、X及びXは、塩素または臭素原子を表し、同一でも異なっていても良い、Aは、無置換のアルキル基または無置換のアルコキシ基を表し、nは0から4である。R及びRは炭素数1〜6の無置換の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていても良い。)で表される化合物とフッ素原子のアルカリ金属塩またはテトラアルキルアンモニウムフルオリド類を無反応性の溶媒中でハロゲン交換反応を行なうことを特徴とする請求項1に記載の一般式(1)で表されるフッ素化剤の製造方法。
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