JP2005154379A - 4、4’−ジビニル置換芳香族化合物の製造方法 - Google Patents
4、4’−ジビニル置換芳香族化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、電子材料、例えばチップコンデンサー材料として有用なポリマーを合成する為のモノマーとして使用されるジビニル置換芳香族化合物の新しい製造方法に関する。
ジフェニル化合物のアセチル化反応、還元反応、脱水反応によりジビニル置換芳香族化合物を得る方法が非特許文献1に記載されている。しかしながら、この方法は、高温、高真空条件下において脱水反応によりカルビノール基をビニル基に変換するルートを採用しており、さらに生成したジビニル置換芳香族化合物を蒸留により回収する方法であるため、特殊な反応装置を必要とし、また反応性に富むジビニル置換芳香族化合物の重合による収率低下やライン閉塞が生じ易いため、工業的規模で生産することは困難である。
また、ハロメチル置換芳香族化合物のホルミル化については、酢酸水溶液中、ヘキサメチレンテトラミンと反応させ、次いで塩酸水溶液と反応させることにより1−クロロメチルナフタレンをホルミル化する方法が非特許文献2に記載され、さらに、五酸化バナジウム存在下、硝酸水溶液と反応させることによりベンジルクロライド化合物をホルミル化する方法が特許文献1に記載され、更にまた、クロロホルム溶媒中、ヘキサメチレンテトラミンと反応させ、次いで加水分解することによりジクロロメチルジフェニルスルフィドをホルミル化する方法が非特許文献3に記載され、更には、エタノール水溶液中、ヘキサメチレンテトラミンと反応させ、次いで加水分解することによりジクロロメチルジフェニルスルフィドをホルミル化する方法が非特許文献4に記載されているが、本発明にいうところのジハロメチル置換芳香族化合物を酢酸水溶液中ヘキサメチレンテトラミンと反応させ次いで加水分解することによりジホルミル化する方法は知られていない。
一方、特許文献2には、ベンズアルデヒド誘導体とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下に有機溶媒中で反応させてスチレン誘導体を製造する方法が開示されているが、本発明の特徴とする合成ルート及び特にジホルミル体のジビニル化については知られていない。
Journal ofpolymer science: part A Vol.1, pp. 217-226, 1963
Organic Syntheses, CV4, 690
Farmaco Ed Sci.,19,1964, 964-971
J.Med.Pharm.Chemical,4,1961,177-182
特開昭57-18644号公報
特開平8‐157410号公報
本発明は、高純度のジビニル置換芳香族化合物の工業的に有利な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジフェニル化合物をハロメチル化してジハロメチル置換芳香族化合物とし、次いでこれをホルミル化してジホルミル化合物を得、最後にビニル化するルートを採用することによって、従来公知の製造方法に比して、特殊な反応装置を必要とすることなく低温、常圧条件下において、工業的に有利に、高純度のジビニル置換芳香族化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(2)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物(以下、単にジホルミル体と略称することがある)とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物(以下、単にジビニル体と略称することがある)の製造方法(請求項1)(左の記載は必要でしょうか?)である。
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物(以下、単にジホルミル体と略称することがある)とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物(以下、単にジビニル体と略称することがある)の製造方法(請求項1)(左の記載は必要でしょうか?)である。
また本発明は、一般式(3)
式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物(以下、単にジハロメチル体と略称することがある)をヘキサメチレンテトラミンと有機酸水溶液中で反応させ、次いで強酸と反応させることにより、一般式(2)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法(請求項2)(左の記載は必要でしょうか?)である。
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物(以下、単にジハロメチル体と略称することがある)をヘキサメチレンテトラミンと有機酸水溶液中で反応させ、次いで強酸と反応させることにより、一般式(2)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法(請求項2)(左の記載は必要でしょうか?)である。
更にまた、本発明は一般式(4)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジフェニル化合物(以下、単にジフェニル体と略称することがある)をハロメチル化して一般式(3)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物を得、次いでホルミル化して一般式(2)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法(請求項3)(左の記載は必要でしょうか?)である。
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジフェニル化合物(以下、単にジフェニル体と略称することがある)をハロメチル化して一般式(3)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物を得、次いでホルミル化して一般式(2)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法(請求項3)(左の記載は必要でしょうか?)である。
本発明の方法によれば、高純度の4,4’−ジビニル置換芳香族化合物を工業的有利に製造することができる。すなわち、ジフェニル体をハロメチル化してジハロメチル体とし、次いでこれをホルミル化してジホルミル体を得、最後にビニル化してジビニル体を得るルートを採用する本発明の構成によれば、従来公知の製造方法に比して、特殊な反応装置を必要とすることなく、低温、常圧条件下において、高純度の4,4’−ジビニル置換芳香族化合物を製造することができる。
以下、本発明の方法をさらに具体的詳細に説明する。
本発明の方法は、前記一般式(4)で示されるジフェニル体をハロメチル化して一般式(3)で示されるジハロメチル体とし、次いでこれをホルミル化して一般式(2)で示されるジホルミル体とし、最後にこのジホルミル体を、特定の反応条件下にビニル化するという構成を採用することにより目的とする一般式(1)で示される高純度のジビニル置換芳香族化合物を製造するものである。
本発明の方法は、前記一般式(4)で示されるジフェニル体をハロメチル化して一般式(3)で示されるジハロメチル体とし、次いでこれをホルミル化して一般式(2)で示されるジホルミル体とし、最後にこのジホルミル体を、特定の反応条件下にビニル化するという構成を採用することにより目的とする一般式(1)で示される高純度のジビニル置換芳香族化合物を製造するものである。
本発明の方法において、ジフェニル体のハロメチル化は、以下のような方法で工業的に有利に実施される。
本発明の方法において用いられるジフェニル体としては一般式(4)
(式中、Xは−(CH2)n−(nは1〜4の整数)、−S−、−C(CH3)2−、−O−、
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示され、具体的にはジフェニルメタン、1,2−ジフェニルエタン、1,3−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルブタン、ジフェニルスルフィド、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルスルフォキサイド、ベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明の方法において用いられるジフェニル体としては一般式(4)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示され、具体的にはジフェニルメタン、1,2−ジフェニルエタン、1,3−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルブタン、ジフェニルスルフィド、2,2−ジフェニルプロパン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルスルフォキサイド、ベンゾフェノン等が挙げられる。
ハロメチル化は、具体的には、例えば、以下のような方法で工業的に容易に実施される。
(1)シクロヘキサン溶媒中、塩化亜鉛の存在下、パラホルムアルデヒドと塩化チオニルによりクロロメチル基を導入する方法。
(2)酢酸と濃硫酸の混合溶媒中、パラホルムアルデヒドと臭化ナトリウムによりブロモメチル基を導入する方法。
(3)トリクロロ酢酸溶媒中、パラホルムアルデヒドと濃塩酸によりクロロメチル基を導入する方法。
(1)シクロヘキサン溶媒中、塩化亜鉛の存在下、パラホルムアルデヒドと塩化チオニルによりクロロメチル基を導入する方法。
(2)酢酸と濃硫酸の混合溶媒中、パラホルムアルデヒドと臭化ナトリウムによりブロモメチル基を導入する方法。
(3)トリクロロ酢酸溶媒中、パラホルムアルデヒドと濃塩酸によりクロロメチル基を導入する方法。
ハロメチル化反応終了後、反応マスを冷却し析出した結晶を濾別、濾別した結晶を水洗するか、または反応マスを水に注加した後、トルエン、塩化メチレン等の有機溶媒で抽出するか、あるいは反応マスに水、有機溶媒を順次添加し、トルエン、塩化メチレン等の有機溶媒に抽出する方法でジハロメチル体を含む有機溶媒層を得て、得られた有機層を水洗した後濃縮することにより、粗製品を得ることができる。この粗製品はアセトン、メタノール、シクロヘキサン、トルエン等の溶媒から再結晶することにより精製することができる。
なお、ハロメチル化反応において塩化亜鉛を使用した場合、次工程に使用するジハロメチル体に含有する塩化亜鉛は1%以下、好ましくは0.1%以下にすることが好ましい。塩化亜鉛の含有量が1%を超えるジハロメチル体を次工程のホルミル化工程に使用する際に、多量の副生物が生成する傾向を示す。これによりジホルミル体の収率低下、高純度のジホルミル体の回収が困難となり、さらには目的物であるジビニル体の収率、純度にも悪影響を及ぼすため、好ましくないことを見出した。
本発明の方法において、ジハロメチル体のホルミル化は、具体的には、例えば、以下のような方法で、工業的に有利に実施される。
すなわち、前記ジハロメチル体を、有機酸水溶液中、ヘキサメチレンテトラミンと反応させ、次いで強酸と反応させることにより行われる。
すなわち、前記ジハロメチル体を、有機酸水溶液中、ヘキサメチレンテトラミンと反応させ、次いで強酸と反応させることにより行われる。
ここで、有機酸水溶液における有機酸としては、具体的には、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸などが挙げられる。中でも酢酸を有機酸として使用することが好ましい。
また、有機酸水溶液の使用量は、1〜10倍重量(対仕込みジハロメチル体)、好ましくは5〜8倍重量(対仕込みジハロメチル体)であり、有機酸濃度は20〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。
また、有機酸水溶液の使用量は、1〜10倍重量(対仕込みジハロメチル体)、好ましくは5〜8倍重量(対仕込みジハロメチル体)であり、有機酸濃度は20〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。
ヘキサメチレンテトラミンは、ハロメチル基をアミノメチル基とし、さらにアミノメチル基をヘキサメチレンテトラミンから生成したメチレンイミンとの不均化反応によりシッフ塩基に変換するために使用される試薬である。ヘキサメチレンテトラミンの使用量は、ジハロメチル体に対して2〜6倍モル、好ましくは4〜5倍モルである。ヘキサメチレンテトラミンの使用量が2倍モルよりも低いと副生物が増大するため収率が低下し、6倍モルを超えると未反応ヘキサメチレンテトラミンが過大になり、経済的に好ましくない。
ここで、強酸は、ハロメチル基とヘキサメチレンテトラミンとの反応により生成したシッフ塩基を加水分解することによりホルミル基に変換するために使用される試薬である。
強酸としては、具体的には、塩酸、硫酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、フルオロ酢酸、トリブロモ酢酸、ジブロモ酢酸、モノブロモ酢酸などに代表されるハロゲン化脂肪族カルボン酸、シュウ酸などの2塩基酸などが挙げられる。中でも、工業用の濃塩酸(37重量%水溶液)を用いるのが、入手容易で安価なことから好都合である。その使用量は、ジハロメチル体に対して6〜12倍モル、好ましくは7〜9倍モルである。強酸の使用量が6倍モルよりも低いと反応が完全に進行しないため収率が低下し、12倍モルを超えてもそれに見合った収率の向上は望めず、反応容器単位容積当りの生産性が悪くなるため、経済的に好ましくない。
強酸としては、具体的には、塩酸、硫酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、フルオロ酢酸、トリブロモ酢酸、ジブロモ酢酸、モノブロモ酢酸などに代表されるハロゲン化脂肪族カルボン酸、シュウ酸などの2塩基酸などが挙げられる。中でも、工業用の濃塩酸(37重量%水溶液)を用いるのが、入手容易で安価なことから好都合である。その使用量は、ジハロメチル体に対して6〜12倍モル、好ましくは7〜9倍モルである。強酸の使用量が6倍モルよりも低いと反応が完全に進行しないため収率が低下し、12倍モルを超えてもそれに見合った収率の向上は望めず、反応容器単位容積当りの生産性が悪くなるため、経済的に好ましくない。
ジハロメチル体とヘキサメチレンテトラミンとの反応温度は50℃〜130℃、好ましくは80℃〜105℃である。反応温度が上記の範囲内であれば、常圧下、加圧下のいずれで反応を実施してもよい。反応温度が50℃より低いと反応の進行が遅くなり、反応温度が130℃を超えると副生物が増加するため収率が低下し、経済的でない。
強酸との反応温度は50℃〜130℃、好ましくは80℃〜105℃である。反応温度が上記の範囲内であれば、常圧下、加圧下のいずれで反応を実施してもよい。反応温度が50℃より低いと反応の進行が遅くなり、反応温度が130℃を超えると副生物が増加するため収率が低下し、経済的でない。
ジハロメチル体とヘキサメチレンテトラミンとの反応時間は、5分から5時間、好ましくは30分から2時間である。反応時間が5分よりも短いと反応が完結しないため収率が低下し、5時間より長くてもそれに見合った収率の向上は望めず、経済的でない。
強酸との反応時間は、5分から5時間、好ましくは30分から2時間である。反応時間が5分よりも短いと反応が完結しないため収率が低下し、5時間より長くてもそれに見合った収率の向上は望めず、経済的でない。
反応終了後、反応液にトルエン、塩化メチレン等の有機溶媒を添加し抽出することにより、ジホルミル体を含む有機層を得る。得られた有機層を水洗した後濃縮することにより粗製物を得ることができる。この粗製物はアセトン、メタノール等の溶媒から再結晶することにより精製することができる。
本発明の方法において、ジホルミル体のビニル化は、具体的には、例えば、以下のような方法で、工業的に有利に実施される。
すなわち、有機溶媒中、亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、ジホルミル体とジブロモメタンとを反応させることにより、工業的に、有利に行われる。
すなわち、有機溶媒中、亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、ジホルミル体とジブロモメタンとを反応させることにより、工業的に、有利に行われる。
ここで、ジブロモメタンは、ホルミル基をビニル基とするメチレン化剤として使用される。ジブロムメタンの使用量はジホルミル体に対して2〜20倍モル、好ましくは2〜4倍モルである。使用量が2倍モルよりも低いと反応が完結しないためジビニル体の収率が低下し、20倍モルを超えると反応には何等の影響はないが、反応容器単位容積当りの生産性が悪くなること及び未反応のジブロムメタンの量が増加するため、経済的に好ましくない。
亜鉛金属の使用量はジホルミル体に対して4〜40倍モル、好ましくは6〜10倍モルである。使用量が4倍モルよりも少ないとジビニル体の収率が低下し、40倍モルを超えると反応上支障はないが、未反応亜鉛金属が過大になること及びそれに付随して反応溶媒の使用量が増大するため、工業上不利である。
活性な塩化物は、亜鉛金属を活性化してジブロムメタンの反応を選択的に円滑に進行するために使用される試薬である。この活性化する塩化物としては、クロロシラン化合物、ブロモシラン化合物などのハロゲン化シラン化合物、アルキルクロロシラン化合物、塩化チオニル、無水塩化水素、塩化アセチル等のアシルクロライド等の塩化物が挙げられる。特に、ハロゲン化シラン化合物とアシルクロライド化合物が好適である。
塩化物の使用量は亜鉛金属に対して0.002〜1倍モル、好ましくは0.005〜0.5倍モルである。使用量が0.002倍モルより低いとジビニル体の収率が低下し、1倍モルを超える場合は未反応塩化物が増大し、経済的に不利になる。
塩化物の使用量は亜鉛金属に対して0.002〜1倍モル、好ましくは0.005〜0.5倍モルである。使用量が0.002倍モルより低いとジビニル体の収率が低下し、1倍モルを超える場合は未反応塩化物が増大し、経済的に不利になる。
上記亜鉛金属と活性塩化物はジホルミル体、反応剤であるジブロムメタンと共に反応装置中に仕込んで本発明の方法を実施してもよい。この場合は反応装置中で亜鉛金属は塩化物により活性化され原料とジブロムメタンの反応を円滑に進行させる。しかし、反応初期に急激な発熱を伴い反応温度の制御を考慮する必要があるので、予め、亜鉛金属を活性な塩化物で活性化してから、原料のジホルミル体とジブロムメタンを反応溶剤に溶解した調製液を徐々に添加して反応させた方が工業的に好ましい。この場合、反応溶媒に亜鉛金属粉末を撹拌懸濁せしめ、反応温度まで加温した後、所定量の活性塩化物を滴下して活性化処理操作を行う。
ビニル化の反応溶媒は、含窒素極性有機溶媒を使用すると反応が円滑に進行し、ジビニル体が収率よく得られる。含窒素極性有機溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
溶媒の使用量は、ジホルミル体に対して1〜15倍重量、好ましくは5〜9倍重量である。使用量が1倍重量より少ないとジホルミル体が溶解しない、あるいは生成したジビニル体の重合反応が多量に生じ易くなるため収率が低下し、15倍重量を超えてもそれに見合った収率の向上は望めず、さらに反応容器単位容積当りの生産性が悪くなるため経済的に好ましくない。
反応温度は100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応温度が100℃を超えるとジビニル体の収率が低下するので好ましくない。
反応温度は100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応温度が100℃を超えるとジビニル体の収率が低下するので好ましくない。
反応終了後、反応生成物中にジビニル体の他に未反応の亜鉛金属、活性化された亜鉛金属、臭化亜鉛等の亜鉛化合物が存在して目的物であるジビニル体を分離精製する際の障害となる恐れがある。特に、活性化された塩化亜鉛等によって、目的物のビニル基の重合が起こる恐れがある。そこで、この活性化された亜鉛化合物を無害にするために、飽和塩化アンモニウム水溶液を反応生成物に添加すれば、この活性化された亜鉛化合物は、水により活性を失い、臭化亜鉛は塩化アンモニウムと錯塩を形成して水溶液に移行し不活性化できる。この場合、飽和塩化アンモニウム水溶液の添加量は、通常仕込み亜鉛金属1モルに対して1〜3倍モルの範囲が好ましい。なお、飽和臭化アンモニウム水溶液を用いても同様の効果を示す。
反応マスからのジビニル体の取り出しはトルエン、塩化メチレン等の有機溶媒を添加し抽出することにより、ジビニル体を含む有機層を得る。得られた有機層を水洗した後濃縮することにより粗製物を得ることができる。この粗製物はメタノール等の溶媒から再結晶することにより精製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
実施例1
ジフェニルメタン750g(4.5モル)、パラホルムアルデヒド321.3g(10.7モル)、塩化亜鉛425g(3.1モル)及びシクロヘキサン975gを5L 4口フラスコに加え、攪拌しつつ40℃にまで昇温した。その後、反応マスを40℃に保持した状態で、塩化チオニル690g(5.8モル)を、滴下ロートを用いて4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後6時間反応させた。反応終了時のLCによる分析純度は未反応のジフェニルメタン 0エリア%、4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 53エリア%であった。
反応マスを15℃に冷却し、吸引濾過を行い、15℃に冷却したシクロヘキサンで洗浄した。水で中性になるまで洗浄した後、室温減圧下にて乾燥した。これをジクロロメタンに溶解させ、吸引濾過により不溶解分を除去した後、溶媒を溜去することで、粗製品366gを得た。粗製品のLCによる分析純度は4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 99エリア%であった。
ジフェニルメタン750g(4.5モル)、パラホルムアルデヒド321.3g(10.7モル)、塩化亜鉛425g(3.1モル)及びシクロヘキサン975gを5L 4口フラスコに加え、攪拌しつつ40℃にまで昇温した。その後、反応マスを40℃に保持した状態で、塩化チオニル690g(5.8モル)を、滴下ロートを用いて4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後6時間反応させた。反応終了時のLCによる分析純度は未反応のジフェニルメタン 0エリア%、4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 53エリア%であった。
反応マスを15℃に冷却し、吸引濾過を行い、15℃に冷却したシクロヘキサンで洗浄した。水で中性になるまで洗浄した後、室温減圧下にて乾燥した。これをジクロロメタンに溶解させ、吸引濾過により不溶解分を除去した後、溶媒を溜去することで、粗製品366gを得た。粗製品のLCによる分析純度は4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 99エリア%であった。
この粗製品366gをアセトン732gから再結晶することにより4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン308gを得た。LCによる分析純度は4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 100エリア%であった。収率は、出発原料ジフェニルメタンに対して26%であった。
次に、4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン350g(1.3モル)、ヘキサメチレンテトラミン740g(5.3モル)、酢酸1150g及び水道水1100gを5L 4口フラスコに加え、100℃まで昇温し、1.5時間反応させた。次に35%塩酸1100g(10.5モル)を滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了時のLCによる分析純度は未反応の4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタン 0エリア%、4,4’-ジホルミルジフェニルメタン
76エリア%であった。
76エリア%であった。
反応マスを20℃に冷却し、ジクロロメタン1100mlで抽出した。分液後、ジクロロメタン層を水道水1100mlで3回、5重量%炭酸ナトリウム1100mlで1回、さらに水道水1100mlで1回洗浄を行い、濃縮することにより粗製品261gを得た。粗製品のLCによる分析純度は86エリア%であった。
この粗製品 261gをメタノール391gから再結晶することにより4,4’-ジホルミルジフェニルメタン 184gを得た。LCによる分析純度は100エリア%であった。収率は、出発原料4,4’-ジクロロメチルジフェニルメタンに対して46%であった。
亜鉛粉末219g(3.3モル)、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)400gを2L 4口フラスコに加え、攪拌しながら系内を窒素置換した。次いで、50℃まで昇温し、塩化アセチル
5g(0.1モル)を15分間かけて滴下した。引き続き同温度で15分間攪拌を続け亜鉛金属の活性化を終了した。次いで、4,4’-ジホルミルジフェニルメタン
100g(0.4モル)、ジブロムメタン232g(1.3モル)からなる混合液を内温50℃に保ちながら2時間かけて滴下した。引き続き同温度で反応を30分間行った。反応終了時のLCによる分析純度は未反応の4,4’-ジホルミルジフェニルメタン 0エリア%、4,4’-ジビニルジフェニルメタン 90エリア%であった。
5g(0.1モル)を15分間かけて滴下した。引き続き同温度で15分間攪拌を続け亜鉛金属の活性化を終了した。次いで、4,4’-ジホルミルジフェニルメタン
100g(0.4モル)、ジブロムメタン232g(1.3モル)からなる混合液を内温50℃に保ちながら2時間かけて滴下した。引き続き同温度で反応を30分間行った。反応終了時のLCによる分析純度は未反応の4,4’-ジホルミルジフェニルメタン 0エリア%、4,4’-ジビニルジフェニルメタン 90エリア%であった。
反応マスを3℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(濃度 約29重量%) 716gを冷却しながら滴下し、攪拌混合した。次いで濾過助剤としてラジオライト 57gを加えて懸濁している未反応亜鉛を濾別、ジクロロメタン1300gにて洗浄した。分液後、ジクロロメタン層を水道水1000mlで3回洗浄を行い、濃縮することにより粗製品 97gを得た。粗製品のLCによる分析純度は89エリア%であった。
この粗製品97gをメタノール484gから再結晶することにより4,4’-ジビニルジフェニルメタン69.9gを得た。LCによる分析純度は98エリア%であった。収率は、出発原料4,4’-ジホルミルジフェニルメタンに対して66%であった。
この粗製品97gをメタノール484gから再結晶することにより4,4’-ジビニルジフェニルメタン69.9gを得た。LCによる分析純度は98エリア%であった。収率は、出発原料4,4’-ジホルミルジフェニルメタンに対して66%であった。
実施例2
ジフェニルスルフィド30.0g(0.2モル)、パラホルムアルデヒド10.2g(0.3モル)、臭化ナトリウム39.1g(0.4モル)及び酢酸48.3gを1L 4口フラスコに加え、攪拌しつつ85℃まで昇温した。その後、反応マスを85℃に保持した状態で、98%硫酸 61.2gと酢酸32.2gの混合液を滴下ロートを用いて3時間かけて滴下し、さらに滴下終了後3時間反応させた。反応終了後のLCによる分析純度は未反応ジフェニルスルフィド 0エリア%、4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィド 53エリア%であった。
ジフェニルスルフィド30.0g(0.2モル)、パラホルムアルデヒド10.2g(0.3モル)、臭化ナトリウム39.1g(0.4モル)及び酢酸48.3gを1L 4口フラスコに加え、攪拌しつつ85℃まで昇温した。その後、反応マスを85℃に保持した状態で、98%硫酸 61.2gと酢酸32.2gの混合液を滴下ロートを用いて3時間かけて滴下し、さらに滴下終了後3時間反応させた。反応終了後のLCによる分析純度は未反応ジフェニルスルフィド 0エリア%、4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィド 53エリア%であった。
反応マスを25℃まで冷却し、水道水323.3gにパージ、ジクロロメタン67.7gにより抽出した。分液後、ジクロロメタン層を水道水150gで3回洗浄した後、乾固することにより粗製品59.1gを得た。LCによる分析純度は4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィド 57エリア%であった。
この粗製品59.1gをシクロヘキサン120.0gから再結晶することにより4,4’-ジブロムメチルジフェニルスルフィド23.1gを得た。LCによる分析純度は99エリア%であった。
この粗製品59.1gをシクロヘキサン120.0gから再結晶することにより4,4’-ジブロムメチルジフェニルスルフィド23.1gを得た。LCによる分析純度は99エリア%であった。
4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィド50g(0.1モル)、ヘキサメチレンテトラミン75.4g(0.5モル)、酢酸117.1g及び水道水111.9gを1L 4口フラスコに加え、105℃まで昇温し、2時間反応させた。次に35%塩酸112.1g(1.1モル)を滴下し、さらに10分間反応させた。反応終了時のLCによる分析純度は未反応の4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィド 0エリア%、4,4’-ジホルミルジフェニルスルフィド
78エリア%であった。
78エリア%であった。
反応マスを20℃に冷却し、ジクロロメタン250gで抽出した。分液後、ジクロロメタン層を水道水200mlで3回、5重量%炭酸ナトリウム200mlで1回、さらに水道水200mlで1回洗浄を行い、濃縮することにより粗製品28gを得た。粗製品のLCによる分析純度は86エリア%であった。
この粗製品28gをアセトン 14gから再結晶することにより4,4’-ジホルミルジフェニルスルフィド 17gを得た。LCによる分析純度は99エリア%であった。収率は、出発原料4,4’-ジブロモメチルジフェニルスルフィドに対して53%であった。
亜鉛粉末30.4g(0.5モル)、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)60gを1L 4口フラスコに加え、攪拌しながら系内を窒素置換した。次いで、50℃まで昇温し、塩化アセチル0.7g(0.01モル)を15分間かけて滴下した。引き続き同温度で15分間攪拌を続け亜鉛金属の活性化を終了した。
次いで、4,4’-ジホルミルジフェニルスルフィド15.0g(0.1モル)、ジブロムメタン32.3g(0.2モル)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)67.5gからなる混合液を内温50℃に保ちながら2時間かけて滴下した。引き続き同温度で反応を30分間行った。反応終了時のLCによる分析純度は未反応の4,4’-ジホルミルジフェニルスルフィド 0エリア%、4,4’-ジビニルジフェニルスルフィド 84エリア%であった。
反応マスを3℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(濃度 約29重量%) 89.4gを冷却しながら滴下し、攪拌混合した。次いで濾過助剤としてラジオライト 8gを加えて懸濁している未反応亜鉛を濾別、ジクロロメタン225gにて洗浄した。
分液後、ジクロロメタン層を水道水100mlで3回洗浄を行い、濃縮することにより粗製品15gを得た。粗製品のLCによる分析純度は89エリア%であった。
分液後、ジクロロメタン層を水道水100mlで3回洗浄を行い、濃縮することにより粗製品15gを得た。粗製品のLCによる分析純度は89エリア%であった。
この粗製品15gをメタノール45gから再結晶することにより4,4’-ジビニルジフェニルスルフィド11gを得た。LCによる分析純度は98エリア%であった。収率は、出発原料4,4’-ジホルミルジフェニルスルフィドに対して77%であった。
本発明の製造方法により得られた前記一般式(1)で示される4,4’−ジビニル置換芳香族化合物は、電子材料、例えばチップコンデンサー材料として有用なポリマーを合成する為のモノマーとして使用される有用な化合物である。
Claims (6)
- 一般式(3)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物をヘキサメチレンテトラミンと有機酸水溶液中で反応させ、次いで強酸と反応させることにより、一般式(2)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法。 - 一般式(4)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジフェニル化合物をハロメチル化して一般式(3)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表し、YはCl又はBrを表す)
で示されるジハロメチル置換芳香族化合物を得、次いでホルミル化して一般式(2)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジホルミル置換芳香族化合物を得、次いで該ジホルミル置換芳香族化合物とジブロモメタンとを亜鉛金属と活性な塩化物との存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする一般式(1)
>SO2、>S=O 又は>C=Oを表す)
で示されるジビニル置換芳香族化合物の製造方法。 - 一般式(1)で示されるジビニル置換芳香族化合物のXが、−CH2−又は−S−である請求項1乃至請求項3の何れかに記載のジビニル置換芳香族化合物の製造方法。
- 有機溶媒が含窒素極性化合物である請求項1乃至請求項4の何れかに記載のジビニル置換芳香族化合物の製造方法。
- 亜鉛金属を活性な塩化物で予め処理して反応に供する請求項1乃至請求項5の何れかに記載のジビニル置換芳香族化合物の製造方法。
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-
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