JP3618413B2 - 内視鏡装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は体腔内に挿入される処置具と組合わされて使用され、内視鏡の観察像の一部又は全部を撮像手段によって撮像する内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、処置具と内視鏡とがそれぞれ別個に患者の体腔内に挿入され、体腔内に挿入された処置具の先端部分の画像を内視鏡の観察視野内に捕らえ、処置具による患部の処置状態を内視鏡によって観察しながらその処置作業を行う内視鏡下の手術が知られている。
【0003】
この種の内視鏡下手術で使用される内視鏡装置として特開平5−337118号公報が開示されている。ここに示された内視鏡装置では内視鏡を保持する多関節型のマニピュレータが設けられている。そして、内視鏡下の手術中、内視鏡によって観察される観察画像の画像処理により処置具の先端部の位置が検出され、処置具の先端部の移動に対応してマニピュレータを動かし、内視鏡の視野を処置具の先端部に向けた状態で保持するようになっている。
【0004】
また、特開平5−337117号公報に示された内視鏡装置では内視鏡を保持する2関節型のマニピュレータと、鉗子等の処置具を保持する2関節型のマニピュレータとが設けられている。そして、内視鏡下の手術中、マニピュレータの関節角より処置具の先端部の位置が検出され、処置具の先端部の移動に対応してマニピュレータを動かし、内視鏡の視野を処置具の先端部に向けた状態で保持するようになっている。
【0005】
また、USP5,279,309にはマニピュレータが内視鏡を保持するとともに、例えば鉗子等の処置具の先端部にLED光ファイバーで導光して標識を形成し、この標識を画像処理で検出する構成が示されている。
【0006】
さらに、特願平6−308740号には内視鏡下の手術中、内視鏡によって観察される処置具の位置情報にもとづく画像メモリの切り出しで内視鏡の視野制御を行い、内視鏡の視野を処置具の先端部に向けた状態で保持する技術が示されている。
【0007】
また、特開平2−103023号公報にはカメラの振動による画像の振れを検出し、ここで検出された画像の振れ情報に応じてカメラの撮像素子を移動させて画像の振れを防止する構成のビデオカメラが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−337118号公報や、特開平5−337117号公報、USP5,279,309では内視鏡下の手術中、内視鏡の視野方向を変更するためにマニピュレータを動作させているので、このとこのマニピュレータの動作が術者の処置の妨げとなる問題がある。
【0009】
また、特願平6−308740号では内視鏡によって観察される観察画像の一部を切り出し、その切り出し部分を局部的に拡大してモニタ画面に表示するようになっているためモニタ画面に表示される画像の画質が劣る問題がある。
【0010】
また、特開平2−103023号公報ではカメラ自体の振動による画像の振れを検出し、ここで検出された画像の振れ情報に応じてカメラの撮像素子を移動させているので、このカメラによって撮影される対象物の動きには対応できない問題がある。
【0011】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、内視鏡下の手術中、術者の処置作業を妨げることなく、体腔内に挿入された処置具の移動に追従して内視鏡の視野を変更することができる内視鏡装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、術部の観察像を伝送する観察光学系と、前記観察光学系から伝送される観察像の一部又は全部を撮像可能な撮像面を有する撮像手段と、前記撮像手段を含み、所定の空間を有する撮像ユニットと、前記撮像ユニットに設けられ、前記所定の空間内において前記撮像手段を移動可能な移動手段と、前記撮像手段によって撮像される撮像信号に基づいて観察範囲に投入される処置具の位置情報を検出する位置情報検出手段と、前記位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて前記移動手段を駆動制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とする内視鏡装置である。
【0013】
そして、本発明では、観察光学系から伝送される観察像の一部又は全部を撮像手段によって撮像し、観察光学系の観察範囲に挿入される処置具の位置情報を撮像手段からの撮像信号に基づいて位置情報検出手段によって検出する。この位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて駆動制御手段によって移動手段を駆動制御することにより、観察光学系の観察範囲に対して撮像手段を移動して撮像手段の撮像範囲を変更するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1(A)乃至図4を参照して説明する。図1(A)は内視鏡装置全体の概略構成を示すものである。この内視鏡装置には患者の体腔内を観察する例えば腹腔鏡等の直視型の硬性のスコープ(内視鏡)1が設けられている。
【0015】
このスコープ1には患者の体腔内に挿入される挿入部2と、この挿入部2の基端部に配設された接眼部3とが設けられている。さらに、このスコープ1には図2(A)に示すように挿入部2の先端面に対物レンズ4、接眼部3に接眼レンズ5がそれぞれ配設されているとともに、挿入部2を形成する円筒状の筒体6内には複数のリレーレンズ7がそれぞれ適宜の間隔を存して対物レンズ4と接眼レンズ5との間に並設されている。なお、スコープ1の光学系には図示しない歪み除去レンズが設けられている。
【0016】
また、スコープ1の挿入部2は予め例えば患者の腹壁部8等に穿刺されたトラカール9内に挿通され、体腔内に挿入されている。ここで、スコープ1の挿入部2の接眼部3側は多関節構造、本実施の形態では3関節構造のスコープ保持具10によって移動可能に保持されている。なお、このスコープ保持具10には定位置に固定される基台部10aと、この基台部10aに基端部が第1の関節部10bを介して回動可能に連結された第1のアーム10cと、この第1のアーム10cの先端部に基端部が第2の関節部10dを介して回動可能に連結された第2のアーム10eと、この第2のアーム10eの先端部に基端部が第3の関節部10fを介して回動可能に連結されたスコープホルダ10gとが設けられている。
【0017】
また、患者の腹壁部4等には処置具である鉗子11がスコープ1の挿入場所とは別の挿入場所から体腔内に挿入されている。この鉗子11には体腔内に挿入される挿入部12の先端部に処置部13が配設されている。さらに、挿入部12の基端部には手元側のハンドル部14が配設されている。そして、このハンドル部14の開閉操作にともない処置部13が遠隔的に開閉操作されるようになっている。なお、処置具としては鉗子11の代わりに剥離鉗子、ハサミ、レーザープローブ、縫合器、電気メス、持針器、超音波吸引器等の他の構成の処置具を使用してもよい。
【0018】
また、スコープ1の接眼部3にはこのスコープ1の観察像の一部又は全部を撮像するTVカメラ(撮像手段)15が取付けられている。このTVカメラ15のケーシング16内には第1の部品収納室17と第2の部品収納室18とが設けられている。ここで、第1の部品収納室17内にはレンズ、プリズム、ミラー、ズームレンズ等からなる光学素子19や、固体撮像素子であるCCD20等の撮像光学系の各光学部品が設けられている。そして、スコープ1の接眼部3で得られるスコープ1の観察像の一部又は全部が光学素子19を経てCCD20に撮像されるようになっている。
【0019】
さらに、第2の部品収納室18内にはCCD20をその光軸方向に対して直交する平面内に沿って直交する2方向、例えば上下方向および左右方向に駆動するCCD移動機構21が設けられている。このCCD移動機構21には図2(B)に示すように同図中で左右方向に移動する第1のプレート22aと、同図中で上下方向に移動する第2のプレート22bとが設けられている。ここで、第1のプレート22aはこの第1のプレート22aの上下に配設された4つのローラ23aによって左右方向に移動可能に支持されている。同様に、第2のプレート22bはこの第2のプレート22bの左右に配設された4つのローラ23bによって上下方向に移動可能に支持されている。
【0020】
また、第1のプレート22aの板面には上下方向に伸びるガイド用の2つのスリット24aが設けられている。同様に、第2のプレート22bの板面には左右方向に伸びるガイド用の2つのスリット24bが設けられている。
【0021】
さらに、第1のプレート22aの一側部には第1の係合ピン25aが突設されている。この係合ピン25aは第1のステッピングモータ26aにより回転する送りネジ27aのミゾにはめ込まれている。そして、第1のステッピングモータ26aの駆動時には第1のステッピングモータ26aの回転運動が送りネジ27aのミゾと係合ピン25aとの係合部によって直動運動に変換され、第1のプレート22aが左右方向に移動されるようになっている。
【0022】
同様に、第2のプレート22bの一側部には第2の係合ピン25bが突設されている。この係合ピン25bは第2のステッピングモータ26bにより回転する送りネジ27bのミゾにはめ込まれている。そして、第2のステッピングモータ26bの駆動時には第2のステッピングモータ26bの回転運動が送りネジ27bのミゾと係合ピン25bとの係合部によって直動運動に変換され、第2のプレート22bが上下方向に移動されるようになっている。
【0023】
また、ケーシング16の第1の部品収納室17と第2の部品収納室18との間の仕切り壁28の中央部位にはCCD20の台座29よりも大径な開口部30が形成されている。
【0024】
さらに、CCD20の台座29はCCD移動機構21のスライダ31に固定されている。このスライダ31はポリアセタールや、超高分子量ポリエチレン等の摺動性の良い材料でできている。
【0025】
また、スライダ31の下面には4本の操作ピン32が突設されている。これらの操作ピン32はCCD移動機構21の第1のプレート22aの2つのスリット24aと第2のプレート22bの2つのスリット24bとの間の交点に挿入されている。ここで、スライダ31は第1のプレート22aの上に板バネ33を介して重ねられた状態で配設されている。そして、スライダ31は板バネ33のバネ力によりTVカメラ15内の仕切り壁28に移動可能に押し当てられた状態で圧接されている。
【0026】
したがって、CCD20が装着されたスライダ31は第1のステッピングモータ26aの動作により図2(B)中の左右方向に移動操作され、第2のステッピングモータ26bの動作により同図中の上下方向に移動操作されるようになっている。そして、第1のステッピングモータ26aおよび第2のステッピングモータ26bによってTVカメラ15の撮像用の光学部品、本実施の形態ではCCD20を移動させ、TVカメラ15の撮像範囲を変更させるアクチュエータ33が形成されている。なお、このアクチュエータ33としてはステッピングモータの他、DCサーボモータ、ボイスコイル、圧電振動子を使用したアクチュエータ、超音波モータ、形状記憶合金等が使用できる。
【0027】
また、CCD20には図2(C)に示すようにフレキシブルプリント板34の一端が接続されている。このフレキシブルプリント板34の他端はTVカメラ15内の適宜の固定部に固定されたCCD制御回路35に接続されている。なお、フレキシブルプリント板34の中間部には略U字状に折り返された折り返し部36が形成されており、CCD20の移動に対応できるようになっている。
【0028】
また、TVカメラ15には鉗子追尾装置37が接続されている。この鉗子追尾装置37には例えばフットスイッチ、ハンドスイッチ等の操作スイッチ38および例えばTVモニタ、HMD(HEAD MOUTED DISPLAY:頭部装着型ディスプレー)等の表示モニタ39がそれぞれ接続されている。
【0029】
さらに、鉗子追尾装置37には図3に示すように映像信号回路40、A/Dコンバータ41、画像演算処理回路42、アクチュエータ制御回路43が設けられている。ここで、映像信号回路40にはCCD20および表示モニタ39がそれぞれ接続されている。そして、CCD20の映像信号は映像信号回路40に送られるようになっている。この映像信号回路40はCCD20で得られた信号をNTSCや、RGB等の映像信号に変換するものである。
【0030】
また、映像信号回路40からの出力信号は表示モニタ39に入力されるとともに、A/Dコンバータ41に入力されるようになっている。このA/Dコンバータ41は映像信号回路40から送られるアナログの映像信号をデジタル信号に変換して画像演算処理回路42に出力するものである。
【0031】
さらに、画像演算処理回路42はA/Dコンバータ41からの出力信号にもとづいて画像演算処理を行い、鉗子11の先端の位置を求め、さらに、CCD20の位置、移動量を求め、アクチュエータ33の位置、移動量に関する指令をアクチュエータ制御回路43に送るもので、この画像演算処理回路42によって鉗子11の位置を検出する位置検出手段が形成されている。なお、鉗子11の先端の位置を検出する方式としては、図4に示すように鉗子11の先端に設けた色マーカの重心位置を検出する方式(後述する)や、図5に示すように鉗子11の形状を抽出し、モデルマッチングにより鉗子11の先端位置を検出する方式(後述する)がある。
【0032】
また、アクチュエータ制御回路43にはCCD20のアクチュエータ33および操作スイッチ38がそれぞれ接続されている。このアクチュエータ制御回路43では、画像演算処理回路42で求められた位置、移動量に関する指令通りにアクチュエータ33が動作するようにこのアクチュエータ33の制御を行うものである。すなわち、このアクチュエータ制御回路43によって画像演算処理回路42により検出された位置情報に基づいてアクチュエータ33を制御してTVカメラ15の撮像範囲を変更する制御手段が形成されている。
【0033】
ここで、アクチュエータ33が本実施の形態のようにステッピングモータの場合はオープンループ制御を行い、DCモータの場合にはエンコーダからの帰還信号を使用したクローズドループ制御を行うようになっている。
【0034】
また、操作スイッチ38には鉗子11の先端の追尾機能の有効/無効の切り換え操作を行う操作ボタンが設けられている。そして、この操作スイッチ38は例えば、操作ボタンの押下操作時のみ、鉗子追尾装置37の画像演算処理回路42により検出された鉗子11の先端位置が表示モニタ36の概ね中央に配置されるように、鉗子11の先端位置に追従してCCD20の移動位置が制御されるようになっている。ここで、図1(B)に示すように表示モニタ36の概ね中央位置に鉗子11の先端位置が表示されていない状態で、操作スイッチ38の操作ボタンを押した場合には、鉗子11の先端部分が予め指定された速度で表示モニタ36の中央位置に移動するように、CCD20の移動制御が行われるようになっている。
【0035】
次に、上記構成の作用について説明する。まず、本実施の形態の内視鏡装置の使用時には図1(A)に示すように予め例えば患者の腹壁部8等に穿刺されたトラカール9内にスコープ1の挿入部2が挿通され、体腔内に挿入される。さらに、患者の腹壁部4等にはスコープ1の挿入場所とは別の挿入場所から鉗子11が体腔内に挿入される。このとき、鉗子11の先端の処置部13がスコープ1の接眼部3による視野範囲R1 内に挿入される状態にセットされる。
【0036】
また、スコープ1の接眼部3にはTVカメラ15が取付けられている。そして、このスコープ1の観察像の一部がTVカメラ15によって撮像され、表示モニタ39に表示される。ここで、TVカメラ15の光学素子19を経てCCD20に撮像される観察像の視野範囲R2 はスコープ1の接眼部3による視野範囲R1 より小さくなっており、スコープ1の接眼部3による視野範囲R1 の一部の観察像がCCD20によって撮像される。
【0037】
なお、スコープ1とTVカメラ15とは着脱が可能に取り付けられている。これにより、スコープ1を例えば直視スコープから斜視スコープというように視野角の異なるスコープに交換することが容易となる。また、消毒滅菌の際には、それぞれを取り外すことによって、別々に滅菌消毒を行うことができる。例えば、体内に挿入されるスコープ1はより確実に消毒滅菌を行うためにオートクレーブ滅菌法を利用し、滅菌による耐久性の問題が生じやすいCCD等の電子機器を内蔵するTVカメラ15はEOG滅菌法を利用する等の融通がきく。
【0038】
そして、TVカメラ15によるスコープ1の観察像の撮像中、操作スイッチ38の操作ボタンが押下操作された場合には鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能が作動する。この鉗子追尾機能の作動時にはCCD20の映像信号が映像信号回路40、A/Dコンバータ41を順次介して画像演算処理回路42に送られ、この画像演算処理回路42でA/Dコンバータ41からの出力信号にもとづいて図4のフローチャートに示す画像演算処理が行われ、鉗子11の先端の位置が求められる。
【0039】
ここでは、鉗子11の位置情報を検出する位置検出手段として鉗子11の処置部13の先端に色マーカー44を設けるとともに、画像演算処理回路42には色相関演算回路を設けている。
【0040】
そして、まずTVカメラ15で撮像された手術部位の観察画像の取り込みが行われる(ステップS1)。この画像はビデオ信号に変換された後、色相関演算回路に入力される。この色相関演算回路ではTVカメラ15で撮像された鉗子11の処置部13の色マーカー44の色の抽出が行われ(ステップS2)、鉗子11の処置部13の色マーカー44の3軸(x軸,y軸,z軸)の位置と、方位が検出される。この位置情報にもとづいて回転・並進の座標変換演算を行い、2値化(ステップS3)、重心演算(ステップS4)、鉗子11の先端位置の推定(ステップS5)の各ステップが順次行われたのち、拡大率、座標軸の補正演算が行われ(ステップS6)、鉗子11の先端位置が算出される。
【0041】
この処理により算出された鉗子11の先端位置の算出データからCCD20の移動量の演算が行われ(ステップS7)、CCD20の移動量のデータが出力される(ステップS8)。
【0042】
続いて、この画像演算処理回路42から出力される信号がアクチュエータ制御回路43に入力される。このアクチュエータ制御回路43では画像演算処理回路42で求められた鉗子11の先端位置およびCCD20の移動量に関する指令通りにアクチュエータ33が動作するようにアクチュエータ33の制御信号が出力される。
【0043】
そして、このアクチュエータ制御回路43からの制御信号によってアクチュエータ33の第1のステッピングモータ26aおよび第2のステッピングモータ26bがそれぞれ駆動され、CCD移動機構21のスライダ31上のCCD20の位置がその光軸方向と直交する方向に移動される。したがって、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、TVカメラ15によって撮像される鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれる。
【0044】
この鉗子11の先端の追尾動作中は、鉗子追尾装置37により検出された鉗子11の先端の処置部13の位置が表示モニタ39の概ね中央に表示されるように制御される。
【0045】
また、鉗子11の先端の処置部13が表示モニタ39の概ね中央に表示されていない場合には操作スイッチ38の操作ボタンを押すことにより、鉗子11の先端の処置部13が予め指定された速度で表示モニタ39の中央に移動するように、CCD移動機構21の移動制御が行われる。
【0046】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれるので、術者が観察したい方向に鉗子11の先端の処置部13を動かすとその方向に表示モニタ39に表示されるスコープ1の観察像の視野方向が変換される。したがって、内視鏡下の手術中、視野方向変更の際にスコープ1が動かないので、術者の処置作業を妨げることがなく、術者の処置作業に影響を与えたり、患者に無理な力を作用させるおそれがない。
【0047】
さらに、体腔内に挿入された鉗子11の移動に追従してスコープ1の視野を変更することができるので、両手で鉗子11等の処置具を持ち、処置を行っている最中でも術者自身で、簡単にスコープ1の視野範囲を変更できる。
【0048】
また、術者は、所望の視野方向を得るために助手にスコープ1を動かすように指示する必要がなくなり、内視鏡下手術の作業性が向上するとともに、また、助手もスコープ1を操作する必要がなくなるので、手術中の負担が軽減される。
【0049】
さらに、TVカメラ15内にスコープ1の観察像の視野方向を変更するCCD移動機構21を設けたので、スコープ1の観察像の視野方向を変更する際にスコープ1全体を動かす機構を設置する場合に比べて安価に実現できる。
【0050】
また、表示モニタ39に表示されるTVカメラ15の表示画面にはCCD20の画素が全て使用されるので、表示モニタ39に表示される表示画面には良好な画質が得られる。
【0051】
さらに、CCD20に接続されているフレキシブルプリント板34の中間部に略U字状に折り返された折り返し部36を形成し、CCD20の移動に対応できるようにしたので、CCD20の配線の耐久性を高めることができる。
【0052】
また、第2の部品収納室18内にCCD移動機構21を配設し、この第2の部品収納室18内とはケーシング16の仕切り壁28およびスライダ31によって仕切られた第1の部品収納室17内にCCD20を配設したので、CCD移動機構21により発生したゴミやほこりがCCD20の周辺に入り込むことがない。
【0053】
また、図5は鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能動作の変形例を示すものである。これは、鉗子11の先端の処置部13の形状を抽出し、モデルマッチングにより鉗子11の先端位置を検出するようにしたものである。
【0054】
ここでは、鉗子11の処置部13にその輪郭が周辺物体と異なり、容易に識別できる形状をした形状識別マーカーを設けるとともに、画像演算処理回路42には鉗子11の先端部の位置情報を検出する位置検出手段としてのパターンマッチング回路を設けている。
【0055】
そして、この鉗子追尾機能の作動時にはCCD20の映像信号が映像信号回路40、A/Dコンバータ41を順次介して画像演算処理回路42に送られ、この画像演算処理回路42でA/Dコンバータ41からの出力信号にもとづいて図5のフローチャートに示す画像演算処理が行われ、鉗子11の先端の位置が求められる。
【0056】
すなわち、まずTVカメラ15で撮像された手術部位の観察画像の取り込みが行われる(ステップS11)。この画像はビデオ信号に変換された後、画像演算処理回路42のパターンマッチング回路に入力される。このパターンマッチング回路ではTVカメラ15で撮像された鉗子11の処置部13の画像情報から形状識別マーカーの位置の移動をトラッキングし、これについて検出のために2値化・輪郭強調等の画像処理を施し、前画像との比較を行い形状識別マーカーのパターンマッチングをする。このとき、形状識別マーカーによるエッジの抽出が行われ(ステップS12)、エッジから直線の抽出(ステップS13)、処置具である鉗子11の処置部13のモデルマッチング(ステップS14)、鉗子11の先端位置の推定(ステップS15)の各ステップが順次行われたのち、拡大率、座標軸の補正演算が行われ(ステップS16)、鉗子11の先端位置が算出される。
【0057】
この処理により算出された鉗子11の先端位置の算出データからCCD20の移動量の演算が行われ(ステップS17)、CCD20の移動量のデータが出力される(ステップS18)。
【0058】
続いて、この画像演算処理回路42から出力される信号がアクチュエータ制御回路43に入力され、このアクチュエータ制御回路43からは画像演算処理回路42で求められた鉗子11の先端位置およびCCD20の移動量に関する指令通りにアクチュエータ33が動作するようにアクチュエータ33の制御信号が出力される。
【0059】
そして、このアクチュエータ制御回路43からの制御信号によって第1の実施の形態と同様にアクチュエータ33の第1のステッピングモータ26aおよび第2のステッピングモータ26bがそれぞれ駆動され、CCD移動機構21のスライダ31上のCCD20の位置が移動される。したがって、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれる。
【0060】
なお、以上の説明において、形状識別マーカーの代わりに、鉗子先端の形状そのものをパターンマッチングすることにより、鉗子先端の位置を算出してもよい。
【0061】
また、図6(A),(B)は第1の実施の形態の第1の変形例を示すものである。これは、第1の実施の形態のように直視型の硬性のスコープ1に代えて図6(A)に示すような斜視スコープ45を設けたものである。このスコープ45の挿入部2の先端面には光軸方向に対して斜めに切欠された斜視型の観察窓部46が形成されている。これ以外の部分は第1の実施の形態の内視鏡装置と同一構成になっている。
【0062】
そこで、本変形例の斜視スコープ45では、TVカメラ15のCCD移動機構21によってCCD20の位置を移動させ、表示モニタ39に表示されるスコープ45の観察像の視野方向を変更させることができるので、TVカメラ15のCCD移動機構21が内蔵されていない通常の斜視スコープのように視野を変更するためにスコープ全体を回転する必要が無い。そのため、スコープ45の観察像の視野方向を変更する際に画像が回転しないで良い。
【0063】
なお、第1の実施の形態のように直視型の硬性のスコープ1に装着されるTVカメラ15の光学素子19の移動によりCCD20に投射される視野範囲R2 が移動される構成にしてもよい。
【0064】
また、図7(A),(B),(C)は第1の実施の形態の第2の変形例を示すものである。ここでは、第1の実施の形態のように直視型の硬性のスコープ1に代えて図7(A)に示すような斜視スコープ45が使用される。この斜視スコープ45の挿入部2の先端面には光軸方向に対して斜めに切欠された斜視型の観察窓部46が形成されている。
【0065】
さらに、スコープ45の接眼部3にはTVカメラ15がスコープ45に対して回転可能に接続されている。この場合、スコープ45の接眼部3の外周面には歯車262が形成されている。また、TVカメラ15にはスコープ45をこのスコープ45の軸心を中心に回転駆動する駆動モータ等のアクチュエータ260が内蔵されている。このアクチュエータ260によって回転駆動される駆動歯車260aがスコープ45の接眼部3の歯車261に噛合されている。そして、アクチュエータ260によりTVカメラ15に対してスコープ45が回転駆動されるようになっている。
【0066】
さらに、TVカメラ15の内部にはCCD20をこのTVカメラ15の光軸を中心に回転駆動するアクチュエータ261が装着されている。そして、CCD20はこのアクチュエータ261によりTVカメラ15の光軸を中心に回転駆動されるようになっている。これ以外の部分は第1の実施の形態の内視鏡装置と同一構成となっている。
【0067】
そこで、本変形例の斜視スコープ45では、TVカメラ15のCCD移動機構21によってCCD20の位置を移動させ、表示モニタ39に表示されるスコープ45の観察像の視野方向を変更させることができる他、斜視スコープ45をアクチュエータ260により回転させることにより、体腔内のさらに広い範囲を観察したり、臓器の陰になる部位を観察することができる。その際に、斜視スコープ45が回転することにより、図7(C)に示すように表示モニタ39に表示されるスコープ45の観察像の向きが回転するが、CCD20をアクチュエータ261により回転することにより、図7(B)に示すように補正することが可能である。また、スコープ45の回転および回転補正に関する操作は、鉗子の追尾に応じて自動的に制御することが可能であるが、操作スイッチ38により指定時のみ制御することも可能である。
【0068】
なお、第1の実施の形態のように直視型の硬性のスコープ1に装着されるTVカメラ15の光学素子19の移動によりCCD20に投射される視野範囲R2 が移動される構成にしても良い。
【0069】
また、図8(A)乃至図10は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態の内視鏡装置におけるTVカメラ15内の光学部品としてCCD20に投射される視野の大きさ(拡大率)を変更するズームレンズ機構51を組込んだものである。
【0070】
このズームレンズ機構51には図9(A)に示すようにズームレンズ52と、このズームレンズ52を保持するレンズホルダ53とからなるズームレンズユニット54が設けられている。このズームレンズユニット54はスコープ1の接眼レンズ5とCCD20との間に介設され、TVカメラ15の第1の部品収納室17内で光軸方向に移動可能に支持されている。さらに、ズームレンズユニット54のレンズホルダ53には操作ピン55が突設されている。
【0071】
また、TVカメラ15の第1の部品収納室17内にはズームレンズ機構51の駆動源となるステッピングモータ56が配設されている。このステッピングモータ56により回転する送りネジ57のミゾにはズームレンズユニット54の操作ピン55がはめ込まれている。そして、ステッピングモータ56の駆動時にはステッピングモータ56の回転運動が送りネジ57のミゾと操作ピン55との係合部によって直動運動に変換され、ズームレンズユニット54が光軸方向に移動されるようになっている。
【0072】
また、TVカメラ15に接続された鉗子追尾装置37の操作スイッチ38には第1の実施の形態と同様に鉗子11の先端の追尾機能の有効/無効の切り換え操作を行う第1のスイッチ58aと、ズームレンズ機構51の操作用の第2,第3のスイッチ58b,58cとがそれぞれ設けられている。ここで、第2のスイッチ58bはズームアップ操作用のスイッチで、この第2のスイッチ58bを押した場合にはCCD20上に結像される像が拡大される方向にズームレンズ機構51のズームレンズユニット54が移動するようになっている。
【0073】
さらに、第3のスイッチ58cはズームバック操作用のスイッチで、この第3のスイッチ58cを押した場合にはCCD20上に結像される像が縮小される方向にズームレンズ機構51のズームレンズユニット54が移動するようになっている。
【0074】
なお、本実施の形態は上記ズームレンズ機構51に関する構成以外は第1の実施の形態の内視鏡装置と同一構成であり、ここでは第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
次に、本実施の形態の作用について説明する。まず、TVカメラ15によるスコープ1の観察像の撮像中、操作スイッチ38の第1のスイッチ58aが押下操作された場合には第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能が作動する。この鉗子追尾機能の作動時にはCCD20の映像信号が映像信号回路40、A/Dコンバータ41を順次介して画像演算処理回路42に送られ、この画像演算処理回路42でA/Dコンバータ41からの出力信号にもとづいて図10のフローチャートに示す次の画像演算処理が行われ、鉗子11の先端の位置が求められる。
【0076】
すなわち、まずTVカメラ15で撮像された手術部位の観察画像の取り込みが行われる(ステップS31)。この画像はビデオ信号に変換された後、色相関演算回路に入力される。この色相関演算回路ではTVカメラ15で撮像された鉗子11の処置部13の色マーカー44の色の抽出が行われ(ステップS32)、鉗子11の処置部13の色マーカー44の3軸(x軸,y軸,z軸)の位置と、方位が検出される。この位置情報にもとづいて回転・並進の座標変換演算を行い、2値化(ステップS33)、重心演算(ステップS34)、鉗子11の先端位置の推定(ステップS35)の各ステップが順次行われたのち、拡大率の検出が行われる(ステップS36)。
【0077】
この拡大率はズームレンズユニット54の駆動用アクチュエータの操作ピン55の位置より計算される。ここで、ズームレンズ機構51の駆動源が本実施の形態のようにステッピングモータ56の場合は、アクチュエータ制御装置においてその位置が求められる。また、DCモータの場合はエンコーダにより位置が求められる。
【0078】
次に、座標軸の補正演算が行われる(ステップS37)。ここではCCD20の左右上下の方向と、CCD移動機構21との左右動作方向が一致しない場合に、座標軸の補正変換を行い、ズームレンズユニット54の移動量を求める。
【0079】
さらに、ズームレンズユニット54の移動量からCCD移動機構21による減速比を考慮してCCD20の移動量を演算する(ステップS38)。その後、CCD20のストロークの計算が行われる(ステップS39)。ここではスコープ1の接眼レンズ5の視野範囲R1 内におけるCCD20へ切り出した視野範囲R2 が、スコープ1の視野範囲R1 からはみ出さないようにCCD20の移動しうる範囲を求め、これをCCD移動機構21による減速比を考慮してCCD20のストロークとして求める。なお、CCD20のストロークはズームレンズ機構51による拡大率により変化する。
【0080】
続いて、CCD20の移動量(移動位置)とCCD20のストロークとが比較され(ステップS40)、CCD20の移動量がそのストロークを越えない場合には移動量のデータを出力し(ステップS41)、越える場合には出力しない。
【0081】
続いて、この画像演算処理回路42から出力される信号がアクチュエータ制御回路43に入力される。このアクチュエータ制御回路43では画像演算処理回路42で求められた鉗子11の先端位置およびCCD20の移動量に関する指令通りにアクチュエータ33が動作するようにアクチュエータ33の制御信号が出力される。
【0082】
そして、このアクチュエータ制御回路43からの制御信号によってアクチュエータ33の第1のステッピングモータ26aおよび第2のステッピングモータ26bがそれぞれ駆動され、CCD移動機構21のスライダ31上のCCD20の位置がその光軸方向と直交する方向に移動される。したがって、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、TVカメラ15によって撮像される鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれ、鉗子追尾装置37により検出された鉗子11の先端の処置部13の位置が表示モニタ39の概ね中央に表示されるように制御される。
【0083】
また、鉗子11の先端の処置部13が表示モニタ39の概ね中央に表示されていない場合には操作スイッチ38の第1のスイッチ58aを押すことにより、鉗子11の先端の処置部13が予め指定された速度で表示モニタ39の中央に移動するように、CCD移動機構21の移動制御が行われる。
【0084】
また、操作スイッチ38の第2のスイッチ58bを押した場合にはCCD20上に結像される像が拡大される方向にズームレンズ機構51のズームレンズユニット54が移動するズームアップ操作が行われる。この場合には図8(C)中に点線で表示されている表示モニタ39の画面の中央部分の視野範囲R3 の像が同図中に実線で示すR3 ´の表示部分に拡大表示される方向にズーム操作される。
【0085】
さらに、操作スイッチ38の第3のスイッチ58cを押した場合にはCCD20上に結像される像が縮小される方向にズームレンズ機構51のズームレンズユニット54が移動するズームバック操作が行われる。この場合には図8(C)中に実線で表示されている表示モニタ39のR3 ´の表示部分が同図中に点線で示すR3 の表示部分に縮小表示される方向にズーム操作される。
【0086】
なお、表示モニタ39に表示されるTVカメラ15の表示画面内から鉗子11の先端が外れた状態から鉗子11の先端の追尾を行う場合には、一旦、ズームレンズ機構51を駆動することにより表示モニタ39に広角の視野を表示させ、鉗子11の先端が表示モニタ39の表示画面内に現れるようにしてから、追尾機能を有効にするようになっている。
【0087】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、操作スイッチ38の第1のスイッチ58aを押下操作することにより、第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動し、この追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれるので、術者が観察したい方向に鉗子11の先端の処置部13を動かすとその方向に表示モニタ39に表示されるスコープ1の観察像の視野方向が変換される。したがって、内視鏡下の手術中、視野方向変更の際にスコープ1が動かないので、術者の処置作業を妨げることがなく、術者の処置作業に影響を与えたり、患者に無理な力を作用させるおそれがない。
【0088】
さらに、操作スイッチ38の第2のスイッチ58bや、第3のスイッチ58cを押すことにより、ズームレンズ機構51のズームレンズユニット54をその光軸方向に沿って移動させ、CCD20上に結像される像の大きさを変更することができるので、表示モニタ39の画面に表示されるスコープ1の視野の大きさを変更することができる。
【0089】
したがって、両手で鉗子11等の処置具を持ち、処置を行っている最中でも術者自身で簡単にスコープ1の視野範囲を変更できるので、術者は表示モニタ39の表示画面を所望の視野方向に向けたり、大きさに変更する作業をするために助手にスコープ1を動かすように指示する必要がなくなり、内視鏡下手術の作業性が向上するとともに、また、助手もスコープ1を操作する必要がなくなるので、手術中の負担が軽減される。
【0090】
さらに、表示モニタ39の画面に表示されている狭角像の観察範囲から鉗子11が外れた場合には、操作スイッチ38の第2のスイッチ58bの操作で、表示モニタ39の画面に広角像を表示させ、鉗子11を表示モニタ39の画面内の視野に入れることができるので、鉗子11の追尾を容易に再開できる。
【0091】
また、図11(A),(B)は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態の内視鏡装置におけるTVカメラ15の構成を変更したものである。すなわち、本実施の形態のTVカメラ15ではケーシング16内の第2の部品収納室18の底板61上にCCD20の台座29が固定されている。
【0092】
また、ケーシング16の第1の部品収納室17内にはレンズ、プリズム、ミラー、ズームレンズ等からなる光学素子19が配設されているとともに、第2の部品収納室18内にはTVカメラ15の光軸方向に対して直交する平面に沿って直交する2方向、例えば上下方向および左右方向に移動可能な可動レンズユニット62およびその可動レンズユニット62を駆動するレンズ移動機構63が設けられている。
【0093】
ここで、可動レンズユニット62には光学素子19とCCD20との間に配置される集光レンズ64と、この集光レンズ64のレンズ枠65とが設けられている。
【0094】
また、レンズ移動機構63には図11(B)に示すように同図中で左右方向に移動する矩形枠形の第1のプレート66aと、同図中で上下方向に移動する矩形枠形の第2のプレート66bとが設けられている。ここで、第1のプレート66aはこの第1のプレート66aの上下に配設された4つのローラ67aによって左右方向に移動可能に支持されている。同様に、第2のプレート66bはこの第2のプレート66bの左右に配設された4つのローラ67bによって上下方向に移動可能に支持されている。
【0095】
さらに、第1のプレート66aの一側部には第1の係合ピン68aが突設されている。この係合ピン68aは第1のステッピングモータ69aにより回転する送りネジ70aのミゾにはめ込まれている。そして、第1のステッピングモータ69aの駆動時には第1のステッピングモータ69aの回転運動が送りネジ70aのミゾと係合ピン68aとの係合部によって直動運動に変換され、第1のプレート66aが左右方向に移動されるようになっている。
【0096】
同様に、第2のプレート66bの一側部には第2の係合ピン68bが突設されている。この係合ピン68bは第2のステッピングモータ69bにより回転する送りネジ70bのミゾにはめ込まれている。そして、第2のステッピングモータ69bの駆動時には第2のステッピングモータ69bの回転運動が送りネジ70bのミゾと係合ピン68bとの係合部によって直動運動に変換され、第2のプレート66bが上下方向に移動されるようになっている。
【0097】
また、第1のプレート66aの角穴(枠内)と第2のプレート66bの角穴(枠内)との重なる部分には可動レンズユニット62のレンズ枠65がはめ込まれている。このレンズ枠65と第1のプレート66aとの間には板バネ71が介設されている。そして、可動レンズユニット62のレンズ枠65は板バネ71のバネ力によりTVカメラ15内の仕切り壁28に移動可能に押し当てられた状態で圧接されている。
【0098】
したがって、可動レンズユニット62のレンズ枠65は第1のステッピングモータ69aの動作により第1のプレート66aとともに図11(B)中の左右方向に移動操作され、第2のステッピングモータ69bの動作により第2のプレート66bとともに同図中の上下方向に移動操作されるようになっている。そして、第1のステッピングモータ69aおよび第2のステッピングモータ69bによってTVカメラ15の撮像用の光学部品、本実施の形態では集光レンズ64を移動させ、TVカメラ15の撮像範囲を変更させるアクチュエータ33が形成されている。
【0099】
なお、本実施の形態は上記TVカメラ15の内部構造に関する構成以外は第1の実施の形態の内視鏡装置と同一構成であり、ここでは第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
そして、本実施の形態の内視鏡装置の使用時にはスコープ1の接眼部3にTVカメラ15が取付けられた状態で使用される。この場合、スコープ1の接眼部3の接眼レンズ5から出射される光はTVカメラ15の第1の部品収納室17内の光学素子19および可動レンズユニット62の集光レンズ64を通してCCD20上に投射され、スコープ1の観察像がCCD20上に結像される。
【0101】
また、レンズ移動機構63によって可動レンズユニット62が駆動された場合には、可動レンズユニット62の集光レンズ64がTVカメラ15の光軸方向に対して直交する平面に沿って直交する2方向、例えば上下方向および左右方向に移動される。これにより、TVカメラ15の撮像範囲が第1の実施の形態と同様に変更される。
【0102】
そこで、上記構成の本実施の形態にあっても第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれるので、術者が観察したい方向に鉗子11の先端の処置部13を動かすとその方向に表示モニタ39に表示されるスコープ1の観察像の視野方向が変換される。そのため、第1の実施の形態と同様、内視鏡下の手術中、視野方向変更の際にスコープ1が動かないので、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0103】
また、本実施の形態では特にTVカメラ15におけるケーシング16内の第2の部品収納室18の底板61上にCCD20の台座29を固定したので、スコープ1の観察像の視野方向の変換動作中にCCD20の配線が動くことがない。そのため、第1の実施の形態のようにCCD20に接続されているフレキシブルプリント板34の中間部に略U字状に折り返された折り返し部36を形成し、CCD20の移動に対応してフレキシブルプリント板34を動かす構成にした場合に比べてCCD20の配線の耐久性を高めることができる。
【0104】
また、図12(A)は第3の実施の形態の第1の変形例を示すものである。本変形例はスコープ1の接眼部3とTVカメラ15との間に介設される光学アダプタ81を設け、TVカメラ15内にCCD20を配設し、光学アダプタ81内に光学素子19、第3の実施の形態の可動レンズユニット62およびそのレンズ移動機構63を配設したものである。この場合も第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0105】
さらに、本変形例では光学アダプタ81は、スコープ1およびTVカメラ15と着脱が可能に取付けられている。これにより、スコープ1を例えば直視スコープから斜視スコープというように視野角の異なるスコープに交換することが容易となる。また、消毒の際には、それぞれを取り外すことによって、別々に滅菌消毒を行うことができる。例えば、体内に挿入されるスコープ1はより確実に消毒滅菌を行うためにオートクレーブ滅菌法を利用し、滅菌による耐久性の問題が生じやすいCCD等の電子機器を内蔵するTVカメラ15や、光学アダプタ81はEOG滅菌法を利用する等の融通がきく。
【0106】
また、図12(B)は第3の実施の形態の第2の変形例を示すものである。本変形例は第3の実施の形態の可動レンズユニット62およびそのレンズ移動機構63をスコープ1の接眼部3側に配設し、スコープ1の接眼部3に連結されるTVカメラ15内に第1の変形例と同様にCCD20を配設したものである。この場合も第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0107】
また、図13(A),(B)は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は電子内視鏡からなるスコープ91に本発明を適用したものである。すなわち、本実施の形態の電子内視鏡のスコープ91には患者の体腔内に挿入される挿入部92と、この挿入部92の基端部に配設された手元操作部93とが設けられている。
【0108】
さらに、このスコープ91の挿入部92は第1の実施の形態と同様に予め例えば患者の腹壁部8等に穿刺されたトラカール9内に挿通され、体腔内に挿入されている。ここで、スコープ91の挿入部92の手元操作部93側は第1の実施の形態と同様の構成の3関節構造のスコープ保持具10によって移動可能に保持されている。なお、患者の腹壁部4等には第1の実施の形態と同様の構成の処置具である鉗子11がスコープ91の挿入場所とは別の挿入場所から体腔内に挿入されている。
【0109】
また、スコープ91の挿入部92の先端部には対物光学系94が配設されている。この対物光学系94には、視野方向を変更するためのプリズム95が回動ピン96を中心に回動可能に取付けられている。
【0110】
さらに、スコープ91の手元操作部93には固体撮像素子であるCCD97と、対物光学系94のプリズム95を通して送られる光をCCD97に集光し、スコープ91の観察像をCCD97上に結像する結像光学系98と、対物光学系94のプリズム95を回動操作するプリズム操作手段99とが設けられている。
【0111】
また、プリズム操作手段99にはステッピングモータ等の図示しないアクチュエータによって回転駆動されるディスク100が設けられている。このディスク100にはプリズム95の操作ロッド101の一端部が連結されている。この操作ロッド101の他端部はプリズム95の可動部に連結されている。そして、プリズム操作手段99の操作時にはディスク100の回転により操作ロッド101が挿入部92の軸心方向に移動操作され、この操作ロッド101の動作にともないプリズム95が回動ピン96を中心に回動してスコープ91の対物光学系94の視野方向の変更がなされるようになっている。
【0112】
ここで、プリズム95の回動による対物光学系94の視野方向の変更範囲(スコープ1の視野範囲R1 )は挿入部92の先端窓部の窓枠部によって規制されている。すなわち、定位置で保持されたプリズム95を通してCCD97の結像光学系98側に送られ、CCD20に撮像される観察像の視野範囲R2 はスコープ1の視野範囲R1 より小さくなっており、スコープ91の視野範囲R1 の一部がCCD20によって撮像される。
【0113】
また、スコープ91の手元操作部93には第1の実施の形態と同様の構成の鉗子追尾装置37が接続されている。この鉗子追尾装置37には例えばフットスイッチ、ハンドスイッチ等の操作スイッチ38および例えばTVモニタ、HMD(HEAD MOUTED DISPLAY:頭部装着型ディスプレー)等の表示モニタ39がそれぞれ接続されている。
【0114】
そして、本実施の形態の内視鏡装置の使用時にはスコープ91の挿入部92の先端のプリズム95を通して送られる光が結像光学系98を介してCCD97に集光され、スコープ91の観察像がCCD97上に結像される。ここで、定位置で保持されたプリズム95を通してCCD97の結像光学系98側に送られ、CCD20に撮像される観察像の視野範囲R2 はスコープ1の視野範囲R1 より小さくなっており、スコープ91の視野範囲R1 の一部の観察像がCCD20によって撮像される。このとき、CCD97によって撮像されたスコープ91の観察像は表示モニタ39に表示される。
【0115】
また、スコープ91の観察像の撮像中、操作スイッチ38の操作ボタンが押下操作された場合には第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能が作動する。このとき、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、CCD97によって撮像される鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態で、プリズム操作手段99が操作される。そして、ディスク100の回転により操作ロッド101が挿入部92の軸心方向に移動操作され、この操作ロッド101の動作にともないプリズム95が回動ピン96を中心に回動してスコープ91の対物光学系94の視野方向の変更がなされる。
【0116】
この鉗子11の先端の追尾動作中は、鉗子追尾装置37により検出された鉗子11の先端の処置部13の位置が表示モニタ39の概ね中央に表示されるように制御される。
【0117】
また、鉗子11の先端の処置部13が表示モニタ39の概ね中央に表示されていない場合には操作スイッチ38の操作ボタンを押すことにより、鉗子11の先端の処置部13が予め指定された速度で表示モニタ39の中央に移動するように、CCD移動機構21の移動制御が行われる。
【0118】
そこで、上記構成の本実施の形態にあっても第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でプリズム操作手段99が操作され、プリズム95が回動ピン96を中心に回動してスコープ91の対物光学系94の視野方向の変更がなされるので、術者が観察したい方向に鉗子11の先端の処置部13を動かすとその方向に表示モニタ39に表示されるスコープ91の観察像の視野方向が変換される。そのため、第1の実施の形態と同様、内視鏡下の手術中、視野方向変更の際にスコープ91が動かないので、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0119】
また、図14は第4の実施の形態の変形例を示すものである。本変形例は第4の実施の形態と同様に電子内視鏡からなるスコープ91の構成を次のように変更したものである。
【0120】
すなわち、本変形例ではスコープ91の挿入部92の先端に撮像ユニット111が回動支点112を中心に回動自在に連結されている。この撮像ユニット111には対物光学系を形成するレンズ113と、固体撮像素子であるCCD114とが組込まれ、一体化されている。
【0121】
また、スコープ91の手元操作部93には撮像ユニット111を回動操作する撮像ユニット操作手段115が設けられている。この撮像ユニット操作手段115にはステッピングモータ等の図示しないアクチュエータによって回転駆動されるディスク116が設けられている。このディスク116には2本の操作ワイヤ117a,117bの各一端部が連結されている。両操作ワイヤ117a,117bの他端部は撮像ユニット111の可動部に連結されている。そして、この撮像ユニット操作手段115の操作時にはディスク116の回転により操作ワイヤ117a,117bの一方が引っ張り操作され、さらに引っ張り操作された操作ワイヤ117a(または117b)を介して撮像ユニット111が一方に回動操作されてスコープ91の撮像ユニット111の視野方向の変更がなされるようになっている。
【0122】
したがって、本変形例の構成でも第4の実施の形態と同様にスコープ91の視野方向を変更することができるので、第4の実施の形態のようなプリズム操作手段99によってプリズム95を駆動してスコープ91の視野方向を変更する手段に本変形例の構成を置き換えることができ、鉗子11の先端位置の追尾が可能となる。
【0123】
また、図15(A),(B)および図16は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図9(A))で説明したズームレンズ機構51を組込んだ内視鏡装置の構成を変更したものである。
【0124】
すなわち、本実施の形態では第2の実施の形態のズームレンズ機構51を組込んだスコープ1にTVカメラ15を一体的に組込むとともに、スコープ1の観察像の伝送光路121の途中にビームスプリッタ122を介設し、スコープ1の観察像の伝送光路121を2つに分ける構成にしたものである。ここで、ビームスプリッタ122はズームレンズ機構51のズームレンズユニット54の入射端面側に配置されている。そして、スコープ1の観察像の伝送光路121はこのビームスプリッタ122を透過してズームレンズユニット54のズームレンズ52側に送られる第1の分割光路121aと、このビームスプリッタ122によって略直角に反射される第2の分割光路121bとに分割されるようになっている。
【0125】
さらに、第1の分割光路121aには第2の実施の形態のCCD20が配置されている。そして、この第1の分割光路121aを通るスコープ1の像はズームレンズ52を経てCCD20に狭角像として投射されるようになっている。このとき、CCD20に撮像される狭角像は表示モニタ39には図15(B)の左側の[B1]の表示画面として表示されるようになっている。
【0126】
また、第2の分割光路121bにはスコープ1の像をズームレンズ52よりも広角に拡開する広角レンズユニット123と、像反転プリズム128と、この像反転プリズム128を経てスコープ1の広角像を撮像する第2のCCD124とが配設されている。そして、この第2の分割光路121bを通るスコープ1の像は広角レンズユニット123を経て第2のCCD124に広角像として投射されるようになっている。このとき、第2のCCD124に撮像される広角像は表示モニタ39には図15(B)の右側の[B2]の表示画面として表示されるようになっている。
【0127】
なお、図中には示していないが、スコープ1は、TVカメラ15と着脱が可能に取付けられている。これにより、スコープ1を例えば直視スコープから斜視スコープというように視野角の異なるスコープに交換することが容易となる。さらに、TVカメラ15から、第2のCCD124のユニットを含む一部が着脱することも可能である。
【0128】
また、本実施の形態の内視鏡装置の鉗子追尾装置34には図16に示すようにA/Dコンバータ41、画像演算処理回路42、アクチュエータ制御回路43および第1の分割光路121a上のCCD20に接続された第1の映像信号回路40の他に、第2の分割光路121b上の第2のCCD124に接続された第2の映像信号回路125と、映像合成装置126とが設けられている。
【0129】
ここで、映像合成装置126には第1の映像信号回路40と、第2の映像信号回路125と、表示モニタ39がそれぞれ接続されている。そして、CCD20の映像信号は第1の映像信号回路40に、また第2のCCD124の映像信号は第2の映像信号回路125にそれぞれ送られ、各映像信号回路40,125でCCD20,124で得られた信号をそれぞれNTSCや、RGB等の映像信号に変換したのち、映像合成装置126に送られるようになっている。さらに、映像合成装置126では第1の映像信号回路40から出力される映像信号と、第2の映像信号回路125から出力される映像信号とが入力され、各映像信号回路40,125で得られた映像信号を表示モニタ39に同時に表示できるように画像合成を行うようになっている。このとき、表示モニタ39には図15(B)の中央の[B3]の表示画面が表示されるようになっている。この[B3]の表示画面では親画面39aに[B1]の表示画面、すなわちCCD20に撮像される狭角像が表示され、子画面39bに[B2]の表示画面、すなわち第2のCCD124に撮像される広角像が表示されるようになっている。
【0130】
なお、操作スイッチ38には表示モニタ39の表示画面を切換える図示しない画面切換えスイッチが設けられている。そして、この操作スイッチ38の画面切換えスイッチの操作によって表示モニタ39に[B3]の表示画面のようにCCD20,124の両者の像が親子画面として同時に表示されるように画像合成される状態、あるいは、[B1]および[B2]のうちのいずれか一方の画面だけ表示される状態に切り換えられるようになっている。さらに、[B2]の広角像の表示画面中には[B1]の狭角像の表示領域が点線枠127等によって表示されるようになっている。
【0131】
次に、上記構成の作用について説明する。まず、スコープ1の観察像の撮像中、操作スイッチ38の操作ボタンが押下操作された場合には鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能が作動する。この鉗子追尾機能の作動時には第2の分割光路121b上の第2のCCD124で撮像された[B2]の広角像から鉗子11の先端の位置を求め、さらに第1の分割光路121a上のCCD20で得られた[B1]の狭角像から鉗子11の先端が表示モニタ39の表示画面の概ね中央位置に配置されるようにCCD移動機構21のアクチュエータ33であるステッピングモータ第1のステッピングモータ26aおよび第2のステッピングモータ26bの移動量(駆動量)を求めるようになっている。
【0132】
そして、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、CCD20によって撮像される鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でスコープ1の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作が行なわれる。
【0133】
この鉗子11の先端の追尾動作中は、鉗子追尾装置37により検出された鉗子11の先端の処置部13の位置が表示モニタ39の概ね中央に表示されるように制御される。
【0134】
また、鉗子11の先端の処置部13が表示モニタ39の概ね中央に表示されていない場合には操作スイッチ38の操作ボタンを押すことにより、鉗子11の先端の処置部13が予め指定された速度で表示モニタ39の中央に移動するように、CCD移動機構21の移動制御が行われる。
【0135】
さらに、スコープ1の観察像の撮像中、操作スイッチ38の画面切換えスイッチの操作によって表示モニタ39に[B3]の表示画面のようにCCD20,124の両者の像が親子画面として同時に表示されるように画像合成される状態、あるいは、[B1]および[B2]のうちのいずれか一方の画面だけ表示される状態に切り換えられる。
【0136】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、術者が観察したい方向に鉗子11の先端部を動かすとその方向にスコープ1の視野方向が変換されるとともに、操作スイッチ35を押すことによりスコープ1の視野の大きさを変更でき、さらに画面切換えスイッチの操作で所望の画面に切換えることができるので、両手で鉗子11等の処置具を持ち、処置を行っている最中でも術者自身でスコープ1の視野範囲を簡単に変更できる。
【0137】
また、術者は、スコープ1を所望の視野方向が得られるように動かすよう助手に指示する必要がなくなり、内視鏡下手術の作業性が向上するとともに、また、助手もスコープ1を操作する必要がなくなるので、手術中の負担が軽減される。
【0138】
さらに、内視鏡下の手術中、視野方向変更の際にスコープ1が動かないので、術者の処置作業を妨げることがなく、術者の処置作業に影響を与えたり、患者に無理な力を作用させるおそれがない。
【0139】
また、本実施の形態では特に広角像と狭角像を同時に観察できるので、広角像で周囲の状況を把握し、安全を確認しながら、狭角像の観察による微細な処置作業を行うことができる。さらに、広角像で鉗子11の先端の位置を検出しているので、狭角像の観察範囲から鉗子11が外れても構わない。
【0140】
さらに、TVカメラ15内にスコープ1の観察像の視野方向を変更するCCD移動機構21を設けたので、スコープ1の観察像の視野方向を変更する際にスコープ1全体を動かす機構を設置する場合に比べて安価に実現できる。
【0141】
また、表示モニタ39に表示されるTVカメラ15の表示画面にはCCD20の画素が全て使用されるので、表示モニタ39に表示される表示画面には良好な画質が得られる。
【0142】
さらに、CCD20に接続されているフレキシブルプリント板34の中間部に略U字状に折り返された折り返し部36を形成し、CCD20の移動に対応できるようにしたので、CCD20の配線の耐久性を高めることができる。
【0143】
また、図17(A)〜(C)は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態のスコープ1にTVカメラ15を一体的に組込むとともに、スコープ1の観察像の伝送光路131の構成を変更したものである。
【0144】
ここで、スコープ1の観察像伝送光路131の途中には光路切換え機構132が介設されている。この光路切換え機構132にはスコープ1の対物レンズ4とCCD20との間を結ぶ観察像伝送光路131の主光路131a上に前後に離間して配置された2つの切換ミラー133,134が設けられている。さらに、主光路131aには両切換ミラー133,134間にスコープ1の像を広角に拡開する広角レンズユニット135が配設されている。
【0145】
また、広角レンズユニット135の入射光路側に配置された前部切換ミラー133は回動支点136を中心に図17(A)中に点線で示すように広角レンズユニット135の入射光路を開く第1の切換え位置と、同図中に実線で示すように広角レンズユニット135の入射光路を閉じる第2の切換え位置とに回動可能に支持されている。さらに、広角レンズユニット135の出射光路側に配置された後部切換ミラー134は回動支点137を中心に図17(A)中に点線で示すように広角レンズユニット135とCCD20との間の光路を開く第1の切換え位置と、同図中に実線で示すように広角レンズユニット135とCCD20との間の光路を閉じる第2の切換え位置とに回動可能に支持されている。なお、2つの切換ミラー133,134の駆動は、例えば電磁コイル等の図示しない光路切換えアクチュエータにより行われるようになっている。
【0146】
また、両切換ミラー133,134間の主光路131aと平行に配置される切換え光路131bの前端部には前部固定ミラー138、この切換え光路131bの後端部には後部固定ミラー139がそれぞれ配設されている。ここで、前部固定ミラー138は前部切換ミラー133に対して離間対向配置され、後部固定ミラー139は後部切換ミラー134に対して離間対向配置されている。さらに、切換え光路131bには前後の両固定ミラー138,139間にスコープ1の狭角像を得るための狭角レンズ140が配設されている。
【0147】
また、鉗子追尾装置37の操作スイッチ38には第2の実施の形態(図8参照)と同様に鉗子11の先端の追尾機能の有効/無効の切り換え操作を行う第1のスイッチ58aと、光路切換えアクチュエータの切換え操作用の第2,第3のスイッチ58b,58cとがそれぞれ設けられている。ここで、第2のスイッチ58bは広角光路形成用のスイッチで、この第2のスイッチ58bを押した場合には2つの切換ミラー133,134が図17(A)中に点線で示すように第1の切換え位置に切換え操作され、スコープ1の観察像が主光路131a上の広角レンズユニット135を通してCCD20に伝送されるようになっている。このとき、表示モニタ39には図17(B)に示す広角像が表示されるようになっている。
【0148】
さらに、第3のスイッチ58cは狭角光路形成用のスイッチで、この第3のスイッチ58cを押した場合には2つの切換ミラー133,134が図17(A)中に実線で示すように第2の切換え位置に切換え操作され、スコープ1の観察像が切換え光路131b上の狭角レンズ140を通してCCD20に伝送されるようになっている。このとき、表示モニタ39には図17(C)に示す狭角像が表示されるようになっている。
【0149】
そして、本実施の形態のスコープ1による観察像の撮像時には操作スイッチ38の第2,第3のスイッチ58b,58cの操作にともない両切換ミラー133,134が切換え操作され、スコープ1の観察像伝送光路131の切換え操作が行われる。すなわち、第2のスイッチ58bを押した場合には2つの切換ミラー133,134が図17(A)中に点線で示すように第1の切換え位置に切換え操作され、スコープ1の観察像が主光路131a上の広角レンズユニット135を通してCCD20に伝送される。このとき、表示モニタ39には図17(B)に示す広角像が表示される。
【0150】
さらに、第3のスイッチ58cを押した場合には2つの切換ミラー133,134が図17(A)中に実線で示すように第2の切換え位置に切換え操作され、スコープ1の観察像が切換え光路131b上の狭角レンズ140を通してCCD20に伝送される。このとき、表示モニタ39には図17(C)に示す狭角像が表示される。
【0151】
また、表示モニタ39の画面から鉗子11の先端が外れた状態から鉗子11の先端の追尾を行う場合には、まず操作スイッチ38の第2のスイッチ58bを押して2つの切換ミラー133,134を図17(A)中に点線で示す第1の切換え位置に切換え、表示モニタ39に図17(B)に示す広角像を表示させることにより、表示モニタ39に鉗子11の先端を表示させたのち、操作スイッチ38の第1のスイッチ58aを押し、鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能を作動させればよい。
【0152】
そこで、上記構成のものにあっても第2の実施の形態と同様に表示モニタ39の画面に表示されている狭角像の観察範囲から鉗子11が外れた場合には、操作スイッチ38の第2のスイッチ58bの操作で、表示モニタ39の画面に広角像を表示させ、鉗子11を表示モニタ39の画面内の視野に入れることができるので、鉗子11の追尾を容易に再開できる。
【0153】
また、図18および図19は本発明の第7の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態のスコープ1に取付けられたTVカメラ15のCCD移動機構21の構成を変更したものである。
【0154】
すなわち、本実施の形態のTVカメラ15のCCD移動機構21には図18に示すように2つの略U字状の移動アーム151,152が設けられている。ここで、一方の第1の移動アーム151の一端部には図19に示すようにスコープ1の光軸方向と直交する方向に向けて配置された第1のステッピングモータ153の回転軸が固定されている。この第1の移動アーム151の他端部はTVカメラ15のケーシング16に回動支点154を中心に回動可能に連結されている。
【0155】
さらに、他方の第2の移動アーム152の一端部にはスコープ1の光軸方向と直交する平面内で、かつ第1のステッピングモータ153と直交する方向に向けて配置された第2のステッピングモータ155の回転軸が固定されている。この第2の移動アーム152の他端部はTVカメラ15のケーシング16に回動支点156を中心に回動可能に連結されている。したがって、2つの移動アーム151,152はスコープ1の光軸方向と直交し、かつ互いに直交する2軸回りに回動可能に支持されている。
【0156】
また、2つの移動アーム151,152にはそれぞれCCD移動ガイド用のスリット157,158が設けられている。そして、2つの移動アーム151,152の各スリット157,158の交点にはピン159が挿入されている。このピン159にはCCD20の台座160が固定されている。
【0157】
したがって、CCD20の台座160は第1のステッピングモータ153に駆動されて回動する第1の移動アーム151の回動動作にともない図19中の左右方向に移動操作されるとともに、第2のステッピングモータ155に駆動されて回動する第2の移動アーム152の回動動作にともない同図中の上下方向に移動操作され、CCD20が光軸中心に対し傾斜しながら移動するようになっている。
【0158】
そして、第1のステッピングモータ153および第2のステッピングモータ155によってTVカメラ15の撮像用の光学部品、本実施の形態ではCCD20を移動させ、TVカメラ15の撮像範囲を変更させるアクチュエータ33が形成されている。したがって、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0159】
また、図20は本発明の第8の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態のスコープ1に取付けられたTVカメラ15の内部構成を変更したものである。
【0160】
すなわち、本実施の形態のTVカメラ15の内部には2つの移動プリズム171a,171bが設けられている。これらの移動プリズム171a,171bの側面にはそれぞれナット172a,172bが固定されている。
【0161】
また、図20中で、上側に配置された第1の移動プリズム171aはスコープ1の光軸の延長上に配置されている。さらに、第1の移動プリズム171aとスコープ1の接眼部3との間には移動レンズ173が配設されている。この移動レンズ173のレンズ枠174には操作板175が突設されている。この操作板175には雌ねじ部が形成され、この雌ねじ部にレンズ移動用ステッピングモータ176の回転軸に連結された操作ねじ177が螺着されている。そして、このステッピングモータ176によって操作ねじ177が回転駆動され、移動レンズ173がスコープ1の光軸方向に移動されるようになっている。
【0162】
また、第1の移動プリズム171aのナット172aには第1のステッピングモータ178の回転軸に連結された第1の操作ねじ179が螺着されている。そして、この第1のステッピングモータ178によって第1の操作ねじ179が回転駆動され、第1の移動プリズム171aがスコープ1の光軸方向に移動されるようになっている。
【0163】
さらに、図20中で、第1の移動プリズム171aの下側に配置された第2の移動プリズム171bは第1の移動プリズム171aによってスコープ1の観察像が反射される方向に離間対向配置されている。ここで、第2の移動プリズム171bによってスコープ1の観察像が反射される方向にはCCD20が離間対向配置されている。
【0164】
また、第2の移動プリズム171bのナット172bには第2のステッピングモータ180の回転軸に連結された第1の操作ねじ181が螺着されている。そして、この第2のステッピングモータ180によって第2の操作ねじ181が回転駆動され、第2の移動プリズム171bがスコープ1の観察像の光路に沿って図20中で上下方向に移動されるようになっている。
【0165】
なお、第1,第2の移動プリズム171a,171bの移動に伴い、移動レンズ173とCCD20との間の光路長さが変化しないように予め移動レンズ173を移動させ、この移動レンズ173の固定位置を調整する。ここで、移動レンズ173の入射光は平行光であり、この移動レンズ173の焦点距離の位置にCCD20が固定されている。
【0166】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のTVカメラ15では第1の移動プリズム171aが移動するとCCD20に入射される像は図20中で左右方向に移動し、第2の移動プリズム171bが移動するとCCD20に入射される像は同図中で上下方向に移動する。
【0167】
そして、第1のステッピングモータ178および第2のステッピングモータ180によってTVカメラ15の撮像用の光学部品、本実施の形態では第1の移動プリズム171aおよび第2の移動プリズム171bを移動させることにより、CCD20に結像されるスコープ1の観察像の撮像範囲を変更させることができる。
【0168】
したがって、本実施の形態でも第1のステッピングモータ178および第2のステッピングモータ180によってTVカメラ15の撮像範囲を変更させるアクチュエータ33を形成することができるので、第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作を行なわせることができ、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0169】
また、図21は本発明の第9の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第8の実施の形態(図20)のTVカメラ15の内部構成をさらに変更したものである。すなわち、本実施の形態のTVカメラ15では第8の実施の形態の2つの移動プリズム171a,171bに代えて2つの回動ミラー191a,191bが設けられている。
【0170】
また、図21中で、上側に配置された第1の回動ミラー191aはスコープ1の光軸の延長上に配置されている。さらに、第1の回動ミラー191aとスコープ1の接眼部3との間にはズームレンズ193が配設されている。このズームレンズ193のレンズ枠194には操作板195が突設されている。この操作板195には雌ねじ部が形成され、この雌ねじ部にズームレンズ移動用のステッピングモータ196の回転軸に連結された操作ねじ197が螺着されている。そして、このステッピングモータ196によって操作ねじ197が回転駆動され、ズームレンズ193がスコープ1の光軸方向に移動されるようになっている。
【0171】
また、第1の回動ミラー191aは第1のステッピングモータ198の回転軸に固定されている。そして、この第1のステッピングモータ198によって第1の回動ミラー191aが回動駆動されるようになっている。
【0172】
さらに、図20中で、第1の回動ミラー191aの下側に配置された第2の回動ミラー191bは第2のステッピングモータ199の回転軸に固定されている。そして、この第2のステッピングモータ199によって第2の回動ミラー191bが回動駆動されるようになっている。
【0173】
また、第1の回動ミラー191aおよび第2の回動ミラー191bにより、スコープ1の観察像の光路がそれぞれ略90°に曲げられるようになっており、第2の回動ミラー191bによってスコープ1の観察像が反射される方向にはCCD20が離間対向配置されている。
【0174】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のTVカメラ15では第1の回動ミラー191aが回動するとCCD20に入射される像は図21中で左右方向に移動し、第2の回動ミラー191bが回動するとCCD20に入射される像は同図中で上下方向に移動する。さらに、ズームレンズ193のレンズ枠194の移動により、ズームレンズ193が光軸方向に移動し、CCD20に結像される画像が拡大または縮小される。
【0175】
そして、第1のステッピングモータ198および第2のステッピングモータ199によってTVカメラ15の撮像用の光学部品、本実施の形態では第1の回動ミラー191aおよび第2の回動ミラー191bを移動させることにより、CCD20に結像されるスコープ1の観察像の撮像範囲を変更させることができる。
【0176】
したがって、本実施の形態でも第1のステッピングモータ198および第2のステッピングモータ199によってTVカメラ15の撮像範囲を変更させるアクチュエータ33を形成することができるので、第1の実施の形態と同様に鉗子追尾装置37による鉗子11の先端の追尾機能の作動中は、鉗子11の先端の処置部13を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する鉗子11の先端の追尾動作を行なわせることができ、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0177】
また、図22(A),(B)は本発明の第10の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態の内視鏡装置の構成を次のように変更したものである。すなわち、第1の実施の形態のように鉗子11の位置情報を検出する位置検出手段として鉗子11の処置部13の先端に色マーカー44を設け、鉗子追尾装置37によって鉗子11の先端を追尾する構成に代えて、患者の体腔内の特定臓器H1 に特殊な色、或いは形状のマーカー201を付けるとともに、特定臓器H1 のマーカー201を検出し、臓器形状のパターンマッチングを行い、体腔内の特定臓器H1 がスコープ1の視野の中央にくるように制御する臓器追尾装置202を設けたものである。
【0178】
そこで、上記構成のものにあっては臓器追尾装置202による特定臓器H1 のマーカー201の追尾機能の作動中は、特定臓器H1 のマーカー201を追尾する状態でTVカメラ15の撮像範囲を変更する臓器追尾動作が行なわれるので、体腔内の特定臓器H1 がスコープ1の視野の中央にくるようにCCD20の位置を制御することができる。
【0179】
また、図23(A)〜(C)および図24は本発明の第11の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態の鉗子追尾装置37に代えて視野制御装置211を設けるとともに、第2の実施の形態の操作スイッチ38に代えて位置指令手段212を設けたものである。さらに、表示モニタ39としては第2の実施の形態のTVモニタに代えて図24に示すように術者Dの頭部H2 に装着されるHMD213が使用されている。
【0180】
また、位置指令手段212には術者Dの頭部H2 のHMD213に固定されるセンスコイル214と、定位置に固定されるソースコイル215とが設けられている。ここで、センスコイル214およびソースコイル215は3つの直交する軸(X軸,Y軸,Z軸)回りに巻いたコイルにより形成されている。そして、位置指令手段212としてはこれらのソースコイル215とセンスコイル214の相互インダクタンスにより相互の3次元的位置関係を検出するセンサが使用され、術者Dの頭部H2 の位置情報に関する制御信号を出力するようになっている。なお、センスコイル214は図25に示すヘッドバンド221で術者Dの頭部H2 に固定される構成にしてもよい。
【0181】
また、視野制御装置211は位置指令手段212から出力される制御信号による位置データに従ってスコープ1の視野方向の制御および視野の拡大、縮小を行うものである。すなわち、HMD213に表示される画像に対して、術者Dが頭部H2 を左右、上下に動かすとその方向の画像がHMD213に表示される。さらに、HMD213に表示される画像に対して、術者Dが頭部H2 を前後させると、画像が拡大、縮小するようHMD213に表示される。
【0182】
そこで、上記構成のものにあっては術者Dの頭部H2 の位置情報に従って、術者Dの処置作業を妨げることなく、スコープ1の視野範囲を制御することができる。
【0183】
また、図25は第11の実施の形態の第1の変形例を示すものである。本変形例は術者Dの頭部H2 に装着されるヘッドバンド221で固定される加速度センサ、ジャイロ等の位置検出センサ222を設け、術者Dが頭部H2 を左右、上下に動かすとその方向の画像が第2の実施の形態のTVモニタ等の表示モニタ39に表示される構成にしたものである。
【0184】
また、本変形例では術者Dが頭部H2 を前後させると、画像が拡大、縮小するよう表示モニタ39に表示される。なお、位置検出センサ222は図24に示すように術者Dの頭部H2 に装着されるHMD213に固定される構成にしてもよい。
【0185】
また、図26は第11の実施の形態の第2の変形例を示すものである。本変形例は第11の実施の形態の位置指令手段212として術者Dの音声を認識する音声認識手段231を設けたものである。この音声認識手段231にはマイク232が接続されている。
【0186】
そして、術者Dの音声はマイク232により音声認識手段231に入力され、音声認識手段131で指示された位置へスコープ1の視野方向の制御が行われるとともに、視野の拡大、縮小が制御される。その結果、本変形例では術者Dの音声による指示に従って、術者Dの処置作業を妨げることなく、スコープ1の視野範囲を制御することができる。
【0187】
また、図27(A)は第11の実施の形態の第3の変形例を示すものである。本変形例は第11の実施の形態の位置指令手段212として遠隔操作用の操作パネル241を設けたものである。この操作パネル241には上下左右の各方向に視野方向を変更するための4つの第1の操作ボタン(上操作ボタン242a,下操作ボタン242b,左操作ボタン242c,右操作ボタン242d)とズームレンズによる拡大、縮小を行うための2つの第2の操作ボタン(拡大操作ボタン243a,縮小操作ボタン243b)とが設けられている。この操作パネ241は床、鉗子の操作部、あるいはベッドサイド等に設置して使用する。
【0188】
そこで、本変形例では術者Dによる操作パネ241の各操作ボタン242a〜242d、243a,243bの押し込み操作による指示に従って、術者Dの処置作業を妨げることなく、スコープ1の視野範囲を制御することができる。
【0189】
また、図27(B)は第11の実施の形態の第4の変形例を示すものである。本変形例は第11の実施の形態の位置指令手段212として遠隔操作用のジョイスティック251を設けたものである。このジョイスティック251には操作パネル252とこの操作パネル252の中央に突設された操作ロッド253とが設けられている。
【0190】
ここで、操作ロッド253は操作パネル252に上下左右の各方向に傾動可能に、かつ軸方向に突没可能に支持されている。さらに、操作パネル252には操作ロッド253の周囲に上下左右の各方向に視野方向を変更するために操作ロッド253を傾動させる4つのポシション(上操作ポシション254a,下操作ポシション254b,左操作ポシション254c,右操作ポシション254d)が表示されている。また、操作ロッド253を矢印T方向に引き上げることにより、ズームレンズによる拡大を行い、操作ロッド253を矢印W方向に押し込むことにより、ズームレンズによる縮小を行うようになっている。
【0191】
このジョイスティック251は床、鉗子の操作部、あるいはベットサイド等に設置して使用するようになっている。したがって、本変形例でも第3の変形例と同様に術者Dによるジョイスティック251の操作ロッド253の傾動操作および操作ロッド253の軸方向に突没操作による指示に従って、術者Dの処置作業を妨げることなく、スコープ1の視野範囲を制御することができる。
【0192】
また、図28は本発明の第12の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第2の実施の形態(図7(A)乃至図9参照)のように患者の体腔内を観察する例えば腹腔鏡等の硬性のスコープ1と一体化され、もしくはスコープ1に接続され、スコープ1の観察像の一部又は全部を撮像するTVカメラ15の光学系の構成を変更したものである。
【0193】
本実施の形態の光学系には、スコープ1の接眼部3に内蔵される光学系の接眼レンズ301と、接眼カバーガラス302とが設けられている。さらに、スコープ1の接眼部3と一体化、もしくは接続されるTVカメラ15にはカバーガラス303と、ズーム光学系304とが内蔵されている。
【0194】
また、ズーム光学系304には結像位置を調整する結像位置調整用レンズ(コンペンセータ)305と、倍率変換用レンズ(バリエータ)306と、レンズ307,308とが設けられている。そして、スコープ1の接眼部3の光学系とズーム光学系304とにより、スコープ1の挿入部2を形成する円筒状の筒体6内の対物レンズ4及びリレーレンズ7によって形成される像P1 がCCD20上に像P2 として結像されるようになっている。
【0195】
ここで、CCD20上に結像される像P2 はズーム光学系304においてコンペンセータ305とバリエータ306とにより変倍され、広角像から狭角像まで得る事ができるようになっている。
【0196】
従って、TVカメラ15のズーム光学系304によって結像される像P2 の位置に本発明の第2実施の形態における移動可能なCCD20を配置する事により、鉗子の自動追尾が可能となる。
【0197】
尚、レンズ308を光軸に平行に移動させることにより、フォーカシングが行える。このレンズ308の移動機構としては図示しない調整つまみを使用するマニュアルフォーカスの他に、アクチュエータによるオートフォーカスも構成することができることは言うまでもない。
【0198】
また、図29は本発明の第13の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第5の実施の形態(図15(A),(B)および図16参照)のように患者の体腔内を観察する例えば腹腔鏡等の硬性のスコープ1と一体化され、もしくは接続され、スコープ1の観察像の一部又は全部を撮像するTVカメラ15の光学系の構成を変更したものである。
【0199】
すなわち、本実施の形態の光学系にはスコープ1の接眼部3に内蔵される光学系の接眼レンズ301と、接眼カバーガラス302とが設けられている。さらに、スコープ1の接眼部3と一体化、もしくは接続されるTVカメラ15にはカバーガラス303の後方にスコープ1の観察像の伝送光路を2つに分けるビームスプリッタ309が配設されている。
【0200】
また、ビームスプリッタ309によって分割される一方の光路、すなわちビームスプリッタ309を透過する観察像の第1の伝送光路322aには広角光学系310が配設されている。この広角光学系310は3枚のレンズ313,314,315で構成されている。
【0201】
さらに、ビームスプリッタ309によって分割される他方の光路、すなわちビームスプリッタ309によって反射される観察像の第2の伝送光路322bには中間像形成レンズ311と、ズーム光学系312と、中間像形成レンズ311とズーム光学系312との間に配設されたプリズム321とが配設されている。ここで、ズーム光学系312は、フォーカス調整レンズ316と、結像位置調整用レンズ(コンペンセータ)317と、倍率変換用レンズ(バリエータ)318と、レンズ319,320とで構成されている。
【0202】
そして、本実施の形態においては、スコープ1の観察像の伝送光路322はビームスプリッタ309により広角光学系310に入射する第1の伝送光路322aと、中間像形成レンズ311及びプリズム321を通じてズーム光学系312に入射する第2の伝送光路322bとに分割されている。
【0203】
従って、スコープ1の挿入部2を形成する円筒状の筒体6内の対物レンズ4及びリレーレンズ7によって形成された像P1 の一部は、伝送光路322から第1の伝送光路322aに伝送され、残りは伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送されるようになっている。そして、伝送光路322から第1の伝送光路322aに伝送される光成分の像P1 から広角光学系310によって広角像P3 が形成されるようになっている。このとき、同時に伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送される光成分の像P1 から中間像形成レンズ311により、中間像P4 が形成され、さらにズーム光学系312に伝送される事によって狭角像P5 が形成されるようになっている。
【0204】
本実施の形態ではCCD124をP3 の位置に固定し、移動可能なCCD20をP5 の位置に配置する事により、本発明の第5の実施の形態における広角像P3 の表示及び狭角像P5 による鉗子の自動追尾が可能となる。
【0205】
尚、本実施の形態ではプリズム321を用いてズーム光学系312の光路を広角光学系310の光路と略平行に配置し、CCD124及びCCD20の光軸を平行に配置したので、TVカメラ15の省スペース化がはかれ、さらに好ましい。
【0206】
また、プリズム321を用いて、CCD124、CCD20を平行に並設した事により、狭角像P5 を形成する第2の伝送光路322bの光路長を長くすることができる。そのため、第2の伝送光路322bの途中に中間像形成レンズ311を介設することができるので、この中間像形成レンズ311により、中間像P4 を形成し、像の劣化を防ぎつつ、必要な光路長が確保できる効果がある。
【0207】
さらに、本実施の形態の光学系において、広角光学系310を経てCCD124に入射して広角像P3 を形成する光線およびズーム光学系312を経てCCD20に入射して狭角像P5 を形成する光線は略テレセントリック(telecentric)な関係になっており、CCD124、CCD20における色シューディングの発生が押さえられる効果があり、好ましい。
【0208】
また、ビームスプリッタ309の分割面における光量分割比を次の式(1)の通り設定してもよい。なお、Aは第1の伝送光路322a側の光量、Bは第2の伝送光路322b側の光量である。
【0209】
A:B=1:4 (1)
この場合には、狭角像P5 の明るさが確保できる効果があり、さらに好ましい。
【0210】
なお、広角像P3 と狭角像P5 の光軸は略平行となっているが、いずれの像においても光路長が長いため、両者を平行に配置することにより外形をコンパクトにまとめることができる。
【0211】
又、狭角像P5 の光路においては、ビームスプリッタ309およびプリズム321の2箇所で光路が屈曲されることより、像が反転することがない。尚、レンズ316を光軸と平行に移動させることによりフォーカシングが行える。このレンズ316の移動機構としては調整つまみを使用するマニュアルフォーカス機構の他に、アクチュエータによるオートフォーカス機構も採用できることは言うまでもない。
【0212】
また、図30は本発明の第14の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第13の実施の形態(図29参照)のTVカメラ15のズーム光学系312を狭角光学系323に変更したものである。この狭角光学系323は4枚のレンズ324,325,326,327で構成されている。なお、本実施の形態では狭角光学系323の倍率をβT 、広角光学系310の倍率をβW とするとβT >βW の関係に設定されている。
【0213】
そして、本実施の形態ではスコープ1の挿入部2を形成する円筒状の筒体6内の対物レンズ4及びリレーレンズ7によって形成された像P1 が伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送される際に、伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送される光成分の像P1 から中間像形成レンズ311により、中間像P4 が形成され、さらに狭角光学系323に伝送される事によって狭角像P6 が形成されるようになっている。
【0214】
本実施の形態ではCCD124をP3 の位置に固定し、移動可能なCCD20をP6 の位置に配置する事により、本発明の第5の実施の形態における広角像P3 の表示及び狭角像P6 による鉗子の自動追尾が可能となる。
【0215】
ここで、自動追尾を行う為にはCCD20の有効画面サイズよりも狭角像P6 が大きい事が必要である。尚、広角像P3 と狭角像P6 の光軸は略平行に配置されているが、いずれの像においても光路長が長いため、両者を平行に配置することにより、TVカメラ15全体の外形をコンパクトにまとめることができる。
【0216】
さらに、狭角像P6 の光路においては、ビームスプリッタ309およびプリズム321の2箇所で光路が屈曲されることより、像が反転することがない。尚、レンズ324を光軸と平行に移動されることによりフォーカシングが行える。このレンズ324の移動機構としては調整つまみを使用するマニュアルフォーカス機構の他に、アクチュエータによるオートフォーカス機構も採用できることは言うまでもない。
【0217】
また、図31は本発明の第15の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第6の実施の形態(図17(A)〜(C)参照)のTVカメラ15の光学系の構成を変更したものである。
【0218】
すなわち、本実施の形態の光学系にはスコープ1の接眼部3に内蔵される光学系の接眼レンズ301と、接眼カバーガラス302とが設けられている。さらに、スコープ1の接眼部3と一体化、もしくは接続されるTVカメラ15にはカバーガラス303の後方にスコープ1の観察像の伝送光路を2つに分けるビームスプリッタ309が配設されている。
【0219】
また、ビームスプリッタ309によって分割される一方の光路、すなわちビームスプリッタ309を透過する観察像の第1の伝送光路322aには第12の実施の形態(図28参照)のズーム光学系304と同じ構成のズーム光学系329と、偏光ビームスプリッタ334と、液晶シャッタ335とが順次配設されている。ここで、ズーム光学系329は結像位置調整用レンズ(コンペンセータ)336と、倍率変換用レンズ(バリエータ)337と、レンズ338,339で構成されている。
【0220】
さらに、ビームスプリッタ309によって分割される他方の光路、すなわちビームスプリッタ309によって反射される観察像の第2の伝送光路322bには第1の中間像形成レンズ311と、プリズム321と、広角光学系330と、第3の中間像形成レンズ331と、プリズム332と、結像レンズ333とが順次配設されている。ここで、広角光学系330は4枚のレンズ340,341,352,343によって構成されている。また、プリズム321は第1の中間像形成レンズ311と広角光学系330との間に配設され、プリズム332は第3の中間像形成レンズ331と結像レンズ333との間に配設されている。さらに、結像レンズ333はプリズム332と偏光ビームスプリッタ334との間に配設されている。
【0221】
なお、偏光ビームスプリッタ334はビームスプリッタ309で分割された伝送光路322a,322bを経て伝送される画像の各々に偏光状態を持たせるものである。
【0222】
そして、本実施の形態においては、スコープ1の観察像の伝送光路322はビームスプリッタ309によりズーム光学系329側に入射する第1の伝送光路322aと、第1の中間像形成レンズ311及びプリズム321を通じて広角光学系330側に入射する第2の伝送光路322bとに分割されている。
【0223】
従って、スコープ1の挿入部2を形成する円筒状の筒体6内の対物レンズ4及びリレーレンズ7によって形成された像P1 の一部は、伝送光路322から第1の伝送光路322aに伝送され、残りは伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送されるようになっている。そして、伝送光路322から第1の伝送光路322aに伝送される光成分の像P1 はズーム光学系329を経て偏光ビームスプリッタ334によりある偏光状態を持って液晶シャッタ335に伝送され、この液晶シャッタ335に狭角像P11が形成されるようになっている。
【0224】
このとき、同時に伝送光路322から第2の伝送光路322bに伝送される光成分の像P1 は次の経路で伝送される。まず、第1の中間像形成レンズ311により、中間像P4 が形成され、さらにプリズム321を経て広角光学系330に伝送される。そして、広角光学系330により、第2の中間像P7 が形成され、続いて第3の中間像形成レンズ311により、プリズム332を経て第3中間像P8 が形成される。さらに、結像レンズ333を経て偏光ビームスプリッタ334により、狭角像P11とは異なる偏光状態が与えられ、液晶シャッタ335に広角像P12が形成されるようになっている。
【0225】
そこで、本実施の形態によれば次の効果を奏する。すなわち、液晶シャッタ335の偏光状態を切り換える事により、狭角像P11及び広角像P12を切り換える事が可能となり、本発明の第6の実施の形態における広角像の表示及び鉗子の自動追尾が可能となる。
【0226】
尚、レンズ340を光軸と平行に移動させることにより、フォーカシングが行える。このレンズ340の移動機構としては調整つまみを使用するマニュアルフォーカス機構の他に、アクチュエータによるオートフォーカス機構も採用できることは言うまでもない。さらに、本実施の形態においてはビームスプリッタ309はミラーに置き換えてもよい。
【0227】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【0228】
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
【0229】
記
(付記項1) 体腔内に挿入された処置具と、体腔内を観察可能な内視鏡と、この内視鏡の観察像の一部又は全部を撮像するTVカメラと、を有する内視鏡装置において、一部または全部を移動することにより前記TVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、前記処置具の位置情報を検出する位置情報検出手段と、この位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する移動制御手段と、を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
【0230】
(付記項2) 体腔内を観察可能な内視鏡と、この内視鏡の観察像の一部又は全部を撮像するTVカメラと、を有する内視鏡装置において、一部または全部を移動することにより前記TVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、体腔内の臓器の位置情報を検出する位置情報検出手段と、この位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する移動制御手段と、を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
【0231】
(付記項3) 体腔内に挿入された処置具と、体腔内を観察可能なスコープと、スコープの観察像の一部または全部を撮像するTVカメラと、一部または全部の移動によりTVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、前記処置具の位置情報を検出する検出手段と、この検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する制御手段とを具備したことを特徴とするスコープ装置。
【0232】
(付記項3の目的) 体腔内に挿入された処置具の位置に従って、術者の処置作業を妨げることなく、スコープの視野を制御することができるスコープ装置を提供することである。
【0233】
(付記項3の作用) 処置具の位置に従って撮像光学系ユニットの一部又は全部が移動し、スコープの視野方向が変更される。
【0234】
(付記項4) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が固体撮像素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0235】
(付記項5) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が光軸に垂直に移動可能な固体撮像素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0236】
(付記項6) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が光軸に対し傾斜移動可能な固体撮像素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0237】
(付記項7) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がズームレンズである付記項3に記載のスコープ装置。
【0238】
(付記項8) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が光軸に垂直に移動可能なレンズである付記項3に記載のスコープ装置。
【0239】
(付記項9) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が光軸に対し傾斜移動可能なレンズである付記項3に記載のスコープ装置。
【0240】
(付記項10) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がスコープの先端部に内蔵される付記項3に記載のスコープ装置。
【0241】
(付記項11) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がスコープの先端部に内蔵されるミラーである付記項3に記載のスコープ装置。
【0242】
(付記項12) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がスコープの先端部に内蔵されるプリズムである付記項3に記載のスコープ装置。
【0243】
(付記項13) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がスコープの先端部に内蔵されるレンズおよび固体撮像素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0244】
(付記項14) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がスコープの接眼部のレンズである付記項3に記載のスコープ装置。
【0245】
(付記項15) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がTVカメラ内に内蔵される付記項3に記載のスコープ装置。
【0246】
(付記項16) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、スコープとカメラの間に接続されたアダプタに内蔵されることを特徴とする付記項3に記載のスコープ装置。
【0247】
(付記項17) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、光反射素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0248】
(付記項18) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、プリズムである付記項3に記載のスコープ装置。
【0249】
(付記項19) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、ミラーである付記項3に記載のスコープ装置。
【0250】
(付記項20) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、ズームレンズおよび視野方向制御用光学素子である付記項3に記載のスコープ装置。
【0251】
(付記項21) ズームレンズによる拡大率により、視野方向変換用のレンズの移動量を変更する制御手段を具備する付記項20に記載のスコープ装置。
【0252】
(付記項22) 前記位置情報の検出手段が、スコープの映像情報における処置具の特徴量を抽出し、抽出された特徴量の位置を検出するアルゴリズムを有するスコープの映像情報処理回路である付記項3に記載のスコープ装置。
【0253】
(付記項23) 前記処置具の特徴量が色である付記項22に記載のスコープ装置。
【0254】
(付記項24) 前記処置具の特徴量が形状である付記項22に記載のスコープ装置。
【0255】
(付記項25) 前記位置情報の検出手段が、処置具に取り付けられた位置検出センサである付記項3に記載のスコープ装置。
【0256】
(付記項26) 前記スコープがスコープの保持手段により保持されている付記項3に記載のスコープ装置。
【0257】
(付記項27) 前記スコープが直視スコープである付記項3に記載のスコープ装置。
【0258】
(付記項28) 前記スコープが斜視スコープである付記項3に記載のスコープ装置。
【0259】
(付記項29) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部の移動が少なくとも2自由度である付記項3に記載のスコープ装置。
【0260】
(付記項30) 体腔内に挿入された処置具と、スコープの観察像を撮像する第1のTVカメラと、スコープの観察像の一部を観察像を撮像する第2のTVカメラと、一部または全部の移動により第2のTVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、前記処置具の位置情報を第1のTVカメラの観察像より検出する検出手段と、この検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する制御手段とを具備したことを特徴とするスコープ装置。
【0261】
(付記項31) 体腔内を観察可能なスコープと、スコープの観察像の一部または全部を撮像するTVカメラと、一部または全部の移動によりTVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、体腔内の臓器の位置情報を検出する検出手段と、この検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する制御手段とを具備したことを特徴とするスコープ装置。
【0262】
(付記項31の目的) 体腔内の臓器の位置に従って、術者の処置作業を妨げることなく、スコープの視野を制御するスコープ装置を提供することである。
【0263】
(付記項31の作用) 臓器の位置に従って撮像光学系ユニットの一部又は全部が移動し、スコープの視野方向が変更される。
【0264】
(付記項32) 前記位置情報の検出手段が、スコープの映像情報における臓器または臓器に取り付けられたマーカの特徴量を抽出し、抽出された特徴量の位置を検出するアルゴリズムを有するスコープの映像情報処理回路である付記項31に記載のスコープ装置。
【0265】
(付記項33) 前記位置情報の検出手段が、臓器の位置を検出する位置検出センサである付記項31に記載のスコープ装置。
【0266】
(付記項34) 体腔内を観察可能なスコープと、スコープの観察像の一部または全部を撮像するTVカメラと、一部または全部の移動によりTVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、術者の頭部の位置情報を検出する検出手段と、この検出手段により検出された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する制御手段とを具備したことを特徴とするスコープ装置。
【0267】
(付記項34の目的) 術者の頭部の位置に従って、術者の処置作業を妨げることなく、スコープの視野を制御するスコープ装置を提供することである。
【0268】
(付記項34の作用) 術者の頭部の位置に従って撮像光学系ユニットの一部又は全部が移動し、スコープの視野方向が変更される。
【0269】
(付記項35) 頭部の位置を検出する手段が、磁気センサである付記項34に記載のスコープ装置。
【0270】
(付記項36) 頭部の位置を検出する手段が、加速度センサである付記項34に記載のスコープ装置。
【0271】
(付記項37) 頭部の位置を検出する手段が、ジャイロである付記項34に記載のスコープ装置。
【0272】
(付記項38) 頭部の位置を検出する手段が、関節アームである付記項34に記載のスコープ装置。
【0273】
(付記項39) 位置検出手段が、HMD(頭部装着型ディスプレー)に設けられている付記項34に記載のスコープ装置。
【0274】
(付記項40) 体腔内を観察可能なスコープと、スコープの観察像の一部または全部を撮像するTVカメラと、一部または全部の移動によりTVカメラの撮像範囲を変更する撮像光学系ユニットと、前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動させるアクチュエータと、術者の音声を認識する音声認識手段と、この音声認識手段により指示された位置情報に基づいて前記撮像光学系ユニットの一部又は全部を移動する制御手段とを具備したことを特徴とするスコープ装置。
【0275】
(付記項40の目的) 術者の音声による指示に従って、術者の処置作業を妨げることなく、スコープの視野を制御するスコープ装置を提供することである。
【0276】
(付記項40の作用) 術者の音声による指示に従って撮像光学系ユニットの一部又は全部が移動し、スコープの視野方向が変更される。
【0277】
(付記項41) 体腔内を観察可能なスコープと、スコープの観察像の一部を撮像するTVカメラと、TVカメラ部に内蔵され一部または全部の移動によりTVカメラの撮像中心位置を変更する撮像光学系ユニットとを有することを特徴とするスコープ装置。
【0278】
(付記項41の従来技術) 実開昭49−89991号公報には先端プリズムの回動によるスコープ視野変更装置が示されている。この装置は電磁力で駆動されるようになっている。また、実開昭61−56616号公報には先端ミラーの形状記憶合金による駆動で視野方向を切換えるファイバースコープが示されている。さらに、特開昭57−203377号公報には撮像装置へ光を入射させるミラーを駆動する撮像方向変更装置が示されている。
【0279】
(付記項41の技術課題) 実開昭49−89991号公報や、実開昭61−56616号公報では体腔内への挿入部がオートクレーブ等の滅菌に適さない。また、特開昭57−203377号公報では体腔内の観察ではない。
【0280】
(付記項41の目的) 体腔内への挿入部が滅菌可能であり、体腔内でスコープの視野方向を変更するスコープ装置を提供することである。
【0281】
(付記項41の作用) カメラ内の撮像光学系ユニットの一部又は全部が移動し、スコープの視野方向が変更される。
【0282】
(付記項42) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が、スコープとカメラの間に接続されたアダプタに内蔵されることを特徴とする付記項41に記載のスコープ装置。
【0283】
(付記項43) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が固体撮像素子である付記項41に記載のスコープ装置。
【0284】
(付記項44) 前記光学素子がズームレンズである付記項41に記載のスコープ装置。
【0285】
(付記項45) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部が固体撮像素子とズームレンズである付記項41に記載のスコープ装置。
【0286】
(付記項46) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がレンズである付記項41に記載のスコープ装置。
【0287】
(付記項47) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部がプリスムである付記項41に記載のスコープ装置。
【0288】
(付記項48) 前記スコープが直視スコープである付記項41に記載のスコープ装置。
【0289】
(付記項49) 前記スコープが斜視スコープである付記項41に記載のスコープ装置。
【0290】
(付記項50) 前記撮像光学系ユニットの一部又は全部の移動が少なくとも2自由度である付記項41に記載のスコープ装置。
【0291】
(付記項51) 前記撮像光学系において、前記撮像素子に結像する間に少なくとも1つ、中間像を持つ事を特徴とする付記項41に記載の撮像光学ユニット。
【0292】
(付記項52) 前記撮像光学系において、前記撮像素子と前記撮像光学系が略テレセントリックな関係にある事を特徴とする付記項41に記載の撮像光学ユニット。
【0293】
(付記項53) 前記撮像光学系ユニットの一部または全部が、スコープと着脱自在に接続されたTVカメラ内に内蔵される付記項3に記載のスコープ装置。
【0294】
(付記項54) 前記撮像光学系ユニットの一部または全部が、スコープとカメラの間に着脱自在に接続されたアダプタに内蔵されることを特徴とする付記項3に記載のスコープ装置。
【0295】
(付記項55) 前記スコープが斜視スコープであり、斜視スコープを光軸回りに回転する制御手段とを有する付記項3に記載のスコープ装置。
【0296】
(付記項56) 前記スコープが斜視スコープであり、斜視スコープを光軸回りに回転する制御手段と、前記撮像光学系における撮像光学素子を回転する制御手段とを有する付記項3に記載のスコープ装置。
【0297】
(付記項57) 前記第1のTVカメラの撮像素子の光軸中心線と、前記第2のTVカメラの撮像素子の光軸中心線が略平行である付記項30に記載のスコープ装置。
【0298】
(付記項58) 前記第1のTVカメラの撮像素子の光軸中心線と、前記第2のTVカメラの撮像素子の光軸中心線が略直交する付記項30に記載のスコープ装置。
【0299】
【発明の効果】
本発明によれば撮像手段の撮像光学系の一部または全部を移動させ、撮像手段の撮像範囲を変更させるアクチュエータと、処置具の位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段により検出された位置情報に基づいてアクチュエータを制御して撮像手段の撮像範囲を変更する制御手段とを設けたので、内視鏡下の手術中、術者の処置作業を妨げることなく、体腔内に挿入された処置具の移動に追従して内視鏡の視野を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面を示す平面図。
【図2】(A)は第1の実施の形態のスコープの接眼部に取付けられたTVカメラの縦断面図、(B)はCCD移動機構の概略構成図、(C)はCCDに接続されたフレキシブルプリント板の配設状態を示す側面図。
【図3】鉗子追尾装置の概略構成図。
【図4】鉗子追尾装置による鉗子の先端の追尾機能動作を説明するためのフローチャート。
【図5】鉗子追尾装置による鉗子の先端の追尾機能動作の変形例を説明するためのフローチャート。
【図6】第1の実施の形態の第1の変形例を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面を示す平面図。
【図7】第1の実施の形態の第2の変形例を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面に表示される画像の回転を戻した状態を示す平面図、(C)は表示モニタの画面に表示される画像の回転状態を示す平面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は鉗子の追尾動作時の表示モニタの画面を示す平面図、(C)はズーム動作時の表示モニタの画面を示す平面図。
【図9】(A)は第2の実施の形態のスコープの接眼部に取付けられたTVカメラの縦断面図、(B)はCCD移動機構の概略構成図、(C)はCCDに接続されたフレキシブルプリント板の配設状態を示す側面図。
【図10】第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示すもので、(A)はスコープの接眼部に取付けられたTVカメラの縦断面図、(B)は移動機構の概略構成図。
【図12】(A)は第3の実施の形態の第1の変形例を示す概略構成図、(B)は第3の実施の形態の第2の変形例を示す概略構成図。
【図13】本発明の第4の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面を示す平面図。
【図14】第4の実施の形態の変形例を示す概略構成図。
【図15】本発明の第5の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面の切換え状態を説明するための説明図。
【図16】第5の実施の形態のスコープの撮像範囲を変更する制御手段の概略構成図。
【図17】本発明の第6の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタに第1の切換え画面が表示された状態を示す平面図、(C)は表示モニタに第2の切換え画面が表示された状態を示す平面図。
【図18】本発明の第7の実施の形態の内視鏡装置を示す概略構成図。
【図19】第7の実施の形態のCCD移動機構の概略構成図。
【図20】本発明の第8の実施の形態の内視鏡装置を示す概略構成図。
【図21】本発明の第9の実施の形態の内視鏡装置を示す概略構成図。
【図22】本発明の第10の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタの画面を示す平面図。
【図23】本発明の第11の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡装置全体の概略構成図、(B)は表示モニタに第1の切換え画面が表示された状態を示す平面図、(C)は表示モニタに第2の切換え画面が表示された状態を示す平面図。
【図24】第11の実施の形態の位置指令手段と視野変換部を示す斜視図。
【図25】第11の実施の形態の第1の変形例の要部構成を示す斜視図。
【図26】第11の実施の形態の第2の変形例の要部構成を示す斜視図。
【図27】(A)は第11の実施の形態の第3の変形例の要部構成を示す平面図、(B)は第11の実施の形態の第4の変形例の要部構成を示す斜視図。
【図28】本発明の第12の実施の形態を示す要部の概略構成図。
【図29】本発明の第13の実施の形態を示す要部の概略構成図。
【図30】本発明の第14の実施の形態を示す要部の概略構成図。
【図31】本発明の第15の実施の形態を示す要部の概略構成図。
【符号の説明】
1…スコープ(内視鏡)、11…鉗子(処置具)、15…TVカメラ(撮像手段)、20…CCD(撮像光学系)、33…アクチュエータ、42…画像演算処理回路(位置検出手段)、43…アクチュエータ制御回路(制御手段)、171a,171b…移動プリズム(撮像用の光学部品)。
Claims (1)
- 術部の観察像を伝送する観察光学系と、
前記観察光学系から伝送される観察像の一部又は全部を撮像可能な撮像面を有する撮像手段と、
前記撮像手段を含み、所定の空間を有する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットに設けられ、前記所定の空間内において前記撮像手段を移動可能な移動手段と、
前記撮像手段によって撮像される撮像信号に基づいて観察範囲に投入される処置具の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記位置情報検出手段により検出された位置情報に基づいて前記移動手段を駆動制御する駆動制御手段と
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
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