JP3616255B2 - 固体高分子型燃料電池用セパレータ部材及びその製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用セパレータ部材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池のセパレータ部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池はパーフルオロカーボンスルフォン酸等のイオン交換膜からなる固体高分子の電解質膜と、その両側に設けた2つの電極とそれぞれの電極に水素等の燃料ガスあるいは酸素等の酸化剤ガスを供給するガス供給溝を設けたセパレータなどからなる単セルを積層したスタック、及びその外側に設けた2つの集電体から構成されている。リン酸型燃料電池と類似した構造であるが、電解質部分に高性能の高分子電解質膜を使用している関係で作動温度が80〜100℃とリン酸型の作動温度180〜220℃に比較して著しく低いにも拘わらずリン酸型より高出力の発電が可能である。
【0003】
このセパレータには、例えば燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離した状態で電極に供給するために高度のガス不透過性が要求され、また発電効率を高くするために電池の内部抵抗を小さくすることが必要である。更に、電池反応に伴う発熱を効率よく放散させ、電池内温度分布を均一化するために高い熱伝導性や長期耐久性の確保のために耐蝕性に優れる等の材質特性が必要とされている。
【0004】
このような材質特性が要求されるセパレータとして、例えば特開平4−267062号公報にはセパレータの材質を純銅やステンレス鋼などで構成する例が開示されている。しかしながら、これらの金属系の材質では燃料ガスとして用いる 水素ガスと長時間に亘って接触するために、水素脆性による材質劣化が生じ、電池性能が低下する欠点がある。
【0005】
また、リン酸型燃料電池ではセパレータに炭素質系の材料、特にガス不透過性に優れているガラス状カーボン材が使用されている。ガラス状カーボン材はフェノール系樹脂やフラン系樹脂などの熱硬化性樹脂液を成形し加熱硬化後、非酸化性雰囲気中800℃以上の温度で焼成炭化して得られるガラス質の性状を呈する特異な炭素材である。
【0006】
しかしながら、ガラス状カーボン材は緻密な組織構造を有し、高いガス不透過性を示す反面、硬度が高く脆性であるので加工性が悪いという欠点がある。更に金属系の材質に比べて熱伝導率が低く電気抵抗も大きいという難点があり、リン酸型燃料電池に比較して高電流密度で運転される固体高分子型燃料電池のセパレータとして使用するには適当でない。
【0007】
ガラス状カーボン材に比べて熱伝導率が高く、電気抵抗も低い黒鉛材は、組織中に微細な気孔空隙が多数存在するためにガス不透過性が低く、黒鉛材をそのまま固体高分子型燃料電池のセパレータとして使用することはできない。この気孔空隙に熱硬化性樹脂液を含浸し、加熱硬化して気孔空隙を閉塞することによりガス不透過性にする試みは従来から種々の方法が提案されている。
【0008】
例えば、含浸する樹脂を特定するものとして特開昭52−125488号公報には炭素材料にフリーデルクラフツ樹脂を含浸硬化する不浸透性炭素製品の製造方法が、特開昭59−57975号公報には炭素基材にフェノール樹脂とピッチとの相溶物を含浸し、該含浸物を炭化あるいは黒鉛化処理する不浸透性炭素材料の製造法が、また特公平6−31184号公報にはカーボン材にクレゾール樹脂を40〜95重量%の割合で含有するクレゾール樹脂とフェノール樹脂の混合樹脂液を含浸硬化する不浸透性カーボン材の製造方法等が提案されている。
【0009】
また、含浸硬化条件を特定するものとして特公平5−67595号公報には炭素質素材を含浸槽に入れ、減圧下で液状の熱硬化性樹脂に浸漬し、ついで系内を加圧状態に切り換えて液状樹脂が初期硬化するまで30℃以上の温度で加熱処理する不浸透性炭素材の製造方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、これらの方法で得られる不浸透性炭素材を固体高分子型燃料電池のセパレータとして用いるには、ガス不透過性、熱伝導性、導電性等の特性をバランスよく付与する点で充分なものではなく、また黒鉛材には物理的性状、例えば電気抵抗等の特性に異方性が生じ易い難点がある。
【0011】
そこで本出願人はガス不透過性、熱伝導性、導電性、耐蝕性等に優れ、これらの性能をバランスよく備え、固体高分子型燃料電池のセパレータ等として好適な黒鉛部材の製法として、最大粒径125μm 以下の炭素質粉末に結合材を加えて加熱混練後CIP成形し、次いで焼成、黒鉛化して得られた平均気孔径10μm 以下、気孔率20%以下の等方性黒鉛材に熱硬化性樹脂液を含浸、硬化処理する固体高分子型燃料電池用黒鉛部材の製造方法(特開平8−222241号公報)を開発提案した。しかしながら、焼成、黒鉛化という工程を経る関係で製造に長期間を要し、コスト低減が困難であった。更に、予めガス溝をセパレータに賦形するニヤネットシェイプが難しい欠点もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記特開平8−222241号公報の技術を基に更に研究を進めた結果、特性の方向性が少なく、特に電気抵抗の異方性が小さく、また熱硬化性樹脂との接着性を改善することにより固体高分子型燃料電池用のセパレータ材として好適な性能を付与できることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の目的は長期間に亘って安定に稼働でき、電池内部抵抗を低減することで電池性能を向上させ、かつ製造工程を短縮させ、コストダウンが可能な固体高分子型燃料電池セパレータ部材及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明による固体高分子型燃料電池用セパレータ部材は、 スペクト比が3を上回り、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有し、その真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d 002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさL c(002) の値が30nm以上、灰分含有量が0.1%以下の黒鉛粉末60〜85重量%と熱硬化性樹脂15〜40重量%とからなる混練物を等方加圧成形した板状成形体であって、その面方向の固有抵抗が300×10-4Ωcm以下、厚さ方向/面方向の固有抵抗の比が7以下、曲げ強度が300kgf/cm2 以上、腐食電流が1μA/cm 2 以下の材質性状を備える黒鉛−樹脂硬化成形体から形成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による固体高分子型燃料電池用セパレータ部材の製造方法は、アスペクト比が3を上回り、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有し、その真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d 002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさL c(002) の値が30nm以上、灰分含有量が0.1%以下の黒鉛粉末60〜85重量%に不揮発分60%以上の熱硬化性樹脂15〜40重量%を加えて加圧混練し、混練物を粉砕して型に充填し減圧脱気したのち等方加圧成形し、成形体を所定形状に加工した後150〜280℃の温度で加熱硬化する、あるいは150〜280℃の温度で加熱硬化した後所定形状に加工する、ことを構成上の特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ部材は、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂とから成る黒鉛−樹脂硬化成形体から形成され、黒鉛粉末はアスペクト比が3を上回り、平均粒子径が50μm以下、最大粒子径が100μm以下の粒度分布を有する黒鉛粉末が用いられる。なお、アスペクト比は走査型電子顕微鏡を用いて黒鉛粉末の最大径部と最小径部を測定し、その比より求められ、原料コークスの選択あるいは粉砕方法等の手段により調整される。
【0017】
固体高分子型燃料電池用のセパレータは、通常、厚さ1〜3mm程度の板状体に加工され、その表裏両面には燃料ガスあるいは酸化剤ガスを供給するための、通常、深さ0.5〜1mmのガス溝が形成されている。したがって黒鉛粉末の粒径が大きいと、これらの加工時に黒鉛粒子の脱落等が起こって気孔空隙が形成され、ガス不透過性が低下し、また電池内を汚染することともなり、電池性能が損なわれることになる。そのため、粒子性状としては、平均粒子径が50μm以下、最大粒子径が100μm以下の粒度分布に調整した黒鉛粉末が用いられる。なお、ここでいう黒鉛とは人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛などを指す。
【0018】
更に、黒鉛粉末の結晶化度は導電性及び耐蝕性に大きく影響し、黒鉛化度が低いと材質の導電性及び耐蝕性の低下を招くこととなる。そのため黒鉛粉末の黒鉛化度として、黒鉛粉末の真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさLc(002)の値が30nm以上の黒鉛化性状に設定される。また黒鉛粉末中に不純物が多いと、その触媒作用により電解腐食が促進されることとなるので、黒鉛粉末の灰分含有量は0.1%以下に調整する。
【0019】
熱硬化性樹脂は黒鉛粉末の結合材として機能するもので、固体高分子型燃料電池の発電稼働時の温度である80〜120℃に耐える耐熱性、及びpH2〜3程度のスルフォン酸や硫酸酸性に耐え得る耐酸性があれば特に制限はなく、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が用いられる。
【0020】
本発明のセパレータ部材は、この黒鉛粉末が60〜85重量%と熱硬化性樹脂が15〜40重量%との量比からなる黒鉛−樹脂硬化板状成形体から形成される。黒鉛粉末と熱硬化性樹脂との量比は、熱硬化性樹脂の割合が高くなるとガス不透過性は向上する反面、電気抵抗の増大を招き、逆に黒鉛粉末の量比が大きくなると電気抵抗は低下して導電性は向上するがガス不透過性が低下する。したがって、ガス不透過性と電気抵抗とをバランスよく付与するために、上記の量比に設定する。
【0021】
更に、本発明のセパレータ部材は、上記の組成構造において板状成形体の面方向の固有抵抗が300×10-4Ωcm以下であり、厚さ方向/面方向の固有抵抗の比が7以下であることが必要である。黒鉛−樹脂硬化成形体は成形加圧時に加圧方向と、それに直角方向との間に材質性状に方向性が生じるために電気抵抗が増大する欠点がある。例えば板状成形体の面方向と厚さ方向とで電気抵抗に異方性があると、内部における電流の流れが不均一となり電池の内部抵抗の増大を招くこととなり、発電効率が低下する。そのため。本発明は板状成形体の面方向の固有抵抗を300×10-4Ωcm以下、厚さ方向/面方向の固有抵抗の比を7以下に設定する。
【0022】
また、本発明のセパレータ部材は、曲げ強度が300kgf/cm2 以上の強度特性を備えていることが必要である。黒鉛粉末と熱硬化性樹脂とが強固に結着一体化していないと耐蝕性が低く、電解腐食によって容易に酸化されて組織が侵食され、粒子の脱落等が生じ易くなる。したがって、耐蝕性を向上させ耐久性を増大させるために曲げ強度を300kgf/cm2 以上の値に設定する。
【0023】
これらの黒鉛粉末と熱硬化性樹脂とが一体化した黒鉛−樹脂硬化成形体は、電解腐食を抑制し、高い耐蝕性を保持させるために、腐食電流が1μA/cm2 以下に設定される。なお、この腐食電流は、0.03重量%のベンゼンスルフォン酸水溶液中、温度30℃で1.2V/RHE(塩化銀電極使用)で通電140時間後の電流値をさす。
【0024】
これらの黒鉛粉末は、好ましくはコークスを2500〜3000℃の温度で熱処理した黒鉛化物を破砕して得られた粉粒体を篩い分けして、平均粒子径が50μm以下、最大粒子径が100μm以下の粒度分布に調整した黒鉛粉末、あるいは、コークスとピッチとの混練、炭化物を2500〜3000℃の温度で熱処理した黒鉛化物を破砕して得られた粉粒体を篩い分けして、平均粒子径が50μm以下、最大粒子径が100μm以下の粒度分布に調整した黒鉛粉末であることが好ましい。
【0025】
このように本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ部材は、アスペクト比、粒度分布、黒鉛結晶化度などを特定した黒鉛粉末と熱硬化性樹脂とが特定の量比で結着一体化した板状成形体から成り、その材質性状が等方性を示し、また強度特性に優れた黒鉛−樹脂硬化成形体から形成されたものであるから、発電効率や耐久性が高く、優れた電池性能を備えたセパレータ部材が提供される。
【0026】
また、本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ部材の製造方法は、アスペクト比が3を上回り、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有し、その真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d 002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさL c(002) の値が30nm以上、灰分含有量が0.1%以下の黒鉛粉末60〜85重量%に不揮発分60%以上の熱硬化性樹脂15〜40重量%を加えて加圧混練し、混練物を粉砕して型に充填し減圧脱気したのち等方加圧成形し、成形体を所定形状に加工した後150〜280℃の温度で加熱硬化する、あるいは150〜280℃の温度で加熱硬化した後所定形状に加工する、ことを特徴とする。
【0027】
黒鉛粉末は、例えばコークスを2500〜3000℃の温度で熱処理して黒鉛化し、黒鉛化物を適宜な破砕機により破砕して篩い分けすることにより所望の平均粒子径ならびに最大粒子径に調整する、または、コークスとピッチとを混練、炭化して得られた炭化物を2500〜3000℃の温度で熱処理して黒鉛化し、黒鉛化物を適宜な破砕機により破砕し、篩い分けして所望の平均粒子径ならびに最大粒子径に調整する、ことにより作製することができる。黒鉛粉末のアスペクト比については、原料コークスの選択あるいは粉砕方法等の手段により適宜調整する。
【0028】
このようにして作製される黒鉛粉末は、真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさLc(002)の値が30nm以上の黒鉛化結晶性状を備え、また灰分含有量が0.1%以下の純度特性を有するものが選択的に使用される。
【0029】
このようにして調製した黒鉛粉末は、黒鉛粉末が60〜85重量%、熱硬化性樹脂が15〜40重量%の量比になるように熱硬化性樹脂液を加えて加圧混練する。なお、熱硬化性樹脂としては不揮発分が60%以上のものが用いられる。不揮発分が60%を下回ると黒鉛粉末との結着効果が低く、高強度の材質特性が付与できないためである。熱硬化性樹脂は熱硬化性樹脂液(初期縮合物)あるいは熱硬化性樹脂液をアルコールなどの揮発性の有機溶媒に溶解して黒鉛粉末と充分に混練する。
【0030】
得られた混練物は乾燥処理して含有溶剤を除去した後、粉砕機により適宜な粒度、例えば篩目150メッシュ以下の粒度に粉砕する。混練物は黒鉛粉末と熱硬化性樹脂との微粉凝集体が集合したものであるから、微粉凝集体の表面は樹脂被膜で覆われているため導電性が低くなる。そこで、粉砕して微粉凝集体を解体することにより黒鉛部を露出させて導電性の向上を図るものである。更に、混練物を粉砕することにより混練時における黒鉛粉末の方向性、すなわち材質性状の異方性の是正を図る効果もある。
【0031】
粉砕物を所望形状の型に充填し、成形型を適宜に減圧して揮発性成分を充分に脱気したのち、例えばラバープレスを用いてCIP成形等の方法により、等方加圧成形して所定の成形体にする。
【0032】
このようにして作製した成形体を所定形状の板状に加工し、平面加工及び溝加工を施した後、150〜280℃の温度に加熱して熱硬化性樹脂成分を硬化することにより黒鉛−樹脂硬化成形体を製造することができる。あるいは、加圧成形により得られた成形体を、150〜280℃の温度に加熱して熱硬化性樹脂成分を硬化した後、板状等の所定形状に加工し、平面加工及び溝加工を施すことにより黒鉛−樹脂硬化成形体を製造することもできる。
【0033】
このようにして、材質性状が等方的な性質を示し、例えば電流の流れの不均一化に伴う電気抵抗の増大が抑止されて、板状成形体の面方向の固有抵抗が300×10-4Ωcm以下であり、また厚さ方向/面方向の固有抵抗の比が7以下の等方性に優れ、曲げ強度が300kgf/cm2 以上、腐食電流が1μA/cm2 以下の材質性状を備える黒鉛−樹脂硬化成形体から形成された固体高分子型燃料電池用セパレータ部材を製造することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
【0035】
実施例1〜3、比較例1〜6
平均粒子径、最大粒子径、アスペクト比及び黒鉛化度が異なる黒鉛粉末(灰分含有量0.1%以下)に、フェノール樹脂をメタノールに溶解した溶液(樹脂濃度50重量%)を異なる量比で加えて加圧ニーダーにより充分に混練した。次いで、大気中で加熱乾燥してメタノールをはじめ揮発性成分を揮散除去した。この混練物を粉砕して成形粉とし、成形粉を型に入れて100Torrに減圧して脱気したのち、成形圧2ton/cm2 でCIP成形により150×150×3mmの成形体を作製し、大気中で180℃の温度に加熱して硬化し、次いで平面加工を行って厚さ2.6mmに仕上げ、更に両面に溝加工を行って幅1mm、深さ0.5mmの溝を50本形成した。このようにして製造した板状の黒鉛−樹脂硬化成形体を用いて固体高分子型燃料電池用セパレータ部材を形成した。
【0036】
比較例7
実施例1と同一の方法により作製した成形粉を用いて、CIP成形の代わりにモールド成形したほかは、実施例1と同じ方法で固体高分子型燃料電池用セパレータ部材を作製した。
【0037】
このようにして製造した黒鉛−樹脂硬化成形体の製造条件を対比して、表1に示した。
【0038】
【表1】
Figure 0003616255
【0039】
これらの黒鉛−樹脂硬化成形体の各種特性を下記の方法により測定し、その結果を表2に示した。
(1) 固有抵抗(Ωcm);JIS R7222により測定。
(2) 曲げ強度( kgf/cm2 );JIS K6911により測定。
(3) 腐食電流(μA/cm2 );温度30℃、濃度0.03重量%のベンゼンスルフォン酸水溶液中で、1.2 V/RHE(塩化銀電極使用)の定電位腐食試験における140時間後の腐食電流を測定。
(4) 消耗量(Wt%);腐食電流測定時における重量変化率を測定。
(5) 発電効率(%);各セパレータを用いて固体高分子型燃料電池ハーフセルを組み立て、セル電圧0.8Vにおける発電効率を測定。
【0040】
【表2】
Figure 0003616255
【0041】
表1、2の結果から本発明の特性要件を充足する実施例の黒鉛−樹脂硬化成形体は電気抵抗の異方性が小さく、曲げ強度が高く、腐食電流が小さい等、材質性状の等方性に優れており、腐食による消耗量も少なく、固体高分子型燃料電池用セパレータ部材として優れた性能を備えていることが判る。また、本発明の製造方法によれば、これら高性能のセパレータ部材を製造することが可能となる。これに対して、本発明の特性要件を外れる比較例の黒鉛−樹脂硬化成形体では、材質性状の異方性が高く、耐蝕性が低いためにセパレータ部材として性能低下が認められる。
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ部材によれば材質性状の等方性が高く、固有抵抗も低位にあるので、電池の内部抵抗の増大化による発電効率の低下を抑制することができる。更に、材質強度も高く、耐蝕性も優れているので耐久性が向上し、長期間に亘って安定に発電稼働することが可能となる。また、本発明の製造方法によれば、黒鉛粉末の形状特性、粒度特性、熱硬化性樹脂との混合比、成形条件等を特定することにより、優れた性能を備える本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータ部材の製造が可能となる。

Claims (2)

  1. アスペクト比が3を上回り、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有し、その真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d 002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさL c(002) の値が30nm以上、灰分含有量が0.1%以下の黒鉛粉末60〜85重量%と熱硬化性樹脂15〜40重量%とからなる混練物を等方加圧成形した板状成形体であって、その面方向の固有抵抗が300×10-4Ωcm以下、厚さ方向/面方向の固有抵抗の比が7以下、曲げ強度が300kgf/cm2 以上、腐食電流が1μA/cm 2 以下の材質性状を備える黒鉛−樹脂硬化成形体から形成されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ部材。
  2. アスペクト比が3を上回り、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有し、その真比重が2.15以上、X線回折法による平均格子面間隔d 002 の値が0.34nm以下、結晶子の大きさL c(002) の値が30nm以上、灰分含有量が0.1%以下の黒鉛粉末60〜85重量%に不揮発分60%以上の熱硬化性樹脂15〜40重量%を加えて加圧混練し、混練物を粉砕して型に充填し減圧脱気したのち等方加圧成形し、成形体を所定形状に加工した後150〜280℃の温度で加熱硬化する、あるいは150〜280℃の温度で加熱硬化した後所定形状に加工する、ことを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータ部材の製造方法。
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