JP2009110944A - 燃料電池用セパレータ用樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池用セパレータ用樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】導電性と流動性に優れ、不純物が少ない燃料電池用セパレータ用樹脂組成物、並びに導電性及び寸法精度に優れ、固体電解質の性能低下を招くおそれも無い燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂 、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)炭素材料を必須成分とし、かつ、(A)エポキシ樹脂または(B)硬化剤の軟化温度が40℃以上90℃以下であり、(D)炭素材料の5〜100質量%が、平均粒径60μm以上500μm以下の低結晶性人造黒鉛であることを特徴とする燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料電池用セパレータ、並びにその成形材料である用樹脂組成物に関する。
例えば図1に概略斜視図で示すように、燃料電池用セパレータ10は、平板部11の両面に所定間隔で複数の隔壁12を立設して形成されている。燃料電池 とするには、多数の燃料電池用セパレータ10を、隔壁12の突出方向(図中、上下方向)に積層する。そして、この積層により、隣接する一対の隔壁12で形成されるチャネル13に反応ガス(水素や酸素)を流通させる構成となっている。燃料電池用セパレータは、樹脂材料と、黒鉛等の導電性材料を含む樹脂組成物を上述したような形状に成形して製造される。
燃料電池用セパレータの成形方法としては、樹脂材料をフェノール樹脂やエポキシ樹脂の熱硬化性樹脂とする上記樹脂組成物を、ガスや冷却水の流路を設けた金型に入れ、これを熱間でプレスする熱圧縮成形により成形したものが一般的であるが、近年では、生産性の向上のために、熱圧縮成形に代わり、射出成形により燃料電池用セパレータを製造することが試みられている。例えば、黒鉛材料と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物をシリンダーから金型内に射出して燃料電池用セパレータを成形する方法が知られている(特許文献1〜3参照)。このような射出成形では、樹脂組成物はランナーと呼ばれる狭い流路を通じて閉じた金型に移送される。樹脂組成物の流動性が低いと、金型の一部に充填できないショートカットが発生したり、充填に高圧が必要なために金型内圧が上昇し、金型が変形して成形体寸法精度の悪化を引き起こすことがある。よって、樹脂組成物を金型に隙間無く充填させ、寸法精度の高い燃料電池用セパレータを得るためには、樹脂組成物は高い流動性が必要となる。
燃料電池用セパレータ用樹脂組成物の主原料の一つである樹脂に注目した場合、材料としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂が広く使用されている。しかし、フェノール樹脂や一般的な硬化剤及び硬化促進剤の種類と量を組み合わせたエポキシ樹脂では導電性が低い燃料電池用セパレータしか得られない。
同じく燃料電池用セパレータ用樹脂組成物の主原料の一つである炭素材料に注目した場合、材料として黒鉛が広く使用されている。黒鉛は六角網状平面の結晶構造を有し、結晶面内を電気が流れやすい。よって結晶が発達している高結晶性の黒鉛ほど良好な導電性を示す。しかしながら、黒鉛結晶は結晶面と結晶面を繋ぐ面垂直方向の結合が弱く、また、結晶面自体は反応性に乏しいことから、結晶面間の剥離や樹脂材料との結晶面の界面破壊によって結晶面が燃料電池用セパレータの破壊の起点となりやすい。炭素材料として高結晶性の人造黒鉛や天然黒鉛を使用した場合は、導電性が高い燃料電池用セパレータが得られるが、強度が低いものとなる。加えて、天然黒鉛は黒鉛中に含まれる金属成分の不純物が多く、燃料電池を構成する電解質膜に悪影響を与える場合がある。
このように、従来技術では導電性と強度と流動性に優れ、不純物が少ない燃料電池用セパレータ用樹脂組成物は得られていない。
特開2003−338294号公報 特開2003−297386号公報 特開2003−242994号公報
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、導電性と流動性に優れ、不純物が少ない燃料電池用セパレータ用樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、導電性及び寸法精度に優れ、固体電解質の性能低下を招くおそれも無い燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は下記を提供する。
(1)(A)エポキシ樹脂 、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)炭素材料を必須成分とし、かつ、(A)エポキシ樹脂または(B)硬化剤の軟化温度が40℃以上90℃以下であり、(D)炭素材料の5〜100質量%が、平均粒径60μm以上500μm以下の低結晶性人造黒鉛であることを特徴とする燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(2)(B)硬化剤の含有量が(A)エポキシ樹脂のエポキシ基1個当たり0.8〜1.2当量であり、(C)硬化促進剤の含有量が(B)硬化剤100質量部に対し0.01〜10質量部であり、かつ、(D)炭素材料の含有量が樹脂組成物全量の35〜85質量%であることを特徴とする上記(1)記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(3)(D)炭素材料の結晶面間隔が0.3362nm以上0.3390nm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(4)(B)硬化剤が分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(5)(A)エポキシ樹脂が多官能エポキシ樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(6)(C)硬化促進剤が、下記(i)〜(v)の何れか1種であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
(i)下記一般式(I)または(II)で表され、分子量300以上1000以下のリン化合物
Figure 2009110944
[式中、R1〜R4は、それぞれ、同一又は異なって、水素、アルキル基、アラルキル基およびアリール基の中から選ばれる官能基またはそれらの誘導体である。Xは四配位ホウ素化合物、ハロゲン原子、六配位アンチモン化合物の中から選ばれる物質である、]
(ii)ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩
(iii)一般式「X−NH−CO−NYZ(Xは飽和または不飽和アルキル基及びこれらの誘導体、アリール基及びその誘導体から選ばれる一種であり、Y、Zは同一または異なっていても良い飽和もしくは不飽和アルキル基である)」で表される尿素誘導体
(iv)分子量100以上のイミダゾール化合物
(v)分子量120以上1000以下の3級アミン化合物
(7)上記(1)〜(6)の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
本発明の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物は、炭素材料が低結晶性人造黒鉛を主成分とするため、強度が高く、また、不純物が少なく固体電解質の性能低下を招くおそれもない。更に、硬化促進剤を特定種類または硬化促進剤量を特定量に規定することで、導電性を維持しつつ高い流動性を保持するため射出成形が可能である。従って、本発明の燃料電池用セパレータも寸法精度及び強度と導電性に優れ、更に固体電解質の性能低下を招くことがなく、高性能の燃料電池が得られる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という)は、(A)エポキシ樹脂 、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)炭素材料を必須成分とする。
エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有する化合物であり、従来公知のものを利用することが出来る。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のビスフェノール型のエポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンエポサイド、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂の多官能エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられるが挙げられるがこれらに限定されない。上述したエポキシ樹脂のなかでは、耐熱性と強度の高い成形体が得られるため、多官能型エポキシ樹脂が本発明においては好適に使用される。なお,エポキシ当量は好ましくは50以上500以下であり、より好ましくは100以上300以下である。エポキシ当量が低すぎる場合は、成形体が脆くなる。一方、エポキシ当量が高すぎる場合は耐熱性と強度の低い成形体しか得られなくなる。
エポキシ樹脂は、硬化剤と反応することによって、エポキシ硬化物を生成する。硬化剤も各種公知の化合物を使用することができる。例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の脂肪族、脂環式、芳香族のポリアミンまたはその炭酸塩;無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等の酸無水物;フェノールノボラック、クレゾールノボラックのようなポリフェノール;ポリメルカプタンが挙げられるが、これらに限定されない。複数の硬化剤を併用することもできる。上記の内、ポリアミンやその炭酸塩、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等の硬化剤は、自身がエポキシ化合物と重付加反応してエポキシ硬化物を構成するので、重付加型硬化剤と呼ばれる。重付加型硬化剤の過不足は未反応官能基の残存につながる故、添加量には適正域が存在する。一般に、エポキシ樹脂前駆体のエポキシ基1個当たり0.8〜1.2当量の、特に0.9〜1.1当量の重付加型硬化剤を使用するのが好ましい。これら硬化剤の種類、量と熱硬化性樹脂の種類、硬化促進剤の種類、量を種々に選択することにより、熱硬化性樹脂樹脂の硬化速度を任意に変化させることができる。当業者であれば、所望の硬化条件に合わせ、熱硬化性樹脂や硬化剤や硬化促進剤の種類及び使用量を決定することは容易であろう。中でも、硬化剤としてはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物が好ましい。このような化合物としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、アラルキル型フェノールノボラック、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ナフトールノボラック、フェノールジシクロペンタジエン樹脂のような上述したポリフェノールやビスフェノールAが挙げられる。これらフェノール性水酸基を2個以上を有する硬化剤は、耐熱性の高い成形体を得ることが出来る。
また、エポキシ樹脂及び硬化剤のうち、いずれかの軟化温度は特定範囲のものを使用する必要がある。ここでいう軟化温度はJIS K7234の環球法に規定される方法に従って測定される。一般に軟化温度の高いエポキシ樹脂や硬化剤は分子量が高いため、溶融時の粘度が高くなる傾向にある。よって軟化温度が高すぎる場合は、コンパウンド粘度が高くなり、燃料電池用セパレータの寸法精度を低下させたり、射出成形に必要な流動性を確保できなくなる。一方で、軟化温度が低すぎる場合は射出成形時にシリンダー内で逆流(バックフローとも呼ばれる)して金型のキャビティに充填できなくなったり、射出成形機のホッパー内で粗粉砕コンパウンド粒が融着してスクリューに食い込まない等の不具合が発生する場合がある。よって、エポキシ樹脂または硬化剤の軟化温度は好ましい範囲が存在する。本発明におけるエポキシ樹脂または硬化剤の軟化温度は40℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上85℃以下、更に好ましくは55℃以上80℃以下である。
(C)硬化促進剤の種類または量の選定に考慮すべき事項は、混練温度や射出成形時のシリンダー温度として想定される100℃程度以下の温度域でエポキシ樹脂の硬化反応起きにくいこと、すなわち熱安定性が高いことである。この様な観点で硬化促進剤の種類または量を選定することで導電性の高い燃料電池用セパレータが得られる。この理由について考察した結果は後述する。これに加えて好ましい特性としては金型温度として想定される150℃程度以上の温度で硬化反応速度が速いことと金型への材料充填開始から一定時間の誘導期間を経てから急激に反応が開始することである。成形時間の短縮が可能とともに、硬化反応開始前に充填できるために充填圧力が低くなるため成形体の寸法精度が向上する。以下に好ましい硬化促進剤の種類と量について具体的に説明する。
硬化促進剤として、分子量300以上1000以下で、下記一般式(I)で表されるホスフィン化合物、または下記一般式(II)で表されるホスホニウム化合物を使用する。
Figure 2009110944
式中、R1〜R4は、それぞれ、同一又は異なって、水素、アルキル基、アラルキル基およびアリール基の中から選ばれる官能基またはそれらの誘導体である。Xは四配位ホウ素化合物、ハロゲン原子、六配位アンチモン化合物の中から選ばれる物質である。
分子量300以上1000以下のリン化合物としては特に制限はないが、例えばトリ-o-トリルホスフィン(分子量304)、トリ-p-トリルホスフィン(分子量304)、トリ-m-トリルホスフィン(分子量304)、トリベンジルホスフィン(分子量304)、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン(分子量352)、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン(分子量479)、トリ-2,4-キリルホスフィン(分子量346)、トリ-2,5-キリルホスフィン(分子量346)、トリ-3,5-キリルホスフィン(分子量346)、トリ-n-オクチルホスフィン(分子量371)、テトラブチルホスホニウムブロマイド(分子量339)、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(分子量419)、メチル(トリフェニル)ホスホニウムブロマイド(分子量357)、メチル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド (分子量313)、エチル(トリフェニル)ホスホニウムブロマイド(分子量371)、n-プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド (分子量371)、n-ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド (分子量399)、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド (分子量343)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド (分子量389)、2−カルボキシルトリフェニルホスホニウムブロマイド (分子量415)、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート(分子量584)、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(分子量659)、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート(分子量715)、ベンジルフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(分子量672)、テトラフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート(分子量426)、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート(分子量728)を挙げることが出来るがこれらに限定されない。
上記のリン化合物において、分子量が大きいものを使用すると熱安定性の高い樹脂組成物を得ることが出来るが、極端に分子量が高いと硬化反応が遅くなったり、高温で硬化反応を行う必要が生じ、成形サイクルの低下や硬化反応時のエポキシ樹脂や硬化剤の熱分解といった問題がある。そこで、本発明では使用するリン化合物の分子量には好ましい範囲が存在する。本発明においては使用するリン化合物の分子量は300以上1000以下、好ましくは500以上800以下、更に好ましくは600以上750以下である。
上記リン化合物中に芳香環を含むもの、すなわち一般式(I)または(II)中のR1〜R4のうち少なくとも一つはアラルキル基またはアリール基またはそれらの誘導体であるもの、並びに一般式(II)において四配位ホウ素化合物塩は、100℃程度以下の温度域で熱安定性が高く150℃程度以上の温度で硬化反応速度が速いため特に好ましい。これら条件を満たすリン化合物のうち、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートとテトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレートは入手が容易であり、100℃程度以下の温度域で熱安定性が高く150℃程度以上の温度で硬化反応速度が速いため、本発明では好ましい。これらリン化合物は一般的に市販されており、容易に入手することが出来る。
また、硬化促進剤としてジアザビシクロ化合物と有機酸との塩も好ましい。ジアザビシクロ化合物としては、特に制限はないが、例えば1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(略称はDBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(略称はDBN)及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を挙げることが出来るが、これらに限定されない。中でも、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7は安価で入手が容易であり、安定性が高く揮発しにくいため、本発明では好ましいジアザビシクロ化合物である。
有機酸としては例えば、オルソフタル酸(芳香族多価有機酸、酸解離定数=2.95)、イソフタル酸(芳香族多価有機酸、酸解離定数=3.48)、テレフタル酸(芳香族多価有機酸、酸解離定数=3.54)、トリメシン酸(芳香族多価有機酸、酸解離定数=3.13)、ギ酸(酸解離定数=3.55)、酢酸(酸解離定数=4.76)、フェノール(芳香族有機酸、酸解離定数=9.89)、安息香酸(芳香族有機酸、酸解離定数=4.00)、サリチル酸(芳香族有機酸、酸解離定数=2.75)、シュウ酸(多価有機酸、酸解離定数=1.27)、ケイ皮酸(酸解離定数=4.44)、酒石酸(多価有機酸、酸解離定数=3.04)、乳酸(酸解離定数=3.86)、フェノールノボラック(多価有機酸、酸解離定数不明)、オルソクレゾールノボラック(多価有機酸、酸解離定数不明)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、有機酸は硬化反応中にエポキシ樹脂に取り込まれるため、有機酸としては剛直な分子構造を有し、かつ、エポキシ樹脂との反応点の多いものほど、耐熱性と強度の高い成形体を得ることが出来る。そのため、剛直な構造である芳香族有機酸、エポキシ樹脂との反応点の多い多価有機酸が好ましい。
ジアザビシクロ化合物と有機酸の塩は、加熱するとジアザビシクロ化合物と有機酸に解離し、解離したジアザビシクロ化合物が硬化促進剤として作用する。よって、ジアザビシクロ化合物と有機酸の塩が解離する温度が高ければ、熱安定性の高い樹脂組成物が得られる。解離する温度は有機酸の強さに比例し、有機酸の酸が強い場合は、熱安定性の高い樹脂組成物を得ることが出来るが、極端に強い有機酸の場合は、有機酸の潮解性によりジアザビシクロ化合物と有機酸との塩が加水分解を起こし、かえって熱安定性が低下する。また、極端に強い有機酸を用いた場合は、混合装置や成形装置が腐食することがある。酸の強さは酸解離定数(pKa)で表され、酸解離定数が低いものほど強い酸である。そこで、本発明では使用する有機酸の酸解離定数は好ましい範囲が存在する。本発明においては使用する有機酸としては酸解離定数が好ましくは0以上10以下、更に好ましくは2以上4以下である。例えば、硫酸や塩酸等の強酸は、濃度にもよるが、酸解離定数が0未満の負の値をとる場合があり、好ましくない。また、有機酸としては芳香族有機酸や多価有機酸を用いた場合に、耐熱性と強度の高い成形体が得られる。例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸は、酸解離定数が適当な値であり、芳香族多価有機酸であるために、特に熱安定性と強度と耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。尚、本発明における酸解離定数は、多価有機酸の場合は1段階目の酸解離定数(pKa1)を指す。
ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩は、従来公知の方法で製造することが出来る。例えばジアザビシクロ化合物と有機酸を溶媒に溶解させて混合する、または、有機酸の融点以上の温度で攪拌することで製造することが出来るが、製造方法はこの方法に限定されない。尚、ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩を製造する際は、ジアザビシクロ化合物または有機酸が酸化劣化しないよう、窒素雰囲気で攪拌混合することが好ましい。
ジアザビシクロ化合物と有機酸との混合比率は、有機酸の比率が高いと熱安定性の高い樹脂組成物を得ることが出来るが、極端に有機酸の比率が高いとが高いと硬化反応が遅くなったり、高温で硬化反応を行う必要が生じ、成形サイクルの低下や硬化反応時のエポキシ樹脂や硬化剤の熱分解といった問題がある。一方で、有機酸の比率が低いと、樹脂組成物の熱安定性が損なわれる。本発明においては、ジアザビシクロ化合物100質量部に対して有機酸の量は好ましくは10〜2000質量部、更に好ましくは50〜500質量部、更により好ましくは80〜120質量部である。
また、ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩は、市販品を使用することも可能である。
硬化促進剤として、一般式「X−NH−CO−NYZ(Xは飽和または不飽和アルキル基及びこれらの誘導体、アリール基及びその誘導体から選ばれる一種であり、Y、Zは同一または異なっていても良い飽和もしくは不飽和アルキル基である)」で表される尿素誘導体も好ましい。中でも、以下に示す一般式(III)〜(V)で表されるアルキル系尿素誘導体が好ましい。
Figure 2009110944
式中R1、R2は水素、ハロゲン、低級アルキル基、低級アルコシキ基またはニトロ基であり、両者は同じでも異なっていてもよい。R3、R4はそれぞれ同じでも異なってもよい低級アルキル基である。
Figure 2009110944
式中R1、R2は水素、ハロゲン、低級アルキル基、低級アルコシキ基またはニトロ基であり、両者は同じでも異なっていてもよい。R3、R4、R5、R6はそれぞれ同じでも異なってもよい低級アルキル基である。
Figure 2009110944
式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ同じでも異なってもよい低級アルキル基である。R5は脂肪族炭化水素またはその誘導体である。
上記各アルキル系尿素誘導体において、一般式(III)のR3,R4、一般式(IV)のR3〜R6、一般式(V)のR1〜R4の低級アルキル基または低級アルコキシ基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基、またはそれに相当するアルコキシ基が好ましい。
一般式(III)で表されるアルキル系尿素誘導体の具体例としては、3−フェニル−1、1−尿素、3−(p−クロルフェニル)1、1−尿素、3−(3、4−ジクロルフェニル)−1、1−尿素、3−(o−メチルフェニル)−1、1−尿素、3−(p−メチルフェニル)−1、1−尿素、3−(メトキシフェニル)−1、1−尿素、3−(ニトロフェニル)−1、1−尿素等を挙げることができる。
また、一般式(IV)で表されるアルキル系尿素誘導体の具体例としては、1、1’−フェニレンビス(3、3−尿素)、1、1’−(4−メチル−m−フェニレン)−ビス(3、3−尿素)等が挙げられる。
また、一般式(V)で表されるアルキル系尿素誘導体の具体例としては、N,N”−(1,5,5−トリメチル−1,3−シクロヘキサンジル)ビス[N’N’−トリメチルウレア]等が挙げられる。
上記の中でも、下記(a)〜(c)が特に好ましい。これらは市販されており、容易に入手が可能である。
Figure 2009110944
上記のアルキル系尿素誘導体を使用すると100℃程度以下の温度域で熱安定性が高く150℃程度以上の温度で硬化反応速度が速い樹脂組成物を得ることが出来る。
硬化促進剤として、分子量100以上のイミダゾール化合物も好ましい。イミダゾール化合物は、下記化学式で表されるイミダゾールを含む化合物である。
Figure 2009110944
本発明で使用される分子量100以上のイミダゾール化合物としては、例えば2−ウンデシルイミダゾール(分子量224)、2−ヘプタデシルイミダゾール(分子量307)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(分子量110)、2−フェニルイミダゾール(分子量144)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(分子量158)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(分子量172)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(分子量234)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(分子量135)、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(分子量163)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(分子量275)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(分子量197)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト(分子量486)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(分子量407)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン(分子量219)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン(分子量360)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン(分子量247)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(分子量384)、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物(分子量273)、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物(分子量588)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(分子量204)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(分子量188)、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール(分子量158)が挙げられるがこれらに限定されない。
分子量が高いイミダゾール化合物を使用すると熱安定性の高い樹脂組成物を得ることが出来るが、極端に分子量が高いと硬化反応が遅くなったり、高温で硬化反応を行う必要が生じ、成形サイクルの低下や硬化反応時のエポキシ樹脂や硬化剤の熱分解といった問題がある。そこで、本発明では使用するイミダゾール化合物の分子量は好ましい範囲が存在する。本発明においては使用使用するイミダゾール化合物の分子量としては好ましくは100以上500以下、更に好ましくは120以上300以下、更により好ましくは150以上250以下である。また、イミダゾール化合物としては、酸素を含むものが好ましい。酸素を含むイミダゾールを使用することで、溶融混練中に硬化反応が進行しがたい組成物が得られる。上述したイミダゾールでは2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールがこれにあたる。
硬化促進剤として、分子量120以上1000以下の3級アミン化合物も好ましい。分子量120以上1000以下の3級アミン化合物としては特に制限はないが、例えばトリスジメチルアミノメチルフェノール(分子量265)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(分子量127)、トリ-n-ブチルアミン(分子量185)、ビス(p-アミノヘキシル)メタン(分子量210)、テトラメチルー1,3-ジアミノプロパン (分子量130)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(分子量127)、N-エチル(シクロヘキシル)アミン(分子量127)、3-ジメチルアミノフェノール(分子量137)、トリフェニルアミン(分子量245)、トリデシルアミン (分子量522) 、ビス〔(2−ジメチルアミノ)エチル〕エーテル(分子量160)、ベンジルジメチルアミン(分子量137)、N,N-ジメチルベンジルアミン(分子量135)等を挙げることが出来るがこれらに限定されない。また、ジアルキルアミン等のアミン化合物とエポキシ樹脂の付加反応を利用してプレポリマー化したエポキシアミンアダクト等、アミン化合物をアダクト化(プレポリマー化)したものを使用することも出来る。
アミン化合物は窒素原子上に非共有電子対を有し、これがエポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進させる。ここで窒素に結合した炭化水素または炭化水素誘導体の数が多いほど、窒素原子の電子密度が高くなるため、硬化促進剤としての作用が強くなる。窒素に結合した炭化水素の数がアミンの級数である。よって、3級アミンが全アミン化合物中で硬化促進剤としての作用は最も強力である。
分子量が高いアミン化合物を使用すると熱安定性の高い樹脂組成物を得ることが出来るが、極端に分子量が高いと硬化反応が遅くなったり、高温で硬化反応を行う必要が生じ、成形サイクルの低下や硬化反応時のエポキシ樹脂や硬化剤の熱分解といった問題がある。また、分子量が低すぎるアミン化合物は熱安定性に問題が生じたり、揮発して消失する等の不具合が生じることがある。そこで、本発明では使用する3級アミン化合物の分子量は好ましい範囲が存在する。本発明においては使用する3級アミン化合物の分子量は120以上1000以下、好ましくは200以上500以下、更に好ましくは250以上400以下である。
また、アミノ化合物の中でも芳香環を含むものが熱安定性が高い割に特定温度以上での反応速度も速いため特に好ましい。この条件を満たす化合物のうち、下記に示すトリスジメチルアミノメチルフェノールは入手が容易であり、熱安定性が高い化合物が得ら、本発明では好ましい3級アミン化合物である。
Figure 2009110944
硬化促進剤の使用量が多すぎる場合は、短時間で硬化が可能となり、成形サイクルが短縮されて好ましいが、後述する理由により導電性が悪化する。逆に硬化促進剤の使用量が少なすぎる場合は、導電性は向上するが成形サイクルが長くなるといった問題がある。そのため、硬化促進剤の使用量は適切な範囲が存在する。硬化促進剤の使用量は硬化剤100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜7質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部、より更に好ましくは1〜3質量部である。硬化促進剤の使用量をこの範囲とすることで、導電性と成形サイクルのバランスに優れた組成物となる。
(D)炭素材料としては、低結晶性人造黒鉛が好ましい。低結晶性人造黒鉛は、等方性黒鉛とも呼ばれ、等方的な構造及び特性を有する黒鉛材であり、一般的には冷間等方圧加圧法(CIP法)等により作製されるものである。成形粉は、常法に従ってCIP成形により等方成形した後、成形体を非酸化性雰囲気中で800〜1500℃程度の温度で焼成炭化し、更に2000〜2900℃程度の温度で熱処理による黒鉛化を施して高密度、高強度を備えた低結晶性黒鉛材が製造される。
また、低結晶性人造黒鉛は、黒鉛面間隔が広い人造黒鉛である。ここで、黒鉛面間隔とは黒鉛の結晶状態を表す指標であり、値が小さいほど結晶が発達していることを示す。黒鉛の完全結晶の結晶面間隔は0.3354nmであり、通常の黒鉛材料はこれよりも大きい値を採る。黒鉛結晶は六角網状平面の形態を採り、結晶が発達しているものは結晶の面方向への広がりが大きく縦方向の積層が密な状態となる。黒鉛面間隔はこの黒鉛結晶の面と面の間隔が平均化されて測定された値である。
黒鉛結晶は結晶面と結晶面を繋ぐ面垂直方向の結合が弱く、また、結晶面自体は反応性に乏しいことから、結晶面間の剥離や樹脂材料との結晶面の界面破壊によって結晶面がセパレータ用組成物の破壊の起点となりやすい。炭素材料として単に低結晶性人造黒鉛を使用した場合は導電性が悪化するが、本発明では特定の硬化促進剤を使用することでこれを防いでいる。黒鉛結晶は六角網状結晶平面に平行な方向にはよく流れるが、垂直な方向には流れづらい。よって、結晶面が大きいものは導電性が良好となる。黒鉛と樹脂を混合した樹脂組成物についても同様であり、結晶成長した黒鉛を用いたものは導電性が良好となる。よって導電性と強度の観点から結晶面間隔には好ましい範囲が存在する。本発明で好ましい範囲は、0.3362nm以上、0.3390nm以下であり、より好ましい範囲は0.3364nm以上0.3375nm以下、更に好ましい範囲は0.3365nm以上0.3370nm以下である。
尚、黒鉛結晶面間隔の測定方法はXRD(X線回折)により測定され、基底面である002面のピークが確認される角度(2θ)より算出される。具体的にはBraggの式λ = 2d・sinθで計算される。このとき、dが面間隔、θがピーク角度の1/2、λがXRD装置の光学系の波長である。このXRDの測定結果から面間隔を算出する方法は無機材料を扱う当業者であれば容易に類推できる公知の情報である。
更に、低結晶性人造黒鉛には、特定範囲の平均粒径を有するものを用いることが好ましい。平均粒径が小さすぎる場合は、コンパウンド粘度が高くなり、燃料電池用セパレータの寸法精度を低下させたり、射出成形に必要な流動性を確保できなくなる。一方で、平均粒径が大きすぎる場合は、金型キャビティと黒鉛粒子の干渉のため、金型キャビティ内の厚さの薄い部分を黒鉛粒子が通過できないために、平均粒径が小さすぎる場合と同様に金型に樹脂組成物が充填できない現象(ショートショット)が発生することがある。本発明で好ましい平均粒径範囲は、60μm以上500μm以下であり、より好ましい範囲は70μm以上300μm以下、更に好ましい範囲は80μm以上150μm以下である。
一般的に市販されている低結晶性人造黒鉛粉末は平均粒径50〜100μm以下のものが殆どであるが、それらは通常はある粒度分布を有し、粒径100μmを超える粒子も含まれている。よって、市販品の中で平均粒径が最大のものを入手し、それを分級して上記の平均粒径の低結晶性人造黒鉛を得てもよい。また、市販されている低結晶性黒鉛の成形体を粉砕してもよい。
炭素材料を全て低結晶性人造黒鉛としてもよく、他の炭素材料と併用しても良い。即ち、全炭素材料における低結晶性人造黒鉛の割合は5〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%である。低結晶性人造黒鉛の比率が低い場合は機械的強度が低くなる。
併用可能な炭素材料としては、膨張黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン、フラーレン、カーボンナノホーン、ハードカーボン、ガラス状カーボン等が挙げられるが、これらに限定されない。このうち天然黒鉛は天然に産出する炭素材料である。そのため、天然物由来の不純物である、鉄分・カルシウム・ナトリウムといった金属成分を多く含むため、これらが燃料電池の電解質膜の劣化を促進する場合があり、本発明の樹脂粗組成物における天然黒鉛比率を高くすることは好ましくない。膨張黒鉛は、天然黒鉛を加工して得られる黒鉛材料であり、その異方性から容易に導電パスを形成し、導電性に優れた組成物を得ることが出来る。しかし、天然物に由来する原料を用いるため、天然黒鉛と同様に金属成分による電解質膜劣化を促進する場合がある。天然黒鉛に対して、コークスやピッチを加熱処理等により人為的に黒鉛化して得られる炭素材料を人造黒鉛という。人造黒鉛の種類としては、針状黒鉛、低結晶性黒鉛、高配向性黒鉛等が挙げられる。
炭素材料は、樹脂組成物全量に対し35〜85質量%とする必要がある。炭素材料の比率が低すぎる場合は導電性が低下する。一方で、炭素材料の比率が高すぎる場合は強度が低くなり、また、コンパウンドの流動性が低くなるため、射出成形の際に金型内での樹脂組成物の圧力分布が大きくなり、得られる燃料電池用セパレータの寸法精度が悪くなるため好ましくない。
また、樹脂組成物には、任意成分としてカルナバワックス等の滑剤を添加して、成形加工時に金型や混練機への貼りつきを防止することも可能である。滑剤としてはステアリン酸やモンタン酸ワックスやこれらの金属塩等の使用も可能である。また、導電性を低下させない範囲で、ガラス繊維、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の無機充填材や、木粉等の有機充填材、可塑剤を添加することも可能である。
本発明において、樹脂組成物を製造するには溶融混合が好ましい。エポキシ樹脂や硬化剤はある温度以上で軟化する。この軟化する温度は軟化点と呼ばれるが、本発明においては、エポキシ樹脂または硬化剤の何れかの軟化温度以上で、かつ、混合中に硬化反応が進行しない温度に調整した装置で混合すればよい。具体的には、上記に挙げたエポキシ樹脂や硬化剤では50〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましく、80〜90℃が更に好ましい。また、混練時間は30秒〜5分が好ましく、1〜3分がより好ましい。
尚、強い剪断作用が生じる装置であれば、設定温度を軟化温度以下としてもよい。このような装置では剪断発熱により混合物は軟化温度以上となる場合がある。また、エポキシ樹脂または硬化剤の何れかが常温で液状である場合は、常温で混合してもよい。
混合に使用する装置としては種々の慣用の装置を使用することが可能であり、例えば無圧ニーダー、加圧ニーダー、二軸押出機、単軸押出機、バンバリーミキサー、インターミックス、二本ロールミル、三本ロールミル等が挙げられるがこれらに限定されない。また、ドライミックスによって予備混合を行った材料を溶融混合してもよい。
上記の溶融混合は、装置に全成分を一度に投入して混合できるため、製造コスト上有利である。
本発明はまた、上記の樹脂組成物を成形してなる燃料電池用セパレータを提供する。成形方法としては、生産性に優れる射出成形を用いる。射出成形では流動性の高い樹脂組成物を使用する必要があるが、上述のように本発明の脂組成物は、炭素材料が高導電性の高結晶性人造黒鉛を含むため、その含有量が少なくて済み、更に硬化促進剤を少量にしたためシリンダー温度での硬化反応の進行が抑えられ、射出成形が可能となる。以下に、射出成形条件の一例を示す。
シリンダー温度は、ホッパ下からノズルに向かって段階的に高くなるように設定される。ホッパ下の設定温度は好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは40〜60℃である。ホッパ下の温度が高すぎる場合は、射出成形時にシリンダー内で樹脂組成物が逆流して金型のキャビティを充填できない場合がある。また、ホッパ下の温度が低すぎる場合は、スクリューでシリンダーの先端に移送された樹脂組成物が十分に溶融せず、流動性不足により金型のキャビティを充填できない場合がある。一方、ノズル部の温度は好ましくは50〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。ノズル部の温度が高すぎる場合は、シリンダー内でエポキシ樹脂が硬化してシリンダーから樹脂組成物を射出できなくなる場合がある。また、ノズル部の温度が低すぎる場合は、樹脂組成物が十分に溶融せず、流動性不足により金型のキャビティを充填できない場合がある。
金型温度は好ましくは150〜200℃、より好ましくは160〜190℃である。金型温度が低すぎる場合は、導電性エポキシ樹脂組成物の流動性が不足して金型のキャビティを充填できない場合が発生したり、硬化に長時間要する。また、金型温度が高すぎる場合は、金型への射出開始から硬化による流動停止までの時間が短くなるため、金型のキャビティに導電性エポキシ樹脂組成物を充填できなくなる場合がある。
射出圧力は10〜250MPa、硬化時間は20秒〜10分とすることができるが、シリンダー温度や金型温度と同様に、使用するエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤の各種類、燃料電池用セパレータの形状等により適宜条件を設定すればよい。必要に応じて、成形後に切削加工を施すことも可能である。
上述したように、本発明の重要な点は、特定の人造黒鉛と特定のエポキシ樹脂を使用すること、更にそれに加えて特定種類の硬化および特定量の硬化促進剤を使用すること、更にこれらを混合して得られた樹脂組成物を射出成形により成形することにある。以下、上述した特定組成により導電性と流動性と強度特性に優れた樹脂組成物が得られる理由について、本発明者らの考察結果を示すが、本発明はこの考察に限定されるものではない。
人造黒鉛粉末は、剪断作用により容易に割れて細かい粒子となる。よって、燃料電池用セパレータとして使用する場合、コンパウンド作製時の混練操作や、成形の際の射出成形機シリンダー内でのスクリュー移送、型内充填時に作用する剪断により容易に小粒径化する。このため、黒鉛粒子により生成した導電パスの切断が起こりやすくなる。本発明では大粒径の低結晶性人造黒鉛を使用することでこれを防止している。
更に、大粒径の低結晶性人造黒鉛を使用し、かつ低軟化温度のエポキシ樹脂または硬化剤を併用すると、樹脂組成物の粘度が低いため、上述した混練操作や射出成時のせん断応力が低減され、その結果、せん断発熱が起こり難くなる。硬化促進剤の種類や量により程度は異なるが、発熱が起こると硬化反応が進行するため、更に粘度が高くなり、その結果、せん断発熱量が増大して硬化反応が更に進行するという悪循環をもたらす。特に低結晶性人造黒鉛は前述したように結晶が発達していないためにそれ自体の導電性が低く、樹脂組成物の導電性を確保するためには多量添加が必要となり上述した悪循環を引き起こしやすい。本発明は低軟化温度のエポキシ樹脂または硬化剤を用いることにより、これを防いでいる。
更に、これに加えて本発明では特定の硬化促進剤を用いることでこの問題の解決を容易にしている。特定の硬化促進剤を使用することにより、樹脂組成物が混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難く、樹脂組成物に負荷される剪断力を抑えることが可能となり、特定の人造黒鉛の粉砕が最小に抑えられる。そのため、樹脂と混合した際に容易に導電バスを形成し、かつ、流動に適した粉砕状態となるとともに樹脂量を増すことも可能にする。
即ち、特定の硬化促進剤を使用した場合は、低結晶性人造黒鉛が粉砕されて導電パスが形成され難いが、特定の硬化促進剤を使用することでより確実に導電パスの形成を行っている。
例えば特定のリン化合物を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。リン化合物は溶融して活性が発現するため、溶融温度が高いものを使用することが重要である。溶融温度はすなわち活性が発現する温度はリン化合物の分子量に比例し、分子量が低いと低温で活性が発現し、分子量が大きいと高温で活性が発現する。前述した好ましい範囲の分子量を有するリン化合物は混練工程中では分解しがたく、硬化成形時に金型温度に加熱されると急激に溶解して硬化促進剤としての活性が発現する。更に、前述した一般式(II)で表わされるリン化合物は酸塩化合物であるため、加熱に酸塩基に解離して活性の強い低分子量化合物となり、加熱時に高速に硬化反応を完了させることが出来る。また、加熱時に溶解あるいはそれに加えて酸塩基に解離した後に、硬化反応が開始するため、金型への材料投入開始から一定時間の誘導期間を経て硬化反応が開始する。
また、ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩は、加熱することにより硬化促進剤であるジアザビシクロ化合物と有機酸とに分解する。このとき、分解温度は有機酸の強さに依存し、酸解離定数が高いと低温で分解し、酸解離定数が低いと高温で分解する。前述した好ましい範囲の酸解離定数を有する有機酸とジアザビシクロ化合物との塩は、混練工程中では分解し難く、硬化成形時に金型温度に加熱されると急激に有機酸とジアザビシクロ化合物とに分解して、ジアザビシクロ化合物の硬化促進剤としての活性が発現する。そして、有機酸とジアザビシクロ化合物とに分解した後に、硬化反応が開始するため、金型への材料投入開始から一定時間の誘導期間を経て硬化反応が開始する。
また、特定の尿素誘導体を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。尿素化合物は低温では安定して存在するが、加熱によりジメチルアミン等のアミンとイソシアネートに分離する。分離して生成したアミンは硬化促進剤として作用する。この尿素誘導体は混練工程中では分離し難く、硬化成形時に金型温度に加熱されると急激にアミンとイソシアネート化合物とに分解して、アミンの硬化促進剤としての活性が発現する。そして、アミンとイソシアネートに分解した後に、硬化反応が開始するため、金型への材料投入開始から一定時間の誘導期間を経て硬化反応が開始する。
また、特定のイミダゾール化合物を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。分子量100以上のイミダゾールは、各分子内において硬化促進剤として作用する非共有電子対の相対量が小さくなり、硬化促進剤としての活性も低いため混練時や射出成形のシリンダー内で想定される程度の低温で硬化反応が進行しない。また、イミダゾール化合物は結晶性を示すものが多く、その融点は分子量と比例する傾向にある。融点以下ではイミダゾール化合物の表面積が小さくなるために反応点であるエポキシ樹脂または硬化剤との界面が少なくなりより反応し難くなるが、融点以上の温度では溶融後に速やかに硬化反応が起きる。特に、酸素分子を含むイミダゾール化合物は、その極性のために自己凝集性を有し、特定温度まではエポキシ樹脂や硬化剤中に溶解し難くなる。イミダゾール化合物はこのように溶融してから活性を示すため、金型への材料投入開始から一定時間の誘導期間を経て硬化反応が開始する。
また、特定のアミン化合物を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。分子量の高いアミン化合物は容易にエポキシ樹脂または硬化剤中に分散せず、特に低温ではその傾向が強くなる。そのため混練時や射出成形のシリンダー内で想定される程度の低温で硬化反応が進行しない。一方で、高温では容易にエポキシ樹脂または硬化剤中に分散するため、速やかに硬化反応が進行する。この傾向は分子量が高いアミン化合物ほど強く現れる。
また、特定量の硬化促進剤を用いた場合に、混練時や射出成形のシリンダー内で想定される100℃程度以下の低温では硬化反応が進行し難い理由について考察した内容を述べる。硬化促進剤は添加量が多い程硬化反応の速度は速くなる。この傾向は100℃程度以下の低温でも同様であり、特定量の硬化促進剤量に限定することで100℃程度以下の低温での硬化反応進行を防ぐことが可能となる。
本発明による燃料電池用セパレータが高い導電性を示す理由について本発明者らは以上のように考察しているが、本発明はこれら考察に限定されるものではない。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明に更に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
(ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩の作製)
DBU(ナカライテスク社製特級試薬)10gをジクロロメタン20mlに溶解し、ジアザビシクロ化合物溶液を調製した。これとは別に、オルソフタル酸(ナカライテスク社製特級試薬)またはフェノールノボラック(明和化成製「DL92」、軟化点約90℃)10gをジクロロメタン20mlに溶解し、有機酸溶液を調製した。ジアザビシクロ化合物溶液と有機酸溶液とを所定の割合で混合して5分間攪拌し、析出した結晶を濾別し、ヘキサンで洗浄後・乾燥してDBU−オルソフタル酸塩またはDBU−フェノールノボラック塩を作製した。尚、DBU−オルソフタル酸塩はDBU:オルソフタル酸=152:166(質量比)、DBU−フェノールノボラック塩はDBU:フェノールノボラック=30:70(質量比)となるように調整した。
(ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩以外の硬化促進剤)
ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩以外の硬化促進剤は市販されている試薬をそのまま用いた。即ち、表1の脚注に示すように、尿素誘導体は保土ヶ谷化学の製品、トリフェニルホスフィンはケイアイ化成の製品、リン化合物は北興化学の製品、イミダゾール化合物は四国化成工業の製品、アミン化合物はナカライテスク製特級試薬を用いた。
(炭素材料の作製)
炭素材料として、低結晶性人造黒鉛と針状人造黒鉛を用いた。尚、平均粒径60μm以上の低結晶性人造黒鉛はほとんど市販されておらず、低結晶性人造黒鉛の一種である等方性人造黒鉛の成形体である黒鉛るつぼ(東洋炭素製)を粉砕し、メッシュで分級したものを低結晶性人造黒鉛として使用した。低結晶性人造黒鉛の結晶面間隔は、X線回折装置(リガク製 )を用い、ステップ幅0.01deg、スキャン速度0.3sec/stepにて、2θ=25〜30deg付近に観察される最大ピークである002面ピークの2θ位置から求めた。また、低結晶性人造黒鉛の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計(島津製作所製)を用いて測定した。
(成形材料の作製)
表1に示す配合に従い、材料合計500gを10Lのヘンシェルミキサーで予備混合した後、1Lの加圧ニーダーで、チャンバー温度100℃で5分間混練した。尚、エポキシ樹脂と硬化剤のフェノールノボラック1,2とは、何れも、当量比で1:1となる量である。これを粉砕機で粒径約2mmの粒子状に粉砕して成形材料とし、射出成形を行った。表1の配合の単位は質量%である。
(成形体の作製)
射出成形機として型締め力80tの熱硬化性樹脂用成形機(菱屋精工製)を用い、シリンダー温度はホッパ下50℃、ノズルは90℃とし、金型温度は170℃とし、射出速度20mm/sec、硬化時間は60〜300秒、成形圧力は30〜70MPaの範囲で適宜設定した。この射出成形機を用い、成形材料を1辺100mm、厚さ2mmの正方形薄板状の形状に射出成形した。得られた成形体に切断加工を施したものを試験体とした。
(曲げ特性の評価)
室温における曲げ強度を測定した。結果を表1に併記する。
(170℃における脱型可能時間)
射出成形時の金型温度を170℃とし、成形体が破損することなく取り出せる最小時間を脱型可能時間として評価した。時間は60秒から30秒刻みで設定し、最大300秒とした。脱型可能時間が短いほど短時間で硬化するため、成形サイクルが短くなり好ましい。結果を表1に併記する。
(導電性の評価)
図2に示す方法で貫通方向の抵抗を測定し、導電性の評価を行った。試料21を、カーボンペーパー22を介して電極23にセットし、電極間に流した電流(電流計24で測定)とカーボンペーパー間の電圧(電圧計25で測定)から、電気抵抗を計算し、更にこれに試料面積を掛けて貫通方向の抵抗率とした。結果を表1に併記する。
(流動性の評価)
JIS-K-7199に準じ、キャピラリーレオメータ(東洋精機キャピログラフ)を用い、成形材料の硬化反応による粘度上昇が見られる前の170℃、剪断速度1000sec-1の時の粘度を測定した。結果を表1に併記する。
(100℃における硬化反応進行の測定)
ムービングダイレオメータ(モンサントMDR2000)を用いて、成形材料の100℃における硬化反応の進行に伴うトルク変化を測定した。測定時間は10分とした。トルクが上昇したものは硬化が進行したことを表す。結果を表1に記載する。表1には、10分以内にトルク上昇が確認されないものは「○」、トルク上昇が確認されたものは「×」を熱安定性の欄に記した。
Figure 2009110944
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Figure 2009110944
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各実施例と比較例は、何れもオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に硬化剤としてフェノールノボラックを使用している。しかし、比較例5では、軟化温度が92℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、軟化温度100℃のフェノールノボラックを使用しているため、成形性が悪く、電気抵抗も大きい。また、比較例1では、炭素材料として針状人造黒鉛を使用しているため、機械的強度が低くなっている。また、比較例2では、低結晶性人造黒鉛を使用しているものの、平均粒径が30μmと微細であるため流動性が低く、導電パスが形成され難いことから高電気抵抗となっている。また、比較例3では、平均粒径が610μmの過大な低結晶性人造黒鉛を使用しているため、成形時に金型のゲートを成形材料が閉塞して成形体を得ることが出来ず、キャピラリーレオメータのキャピラリも閉塞して粘度の測定が出来なかった。また、比較例4では、硬化促進剤が低分子量のリン化合物を使用したため、低強度で、成形性も悪く、高電気抵抗でもある。
これに対し各実施例の成形体は電気抵抗が小さく、高強度であり、成形材料も粘度が低く、射出成形により成形体を得ることも可能である。また、100℃におけるトルク変化も少なくとも10分以内にはほとんど発生していないことから、100℃で硬化反応の進行が非常に遅く、熱安定性に優れている。
以上より、本発明により導電性と成形性と強度に優れる燃料電池用セパレータが得られることは明らかである。
燃料電池用セパレータの一例を示す斜視図である。 貫通方向の抵抗を測定する方法を説明するための模式図である。
符号の説明
10 燃料電池用セパレータ
11 平板部
12 隔壁
13 チャネル
21 試料
22 カーボンペーパー
23 電極
24 電流計
25 電圧計

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂 、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)炭素材料を必須成分とし、かつ、(A)エポキシ樹脂または(B)硬化剤の軟化温度が40℃以上90℃以下であり、(D)炭素材料の5〜100質量%が、平均粒径60μm以上500μm以下の低結晶性人造黒鉛であることを特徴とする燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
  2. (B)硬化剤の含有量が(A)エポキシ樹脂のエポキシ基1個当たり0.8〜1.2当量であり、(C)硬化促進剤の含有量が(B)硬化剤100質量部に対し0.01〜10質量部であり、かつ、(D)炭素材料の含有量が樹脂組成物全量の35〜85質量%であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
  3. (D)炭素材料の結晶面間隔が0.3362nm以上0.3390nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
  4. (B)硬化剤が分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
  5. (A)エポキシ樹脂が多官能エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
  6. (C)硬化促進剤が、下記(i)〜(v)の何れか1種であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物。
    (i)下記一般式(I)または(II)で表され、分子量300以上1000以下のリン化合物
    Figure 2009110944
    [式中、R1〜R4は、それぞれ、同一又は異なって、水素、アルキル基、アラルキル基およびアリール基の中から選ばれる官能基またはそれらの誘導体である。Xは四配位ホウ素化合物、ハロゲン原子、六配位アンチモン化合物の中から選ばれる物質である、]
    (ii)ジアザビシクロ化合物と有機酸との塩
    (iii)一般式「X−NH−CO−NYZ(Xは飽和または不飽和アルキル基及びこれらの誘導体、アリール基及びその誘導体から選ばれる一種であり、Y、Zは同一または異なっていても良い飽和もしくは不飽和アルキル基である)」で表される尿素誘導体
    (iv)分子量100以上のイミダゾール化合物
    (v)分子量120以上1000以下の3級アミン化合物
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
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