JP2004281261A - 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性、ガス不透過性、強度等が優れる燃料電池用のセパレータを低コストで得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒径50μm以上の黒鉛粉を少なくとも50wt%含む炭素粉を、樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、平均粒径が50μm以下となるように粉砕し、得られた粉粒体を加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、前記粉粒体の粒度分布を下記のロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式で表したとき、nの値を1.2〜2.0の範囲とする。
R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒径50μm以上の黒鉛粉を少なくとも50wt%含む炭素粉を、樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、平均粒径が50μm以下となるように粉砕し、得られた粉粒体を加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、前記粉粒体の粒度分布を下記のロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式で表したとき、nの値を1.2〜2.0の範囲とする。
R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車搭載用途等に利用される燃料電池が注目されている。この燃料電池は、化学エネルギーを熱エネルギーに変換することなく直接電気エネルギーとして利用するものであり、通常、水素及び酸素の反応によって電気を取出す電池をいう。こうした燃料電池には、リン酸型燃料電池、固体電解質型燃料電池及び固体高分子型燃料電池(PEFC)等いくつかの方式のものがあるが、その中で固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池では導電性成形品であるセパレータが使用されている。セパレータは、電極等と共に単位セルを構成し、該単位セルを積層して使用されるものであって、ガス(水素・酸素)を隔離する一方で導電性を必要とする。そのため、10×10−2Ωcm以下の高い電気導電性が要求される他、気体透過率が低いこと、更には耐酸化性、耐加水分解性、耐熱水性などが要求される。
【0003】
特開平8−31231号公報では、空隙率が5%以下、成形体のXY方向の体積固有抵抗とZ方向の体積固有抵抗の比の値が2以下の燃料電池用セパレータとして適した炭素材を得るため、熱硬化樹脂とケッチェンブラック、真球状黒鉛粒子を配合した炭素材を提案している。また、特開平11−195422号公報では、バインダーの量を減らして、導電性を向上させるため、カーボン材料に少量のバインダーを配合して加圧成形し、その後含浸剤を含浸させる方法が提案されている。更に、特開平11−297338号公報では、電極部との接触抵抗が低い燃料電池用セパレータを得るため、表面粗さを一定範囲とした燃料電池用セパレータを提案している。また、特開平2000−40517号公報では、異方性の少ない燃料電池用セパレータを得るため、人造黒鉛と天然黒鉛を併用することを提案している。特開平2000−21421号公報では、ガス不透過性、熱伝導性、導電性等のバランスがとれた燃料電池用セパレータを得るため、特定の黒鉛紛末を使用することを提案している。しかしながら、燃料電池用セパレータとしての特性がより優れ、且つ、バランスの優れた燃料電池用セパレータが望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−31231号公報
【特許文献2】
特開平11−195422号公報
【特許文献3】
特開平2000−40517号公報
【特許文献4】
特開平2000−21421号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形性、ガス不透過性、機械的強度に優れ、緻密で導電性に優れた燃料電池用のセパレータ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂と炭素粉とからなる粉粒体を加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、前記粉粒体の粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式: R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0の範囲にあることを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法である。
【0007】
ここで、平均粒径50μm以上の黒鉛粉を少なくとも50wt%含む黒鉛粉を、樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、平均粒径が50μm以下となるように粉砕し、該粉砕物について、n値が1.2〜2.0の範囲にあることが好ましい。平均粒径50〜300μmの等方性黒鉛粉と平均粒径50μm未満の異方性黒鉛粉とを重量比にて40:60〜90:10で混合した混合黒鉛粉を使用してもよい。
また、平均粒径50μm未満の黒鉛粉を使用し樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、混錬物を解砕又は粉砕した後、加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、原料としての黒鉛粉について、n値が1.2〜2.0の範囲にあることが好ましい。この原料黒鉛粉としては、等方性黒鉛粉、異方性黒鉛粉又はその混合黒鉛粉が使用できる。
【0008】
また、本発明は、上記の製造方法によって得られ、嵩密度が1.90g/cm3以上、カーボンペーパーを含む面積抵抗(面圧0.5MPa)が40mΩcm2以下である燃料電池用セパレータである。
【0009】
【発明の実施の形態】
燃料電池用セパレータは、単位セルを複数積層して構成する燃料電池において、隣接する単位セル間に設けられ、電極との間で燃料ガス流路、酸化ガス流路を形成し、燃料ガスと酸化ガスとを隔てる作用を有するものであり、ガス流路用の溝等が形成されている。本発明で製造する燃料電池用セパレータは、炭素紛と樹脂とが所定の形状に成形、硬化されてなるものであり、そのまま、又は必要により溝加工、穴あけ加工等がなされて燃料電池用セパレータとして使用される。また、燃料電池用セパレータというときは、燃料電池用セパレータの部材を含む。
【0010】
本発明の燃料電池用セパレータは、炭素粉と結合剤としての樹脂とを必須成分として含有する粉粒体を加圧成形して得られる。炭素粉と樹脂との割合は、樹脂1重量部に対し、炭素粉1〜15重量部、好ましくは5〜10倍量の範囲であることがよい。
【0011】
本発明で使用する炭素粉は高い導電性を示すものであれば制限はなく、例えば、メソカーボンマイクロビーズなどの炭素質を黒鉛化したもの、石炭系コークスや石油系コークスを黒鉛化したものの他、黒鉛電極や特殊炭素材料の加工粉、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、ホウ素等の触媒作用で黒鉛化した人造黒鉛の少なくとも1種類が使用される。
【0012】
本発明で使用する炭素粉は、1種の炭素粉だけでなく、2種以上の炭素粉の混合物を使用してもよい。2種類の粒度分布を有する黒鉛粉である場合は、50〜300μmの大粒径黒鉛粉と、平均粒径50μm未満、好ましくは平均粒径5〜20μmの小粒径黒鉛粉からなることがよい。大粒径黒鉛粉と小粒径黒鉛粉の割合は重量比で40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。2種類の黒鉛粉を使用することにより、大きい粒子については、混練後の粉砕の際、粉砕されて新しい炭素面が出るために、接触して導電パスができる一方、大きい粒子は表面積が小さいため、少量の樹脂量でも混練を可能とすることが期待される。小さい粒子については、黒鉛粒子同士の接触性を高める一方、成形品の強度を高めることが期待される。また、嵩密度を上げるためにも有効である。
【0013】
また、原料の炭素粉として、細粒の黒鉛粉を使用しても良い。この場合、平均粒径は50μm未満、好ましくは10〜30μm、特に好ましくは15〜25μmである。こうした細粒黒鉛粉を樹脂と混練し、その混錬後において平均粒径20〜40μmに解砕又は粉砕することが望ましい。
【0014】
本発明で使用する炭素粉は、等方性黒鉛粉と異方性黒鉛粉の混合物であることも好ましく、この場合、等方性黒鉛粉と異方性黒鉛粉の重量割合は40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。また、人造黒鉛粉とキッシュ黒鉛粉の混合物であることも好ましく、この場合、人造黒鉛粉とキッシュ黒鉛粉の重量割合は40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。更に、等方性黒鉛紛とキッシュ黒鉛の組合せも優れる。2種類以上の黒鉛粉を使用することは、嵩密度を上げるためにも有効である。等方性黒鉛紛は、公知のCIP成形、HIP成形等の成形加工により得られる成形品を黒鉛化し、粉砕して使用する。
【0015】
上記黒鉛粉の混合物である場合、大粒径黒鉛粉として人造黒鉛粉又は等方性黒鉛粉を使用し、小粒径黒鉛粉としてキッシュ黒鉛粉又は異方性黒鉛粉を使用することが好ましい。性質の異なる黒鉛粉や平均粒径の異なる黒鉛粉を、上記割合で使用することにより、嵩密度が向上し、導電性、ガス不透過性、強度等の性質が向上する。また、人造黒鉛粉は天然黒鉛粉に比べて導電性は多少劣るものの、異方性が少ないという特徴もある。
【0016】
本発明で使用する結合剤としての樹脂は、炭素粉を所定の強度に結合、固化するものであればよく、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を広く適用できる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられるが、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂には、通常硬化剤、硬化促進剤等が配合されるが、これらも樹脂成分として計算する。エポキシ樹脂等の樹脂(硬化剤等が配合される場合は、配合された状態で)は、150℃における粘度が0.01〜0.5Pa・s、好ましくは0.03〜0.4Pa・sであり、25℃において固体又は3Pa・s以上の粘度であることが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等の公知の促進剤が使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、更には液晶ポリマー等が挙げられる。
【0017】
黒鉛粉と樹脂(樹脂が硬化剤等を必要とする場合はこれらを含む)との配合割合は、樹脂に対して黒鉛粉は5〜15倍量であることが、必要な導電性を与える観点から好ましい。樹脂が多すぎても、少なすぎても固有抵抗が増大するので、より好ましくは8〜13倍量の範囲にするとよい。一般に、樹脂の割合が多すぎると黒鉛粉同士の接触が阻害されて導電性が低下し、少なすぎると所定の強度を有する成形体が得られなくなる傾向となる。なお、黒鉛粉と樹脂の混合は、これらを同時に混合してもよく、2種類以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用する場合には、その黒鉛粉を事前に混合したのち、樹脂と混合してもよい。
【0018】
また、上記粉粒体は炭素粉と樹脂の他に、離型剤、導電性フィラー等の添加材を本発明の効果を妨げない範囲で含有することもできる。粉粒体は、炭素粉と樹脂粉の混合物であっても、炭素粉の表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたものであっても、両者を含むものであってもよいが、炭素粉と液状樹脂とを混合したのち、これを冷却して樹脂を固体状として、粉砕して得られた粉砕物であることが好ましい。これは、両者を含むものであると考えられる。
【0019】
上記粉砕物を得るための好ましい一例を次に示す。2種類以上、更に平均粒径の異なる黒鉛粉の混合物をエポキシ樹脂(硬化剤を含む)に対して1〜15倍量使用し、必要により配合される添加材とともに混練し、均一な樹脂組成物としたのち、平均粒径が20〜50μm、好ましくは20〜40μmとなるように粉砕する。平均粒径50μm未満の黒鉛粉を使用する場合は、樹脂との混錬後においては大きな塊となるため再度、平均粒径が20〜40μmに解砕又は粉砕する。
混練工程では、ニーダー、ロール等混練機を用いて混練し、樹脂と黒鉛粉とが可及的に均一な組成物を形成するように行う。混練中は樹脂の粘度を低下させる目的で加熱したり、低沸点溶媒を添加したりすることもできるが、硬化を完了させない。
粉砕工程では、混練して得られた組成物を冷却したりして非粘着性の組成物としたのち、せん断粉砕としてパルペライザー、圧縮粉砕としてディスクミルなどの粉砕機により粉砕する。
【0020】
本発明でいう粉粒体は、粉砕物の上位概念として使用される。粉粒体は、所定の粒度分布を有することが必要である。すなわち、粉粒体の粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式:R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.6の範囲にあることが必要である。この場合の粒度測定は篩分け法による。
【0021】
ロジンラムラー分布の式において、粉粒体が正規分布をとるとき、nは分布の広狭を示し、nが大きいほどシャープな分布を示す。nの値が1.2未満であると、分布が広すぎて大粒子が含まれ成形品の表面に荒れが生じる。一方、nの値が2.0を超えると、分布がシャープになって比重が上がらず、抵抗が高いものとなることが判明した。このnの値の制御は、分級条件、粉砕機やその運転条件を選定することにより可能である。
【0022】
粉砕後、金型による加熱型の成形機などを使用して成形する。この際、樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合は、成形と同時に硬化をするために、100〜350℃、好ましくは150〜200℃程度に保持することにより行うことがよい。温度は使用する樹脂の軟化温度以上、熱硬化樹脂の硬化温度以上、炭化温度未満の条件とする。成形圧力は面方向の電気比抵抗を下げ、嵩密度を高くするためには高いほうが好ましいが、圧力を高くすると設備費用が増大するため、20〜1000kg/cm2程度、好ましくは100〜500kg/cm2程度が適当である。
成形の際、所定の燃料電池用セパレータの形状とし、しかも所定の溝等を同時に設ければ、それをそのまま又は簡単な加工のみで燃料電池用セパレータとすることができる。しかし、板状等に成形したのち、これに溝加工や孔加工を加えて燃料電池用セパレータとすることもできる。
【0023】
粉粒体を成形して得られるセパレータ中に存在している炭素粉と粉粒体との間には相関関係があるため、上記と同じことがセパレータ中に存在している炭素粉についても言える。すなわち、セパレータ中に存在している炭素粉の粒度分布をロジンラムラー分布の式で表したとき、nの値が1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.6の範囲にあることがよい。この場合の粒度測定は顕微鏡法により行う。
【0024】
上記製造方法で得られる本発明の燃料電池用セパレータは、緻密でガス透過率が低く、機械的強度が高く、導電性に優れたものとなる。
本発明の製造方法で得られる燃料電池用セパレータは、嵩密度が1.90g/cm3以上、好ましくは1.95g/cm3以上とすることが可能であり、ガス不透過性、機械的強度も優れたものとなる。嵩密度が1.90g/cm3未満では、ガス不透過性が劣るだけでなく、機械的強度も劣る。また、カーボンペーパーを含んだ面積抵抗(面圧0.5MPa)は燃料電池として機能するためには40mΩcm2以下である必要があるが、本製造方法によりそれが達成される。この面積抵抗は、使用する黒鉛の種類を結晶度の高いものとしたり、熱硬化樹脂の配合量を少なくすることにより低くすることが可能であり、また成形圧力等によっても変化しうる。また、固有抵抗としては、20000μΩcm以下であることが望ましい。
【0025】
更に、本発明の燃料電池用セパレータは、曲げ強度が30MPa以上、気体透過率が1×10−14cm2以下のいずれか1又は2以上の特性を有することが望ましい。
曲げ強度が30Mpa以下であると、セパレーターは振動や衝撃で壊れてしまう可能性が高く、気体透過率が1×10−14cm2より大きくなると燃料としての水素と酸素が混じることがあり発電効率を損なう。
本発明の燃料電池用セパレータは、緻密で機械的強度が高く、導電性に優れ、異方性が少なく、気体透過率が小さいので、これを燃料電池に使用したとき、効率の高い、寿命の長い燃料電池とすることができる。
【0026】
実施例1
平均粒径110μm、熱膨張係数(CTE)4×10−6/℃の等方性黒鉛粉(新日本テクノカーボン株式会社製)75重量部と平均粒径10μm、熱膨張係数(CTE)1×10−6/℃のキッシュ黒鉛粉(異方性黒鉛粉:日本磁力選鉱株式会社製)25重量部を混合した黒鉛粉合計100重量部に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる結合剤としての樹脂10重量部を配合した。ここで、結合剤としての樹脂は、オルソクレゾールノボラックのエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名EOCN―1020、融点65℃、150℃粘度0.3Pa・s)2重量部、フェノールノボラック(荒川化学工業株式会社製タマノル758、軟化点83℃、150℃粘度0.22〜0.35Pa・s)1重量部とトリフェニルホスフィン0.03重量部からなる。この結合剤としての樹脂の150℃における粘度は0.38Pa・sである。
【0027】
ここで、黒鉛粉の熱膨張係数(CTE)は、対象黒鉛粉をバインダーピッチと混合して押出成型法により生テストピース(径20mm、長さ100mm)を作成し、これを電気炉で800℃焼成、更に2600℃黒鉛化した後、CTE測定用電気炉にセットし、ディラトメーターを使用し、室温〜500℃で測定したa軸方向の値である。そして本発明においては、熱膨張係数(CTE)3×10−6/℃以上を等方性黒鉛粉、CTEが3×10−6/℃未満を異方性黒鉛粉とした。
これを100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機の回転数と装入量とともに分級機によって平均粒径と粒度分布を調製し、2次粒子径(平均粒径)の3種類の粉砕物とした。
得られた粉砕物を金型に入れ、温度175℃、圧力350kg/cm2の条件で20分間成形し、脱型して3種類の成形品を得た。
【0028】
ロール混錬後の粉砕物(粉粒体)について、平均粒径、ロジンラムラー分布式のn値を計算するとともに、この粉粒体を用いて得られた成形体について、嵩密度、面積抵抗及び外観を調べた。
これらの結果を表1に示す。尚、表中、「平均粒径」は原料黒鉛粉と樹脂とを配合混練した後、混練物を粉砕(解砕)して得られる粉砕物(粉粒体)の平均粒径、「n」はロジンラムラー分布の式におけるn値を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例2
粉砕機(回転数と装入量を制御)及び分級機によって、平均粒径25μmであって粒度分布を調製した熱膨張係数(CTE)4×10−6/℃の等方性黒鉛粉(新日本テクノカーボン株式会社製)100重量部に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる結合剤としての樹脂10重量部を配合した。ここで、結合剤としての樹脂は、オルソクレゾールノボラックのエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名EOCN―1020、融点65℃、150℃粘度0.3Pa・s)2重量部、フェノールノボラック(荒川化学工業株式会社製タマノル758、軟化点83℃、150℃粘度0.22〜0.35Pa・s)1重量部とトリフェニルホスフィン0.03重量部からなる。この結合剤としての樹脂の150℃における粘度は0.38Pa・sである。
これを100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機の回転数と装入量とともに分級機によって平均粒径と粒度分布を調製し、2次粒子径(平均粒径)を30μmとした。
得られた粉砕物を金型に入れ、温度175℃、圧力350kg/cm2の条件で20分間成形し、脱型して3種類の成形品を得た。
【0031】
原料としての黒鉛粉の平均粒径、ロジンラムラー分布式のn値を表2に示す。また、得られた成形体について、嵩密度、固有抵抗及び外観を調べ、その結果を併せて表2に示す。尚、嵩密度はアルキメデス法、固有抵抗は4端子電圧降下法で測定した。また、表中、「平均粒径」は原料黒鉛粉の粒径、「n」はロジンラムラー分布の式におけるn値を示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、電気比抵抗の低い導電性樹脂成形品が焼成等の熱処理なしに得られるので、低コスト化を行える効果がある。また、導電性、ガス不透過性、強度等が優れるので、燃料電池用のセパレータとしての価値が高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車搭載用途等に利用される燃料電池が注目されている。この燃料電池は、化学エネルギーを熱エネルギーに変換することなく直接電気エネルギーとして利用するものであり、通常、水素及び酸素の反応によって電気を取出す電池をいう。こうした燃料電池には、リン酸型燃料電池、固体電解質型燃料電池及び固体高分子型燃料電池(PEFC)等いくつかの方式のものがあるが、その中で固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池では導電性成形品であるセパレータが使用されている。セパレータは、電極等と共に単位セルを構成し、該単位セルを積層して使用されるものであって、ガス(水素・酸素)を隔離する一方で導電性を必要とする。そのため、10×10−2Ωcm以下の高い電気導電性が要求される他、気体透過率が低いこと、更には耐酸化性、耐加水分解性、耐熱水性などが要求される。
【0003】
特開平8−31231号公報では、空隙率が5%以下、成形体のXY方向の体積固有抵抗とZ方向の体積固有抵抗の比の値が2以下の燃料電池用セパレータとして適した炭素材を得るため、熱硬化樹脂とケッチェンブラック、真球状黒鉛粒子を配合した炭素材を提案している。また、特開平11−195422号公報では、バインダーの量を減らして、導電性を向上させるため、カーボン材料に少量のバインダーを配合して加圧成形し、その後含浸剤を含浸させる方法が提案されている。更に、特開平11−297338号公報では、電極部との接触抵抗が低い燃料電池用セパレータを得るため、表面粗さを一定範囲とした燃料電池用セパレータを提案している。また、特開平2000−40517号公報では、異方性の少ない燃料電池用セパレータを得るため、人造黒鉛と天然黒鉛を併用することを提案している。特開平2000−21421号公報では、ガス不透過性、熱伝導性、導電性等のバランスがとれた燃料電池用セパレータを得るため、特定の黒鉛紛末を使用することを提案している。しかしながら、燃料電池用セパレータとしての特性がより優れ、且つ、バランスの優れた燃料電池用セパレータが望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−31231号公報
【特許文献2】
特開平11−195422号公報
【特許文献3】
特開平2000−40517号公報
【特許文献4】
特開平2000−21421号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形性、ガス不透過性、機械的強度に優れ、緻密で導電性に優れた燃料電池用のセパレータ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂と炭素粉とからなる粉粒体を加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、前記粉粒体の粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式: R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0の範囲にあることを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法である。
【0007】
ここで、平均粒径50μm以上の黒鉛粉を少なくとも50wt%含む黒鉛粉を、樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、平均粒径が50μm以下となるように粉砕し、該粉砕物について、n値が1.2〜2.0の範囲にあることが好ましい。平均粒径50〜300μmの等方性黒鉛粉と平均粒径50μm未満の異方性黒鉛粉とを重量比にて40:60〜90:10で混合した混合黒鉛粉を使用してもよい。
また、平均粒径50μm未満の黒鉛粉を使用し樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、混錬物を解砕又は粉砕した後、加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、原料としての黒鉛粉について、n値が1.2〜2.0の範囲にあることが好ましい。この原料黒鉛粉としては、等方性黒鉛粉、異方性黒鉛粉又はその混合黒鉛粉が使用できる。
【0008】
また、本発明は、上記の製造方法によって得られ、嵩密度が1.90g/cm3以上、カーボンペーパーを含む面積抵抗(面圧0.5MPa)が40mΩcm2以下である燃料電池用セパレータである。
【0009】
【発明の実施の形態】
燃料電池用セパレータは、単位セルを複数積層して構成する燃料電池において、隣接する単位セル間に設けられ、電極との間で燃料ガス流路、酸化ガス流路を形成し、燃料ガスと酸化ガスとを隔てる作用を有するものであり、ガス流路用の溝等が形成されている。本発明で製造する燃料電池用セパレータは、炭素紛と樹脂とが所定の形状に成形、硬化されてなるものであり、そのまま、又は必要により溝加工、穴あけ加工等がなされて燃料電池用セパレータとして使用される。また、燃料電池用セパレータというときは、燃料電池用セパレータの部材を含む。
【0010】
本発明の燃料電池用セパレータは、炭素粉と結合剤としての樹脂とを必須成分として含有する粉粒体を加圧成形して得られる。炭素粉と樹脂との割合は、樹脂1重量部に対し、炭素粉1〜15重量部、好ましくは5〜10倍量の範囲であることがよい。
【0011】
本発明で使用する炭素粉は高い導電性を示すものであれば制限はなく、例えば、メソカーボンマイクロビーズなどの炭素質を黒鉛化したもの、石炭系コークスや石油系コークスを黒鉛化したものの他、黒鉛電極や特殊炭素材料の加工粉、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、ホウ素等の触媒作用で黒鉛化した人造黒鉛の少なくとも1種類が使用される。
【0012】
本発明で使用する炭素粉は、1種の炭素粉だけでなく、2種以上の炭素粉の混合物を使用してもよい。2種類の粒度分布を有する黒鉛粉である場合は、50〜300μmの大粒径黒鉛粉と、平均粒径50μm未満、好ましくは平均粒径5〜20μmの小粒径黒鉛粉からなることがよい。大粒径黒鉛粉と小粒径黒鉛粉の割合は重量比で40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。2種類の黒鉛粉を使用することにより、大きい粒子については、混練後の粉砕の際、粉砕されて新しい炭素面が出るために、接触して導電パスができる一方、大きい粒子は表面積が小さいため、少量の樹脂量でも混練を可能とすることが期待される。小さい粒子については、黒鉛粒子同士の接触性を高める一方、成形品の強度を高めることが期待される。また、嵩密度を上げるためにも有効である。
【0013】
また、原料の炭素粉として、細粒の黒鉛粉を使用しても良い。この場合、平均粒径は50μm未満、好ましくは10〜30μm、特に好ましくは15〜25μmである。こうした細粒黒鉛粉を樹脂と混練し、その混錬後において平均粒径20〜40μmに解砕又は粉砕することが望ましい。
【0014】
本発明で使用する炭素粉は、等方性黒鉛粉と異方性黒鉛粉の混合物であることも好ましく、この場合、等方性黒鉛粉と異方性黒鉛粉の重量割合は40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。また、人造黒鉛粉とキッシュ黒鉛粉の混合物であることも好ましく、この場合、人造黒鉛粉とキッシュ黒鉛粉の重量割合は40:60〜90:10好ましくは70:30〜80:20である。更に、等方性黒鉛紛とキッシュ黒鉛の組合せも優れる。2種類以上の黒鉛粉を使用することは、嵩密度を上げるためにも有効である。等方性黒鉛紛は、公知のCIP成形、HIP成形等の成形加工により得られる成形品を黒鉛化し、粉砕して使用する。
【0015】
上記黒鉛粉の混合物である場合、大粒径黒鉛粉として人造黒鉛粉又は等方性黒鉛粉を使用し、小粒径黒鉛粉としてキッシュ黒鉛粉又は異方性黒鉛粉を使用することが好ましい。性質の異なる黒鉛粉や平均粒径の異なる黒鉛粉を、上記割合で使用することにより、嵩密度が向上し、導電性、ガス不透過性、強度等の性質が向上する。また、人造黒鉛粉は天然黒鉛粉に比べて導電性は多少劣るものの、異方性が少ないという特徴もある。
【0016】
本発明で使用する結合剤としての樹脂は、炭素粉を所定の強度に結合、固化するものであればよく、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を広く適用できる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられるが、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。エポキシ樹脂には、通常硬化剤、硬化促進剤等が配合されるが、これらも樹脂成分として計算する。エポキシ樹脂等の樹脂(硬化剤等が配合される場合は、配合された状態で)は、150℃における粘度が0.01〜0.5Pa・s、好ましくは0.03〜0.4Pa・sであり、25℃において固体又は3Pa・s以上の粘度であることが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等の公知の促進剤が使用できる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、更には液晶ポリマー等が挙げられる。
【0017】
黒鉛粉と樹脂(樹脂が硬化剤等を必要とする場合はこれらを含む)との配合割合は、樹脂に対して黒鉛粉は5〜15倍量であることが、必要な導電性を与える観点から好ましい。樹脂が多すぎても、少なすぎても固有抵抗が増大するので、より好ましくは8〜13倍量の範囲にするとよい。一般に、樹脂の割合が多すぎると黒鉛粉同士の接触が阻害されて導電性が低下し、少なすぎると所定の強度を有する成形体が得られなくなる傾向となる。なお、黒鉛粉と樹脂の混合は、これらを同時に混合してもよく、2種類以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用する場合には、その黒鉛粉を事前に混合したのち、樹脂と混合してもよい。
【0018】
また、上記粉粒体は炭素粉と樹脂の他に、離型剤、導電性フィラー等の添加材を本発明の効果を妨げない範囲で含有することもできる。粉粒体は、炭素粉と樹脂粉の混合物であっても、炭素粉の表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたものであっても、両者を含むものであってもよいが、炭素粉と液状樹脂とを混合したのち、これを冷却して樹脂を固体状として、粉砕して得られた粉砕物であることが好ましい。これは、両者を含むものであると考えられる。
【0019】
上記粉砕物を得るための好ましい一例を次に示す。2種類以上、更に平均粒径の異なる黒鉛粉の混合物をエポキシ樹脂(硬化剤を含む)に対して1〜15倍量使用し、必要により配合される添加材とともに混練し、均一な樹脂組成物としたのち、平均粒径が20〜50μm、好ましくは20〜40μmとなるように粉砕する。平均粒径50μm未満の黒鉛粉を使用する場合は、樹脂との混錬後においては大きな塊となるため再度、平均粒径が20〜40μmに解砕又は粉砕する。
混練工程では、ニーダー、ロール等混練機を用いて混練し、樹脂と黒鉛粉とが可及的に均一な組成物を形成するように行う。混練中は樹脂の粘度を低下させる目的で加熱したり、低沸点溶媒を添加したりすることもできるが、硬化を完了させない。
粉砕工程では、混練して得られた組成物を冷却したりして非粘着性の組成物としたのち、せん断粉砕としてパルペライザー、圧縮粉砕としてディスクミルなどの粉砕機により粉砕する。
【0020】
本発明でいう粉粒体は、粉砕物の上位概念として使用される。粉粒体は、所定の粒度分布を有することが必要である。すなわち、粉粒体の粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式:R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.6の範囲にあることが必要である。この場合の粒度測定は篩分け法による。
【0021】
ロジンラムラー分布の式において、粉粒体が正規分布をとるとき、nは分布の広狭を示し、nが大きいほどシャープな分布を示す。nの値が1.2未満であると、分布が広すぎて大粒子が含まれ成形品の表面に荒れが生じる。一方、nの値が2.0を超えると、分布がシャープになって比重が上がらず、抵抗が高いものとなることが判明した。このnの値の制御は、分級条件、粉砕機やその運転条件を選定することにより可能である。
【0022】
粉砕後、金型による加熱型の成形機などを使用して成形する。この際、樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合は、成形と同時に硬化をするために、100〜350℃、好ましくは150〜200℃程度に保持することにより行うことがよい。温度は使用する樹脂の軟化温度以上、熱硬化樹脂の硬化温度以上、炭化温度未満の条件とする。成形圧力は面方向の電気比抵抗を下げ、嵩密度を高くするためには高いほうが好ましいが、圧力を高くすると設備費用が増大するため、20〜1000kg/cm2程度、好ましくは100〜500kg/cm2程度が適当である。
成形の際、所定の燃料電池用セパレータの形状とし、しかも所定の溝等を同時に設ければ、それをそのまま又は簡単な加工のみで燃料電池用セパレータとすることができる。しかし、板状等に成形したのち、これに溝加工や孔加工を加えて燃料電池用セパレータとすることもできる。
【0023】
粉粒体を成形して得られるセパレータ中に存在している炭素粉と粉粒体との間には相関関係があるため、上記と同じことがセパレータ中に存在している炭素粉についても言える。すなわち、セパレータ中に存在している炭素粉の粒度分布をロジンラムラー分布の式で表したとき、nの値が1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.6の範囲にあることがよい。この場合の粒度測定は顕微鏡法により行う。
【0024】
上記製造方法で得られる本発明の燃料電池用セパレータは、緻密でガス透過率が低く、機械的強度が高く、導電性に優れたものとなる。
本発明の製造方法で得られる燃料電池用セパレータは、嵩密度が1.90g/cm3以上、好ましくは1.95g/cm3以上とすることが可能であり、ガス不透過性、機械的強度も優れたものとなる。嵩密度が1.90g/cm3未満では、ガス不透過性が劣るだけでなく、機械的強度も劣る。また、カーボンペーパーを含んだ面積抵抗(面圧0.5MPa)は燃料電池として機能するためには40mΩcm2以下である必要があるが、本製造方法によりそれが達成される。この面積抵抗は、使用する黒鉛の種類を結晶度の高いものとしたり、熱硬化樹脂の配合量を少なくすることにより低くすることが可能であり、また成形圧力等によっても変化しうる。また、固有抵抗としては、20000μΩcm以下であることが望ましい。
【0025】
更に、本発明の燃料電池用セパレータは、曲げ強度が30MPa以上、気体透過率が1×10−14cm2以下のいずれか1又は2以上の特性を有することが望ましい。
曲げ強度が30Mpa以下であると、セパレーターは振動や衝撃で壊れてしまう可能性が高く、気体透過率が1×10−14cm2より大きくなると燃料としての水素と酸素が混じることがあり発電効率を損なう。
本発明の燃料電池用セパレータは、緻密で機械的強度が高く、導電性に優れ、異方性が少なく、気体透過率が小さいので、これを燃料電池に使用したとき、効率の高い、寿命の長い燃料電池とすることができる。
【0026】
実施例1
平均粒径110μm、熱膨張係数(CTE)4×10−6/℃の等方性黒鉛粉(新日本テクノカーボン株式会社製)75重量部と平均粒径10μm、熱膨張係数(CTE)1×10−6/℃のキッシュ黒鉛粉(異方性黒鉛粉:日本磁力選鉱株式会社製)25重量部を混合した黒鉛粉合計100重量部に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる結合剤としての樹脂10重量部を配合した。ここで、結合剤としての樹脂は、オルソクレゾールノボラックのエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名EOCN―1020、融点65℃、150℃粘度0.3Pa・s)2重量部、フェノールノボラック(荒川化学工業株式会社製タマノル758、軟化点83℃、150℃粘度0.22〜0.35Pa・s)1重量部とトリフェニルホスフィン0.03重量部からなる。この結合剤としての樹脂の150℃における粘度は0.38Pa・sである。
【0027】
ここで、黒鉛粉の熱膨張係数(CTE)は、対象黒鉛粉をバインダーピッチと混合して押出成型法により生テストピース(径20mm、長さ100mm)を作成し、これを電気炉で800℃焼成、更に2600℃黒鉛化した後、CTE測定用電気炉にセットし、ディラトメーターを使用し、室温〜500℃で測定したa軸方向の値である。そして本発明においては、熱膨張係数(CTE)3×10−6/℃以上を等方性黒鉛粉、CTEが3×10−6/℃未満を異方性黒鉛粉とした。
これを100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機の回転数と装入量とともに分級機によって平均粒径と粒度分布を調製し、2次粒子径(平均粒径)の3種類の粉砕物とした。
得られた粉砕物を金型に入れ、温度175℃、圧力350kg/cm2の条件で20分間成形し、脱型して3種類の成形品を得た。
【0028】
ロール混錬後の粉砕物(粉粒体)について、平均粒径、ロジンラムラー分布式のn値を計算するとともに、この粉粒体を用いて得られた成形体について、嵩密度、面積抵抗及び外観を調べた。
これらの結果を表1に示す。尚、表中、「平均粒径」は原料黒鉛粉と樹脂とを配合混練した後、混練物を粉砕(解砕)して得られる粉砕物(粉粒体)の平均粒径、「n」はロジンラムラー分布の式におけるn値を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例2
粉砕機(回転数と装入量を制御)及び分級機によって、平均粒径25μmであって粒度分布を調製した熱膨張係数(CTE)4×10−6/℃の等方性黒鉛粉(新日本テクノカーボン株式会社製)100重量部に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる結合剤としての樹脂10重量部を配合した。ここで、結合剤としての樹脂は、オルソクレゾールノボラックのエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名EOCN―1020、融点65℃、150℃粘度0.3Pa・s)2重量部、フェノールノボラック(荒川化学工業株式会社製タマノル758、軟化点83℃、150℃粘度0.22〜0.35Pa・s)1重量部とトリフェニルホスフィン0.03重量部からなる。この結合剤としての樹脂の150℃における粘度は0.38Pa・sである。
これを100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機の回転数と装入量とともに分級機によって平均粒径と粒度分布を調製し、2次粒子径(平均粒径)を30μmとした。
得られた粉砕物を金型に入れ、温度175℃、圧力350kg/cm2の条件で20分間成形し、脱型して3種類の成形品を得た。
【0031】
原料としての黒鉛粉の平均粒径、ロジンラムラー分布式のn値を表2に示す。また、得られた成形体について、嵩密度、固有抵抗及び外観を調べ、その結果を併せて表2に示す。尚、嵩密度はアルキメデス法、固有抵抗は4端子電圧降下法で測定した。また、表中、「平均粒径」は原料黒鉛粉の粒径、「n」はロジンラムラー分布の式におけるn値を示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、電気比抵抗の低い導電性樹脂成形品が焼成等の熱処理なしに得られるので、低コスト化を行える効果がある。また、導電性、ガス不透過性、強度等が優れるので、燃料電池用のセパレータとしての価値が高い。
Claims (10)
- 樹脂と炭素粉とからなる粉粒体を加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、前記粉粒体の粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式:
R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0の範囲にあることを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。 - nの値が1.3〜1.6の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の燃料セパレータの製造方法。
- 平均粒径50μm以上の黒鉛粉を少なくとも50wt%含む炭素粉を、樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、平均粒径が50μm以下となるように粉砕し、該粉砕物についてn値が1.2〜2.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の燃料セパレータの製造方法。
- 平均粒径50〜300μmの黒鉛粉と平均粒径50μm未満の黒鉛粉とを重量比にて40:60〜90:10で混合した混合黒鉛粉を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料セパレータの製造方法。
- 平均粒径50μm未満の黒鉛粉を使用し樹脂に対して1〜15倍量で配合、混練した後、混錬物を解砕又は粉砕した後、加圧成形して燃料電池セパレータを製造する方法において、原料としての黒鉛粉について、n値が1.2〜2.0の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 黒鉛粉が、等方性黒鉛粉、異方性黒鉛粉又はその混合黒鉛粉であることを特徴とする請求項5記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 解砕物又は粉砕物の平均粒径が20〜40μmである請求項5記載の燃料セパレータの製造方法。
- 樹脂について、150℃における粘度が0.01〜0.5Pa・s、25℃における粘度が3Pa・s以上の液体又は固体であることを特徴とする請求項1記載の燃料セパレータの製造方法。
- 請求項1の製造方法によって得られ、嵩密度が1.90g/cm3以上、カーボンペーパーを含む面積抵抗(面圧0.5MPa)が40mΩcm2以下であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
- 曲げ強度が30MPa以上、気体透過率が1×10−14cm2以下であることを特徴とする請求項9記載の燃料電池用セパレータ。
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JP2003072031A JP2004281261A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 |
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JP2009093991A (ja) * | 2007-10-11 | 2009-04-30 | Nichias Corp | 燃料電池用セパレータ用樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ |
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2003
- 2003-03-17 JP JP2003072031A patent/JP2004281261A/ja not_active Withdrawn
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