JP2020164592A - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高放熱性が求められる成形、注型、積層、接着等の用途において、熱伝導性、流動性、成形性等に優れた硬化物を与える成形材料に有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること、及びその硬化物を提供する。【解決手段】 エポキシ樹脂、硬化剤、黒鉛粒子を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、その150℃での溶融粘度が0.001〜1.0Pa・sであり、黒鉛粒子の含有率が60〜95重量%であるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性、流動性および成形性に優れるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されているが、その要求性能はますます高度化している。この様な中で、近年開発が進められている発光ダイオード(LED)デバイスにおいては、デバイスのパワー密度の更なる向上が求められており、その結果、動作時のチップ表面が高温になることから、その温度に耐え得る周辺材料の開発が望まれている。そして、このような熱に由来する課題を解決するために、放熱性に優れる材料開発が望まれている。従来、放熱性に優れる金属製の放熱部材が用いられることが多かったが、重量や成形加工性の問題から、近年、樹脂製の放熱部材への置き換えが進められている。ところが、樹脂製の放熱材料は射出や圧縮による成型ができるなど加工性に優れるものの、熱伝導率や耐熱性(Tg)が十分でないといった問題があった。
一般に黒鉛粒子は、熱伝導性に優れると言われており、近年、この黒鉛粒子を用いた樹脂製の高放熱材料の検討が行われている。
このような中、特許文献1には、従来のアルミニウムブロック製ヒートシンクに代わる膨張黒鉛製のヒートシンクにおいて、切削加工時の膨張黒鉛の飛散や、その加工性・強度の課題に対して、熱硬化性樹脂として特にフェノール樹脂の粉体を用いてそれと膨張黒鉛のチップとの樹脂組成物をヒートシンクへ応用した例が示されている。ここでは、使用している汎用のフェノール樹脂粉体は溶融粘度が高いため、成形性と熱伝導性の両立に課題があった。また、熱伝導性を担う黒鉛粒子を高充填することが難しく、熱伝導率向上の面でも課題があった。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂と高熱伝導性フィラーを用いた樹脂組成物が例示されているが、黒鉛粒子を用いた詳細な検討例は示されていない。
さらに、特許文献3には、ベース樹脂として熱可塑性樹脂を用いた黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物が開示されており、熱伝導性に優れることが示されている。しかしながら、この特許文献3の主要樹脂であるポリフェニレンスルフィド樹脂に代表される熱可塑性樹脂は、高分子量ポリマーであることから溶融粘度が高く、ここでも成形性と熱伝導性の両立に課題があった。
特開2003−37227号公報 特開2004−115747号公報 特開2012−167139号公報
本発明の目的は、高放熱性が求められる成形、注型、積層、接着等の用途において、熱伝導性、流動性、成形性等に共に優れた硬化物を与えるような、成形材料に有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること、及びその硬化物を提供することであり、特にLED用放熱部材として有用なエポキシ樹脂硬化物を提供することにある。
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及び黒鉛粒子を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、その150℃での溶融粘度が、0.001〜1.0Pa・sであり、黒鉛粒子の含有率が60〜95重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
エポキシ樹脂は、下記一般式(1)又は(2)で表されるエポキシ樹脂であることがよい。
Figure 2020164592
〔式(1)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、Gは、グリシジル基であり、mは0から10の数を示す。〕
Figure 2020164592
〔式(2)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Gは、グリシジル基であり、nは1〜20の数を示す。〕
硬化剤は、下記一般式(3)又は(4)で表される多価ヒドロキシ化合物であることがよい。
Figure 2020164592
〔式(3)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜20の数を示す。〕
Figure 2020164592
〔式(4)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合である。〕
更に本発明は、上記のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化してなる硬化物である。
上記の硬化物はLED用放熱部材として用いられることが好ましい。
上記のLED用放熱部材はLED用ヒートシンクであることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱伝導性、流動性に優れるとともに、成形性に優れるエポキシ樹脂組成物および硬化物を与え、放熱材料用途に好適に使用することが可能であり、特にLED用放熱部材として好適に使用することが可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、組成物中における黒鉛粒子が60〜95重量%である。黒鉛粒子の含有率が60重量%未満だと、十分な熱伝導性が期待できない。逆に黒鉛粒子が95重量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低くなり、成形性が低下する傾向にある。より好ましくは70〜95重量%である。
硬化物の熱伝導率を向上させるには、熱伝導性に優れるフィラーを高充填する必要がある。黒鉛粒子は一般的に高い熱伝導性を示す。熱伝導性に優れるエポキシ樹脂硬化物を得るには、黒鉛粒子の熱伝導率は少なくとも1方向において150W/m・K以上であることが好ましい。
黒鉛粒子の平均粒子径は10〜300μmである。平均粒子径が10μmを下回ると黒鉛粒子が凝集し易くなることから、樹脂に均一に分散するのが困難となり、熱伝導性に優れる硬化物を得るのが困難になる。平均粒子径が300μmを超えると、黒鉛粒子が樹脂へ充填され難くなって分散性が低下する事になり、熱伝導性の低下が大きくなる。好ましくは20〜200μmである。なお、本件でいう「平均粒子径」については、レーザー回折式粒度分布測定装置の粒度測定計において算出されたD50(累積50体積%径)の値で表される平均粒子径として定義されるものである。
黒鉛粒子として特に限定は無いが、好ましい具体例として天然黒鉛として塊状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛等が挙げられ、人造黒鉛として熱分解黒鉛等が挙げられる。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂について述べる。
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂をすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4' −ビフェノール、3,3',5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類から得られる共縮合樹脂のエポキシ化物、クレゾール類とホルムアルデヒドとアルコキシ基置換ナフタレン類から得られる共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から得られるフェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から得られるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記の中でも、下記一般式(1)又は(2)で表されるエポキシ樹脂が熱伝導性および流動性向上の観点から好ましい。
Figure 2020164592
〔式(1)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、Gは、グリシジル基であり、mは0から10の数を示す。〕
Figure 2020164592
〔式(2)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Gは、グリシジル基であり、nは1〜20の数を示す。〕
一般式(1)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂は、低粘度性に優れることから、黒鉛粒子を高充填化することが可能となり、熱伝導性向上が期待できる。また、低粘度性に起因して流動性向上も期待できる。特に、Aが-O-で表される化合物が樹脂自体の熱伝導性にも優れ好ましい。また、mは0から10の数であるが、0〜5であると低粘度性に優れ、熱伝導性および流動性向上が期待できるため好ましい。mの平均数(数平均)は、0.5〜4.0である。
一般式(2)で表される多官能エポキシ樹脂は狭分散エポキシ樹脂であることが好ましい。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した面積%でn=1成分が15%以下であり、n=2及びn=3成分の合計が50%以上であり、Mw/Mnが1.5以下である。低分子量のn=2及びn=3成分が主成分であるため、低粘度性に優れ、熱伝導性および流動性向上が期待できる。nの平均数(数平均)は1.5〜3.5である。
本発明に用いるエポキシ樹脂の150℃での溶融粘度は、エポキシ樹脂組成物とする際の混練性、成形時のエポキシ樹脂組成物の流動性向上の観点より、0.001〜1.0Pa・sの範囲とする。黒鉛粒子を高充填させるためには、0.001〜0.1Pa・sの範囲が好ましく、より好ましくは0.001〜0.01Pa・sの範囲である。これより溶融粘度が高い場合、混練性、流動性、成形性等の低下を生じる傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、黒鉛粒子を含有し、かつ、エポキシ樹脂と、硬化剤を必須成分とする。
硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として一般的な多価フェノール類、ジシアンジアミド、芳香族及び脂肪族アミン類、酸無水物類等が使用できる。この中でも多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
多価フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビフェノール類、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類、更にはトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等に代表される3価以上のフェノール類、更にはフェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4' −ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジメトキシメチルビフェニル類、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル類等の架橋剤との反応により合成される多価フェノール性化合物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から得られるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類等が挙げられる。
上記の中でも、下記一般式(3)又は(4)で表される多価ヒドロキシ化合物が熱伝導性向上の観点から好ましい。
Figure 2020164592
〔式(3)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜20の数を示す。〕
Figure 2020164592
〔式(4)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合である。〕
一般式(3)で表される多価ヒドロキシ化合物を用いた場合、硬化物の架橋密度が上昇し、成形物の配向度が高くなり熱伝導性向上が期待できる。
一般式(4)で表されるビスフェノール化合物は、低粘度性に優れることから、黒鉛粒子を高充填化することが可能となり、熱伝導性向上が期待できる。また、低粘度性に起因して流動性向上も期待できる。
アミン系硬化剤の具体例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルポリアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられるが、好ましくは芳香族ジアミン類であり、例えば、テトラクロロ‐p‐キシレンジアミン、m‐キシレンジアミン、p‐キシレンジアミン、m‐フェニレンジアミン、p‐フェニレンジアミン、4,4' −ジアミノジフェニルメタン、4,4' −ジアミノ‐1,2 −ジフェニルエタン、4,4' −ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’‐ビス(4‐アミノフェニル)‐p‐ジイソプロピルベンゼン等を挙げることができる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3' ,4,4' −ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、3,3' ,4,4' −ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤の官能基(多価フェノール類の場合は水酸基)との当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、通常、0.2から5.0の範囲であり、好ましくは0.5から2.0の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜1.5の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記必須成分の他に、他の添加剤等を加えることができる
黒鉛粒子とともに、本発明の効果を阻害しない限り、その他の無機充填材を併用して配合することもできる。この場合、無機充填材としては、例えば、黒鉛化短繊維、球状若しくは破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、又は水和アルミナ等が挙げられる。これら他の無機充填材を配合する場合であっても、その含有量は、組成物中において、好ましくは30重量%未満、より好ましくは10重量%未満である。
これら他の無機充填材は、黒鉛粒子の効果を阻害しないために、熱伝導率が高いものほど好ましい。好ましくは20W/m・K以上、より好ましくは50W/m・K以上である。
この様な熱伝導率を有する無機充填材の例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉末充填材等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。
顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤に一部又は全部を溶解させたワニス状態(ワニスという。)として使用することもできる。黒鉛粒子などは、それを溶解させる必要はないが、懸濁状態にして、可及的に均一の溶液とすることが望ましい。樹脂組成物中のエポキシ樹脂は全部を溶解させることが望ましい。ワニス中のエポキシ樹脂の一部が固形物となって分離すると、これの硬化物の特性が劣るものとなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、黒鉛粒子等の必須成分を配合し、有利には樹脂分を溶剤に溶解させた状態の組成物(ワニス)とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー系のポリエステル不織布等の繊維状の基材に含浸させ、その後に溶剤除去を行うことにより、エポキシ樹脂組成物と繊維状の基材を複合化したプリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に上記ワニスを塗布することにより積層物とすることができる。また、上記プリプレグを複数積層することにより、プリプレグと上記シート状物を積層することによっても、積層物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は低吸湿性、高耐熱性、密着性、難燃性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例の樹脂組成物を得るために使用した原料とその略号は以下の通りである。
1.エポキシ樹脂
エポキシ樹脂A:4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルのグルシジルエーテル化物(YSLV−80DE 日鉄ケミカル&マテリアル製、エポキシ当量163g/eq.、150℃での溶融粘度0.008Pa・s)
エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−128 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量190g/eq.、150℃での溶融粘度0.02Pa・s)
エポキシ樹脂C:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF−170 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量170g/eq.、150℃での溶融粘度0.002Pa・s)
エポキシ樹脂D:フェノールノボラックのグルシジルエーテル化物(YDPN−6300 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量174g/eq.、150℃での溶融粘度0.03Pa・s)
エポキシ樹脂E:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−011 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量475g/eq.、150℃での溶融粘度1.8Pa・s)
2.硬化剤
硬化剤A:フェノールノボラックBRG−555(アイカ工業製、OH当量105g/eq.)
硬化剤B:4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(東京化成工業製試薬、OH当量101g/eq.)
3.充填剤
黒鉛粒子:平均粒子径20μm、熱伝導率200W/m・K
4.硬化促進剤
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(東京化成工業製試薬)
実施例1〜6、比較例1、2
上記で示した原料を用いて、表1に示す配合量で混練してエポキシ樹脂組成物を調整した。表中の数値は配合における重量部を示す。エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は全て、エポキシ樹脂/硬化剤の官能基が当量比で1.0とした。
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物の試験条件を次に示す。
1)エポキシ当量
エポキシ樹脂A〜Eのそれぞれについて、溶剤としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いて測定した。
2)溶融粘度
BROOKFIELD製、CAP2000H型回転粘度計を用いて、エポキシ樹脂A〜Eのそれぞれについて、150℃にて測定した。
3)スパイラルフロー
規格(EMMI−1−66)に準拠したスパイラルフロー測定用金型でエポキシ樹脂組成物をスパイラルフローの注入圧力(150Kgf/cm)、硬化温度170℃、硬化時間3分の条件で成形して流動長を調べた。
4)成形性
エポキシ樹脂組成物を150Kgf/cmの圧力で成形し、170℃、3分の条件で硬化させ成形物(硬化物)を得た。成形物の表面状態を目視により、〇、△、×の3段階で評価した。
〇:凹凸がなく光沢あり、△:所々に凹凸があるものの光沢あり、×:凹凸があり光沢なし
5)ガラス転移点(Tg)
熱機械的分析装置(TMA測定装置、セイコーインスツル製)を用い、上記成形物(硬化物)を圧縮モードにおいて、200ml/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温、スキャンすることにより求めた。
6)融点
示差走査熱量分析装置(DSC測定装置、セイコーインスツル製)を用い、50ml/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温、スキャンし、上記成形物(硬化物)の結晶の融点に基づく吸熱ピークにより求めた。
7)熱伝導率
上記成形物(硬化物)の熱伝導率は、NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
Figure 2020164592

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤及び黒鉛粒子を必須成分として含むエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、その150℃での溶融粘度が0.001〜1.0Pa・sであり、黒鉛粒子の含有率が60〜95重量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. エポキシ樹脂が、下記一般式(1)又は(2)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2020164592
    〔式(1)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、Gは、グリシジル基であり、mは0から10の数を示す。〕
    Figure 2020164592
    〔式(2)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Gは、グリシジル基であり、nは1〜20の数を示す。〕
  3. 硬化剤が、下記一般式(3)又は(4)で表される多価ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2020164592
    〔式(3)において、Rは、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜20の数を示す。〕
    Figure 2020164592
    〔式(4)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Aは、-C(CH3)2-、-CH2-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合である。〕
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものであることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物。
  5. 前記エポキシ樹脂硬化物が、LED用放熱部材に用いられることを特徴とする請求項4に記載のエポキシ樹脂硬化物。
  6. 前記LED用放熱部材が、LED用ヒートシンクであることを特徴とする請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化物。
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