JP2005129507A - 燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末および燃料電池セパレータ - Google Patents

燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末および燃料電池セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】 成形加工性に優れる黒鉛質粉末と、その黒鉛質粉末から得られる比抵抗が低く、ガス遮断性にも優れる燃料電池セパレータを提供する。
【解決手段】 黒鉛粉末の表面に、該黒鉛粉末より平均粒子径の小さいシリカ、アルミナあるいは酸化チタン等の無機粉末および/またはカーボンブラック等のナノ炭素粒子を、前記黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜10質量部付着させてなる黒鉛質粉末と結合剤とを混合した混合物を、モールド成形法により成形して燃料電池用のセパレータを成形する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池セパレータの材料として用いられる黒鉛質粉末およびこれを用いた燃料電池セパレータに関するものである。
燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を発生するため、発電効率が高く、有害ガスや汚染物質の発生量が少ないという優れた特性があり、大規模発電やコージェネレーションシステム、自動車用電源など、幅広い分野における電源装置としてその将来が期待されている。この燃料電池は、水素や酸素を供給する2つのセパレータと2つの電極(燃焼極と空気極)および電解質膜(イオン交換膜)をサンドイッチのように積層して1つの単セルを形成し、この単セルを、セパレータを介して数十から数百個直列につないで燃料電池スタックとしたものが一般的である。
燃料電池は、用いる電解質の種類により、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型などに分類され、それぞれの特性を活かした開発が進められている。これらの燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池は、発電温度が80〜100℃と低く、電池本体の小型・軽量化が可能で、立上げが速く、燃料効率、出力密度が高いなどの優れた特性を有する。そのため、電気自動車の搭載用電源や家庭用、携帯用などの小規模発電装置、可搬用の発電装置などとして注目されている。
この固体高分子型燃料電池は、電解質として、主にパーフルオロカーボンスルフォン酸(PFSA)イオン交換膜が用いられている。また、セパレータは、燃料ガスと酸化性ガスを分離するための境界としての機能と、単位セル間の電気導体としての機能が要求されることから、優れたガス遮断性や高い熱伝導性を有すると共に、比抵抗が低く、作動温度における優れた耐熱性や機械的強度を有することが要求される。そのため、従来、セパレータとしては、人造黒鉛を機械加工したもの、または、チタン、ステンレスなどの金属材料を機械加工したものなどが検討されている。
しかしながら、人造黒鉛を機械加工したセパレータは、比抵抗は低いものの、ガス遮断性が不十分であり、また非常に高価であるという問題がある。また、金属材料を機械加工したセパレータは、金属板が高温で酸化性の雰囲気に曝されるため、長期間の使用により酸化される可能性があり、また、人造黒鉛と同様に高価であるという問題があった。そのため、それぞれの分野で、これらの問題点を解決するための技術開発が行われている。例えば、黒鉛をセパレータに用いる技術の場合、特許文献1には、人造黒鉛または天然黒鉛の粉末に熱硬化性樹脂を配合して成形した固体高分子型燃料電池セパレータが、また、特許文献2には、メソフェーズ粉と熱硬化性樹脂からなるリン酸型燃料電池用セパレータが開示されている。さらに、特許文献3には、黒鉛粉末、結合剤としての熱硬化性樹脂および球状シリカを同時に混合させた熱硬化性樹脂成形材料を用いることにより、成形性や導電性に優れる燃料電池セパレータが得られることが報告されている。
特開平10−334927号公報 特公平06−092269号公報 特開2001−335695号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたセパレータは、ガス遮断性や酸化の問題はある程度改善されるものの、比抵抗が高いという問題がある。その理由は、黒鉛粉末と熱硬化性樹脂を混合した配合物は、粘性が高くて流動性が低く、セパレータ加工時の成形加工性に劣るので、熱硬化性樹脂の比率を20〜60容量%と高くする必要があるからである。そこで、比抵抗を低減するために、金属粉未を配合しているが、これにより酸化が避けられないという別の問題が発生する。一方、特許文献2に開示された技術は、メソフェーズ粉:5〜70重量%、熱硬化性樹脂:30〜95重量%からなる樹脂分の多い配合物を使用しているため、成形加工時の流動性が高く、成形加工性に優れるものの、比抵抗が高いという問題があり、この問題を回避するために成形物の焼成、黒鉛化を行う必要がある。しかし、成形物に熱処理を施すことは、収縮による寸法精度の劣化を引き起こす他、生産効率の低下や製造コストの上昇を招くという問題がある。また、特許文献3の技術では、黒鉛粉末と結合剤を混合する際にシリカ粉末も同時に添加している。そのため、結合剤として液状の熱硬化性樹脂を使用した場合には、熱硬化性樹脂に対する黒鉛とシリカの分散性の違いによって混練性が著しく低下して均一な成形原料が得られず、成形加工性が劣るという問題がある。
本発明の目的は、成形加工性に優れると共に、比抵抗が低く、ガス遮断性に優れた燃料電池セパレータを得ることができる燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末と、その黒鉛質粉末から得られる燃料電池セパレータを提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するために、燃料電池セパレータの材料として各種の黒鉛粉末を用い、これに結合剤(バインダ)である熱硬化性樹脂を混合した混合物をセパレータに成形加工し、成形加工性およびセパレータが有する特性について鋭意検討を行った。その結果、ある種の無機粉末および/またはナノ炭素粒子を黒鉛粉末の表面に付着した黒鉛質粉末をセパレータの材料に用いた場合には、熱硬化性樹脂との混合物の流動性が向上し、成形加工性が大幅に改善されることを見出した。また、その黒鉛質粉末を用いて成形されたセパレータは、ガス遮断性に優れ、比抵抗も低いという性能も満たすことを確認し、本発明を完成するに至った。
上記知見に基き開発された本発明は、黒鉛粉末の表面に、該黒鉛粉末より平均粒子径の小さい無機粉末およびナノ炭素粒子のうちの1種または2種を付着させてなることを特徴とする燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末である。
本発明における上記無機粉末は、シリカ、アルミナあるいは酸化チタンのうちの1種または2種以上であることが好ましい。また、本発明におけるナノ炭素粒子は、カーボンブラックであることが好ましい
また、本発明における上記無機粉末および/またはナノ炭素粒子の付着量は、前記黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、本発明における上記黒鉛粉末は、アスペクト比が3以下のものであることが好ましい。
また、本発明は、上記の黒鉛質粉末と結合剤との混合物を、モールド成形法により成形してなることを特徴とする燃料電池セパレータである。
本発明によれば、適正な大きさと量の無機粉末およびナノ炭素粒子のうちの1種または2種を黒鉛粉末の表面に付着させることにより、結合剤との混合物の流動性がよく、成形加工性にも優れる黒鉛質粉末を得ることができる。また、本発明の上記黒鉛質粉末を用いた燃料電池セパレータは、嵩密度が高くて比抵抗が低く、しかもガス遮断性にも優れるという特性を有する。しかも、このセパレータは、成形後の黒鉛化処理が不要であるため、簡易な設備により低コストで生産性よく提供することができる。
燃料電池セパレータの原材料として用いる黒鉛粉末は、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、メソフェーズカーボンを黒鉛化した黒鉛粉末(以降、「黒鉛化物」と称す)、あるいはこれらを混合した黒鉛粉末など、いずれを用いてもよい。天然黒鉛粉末は、天然に産出する黒鉛の粉末で、人造黒鉛粉末よりも黒鉛化が進んだ鱗片状の粉末である。天然黒鉛の産地としては、オーストリア、スイス、中国などがあるが、本発明では、天然黒鉛の産地を特に限定する必要はない。また、人造黒鉛粉末は、例えばコークス類を2500〜4000℃で加熱処理して得られる黒鉛の粉末であり、粉砕前は塊状であるが、粉砕または切削等により鱗片状の粉末となる。本発明では、人造黒鉛の製造方法には特に制限はない。また、メソフェーズカーボンの黒鉛化物は、石炭系あるいは石油系のピッチを熱処理して生成したバルク状の炭素化物、またはバルク状になる前のピッチマトリックス中に生成する光学的異方性を示す小球体を抽出・ろ過または遠心分離により回収した球状炭素化物を、炭化、黒鉛化、粉砕・分級処理等して得られたものである。メソフェーズカーボンの黒鉛化物の製造方法に特に制限はなく、粉砕・分級処理は、炭化の前後あるいは黒鉛化の前後のいずれで行ってもよい。
なお、上記の黒鉛粉末としては、成形加工機あるいは金型に充填する際の均一性を確保し、また、嵩密度を高め、結合剤の分散性を高める観点からは、球状に近い形状の粒子であることが好ましい。本発明において、球状に近い形状の粒子とは、アスペクト比(長軸方向長さ/長軸に直交する短軸方向長さ)が3以下のものを言い、表面に凹凸を有していてもよい。球状に近い形状の黒鉛粉末の具体例としては、メソフェーズカーボン、あるいはその粉砕品の黒鉛化物が挙げられ、天然黒鉛粉末あるいは人造黒鉛粉末を造粒することによって得ることもできる。上記造粒原料としては、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、メソフェーズカーボンあるいはその粉砕品の黒鉛化物などを任意に混合したものを用いることもできる。また、上記黒鉛粉末の平均粒子径は5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜150μmである。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した累積度数が体積分率で50%となる粒子径のことである。
本発明の黒鉛質粉末は、上記の黒鉛粉末の表面に、以下に説明する無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着させたものである。この付着は、無機粉末および/またはナノ炭素粒子の一部を黒鉛粉末の表面に埋設させたものであることが好ましい。無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着させる理由は、燃料電池セパレータを成形する際に黒鉛粉末に添加される結合剤との混和性が向上し、流動性が向上する結果、黒鉛粉末と結合剤との混合物の成形加工性が改善され、添加する結合剤の量も少なくてすむからである。さらに、成形体内部の気孔の発生が抑えられて嵩密度が上がる結果、黒鉛粉末同士の接触頻度が上がって電気伝導性が向上し、比抵抗が低下するうえ、黒鉛粉末同士の密着性が向上することで、成形体のガス遮断性が向上するという効果も得られる。また、本発明の黒鉛質粉末は、結合剤を添加する以前の段階で予め黒鉛粉末の表面に無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着してあるので、特許文献3の技術のように、樹脂の性状(液体、固体)に影響されることなく、優れた成形加工性を得ることができる。
黒鉛粉末に付着させる無機粉末および/またはナノ炭素粒子は、黒鉛粉末より小さい平均粒子径のものであるこのが好ましく、さらには、黒鉛粉末の最小径よりも無機粉末および/またはナノ炭素粒子径の最大径の方が小さいことがより好ましい。無機粉末および/またはナノ炭素粒子の平均粒子径が、黒鉛粉末の平均粒子径以上では、黒鉛粒子の表面に付着させることが困難となるからである。平均粒子径の測定は、黒鉛粉末に無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着させる前に、それぞれの粒子について行ってもよいし、付着させた後の黒鉛粒子を走査型顕微鏡で観察して、黒鉛粉末とそれに付着した無機粉末および/またはナノ炭素粒子のそれぞれについて行ってもよい。また、無機粉末および/またはナノ炭素粒子は、導電性(比抵抗)に寄与するものであっても、寄与しないものであってもよい。無機粉末としては、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属棚化物、金属炭化物などが例示されるが、入手のし易さから金属酸化物が好ましい。より具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、あるいは、酸化カリウム、酸化セリウム、酸化カルシウムなどを挙げることができる。また、ナノ炭素粒子としては、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー等が例示され、特に、導電性に優れるカーボンブラックが好ましい。ただし、結合剤である熱硬化性樹脂との混和性を高めるためには、親水性および/または疎水性を有する無機粉末および/またはナノ炭素粒子が望ましく、この観点からは、無機粉末としては、シリカ、アルミナおよび酸化チタンのうちの1種または2種以上、ナノ炭素粒子としてはカーボンブラックを用いることが好ましい。なお、シリカ、アルミナおよび酸化チタンは、気相法によって製造されたものが好ましく、シリカは無水のものが好ましい。
上記無機粉末および/またはナノ炭素粒子を黒鉛粉末に付着させる量は、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、メソフェーズカーボンの黒鉛化物あるいはこれらを混合した黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満では、結合剤との混和性の向上効果が不十分であり、一方、10質量部を超えると、黒鉛粉末同士の接触頻度の減少により電気伝導性が低下するほか、成形加工機や金型へ充填する際の嵩密度を低下させるので好ましくない。好ましい無機粉末および/またはナノ炭素粒子の含有量は、0.2〜5質量部である。
また、上記無機粉末および/またはナノ炭素粒子の大きさは、平均粒子径が黒鉛粉末より小さいものであればよく、特に平均粒子径が0.001μm以上であれば上述した効果を確実に得ることができる。ただし、平均粒子径が1μmより大きくなると、無機粉末および/またはナノ炭素粒子と、それを付着させる黒鉛粉末との平均粒子径の差が小さくなるため好ましくない。したがって、無機粉末および/またはナノ炭素粒子の好ましい平均粒子径は0.001〜1μm、より好ましくは0.01〜0.2μmである。なお、無機粉末および/またはナノ炭素粒子は、凝集体を形成している場合があるが、上記平均粒子径は、凝集体の平均粒子径ではなく、一次粒子径の平均粒子径を意味する。特に、平均粒子径が0.1μm以下の無機粉末および/またはナノ炭素粒子は、凝集体を形成するため、レーザー回折式粒度分布計では正しく評価できないことがある。その場合、走査型電子顕微鏡で観察した20個の粒子の一次粒子径の平均値を平均粒子径とする。
次に、本発明に係る燃料電池セパレータを製造する方法について説明する。
燃料電池セパレータの成形材料としては、上述した天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、メソフェーズカーボンの黒鉛化物などの黒鉛粉末表面に、上記無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着した黒鉛質粉末を用いる。黒鉛粉末に付着させる無機粉末および/またはナノ炭素粒子の量は、黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは、0.2〜5質量部である。黒鉛粉末の表面に無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着(埋設)させる方法としては、乾式法あるいは湿式法のいずれの方法を用いてもよい。また、このための装置としては、攪拌羽根式、噴霧式等、一般に用いられている混合、造粒、表面改質装置を用いることができる。中でも被処理物に、圧縮力と剪断力とを同時に繰り返し掛けることができる粒子複合化装置(例えば、メカノフュージョンシステム)を用いれば、無機粉末および/またはナノ炭素粒子をより確実に表面に付着させ、また、その一部を表面に埋設することができるので好ましい。また、無機粉末および/またはナノ炭素粒子を表面に付着した黒鉛質粉末は、さらに均一となるように混合することが好ましい。なお、このようにして無機粉末および/またはナノ炭素粒子を黒鉛粉末の表面に付着させても、無機粉末および/またはナノ炭素粒子の平均粒子径は特に変化することはない。
続いて、無機粉末および/またはナノ炭素粒子が表面に付着した黒鉛質粉末を燃料電池のセパレータに成形加工するに際しては、上記黒鉛質粉末に結合剤(バインダ)を添加、混合する。上記結合剤には、熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、例えば、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびポリイミド樹脂などから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらの樹脂は、液体、固体のいずれであってもよい。特にフェノール樹脂は、取り扱い易く安価である他、得られるセパレータの寸法精度と機械的強度が優れているため好適である。
上記結合剤の混合量は、黒鉛粉末に無機粉末および/またはナノ炭素粒子を付着させた黒鉛質粉末100質量部に対して3〜30質量部とするのが好ましい。結合剤の混合量が3質量部未満の場合には、該混合物の流動性が不十分であるため、成形体内部に気孔が発生し易く、ガス遮断性に優れた燃料電池セパレータが得られない虞がある。また、結着力が不十分なため、強度が低い成形体となる場合がある。一方、30質量部を超える場合には、樹脂の比率が多くなるため、比抵抗が大きくなる傾向にある。好ましい混合量は、5〜20質量部である。
燃料電池用セパレータの成形法としては、例えば、プレス成形法や射出成形法等のモールド成形法が有利に適合する。プレス成形法を用いる場合は、本発明に係る黒鉛質粉末に、上述した結合剤の1種または2種以上を混合した混合物をプレス成形機に供給する。この場合、結合剤を混合する際に必要に応じて溶剤を加えたり、あるいは成形加工性をさらに改善するために、金型に供給する前に混合物を加熱し予備硬化して流動性を調整したりすることが好ましい。プレス成形の条件は、結合剤として使用する熱硬化性樹脂によっても異なるが、加圧成形時の金型の加熱温度は130〜220℃、プレス圧力は200N/cm2(2MPa)以上であることが好ましい。
また、射出成形法を用いる場合には、本発明に係る黒鉛質粉末に、結合剤を1種または2種以上混合した混合物を射出成形機に供給する。成形条件としては、100〜140℃の温度で混合した後、射出成形を行うことが好ましく、この際の金型温度は、樹脂を硬化させるために、40〜200℃に加熱しておくことが好ましい。
なお、上記のようにして得たセパレータは、プレス成形や射出成形のままでも優れた電気伝導性(低比抵抗)を有しているため、従来技術で行っていたような成形後の焼成や黒鉛化処理を行う必要がない。因みに本発明において、電気伝導性に優れるとは、比抵抗にして10mΩ・cm以下を意味し、本発明では上記の値以下の比抵抗を有するセパレータを得ることを目標とする。
表1に示したように、平均粒子径、アスペクト比が異なる種々のメソフェーズカーボン小球体を黒鉛化した黒鉛粉末および人造黒鉛の黒鉛粉末100質量部に対して、平均粒子径、付着量を変えた種々の無機粉末および/またはナノ炭素粒子を混合し、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)社製)を用いて処理を行い、No.1〜15の燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末を得た。走査型電子顕微鏡を用いて、これらの黒鉛質粉末の表面を確認したところ、全ての黒鉛質粉末に、それより平均粒子径の小さい無機粉末および/またはナノ炭素粒子が付着していることが確認された。
なおここで、試験に用いた人造黒鉛粉末、無機粉末およびナノ炭素粒子は以下のものである。
・人造黒鉛:日本黒鉛工業(株)製 SP−10
・無水シリカA:日本アエロジル(株)製 AEROSIL−50 平均粒子径=0.03μm
・無水シリカB:扶桑化学工業(株)製 クォートロンSP-0.3B 平均粒子径=0.2μm
・無水シリカC:扶桑化学工業(株)製 クォートロンSP-1B 平均粒子径=1.0μm
・無水アルミナ:日本アエロジル(株)製 AEROSIL−Al2O3C 平均粒子径=0.01μm
・無水酸化チタン:日本アエロジル(株)製 AEROSIL−P25 平均粒子径=0.02μm
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製 トーカフ゛ラック#4400 平均粒子径=0.03μm
また、平均粒子径およびアスペクト比の測定は、以下の方法で行った。
・平均粒子径:平均粒子径が0.1μm超の場合は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した累積度数が体積分率で50%となる粒子径を平均粒子径とした。また、平均粒子径が0.1μm以下の場合は、走査型電子顕微鏡で観察した20個の粒子の一次粒子径の平均値を平均粒子径とした。
・アスペクト比:100個の黒鉛粉末を、走査型電子顕微鏡を用いて形状が認識できる倍率で撮影した写真を、(株)マウンテック製粒子形状解析システムでアスペクト比を求め、その平均値をアスペクト比とした。
得られた黒鉛質粉末No.1〜15の各80質量部に対して、粘性係数0.7Pa・s(20℃)の液状レゾール系フェノール樹脂20質量部を混合し、均一化した後、離型紙上に塗布して一晩放置して乾燥し、解砕した粉末について、80℃における粘性係数をフローテスター(島津製作所社製 FT-500)を用いて測定した。次に、上記黒鉛質粉末No.1〜15の各80質量部に対して、固体のフェノール樹脂 20質量部を均一に混合した後、離型紙上に塗布し、一晩放置して乾燥し、得られた乾燥物を100℃×90分間加熱して予備硬化した後、解砕し、得られた粉末を金型に供給し、金型温度160℃、プレス圧力700N/cm2(7MPa)の条件でプレス成形し、厚さ:2mm、幅:200mm、長さ:200mmの成形体を製造した。得られた成形体について、嵩密度、比抵抗、ガス透過量を以下に示す方法で測定した。なお、比較例として、メソフェーズカーボン小球体を黒鉛化した黒鉛粉末(平均粒子径:15μm、アスペクト比:1.7)および人造黒鉛粉末(平均粒子径:10μm、アスペクト比:4.6)を、そのまま燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末として用いた場合(No.16,17)についても、上記と同様の測定を行った。
・嵩密度:黒鉛質粉末成形体の重量(質量)をその体積で除して求めた。
・比抵抗:JIS−K7194−1994の方法に従い、電気比抵抗測定装置を用いて測定した。
・ガス透過量:ガス透過量測定装置を用い、黒鉛質成形体(薄板)の片面側から圧力:0.098MPa(ゲージ圧)(=1kgf/cm2・G)で窒素を供給し、窒素の透過量を測定した。
上記の測定結果を表1に併せて示した。本発明に従って得た黒鉛質粉末No.1〜15はいずれも粘性係数が低くて流動性が良好であり、成形加工性に優れている。さらに、これらを用いた成形体はいずれも嵩密度が高くて、比抵抗が10mΩ・cm以下と低く、ガス透過量が少なく、ガス遮断性も優れていることがわかる。一方、比較例の黒鉛質粉末No.16および17は、粘性係数が極めて高くて測定が不可能であり、成形加工性が劣る。しかも、この黒鉛質粉末を用いた成形体は嵩密度が低く、比抵抗も10mΩ・cm以下の目標を達成できていない。
Figure 2005129507

本発明の技術は、燃料電池セパレータに限らず、導電性樹脂材料、導電性塗料などの製造技術にも好適に適用できる。

Claims (5)

  1. 黒鉛粉末の表面に、該黒鉛粉末より平均粒子径の小さい無機粉末およびナノ炭素粒子のうちの1種または2種を付着させてなることを特徴とする燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末。
  2. 前記無機粉末は、シリカ、アルミナあるいは酸化チタンのうちの1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末。
  3. 前記ナノ炭素粒子は、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末。
  4. 前記無機粉末および/またはナノ炭素粒子の付着量は、前記黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の黒鉛質粉末と結合剤との混合物を、モールド成形法により成形してなることを特徴とする燃料電池セパレータ。

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