JP2005336478A - 硬化性組成物、その硬化物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物にフッ素原子が結合した化合物(A)及び炭素質材料(B)を少なくとも含む硬化性組成物である。さらに、炭素ー炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物(C)と反応性モノマーを含む硬化性組成物が好ましい。炭素質材料(B)は、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノチュ−ブから選ばれた1種または2種以上の組み合わせが好ましい。
【選択図】なし
Description
〔2〕 更に、炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物(C)を含む〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔3〕 更に(D)反応性モノマーを含む〔1〕または〔2〕に記載の硬化性組成物。
〔5〕 側鎖に炭素−炭素二重結合を有する重合体が、主鎖は飽和しているモノマー単位を60モル%以上含有する〔4〕に記載の硬化性組成物。
〔6〕 側鎖に炭素−炭素二重結合を有し、主鎖は飽和しているモノマー単位を60モル%以上含有する重合体が、ジエン化合物を主モノマーとして重合されたものである〔5〕に記載の硬化性組成物。
〔8〕 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物が、1,2−ポリブタジエン及び/または3,4−ポリイソプレンである〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔9〕 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物が、下記式(1)または式(2):
〔11〕 炭素質材料(B)が、その嵩密度が1g/cm3となるように加圧された状態において、加圧方向に対して直角方向の粉末電気比抵抗が0.1Ωcm以下であるものである〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔12〕 炭素質材料(B)が0.05〜10質量%のホウ素を含有する〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔14〕 硬化物のガラス転位温度が160℃以上、JIS K 6911による曲げ強度が30MPa以上である〔13〕に記載の耐熱水性導電性硬化物。
〔15〕 30mm×30mm×3mmの試験片を180℃、168時間で耐熱水性試験を行ったときの質量変化率が、−1.5〜+1.5%である〔13〕または〔14〕に記載の耐熱水性導電性硬化物。
〔17〕 〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化、成形して得られる両面または片面にガスを流すための流路が形成された燃料電池用セパレータ。
〔18〕 ガラス転位温度が160℃以上、JIS K 6911における曲げ強度が30MPa以上であって、且つ30mm×30mm×3mmの試料片を180℃、168時間で耐熱水性試験を行ったときの質量変化率が、−1.5〜+1.5%である〔17〕に記載の燃料電池用セパレータ。
〔20〕 圧縮成形、トランスファー成形、射出成形または射出圧縮成形のいずれかの方法により製造された〔17〕に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
〔21〕 〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性組成物からなる燃料電池セパレータ用硬化性組成物。
本発明の硬化性組成物は、炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物にフッ素原子が結合した化合物(A)と、炭素質材料(B)とを少なくとも含む。ここで「フッ素原子が結合した」とは、フッ素原子が炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物の、炭素−炭素二重結合部へ付加された状態、またはフッ素原子が、該炭化水素化合物の水素原子(炭素−炭素二重結合部の水素原子であっても、他の水素原子であっても良い)と置換された状態を意味する。
本発明における炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物は、炭素と水素を基本の構成元素とする化合物であるが、酸素、窒素原子を含んでいても構わない。但し、熱水による加水分解を避けるため、エステル結合やウレタン結合、アミド結合を有する構造は極力少ない化合物が好ましい。当該化合物が重合体である場合には、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合の(合計)結合数は、モノマー単位の総数の5%以内が望ましい。
また、側鎖に炭素−炭素二重結合を有し、主鎖は飽和しているモノマー単位を60モル%以上含有する重合体は、先に記載したジエン化合物(ブタジエン、ペンタジエン、イソプレン等)を主モノマー(原料となるモノマー中の50モル%以上を占めるモノマー)とする重合体が好ましい(本発明ではこのようなジエン化合物を主モノマーとする重合体を「ジエンポリマー」と称する場合がある)。このジエンポリマーは複数のジエン化合物モノマーの共重合体であってもよい。また、側鎖の炭素−炭素二重結合の一部が水添(水素添加により飽和炭素−炭素結合となる)されていてもよい。
本発明の炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物にフッ素原子が結合した化合物(以下「(A)成分」ということもある。)は、前記炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物をフッ素ガスと反応させることにより得ることができる。
本発明における炭素質材料(以下「(B)成分」ということもある。)としては、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ中から選ばれた1ないし2種類以上の組み合わせが挙げられる。
本発明の(B)炭素質材料の一例である上記人造黒鉛を得るためには、通常は先ずコークスを製造する。コークスの原料は石油系ピッチ、石炭系のピッチ等が用いられる。これらの原料を炭化してコークスとする。コークスから黒鉛化粉末にするには一般的にコークスを粉砕後黒鉛化処理する方法、コークス自体を黒鉛化した後粉砕する方法、あるいはコークスにバインダーを加え成形、焼成した焼成品(コークスおよびこの焼成品を合わせてコークス等という)を黒鉛化処理後粉砕して粉末とする方法等がある。原料のコークス等はできるだけ、結晶が発達していない方が良いので、2000℃以下、好ましくは1200℃以下で加熱処理したものが適する。
上記した膨張黒鉛粉末は、例えば、天然黒鉛、熱分解黒鉛等高度に結晶構造が発達した黒鉛を、濃硫酸と硝酸との混液、濃硫酸と過酸化水素水との混液の強酸化性の溶液に浸漬処理して黒鉛層間化合物を生成させ、水洗してから急速加熱して、黒鉛結晶のC軸方向を膨張処理することによって得られた粉末や、それを一度シート状に圧延したものを粉砕した粉末である。
上記した炭素繊維としては、重質油、副生油、コールタール等から作られるピッチ系と、ポリアクリロニトリルから作られるPAN系が挙げられる。
カーボンナノチューブとは、近年その機械的強度のみでなく、電界放出機能や、水素吸蔵機能が産業上注目され、更に磁気機能にも目が向けられ始めている。この種のカーボンナノチューブは、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバー等とも呼ばれている。カーボンナノチューブにはチューブを形成するグラファイト膜が一層である単層カーボンナノチューブと、多層である多層カーボンナノチューブがある。本発明では、単層および多層カーボンナノチューブのいずれも使用可能であるが、単層カーボンナノチューブを用いた方が、より高い導電性や機械的強度の硬化物が得られる傾向があるため好ましい。
本発明のカーボンブラックとしては、天然ガス等の不完全燃焼、アセチレンの熱分解により得られるケッチェンブラック、アセチレンブラック、炭化水素油や天然ガスの不完全燃焼により得られるファーネスカーボン、天然ガスの熱分解により得られるサーマルカーボン等が挙げられる。
また、本発明の(B)成分の炭素質材料に含まれるホウ素は、炭素質材料の全質量を基準として、炭素材料中に0.05〜10質量%含まれることが好ましい。ホウ素量が0.05質量%未満では、ホウ素含有の目的とする高導電性の黒鉛粉末が得られ難い傾向がある。他方、ホウ素量が10質量%を超えて含まれていても、炭素材料の導電性向上の改善効果は小さくなる傾向がある。炭素質材料に含まれるホウ素の量の測定方法は特に制限はなく、どのような測定方法でも測定できる。本発明では誘導型プラズマ発光分光分析法(以下、「ICP」と略す。)又は誘導型プラズマ発光分光質量分析法(以下、「ICP−MS」と略す。)により測定した値を用いる。具体的には試料に硫酸および硝酸を加え、マイクロ波加熱(230℃)して分解(ダイジェスター法)し、更に過塩素酸(HClO4)を加えて分解したものを水で希釈し、これをICP発光分析装置にかけて、ホウ素量を測定する。
本発明における(A)成分と(B)成分との質量比は、0.01:1〜4:1の割合であることが好ましい。より好ましくは、0.01:1〜1.5:1の割合である。(A)成分の質量比が(B)成分の4倍を超えると、硬化物の導電性が低くなる傾向があるため好ましくない。また、(A)成分の添加量が(B)成分の0.01倍未満になると、成形性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
本発明においては、(A)成分に加えて炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物(C)(以下「(C)成分」ということもある。)を配合してもよい。(C)成分を配合する場合は、(A)成分と(C)成分の質量の総和を、前記(A)成分の質量と読み替えて、フッ素原子含有量を前記範囲に調整することが好ましい。なお、下記(D)成分である反応性モノマーを使用する場合は、(A)成分、(C)成分及び(D)成分の総和を、上記の(A)成分と読み替えた質量比とする。
本発明の硬化性組成物は反応性モノマー(D)(以下「(D)成分」ということもある。)を含んでもよい。反応性モノマーとしては、特に制限はなく、種々のものが使用できる。例えば、ビニル基、アリル基等の不飽和二重結合を含有するラジカル反応性モノマーを反応速度のコントロール、粘度調整、架橋密度の向上、機能付加等を目的に添加することができる。ビニル基、アリル基等の不飽和二重結合を含有するラジカル反応性モノマーとしては不飽和脂肪酸エステル、芳香族ビニル化合物、飽和脂肪酸または芳香族カルボン酸のビニルエステルおよびその誘導体、架橋性多官能モノマー等が挙げられる。
上記した不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート等のアクリル酸芳香族エステル;フルオロメチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、α−シアノアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
また、上記した架橋性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ω−(メタ)アクリロイロキシピリエトキシ)フェニル)プロパン、等のジ(メタ)アクリレート;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジメタアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,4−キシレンジカルボン酸アリル、4,4’−ジフェニルジカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸ジアリル類;シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、等の二官能の架橋性モノマー;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストーリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート等の三官能の架橋性モノマー;ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレートのような四官能の架橋性モノマー等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、滑剤、増粘剤、架橋剤、架橋助剤、硬化開始剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、可塑剤、低収縮剤、チクソ剤、界面活性剤、溶剤、ガラスファイバー、無機繊維フィラー、有機繊維、紫外線安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、撥水剤、親水性付与剤等の添加剤を含んでもよい。
本発明における硬化性組成物は特に制限されないが、例えば、該硬化性組成物の製造方法において、上記した各成分をロール、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー等の樹脂分野で一般的に用いられている混合機、混練機を使用し、硬化が開始しない温度で一定に保ちながら、なるべく均一に混合させるのが好ましい。また、有機過酸化物を添加する場合は、その他の全ての成分を均一に混合してから、最後に有機過酸化物を加えて混合するのがよい。
得られた硬化性組成物は、厚み精度の良い硬化物を得るために、押出機、ロール、カレンダー等を用いて硬化が始まらない温度で所定の厚み、幅のシートに一度成形する。より厚みを精度良く成形するためには、押出機で成形後、ロールやカレンダーで圧延することが好ましい。シート中のボイドやエアーをなくすためには、真空状態で押出成形することが好ましい。
硬化の条件としては、組成物の種類に応じて最適温度を選定、探索することができる。例えば、120〜250℃の温度範囲で、30〜1800秒間という範囲で適宜決定することができる。また、硬化後、150〜250℃の温度範囲で10〜600分間アフターキュアーを施すことによって完全な硬化を実施し得る。アフターキュアーは5MPa以上に加圧して行うことによって製品の反りを抑制できる。
上記のようにして硬化された本発明の耐熱水性導電性硬化物は、ガラス転位温度(以下「Tg」ということもある。)が160℃以上であることが好ましい。より好ましくは170℃以上であり、更に好ましくは180℃以上である。Tgが160℃より低いと、得られた硬化物が充分な耐熱性を有し難くなる傾向がある。
本発明の耐熱水性導電性硬化物は、耐熱水性を高くできることが特徴である。耐熱水性の指標としては、例えば吸水率や質量変化率が挙げられる。これらは、JIS K 7202に準拠した方法で測定できる。
本発明における耐熱水性導電性硬化物は、0.1ppm以上のホウ素を含有することが好ましい。より好ましくは0.5ppm以上であり、更に好ましくは1ppm以上である。ホウ素の含有量が0.1ppm未満では、高い導電性が得られ難くなる傾向がある。ホウ素量の測定方法は炭素質材料(B)の場合と同様である。但し、ICP−MS法を用いる。
本発明の両面または片面にガスを流すための流路が形成された耐熱水性導電性成形体において、流通するガスとしては空気、酸素、水素、窒素、水蒸気等があげられる。またガスの流路の形状、サイズは成形体の用途や大きさにより適宜設定することができる。本発明の両面または片面にガスを流すための流路が形成された耐熱水性導電性成形体は、Tgが160℃以上であることが好ましい。より好ましくは170℃以上であり、更に好ましくは180℃以上である。Tgが160℃より低いと、得られた成形体が充分な耐熱性を有し難くなる傾向がある。
燃料電池セパレータの製造方法は特に制限されない。この製造方法の具体例としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、注型法、射出圧縮成形法が挙げられるが、これに限定するわけではない。より好ましくは、成形加工時に金型内あるいは金型全体を真空状態にして成形する。
<A−1>
1,2−ポリブタジエン(日本曹達(株)製 B−1000(分子量:1,000、1,2−結合:90%、45℃における粘度:1.0Pa・s))280gを1,000mlオートクレーブに仕込み、反応器内を窒素により置換した後、反応容器を30℃に維持し、フッ素/窒素混合ガス(フッ素濃度:7.0%)を3.0L/hの流量で導入した。反応器内の圧力は常圧に維持し、排気ラインより窒素、未反応のフッ素、および副生するフッ化水素を10%−ヨウ化カリウム水溶液を通した後、排出した。27時間反応を継続した後、反応器内を窒素により置換した。内容物をトルエン1000mlに溶解し、分液ロートを用いて水100mlで5回洗浄した。溶媒を減圧留去し、部分フッ素化1,2−ポリブタジエンを得た。部分フッ素化率は元素分析により算出した。部分フッ素化1,2−ポリブタジエン約10mgを精秤し、酸素フラスコ燃焼法にて酸素気流下で燃焼させた。発生ガスを純水で200mLに定容し、陰イオンクロマトグラフィー法にてフッ素量を測定した。得られた部分フッ素化1,2−ポリブタジエンのフッ素含有量は1.4%であった。
<B−1>:ホウ素含有黒鉛微紛
非針状コークスである新日鉄化学(株)製LPC−Sコークス(以下「コークスA」という。)をパルベライザー〔ホソカワミクロン(株)製〕で2mm〜3mm以下の大きさに粗粉砕した。この粗粉砕品をジェットミル(IDS2UR、日本ニューマチック(株)製)で微粉砕した。その後、分級により所望の粒径に調整した。5μm以下の粒子除去は、ターボクラシファイアー(TC15N、日清エンジニアリング(株)製)を用い、気流分級を行った。この調整した微粉砕品の一部14.4kgに炭化ホウ素(B4C)0.6kgを加え、ヘンシェルミキサーにて800rpmで5分間混合した。これを内径40cm、容積40リットルの蓋付き黒鉛ルツボに封入し、黒鉛ヒーターを用いた黒鉛化炉に入れてアルゴンガス雰囲気下2900℃の温度で黒鉛化した。これを放冷後、粉末を取り出し、14kgの粉末を得た。得られた黒鉛微粉は平均粒径20.5μm、B含有量1.3質量%であった。
コークスAをパルベライザーで2〜3mm以下の大きさに粗粉砕した。この粗粉砕品をジェットミルで微粉砕した。その後、分級により所望の粒径に調整した。5μm以下の粒子除去は、ターボクラシファイアーを用い、気流分級を行った。これを内径40cm、容積40リットルの蓋付き黒鉛ルツボに封入し、黒鉛ヒーターを用いた黒鉛化炉に入れて2900℃の温度で黒鉛化した。これを放冷後、粉末を取り出し黒鉛微粉を得た。得られた黒鉛微粉は平均粒径20.5μm、B含有量0wt%であった。
気相法炭素繊維(以下、「VGCF」と略す。昭和電工登録商標。)は、昭和電工(株)製 VGCF−G(繊維径0.1〜0.3μm、繊維長10〜50μm)を用いた。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略す。)は以下の方法で得た。
<C−1>
1,2−ポリブタジエン:JSR(株)製 RB−810(150℃、21.2Nにおけるメルトインデックス:3g/10min.、1,2−結合:90%)
末端変性ポリブタジエン:日本曹達(株)製 TE−2000(末端メタクリル変性品、50℃における粘度:54.9Pa・s、1,2−結合:90%以上)
<D−1>
ジビニルベンゼン:新日鐵化学(株)製 DVB−960(ジビニルベンゼン含有率95〜97%品)
スチレン:和光純薬工業(株)製 特級
ジクミルパーオキサイド:日本油脂(株)製 パークミルD
フェノール樹脂:昭和高分子(株)製レゾール樹脂 BRL−274
上記の表1、表2に示した組成の原材料をニーダーを用いて温度90℃で10分間混練した。その混練物を100mm×100mmの平板(厚さは物性試験項目ごとに異なる)ができる金型に投入し、50t圧縮成形機を用いて金型170℃、圧力30MPaで12分間加圧加熱し、硬化させて硬化物を得た。
上記の表1、表2に示した組成の原材料をニーダーを用いて、温度90℃で10分間混練した。その混練物を100×100mmの平板(厚さは物性試験項目ごとに異なる)ができる金型に投入し、50t圧縮成型機を用いて金型120℃、圧力30MPaで15分間加圧加熱し、硬化させて硬化体を得た。
実施例1で用いた組成物を、280×200×1.5mmのサイズで1mmピッチの溝が両面にできる平板を成形できる金型に投入し、500t圧縮成形機を用いて、金型温度170℃、60MPaの加圧下で10分間硬化して両面溝付きの燃料電池用セパレータ形状の平板(図2)を得た。
2 樹脂からなる圧縮ロッド
3 受け台(樹脂製)
4 側枠(樹脂製)
5 試料(炭素質材料粉末)
6 電圧測定端子
Claims (21)
- 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物にフッ素原子が結合した化合物(A)及び炭素質材料(B)を少なくとも含む硬化性組成物。
- 更に、炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物(C)を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
- 更に(D)反応性モノマーを含む請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物が、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 側鎖に炭素−炭素二重結合を有する重合体が、主鎖は飽和しているモノマー単位を60モル%以上含有する請求項4に記載の硬化性組成物。
- 側鎖に炭素−炭素二重結合を有し、主鎖は飽和しているモノマー単位を60モル%以上含有する重合体が、ジエン化合物を主モノマーとして重合されたものである請求項5に記載の硬化性組成物。
- ジエン化合物がブタジエン、ペンタジエンおよびイソプレンからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項6に記載の硬化性組成物。
- 炭素−炭素二重結合を複数個有する炭化水素化合物が、1,2−ポリブタジエン及び/または3,4−ポリイソプレンである請求項1に記載の硬化性組成物。
- 炭素質材料(B)が、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブからなる群から選ばれた1ないし2種類以上の組み合わせである請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 炭素質材料(B)が、その嵩密度が1g/cm3となるように加圧された状態において、加圧方向に対して直角方向の粉末電気比抵抗が0.1Ωcm以下であるものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 炭素質材料(B)が0.05〜10質量%のホウ素を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して得られる耐熱水性導電性硬化物。
- 硬化物のガラス転位温度が160℃以上、JIS K 6911による曲げ強度が30MPa以上である請求項13に記載の耐熱水性導電性硬化物。
- 30mm×30mm×3mmの試験片を180℃、168時間で耐熱水性試験を行ったときの質量変化率が、−1.5〜+1.5%である請求項13または14に記載の耐熱水性導電性硬化物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする、両面または片面にガスを流すための流路が形成された耐熱水性導電性成形体。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化、成形して得られる両面または片面にガスを流すための流路が形成された燃料電池用セパレータ。
- ガラス転位温度が160℃以上、JIS K 6911における曲げ強度が30MPa以上であって、且つ30mm×30mm×3mmの試料片を180℃、168時間で耐熱水性試験を行ったときの質量変化率が、−1.5〜+1.5%である、請求項17に記載の燃料電池用セパレータ。
- 圧縮成形、トランスファー成形、射出成形または射出圧縮成形のいずれかの方法により製造された、請求項13に記載の耐熱水性導電性成形体の製造方法。
- 圧縮成形、トランスファー成形、射出成形または射出圧縮成形のいずれかの方法により製造された、請求項17に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる燃料電池セパレータ用硬化性組成物。
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