JP2005108591A - 燃料電池用セパレータ用成形材料 - Google Patents

燃料電池用セパレータ用成形材料 Download PDF

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剛 稲垣
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Abstract

【課題】 形状安定性や機械的特性に優れ、接触電気抵抗ムラも無い高性能の燃料電池用セパレータが得られ、かつ従来の湿式混合のようにコスト増を招くことなく製造し得る燃料電池用セパレータ用成形材料を提供する。
【解決手段】 燃料電池用セパレータを製造するための成形材料であって、熱硬化性樹脂中に導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が分散した粉末からなることを特徴とする燃料電池用セパレータ用成形材料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池用セパレータを製造するための成形材料に関する。
近年、燃料の有する化学的エネルギーを電気的エネルギーに直接変換する燃料電池に対する需要が高まっている。一般に燃料電池は、電解質膜を挟んで電極板が配置され、更にその外側にセパレータが配置された単位セルを、多数積層した構造になっている。
図1は、一般的な燃料電池用セパレータの外観を示す概略図であるが、平板部6の両面に所定の間隔で複数の隔壁7を設立して形成されている。燃料電池とするには、多数の燃料電池セパレータ5を、隔壁の突出方向(図中、上下方向)に積層する。そして、この積層により、隣接する一対の隔壁7で形成されるチャネル8に反応ガス(水素や酸素)を流通させる構成となる。そのため、燃料電池セパレータ5は両反応ガスが混合しないように、気体不透過性に優れることが必要である。また、単位セルを積層しているので、燃料電池用セパレータ5は高い導電性を有し、かつ強度にも優れていることが要求される。
例えば、自動車のように高電圧を必要とする分野では、各単位セルを数百枚積層してスタックを構成させる。また、このスタックは一般に約80℃の条件下で使用されるため、熱的寸法安定性(低熱膨張)が求められる。高熱膨張であると、熱によりスタック全体が大きくなるために、締め付け荷重の増大により燃料電池用セパレータ本体、電解質膜の破損が生じる。また、スタック組み付け時に、セパレータの強度、板厚寸法精度、反り等により組み付けの困難、破損などが発生することがある。特に燃料電池用セパレータの反りは、スタックの組み付けを困難にするだけでなく、組み付け後の各セルの密着性が不十分となり、接触電気抵抗にムラが生じ、それによる発電性能の低下、さらに偏荷重により燃料電池用セパレータが破損することがある。
燃料電池用セパレータは、生産性の点で有利なことから、熱硬化性樹脂に黒鉛等の導電性フィラーや、補強用の炭素繊維等の配合物を分散させた導電性樹脂組成物を成形材料とし、所定の形状にプレス成形して得られるのが一般的である。そのため、成形材料における配合物の分散が十分でないと、燃料電池用セパレータ内で配合物が偏在して、局所的な熱膨張率差による反りやうねりが発生し、更に局所的な強度不足も起こる。特に、平板部6の表裏面で隔壁7の数が異なると、表裏面における配合物の含有量が異なり、反りが大きくなる。しかし、成形材料の調製は樹脂と配合物とを乾式で混合するのが一般的であり、配合物の分散性を高めるためにはかなり長時間の混合が避けられない。
一方で、配合物の分散性を高めるために、上記のような乾式混合に代えて熱硬化性樹脂と配合物とを湿式混合することも行われている。例えば、液状の熱硬化樹脂(熱硬化性樹脂の初期重合体)あるいは熱硬化性樹脂を溶剤に溶解したものに、配合物を添加して混合した導電性樹脂組成物を成形材料に用いることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−343374号公報
しかし、上記特許文献1の成形材料を得るには、液状の熱硬化性樹脂は粘度が高いため、配合物との混合ではかなりの高トルクとなり、大型で強力な混合機が必要となる。また、溶剤に溶解させた熱硬化性樹脂を用いる場合には、溶剤を除去する工程、更には環境保全のために除去した溶剤を処理する工程が別途必要となり、コスト増を招く。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、形状安定性や機械的特性に優れ、接触電気抵抗ムラも無い高性能の燃料電池用セパレータが得られ、かつ従来の湿式混合のようにコスト増を招くことなく製造し得る燃料電池用セパレータ用成形材料を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するために、下記に示す燃料電池用セパレータ用成形材料を提供する。
(1)燃料電池用セパレータを製造するための成形材料であって、熱硬化性樹脂中に導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が分散した粉末からなることを特徴とする燃料電池用セパレータ用成形材料。
(2)導電性フィラーが膨張黒鉛であることを特徴とする上記(1)記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
(3)球状フィラーが球状シリカおよび球状黒鉛の一種類以上を含むことを特徴とする上記(1)または(2)記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
(4)球状フィラーの平均粒径が、得られる燃料電池用セパレータの最薄部の厚さに対して75%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
(5)燃料電池用セパレータ用成形材料全量に対する熱硬化性樹脂の配合量が20〜40質量%、導電性フィラーの配合量が20〜60質量%、球状フィラーの配合量が15〜30質量%、炭素繊維の配合量が5〜10質量%であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
本発明の燃料電池用セパレータ用成形材料を用いることにより、配合物の分散性が良好で、形状安定性や機械的特性に優れ、接触電気抵抗ムラも無い高性能の燃料電池用セパレータが得られる。また、燃料電池用セパレータ用成形材料の調製に際して、従来の湿式混合のように大型で強力な混合機も必要なく、溶剤の除去及び処理工程も不要で、大きなコスト増を招くことも無い。
以下、本発明の燃料電池用セパレータ用成形材料(以下、単に「成形材料」という)に関して詳細に説明する。
本発明の成形材料は、熱硬化性樹脂中に導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が分散した粉末からなる。即ち、熱硬化性樹脂が導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維を包囲して一つの粉末を形成し、この粉末が集合したものである。
このような成形材料を得るには、先ず、目的とする燃料電池用セパレータの組成に合わせて秤量された熱硬化性樹脂の粉末、導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維を、ヘンシェルミキサーやシェイカー等を用いて室温にて乾式混合し、混合粉体を得る。この乾式混合は、従来の乾式混合のみで成形材料を得る方法のように、長時間かけて熱硬化性樹脂と配合物とを十分に均一化するまで行う必要はない。
次いで、混合粉体を熱硬化性樹脂が完全硬化しない温度、例えば約100℃で溶融混合する。この溶融混合には加圧ニーダー、ブラベンダー、短軸または二軸スクリュー等の混合機を用いることができる。溶融混合により、導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が破砕もしくは切断されて微細物となり、更には熱硬化性樹脂が軟化、流動して導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維の隙間に入り込む。そのため、上記の乾式混合において、熱硬化性樹脂、導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が十分に均一混合されていなくとも、この溶融混合により熱硬化性樹脂中への導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維の分散性が高まる。
次いで、得られた溶融混合物を冷却して固化させる。冷却は、混合機から取り出した溶融混合物を室温にて放置すればよい。得られる固化物は、導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が熱硬化性樹脂中に均一に分散したものとなる。
そして、得られた溶融混合物の固化物を粉砕して本発明の成形材料が得られる。粉砕には、公知の粉砕機、例えばヘンシェルミキサーやミキサー、ボールミル等を用いることができる。成形材料である個々の粉体の大きさには制限がないが、成形金型への充填のし易さや成形性を考慮すると、平均粒径500μm以下が好ましい。また、個々の粉末は、図2に光学顕微鏡写真を示すように、微細な導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が熱硬化性樹脂中に均一に分散したものとなる。従って、本発明の成形材料から得られる燃料電池用セパレータは、より微細な導電性フィラーや球状フィラー、炭素繊維が均一に分散したものとなり、各種特性に優れたものとなる。具体的には、後述する実施例にも示すように、厚さ方向における熱膨張係数と水平方向(図1紙面左右方向)における熱膨張係数との差が20×10−6・K−1以下と小さく、反り量も2mm以下で寸法精度及び形状安定性に優れ、更には曲げ強度が40MPa以上、曲げ弾性率が12GPa以下と優れた機械的特性を示す。
尚、燃料電池用セパレータを製造するには、本発明の成形材料をそのまま燃料電池用セパレータ用の金型に充填し、熱硬化性樹脂が完全硬化する温度、例えば150〜200℃にてプレス成形すればよい。
また、成形材料を熱硬化性樹脂が完全硬化しない温度、例えば約50℃〜120℃でプレス成形を行ってシート状の仮成形品を作製し、この仮成形品を燃料電池セパレータ用の金型に積層して収容し、熱硬化性樹脂が完全硬化する温度にて本成形することが好ましい。この仮成形工程を付加することにより、導電性フィラーや球状フィラー、炭素繊維が再配置されて仮成形品中でのこれらの偏在がより少なくなり、燃料電池用セパレータの各種特性がより向上する。
本発明の成形材料における好ましい熱硬化性樹脂、導電性フィラー、球状フィラー、炭素繊維の種類及び性状、並びにこれらの配合量として以下を例示できる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。得られる特性、生産性等を考慮すると、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂とを混合して用いるのが好ましい。
ここで、エポキシ樹脂とは、多官能性エポキシ化合物と硬化剤との反応で形成される構造体、並びに該構造体を与えるエポキシ化合物及び硬化剤すべてを含包する。以後、反応前のエポキシ化合物をエポキシ樹脂前駆体、反応により生じた構造体をエポキシ化合物と言うことがある。また、エポキシ樹脂量は、エポキシ硬化物の質量に等しい。
エポキシ樹脂前駆体としては、種々の公知の化合物を使用することができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型、ビスフェノールADジグリシジルエーテル型、レゾルシノールジグリシジルエーテル型等の2官能性エポキシ化合物;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等の多官能性エポキシ化合物;更には、エポキシ化大豆油のような線状脂肪族エポキシ化合物、環式脂肪族エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン等の置換基を有する化合物、芳香環が水素化された化合物をも使用することができる。また、そのエポキシ当量、分子量、エポキシ基数等にも、特に制限はない。しかしながら、エポキシ樹脂前駆体として、エポキシ当量が約400以上、特に約700以上のエポキシ化合物を主に使用すると、可使時間を長くすることができる。また、これらの化合物は、常温で固体であるため、粉体成形を行う場合には取り扱いが容易となる。複数のエポキシ化合物を併用することも可能である。例えばエポキシ当量200程度の、網目密度の高い硬化物を与えるエポキシ樹脂前駆体を、エポキシ当量900程度の、可使時間の長い前駆体を混入させ、粉体として、あるいは可使時間のやや長い液状物として取り扱うことができる。
これらエポキシ樹脂前駆体は、硬化剤と反応することによって、エポキシ硬化物を生成する。硬化物も各種公知の化合物を使用することができる。例えばジメチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族、脂環族、芳香族のポリアミンまたはその炭酸塩;無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の酸無水物;フェノールノボラックのようなポリフェノール;ポリメルカプタン;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、イミダゾール、エチルメチルイミダゾール等のアニオン重合触媒;BFやその錯体のようなカチオン重合触媒;更には熱分解や光分解によって上記化合物を生成する潜在性硬化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。複数の硬化剤を併用することもできる。
また、ポリイミドとは、分子内にイミド基((−CO−)N−)を有するポリマーの総てを包含する。例としてポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリイミド;(全)芳香族ポリイミド等の非熱可塑性ポリイミド;熱硬化性ポリイミド、例えばビスマレイミド型ポリイミド、アリルナジイミド等のナジック酸型ポリイミド、アセチレン型ポリイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。複数のポリイミドを併用することもできる。中でも熱硬化性ポリイミドの使用が特に好ましい。熱硬化性ポリイミドは、熱可塑性ポリイミドや非熱可塑性(芳香族)ポリイミドに比べ、加工が容易であるという利点を有する。高温特性は非熱可塑性ポリイミドと比べれば劣るものの、各種有機ポリマーの内では極めて良好な部類である。しかも硬化の際にボイドやクラックをほとんど発生しないので、本発明の成形材料の成分として好適である。
また、エポキシ樹脂とポリイミド樹脂との配合比は、エポキシ樹脂を5〜95重量部%で、ポリイミド樹脂を95〜5重量部%とすることが好ましい。何れの樹脂も、配合比が5質量%未満では両樹脂を併用にすることにより生じる利点が僅かである。エポキシ樹脂:ポリイミド樹脂の配合比は、より好ましくは95:5〜30:70、更に好ましくは85:15〜60:40である。
熱硬化性樹脂の配合量は、成形材料全量に対して20〜40質量%であることが好ましい。熱硬化性樹脂の配合量が20質量%未満では、材料流動性の低下により成形が困難になり、バインダーとして効果が薄くなり、燃料電池用セパレータの厚さ復元量が増大し、所望の厚さが得られない等の問題が生じる。また、熱硬化性樹脂の配合量が40質量%を超えると、強度不足、導電性低下、流動性が高くなることで成形時のバリ量の増加、金型へのハリツキ等の問題が生じる。これらの点を考慮すると、更に好ましくは20〜30質量%である。
(導電性フィラー)
導電性フィラーとしては、例えば膨張黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。中でも、成形性や経済性を考慮すると膨張黒鉛が好ましい。膨張黒鉛は、黒鉛結晶構造の層間を拡張処理したもので、極めて嵩高いものとなっている。膨張黒鉛としては、好ましくは嵩比重が0.3程度以下、より好ましくは0.1程度以下、特に好ましくは0.05程度以下のものを使用する。これらの膨張黒鉛を用いると、強度、導電性、潤滑性が特に良好となる。
導電性フィラーの配合量は、成形材料全量に対して20〜60質量%であることが好ましい。導電性フィラーの配合量が20質量%未満では、満足できる導電性を得られず、60質量%を超えると、強度あるいは成形上の問題が生じる。これらを考慮すると、導電性フィラーの配合量は、より好ましくは25〜60質量%、更に好ましくは30〜60質量%程度である。
(球状フィラー)
一般に、膨張黒鉛を含有する成形材料を板状に成形すると、膨張黒鉛が成形体の水平方向に多く配向するようになり、水平方向と厚さ方向の熱膨張率差が生じる傾向がある。そこで、このような異方性を低減させるために球状フィラーを添加する。
球状フィラーとしては、例えば低熱膨張材である球状シリカ、中空シリカ、球状黒鉛(人造黒鉛)等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。中でも、導電性を考慮するとシリカよりも導電性フィラーとしても使用可能な球状黒鉛が望ましい。成形材料中に球状フィラーが混在することによって、球状フィラーの周囲で膨張黒鉛が厚さ方向にも配向しやすくなり、水平方向と厚さ方向とで導電性や熱膨張率の差が少なくなる。また、球状フィラーの粒径が大きい程、膨張黒鉛が厚さ方向にも配向しやすくなる。
しかし、球状フィラーの粒径が大き過ぎると、燃料電池用セパレータの表面から球状フィラーの一部が露出し、接触抵抗の低下を引き起こすことがある。そのため球状フィラーの粒径としては、燃料電池用セパレータの最薄部の厚さの75%以下とすることが望ましい。例えば、燃料電池用セパレータの最薄部が0.5mmであるとすると、球状フィラーの粒径は125μm以下が望ましく、更に好ましくは50μm以下が望ましい。
球状フィラーの配合量は、成形材料全量に対して15〜30質量%であることが好ましい。球状フィラーの配合量が15質量%未満では、厚さ方向における膨張黒鉛の配向が不十分となることから、熱膨張率差を少なくすることができず、得られる燃料電池用セパレータに反りが生じる。30質量%を超えると、燃料電池用セパレータの表面から突出することがあり、燃料電池用セパレータの接触抵抗の低下や、強度及び気体不透過性の低下を起こすおそれがある。これらを考慮すると、球状フィラーの配合量は15〜25質量%がより好ましい。
(炭素繊維)
炭素繊維としては、例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げられ、それぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。炭素繊維を添加することにより燃料電池用セパレータの強度、特に耐衝撃性を改善することができ、また導電性や熱膨張に殆ど影響を与えずに強度を改善することができる。
炭素繊維の形状には特に制限はないが、好ましくは繊維長が約0.01〜100mm、特に0.1〜20mmのものを使用する。繊維長が100mmを超える炭素繊維を用いると、上記の溶融混合における切断、並びに溶融混合物の固形物の粉砕を行っても長繊維のまま残存して成形が難しくなり、また表面を平滑にし難くなる。また、繊維長が0.01mmを下回る炭素繊維を用いると、溶融混合並びに固形物の粉砕により短繊維になりすぎて補強効果が期待できなくなる。
炭素繊維の配合量は、成形材料全量に対して5〜10質量%であることが好ましい。炭素繊維の配合量が5質量%未満では、満足できる耐衝撃性が得られず、10質量%を超えると成形上の問題が生じる。これらを考慮すると、炭素繊維の配合量は7〜9質量%がより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(サンプル作製)
膨張黒鉛、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、平均繊維径13μmで平均繊維長370μmの炭素繊維、平均粒径が約50μmの球径シリカおよび球状黒鉛を用い、表1に示す配合比でヘンシェルミキサーに投入し、室温で乾式混合した。得られた混合粉を加圧ニーダーに投入し、100℃にて溶融混合した後、自然冷却して固化させた。次いで、溶融混合物の固化物を粉砕して平均粒径100μmの粉末とし、成形材料を得た。そして、成形材料を金型に充填して100℃でプレス成形して厚さ3mmのシート状仮成形品を作製し、次いでシート状仮成形品を重ねて金型温度200℃、プレス圧100MPaで10分間本成形して厚さ2mmのシート状のサンプルを作製した(実施例1〜4及び比較例1)。
また、膨張黒鉛、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、平均繊維径13μmで平均繊維長370μmの炭素繊維、平均粒径が約50μmの球径シリカを用い、表1に示す配合比でヘンシェルミキサーに投入し、室温で乾式混合した。そして、得られた混合粉体を金型に充填して常温でプレス成形してシート化し、それを金型温度200℃、プレス圧100MPaで10分間本成形して厚さ2mmのシート状のサンプルを作製した(比較例2〜4)。
(サンプルの物性の測定)
熱膨張係数は、得られたサンプルから5mm角、厚さ10mmの試験片を切り出し、試験片の厚さ方向及び水平方向について、理学製「MA8310」を用い、0.1Nの荷重をφ3mmのプローブにかけて1℃/minで昇温した時の28〜100℃における熱膨張率を測定した。
曲げ強度および曲げ弾性率は、得られたサンプルから幅20mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片を切り出し、島津製作所製「オートグラフAG−100kND」を用い、JIS K7171に準じて100℃雰囲気で測定した。
(燃料電池用セパレータの反りの測定)
上記サンプルの作製手順及び成形条件に従い、図1に示した形状の燃料電池用セパレータを作製した。尚、各部の形状及び寸法は、平板部が全長300mm、全横250mmであり、その一方の面に冷却水流路溝(幅2mm、深さ0.5mm)を60本、他方の面にガス流路溝(幅1mm、深さ0.5mm)を120本設け、最薄部である平板部の厚さを0.5mmとし、一方の面の隔壁の上端面から他方の面の隔壁の上端面まで(全厚)を1.5mmとした。
そして、三次元レーザー測定機(コムス製)を用い、燃料電池用セパレータを定板上に置き、表面を35点測定し、その最大値と最小値との差を反り量として求めた。
表1に、成形材料の混合方法、配合比とともに上記の各測定結果を示す。
表1より、本発明に従う成形材料を用いることにより、配合物の分散性が良好となり、それにより燃料電池用セパレータの厚さ方向と水平方向との熱膨張率差が小さくなり、反り量も2mm以下と抑えられ、更に曲げ強度も向上することがわかる。
これに対し、比較例1の成形材料は、熱硬化性樹脂が膨張黒鉛を被覆した粉末であるが、球状フィラー及び炭素繊維を含有しないため、厚さ方向と水平方向との熱膨張率差が大きくなる。また、比較例2〜3のように、熱硬化性樹脂、膨張黒鉛、球状フィラー及び炭素繊維を乾式混合した成形材料を用いても厚さ方向と水平方向との熱膨張率差が大きくなる。
(配合材料の分散性の検証)
実施例1及び比較例4で作製したサンプルについて、その断面を光学顕微鏡にて撮影した。図2に実施例1のサンプル、図3に比較例4のサンプルの光学顕微鏡写真を示すが、実施例1のサンプルでは微細な膨張黒鉛、炭素繊維及び球状シリカが均一に分散しているのに対し、比較例4のサンプルでは炭素繊維が当初の長繊維のままであり、更に膨張黒鉛及び球状シリカの分散性も悪いことがわかる。
燃料電池用セパレータの一例を示す概略図である。 本発明の燃料電池用セパレータ用成形材料の断面を撮影した光学顕微鏡写真である。 実施例1で作製したサンプルの断面を撮影した光学顕微鏡写真である。 比較例4で作製したサンプルの断面を撮影した光学顕微鏡写真である。
符号の説明
5 燃料電池用セパレータ
6 平板部
7 隔壁
8 チャネル

Claims (5)

  1. 燃料電池用セパレータを製造するための成形材料であって、熱硬化性樹脂中に導電性フィラー、球状フィラー及び炭素繊維が分散した粉末からなることを特徴とする燃料電池用セパレータ用成形材料。
  2. 導電性フィラーが膨張黒鉛であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
  3. 球状フィラーが球状シリカおよび球状黒鉛の一種類以上を含むことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
  4. 球状フィラーの平均粒径が、得られる燃料電池用セパレータの最薄部の厚さに対して75%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
  5. 燃料電池用セパレータ用成形材料全量に対する熱硬化性樹脂の配合量が20〜40質量%、導電性フィラーの配合量が20〜60質量%、球状フィラーの配合量が15〜30質量%、炭素繊維の配合量が5〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用セパレータ用成形材料。
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JP2007005263A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Matsushita Electric Works Ltd 燃料電池用セパレータ成形用組成物及び燃料電池用セパレータ
JP2010123564A (ja) * 2008-11-21 2010-06-03 Hankook Tire Co Ltd 燃料電池セパレータ用成形材料
JP2011119124A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Shin Etsu Polymer Co Ltd 燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ
JP2019204601A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 信越ポリマー株式会社 燃料電池用セパレータ

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