JP3611183B2 - スライドファスナー用スライダーの引手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トレーニングウエア、ジャケットなど主に前あき衣服の前立に用いるスライドファスナー用スライダーの引手であって、引手は弾性体から形成され、スライダーに対し横倒しに胴体上へ倒伏するように付勢し、衣服を着用中むやみに引手が揺動することなく安定した状態を保持できるスライドファスナー用スライダーの引手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図15に示すようにスライダーの引手をスライダー胴体の摺動方向と同一方向に枢支した連結体に固定した弾性部材から形成し、弾性部材は弾性部材自体と連結体とを停止位置において、スライダーと概ね同一面の前後方向に弾性的に移動し保持でき、連結体はスライダーに枢支した第1端部と弾性部材に固定されている第2端部とを有し、弾性部材は連結体の第2端部から離れた位置に配される自由端部を有し、弾性部材の自由端部と連結体の第2端部とは停止位置においてスライダーの相対向する端部に配し、しかも連結体の第1端部は連結体の第2端部と弾性部材の自由端部との間に配するスライドファスナー用スライダーが米国特許第5、101、538号明細書に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前項で述べた図15に示したスライドファスナー用スライダーの引手は、スライダーを前後に摺動させスライドファスナーを閉鎖させるには、リング状の弾性部材の引手を前方へ引っ張らなければならず、その際自由端部と連結体に固定した第2端部との間で、弾性部材を約180度近い捻転を行って前方へ引っ張らなければならない。またスライドファスナーを分離開口させるためには、後方へ引っ張るとやはり自由端部と連結体に固定した第2端部との間で、約180度に近い捻転をさせて引っ張らないと後方へ摺動させることができない。したがってリング状の弾性部材は連結体に固定した第2端部に捻転による荷重が加わり損傷するおそれがあり長期の使用に耐えられないなど問題点がある。
【0004】
この発明は、上述の問題点を考慮して発明されたものであり、この発明のうち請求項1記載の発明は、スライダーの胴体に連結体により取り付けた弾性体の引手をスライダーの摺動方向と直交する方向へわずかな回転量によって回動させて引っ張ることにより、スライドファスナーを開閉させる。その際、弾性体の捻転度合は少なくて開閉操作ができ、引手の捻転による損傷を防ぎ、長期の使用に耐え、かつ引手はぶらぶら揺動することなく安定した状態を保持し、使用者に不快感を与えないスライドファスナー用スライダーの引手を提供することが主たる目的である。
【0005】
請求項2および3記載の発明は、それぞれ請求項1記載の発明の目的に加え、スライダーの胴体に取り付ける弾性体から形成した引手の形態を特定することによって、各種タイプのスライダーに適応した弾性体の引手を提供することが目的である。
【0006】
請求項4乃至9記載の発明は、それぞれ請求項1記載の発明の目的に加え、スライダーの胴体に環状または板状の弾性体から形成した引手を取り付けるための連結体の形態を特定することによって、各種タイプの連結体により各種タイプの弾性体の引手を安定した状態に固定し、長期の使用に耐えられるスライドファスナー用スライダーの引手の連結体を提供することが目的である。
【0007】
請求項10乃至15記載の発明は、それぞれ請求項2または3記載の発明の目的に加え、スライダーの胴体に取り付けて使用する弾性体の環状または板状の引手の形態を特定することによって、各種タイプの連結体に適した装備ができ、安定した状態に保持して操作のし易いスライドファスナー用スライダーの弾性体の引手を提供することが目的である。
【0008】
請求項16記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、弾性体から形成された環状または板状の引手の素材材質を特定することによって、簡単かつ容易に各種タイプの引手を作製できる弾性体の引手を提供することが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明のうち請求項1記載の発明は、スライダーの胴体1の上面に引手2を取り付けるための取付部4を設け、この取付部4に対し、連結体3の一部を横方向すなわちスライダーの摺動方向と直交する方向に挿通して、横方向に回動可能に形成し、連結体3の左右いずれか一方側に、弾性体から形成された適宜形状の引手2を固定して固定部22を形成し、引手2を常時胴体1の上面へ横倒しに倒伏する形に付勢したスライドファスナー用スライダーの引手を主な構成とするものである。なおここで引手2を常時胴体1の上面へ倒伏する形とは、引手2が胴体1の上面に略平行になるように配される状態をいう。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、連結体3に固定する弾性体から形成された引手2は、適宜形状の環状に形成し、環状に形成した一部を連結体3に設けた縦バー21に固定して固定部22を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、連結体3に固定する弾性体から形成された引手2は、適宜形状の板状に形成し、板状に形成した一部を連結体3に設けた縦バー21に固定して固定部22を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、胴体1の上面に設けた引手取付部4に挿通できる2本の横バー20を間隔をおいて配した形に形成し、横バー20の両側の先端に横バー20よりも前後に突出する縦バー21を一体に成形したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、弾性体の引手2を固定した固定部22をスライダーの胴体1の上面へ当接状態に載置したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、横バー20の一方側に縦バー21を配し、この縦バー21にU字形の横バー20を連接し、胴体1の上面に設けた取付部4の左右に配置する横バー20間に胴体1の上面に突設した突起6を嵌合したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、胴体1の上面に設けた取付部4を遊嵌できる環状の支持部23を有し、支持部23の一方側の外側に胴体1の上面へ張り出す規制部26を設け、この規制部26の反対側に弾性体の引手2を固定した固定部22を設けたスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、1本の横バー20の両端に縦バー21を連接し、一方側の縦バー21の外側に外方へ突出する係止部27を設け、この係止部27に弾性体から形成された引手2を取付環28によって固定したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、弾性体の引手2を胴体1に連結する連結体3は、連結体3に横設した横バー20を胴体1の上面に取り付けたカバー体5内に内装した自動停止爪杆10に挿通し、自動停止爪杆10を浮上できるように形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、連結体3の一方側に配した縦バー21を弾性体に埋装し固定して固定部22を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、胴体1の中央長手方向において、弾性変形がし易い形すなわちくびれ、または凹状のくびれ部31を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、連結体3を固定した固定部22の反対側に径が太くなる拡径状または肉厚状の掴持部30すなわち摘み部分を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、環状に形成し連結体3を固定した固定部22の反対側において斜め前方へ突出し、空隙部分が拡大する掴持部30すなわち摘み部分を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0022】
請求項14記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、環状のD字形または逆D字形に形成し連結体3を固定した固定部22の反対側において前後に空隙部分を有する掴持部30すなわち摘み部分を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0023】
請求項15記載の発明は、請求項3記載の発明の構成に加え、弾性体から形成された引手2は、板状に形成し、連結体3に固定した固定部22から略垂直に立設し、取付部4を被覆できるように屈折して屈曲部32を形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0024】
請求項16記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、連結体3に連結する弾性体の引手2は、引手の素材材質に天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーを用いて一体成形して形成したスライドファスナー用スライダーの引手である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のスライドファスナー用スライダーの引手の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
この発明のスライドファスナー用スライダーの引手は、各実施形態に共通する構成は、ともにスライダーの胴体1の上面の中央長手方向に設けた引手取付部4に適宜形状の弾性体の引手2を取り付けるのに連結体3を用い、胴体1に設置した取付部4に対し、連結体3の一部をスライダーの摺動方向と直交状に挿通して横方向にわずかに回動できるように取り付け、この連結体3の左右いずれか一方側に弾性体から形成した環状または板状の引手2を固定し、引手2がむやみに揺動できないように、胴体1の上面へ横倒しに倒伏するように付勢したスライダーの引手に特徴がある。
【0027】
図1〜4に示す第1実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手は、自動停止装置付スライダーに設置したものであり、スライダーの胴体1の上面の中央長手方向に引手取付部4としてのカバー体5を設置し、カバー体5は胴体1の前方に設けた取付柱に支軸16によって軸支し、この支軸16に対し後端に停止爪11を下方へ突出した自動停止爪杆10をカバー体5内で軸支する。自動停止爪杆10は停止爪11の上方に凹部12を横設し、停止爪杆10の前端に胴体1内に配設したコイルスプリング17を弾接し停止爪11を常時胴体1内に設けたガイド溝13に突出させる。
【0028】
連結体3は引手取付部4としてのカバー体5内に横方向から挿入できる2本の横バー20を間隔をおいて並設し、この横バー20の両先端に横バー20よりも前後へ突出する縦バー21を一体に連接したものであり、縦バー21を横バー20よりも前後に突出させることによって、連結体3の前後の傾きを抑制できるように形成する。そして連結体3はアルミニウム合金、亜鉛合金などを用いてダイカスト成形によって一体に成形する。
【0029】
引手2は弾性体から形成され、弾性体には生ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーの材質の弾性体を用いて一体成形して形成する。成形の際、連結体3の一方側の縦バー21を同時に弾性体に埋装して、引手2と連結体3とを強固に固定することによって固定部22を形成する。引手2の形状は環状であり、連結体3の縦バー21を埋装した固定部22が略胴体1の長さで直線状に形成し、その両端から胴体1を包囲する形で、胴体1の前方では斜め前方へ突出し空隙部分が拡大して指先が差し込み易く、かつ摘み易いように掴持部30を形成する。またその下方の胴体1の側方にあたる引手2は、弾性体が太くなる拡径状の掴持部30を形成し、スライダーを後方へ摺動させるとき摘み易いように形成する。さらに胴体1の中央長手方向の前後に対向する部分の弾性体に細くくびれたくびれ部31を設けて弾性体の引手2が容易に弾性変形できるように形成する。
【0030】
弾性体の引手2と一体化された連結体3とを胴体1に取り付けるには、胴体1の上面に後口側からアリ溝的な凹溝8を設け、この凹溝8内で前後に滑動できる摺動体14を嵌入し、摺動体14は底部の両側に突出する突条部を設けて凹溝8に摺動自在に嵌入する。そして摺動体14と、カバー体5を取り付けた取付柱との間にコイルスプリングを介在させ後口側へ弾発させる。また摺動体14の上面には連結体3の後方の横バー20を収容できる凹陥部15を設け、前方の横バー20は停止爪杆10に設けた凹部12に挿入し、カバー体5は前方を取付柱に支軸16によって軸支し、カバー体5の後方は開口状態に形成して摺動体14の凹陥部15に、横バー20を挿入した状態で凹溝8内へ嵌入できる。摺動体14を凹溝8内に嵌入した後、摺動体14を凹溝8内に封止するため、凹溝8の入口に設けた封止突起9を圧潰して凹溝8の一部を封鎖し、摺動体14が凹溝8から脱出するのを阻止するとともに、連結体3を埋装した固定部22を胴体1の上面へ当接する形に載置して自動停止装置付スライダーを組み立てる。
【0031】
スライダーの操作は、ファスナーチェンを閉鎖させるときは、引手2の掴持部30に指先を差し込んで前方へ引っ張ると、弾性体の引手2はくびれ部31によって起こされ、弾性体を固定した固定部22を回動させようとする力と引手2を持ち上げる力とが作用し、その作用によって連結体3は自由な縦バー21を胴体1の上面へわずかに浮き上がらせ、同時にカバー体5内の停止爪杆10も浮き上がり、停止爪11をガイド溝13から脱出することによりスライダーを前方へ摺動させることができる。なお停止爪11が多少ガイド溝13に突出していても、停止爪杆10の形態によってファスナーエレメントによりコイルスプリング17を圧縮して前方へ摺動させることができる。
【0032】
スライダーを停止し、引手2の掴持部30から指を離すと弾性体の復元力によって、引手2は胴体1の上面へ倒伏し、同時に連結体3も胴体1上面へ当接し停止爪杆10はコイルスプリング17の弾力によって、停止爪11をガイド溝13へ突出させ、ファスナーエレメント間に挿入してスライダーを自動的に停止させ、引手2は胴体1に倒伏し当接した状態で保持され、引手2がぶらぶら揺動することがないように保持する。
【0033】
次にファスナーチェンを分離開口させる場合は、引手2の掴持部30を摘んで引手2をわずかに持ち上げ、後方へ引っ張ると弾性体の引手2は持ち上げる力によって固定部22を回動させ、その作用によって連結体3は自由な縦バー21を胴体1の上面へわずかに浮き上がらせ、同時に停止爪杆10も浮き上がり停止爪11をガイド溝13から脱出してスライダーを後方へ摺動させることができる。
【0034】
以上説明したとおり、スライダーは環状の弾性体から形成された引手2を弾性体の弾力に抗してわずかに持ち上げ操作すればスライダーを摺動させることができ、また引手2から手を離すと、弾性体の弾力によって引手2は胴体1の上面へ自動的に倒伏し、しかも引手2は外力が作用しない限り胴体1上に保持され、ぶらぶら揺動することがなく安定した状態で保持される。
【0035】
図5に示す第2実施形態のスライドファスナーの引手について説明すると、このスライダーの形態は、前例とは引手2の形状が異なる他は前例と同一形態である。引手2は環状の弾性体を逆D字形に形成し、湾曲部分に連結体3の縦バー21を埋装し一体化して固定部22を形成する。固定部22の反対側の前後に幅広い空隙を設けて掴持部30を形成し、いずれからでも摘み易くして操作の容易性を図ったスライダーの引手である。
【0036】
図6、7に示す第3実施形態のスライダーの引手について説明すると、連結体3の横バー20がU字形を呈し、U字形の横バー20の先端に縦バー21を一体に連接し、この縦バー21を環状のD字形に形成した弾性体の引手2の湾曲側部分に埋装して固定部22を形成し、この固定部22の反対側に幅広い空隙が前後に配した形の掴持部30を形成し、また引手2は胴体1の中央長手方向の前後において対向する部分に、凹部形状のくびれ部31を形成して弾性変形がし易いように形成する。
【0037】
そしてU字形を呈する連結体3を胴体1の上面に配した際、連結体3が前後に傾き移動するのを防ぐため、取付部4の左右に突起6を胴体1の上面に突設し、この突起6をU字形の横バー20の間に嵌め込んで固定し、引手2のがたつくのを防いだスライダーである。
【0038】
図8、9に示す第4実施形態のスライダーの引手について説明すると、胴体1に取り付ける連結体3は、胴体1に設けた引手取付部4を捲回して包囲し遊嵌できる舌片状の支持部23を設け、この支持部23の側方に弾性体の引手2を取り付けるための舌片状の係止片24を一体に連接し、係止片24の内面には弾性体の引手2を捕捉できる係止突部25を設け、また支持部23が取付部4を捲回して遊嵌した際、胴体1に接する部分に側方へ張り出し連結体3の揺動を防ぐための規制部26が設けられている。
【0039】
連結体3の胴体1への装着は、まず取付部4を捲回して包囲する形で支持部23の規制部26が胴体1に接する状態で環状に捲きつけ、その先端の舌片状の係止片24を弾性体の引手2に捲きつけ、係止突部25を適宜環状の引手2に刺し込んで固定部22を形成し、この固定部22は胴体1の上面へ当接する形に配して連結体3の揺動を防ぐように形成する。
【0040】
図10〜12に示す第5実施形態のスライダーの引手について説明すると、連結体3は1本の横バー20の両先端に縦バー21を一体に連接し、一方側の縦バー21の外側に外方へ突出する突片状の係止部27を設ける。横バー20は係止部27を設けた側の端部近傍において仰角状に折り曲げて折曲部29を形成し、さらに折曲部29の先端部分で水平に折り曲げ係止部27が水平に突出するように形成する。
【0041】
連結体3の縦バー21の外側に適宜環状の弾性体から形成された引手2をあてがい、舌片状の取付環28を縦バー21と引手2の周囲に捲いて締めつけることにより、係止部27が弾性体の引手2に食い込んで強固に固定した固定部22が形成される。
【0042】
この連結体3は、図12に示すように自動停止装置付スライダーに装備され、たとえば胴体1の上面に配したカバー体5内へ立設した取付柱7の上面に板バネ18を載置し、その下側に停止爪11を下方へ突設した停止爪杆10を配し、胴体1と停止爪杆10との間に連結体3の横バー20を横方向に挿通して組み付けた自動停止装置付スライダーである。
【0043】
このタイプのスライダーは、引手2の自由端の掴持部30をわずかに持ち上げると、横バー20は自由な縦バー21を胴体1の上面へわずかに浮き上がらせ、同時にカバー体5内の停止爪杆10を浮き上がらせスライダーを前後いずれの方向へも摺動させることができる。
【0044】
図13、14に示す第6実施形態のスライダーの引手について説明すると、胴体1に取り付ける連結体3は引手取付部4に横方向から挿入できる2本の横バー20を間隔をおいて並設し、この横バー20の両先端に横バー20よりも前後へ突出する縦バー21を一体に連接し、縦バー21の一方側に板状の弾性体から形成した引手2を取り付けたスライダーである。
【0045】
弾性体の引手2を縦バー21に取り付ける際、縦バー21は板状の弾性体の引手2に埋装されて固定部22を形成し、この固定部22から略垂直に板状の引手2は起立し、さらに胴体1の取付部4を水平に被覆する形に固定部22の上方において屈折して屈曲部32を設ける。
【0046】
屈折された板状の引手2は、胴体1の取付部4の上面において厚さが薄くなる形でくびれ部31を形成し、弾性変形が容易にできるように形成する。さらに引手2の先端部分は厚くなる肉厚状に形成して摘み易い掴持部30を形成したものである。なおこのタイプの引手2も前例と同様に自由スライダーであっても、自動停止装置付スライダーであっても適宜に適用できるものである。
【0047】
【発明の効果】
この発明のスライドファスナー用スライダーの引手は、以上説明したとおりの構成であり、この構成によって下記の効果を奏する。
【0048】
この発明のうち請求項1記載の発明は、スライダーの胴体の上面に引手取付部を設け、該取付部に対し、連結体の一部をスライダーの摺動方向と直交状に挿通して横方向に回動可能に形成し、連結体の左右いずれか一方側に弾性体から形成された引手を固定して固定部を形成し、引手を常時胴体の上面へ横倒しに倒伏する形に付勢したことによって、胴体上に設けた引手取付部に対し、直交する方向に取り付けた連結体は、弾性体の引手をわずかに持ち上げることによって、固定部が回動し連結体の自由端側を容易に浮き上がらせることができ、しかも弾性体の引手は連結体に固定した部分において捻転度合が少なく、捻転による損傷が起こらず長期の使用に耐え、そのうえぶらつくことがなく胴体に体裁よく安定した状態で保持でき、使用者に不快感を与えないなどの効果がある。
【0049】
請求項2および3記載の発明は、それぞれ請求項1記載の発明の効果に加え、弾性体から形成された引手は、環状に形成し、環状の一部を連結体に設けた縦バーに固定して固定部を形成するか、または弾性体から形成された引手は、板状に形成し、板状の一部を連結体に設けた縦バーに固定して固定部を形成したことによって、それぞれスライダーの胴体に取り付ける弾性体の引手が、環状あるいは板状であるから、各種タイプのスライダーに適応でき顧客のニーズを満たすことができる効果がある。
【0050】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は取付部に挿通できる2本の横バーを間隔をおいて配し、横バーの先端に横バーよりも前後に突出する縦バーを一体に成形したことによって、連結体を簡単な構造から形成でき、しかも操作の際連結体が前後に傾くのを未然に防いで円滑な摺動操作ができる効果がある。
【0051】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は弾性体の引手を固定した固定部を胴体上に当接する状態に載置したことによって、連結体は弾性体の引手を固定した固定部を胴体上へ常時載置できるように形成しているので、弾性体の引手を胴体上へ安定した状態で、しかも体裁よく保持できる効果がある。
【0052】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は一方側に縦バーを配し、縦バーにU字形の横バーを連接し、胴体上に設けた取付部の左右に配される横バー間に胴体上に突設した突起を嵌合したことによって、連結体はU字形であって胴体上へ安定した状態で保持でき、しかも操作の際前後に傾くのを簡単な構造で防いで円滑な摺動操作ができる効果がある。
【0053】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は胴体上に設けた取付部を遊嵌できる環状の支持部を有し、支持部の外側に胴体の上面へ張り出す規制部を設け、規制部の反対側に弾性体の引手を固定した固定部を設けたことによって、連結体は取付部を遊嵌し、しかも操作の際連結体が前後に傾くのを未然に防いで、的確かつ円滑な操作ができる効果がある。
【0054】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は1本の横バーの両端に縦バーを連接し、一方側の縦バーの外側に突出する係止部を設け、係止部に弾性体の引手を取付環によって固定したことによって、簡単な構造の連結体に簡易に弾性体から形成された環状の引手を強固に取り付けることができる効果がある。
【0055】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、連結体は横設した横バーを胴体上に取り付けたカバー体内に内装した自動停止爪杆に挿通し、停止爪杆を浮上可能に形成したことによって、連結体を簡単な構造で自動停止機構を備えたスライダーに簡易に適用できる効果がある。
【0056】
請求項10記載の発明は、請求項2または3記載の発明の効果に加え、弾性体の引手は、連結体の一方側に配した縦バーを埋装し固定して固定部を形成したことによって、弾性体から形成された引手に、連結体をきわめて簡単かつ強固に固定することができる効果がある。
【0057】
請求項11記載の発明は、請求項2または3記載の発明の効果に加え、弾性体の引手は、胴体の中央長手方向においてくびれたまたは凹状のくびれ部を形成したことによって、弾性変形は固定部にあまり影響することがなく、したがって的確な操作が行える効果がある。
【0058】
請求項12記載の発明は、請求項2または3記載の発明の効果に加え、環状の弾性体の引手は、連結体を固定した固定部の反対側に拡径状または肉厚状の掴持部を形成したことによって、弾性体の引手に操作のし易い簡単な構造の摘み部分を簡易に作製することができる効果がある。
【0059】
請求項13および14記載の発明は、それぞれ請求項2記載の発明の効果に加え、弾性体の引手は、環状に形成し連結体を固定した固定部の反対側に斜め前方へ空隙が拡大する掴持部を形成するか、あるいは環状のD字形または逆D字形に形成し連結体を固定した固定部の反対側の前後に、空隙が拡大する掴持部を形成したことによって、それぞれ環状の弾性体の引手に簡単な構造で効率よく引っ張ることができる摘み部分を形成できる効果がある。
【0060】
請求項15記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加え、弾性体の引手は、板状に形成し、固定部を基準に起立して取付部を被覆する形に屈折して屈曲部を設けたことによって、弾性体の板状の引手を容易に各種タイプのスライダーに、体裁よく取り付けることができ、かつ操作がきわめて容易にできる効果がある。
【0061】
請求項16記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、弾性体の引手は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーから形成したことによって、環状または板状の弾性体の引手を容易に弾性変形ができる素材から簡単に成形でき、効率のよい弾発性が発揮できる効果があるなど、この発明が奏する効果はきわめて顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手を備えたスライダーの斜視図である。
【図2】同上スライダーの正面図である。
【図3】同上スライダーの図2における引手のA−A線断面図である。
【図4】同上スライダーの図2におけるB−B線断面図である。
【図5】第2実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手を備えたファスナーチェンの正面図である。
【図6】第3実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手を備えたスライダーの正面図である。
【図7】同上スライダーの要部を示すC−C線断面図である。
【図8】第4実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手を備えたスライダーの正面図である。
【図9】同上スライダーのD−D線断面図である。
【図10】第5実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手の要部を示す正面図である。
【図11】同上引手のE−E線断面図である。
【図12】同上引手を備えたスライダーの縦断面図である。
【図13】第6実施形態のスライドファスナー用スライダーの引手を備えたスライダーの正面図である。
【図14】同上スライダーの要部を示すF−F線断面図である。
【図15】公知のスライダーの斜視図である。
【符号の説明】
1 胴体
2 引手
3 連結体
4 取付部
5 カバー体
6 突起
10 停止爪杆
20 横バー
21 縦バー
22 固定部
23 支持部
26 規制部
27 係止部
28 取付環
30 掴持部
31 くびれ部
32 屈曲部
Claims (16)
- スライダーの胴体1の上面に引手取付部4を設け、該取付部4に対し、連結体3の一部をスライダーの摺動方向と直交状に挿通して横方向に回動可能に形成し、連結体3の左右いずれか一方側に弾性体から形成された引手2を固定して固定部22を形成し、引手2を常時胴体1の上面へ横倒しに倒伏する形に付勢してなることを特徴とするスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体から形成された引手2は、環状に形成し、環状の一部を連結体3に設けた縦バー21に固定して固定部22を形成してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体から形成された引手2は、板状に形成し、板状の一部を連結体3に設けた縦バー21に固定して固定部22を形成してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は取付部4に挿通できる2本の横バー20を間隔をおいて配し、横バー20の先端に横バー20よりも前後に突出する縦バー21を一体に成形してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は弾性体の引手2を固定した固定部22をスライダーの胴体1の上面へ当接状態に載置してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は一方側に縦バー21を配し、該縦バー21にU字形の横バー20を連接し、胴体1の上面に設けた取付部4の左右に配される横バー20間に胴体1の上面に突設した突起6を嵌合してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は胴体1の上面に設けた取付部4を遊嵌できる環状の支持部23を有し、支持部23の外側に胴体1の上面へ張り出す規制部26を設け、該規制部26の反対側に弾性体の引手2を固定した固定部22を設けてなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は1本の横バー20の両端に縦バー21を連接し、一方側の縦バー21の外側に突出する係止部27を設け、該係止部27に弾性体の引手2を取付環28によって固定してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 連結体3は横設した横バー20を胴体1の上面に取り付けたカバー体5内に内装した自動停止爪杆10に挿通し、停止爪杆10を浮上可能に形成してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、連結体3の一方側に配した縦バー21を埋装し固定して固定部22を形成してなる請求項2または3記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、胴体1の中央長手方向においてくびれたまたは凹状のくびれ部31を形成してなる請求項2または3記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、連結体3を固定した固定部22の反対側に拡径状または肉厚状の掴持部30を形成してなる請求項2または3記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、環状に形成し連結体3を固定した固定部22の反対側に斜め前方へ空隙が拡大する掴持部30を形成してなる請求項2記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、環状のD字形または逆D字形に形成し連結体3を固定した固定部22の反対側の前後に空隙が拡大する掴持部30を形成してなる請求項2記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
- 弾性体の引手2は、板状に形成し、固定部22を基準に起立して取付部を被覆する形に屈折して屈曲部32を設けてなる請求項3記載のスライドファスナー用スライダーの引手
- 弾性体の引手2は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーから形成してなる請求項1記載のスライドファスナー用スライダーの引手。
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