JP3610694B2 - 打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチとダイを用いて金属板のような板状の被加工材を打ち抜くことによって被加工材にパンチの断面形状と実質的に同じ形状の開口(孔)を形成するためのプレス型に係り、特に、被加工材の打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カーエアコン用の電磁クラッチにおいては、小型軽量化と性能の向上を図るために、パンチを有するプレス型によってアーマチュアに形成される長孔の短辺の長さが板厚の2分の1以下とされるような場合がある。このような場合に使用される長孔用パンチには、被加工材の打ち抜き剪断面が食いついて摩擦力が非常に大きくなるために、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなることから、一般にパンチの寿命が短くなり、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用等が嵩みがちである。
【0003】
この問題に対する従来技術における対策として、例えば実開昭58−160624号公報に記載されているパンチセットでは、パンチガイドに油溜めを設けると共にパンチガイドの摺動面に油溝又は連通口を設け、油溜めと油溝とを連通させることによって摺動面に潤滑油が供給されるようにしているが、これはパンチの外周部への潤滑油の供給方法を改善するものであって、剪断面への直接の給油方法ではないため、やはりパンチの焼きつき等の従来技術の問題は完全には解消されない。
【0004】
他の従来技術として、特開昭52−44484号公報に記載されているプレス型では、パンチの周囲又は内部を通して被加工材の切断部に油を供給する油路を形成すると言っても、開示されたものはパンチの外周又は内部の穴を通して被加工材の表面に加工油を供給するものであって、剪断面への自動給油を可能にするものではないので、やはり従来技術の問題は十分に解消されない。
【0005】
更に他の従来技術として、特公平1−46205号公報に記載されている扱き加工パンチでは、扱き加工におけるパンチに被加工材が食いつくのを防止すると共に、被加工材の抜け出しを容易にするために、パンチの側面に多数の点状の凹部を設けてその凹部を油溜りとするものが記載されているが、剪断面へ給油するためのものではないので、やはりパンチの焼きつきの問題は解消されない。
【0006】
更に他の従来技術として、特開昭55−27448号公報に記載されているプレス抜型では、パンチの外周部に潤滑油を自動的に塗布するための油溜めをストリッパに穿設しているが、この場合はパンチの外周部に潤滑油を塗布することはできても、剪断時にパンチが摺動する被加工材の剪断面には潤滑油が塗布されないので、やはりパンチの焼きつきの問題は完全には解消されない。
【0007】
更に他の従来技術として、特開昭57−1527号公報に記載されているストリッパの弾性を利用した給油装置では、パンチの外周部を囲繞して設けた弾性体からなるストリッパのパンチ側下端の内周面に、パンチと接する油滴保持体を設けているが、この装置によってパンチに油を塗布することはできても、被加工材の剪断面に十分に給油を行うことはできないので、やはりパンチの焼きつきの問題は完全には解消されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来技術における前述のような問題に対処して、パンチと摺動接触する被加工材の打ち抜き剪断面に直接に給油を行って、摩擦力が大きくなるのを抑えることにより、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなるのを防止し、パンチの寿命を大幅に延ばすと共に、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用を節減することができるような、改良された打ち抜き剪断面への給油手段を具えたプレス型を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型を提供する。
【0010】
請求項1に記載された本発明の基本的な構成の特徴は、パンチ、パンチ支持手段、ダイ、ダイ支持手段、及びストリッパからなるプレス型において、パンチが貫通している被加工材押さえ用のストリッパには、パンチの周囲において第1の油溜りが形成されていて、第1の油溜りには外部の油供給源から加工油が供給されていると共に、パンチの先端部に近い部分の外面には、所定の時期におけるパンチの行程位置において、第1の油溜りと連通し得る第2の油溜りが形成されていることである。
【0011】
それによって、パンチがダイから最も遠ざかる上死点位置付近にある場合のように、パンチのストリッパに対する移動範囲の一端付近において、パンチに形成された第2の油溜りがストリッパに形成された第1の油溜りと連通して、第2の油溜りの中へ第1の油溜りから一定量の加工油が導入される。次に、パンチの先端部がダイに形成された開口に最も深く進入する下死点位置付近にある場合のように、パンチのストリッパに対する移動範囲の他端付近において、パンチに形成された第2の油溜りが被加工材に形成された開口の剪断面と対面して、剪断面へ自動的に第2の油溜りの中の適量の加工油が供給されるので、その潤滑、冷却作用によって、パンチと摺動接触する被加工材の剪断面における摩擦力が大きくなるのを抑えることができ、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなるのを防止して、パンチの寿命を大幅に延ばし、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用を節減することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載された手段によれば、請求項1に記載された手段に加えて、最も一般的なプレス型と同様に、プレス機における相対的に変位する一対の部分のうちの一方の部分、即ちパンチを支持する側が可動となっており、他方の部分、即ちダイ及び被加工材を支持する部分が固定されている。
【0013】
請求項3に記載された手段によれば、ストリッパに形成された第1の油溜りが油洩れ防止プレートによってカバーされているので、第1の油溜りへ供給される加工油は、第2の油溜りを経て被加工材の剪断面へ供給されるものを除いて、無駄に外部へ洩れ出るのを防止することができる。
【0014】
請求項4に記載された手段によれば、第2の油溜りが、パンチの先端部に近い部分の外面の全周にわたって帯状に溝として形成されるので、第1の油溜りと連通して所定の量の加工油を受け入れるときや、被加工材の剪断面へその加工油を与えるときの作用が円滑に行われる。また、溝がパンチの全周にわたって設けられるので、剪断面の一部が潤滑不良になる恐れもない。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3は被加工材9に孔を打ち抜きによって形成するためのプレス型の組立図である。プレス型の上型台1と下型台8は、ガイドポスト15とガイドブッシュ14によって位置関係が保たれたダイセットを構成する。上型台1には、パンチ4が、パンチプレート3にセットされた状態で、バッキングプレート2とともに取り付けられている。ストリッパ5はハンガーボルト10によって上型台1から吊り下げられ、バネ11の付勢力によって被加工材9を下方へ押しつけることにより、パンチ4に食い付いた被加工材をパンチ4から引き離す働きをする。
【0016】
ストリッパ5の油供給口aには給油用ホース13が取り付けられ、加工油を収容している給油タンク12から自動的に給油を受ける構造になっている。ダイ7は下型台8にセットされ、上型台1に取り付けられたパンチ4に対して芯合わせをされている。なお、ロケーションプレート16は、被加工材9の位置決めを正確に行うためのものである。
【0017】
図3に示すプレス型の上型台1は図示しないプレス機のプレススライドにボルトによって取り付けられているので、スライドの上下動に伴って上型台1も、それに取り付けられたパンチプレート3やパンチ4、ストリッパ5とともに上下動する。
【0018】
一方、下型台8は図示しないプレス機のプレスボルスタに取り付けられていて、ダイ7とともに静止の状態にある。パンチ4が上死点にある図3の状態から、プレススライドが下降して図1に示す状態になるまでの過程を説明すると、プレススライドと一体の上型台1の下降に伴って、まずストリッパ5が被加工材9にバネ11の圧縮力によって押しつけられる。上型台1が更に下降すると、パンチ4が被加工材9を打ち抜いて下死点に到達し、図1の状態となる。
【0019】
パンチ4が被加工材9を打ち抜く時は、従来のものでも被加工材9の表面又はパンチ4の刃先部に加工油が塗布されているが、被加工材9を打ち抜いて下死点に到達したパンチ4の側面や被加工材9の剪断面9aには加工油は残っていないので、パンチ4が上方へ戻る際には、パンチ4の側面と被加工材9の剪断面9aとの間は無潤滑の状態となって、摩擦抵抗が増大し、摩擦熱によって焼付きが発生するために、パンチ4の寿命が短かくなるという問題があった。
【0020】
この問題に対処するために、図示実施形態のプレス型においてはストリッパ5の窪みとしてパンチ4の周囲とそれに続く部分に油溜りb(第1の油溜り)が設けてあり、この油溜りbは油供給口aから外部の給油タンク12にホース13によって接続されていて、自動的に加工油が油溜りbへ供給される構造になっている。油溜りbから加工油が溢れるのを防止するために、ストリッパ5にパンチ4を通過させる穴を有する油洩れ防止プレート6を取り付ける。パンチ4自体の先端部の切刃4aの近傍の側面には、溝状の油溜りc(第2の油溜り)が全周にわたって環状に設けられており、図2の状態(上死点付近)で油溜りbから油溜りcへ加工油が充填される。そして、図1の状態(下死点付近)において、パンチ4の油溜りcから加工油が被加工材9の剪断面9aに自動的に供給されるようになっている。いずれの場合も、パンチ4の切刃4aのような油溜りc以外のランド部がストリッパ5の穴を塞いでいるので、油溜りbから直接に加工油が洩れることはない。
【0021】
従って、パンチ4が上方へ戻る際には、パンチ4の側面と被加工材9の剪断面9aには、パンチ4の油溜りcにあった加工油が供給されているので、この部分における摩擦抵抗が軽減され、摩擦熱の発生量が少なくなるため、剪断面9aに対するパンチ4の焼付きが防止されて、パンチ4の寿命を従来のものに比べて4〜5倍にも伸ばすことができた。従って、長期間の使用における型の修理回数が大幅に減少し、それに伴ってプレス型の修理に要する費用も激減した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態としてのプレス型の、下死点に近い位置にあるパンチを含む要部を拡大して示す縦断面図である。
【図2】図1に示すプレス型の、ストリッパ下面が被加工材に接触した位置にあるパンチを含む要部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図1及び図2に示すプレス型の全体構造を示す縦断面図である。
【図4】実施形態におけるパンチの形状を示すもので、(A)は横断面図、(B)は斜視図である。
【符号の説明】
1…上型台
2…バッキングプレート
3…パンチプレート
4…パンチ
4a…切刃
5…ストリッパ
6…油洩れ防止プレート
7…ダイ
8…下型台
9…被加工材
9a…剪断面
10…ハンガーボルト
11…バネ
12…給油タンク
13…給油用ホース
14…ガイドブッシュ
15…ガイドポスト
16…ロケーションプレート
a…油供給口
b…第1の油溜り
c…第2の油溜り
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチとダイを用いて金属板のような板状の被加工材を打ち抜くことによって被加工材にパンチの断面形状と実質的に同じ形状の開口(孔)を形成するためのプレス型に係り、特に、被加工材の打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カーエアコン用の電磁クラッチにおいては、小型軽量化と性能の向上を図るために、パンチを有するプレス型によってアーマチュアに形成される長孔の短辺の長さが板厚の2分の1以下とされるような場合がある。このような場合に使用される長孔用パンチには、被加工材の打ち抜き剪断面が食いついて摩擦力が非常に大きくなるために、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなることから、一般にパンチの寿命が短くなり、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用等が嵩みがちである。
【0003】
この問題に対する従来技術における対策として、例えば実開昭58−160624号公報に記載されているパンチセットでは、パンチガイドに油溜めを設けると共にパンチガイドの摺動面に油溝又は連通口を設け、油溜めと油溝とを連通させることによって摺動面に潤滑油が供給されるようにしているが、これはパンチの外周部への潤滑油の供給方法を改善するものであって、剪断面への直接の給油方法ではないため、やはりパンチの焼きつき等の従来技術の問題は完全には解消されない。
【0004】
他の従来技術として、特開昭52−44484号公報に記載されているプレス型では、パンチの周囲又は内部を通して被加工材の切断部に油を供給する油路を形成すると言っても、開示されたものはパンチの外周又は内部の穴を通して被加工材の表面に加工油を供給するものであって、剪断面への自動給油を可能にするものではないので、やはり従来技術の問題は十分に解消されない。
【0005】
更に他の従来技術として、特公平1−46205号公報に記載されている扱き加工パンチでは、扱き加工におけるパンチに被加工材が食いつくのを防止すると共に、被加工材の抜け出しを容易にするために、パンチの側面に多数の点状の凹部を設けてその凹部を油溜りとするものが記載されているが、剪断面へ給油するためのものではないので、やはりパンチの焼きつきの問題は解消されない。
【0006】
更に他の従来技術として、特開昭55−27448号公報に記載されているプレス抜型では、パンチの外周部に潤滑油を自動的に塗布するための油溜めをストリッパに穿設しているが、この場合はパンチの外周部に潤滑油を塗布することはできても、剪断時にパンチが摺動する被加工材の剪断面には潤滑油が塗布されないので、やはりパンチの焼きつきの問題は完全には解消されない。
【0007】
更に他の従来技術として、特開昭57−1527号公報に記載されているストリッパの弾性を利用した給油装置では、パンチの外周部を囲繞して設けた弾性体からなるストリッパのパンチ側下端の内周面に、パンチと接する油滴保持体を設けているが、この装置によってパンチに油を塗布することはできても、被加工材の剪断面に十分に給油を行うことはできないので、やはりパンチの焼きつきの問題は完全には解消されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来技術における前述のような問題に対処して、パンチと摺動接触する被加工材の打ち抜き剪断面に直接に給油を行って、摩擦力が大きくなるのを抑えることにより、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなるのを防止し、パンチの寿命を大幅に延ばすと共に、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用を節減することができるような、改良された打ち抜き剪断面への給油手段を具えたプレス型を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型を提供する。
【0010】
請求項1に記載された本発明の基本的な構成の特徴は、パンチ、パンチ支持手段、ダイ、ダイ支持手段、及びストリッパからなるプレス型において、パンチが貫通している被加工材押さえ用のストリッパには、パンチの周囲において第1の油溜りが形成されていて、第1の油溜りには外部の油供給源から加工油が供給されていると共に、パンチの先端部に近い部分の外面には、所定の時期におけるパンチの行程位置において、第1の油溜りと連通し得る第2の油溜りが形成されていることである。
【0011】
それによって、パンチがダイから最も遠ざかる上死点位置付近にある場合のように、パンチのストリッパに対する移動範囲の一端付近において、パンチに形成された第2の油溜りがストリッパに形成された第1の油溜りと連通して、第2の油溜りの中へ第1の油溜りから一定量の加工油が導入される。次に、パンチの先端部がダイに形成された開口に最も深く進入する下死点位置付近にある場合のように、パンチのストリッパに対する移動範囲の他端付近において、パンチに形成された第2の油溜りが被加工材に形成された開口の剪断面と対面して、剪断面へ自動的に第2の油溜りの中の適量の加工油が供給されるので、その潤滑、冷却作用によって、パンチと摺動接触する被加工材の剪断面における摩擦力が大きくなるのを抑えることができ、摩擦熱によって打ち抜き剪断面がパンチに焼きついたり、パンチが折損しやすくなるのを防止して、パンチの寿命を大幅に延ばし、パンチの製作費や修理費、プレス機の段取りに要する費用を節減することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載された手段によれば、請求項1に記載された手段に加えて、最も一般的なプレス型と同様に、プレス機における相対的に変位する一対の部分のうちの一方の部分、即ちパンチを支持する側が可動となっており、他方の部分、即ちダイ及び被加工材を支持する部分が固定されている。
【0013】
請求項3に記載された手段によれば、ストリッパに形成された第1の油溜りが油洩れ防止プレートによってカバーされているので、第1の油溜りへ供給される加工油は、第2の油溜りを経て被加工材の剪断面へ供給されるものを除いて、無駄に外部へ洩れ出るのを防止することができる。
【0014】
請求項4に記載された手段によれば、第2の油溜りが、パンチの先端部に近い部分の外面の全周にわたって帯状に溝として形成されるので、第1の油溜りと連通して所定の量の加工油を受け入れるときや、被加工材の剪断面へその加工油を与えるときの作用が円滑に行われる。また、溝がパンチの全周にわたって設けられるので、剪断面の一部が潤滑不良になる恐れもない。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3は被加工材9に孔を打ち抜きによって形成するためのプレス型の組立図である。プレス型の上型台1と下型台8は、ガイドポスト15とガイドブッシュ14によって位置関係が保たれたダイセットを構成する。上型台1には、パンチ4が、パンチプレート3にセットされた状態で、バッキングプレート2とともに取り付けられている。ストリッパ5はハンガーボルト10によって上型台1から吊り下げられ、バネ11の付勢力によって被加工材9を下方へ押しつけることにより、パンチ4に食い付いた被加工材をパンチ4から引き離す働きをする。
【0016】
ストリッパ5の油供給口aには給油用ホース13が取り付けられ、加工油を収容している給油タンク12から自動的に給油を受ける構造になっている。ダイ7は下型台8にセットされ、上型台1に取り付けられたパンチ4に対して芯合わせをされている。なお、ロケーションプレート16は、被加工材9の位置決めを正確に行うためのものである。
【0017】
図3に示すプレス型の上型台1は図示しないプレス機のプレススライドにボルトによって取り付けられているので、スライドの上下動に伴って上型台1も、それに取り付けられたパンチプレート3やパンチ4、ストリッパ5とともに上下動する。
【0018】
一方、下型台8は図示しないプレス機のプレスボルスタに取り付けられていて、ダイ7とともに静止の状態にある。パンチ4が上死点にある図3の状態から、プレススライドが下降して図1に示す状態になるまでの過程を説明すると、プレススライドと一体の上型台1の下降に伴って、まずストリッパ5が被加工材9にバネ11の圧縮力によって押しつけられる。上型台1が更に下降すると、パンチ4が被加工材9を打ち抜いて下死点に到達し、図1の状態となる。
【0019】
パンチ4が被加工材9を打ち抜く時は、従来のものでも被加工材9の表面又はパンチ4の刃先部に加工油が塗布されているが、被加工材9を打ち抜いて下死点に到達したパンチ4の側面や被加工材9の剪断面9aには加工油は残っていないので、パンチ4が上方へ戻る際には、パンチ4の側面と被加工材9の剪断面9aとの間は無潤滑の状態となって、摩擦抵抗が増大し、摩擦熱によって焼付きが発生するために、パンチ4の寿命が短かくなるという問題があった。
【0020】
この問題に対処するために、図示実施形態のプレス型においてはストリッパ5の窪みとしてパンチ4の周囲とそれに続く部分に油溜りb(第1の油溜り)が設けてあり、この油溜りbは油供給口aから外部の給油タンク12にホース13によって接続されていて、自動的に加工油が油溜りbへ供給される構造になっている。油溜りbから加工油が溢れるのを防止するために、ストリッパ5にパンチ4を通過させる穴を有する油洩れ防止プレート6を取り付ける。パンチ4自体の先端部の切刃4aの近傍の側面には、溝状の油溜りc(第2の油溜り)が全周にわたって環状に設けられており、図2の状態(上死点付近)で油溜りbから油溜りcへ加工油が充填される。そして、図1の状態(下死点付近)において、パンチ4の油溜りcから加工油が被加工材9の剪断面9aに自動的に供給されるようになっている。いずれの場合も、パンチ4の切刃4aのような油溜りc以外のランド部がストリッパ5の穴を塞いでいるので、油溜りbから直接に加工油が洩れることはない。
【0021】
従って、パンチ4が上方へ戻る際には、パンチ4の側面と被加工材9の剪断面9aには、パンチ4の油溜りcにあった加工油が供給されているので、この部分における摩擦抵抗が軽減され、摩擦熱の発生量が少なくなるため、剪断面9aに対するパンチ4の焼付きが防止されて、パンチ4の寿命を従来のものに比べて4〜5倍にも伸ばすことができた。従って、長期間の使用における型の修理回数が大幅に減少し、それに伴ってプレス型の修理に要する費用も激減した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態としてのプレス型の、下死点に近い位置にあるパンチを含む要部を拡大して示す縦断面図である。
【図2】図1に示すプレス型の、ストリッパ下面が被加工材に接触した位置にあるパンチを含む要部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図1及び図2に示すプレス型の全体構造を示す縦断面図である。
【図4】実施形態におけるパンチの形状を示すもので、(A)は横断面図、(B)は斜視図である。
【符号の説明】
1…上型台
2…バッキングプレート
3…パンチプレート
4…パンチ
4a…切刃
5…ストリッパ
6…油洩れ防止プレート
7…ダイ
8…下型台
9…被加工材
9a…剪断面
10…ハンガーボルト
11…バネ
12…給油タンク
13…給油用ホース
14…ガイドブッシュ
15…ガイドポスト
16…ロケーションプレート
a…油供給口
b…第1の油溜り
c…第2の油溜り
Claims (4)
- 被加工材を打ち抜くことによって前記被加工材に開口を形成するパンチと、プレス機における相対的に変位する一対の部分のうちの一方の部分に前記パンチの基部を取り付けて支持するパンチ支持手段と、前記被加工材を支持すると共に前記パンチと協働して前記被加工材に前記開口を形成するために前記パンチの先端を受け入れる開口を有するダイと、前記プレス機の相対的に変位する前記一対の部分のうちの他方の部分に前記ダイを取り付けて支持するダイ支持手段と、前記パンチが貫通する開口を有し打ち抜きが行われる時に前記ダイに向かって前記被加工材を押しつけるストリッパとよりなり、前記ストリッパにはそれを貫通している前記パンチの周囲に第1の油溜りが形成されていて油供給源から加工油が供給されていると共に、前記パンチの先端部に近い部分の外面には第2の油溜りが形成されていて、前記パンチの前記ストリッパに対する移動範囲の一端付近において前記第2の油溜りが前記第1の油溜りと連通して前記第2の油溜りの中へ前記第1の油溜りから加工油を導入すると共に、前記パンチの前記ストリッパに対する移動範囲の他端付近において前記第2の油溜りが前記被加工材に形成された前記開口の剪断面と対面して前記剪断面へ前記第2の油溜りの加工油を供給するように構成されていることを特徴とする、打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型。
- 前記プレス機における相対的に変位する前記一対の部分のうちの前記一方の部分が可動となっており、前記他方の部分が固定されていることを特徴とする請求項1に記載されたプレス型。
- 前記第1の油溜りが油洩れ防止プレートによってカバーされていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたプレス型。
- 前記第2の油溜りが、前記パンチの先端部に近い部分の外面全周にわたって形成された溝からなっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたプレス型。
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JP26170196A JP3610694B2 (ja) | 1996-10-02 | 1996-10-02 | 打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型 |
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JPH10109125A JPH10109125A (ja) | 1998-04-28 |
JP3610694B2 true JP3610694B2 (ja) | 2005-01-19 |
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JP26170196A Expired - Fee Related JP3610694B2 (ja) | 1996-10-02 | 1996-10-02 | 打ち抜き剪断面への給油手段を有するプレス型 |
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JP4526799B2 (ja) * | 2003-10-22 | 2010-08-18 | パナソニック株式会社 | プレス加工用金型及びプレス加工方法 |
JP4341572B2 (ja) * | 2005-03-29 | 2009-10-07 | ブラザー工業株式会社 | ポンチ及びインクジェットヘッドのノズル形成用ポンチ |
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