JP3608642B2 - 核酸製剤 - Google Patents

核酸製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP3608642B2
JP3608642B2 JP29013797A JP29013797A JP3608642B2 JP 3608642 B2 JP3608642 B2 JP 3608642B2 JP 29013797 A JP29013797 A JP 29013797A JP 29013797 A JP29013797 A JP 29013797A JP 3608642 B2 JP3608642 B2 JP 3608642B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
mice
influenza
seq
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29013797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10113194A (ja
Inventor
ジヨン・ジエイ・ドンリー
バラバニ・ジエイ・ドウワルキ
マーガレツト・エイ・リウ
ドンナ・エル・モンゴメリー
スザンヌ・イー・パーカー
ジヨン・ダブリユ・シバー
ジエフリー・ビー・ウルマー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Merck and Co Inc
Original Assignee
Merck and Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Merck and Co Inc filed Critical Merck and Co Inc
Publication of JPH10113194A publication Critical patent/JPH10113194A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3608642B2 publication Critical patent/JP3608642B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/16Antivirals for RNA viruses for influenza or rhinoviruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2760/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
    • C12N2760/00011Details
    • C12N2760/16011Orthomyxoviridae
    • C12N2760/16111Influenzavirus A, i.e. influenza A virus
    • C12N2760/16122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規の医薬製品、即ち脊椎動物生体組織中に直接導入した場合にヒトインフルエンザウイルスを特異的に認識する免疫反応の生成を誘発する核酸の製造及び使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
インフルエンザはA又はB型インフルエンザウイルスによる気道の感染により引き起こされる急性発熱性疾患である。インフルエンザの大発生は殆ど毎年、周期的流行病又は汎性流行病を伴って全世界で起こる。インフルエンザは重篤な全身性症状、入院を要する重症疾患(例えばウイルス性肺炎)、及び二次細菌性肺炎のような合併症を引き起こし得る。最近の米国での流行の年で>10,000(40,000まで)以上の死亡者を出しているが、非流行年の1年当たりの死亡は5,000〜10,000名であると考えられる。インフルエンザ関連の罹患及び死亡を防止するための最良の方法はワクチン接種である。最新の認可ワクチンは卵中で増殖させ、次いで不活性化した3種類のウイルス株(A株2種及びB株1種)を含むウイルスから得られる。3種類のワクチン:即ち全ウイルス、サブビリオン及び精製表面抗原が利用できる。全ウイルスワクチンでは発熱性反応が増大するため、小児に用いられるのは後者の2種のみである。9歳以下の小児は2段階の免疫化を要するが、一方成人は1回の注射だけでよい。しかしながら、老齢患者ではワクチン接種後の抗体力価が4か月又はそれ以前に防御レベル未満にまで減少した例があったことにより、“初秋にワクチン接種を受けた患者は冬又は初春に二次投与すると有効である”ことが示唆されている(Medical Letter 32:89−90,Sept.17,1993参照)。最近のウイルス株で臨床的に流行するものを予測し、新規の有毒株は来たるべきインフルエンザシーズンに優勢であると予期されるものに基づき、これらのワクチンを毎年再処方する。ワクチン再接種は毎年行なうよう推奨されている。
【0003】
A.認可ワクチンの限界:
1)特にA型インフルエンザでは抗原変異が生じ、以前のワクチン(又は以前の感染)により生じている抗体では中和されないウイルスを生じる。表面糖タンパク質(ヘマグルチニン[HA]及びニューラミニダーゼ)をコードする遺伝子の点突然変異(抗原連続変異)により及び再類別(抗原不連続変異)により新規の株が生じ、一方内部タンパク質は連続変異株及び不連続変異株内でも高度に保存される。免疫化は、細胞媒介免疫を基礎にした“異種”群間共通免疫ではなく、“同種”株特異性抗体媒介免疫を引き出すに過ぎない。
【0004】
2)インフルエンザウイルスの優勢流行株が、ある年からその翌年にかけて有意に不連続変異又は連続変異しない場合でも、抗体力価が低減するため免疫化は毎年実施しなければならない。血球凝集阻止(HI)及び中和の抗体は数か月〜数年存続し、その後次第に低減することが幾人かにより報告されているけれども、Advisory Committee on Immunization Practicesは、大きな連続変異又は不連続変異が認められなかった場合でも年に1度の免疫化を推奨する理由として、ワクチン接種後その年内に抗体力価が低減すると言及している(HI抗体は赤血球を凝集するインフルエンザウイルスの能力を阻害する。中和抗体と同じく、それはHA抗原に主として対応する。血球凝集阻止試験は中和検定より容易に且つ低経費で実施し得るので、異なる株に対して反応するインフルエンザのある株に対して生じる抗体の能力を評価する手段としてしばしば用いられる)。上記のように、ある程度危険な状態にある老齢患者は、上記防御抗体力価の有効期間が短いために1シーズンに2回ワクチン接種すべきであると、上記Medical Letterは示唆している。
【0005】
3)ワクチンの有効性は満足なものではない。次シーズンのワクチンの開発は、来たるべき流行株を予測すること(アジアにおける監視サンプリングによる)に依っており、これは不正確で、ワクチン用に用いる株と実際に野外で流行するものとのとが余り適合しないということが起こり得る。さらに1992〜1993年のインフルエンザシーズン中に起きたように、新規のH3N2株(A/Beijing/92)がインフルエンザシーズンの後期になってから臨床的に明らかになった。これは、抗原不連続変異のために昔のH3N2株(A/Beijing/89)により誘発された抗体が、A/Beijing/92と交叉反応性が不十分となったためで、1993〜1994年ワクチンの組成の変更を促した。しかしながら、現在では認可ワクチンの製造及び調剤に時間を要するために、既存のワクチンによる防御が不十分であることが判明し、且つ新規流行中のH3N2株の被害が増大しているにもかかわらず、1992〜1993年シーズン中には新規のワクチン株は導入できなかった。
【0006】
ワクチンと流行株とがよく適合した場合でも、認可ワクチンは健康な小児及び青年の約70%、虚弱老齢者の30〜40%の疾患を予防するに過ぎない。したがって、ワクチン株が流行株に対応する場合にワクチンの効能を示すためには他の判定基準を用いる。これらの判定基準としては、重症疾患及び二次合併症の予防が挙げられるが、これらは入院防止(自宅生活年配者に関しては70%、老人ホーム生活年配者に関しては50〜60%)及び死亡防止(老人ホーム居住者に関しては80%)に反映される。老人ホームでの感染の蔓延を低減するための集団免疫は、免疫化のもう一つの利点であると考えられる。
【0007】
B.理想的な普遍的インフルエンザワクチンの特性(本発明の目的):
1)群共通(異種)防御の生成
普遍的ワクチンとは、例えばH3N2サブタイプ内の、そしてできればサブタイプ間でも、例えばH1N1からH3N2までの異なる株に対して防御し得るものである。これは内部保存ウイルスタンパク質からの抗原を認識する細胞毒性Tリンパ球(CTL)の媒介に依存するものと思われるが、しかし膜結合タンパク質の保存部分に対して向けられる中和抗体もある役割を演じると考えられる。
【0008】
2)抗体反応の幅の増大
CTLは疾病からの回復にある役割を演じると考えられるため、もっぱらCTL反応を基礎にしたワクチンは疾病の持続期間を短縮する(疾病を無症状にさせる点までの場合を含む)ことが予期されるが、しかし疾病を完全に防止はしないと思われる。卵中での継代による現在のインフルエンザワクチンの製造方法は、HA抗原性を変えたウイルス亜集団が選択され得ることが実験的に示されている。その結果、ワクチンにより引き出された抗体が優勢な流行株に対して完全には有効でないために、ワクチン効力が減殺される可能性がある。したがって現在のワクチンと比較して反応の幅を改良した抗体の産生が望まれる。1992〜93年のインフルエンザシーズンは、A/Beijing/89を用いたワクチンがやはり毒性の大きい新規のA/Beijing/92株に対して十分に交叉反応を示さず、防御力の低い抗体を生成するという、現行のワクチンの限界の優れた事例を提供した。両株はH3N2、即ち同一サブタイプのものでありながら、アミノ酸配列に関しては、A/Beijing/92株はHA1領域における点突然変異が僅かに11(位置133、135、145、156、157、186、190、191、193、226及び262)で、A/Beijing/89株とは異なっていた。現在の製造方法が交差反応性の欠如に影響を及ぼすか否かは分からないが、しかし抗体反応の幅の改良が望ましいことは明らかである。
【0009】
3)抗体反応の持続時間の増大
インフルエンザ感染の罹患率及び死亡率に関して最も危険性の高い群の1つ(年配者)は、防御抗体力価が年1度の免疫化では急速に低減して有効でない群でもあるため、改良ワクチンはより長く存続する抗体の防御力価を生成する必要がある。
【0010】
C.ワクチンとしてのポリヌクレオチド
ポリヌクレオチド構築物、即ちタンパク質をコードするDNAプラスミドの筋肉内接種は、筋肉細胞でタンパク質をその場で生成させることが示されている。ウイルスタンパク質をコードするcDNAプラスミドを用いることにより、抗体及びCTL反応をともに生じて、それぞれ同種又は交差株防御をその後の誘発の際の同種及び異種防御に提供する。これらの種類の免疫反応は各々、既存のワクチン法を上回ると思われる利点を提供する。抗体を生成するためにPNVを使用すると、抗体反応の持続時間の増大と、並びにウイルスの臨床的流行株の正確な配列並びに元のタンパク質(組換え体タンパク質に対して)の適正な翻訳後修飾及び配座とを有し得る抗原の供給が生じ得る。この方法によるCTL反応の発生により、病原となる可能性のある生ベクター又は弱毒ウイルスを使用せずに、交差株防御の実現が可能となる。
【0011】
D.背景のさらなる説明:
したがって、インフルエンザのようなウイルス(中和抗体が生成される対象の)に対するワクチンの開発のための主な課題は、単離物間又は株間のウイルスエンベロープタンパク質の多様性である。マウス及びヒト双方における細胞毒性Tリンパ球は保存内部ウイルスタンパク質由来のエピトープを認識でき[J.W.Yewdellら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82,1785(1985);A.R.M.Townsendら,Cell 44,959(1986);A.J.McMichaelら,J.Gen.Virol.67,719(1986);J.Bastinら,J.Exp.Med.165,1508(1987);A.R.M.Townsend及びH.Bodmer,Annu.Rev.Immunol.7,601(1989)]、ウイルスに対する免疫反応に重要であると考えられる[Y.L.Lin及びB.A.Askonas,J.Exp.Med.154,225(1981):I.Gardnerら,Eur.J.Immunol.4,68(1974);K.L.Yap及びG.L.Ada,Nature 273,238(1978);A.J.McMichaelら,New Engl.J.Med.309,13(1983);P.M.Talor及びB.A.Askonas,Immunol.58,417(1986)]ので、異なるウイルス株に対する異種防御を提供し得るCTLワクチンの開発に尽力が注がれた。
【0012】
CD8CTLキルウイルス感染細胞は、それらのT細胞受容体がウイルスペプチドを認識する場合、MHCクラスI分子と会合した[R.M.Zinkernagel及びP.C.Doherty,同誌141,1427(1975);R.N.Germain,Nature 353,605(1991)]。これらのペプチドは、ウイルス内のタンパク質の位置又は機能にかかわらず、内生的合成ウイルスタンパク質由来のものである。したがって、保存ウイルスタンパク質からエピトープを認識することにより、CTLは交差株防御を提供し得る。CTL認識に関してMHCクラスIと会合し得るペプチドは細胞質又は小胞体の中に又はそれを通過して存在するタンパク質から生じる[J.W.Yewdell及びJ.R.Bennink,Science 244,1072(1989);A.R.M.Townsendら,Nature 340,443(1989);J.G.Nuchternら,同誌339,223(1989)]。したがって、エンドソーム性処理経路に入る外生タンパク質は(MHCクラスII分子による抗原の場合と同様に)概して、CD8CTL反応を生じるに際して有効でない。
【0013】
CTL反応を生じるための研究の殆どが、細胞内でタンパク質抗原を産生するための複製ベクターを用いる[J.R.Benninkら、同誌311,578(1984);J.R.Bennink及びJ.W.Yewdell,Curr.Top,Microbiol.Immunol.163,153(1990);C.K.Stoverら,Nature 351,456(1991);A.Aldovini及びR.A.Young,Nature 351,479(1991);R.Schaferら,J.Immunol.149,53(1992);C.S.Hahnら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)89,2679(1992)]か、又は細胞質ゾル中へのペプチドの導入に集中した[F.R.Carbone及びM.J.Bevan,J.Exp.Med.169,603(1989);K.Deresら,Nature 342,561(1989);H.Takahashiら,同誌344,873(1990);D.S.Collinsら,J.Immunol.148,3336(1992);M.J.Newmanら,同誌148,2357(1992)]。これらのアプローチはともに、ワクチンとしての有用性をそこなうような限界を有する。レトロウイルスベクターは融合タンパク質として発現され得るポリペプチドの大きさ及び構造が限られているが、一方複製する組換え体ウイルスの能力は保持しており[A.D.Miller,Curr.Top.Microbiol.Immunol.158,1(1992)]、その後の免疫化のためのワクチンのようなベクターの有効性は、ベクターそれ自体に対する免疫反応により弱体化され得る[E.L.Cooneyら,Lancet 337,567(1991)]。さらに、ウイルスベクター及び修飾病原体は、ヒトでのその使用を妨げ得る固有の危険性を有する[R.R.Redfieldら,New Engl.J.Med.316,673(1987);L.Mascolaら,Arch.Intern.Med.149,1569(1989)]。さらに、示されるペプチドエピトープの選択は、個々のMHC抗原の構造に依っており、したがってペプチドワクチンは異系交配集団におけるMHCハプロタイプの多様性のために限定された有効性を有する。
【0014】
Benvenisty,N.とReshef,L.[PNAS 83,9551−9555,(1986)]は、マウスに腹腔内、静脈内又は筋肉内投与された、CaCl沈降したDNAが発現されることを示した。マウスにDNA発現ベクターを筋注(i.m.)すると、筋肉細胞のDNA取り込み及びDNAによりコードされるタンパク質の発現が生じることが立証された[J.A.Wolffら,Science 247,1465(1990);G.Ascadiら,Nature 352,815(1991)]。プラスミドはエピソーム的に保持され、複製しないことが示された。その後、ラット、魚類及び霊長類の骨格筋並びにラットの心筋に筋注後に持続性発現が観察された[H.Linら,Circulation 82,2217(1990);R.N.Kitsisら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88,4138(1991);E.Hansenら,FEBS Lett.290,73(1991);S.Jiaoら,Hum.Gene Therapy 3,21(1992);J.A.Wolffら,Human Mol.Genet.1,363(1992)]。治療薬として核酸を用いる技術は、WO90/11092(1990年10月4日)に報告されているが、この場合、裸ポリヌクレオチドを用いて脊椎動物にワクチン接種した。
【0015】
方法の成功のためには免疫化が筋注である必要はない。即ち、Tang等[Nature,356,152−154(1992)]は、ウシ成長ホルモン(BGH)をコードするDNAで被覆した金ミクロ入射粒子をマウスの皮膚に導入するとマウスにおいて抗−BGH抗体が産生されることを開示した。Furth等[Analytical Biochemistry,205,365−368(1992)]は、生きた動物の皮膚、筋肉、脂肪及び乳房組織をトランスフェクトするためにジェットインジェクターを用い得ることを示した。核酸を導入するための種々の方法に関し、近年Friedman,T.,[Science,244,1275−1281(1989)]の総説がある。Robinsonら,Abstracts of Papers Presented at the 1992 meeting on Modern Approaches to New Vaccines,Including Preventionof AIDS,Cold Spring Harbor,p92も参照して頂きたいが、この場合、鳥類インフルエンザDNAの鶏へのim、ip及びiv投与は致命的影響に対する防御を提供したと記載されている。しかしながら、どの鳥類インフルエンザウイルス遺伝子を用いたかの開示はなかった。さらに、交差株防御の誘発については何も触れずに、H7特異性免疫反応のみが記載されている。
【0016】
したがって、本発明はタンパク質の発現を誘発するために生組織中に核酸を導入するための任意の公知の方法を意図する。本発明は、ウイルス特異性CTLを生成するための抗原処理経路にウイルスタンパク質を導入する方法を提供する。したがって、ウイルス性病原体に対する所望の予防的免疫反応を引き出し得る特異的治療薬の必要性は、本発明のインフルエンザウイルスにより満たされた。本治療アプローチにおいて特に重要なことは、抗原遺伝子を得た株と比べ異種であるウイルス株の感染をさえ防止し得るT細胞免疫反応を誘発する能力である。したがって、本発明は、ヒトインフルエンザウイルス核タンパク質(NP)、ヘマグルチニン(HA)、ニューラミニダーゼ(NM)、マトリックス(M)、非構造(NS)、ポリメラーゼ(PB1及びPB2=塩基性ポリメラーゼ1及び2;PA=酸性ポリメラーゼ)のウイルスタンパク質をコードするDNA構築物、又は特異的CTLを生成する物質をコードする任意の他のインフルエンザ遺伝子を提供する。
【0017】
インフルエンザウイルスは、複数のRNAセグメントから成るリボ核酸(RNA)ゲノムを有する。各RNAは少なくとも1つの遺伝子物質をコードする。NP遺伝子物質はRNAと結合して、ウイルスRNAを感染細胞の核中にトランスロケートする。配列は、50年の期間を見ても、アミノ酸配列中に僅か約7%の変化率で保存されている。P遺伝子物質(PB1、PB2、PA)は新規のウイルスRNAの合成に関与する。これらの遺伝子は、NP遺伝子よりさらに高度に保存されている。HAは主要ウイルスエンベロープ遺伝子物質である。それはNPほど高度には保存されていない。それは細胞受容体を結合し、したがって新規のインフルエンザ感染をもたらす。主要な中和抗体反応はこの遺伝子物質に対して向けられる。大部分の細胞毒性Tリンパ球反応もこのタンパク質に対して向けられる。ヒトインフルエンザウイルスに対する現行のワクチンは、3種類の株のインフルエンザウイルス又はそれらのHAタンパク質を有している。しかしながら、株が違うとHAのタンパク質配列が変異するので、ワクチンは絶えず流行している病原株に合わせて作られねばならない。しかしながら、HAは、適正に存在する場合には、CTLの生成のためのいくつかの保存要素を有している。NS1及びNS2遺伝子物質は生理機能が十分に判明していないが、しかし防御CTL反応の生成に有意であると思われる。最後に、HAにおけるよりもわずかに多く保存されたM1及びM2遺伝子物質は、主要CTL反応を誘発する。M1タンパク質は非常に豊富に存在するウイルス遺伝子物質である。
【0018】
その後のウイルス感染に対するDNAワクチン接種の防御効力は、1つ又はそれ以上の上記のウイルスタンパク質をコードする非複製プラスミドDNAを用いた免疫化により実証される。これは、感染性物質の関与がなく、ウイルス粒子を集める必要がなく、そして決定因子選択が可能であるために有益である。さらに、核タンパク質及びいくつかの他のウイルス遺伝子物質の配列がインフルエンザの種々の株内に保存されているため、クローン化遺伝子が得られた株と同種の又は異種のインフルエンザウイルスの有毒株によるその後の感染に対する防御が可能となる。
【0019】
本発明の要約
注射又は他の方法により動物組織中に直接導入する場合に発現され得る本発明のDNA構築物は、新規の予防製剤である。それらは、株特異性である一般の抗体に対比して、異なる株のウイルスと反応するウイルス抗原に特異的な細胞毒性Tリンパ球(CTL)を誘発する。このようなCTLのin vivo生成は通常、ウイルス感染の場合と同様に、抗原の内生的発現を要する。直接ペプチド供給の制約を伴わず又はウイルスベクターを使用せずに、免疫系に関与するウイルス抗原を生成するために、ヒトインフルエンザウイルスタンパク質をコードするプラスミドDNAをBALB/cマウスの四頭筋に注入したが、これによりインフルエンザウイルス特異性CTLが生成され、ウイルス肺力価の低下、体重損失の阻止、及び生存率の増大で測定されたように、インフルエンザウイルスの異種株を用いたその後の感染試験の防御がなされた。ヘマグルチニンに対する抗力価中和抗体及び核タンパク質に対する抗体がアカゲザルで生成され、鼻腔ウイルス力価の低下がフェレットの同種及び異種誘発試験後に観察された。
【0020】
本発明に関連する主要な観察を以下に挙げる:
1)効力の実証
NP遺伝子の供給源株とは異なるインフルエンザの株を用いて試験したマウスにおける生存率の増大、ウイルス肺力価の低下、及び体重損失の阻止で測定されるように、核タンパク質(NP)DNAを用いた免疫化後に異種防御が認められる。この場合、2つの株の表面タンパク質はまったく異なっており(H1N1対H3N2)、試験株は初期株後34年目に生じたものである。NP DNA及びマトリックス(M1)DNAを別々に、一緒に、又はHA DNAと組合せてフェレットを免疫化すると、連続変異株(臨床的単離物)を用いた試験に対する防御(鼻腔ウイルス脱落低減)が示された。特にDNAカクテル(Beijing/89タンパク質をコードするNP及びM1 DNA、及びBeijing/89又はHawaii/91 HAをコードするHA DNA)による防御は、フェレットにおける連続変異株(Georgia/93)に対しては、認可ワクチン(Beijing/89含有)によってもたらされるものより大きかった。Hawaii/91からのHA DNAを含有するカクテルは、Beijing/89からのHA DNAを含有するカクテルよりもわずかに効力が高いと思われた。Hawaii/91に関するHA DNAを含むカクテルを用いて観察された防御は同種HA DNA(Georgia/93)を用いて観察された防御と同等だったが、一方Beijing/89に関するHA DNAを有するカクテルは同種防御とは異なっていたが、しかしそれは依然として認可物質よりも有意に効力が良好であった。HI抗体は、マウス、フェレット、アカゲザル及びアフリカミドリザルを含めたすべての試験種で産生された。
【0021】
2)持続性
リポーター遺伝子をコードするDNAを用いた試験において、DNA及びタンパク質発現の存在は少なくとも1.5年間存続した(マウスで試験した最長時間;Wolffら,Human Mol.Genet.,1992)。したがって、インフルエンザ遺伝子物質も持続的に発現されるならば、その結果生じる免疫反応も持続しているはずである。インフルエンザDNA注入により生成される抗体及びCTL(Yankauckasら,DNA & Cell Biol.,1993)、並びに同種防御免疫(MRLデータ)は、マウスでは1年に亘って存続することが示されている。抗体は、アカゲザルでは今までのところ少なくとも1年間存続することが示されている。CTL反応及び異質防御の持続時間(生存率増大)は、6か月まで存続する(これまでの試験最長時間)。異種防御度のわずかな低減が生じたが、防御は増強可能である。
【0022】
3)用量範囲。
【0023】
アカゲザルで投与試験を実施した結果、HA DNA 100μgを2回投与すると、今までのところ1年HI抗体の良好な力価が存続することが示された。マウスにおける防御の発生(異種試験後の生存率増大)は、6μg(3回投与)という低い用量で、そして200μgの1回注入で観察されたが、しかし概して注射回数を増大すると(3回まで)防御程度が改良された。霊長類試験からは、3つのHAs並びにNP及びM1(後者はH3N2 Beijing/89遺伝子をコードする)をコードするDNA 10〜100μgを2回注射すると、認可ワクチンにより生成されるものとほぼ同じHI抗体力価を生じた。試験したすべての動物がインフルエンザには未感染であったが、一方で標的臨床集団(老齢個体)はすべてインフルエンザを経験しているということを思い起こすことは重要である(9才以下の小児に認可ワクチンを2回注射したことを思い出していただきたい)。
【0024】
本発明の詳しい説明
本発明は、哺乳類及びヒトのような脊椎動物を含めた動物に直接導入する場合に、動物内でのコード化タンパク質の発現を誘発する核酸製剤を提供する。タンパク質が病的症状の場合を除いて通常はその動物には生じないもの、例えばインフルエンザウイルスと会合したタンパク質、例えばインフルエンザ核タンパク質、ニューラミニダーゼ、ヘマグルチニン、ポリメラーゼ、マトリックス又は非構造タンパク質である(しかしこれらに限定されない)場合、動物の免疫系が活性化されて防御反応を起こす。これらの外生タンパク質は動物自身の組織により生成されるため、発現タンパク質は主な組織適合性複合体MHCにより処理され、提示される。この認識は、関連する生物体による実際の感染時に起きるものと類似する。結果は、本開示に示すように、有毒感染に対して防御する免疫反応の誘発である。
【0025】
本発明は、同様の機序(上記の“発明の背景”参照)により注射、吸入又は押印によって動物組織中にin vivoに導入した場合に、ヒトインフルエンザウイルス遺伝子物質の発現が起きる核酸を提供する。したがって、例えば本発明のDNA構築物をマウスの筋肉中に注射すると、コード化遺伝子物質の発現が誘発される。フェレット及びアカゲザルでも同様である。有毒インフルエンザウイルスを用いたその後の試験においては、等しく対照動物を殺す用量を用いても、ポリヌクレオチドワクチンを注射した動物は罹患率及び死亡率が非常に低下する。したがって、本発明は、インフルエンザウイルス感染を防止するためのヒトに有用なワクチンを開示する。
【0026】
インフルエンザウイルスタンパク質をコードするDNA構築物が動物における防御免疫反応を引き出すことを、我々は示す。下記でさらに詳しく述べるように、動物における免疫反応としては、マウスにおける抗体及びCTL産生、フェレット及び霊長類における抗体産生、並びにマウス及びフェレットにおけるインフルエンザの同種の連続変異及び不連続変異株を用いたウイルス誘発試験に対する防御が挙げられる。ウイルスタンパク質をコードするDNAを用いた免疫化のおそらくは最もめざましい結果は、別のサブタイプのウイルスに対する防御を付与する能力であった。これは、CTL誘発成分のワクチンへの付加は、シーズン半ばに発生したり又はワクチン株が翌年のために毎年選択された際には予想できなかった新変種の出現による衝撃を軽減するのに役立つことを示唆する。HA、NP及びM1遺伝子をコードするcDNAベクターによる免疫化が、認可ワクチンの場合よりもフェレットにおけるウイルスの連続変異株に対してより有効に防御し得た、ということは重要である。これは、PNVにおける内部遺伝子をコードする構築物の使用の妥当性を意味する。
【0027】
ある態様において、連続変異及び不連続変異抗原に対する群共通防御を提供するために、本ワクチン生成物質は、例えばA/H1N1(A/Texas/91)、A/H3N2(A/Georgia/93)及びB(B/Panama/90)ウイルスに代表された3つの流行の臨床株からのHAをコードする別々のDNAプラスミド、並びにA(Beijing/89;H3N2)及びB株の両方からの内部保存タンパク質NP及びM1(マトリックス)をコードするDNA構築物から成る。HA DNAは、HAを生成し、その結果HAに対する中和抗体を生じることにより機能する。これはタイプ特異性であって、あるものは現行認可タンパク質ベースのワクチンに比して連続変異株に対する防御の幅を増大した。NP及びM1構築物はCTL生成を促し、これが交差株防御を提供して、ウイルス負荷を低減し、疾病からの回復を促進する。DNA構築物(筋細胞におけるエピソーム性非複製非一体化形態での)の予測持続性は、現行ワクチンに比して防御の持続時間を増大することが予期される。
【0028】
現行認可ワクチンよりも有益であると考えられる点を以下に挙げる:CTL反応による防御幅の増大±抗体幅の増大、及び防御継続時間の増大。PNVアプローチは、新規のDNA構築物は臨床的野外単離物からもっと直接的に作り得るため、現行認可ワクチンのようにリアソータントを作製し、選択しそして増殖する必要がない。
【0029】
本発明のある態様では、A/PR/8/34株から得られたヒトインフルエンザウイルス核タンパク質NP配列を発現ベクター中でクローン化する。ベクターはRNAポリメラーゼ転写のためのプロモーター、及びNPコード配列の末尾に転写ターミネーターを含有する。ある好ましい態様においては、プロモーターは、強力な転写プロモーターであるラウス肉腫ウイルス(RSV)ロングターミナルリピート(LTR)である。さらに好ましいプロモーターは、イントロンA配列を有するサイトメガロウイルスプロモーター(CMV−intA)である。好ましい転写ターミネーターは、ウシ成長ホルモンターミネーターである。CMVintA−BGHターミネーターの組合せが特に好ましい。さらに、製剤の調製を容易にするために、抗生物質耐性マーカーも発現ベクター中に含まれるのが好ましい。アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子又は任意の他の製薬上許容可能な抗生物質耐性マーカーを用い得る。本発明の好ましい態様において、抗生物質耐性遺伝子はネオマイシン耐性のための遺伝子物質をコードする。さらに、原核生物において発酵による製剤を高効率で達成するためには、ベクターが複製原点を含有し、高複写数を有すると有益である。多数市販されている原核性クローニングベクターは、いずれもこれらの利益を提供する。本発明の好ましい態様においては、これらの機能性は、pUCとして公知の市販ベクターにより提供される。非必須DNA配列は除去するのが望ましい。したがって、pUCのlacZ及びlacIコード配列は、本発明のある態様においては除去される。
【0030】
ある態様では、発現ベクターpnRSVを用いるが、この場合ラウス肉腫ウイルス(RSV)ロングターミナルリピート(LTR)をプロモーターとして用いる。別の態様では、CMVプロモーター及びBGH転写ターミネーターをその中でクローン化したV1、即ち突然変異化pBR322ベクターを用いる。V1−NP構築物を用いてマウスを免疫化し、異種感染を防御するCTLを誘発した。本発明の特に好ましい態様において、V1の要素を組合せてV1Jと命名する発現ベクターを生成した。V1J中で、インフルエンザウイルス遺伝子、例えばA/PR/8/34 NP、PB1、NS1、HA、PB2又はM1遺伝子をクローン化する。さらに別の態様において、アンピシリン耐性遺伝子をV1Jから除去し、ネオマイシン耐性遺伝子に置き換えて、V1J−neo(配列番号18、図7)を形成し、この中で、本発明に従って用いるために多数の異なるインフルエンザウイルス遺伝子をクローン化した。さらに別の態様では、ベクターはV1Jnsであって、これは、それまでになかったSfiI制限部位をV1J−neoの2114位に一つだけあるKpnI部位に組み込んだ以外は、V1Jと同様である。ヒトゲノムDNAにおけるSfiI部位の頻度は非常に低い(約1部位/100,000塩基)。したがって、抽出ゲノムDNAをSfiI消化するだけで、このベクターにより宿主DNAとの発現ベクター一体化を注意深く監視し得る。さらなる改良において、ベクターはV1Rである。このベクターにおいては、できるだけ非必須DNAをベクターから“切り取って”高度に詰まったベクターを生成した。このベクターはV1Jnsの誘導体であって、図36(配列番号45)に示す。このベクターによって、望ましくない配列がコードされることなく大きな挿入物を使用できるし、特異的インフルエンザウイルス遺伝子をコードする構築物が周囲組織に導入される場合の細胞による取り込みを最適化できる。図36では、切り取られたV1Jneo(図7)の部分をギャップで、挿入配列は太字で示すが、V1Jneoの塩基番号は変えていない。前述のベクター修飾及び開発手順は当業者に公知の方法により達成し得る。記載した特定の生成物質は、慣用的方法により得られたが、適用される特定の目的には特に有用であった。
【0031】
本発明のある態様はA/PR/8/34株からのインフルエンザNP遺伝子を組み入れるのであるが、さらに好ましい態様は最近のインフルエンザウイルス単離物からのNP遺伝子、HA遺伝子、NA遺伝子、PB遺伝子、M遺伝子又はNS遺伝子を組み入れる。これは、ウイルス遺伝子のDNAコピーを調製し、次いで個々の遺伝子をサブクローニングすることにより達成される。多数のインフルエンザウイルス株の多数の遺伝子に関する配列が、現在、GENBANKから公式に入手できる(インフルエンザA遺伝子に関しては約509の配列)。したがって、ウイルスの近年のTexas,Beijing又はPanama単離物からクローン化され、Center for Disease Controlが抗インフルエンザワクチンに望ましいと推奨した株であるこれらの遺伝子が本発明に好ましい(Lederle,Physicians Desk Reference,1993,p1232のFLU−IMMUNER インフルエンザウイルスワクチンを参照。A/Texas/36/91,H1N1;A/Beijing/353/89,H3N2;及びB/Panama/45/90からのヘマグルチニンタンパク質を含有する3価の精製インフルエンザ表面抗原ワクチン)。用語を統一するために、DNA構築物を記述するために本明細書中では以下の慣例に従った:“ベクター名 − インフルエンザ株 − 遺伝子”。したがって、A/PR/8/34株のNP遺伝子が発現ベクターV1Jneo中にクローン化される構築物は、本明細書では“V1Jneo−PR−NP”と呼ぶ。当然、ウイルス変異の病因株として、製剤中に組み込まれるのに最適な遺伝子は変わり得る。しかしながら、下記に実証するように、異種株に対して防御し得る細胞毒性リンパ球反応が誘発されるため、全ウイルス又はサブユニットポリペプチドベースのワクチンと比較した場合、本発明の新規のワクチンにおいて株変異性は余り重要でない。さらに、製剤は新規の遺伝子を容易に挿入できるため、これは分子生物学の標準的方法で容易になされる調節手段である。
【0032】
核タンパク質の配列はインフルエンザの種々の株に保存されるため、核タンパク質に関する遺伝子をクローニングした株に対して異種であるインフルエンザAの有毒株によるその後の誘発に対しても、防御が達成される。インフルエンザAの多数の株からのNPの比較は、二次構造に有意差を示さず[M.Gammelinら,Virol.170,71,1989]、アミノ酸配列の変化も非常に少なかった[O.T.Gormanら,J.Virol.65,3704,1991]。約50年の間に、ヒト株におけるNPは0.66アミノ酸変化/年の割合で進化したに過ぎない。さらに、A/HK/68−特異性CTLがA/PR/8/34 NPの配列に由来する合成ペプチド NP(147−155)で刺激された標的細胞を認識するという我々の結果は、このH−2Kd −制限CTLエピトープが34年間機能的に無傷のままであったことを示している(図2参照)。遺伝子がウイルス表面抗原、例えばヘマグルチニン又はニューラミニダーゼをさえコードする場合、相当の中和体液性(抗体)免疫反応が非常に重要な細胞毒性リンパ球反応に加えて生じ得るということにも留意すべきである。
【0033】
インフルエンザAの保存内部タンパク質をコードするDNA発現ベクターを筋注すると、その後のウイルス誘発に対し有意の防御免疫が生じる。特に、NP特異性抗体及び一次CTLが生成された。NP DNA免疫化は、対照と比較した場合、ウイルス肺力価の低下、体重損失の阻止及び生存率の増大を引き起こした。防御免疫反応は、ウイルス感染との戦いにおいてNP抗体単独の作用の欠如によって実証される(実施例4参照)ように、NP−特異性抗体により媒介されず、したがってNP特異性細胞免疫によるものと考えられた。さらに、NPに対して向けられる相当量の一次CTLを生じた。防御は、DNAをクローニングした株とは異種のインフルエンザAの有毒株に対してであった。さらに、誘発株がA/PR/8/34株後30年以上経ったものだが、これは、変異性エンベロープタンパク質は抗原性不連続変異及び連続変異したにもかかわらず、保存タンパク質に対して向けられる免疫反応が有効であることを示す。インフルエンザウイルス遺伝子物質は各々ある程度の保存を示すため、そしてCTLは細胞内発現及びMHCプロセッシングに対する反応で生成され得るため、他のインフルエンザウイルス遺伝子はNPに関してなされたのと同様の反応を生じることが予測される。免疫原性エピトープの同定方法は、当業者には十分公知である[例えば、Shiraiら,J.Immunol.148:1657−1667,1992;Choppinら,J.Immunol.147:575−583,1991;Calin−Laurensら,Vaccine 11:974−978,1993参照]。したがって、発現ベクターにおけるクローン化し配列決定した結合物によって示される(下記参照)ように、多数のこれらの遺伝子が、これらの構築物が利用可能形態の予防薬であるようクローン化された。
【0034】
したがって、本発明は免疫原としてインフルエンザウイルスタンパク質をコードする発現ベクターを提供する。本発明は、自己複製剤又はアジュバントを必要としない交差株防御免疫を誘発する手段を提供する。さらに、DNAを用いた免疫化は、多数の他の利点を提供する。先ず、ワクチン接種のためのこのアプローチは、CD8CTL反応が病理生理学的工程に重要であるため、腫瘍並びに感染剤に適用できる[K.Tanakaら,Annu.Rev.Immunol.6,359(1988)]。したがって、形質転換工程に決定的なタンパク質に対する免疫反応を引き出すことは、癌防御又は免疫療法の有効な手段である。第二に、ウイルスタンパク質(NP及びヘマグルチニン)及びヒト成長ホルモンDNAの注入後の発現タンパク質に対する高力価抗体の形成[例えば、D.C.Tangら,Nature 356,152,1992参照]は、これが、別々に又は保存抗原を標的にした細胞毒性Tリンパ球ワクチンと組合せて、抗体由来のワクチンを製造する平易で且つ非常に有効な手段であることを示す。
【0035】
DNA構築物の生成及び精製が容易であることは、伝統的タンパク質精製によく比べ、組合せワクチンの生成がしやすいという利点がある。したがって、例えばNP、HA、M1、PB1、NS1又は他のインフルエンザウイルス遺伝子をコードする多面的構築物を調製、混合、同時投与し得る。最後に、タンパク質発現がDNA注入後に保持されるため[H.Linら,Circulation 82,2217(1990);R.N.Kitsisら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88,4138(1991);E.Hansonら,FEBS Lett.290,73(1991);S.Jiaoら,Hum.Gene Therapy 3,21(1992);J.A.Wolffら,Human Mol.Genet.1,363(1992)]、B−及びT細胞記憶の持続性が増強され[D.Gray及びP.Matzinger,J.Exp.Med.174,969(1991);S.Oehenら,同誌176,1273(1992)]、それにより永続性体液性及び細胞媒介性免疫が生み出される。
【0036】
現行認可インフルエンザワクチンの限界により、感染防止及び病状軽減のためのさらに有効な手段の開発の必要性が強調されている。古いワクチンは防御の限界を示し、2〜3の選択ウイルス株に対してのみ有効であって、その効力は短期間で衰える。したがって、現在のワクチンは、有効性維持のためには毎年接種用に再処方せねばならない。内部タンパク質に対する改良CTL反応の生成は、現在の認可ワクチンではできない有意の長期交差反応性免疫を提供するものと思われる。
【0037】
インフルエンザ抗原に対して向けられる宿主免疫反応の検出により、マウス、フェレット及び非ヒト霊長類におけるPNV構築物からのタンパク質発現を、我々は実証した。マウスにインフルエンザNPをコードするDNAを注射すると、DNA構築物に含まれるものとは異なるインフルエンザサブタイプ(不連続変異株)による誘発後に、対照動物と比較して、生存率の増大、ウイルス肺力価の低下及び体重損失減少をもたらした。NP DNAを接種したフェレットにおける不連続変異株での誘発後のウイルス脱落低減も我々は観察した。これらの結果は、インフルエンザ株における主要不連続変異に対する防御がNPをコードする遺伝子を含むDNAワクチンにより増強されたことを示す。HA DNAを注射し、その後連続変異ウイルス株で実験動物を誘発すると、ウイルス脱落のさらなる実質的低減が引き起こされた。内部タンパク質DNAを付加すると、HA DNA単独注入後に観察された高程度の防御が多少増大した。
【0038】
インフルエンザDNAに対する免疫反応を、注射後6か月間マウスで追跡調査した結果、抗体、CTL活性及びin vivo防御の持続が認められた。DNAを反復注入すると、異なるサブタイプのインフルエンザ株による25週目の誘発後の生存率がさらに増大し、防御的細胞媒介免疫を高める能力を示した。抗体持続性も、アフリカミドリザルにおいてHA DNAを2回注射後少なくとも1年間実証され、HA DNAを1回注射後は少なくとも1か月間存続した。
【0039】
これらの動物実験の結果は、直接DNA注入がインフルエンザ感染及び疾病に対するヒトの防御のための方法改良を提供することを示す。留意すべきは、DNA注入による実験的防御が未感染マウス及びフェレットのワクチン接種により達成されたことである。DNAを接種した成人は、過去にインフルエンザに曝されたことがある。これらの人々は、DNA構築物による免疫化により、おそらくは持続時間の増大したさらに実質的な免疫反応を示す。
【0040】
使用濃度を最適にするために、免疫原性に関して用量範囲を比較する。小哺乳類実験では、1μgという少量のNPDNAが抗体及びCTL反応を誘発した。アカゲザルの免疫化は、100及び1000μgの用量のHA DNA(A/PR/08/34)を用いて2匹中2匹とも抗体反応をもたらしたが、一方、10μg 1回注射には2匹のうち1匹が反応した。別々の実験において、未使用アフリカミドリザルに3種類のウイルスサブタイプからのHAをコードする5つの異なるDNA構築物並びにインフルエンザAウイルスからのNP及びM1をコードするDNAの混合物を注射した。各群とも3匹のサルのうち3匹が5つの構築物の各々を10μg又は100μg含有するワクチンに反応した。これらの所見に基づいて、10、50、100及び200μgのDNAの投与がヒトでは有効であると予測される。
【0041】
認可不活化ワクチンによる感染防止は、HAに対して向けられる血清及び粘膜抗体レベルと相関するが、内部インフルエンザタンパク質に対する抗体反応とは相関しない。したがって、HAはインフルエンザDNAワクチンの開発に含まれねばならない。しかしながら、NPに対する免疫反応はHAに対する抗体反応を増強し、インフルエンザ内部タンパク質はインフルエンザの抗原的に別種の株と交差反応性のCTL反応を提供する。上記のように、注射に内部タンパク質並びにHAをコードするDNA構築物が含まれる場合の免疫原性及び防御の改良を動物実験は示している。内部タンパク質をコードするDNA構築物を含入すると、ヒトにおけるDNAワクチンの効力が増強されると思われる。投与レベルはこれらの成分の相互作用に依っていると考えられるため、標準的手段により当業者はHA、NP及びM1 DNA構築物の混合物を製造するためにワクチン中のDNAの量を決定し得る。これらの各成分に対する宿主反応は、ヘマグルチニン抑制(HI)力価、及びHA成分に対する中和、並びにM1及びNPエピトープに対するCTL反応を比較して、別々に測定し得る。結果を、HAのみを発現する構築物を注射後の抗体反応と比較する。これらの試験によりHA及び内部タンパク質をコードするDNAを含有するワクチンに対する反応増強の可能性を評価できる。
【0042】
ヒトでの有効性を、同一のウイルス株並びに異なるサブタイプのインフルエンザ株に対するワクチン効力を示すよう、インフルエンザDNAワクチンを接種し、その後鼻腔内誘発を施された有志で明らかにした。ワクチンの組成、用量及び投与計画は前記試験を基礎にする。臨床的効力は、感染率、疾病状況及び疾病持続期間で示す。防御と相関する代用マーカーを調べるために、これらの臨床所見を、宿主免疫反応及びウイルス脱落の実験室評価と比較する。
【0043】
DNA構築物を調製及び精製するための分子生物学の標準技法により、本発明のDNA治療薬の調製が可能である。したがって分子生物学の標準技法は本発明の生成物質の製造のために十分である一方、本明細書に開示した特定の構築物は意外にも、標準不活化全ウイルス又はサブユニットタンパク質ワクチンによってはこれまで得られなかった交差株防御を生じる、新規の治療薬を提供する。
【0044】
ワクチン受容者に導入される発現可能なDNAの量は、DNA構築物中に用いる転写及び翻訳プロモーターの強度に、そして発現化遺伝子物質の免疫原性に依っている。概して、約1μg〜1mg、好ましくは約10μg〜300μgの免疫的又は予防的有効量を筋組織に直接投与する。皮下注射、皮内導入、皮膚を通しての押印、及び他の投与方法、例えば腹腔内、静脈内、又は吸入投与を意図してもよい。ブースターワクチン接種が提供されることも意図し得る。
【0045】
DNAは裸で、即ちいずれのタンパク質、アジュバント又は受容者免疫系に影響を及ぼす他の薬剤とも会合していないこともある。この場合、DNAが生理的に許容可能な溶液、限定はしないが例えば滅菌食塩水又は滅菌緩衝食塩水中に存在することが望ましい。あるいは、DNAは、DNA−リポソーム混合物として、リポソーム、例えばレシチンリポソーム又は当業界で公知の他のリポソームと会合し得る(例えばWO93/24640参照)か、あるいはDNAは免疫反応を増強するために当業界で公知のアジュバント、例えばタンパク質又は他の担体(これらに限定されない)と会合し得る。DNAの細胞取り込みを助ける薬剤、例えばカルシウムイオン、ウイルスタンパク質及び他のトランスフェクション促進剤(これらに限定されない)を用いるのも有益である。これらの薬剤は一般に、トランスフェクション促進剤及び製薬上許容可能な担体と呼ばれる。本明細書で用いる場合、遺伝子という用語は、独立のポリペプチドをコードする核酸のセグメントを指す。製剤及びワクチンという用語は、免疫反応の誘発に有用な組成物を示すために同じ意味で用いる。構築物及びプラスミドという用語は、同じ意味で用いる。ベクターという用語は、本発明の方法に用いるために遺伝子がその中にクローン化されるDNAを示すために用いる。
【0046】
したがって、本発明のある態様は、ヒトを含めた哺乳類のような脊椎動物における免疫反応をin vivoで誘発するためのインフルエンザウイルス遺伝子の使用方法であって、以下の:
a)遺伝子を単離し;
b)生組織中に導入される場合に遺伝子の転写開始及びその後の翻訳を指図する制御配列と操作可能的に遺伝子が結合するように遺伝子を調節配列と結合させ;
c)遺伝子を生組織中に導入し;そして
d)任意に付加的インフルエンザ遺伝子で増強する
ことを包含する方法である。
【0047】
本発明の好ましい態様は、インフルエンザウイルスの異種株に対する防御方法である。これは、保存インフルエンザウイルスエピトープをコードする免疫的有効量の核酸を投与することにより達成される。例えば、核タンパク質に関する全インフルエンザ遺伝子はこの機能を提供するので、これらの遺伝子内の保存エピトープをコードする他のインフルエンザ遺伝子及びその部分に関するコード配列も同様に交差株防御を提供するとみられる。
【0048】
本発明の別の態様では、DNAワクチンはヒトインフルエンザウイルス核タンパク質、ヘマグルチニン、マトリックス、非構造、又はポリメラーゼ遺伝子物質をコードする。この態様の特定の実施例を以下に示すが、この場合ヒトインフルエンザウイルス遺伝子は、ヒトインフルエンザウイルス単離物 A/PR/8/34の核タンパク質、塩基性ポリメラーゼ1、非構造タンパク質1、ヘマグルチニン、マトリックス1、塩基性ポリメラーゼ2、ヒトインフルエンザウイルス単離物 A/Beijing/353/89の核タンパク質、ヒトインフルエンザウイルス単離物 A/Texas/36/91のヘマグルチニン遺伝子、又はヒトインフルエンザウイルス単離物 B/Panama/46/90のヘマグルチニン遺伝子をコードする。
【0049】
本発明の特定の態様において、DNA構築物はインフルエンザウイルス遺伝子をコードするが、この場合、DNA構築物を動物生体組織中に導入すると発現して、そのコード化インフルエンザ遺伝子発現物質に対する免疫反応を生じ得る。このようなDNA構築物の例を以下に示す:
a)pnRSV−PR−NP;
b)V1−PR−NP;
c)V1J−PR−NP(これの5′末端が配列番号12である);
d)V1J−PR−PB1(これの5′末端が配列番号13である);
e)V1J−PR−NS(これの5′末端が配列番号14である);
f)V1J−PR−HA(これの5′末端が配列番号15である);
g)V1J−PR−PB2(これの5′末端が配列番号16である);
h)V1J−PR−M1(これの5′末端が配列番号17である);
i)V1Jneo−BJ−NP(これの5′末端が配列番号20でありそしてこれの3′末端が配列番号21である);
j)V1Jneo−TX−NP(これの5′末端が配列番号24でありそしてこれの3′末端が配列番号25である);
k)V1Jneo−PA−HA(これの5′末端が配列番号26でありそしてこれの3′末端が配列番号27である);
l)V1Jns−GA−HA(A/Georgia/03/93),構築物サイズ6.56Kb(これの5′末端が配列番号46でありそしてこれの3′末端が配列番号47である);
m)V1Jns−TX−HA(A/Texas/36/91),構築物サイズ6.56Kb(これの5′末端が配列番号48でありそしてこれの3′末端が配列番号49である);
n)V1Jns−PA−HA(B/Panama/45/90),構築物サイズ6.61Kb(これの5′末端が配列番号50でありそしてこれの3′末端が配列番号51である);
o)V1Jns−BJ−NP(A/Beijing/353/89),構築物サイズ6.42Kb(これの5′末端が配列番号52でありそしてこれの3′末端が配列番号53である);
p)V1Jns−BJ−M1(A/Beijing/353/89),構築物サイズ5.62Kb(これの5′末端が配列番号54でありそしてこれの3′末端が配列番号55である);
q)V1Jns−PA−NP(B/Panama/45/90),構築物サイズ6.54Kb(これの5′末端が配列番号56でありそしてこれの3′末端が配列番号57である);
r)V1Jns−PA−M1(B/Panama/45/90),構築物サイズ5.61Kb(これの5′末端が配列番号58でありそしてこれの3′末端が配列番号59である)。
【0050】
【実施例】
以下の実施例で本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例の個別条件に限定されるものではない。
【0051】
実施例1
ヒトインフルエンザウイルスタンパク質をコードするDNA構築物の調製
i)pnRSV−PRNP:A/PR/8/34遺伝子をpAPR−501[J.F.Youngら,The Origin of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier Science Publishing Co.,Inc.,1983)]から1565塩基対EcoRI断片(pRSV−BLのクレノウ充填及びホスファターゼ処理XbaI部位中にクレノウ充填及びクローン化した)として単離した。pRSV−BLを、先ずpBL−CAT3[B.Luckow及びG.Schutz,Nuc.Acid Res.15,5490(1987)]ベクターをXhoI及びNcoIで消化してCATコード配列を除去し、クレノウ充填及び自己結紮して構築した。RSVプロモーター断片をNdeI及びAsp718断片としてpRshgrnx[V.Giguereら,Nature 330,624(1987)](クレノウ充填して上記で生じた中間ベクター(CAT配列を欠くpBL−CAT)のHindIII部位中にクローン化した)から単離した。
【0052】
ii)V1−NP:pCMVIE−AKI−DHFR[Y.Whangら,J.Viol.61,1796(1987)]から発現ベクターV1を構築した。ベクターをEcoRIで切断し、自己結紮してAKI及びDHFR遺伝子を除去した。このベクターはCMVプロモーター中にイントロンAを含有しないので、それを内部にSacI部位を欠くPCR断片として加えた[B.S.Chapmanら,Nuc.Acids Res.19,3979(1991)の配列番号による1855に]。PCR反応のために用いた鋳型は、pCMVintBLを生成するよう、hCMV−IE1エンハンサー/プロモーター及びイントロンAを含むpCMV6a120[B.S.Chapmanら,同誌を参照]からのHindIII及びNheI断片を、pBL3のHindIII及びXbaI部位に結紮して作ったpCMVintA−Luxであった。RSV−Lux[J.R.de Wetら,Mol.Cell Biol.7,725,1987]からの1881塩基対ルシフェラーゼ遺伝子断片(クレノウ充填したHindIII−SmaI)を、クレノウ充填しホスファターゼ処理したpCMVintBLのSa1I部位中にクローン化した。
【0053】
イントロンAを結びつけるプライマーを以下に示す:
5′プライマー(配列番号5):
5′−CTATATAAGCAGAG CTCGTTTAG−3′.
3′プライマー(配列番号6):
5′−GTAGCAAAGATCTAAGGACGGTGA CTGCAG−3′.
SacI部位を除去するのに用いたプライマーを以下に示す:
センスプライマー(配列番号7):
5′−GTATGTGTCTGAAAATGAGCGTGGAGATTGGGCTCGCAC−3′
及びアンチセンスプライマー(配列番号8):
5′−GTGCGAGCCCAATCTCCACGCTCATTTTCAGACACATAC−3′
PCR断片をSacI及びBglIIで切断し、同一酵素で切断済のベクターに挿入した。インフルエンザA(A/PR/8/34)からのNP遺伝子をpAPR501[J.F.Youngら,The Origin of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier Science Publishing Co.,Inc.,1983)]から1565塩基対のEcoRI断片として切り離し、盲端化した。それを盲端化BglII部位でV1に挿入して、V1−NPを作製した。大腸菌E.coli中でプラスミドを増殖させて、アルカリ性溶解法により精製した[J.Sambrook,E.F.Fritsch及びT.Maniatis,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第二版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]。CsClバンド化DNAをエタノール沈降させ、注射用に0.9%食塩水中に2mg/mlで再懸濁した。
【0054】
実施例2
ヒトインフルエンザウイルス細胞毒性Tリンパ球に関する検定
細胞毒性Tリンパ球を、DNAで免疫化した、又はA/HK/68の感染から回復したマウスから生成した。対照培養は、対照DNAを注射したマウス並びに非注射マウスから得た。単一細胞懸濁液を調製し、塩化アンモニウムを用いて溶血させて赤血球を除去し、10% ウシ胎仔血清(FBS)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、0.01M HEPES(pH7.5)及び2mM 1−グルタミンを補充したRPMI 1640中で脾細胞を培養した。同数の自系照射刺激体細胞をH−2K 制限ペプチドエピトープ NP147−155(Thr Tyr Gln Arg Thr ArgAla Leu Val (配列番号9))を用いて10μMで60分間パルスするか、又はインフルエンザA/PR/8/34(H1N1)で感染させ、10U/mlの組換え体ヒトIL−2(Cellular Products,Buffalo,NY)を加えて、培養を5%CO 及び100%相対湿度で37℃で7日間保持した。選択実験では、rhIL−2(20U/ml)及びConA(2μg/ml)を自系刺激体細胞の代わりに加えた。細胞毒性T細胞エフェクター活性を、細胞10個当たり60μCiの51Crを用いて3時間標識化し、上記の様にNP147−155でパルス化した、又はインフルエンザA/Victoria/73(H3N2)に感染させたP815細胞を用いて測定した。対照標的(ペプチド又はウイルスを用いずにP815で標識化)は溶解しなかった。標的を丸底96ウエルプレート中に1×10細胞/ウエルで平板培養し、3通りで4時間インキュベートした。上清(30μl)を各ウエルから取り出してBetaplateシンチレーションカウンター(LKB−Wallac,Turku,Finland)で計数した。6M HClの付加により放出される最大計数及びCTLを用いずに放出される自発的計数を各標的標本に関して調べた。特異的溶解率(%)は以下のように算出した:[(実験値−自然発生値)/(最大値−自然発生値)]×100。
【0055】
実施例3
NP特異性CTL及び抗体のin vivo生成
BALB/cマウスの両足の四頭筋に、ラウス肉腫ウイルス又はサイトメガロウイルスプロモーターにより駆動されるA/PR/8/34核タンパク質をコードするプラスミドcDNAを注射した。
【0056】
使用した発現ベクターを以下に示す:
i)pnRSV−PRNP(実施例1参照):
ii)V1−NP(実施例1参照)。
【0057】
用いた動物は、Charles River Laboratories,Raleigh,NCから入手した雌BALB/c マウスであった。マウスは生後4〜5週齢で入手し、最初に5〜6週齢でDNAを注射した。別記しない限り、DNAの注射は両足の四頭筋に投与し、各足はDNA 100μgを含有する滅菌食塩水 50μlを摂取した。マウスには3週間の間隔で1、2又は3回の摂取を施した。陰性対照動物には注射しないか又は挿入NP遺伝子を欠いた適切なブランクベクターを注射した。
【0058】
選択動物の筋肉中のNPプラスミドDNAの存在又は非存在をPCRで分析した(図1)。プラスミドDNA(NP又はルシフェラーゼDNA)は、試験した注射筋肉48例中44例で検出された。ルシフェラーゼDNA注射マウスでは、当業界で公知の方法によって筋抽出物中に回収されたルシフェラーゼ活性により、タンパク質発現を実証した[J.A.Wolffら,Science 247,1465(1990):G.Ascadiら,Nature 352,815(1991);H.Linら,Circulation 82,2217(1990);R.N.Kitsisら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88,4138(1991);E.Hansenら,FEBS Lett.290,73(1991);S.Jiaoら,Hum.Gene Therapy 3,21(1992);J.A.Wolffら,Human Mol.Genet.1,363(1992)]。
【0059】
NP DNAの注射後の筋肉中のNP発現は、ウエスタンブロット分析に関する検出限界を下回った(<1ng)が、しかしNP特異性抗体の産生によって示された(図2参照)。NP特異性CTL生成の分析のために、免疫化後1〜4週目に脾臓を取り出し、脾細胞を組換え体ヒトIL−2+インフルエンザA(A/PR/8/34)に感染させるか又はH−2K制限核タンパク質ペプチドエピトープ(NP残基147−155。O.K.Rotzsckeら,Nature348,252(1990)参照)でパルス化した自系脾細胞で再刺激した。ウイルス感染又はエピトープパルス化同系細胞で再刺激した脾細胞は、核タンパク質エピトープパルス化標的細胞を殺すことができる(図3A)。これは、NPDNAの筋注が、特異的CTL反応の誘発のためにI種のMHCと会合した適切なNP由来ペプチドを生成したことを示す。これらのCTLはウイルスに感染した標的細胞(図3B)を、又はH−2K制限核タンパク質ペプチドエピトープ及びウイルス感染標的細胞でパルス化した標的細胞を認識又は溶解できる。このことはそれらの特異性並びに感染細胞中に自然に生じるエピトープを検出するそれらの能力の表われである。
【0060】
NP DNAワクチンの免疫原性のさらに厳密な測定は、一次CTL反応の評価であった。NP DNA注入マウスから採取した脾細胞をCon A及びIL−2に曝して活性化したが、しかし適切な標的を殺すそれらの能力を試験する前の抗原発現細胞によるin vitro再刺激は実施しなかった。NP DNAで免疫化したマウスからの脾細胞は、抗原特異性再刺激を行なわずにCon A及びIL−2でin vitroで活性化した場合、エピトープパルス化及びウイルス感染標的細胞をともに溶解した(図3C及びD)。再刺激化及び活性化脾細胞の両方のこの溶解活性は、A/PR/8/34(H1N1)後34年目に生じた有毒マウス適合H3N2株であるインフルエンザA/HK/68で予め感染させたマウスから得た同様に処理した脾細胞よりも優れている。したがって、NP DNAの注入は、核タンパク質エピトープに特異的な、そして天然に処理された抗原を同定し得る(即ちウイルス感染細胞を殺し得る)CTLを生成した。NP CTLも、ヒトHLA−A2を発現するC3H及びB6トランスジェニックマウスで生成された。
【0061】
NP CTLは、1用量1μgという少ないNP DNA(試験した最低用量)を注射したBALB/cマウスの脾臓でも検出されている(表3−IV)。
【0062】
表 3−IV
NP DNA1回注射後のマウスにおけるCTL反応
【0063】
【表1】
Figure 0003608642
【0064】
表3−IV:雌BALB/cマウス(4〜6週)にA/PR/34 NP DNA(V1JNP)又は対照DNA(V1J)を指定用量で1回注射した。比較のために、マウスをインフルエンザウイルスA/PR/34に感染させた。CTLを8週目に得て、NPペプチドパルス化同系脾細胞でin vitro再刺激し、50:1のエフェクター:標的比でNPペプチドパルス化P815細胞に対して検定した。データは代表的な個々のマウスに関して特異的溶解度(%)で表した。
【0065】
追加実験は、1μgのNP DNAを1用量投与したマウスが少なくとも4.5か月(試験終了時)NP CTLを保持したことを示した。DNA注入後のCTL反応の大きさは、インフルエンザ感染マウスに匹敵した。しかしながら、in vitro抗原再刺激後のCTLの分析は厳密には定量的でないことに留意すべきである。したがって、マウスにおけるNP特異的CTLのレベルをより定量的に評価するために、限定希釈検定を我々は目下開発中である。100μgのNP DNAを3用量注入されたマウスにおいて、CTL反応は免疫化後少なくとも6か月検出された(図19)。したがって、インフルエンザPNVは、保存インフルエンザ抗原に向けられる長期的CTL反応を生成する可能性を有する。
【0066】
マウスにNP DNAを注射すると、高力価抗NP IgG抗体の産生が生じた(図2)。マウスにおける高力価IgG抗体の生成は、CD4+ T細胞の助けを要すると考えられる(P.Vieira及びK.Rajewsky,Int.Immunol.2,487(1990);J.J.Donnellyら,J.Immunol.145,3071(1990))。これはin situでプラスミドから発現されたNPがI種及びII種のMHCの両方を提示するようにプロセッシングされたことを示す。
【0067】
実施例4
有毒性ヒトインフルエンザウイルスによる誘発におけるマウスの防御
インフルエンザに対する防御免疫におけるNP抗体の役割を、2つのアプローチで示す:先ず、ウイルス肺力価を受動輸送実験で測定した。雌BALB/cマウス(生後10週齢以上)に、NP DNA 200μgを3回注射したマウスからプールした血清(PBS 2.0mlで希釈)0.5mlを腹腔内注射した。対照マウスには等容量のプールした正常マウス血清か又はA/HK/68による感染から回復したマウスからのプール血清をこれも2.0mlのPBSに希釈して注射した。A/HK/68免疫血清の用量は、抗NP抗体のELISA力価がNP DNA注射マウスからのプール血清と等しくなるように調整した。血清注射後2時間目に10TCID50のA/HK/68を用いて盲検的に麻酔せずにマウスに誘発し、3日後、等量の血清をさらに注射した。注射後6及び7日目にマウスを屠殺し、TCID50/mlでのウイルス肺力価をMoran[J.Immunol.146,321,1991]の記載と同様にして測定した。
【0068】
未使用マウスに、NP DNAを注射したマウスから得た抗NP抗血清を注入し、次いでA/HK/68を用いて誘発した。ウイルス誘発はA/HK/68のマウス適合株を用いて実施し、その後マウスでin vivo継代を維持させた(Dr.I.Mbawuike私信)。使用したウイルス種子ストックは感染マウスからの肺のホモジネートであって、MDCK細胞では5×10TCID50/mlの感染力価を有した。ウイルス肺力価測定及び体重損失試験のために、非麻酔マウスの鼻孔に10TCID50を含有する20μlを鼻腔内点滴注入してウイルス誘発した。この方法はウイルスの肺感染を徐々に引き起こすが、BALB/cマウスには致命的でない[Yetter,R.A.ら,Infect.Immunity 29,654,1980]。生存実験では、ケタミン及びキシラジンによる全身麻酔下でマウスの鼻孔に102.5TCID50を含有する20μlを点滴注入してウイルス誘発した。この用量で麻酔マウスを感染させると急速な肺感染が生じ、非免疫化マウスの90〜100%が死亡した[J.L.Schulman及びE.D.Kilbourne,J.Exp.Med.118,257,1963;G.H.Scott及びR.J.Sydiskis,Infect.Immunity 14,696,1976;R.A.Yetterら,Infect.Immunity 29,654,1980]。ウイルス肺力価は、Moran等(上掲)の記載と同様に96ウエルプレート中のMDCK細胞(ATCC,Rockville,MDから入手)における順次滴定により測定した。
【0069】
抗NP抗血清(6.3±0.2;平均±SEM;n=4)を投与したマウスにおいては、正常血清(6.1±0.3;平均±SEM;n=4)を投与した対照マウスと比較して、ウイルス肺力価の低下は認められなかった。陽性対照として、A/HK/68に感染させたマウスから血清を収集し、4匹の未使用マウスに受動輸送させた。A/HK/68による誘発後、ウイルス感染はそれらの肺では検出されなかったが、これは全ウイルスに対するこの血清が同種ウイルスを用いた誘発を完全に防御したことを示す。第二に、筋注により未使用マウスを精製NP(5μg/足。6週間に3回)で免疫化した。これらのマウスは高力価NP特異性抗体を生成したが、しかしNP特異性CTLは生成できず、致死用量のウイルスを防御できなかった。したがって、全ウイルスに対する抗体の中和作用と違って、流行中の抗NPIgGはマウスに対して防御免疫を付与しなかった。
【0070】
NP DNA注射のin vivo防御効力を評価して、細胞媒介免疫反応が機能的に有意であるか否かを調べた。免疫反応の有効性の直接測定法の1つは、最初にNP DNAで免疫化したマウスが異種株のインフルエンザ(A/HK/68;H3N2)による漸進的亜致命的肺感染を消散する能力であった。ウイルス誘発は上記と同様に実施した。NP DNAで免疫化したマウスは、免疫化されなかった(4.1±0.3;平均±SEM;n=4)、又はブランクベクターで免疫化された(4.5±0.0;平均±SEM;n=4)対照マウスの場合に比べ、7日目の大きさが3等級低い(1.0±1.0;平均±SEM;n=4)誘発後ウイルス肺力価を有した。実際、4匹の免疫化マウスのうち3匹がその肺に検出不可能なレベルのウイルスを有したに過ぎなかったが、一方この時点でウイルスが除去された対照はなかった。この実験及び別の6つの実験で観察されたウイルス肺力価の顕著な差異は、免疫反応がウイルスの清掃を促すことを意味する。ブランクベクター対照に防御作用が欠けていることは、DNAそれ自体は免疫反応に関与しないことを示す。さらに、ウイルスの誘発株A/HK/68(有毒性マウス適合H3N2株)はNP遺伝子をクローン化した株A/PR/8/34(H1N1)とは異種であるため、免疫は明らかに異型であった。
【0071】
ウイルス誘発性罹患の尺度として、NP DNAで免疫化後にインフルエンザA/HK/68で亜致命的に感染させたマウスにおいて体重損失を監視した(図4)。非注射マウス又はブランクベクターを注射したマウスを対照として用いた。NP DNAで免疫化したマウスは対照マウスに比して体重損失が少なく、インフルエンザA感染後により迅速に試験前の体重に戻った。
【0072】
全身麻酔マウスをインフルエンザAで鼻腔内感染させると、肺での急速な広範囲のウイルス複製が生じ、感染を制御できない場合には6〜8日で死亡した(R.A.Yetterら,Infect.Immunity 29,654(1980))。この方法で誘発したマウスの生存率は急性肺感染の重症度を制限するそれらの能力を反映する。インフルエンザの2つの異なる株A/HK/68(図5参照)及びA/PR/8/34を用いた誘発に生き残るマウスの能力を調べた。NP DNAで予め免疫化したマウスは90%の生存率を示したが、これに比してブランクベクター注射対照では0%、非注射対照動物では20%であった(図5)。このような14の試験全体で、NP DNAで免疫化したマウスは対照よりも少なくとも50%多い生存率を示した。したがって、34年後に生じた異なる株のウイルスにより引き起こされる回復及び疾病低減を有効に促すNP DNA誘発性免疫反応の能力は、細胞毒性Tリンパ球反応の生成のために保存タンパク質を標的とすべきだとする論理的根拠を支持する。
【0073】
実施例5
インフルエンザウイルス単離物からの遺伝子の単離
古くから多数のインフルエンザウイルス株がATCCに寄託されている(Animal Viruses & Antisera,Chlamydiae &Rickettsiae第六版の1990年カタログにはインフルエンザA株20種及びインフルエンザB株14種が列挙されている)。
【0074】
A.ウイルス株及び精製
現在の1992年インフルエンザシーズンワクチンを包含するインフルエンザ株は、Division of Viral and RickettsialDiseases,Centers of Disease Control,Atlanta,GAのNancy J.Cox博士から入手した。これらの株を以下に挙げる:(1)A/Beijing/353/89(H3N2);(2)A/Texas/36/91(H1N1);(3)B/Panama/45/90;及び(4)A/Georgia/03/93。
【0075】
これらのウイルスはすべて、9〜11日齢鶏卵胚中で継代により増殖させ(MDCK細胞中で増殖させたA/Georgiaを除く)(100〜200/ウイルス標本)、Massicot等(Virology 101,242−249(1980))が記載した方法の変法により精製した。手短に言えば、ウイルス懸濁液を8000rpmで遠心分離(Sorvall RC5C遠心分離器。GS−3ローター)して透明にし、次いでBeckman 19型ローターで18,000rpmで2時間遠心分離してペレットとした。ペレット化ウイルスをSTE(0.1M NaCl、20mM Tris,pH7.4、1mM EDTA)中に再懸濁し、4,000rpmで10分遠心分離(Hermle Z360K遠心分離器)して、凝集物を除去した。上清 2mlを、60%ショ糖 2mlとSTEで緩衝した上層の30%ショ糖 7mlから成る不連続ショ糖勾配上に層とし、36,000rpm(SW−40ローター,Beckman)で90分遠心分離した。バンド化ウイルスを界面で収集し、STEで10倍に希釈して、30,000rpmで2時間(Beckman Ti45ローター)ペレット化した。次にペレット化ウイルスを−70℃で凍結した。
【0076】
B.ウイルスRNAの抽出及びcDNA合成
ChomczynskiとSacchi(Anal.Biochem.162,156−159(1987))の方法を用い、市販キット(Stratagene,La Jolla,CA)を用いてグアニジニウムイソチオシアネート抽出により凍結ウイルスからウイルスRNAを精製した。メーカーの指示に従い、いくつかの修正を加えて、市販cDNA合成キット(Pharmacia)を用いてウイルスRNAから二本鎖cDNAを調製した。すべてのA株遺伝子に関し、ウイルスRNAの3′末端に位置する保存配列と相補的である合成オリゴデオキシリボヌクレオチド 5′−AGCAAAAGCAGG−3′(配列番号30)を用いて、cDNAの一次鎖をプライムした。この配列はすべてのA型インフルエンザウイルスRNAに共通であり、したがって任意のA株インフルエンザウイルス遺伝子をクローニングしてもよい。cDNAの一次及び二次鎖の合成後、フェノール/クロロホルムで反応物を抽出し、キットの指令に従うよりむしろエタノール沈降させた。次にこれらの盲端化cDNAを、BglII制限酵素で消化したV1Jneo又はV1Jnsベクターに直接結紮し、T4DNAポリメラーゼで盲端化して、仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼで処理した。
【0077】
特定の全長ウイルス遺伝子をスクリーニングするために、指定ウイルス遺伝子の翻訳開放読み枠の末尾に3′末端を補足するよう意図された合成オリゴデオキシリボヌクレオチドを我々は用いた。アガロース電気泳動ゲル上での制限マッピング及びサイズ確定により全長遺伝子を示すと思われる標本を、ウイルス遺伝子とV1Jneoとの両接合部のジデオキシヌクレオチドシーケンシングにより実証した。これらのウイルスからクローン化した各遺伝子の配列接合部を下記の実施例8に示す。
【0078】
同様の方法を用いて、ウイルスRNAの各末端に共通の配列を有さぬB/Panama/45/90に関するものを除き、上記のウイルスの各々からcDNAをクローニングし、オリゴデオキシリボヌクレオチドの混合物を用いて一次鎖cDNA合成をプライムした。これらのプライマーを以下に示す:
(1)5′−AGCAGAAGCGGAGC−3′(PB1及びPB2、配列番号31);
(2)5′−AGCAGAAGCAGAGCA−3′(NS及びHA、配列番号19);
(3)5′−AGCAGAAGCACGCAC−3′(M、配列番号22);
及び
(4)5′−AGCAGAAGCACAGCA−3′(NP、配列番号23)。
【0079】
PCRでクローン化された遺伝子に関しては、盲端cDNA溶液をDNA鋳型としてPCR反応に直接用いた。PCRによって得た6つのインフルエンザ遺伝子をクローニングするために用いたプライマーを以下に挙げる:
1.A/Georgia/03/93からのHA遺伝子
センスプライマー(配列番号33)
5′GGT ACA ACC ATG AAG ACT ATC ATT GCT TTG AGC 3′
アンチセンスプライマー(配列番号33)
5′CCA CAT AGA TCT TCA AAT GCA AAT GTT GCA CCT AAT G 3′
2.A/Texas/36/91からのHA遺伝子
センスプライマー(配列番号35)
5′GGT ACA ACC ATG AAA GCA AAA CTA CTA GTC CTG TTA TG 3′
アンチセンスプライマー(配列番号36)
5′CCA CAT TCA GAT GCA TAT TCT ACA CTG CAA AG 3′
3.B/Panama/45/90からのHA遺伝子
センスプライマー(配列番号37)
5′GGT ACA ACC ATG AAG GCA ATA ATT GTA CTA CTC ATG 3′
アンチセンスプライマー(配列番号38)
5′CCA CAT TTA TAG ACA GAT GGA GCA AGA AAC ATT GCT 3′
4.A/Beijing/353/89からのM1遺伝子
センスプライマー(配列番号39)
5′GGT ACA AGA TCT ACC ATG CTT CTA ACC GAG GTC 3′
アンチセンスプライマー(配列番号40)
5′CCA CAT AGA TCT TCA CTT GAA CCG TTG CAT CTG CAC 3′
5.B/Panama/45/90からのNP遺伝子
センスプライマー(配列番号41)
5′GGT ACA GGA TCC ACC ATG TCC AAC ATG GAT ATT GAC GGC 3′
アンチセンスプライマー(配列番号42)
5′CCA CAT GGA TCC TTA ATA ATC GAG GTC ATC ATA ATC CTC 3′
6.B/Panama/45/90からのM1遺伝子
センスプライマー(配列番号43)
5′GGT ACA GGA TCC ACC ATG TCG CTG TTT GGA GAC ACA ATT GCC 3′
アンチセンスプライマー(配列番号44)
5′CCA CAT GGA TCC TTA TAG GTA TTT CTT CAC AAG AGC TG 3′
生成するのがcDNAであれPCRであれ、すべてのインフルエンザ遺伝子クローンを遺伝子結紮部位を中心に配列解析し、トランスフェクトRD細胞において遺伝子を発現することにより立証した。発現はイムノブロットにより検出した。
【0080】
A/H3N2株に関するNP及びM1構築物(ベクター4及び5)をA/Beijing/353/89から作製した。NP及びM1遺伝子には高程度の保存が期待でき、そしてそれらの有効性のために、これらの遺伝子を選択した。
【0081】
前記の研究から、組合せて生成される7つの発現ベクターの特に好ましい群を以下に挙げる:
1.V1Jns−HA(A/Georgia/03/93) 6.56Kb
2.V1Jns−HA(A/Texas/36/91) 6.56Kb
3.V1Jns−HA(B/Panama/45/90) 6.61Kb
4.V1Jns−NP(A/Beijing/353/89)6.42Kb
5.V1Jns−M1(A/Beijing/353/89)5.62Kb
6.V1Jns−NP(B/Panama/45/90) 6.54Kb
7.V1Jns−M1(B/Panama/45/90) 5.61Kb
発現ベクター中のこれらの遺伝子の接合部に関して関連のある配列を以下に示す。構築物の小部分の配列解析が、正確に遺伝子がクローン化されたことを実証するのに十分だった。同様の公知の遺伝子と比較すれば、指定遺伝子がNP遺伝子、HA遺伝子、M1遺伝子等であることを実証するのは容易である。例えば、A/Texas HA遺伝子配列はA/Kiev/59/79のHA遺伝子配列と非常に類似しており、その配列は受け入れ番号M38353号としてGENBANKで入手可能である。同様に、B/Panama HA配列に関しては、受け入れ番号M18384号としてGENBANKで入手可能なB/England/222/82 HA配列と非常に類似している。同様の方法で、任意のヒトインフルエンザウイルスからの指定の遺伝子に関するクローン化配列の同一性を実証し得る。下記の各々の場合、全遺伝子が存在することの確認のために、5′配列と3′配列の両方を検討した。各々の場合、下線ATGはインフルエンザ遺伝子の開始コドンを示し、一方3′部分の下線配列は停止コドンである:
Figure 0003608642
Figure 0003608642
実施例6
V1J発現ベクター(配列番号10)
V1Jを作るに際しての我々の目的は、それらを所要の状況により対処するようにわれわれのベクター V1からプロモーター及び転写終止要素を除去し、より密なベクターを作製し、そしてプラスミド精製収率を改良することであった。
【0082】
V1Jは、ベクターV1(実施例1参照)及び市販プラスミドであるpUC18から得た。V1をSspI及びEcoRI制限酵素で消化して、DNAの2つの断片を生成した。CMVintAプロモーター及び異種遺伝子の発現を制御するウシ成長ホルモン(BGH)転写終止要素を含有するこれらの断片の小さい方(配列番号11)を、アガロース電気泳動ゲルから精製した。次に、別の“盲端”DNA断片にそれを結紮しやすくするために、T4 DNAポリメラーゼ酵素を用いてこのDNA断片の末端を“盲端”にした。
【0083】
発現ベクターの“骨格”には、pUC18を選択した。それは高収率のプラスミドを生成として知られ、配列及び機能が十分特徴づけられており、サイズは最小である。われわれはHaeII制限酵素を用いた部分消化により、このベクターから全lacオペロンを除去したが、これはわれわれの目的には不必要であって、プラスミド収率及び異種遺伝子発現に不利益である。残りのプラスミドを、上記と同様にアガロース電気泳動ゲルから精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化して、仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼで処理し、上記のCMVintA/BGH要素と結紮した。pUC骨格内のプロモーター要素の2つの考え得る配向のいずれかを持つプラスミドを得た。これらのプラスミドの1つは大腸菌中でさらに高収率のDNAを生じ、これをV1J(配列番号10)と名づけた。このベクターの構造を接合領域の配列解析により確認し、次いでV1と比較した場合に、それに匹敵する又はより高い異種遺伝子発現率をしめすことを実証した。
【0084】
実施例7
発現ベクターV1Jにおけるインフルエンザウイルス遺伝子構築物
インフルエンザウイルスのA/PR/8/34株からの遺伝子の多くは、実施例4に記載されているように、V1ベクターと同様か又はそれより高いレベルでの発現を生じるベクターV1J中にクローン化した。PR8遺伝子配列は公知であって、GENBANKデータベースから入手できる。下記のクローン化遺伝子の各々に関して、クローン化される断片のサイズをサイジングゲルにより点検し、部分配列が比較対象となるGENBANK受け入れ番号を提示した。ウイルス株から、例えばATCCから入手したウイルス(A/PR/8/34はATCCVR−95である)からこれらの遺伝子を得る方法に関しては、実施例5を参照して頂きたい。
【0085】
A.PR8遺伝子のV1J中でのサブクローニング
1.NP遺伝子
pAPR501からNP遺伝子をサブクローニングした(J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amstrda)pp.129−138)。EcoRIでpAPR501を切断することにより切り出し、断片ゲルを精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化した。盲端化断片をBglIIで切断したV1J中に挿入し、再びT4 DNAポリメラーゼで盲端化した。クローン化断片は1.6キロ塩基の長さであった。
【0086】
2.NS
pAPR801からNS遺伝子をサブクローニングした(J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amsterdam)pp.129−138)。EcoRIでpAPR801を切断することにより切り出し、断片ゲルを精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化した。盲端化断片をBglIIで切断したV1J中に挿入し、再びT4 DNAポリメラーゼで盲端化した。クローン化断片は0.9キロ塩基の長さ(NS1及びNS2を含む完全NSコード領域)であった。
【0087】
3.HA
pJZ102からHA遺伝子をサブクローニングした(J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amsterdam)pp.129−138)。HindIIIでpJZ102を切断することにより切り出し、断片ゲルを精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化した。盲端化断片をBglIIで切断したV1J中に挿入し、再びT4 DNAポリメラーゼで盲端化した。クローン化断片は1.75キロ塩基の長さであった。
【0088】
4.PB1
pGem1−PB1からPB1遺伝子をサブクローニングした(ベクターとの遺伝子の5′及び3′接合部を配列解析してそれらの同一性を実証した。J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amsterdam)pp.129−138を参照)。HindIIIでpGem1−PB1を切断することにより切り出し、断片ゲルを精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化した。盲端化断片をBglIIで切断したV1J中に挿入し、再びT4 DNAポリメラーゼで盲端化した。クローン化断片は2.3キロ塩基の長さであった。
【0089】
5.PB2
pGem1−PB2からPB2遺伝子をサブクローニングした(ベクターとの遺伝子の5′及び3′接合部を配列解析してそれらの同一性を実証した。J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amsterdam)pp.129−138)。それを、BamHIでpGem1−PB2を切断することにより切り出し、断片ゲルを精製した。付着端化断片をBglIIで切断したV1J中に挿入した。クローン化断片は2.3キロ塩基の長さであった。
【0090】
6.M1
プラスミドp8901 MITEからPCRによりM1遺伝子を生成した。このプラスミド中のM配列は、“センス”プライマーに関してはオリゴマー5′−GGT ACA AGA TCT ACC ATG CTT CTA ACC GAG GTC−3′(配列番号3)を、“アンチセンス”プライマーに関してはオリゴマー 5′−CCA CAT AGA TCT TCA CTT GAA CCG TTG CAT CTG CAC−3′(配列番号4)を用いて、pAPR701からPCRにより生成した(J.F.Young,U.Desselberber,P.Graves,P.Palese,A.Shatzman及びM.Rosenberg(1983),The Origins of Pandemic Influenza Viruses,W.G.Laver編(Elsevier,Amsterdam)pp.129−138)。PCR断片をゲル精製し、BglIIで切断して、BglIIで切断したV1J中に結紮した。クローン化断片は0.7キロ塩基の長さであった。コード化M1のアミノ末端は上記のように“ATG”として“センス”プライマー中にコードされ、一方M1翻訳停止コドンは、センス方向では停止コドン“TGA”である “TCA”コドンの復帰によりコードされる。
【0091】
B.インフルエンザ遺伝子−V1J発現構築物
各々の場合に、クローン化遺伝子中での5′プロモーター領域(CMVintA)からの接合配列を示す。これらの配列は、コード配列の配列を生成するプライマー:
CMVintAプライマー 5′−CTA ACA GAC TGT TCC TTT CCA TG−3′(配列番号28)
をシーケンシングして作成した。接合が起きる位置を“/”で区分したが、これは配列がここで切れていることを示すものではない。これらの構築物の調製方法を下記のすべての配列の後に要約した。提示した各配列は指定のインフルエンザ遺伝子に関する完全な、利用可能且つ発現可能なDNA構築物を表す。
【0092】
各構築物を一時的に培養中のヒト横紋筋肉腫細胞系であるRD細胞(ATCCCCL136)中でトランスフェクトした。トランスフェクション後48時間目に細胞を採集し、溶解させて、ウエスタンブロットを実施した(マウスで試験し、ウエスタンブロット実施前に抗HA特異性抗体を生じ、したがって発現がin vivoで観察されたのでウエスタンブロットを実施する必要がないV1J−PR−HA構築物を除く)。PB1、PB2及びNSタンパク質に特異的な抗体は、β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質として発現される精製タンパク質を用いてポリクローナル抗血清を生成したケンブリッジ大学のStephen Inglisの提供によるものであった。全A/PR/8/34ウイルスを用いてウサギを免疫化して、抗NPポリクローナル抗血清を生成した。抗M1抗体は、ヤギ抗インフルエンザA抗血清として、カタログ番号B65245GでBiodesignから市販されている。各々の場合、予測サイズのタンパク質が観察されたが、これはコード化インフルエンザタンパク質のin vitro発現を示すものである。
【0093】
これらの構築物に対する呼称は慣用的に以下のように示す:“ベクター名−インフルエンザ株−遺伝子”。すべての場合に、クローン化及びシーケンス化A/PR/8/34遺伝子配列に関してGENBANKの公知配列との異同を点検した。これらの構築物の各々の生理活性を、上記の実施例2、3及び4と同様に実証した:
CMVintA及びA/PR/8/34からのインフルエンザ遺伝子の5′接合部付近の配列:
Figure 0003608642
Figure 0003608642
断片接合方法:
1.V1J−PR−NP:盲端化BglII(ベクター)−盲端化EcoRI(NP)
2.V1J−PR−PB1:盲端化BglII(ベクター)−盲端化HindIII(PB1)
3.V1J−PR−NS:盲端化BglII(ベクター)−盲端化EcoRI(NS1)
4.V1J−PR−HA:盲端化BglII(ベクター)−盲端化HindIII(HA)
5.V1J−PR−PB2:付着端化BglII(ベクター)−付着端化BamHI(PB2)
6.V1J−PR−M1:付着端化BglII(ベクター)−付着端化BglII(M1)
M1は、鋳型としてのp890−M1TE及び両端にBglII部位を付加し、M1(TGA)に関してATGの3塩基前で開始して終止コドン後の右で終結するプライマーを用いて、PCRにより得た。
【0094】
実施例8
V1Jneo発現ベクター(配列番号18)
大規模発酵槽中ではアンピシリンを用い得ないため、V1Jを採取した細菌の抗生物質選択のためにあるampr 遺伝子を除去する必要があった。SspI及びEamI1051制限酵素で消化することにより、V1JのpUC骨格からamp遺伝子を除去した。残りのプラスミドをアガロースゲル電気泳動により精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化して、次いで仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼで処理した。トランスポゾン903から得られ、pUC4Kプラスミド内に含有される市販のkan遺伝子をPstI制限酵素を用いて切り出し、アガロースゲル電気泳動により精製し、T4 DNAポリメラーゼで盲端化した。この断片をV1J骨格と結紮し、いずれかの方向でkanr 遺伝子を有するプラスミドを得て、これをV1Jneo#1及び3と命名した。これらのプラスミドの各々を制限酵素消化分析、接合領域のDNA配列解析により確認し、V1と同様の量のプラスミドを生成することを示した。異種遺伝子物質の発現も、これらのV1JneoベクターはV1Jに匹敵した。我々は取りあえずV1Jneo#3という呼称を選択したが、以後V1Jneo(配列番号18)と呼ぶ。これは発現構築物としてのV1J中にamp遺伝子と同じ方向にkan遺伝子を含有する。
【0095】
A/Beijing/353/89、A/Texas/36/91及びB/Panama/46/90株の各々からの遺伝子をcDNAとして、ベクターV1Jneo中でクローン化した。各々の場合、コード配列の配列を規制する5′プロモーター領域(CMVintA)からクローン化遺伝子への接合配列を、プライマー:
CMVintA プライマー 5′−CTA ACA GAC TGT TCC
TTT CCA TG−3′(配列番号28)
を用いて配列解析した。これはターミネーター/コード配列へ続いており、その接合も示されている。この配列は、非コード化鎖の配列を規制するプライマー:BGHプライマー 5′−GGA GTG GCA CCT TCC AGG−3′(配列番号29)を用いて生成した。すべての場合に、これらの又は他のインフルエンザ単離物からのクローン化し配列解析した遺伝子に関しては、GENBANKからの公知の配列と照合した。接合が起きる位置を“/”で区分したが、ここで配列が切れているわけではない。V1Jneo−TX−HA接合の場合、シーケンシングゲルが圧縮され、初期配列を読み取るのは難しかった。したがって、この接合部の最初の8塩基を“N”とした。これらのヌクレオチドは後に確認し、同定ヌクレオチドが表示されている。各配列に含まれる最初の“ATG”はそれぞれのクローン化遺伝子に関する翻訳開始コドンである。表示した各配列は指定のインフルエンザ遺伝子に関する完全な、利用可能且つ発現可能なDNA構築物を表す。これらの構築物に対する呼称は慣用的に以下のように示す:“ベクター名−インフルエンザ株−遺伝子”。これらの構築物の各々の生理活性を、上記の実施例2、3及び4と同様に実証した。
【0096】
異なるインフルエンザ株及びタンパク質を用いての、CMVintA及びインフルエンザ遺伝子の5′接合部、並びにインフルエンザ遺伝子及びBGHターミネーター発現構築物との3′接合部配列:
Figure 0003608642
Figure 0003608642
実施例9
インフルエンザ遺伝子の皮内注射
遺伝子の皮内導入のための手法は筋注の場合と同様で、V1−PR−NP 200μgを3週間おきに3回注射した。3回目の注射後55日目にin vitro検定のために脾臓を採取し、ノナペプチド核タンパク質エピトープ147−155(配列番号9)で再刺激した。標的細胞(P815細胞、マウス肥満細胞腫、BALB/cマウス H−2d と同系のもの)を異種ウイルスA/Victoria/73に感染させて、5:1〜40:1の範囲のエフェクター:標的比でエフェクターとして脾細胞を用いて特異的溶解を施した。陰性対照には、インフルエンザウイルスに感染していない標的細胞の溶解を測定した。陽性対照には、V1−PR−NP 130μgを3回注射し、A/HK/68による生インフルエンザウイルス感染を生き抜いたマウスから得た脾細胞によるインフルエンザウイルス感染標的細胞の溶解を測定した。
【0097】
結果:全エフェクター:標的比での皮内注射マウスからの脾細胞を用いて特異的溶解を達成した。非注射マウス又は挿入PR−NP遺伝子を含有しないベクターV1を注射したマウスから得た脾細胞をエフェクター細胞として用いた場合は、特異的溶解は認められなかった。さらに、皮内供給を用いて達成した特異的溶解は、全エフェクター:標的比で筋注により得た結果に匹敵した。インフルエンザウイルス肺力価も皮内注射又は筋注マウスで測定した。各群5匹のマウスを用い、3×200μgの用量で3週間おきに投与し、そして最終投与後3週目に誘発した結果を以下に示す:
Figure 0003608642
【0098】
最後に、マウスの生存率(%)を28日まで試験した。28日目に、V1−NP−PRを投与したマウスのうち、筋注受容者の89%、皮内受容者の50%が生存した。V1ベクターのものはまったく生存せず、非処理マウスは30%だけが生存した。この実験は、A/PR/8/34株からの核タンパク質をコードするDNAが、それとは異種株のA/Victoria/73からの核タンパク質を認識するCTL及び異種株A/HK/68に対する防御免疫反応を誘発し得たことを実証する。
【0099】
実施例10
霊長類におけるポリヌクレオチドワクチン接種
1.アカゲザルにおけるNPに対する抗体:アカゲザル(006 NP、009NP又は対照101;021)に1mg/部位のRSV−NPを1日目に3部位に筋注した。各々1mgのRSV−LUX及びCMV−intLUX(リポーター遺伝子ホタルルシフェラーゼ発現に関する構築物)を同時に別々の部位に注射した。15日目に動物に、以前と同量のDNAと、並びに1mgのpD5−CAT(リポーター遺伝子クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ発現に関する構築物)を各々の部位に再注射した。リポーター遺伝子を含有する筋肉部位を生検し、リポーター遺伝子活性に関して検定した。最初の注射後3、5、9、11、13及び15週目に血清を採集した。抗NP抗体に関する陽性標本は11週目に初めて採集され、さらに陽性標本を13及び15週目にも採集した。抗NP抗体は、ELISAにより定量した。結果を図9に示す。
【0100】
2.アカゲザルにおけるヘマグルチニン抑制(HI)抗体:1日目にサルにV1J−PR−HAを筋注した。2匹の動物の各四頭筋に各々1mg、100μg又は10μgのDNAを投与した。注射は各々0.5mlの容量で投与した。1日目の注射の前に動物を採血した。15日目に全動物にDNAを再注射して、その後2〜4週間おいて血液を採集した。A/PR/8/34に対するヘマグルチニン抑制(HI)力価は、V1J−PR−HA DNAの最初の注射後5、9及び12週目に陽性となった。結果を表10−Iに示す。
【0101】
表 10−I
V1J−PR−HA DNA投与アカゲザルのHI抗体力価
【0102】
【表2】
Figure 0003608642
【0103】
実施例11
フェレットにおけるポリヌクレオチドワクチン試験
1.HA(株特異性中和抗体を誘発し得る表面タンパク質)又は内部タンパク質NP、NS1、PB1、M(株非依存性である細胞媒介免疫反応を誘発すると考えられる)をコードする遺伝子で免疫化することにより、インフルエンザA感染から動物が防御されるか否かを調べるために、フェレットにおけるポリヌクレオチドワクチン接種の試験を開始した。下記のように、われわれのV1J−ベクター中の種々のインフルエンザ遺伝子をコードするDNAを動物に注射した:
表 11−I
【0104】
【表3】
Figure 0003608642
【0105】
2.免疫化後22日目及び43日目に、免疫化動物から血清を採集し、中和(ヘマグルチニン抑制−HI)抗体及び核タンパク質(NP)に対する抗体に関して、ELISAにより検定した。DNAを投与した動物は、対応する遺伝子に対する抗体を発現していた。これらを添付の図10、11及び16に示す。
【0106】
3.128日目に、選択免疫化動物に1200TCID50のインフルエンザA/HK/68による誘発を施した。この株は、免疫化するために用いるコード配列の供給源であるA/PR/8/34株に対して異種であって、したがって防御は細胞媒介株非依存性免疫機序を基礎にした免疫を示す。添付の図12に示すように、対照と比較した場合のウイルス脱落の統計的に有意の低減は内部タンパク質をコードするDNAで免疫化した動物に認められ、このことはフェレットにおけるポリヌクレオチド免疫化が免疫反応を引き出し得、このような反応は防御的であることを実証する。
【0107】
4.A/PR/8/34を用いた同種誘発を同様に実施し、ポリヌクレオチドワクチン接種により誘発される中和抗体の防御効力を同様に実証する。
【0108】
実施例12
V1Jnsの取得
組込み研究を可能にするために、SfiI部位をV1Jneoに付加した。市販の13塩基対SfiIリンカー(New England BioLabs)をベクターのBGH配列内のKpnI部位に付加した。V1JneoをKpnIで線状にし、ゲル精製して、T4 DNAポリメラーゼにより盲端化し、盲端SfiIリンカーに結紮した。制限マッピングによりクローン性単離物を選択し、リンカー部分の配列解析で確認した。新規のベクターをV1Jnsと呼ぶ(図17)。V1Jns(SfiIを有する)における異種遺伝子の発現は、V1Jneo(KpnIを有する)における同一遺伝子の発現に匹敵した。
【0109】
実施例13
免疫原性
1.体液性免疫反応
インフルエンザHA、NP及びM1をコードするDNAの注入は、マウス、フェレット又は非ヒト霊長類(アフリカミドリザル及びアカゲザルを含む)において、体液性免疫反応を引き起こした。今日までのところ、インフルエンザウイルスのA/PR/34、B/Panama/90、A/Beijing/89、A/Texas/91、A/Hawaii/91及びA/Georgia/93株からクローン化したHA遺伝子を含有するPNVは、抗体を生成することが示された。
【0110】
a)マウス:NP及びM1に対する抗体を、DNA注射後のマウスからの血清中でELISAにより検出した。抗体力価の相当な値(10 〜10 )が、1μgという少ないNP DNA(A/PR/34)を1回投与(試験最小用量)でも生じ、注射後2週間という早さ(試験最短時間)で生じ、注射後少なくとも6か月間は低減しなかった。これらのNP抗体は中和を示さず、防御に関与しなかった。しかしながら、それらはDNA注射後のin vivoでのNPタンパク質発現をもたらす。これに対比して、HAに対する抗体は、インフルエンザウイルスの同種株に対する防御免疫を提供する。A/PR/34株からクローン化したHA DNAを注入すると、ヘマグルチニン抑制(HI)検定によりinvitroで測定されたところによると、中和抗体の産生が起こる。HI力価≧1280は、100μgのHA DNAを3回投与したマウスの多数で測定され、検出可能な力価は0.1μgの2回投与といった少量投与動物でも何匹かに観察された。HI力価とDNA用量との間、並びにHI力価と注入回数との間に用量−反応関係が認められた(表13−I):
表 13−I
マウスにおける体液性免疫反応の発生
【0111】
【表4】
Figure 0003608642
【0112】
表13−I:雌BALB/cマウス(4〜6週齢)にA/PR/34 HA DNA(V1JHA)を3週間おきに指定用量で1、2又は3回注射した。陰性対照には、遺伝子挿入物を含有しないベクター(V1J)から成る対照DNAを注射したマウス、及び未使用非注射マウスが含まれた。投与後7週目に血清標本を採集し、ヘマグルチニン抑制(HI)抗体の存在に関して分析した。データはゲノム平均HI力価(n=10)で表す。
【0113】
HI力価に対して陽性の試験マウスが一部あった。
【0114】
全マウス。
【0115】
試験したすべてのマウスにおいて、HI抗体の存在は同種誘発モデルにおける防御と相関した。HA DNA(A/PR/34)を注射したマウスにおけるHI抗体反応は、少なくとも6か月間は事実上変わらぬままであった。HA抗体は、ELISAで測定されるように、インフルエンザウイルスのA/Beijing/89、B/Panama/90及びA/Texas/91株からのHA DNAを用いてマウスにおいて生成された。
【0116】
DNA注入後の老齢マウスにおける低リポーター遺伝子発現を示した文献の報告に基づいて、HAに対する体液性免疫反応に及ぼす年齢の影響を調べた。老齢処女雌マウスが入手できないために、約10か月齢の引退した繁殖用動物を用いた。引退繁殖用動物及び4〜6週齢処女マウスを、HAに対する抗体を生成するその能力に関して比較した。老齢マウスは、若年マウスより低い力価にもかかわらず、1μg(試験最低用量)という低用量でのHA DNA注射後にもHA抗体を生成した(表13−II)。
【0117】
表 13−II
体液性免疫反応に及ぼす年齢の影響
【0118】
【表5】
Figure 0003608642
【0119】
表13−II:雌BALB/cマウス(4〜6週齢処女及び10か月齢引退繁殖用動物)にA/PR/34 HA DNA(V1JHA)を3週間おきに指定用量で3回注射した。陰性対照には、対照DNA(V1J)を注射したマウス、及び未使用非注射マウスが含まれた。比較のために、他のマウスに亜致死量のインフルエンザA/PR/34を注入した。投与後9週目に血清標本を採集し、HI力価に関して分析した。データはゲノム平均HI力価(n=15)で表す。
【0120】
HI力価に対して全試験マウスが陰性だった。
【0121】
しかしながら、これはPNVそれ自体の結果ではなく、むしろ生A/PR/34ウイルスに感染後に老齢マウスは概して若年マウスよりも低いHI反応を示すという、体液性免疫反応を生成する老齢マウスの能力の低下の結果であった。実際、HI抗体はDNA接種老齢マウスにおいてはインフルエンザ感染老齢マウスよりHI抗体の抑制度は低いと思われた。さらに、本試験に用いた引退繁殖用動物は、同一年齢の典型的処女より約50%重かったが、このことはマウスにおけるカロリー制限餌を用いた他の研究者の研究に基づけば、これらの動物の免疫反応に不利益な作用を及ぼし得た。このそして他の理由により、これらのマウスの免疫反応は代表的なものとはいえない。にもかかわらず、年齢(少なくとも10か月まで)によっては、1μgという低用量においてさえ、体液性免疫反応を誘発するポリヌクレオチドワクチン接種の能力が有意に低減したとは思えない。
【0122】
b)フェレット:体液性免疫反応は、インフルエンザウイルスのA/PR/34、A/Beijing/89、A/Hawaii/91及びA/Georgia/93株からのHA DNAを注射したフェレットにおいて生じた。A/PR/34に対するHI抗体及び他の株からのHAに対するELISA抗体を適切なPNVにより引き出した。A/Beijing/89、A/Hawaii/91及びA/Georgia/93 HA DNAを注射したフェレットからの血清は、これらの動物がウイルス誘発から防御されたため、HI抗体及び中和抗体を有することが判明している。
【0123】
c)非ヒト霊長類:(上記実施例10も参照)。10、100及び1000μg/足の用量でHA DNA(A/PR/34)を2回用いてアカゲザルを免疫化した。320に及ぶHI力価が、100又は1000μg用量を投与した動物において測定されたが、2匹の10μg投与サルのうちの1匹はHI力価が80であった。今までのところ、13か月まで血清を検定した。HI力価は6〜13か月では検出できるほどは低減しなかった(表13−III):
表 13−III
アカゲザルにおけるHI抗体の生成
【0124】
【表6】
Figure 0003608642
【0125】
表13−III:体重4.3〜8.8kgの大きさのアカゲザル(雌雄)にA/PR/34 HA DNA(V1J HA)を指定用量で0及び2週目に注入した。血清標本は投与後の指定時間に採取し、HI力価に関して分析した。データは個々の動物に関するHI力価を表す。
【0126】
HA DNA(A/Beijing/89)100μgを含有する組合せPNVを注射したアフリカミドリザルにおいて、1回投与後4〜6週目の血清の評価は29というGMTを示した(8/9感応)。これは、同時点での認可サブビリオンワクチン(GMT=16,5/6感応)及び認可全ビリオンワクチン(GMT=36,6/6感応)に対する反応よりも優れている(図18)。二次免疫化すると顕著な効力増強の起こることが、10μg用量のHA DNA投与動物で観察された(1回投与後のGMT=1.9,2回投与後=199)。認可全ビリオンワクチンでは同様の効力増強を示したが、一方サブビリオンワクチンの二次投与では生成したHI力価は一過性に過ぎなかった。今までのところ、同様レベルのHI抗体は、最良認可ワクチン(全ビリオン)と比較して、10μg及び100μg用量のHA DNAで免疫化した動物において18週までに測定されている。これらの結果は、PNVが、全ビリオンワクチンと少なくとも同様にそしてサブビリオンワクチンを上回って、中和抗体生成に際して有効であることを示す。精製サブユニットワクチンは、マウスにおいて検出可能な免疫原性を示さなかった。したがって、非ヒト霊長類ではそれらを試験しなかった。本試験では、候補ワクチンに似せて、PNVは、A/Beijing/89、B/Panama/90及びA/Texas/91からのHA、並びにA/PR/34からのNP及びM1をコードするDNAの5価のカクテルを含有した。ワクチンの他の成分に対する体液性免疫反応の発生に関してこれらの動物をさらにわれわれは調べ、B/Panama/90 HA及びA/PR/34 NPに対する抗体を検出した。別々の実験において、A/Texas/91に対するHI及び中和抗体はともにPCRクローン化HA DNAの2回投与により誘発した。
【0127】
2.細胞媒介免疫反応
上記実施例3参照。
【0128】
3.免疫反応の生成
a)体液性免疫:DNA注入後に体液性及び細胞媒介免疫反応の発生が起こる現象は、まだ解明されていない。中和抗体(例えばインフルエンザウイルスHAに対する)を生成するためには、細胞は形質膜上で抗原を発現するか又はそれを細胞外環境に分泌しなければならない。さらに、トランスフェクト化細胞は、ビリオンの場合のそれと同様の二次、三次及び四次構造を有するHAを発現する必要がある。ロゼット検定においては、HAの細胞表面発現は、HA DNAで一時的にトランスフェクト化したRD細胞(横紋筋肉腫;筋原細胞起源)で実証された。赤血球はHAトランスフェクト化細胞の表面に凝集し、疑似トランスフェクト化細胞には凝集しなかったが、これはHAが表面上で発現されただけでなく、シアル酸含有タンパク質と結合するための適正な形状を有していたことを示す。
【0129】
b)細胞媒介免疫:細胞媒介免疫反応(例えば、インフルエンザウイルスNPに対する)の発生には、I種MHCと会合してそこから得られるペプチドの予防的プロセッシング及び提示を要する。DNA注入後に免疫反応を発生させる抗原提示細胞の性質はまだ分かっていない。筋細胞は低レベルのI種MHCしか発現せず、その表面に同時刺激分子を発現するとは考えられない。したがって、筋細胞は一般に、抗原提示細胞ではないと考えられる。しかしながら、数種類の証拠は、筋細胞がDNA筋注後の免疫反応の発生に関与していることを示唆する。先ず、in situでのタンパク質発現を引き起こす裸プラスミドDNAを内在化し得る組織の限定調査は、プラスミドを直接組織中に注入すると多数の細胞型がリポーター遺伝子を発現し得るが、しかし実質的には筋細胞より効力が低いことを示した。筋注後の非筋細胞によるDNAの取り込みの完全分析はまだ報告されていないが、しかし取り込みはさらに低効率であると思われる。第二に、DNA筋注後のリポーター遺伝子の発現は、多数の異なる種の骨格筋及び心筋で示された。第三に、CTL反応は他の経路(静注及び皮内注射)によってもDNA注入後に発生し得るが、しかしマウスにおける最良の免疫反応はDNA筋注後に引き出された。第四に、筋原細胞及び筋細胞はin vitroでCTLに認識され、溶解され、この溶解はI種MHC発現を向上させるγ−インターフェロンで前処理することにより増強し得る。最後に、安定トランスフェクト化NP発現筋原細胞を未使用同系マウスに移植すると、防御的細胞媒介免疫反応がin vivoで引き起こされる(図20)。したがって、筋細胞による抗原の発現は、DNA注入後に観察される防御的免疫反応を誘発するのに十分である。さらに、非筋細胞によるDNAの取り込み及び発現は、防御免疫の生成を引き起こすのに必要でないかも知れない。ワクチンとしてのポリヌクレオチドの見地から、DNA取り込みを筋細胞に限定するのは有益である可能性がある。第一に、筋細胞は最終的に弁別され、分裂しない。これはプラスミドDNAが染色体DNAと一体化する可能性を低減し、抗原の永続的発現を保持するのに重要であって、これにより長期免疫反応が生じ得る。第二に、筋細胞は、筋原細胞の融合により再生し得る大型多核細胞である。これはDNA注入がなぜ、CTLによる細胞溶解的分解の証拠がなくてもおそらくは長期間存続し得るタンパク質発現を引き起こすのかを説明するのに役立つものと思われる。
【0130】
実施例14
防御試験
ヒトインフルエンザ感染のため、広く用いられる二つの動物モデル(マウス及びフェレット)を用いて、インフルエンザ株を種々の組合せで、インフルエンザウイルス抗原をコードするDNAを用いて免疫化すると、死亡及び疾病が防御され、ウイルス負荷が低減した。
【0131】
1.異種(異型,群共通)防御は、認可死菌ワクチンによっては有効に達成されないものであるが、動物モデルにおけるDNAワクチン接種により提供された。この防御は、NP又はM1をコードするDNAを実験室動物に注入した場合に示された。これらのDNAを用いたワクチン接種により誘発される交差反応細胞媒介免疫(CMI)反応は、防御反応を提供した。
【0132】
a.マウス:A/PR/34からのNPをコードするDNAを筋注したBALB/c及びC3Hマウスは、LD90のA/Hong Kong/68(H3N2)(H3であり、H1であるA/PR/34とは異型株)を用いた全気道感染による誘発の場合に、死亡及び疾病を防御した(体重減少で評価)。図21は、3週間おきにNP DNA(200μg/投与)で3回免疫化し、最終免疫化後3週目に誘発したBALB/cマウスの生存率を示す。図22は、免疫化マウスにおける誘発後の体重損失の阻止を示すが、これに比して対照マウスは重度の体重損失を示した。図23は、対照非コードDNAを投与したマウスと比較した場合の、NP DNAにより免疫化したマウスの上気道誘発後7日目の肺におけるウイルス負荷の減少を示す。NP DNAで免疫化したマウスは、対照マウスと比較して、死亡を完全に防御し、体重損失を低減し、肺のウイルス負荷の低下を示した。死亡及び体重損失を防御するのに要するNP DNAの量は、DNAを3回投与する場合は、≦6.25μg/注射であることが判明した(図24)。NP DNAを用いた免疫化により生じる防御は、免疫化マウスにおいては少なくとも3か月間は事実上変わらずに存続することが判明した。防御は6か月後まで続いたが、最終免疫化後3〜6か月間にわずかに低下した。しかしながら、NP DNAを25週目の誘発の3週間前である22週目に1回注射する再接種をすると、完全防御を回復した(図25)。したがって、NP DNAによるマウスの免疫化は長期存続性で、増強可能な異種防御を生じた。これらの動物を再接種した場合に既往反応を生じる能力は、免疫学的記憶がNP DNA免疫化により生成されたことを示唆する。
【0133】
b.フェレット:フェレットは、インフルエンザウイルスの広範囲のヒト単離物で感染しやすいため、ヒトインフルエンザ感染のためのモデルとして一般に用いられる。フェレットにおけるウイルス複製は主に鼻孔及び気管で、そして非常に少程度には肺で生じるが、これに対比してマウスでは肺におけるウイルス負荷が大きい。フェレットにおける感染は、鼻腔洗浄液中にウイルスを滴入することにより最も容易にできる。ヒトから得られた最近の株(A/Beijing/89,H3N2)からのNP DNA又はM1 DNAを単一で又は組合せて用いて免疫化したフェレットは、野外単離物A/Georgia/93(H3N2)で誘発した場合1〜6日目にウイルス脱落の有意の低減を示した(図26)。この野外単離物は、A/Beijing/89認可ワクチンがA/Georgia/93によって引き起こされる疾病に対するヒトの防御を殆ど又はまったく提供しない程度に、A/Beijing/89型株からの抗原連続変異を示した。A/PR/34の内部タンパク質をコードするDNAで免疫化したフェレットは、同型株A/PR/34で感染後5及び6日目に鼻腔ウイルス脱落の有意の低減を示した(図27)。ウイルス脱落の低減は初期及び後期時点の両方でA/Georgia/93誘発後に観察されたが、一方脱落の後期低減はA/PR/34誘発後に観察された。これは2株間のフェレットに対する毒性の差に依るものと思われる。
【0134】
2.同種(同型,型特異性)防御は、HA DNAで免疫化したマウス及びフェレットの両方で容易に実証された。
【0135】
a.マウス:HA DNA(A/PR/34)で免疫化したBALB/cマウスは、LD90のA/PR/34による誘発から完全に防御された。免疫化マウスでは誘発後に死亡(図28)も体重の5%以上の損失(図29)も認められなかったが、一方対照の90〜100%が死亡しそして重度の体重損失を示した。防御を達成するのに要するHA DNAの用量は、1μgのHA DNAを3回注射すれば、完全防御を達成するのに十分であることを示した(図30)。
【0136】
b.フェレット:A/PR/34からのHAをコードするDNAで免疫化したフェレットは、対照DNAを投与したフェレットより有意に低いウイルス脱落を同種誘発後1〜6日目に示した(図31)。同様に、A/Georgia/93HA DNAで免疫化したフェレットは、同種感染後1日目及び3〜7日目にウイルス脱落の低減を示した(図32)。HI抗体は免疫化フェレットのすべてからの血清中の適切な株に対して存在した(上記参照)。したがって、HA DNAによる免疫化は同種防御を生じる。
【0137】
3.ワクチン組合せ:NP及びM1 DNAと組合せて、一層普遍的な防御を提供するHA DNAの能力をフェレットで調べた。
【0138】
a.抗原性連続変異変種に対する防御の幅:A/Beijing/89及びA/Beijing/92株間に生じた抗原性連続変異は、A/Beijing/89株を含有する認可ワクチンで免疫化した多数のヒトがA/Beijing/92変種により引き起こされる疾病に対して防御されないほどに、広範囲のものであった。北米では、蔓延した疾病が、A/Beijing/92様の野外単離物、例えばA/Georgia/93により引き起こされた。この北米野外単離物は抗原的にはその型株、即ちA/Beijing/92と同様であるが、しかし単離の地理的位置、及びそれらが卵ではなく哺乳類細胞培養中で継代されたという継代歴が異なる。しかしながら、HAのアミノ酸配列に関しては、A/Beijing/92様の株はHA1領域の11の点突然変異(133、135、145、156、157、186、190、191、193、226及び262位置)だけがA/Beijing/89様の株と異なる。したがって、HA DNAに誘発される同型免疫反応と、NP及びM1 DNAにより誘発される交差反応性CMI反応とを組合せれば、この抗原性連続変異変種に対し、より大きな防御を提供するのではないかを検討することにした。A/Beijing/89株を含有する認可ワクチンによる、あるいはA/Beijing/89又はA/Beijing/89様の野外単離物(A/Hawaii/91)からのHA DNAによるフェレットの免疫化は、フェレットにA/Georgia/93による誘発を施した場合、ウイルス脱落の低減を生じた(図33)。NP、M1及びHA DNAを含有する組合せPNVで免疫化したフェレットは、認可物質で、又はHA DNA単独で免疫化したフェレットより有意に低いウイルス脱落を示した(図34)。A/Beijing/89 NP及びM1DNAと組合せたA/Hawaii/91HA DNAの場合、生じた防御は同種A/Georgia/93HA DNAにより提供される最大防御とはさして異ならなかった(図35)。したがって、HA、NP及びM1 DNAを組合せると、認可ワクチンに比して抗原性連続変異変種に対する防御の改良が生じた。
【0139】
b.ワクチン抗原の継代歴の影響:組織培養のMDCK細胞中で継代させた米国野外単離物(A/Hawaii/91)から得られたHA DNA配列から成るワクチンで免疫化したフェレットは、抗原的連続変異株A/Georgia/93で誘発した場合、卵継代A/Beijing/89株を含有する認可死菌ウイルスワクチンを投与したフェレットに比べ、低い(2次元分散分析によりp=0.021)ウイルス脱落を示した(図33)。これに対比して、A/Beijing/89からのHA DNAを投与したフェレットは、同一ウイルスを含有する認可ワクチンを投与したフェレットとは、有意に異なる(p=0.058)A/Georgia/93誘発後ウイルス脱落を示した。卵及び哺乳類細胞増殖株はHAのHA1領域の2つの点突然変異(186及び193位置)で異なるが、これはともにHI及び中和抗体の結合に重要であると考えられる領域のHAモノマーの先端に近い抗原部位Bに位置する。いくつかのヒトインフルエンザ単離物がニワトリRBCと結合する能力は、最初は非常に低いがしかし卵中での連続継代により増大することがある。このことはHAの受容体結合領域が鳥細胞における増殖による実質的選択を受け得ることを示唆する。実験室動物におけるHAベースのインフルエンザワクチンの効力に及ぼす小配列変異の作用は、このようなワクチンを調製する場合に野生型ウイルスの配列にできるだけ近いものにすることの重要性を強調する。
【0140】
c.非ヒト霊長類:非ヒト霊長類は、感染の臨床反応が乏しいために、インフルエンザ誘発モデルとしては一般に用いない。しかしながら、認可死菌ウイルスワクチンとの比較に際して、非ヒト霊長類におけるPNVワクチン組合せの免疫原性をわれわれは調べた。HA及び内部タンパク質遺伝子を含有する組合せPNVによりもたらされる抗体力価は、HI抗体力価及び反応の持続時間に関しては認可物質と少なくとも等しかった(上記参照)。PNVで免疫化したアフリカミドリザルは抗原連続変異性変種に関するHA PNVに反応したが、これはPNVに対する型特異性反応が過去に免疫化された被験体に生じ得ることを示す。PNVで免疫化されたサルはさらに慣用の死菌ウイルスワクチンを用いたその後の免疫化にも反応した。
【0141】
4.結論:インフルエンザに対するポリヌクレオチドワクチンは、インフルエンザ感染の実験室動物モデルに有効である。同種防御はHAをコードするDNAベクターを用いて、最も有利には現行認可インフルエンザワクチンに用いるHAタンパク質により誘発されるのと同様の免疫学的機序により達成し得る。異種防御は、インフルエンザの保存内部タンパク質をコードするDNAを含入することにより、抗原的不連続変異及び連続変異株の両方に対して達成し得る。1回免疫化にこれらのアプローチを組合せると、フェレットモデルにおいては現行認可ワクチンと比較して、抗原性連続変異変種に対する防御の改良が生じた。
【0142】
実施例15
ベクターV1R調製
基礎ワクチンベクターを絶えず最適化しようと、我々はV1Rと呼ばれるV1Jnsの誘導体を調製した。このベクター構築の目的は、V1J及びV1Jnsがもたらす全体的最適化遺伝子発現特性及び高プラスミド収率を依然として保持したまま、最小サイズの、即ち不必要なDNA配列を含有しないワクチンベクターを生成することであった。文献から並びに経験により、(1)大腸菌の複製原点をなすpUC骨格内の領域を、プラスミド収率を犠牲にせずに細菌から切り取り得る;(2)カナマイシン開放読み枠後のkan遺伝子の3′領域を、その代わりに細菌ターミネーターを挿入して切り取り得る;そして(3)BGHの3′側の〜300塩基対の半分を、その調節機能に影響を及ぼさずに切り取り得る(BGHエレメント内に現存するKpnl制限部位の後)ということを我々は確かめた。
【0143】
それぞれCMVintAプロモーター/BGHターミネーター、複製原点及びカナマイシン耐性遺伝子のDNAの3つのセグメントをV1JnsからPCRを用いて合成し、V1Rを構築した。PCRオリゴマーを用いて、各々のセグメントに特有の制限酵素を各セグメント末端に付加した:CMVintA/BGHに関してはSspI及びXhoI;kanr 遺伝子に関してはEcoRV及びBamHI;そしてoriに関してはBclI及びSalI。各々のPCR−由来DNAセグメントを方向性をもって結紮させ、各部位をその後除去できるよう、これらの酵素部位を選択した:EcoRV及びSspIは結紮に適合性の盲端DNAを残し、一方BamHI及びBclIはSalI及びXhoIの場合と同様に相補的オーバーハングを残す。PCRによりこれらのセグメントを得た後、各セグメントを上記の適切な制限酵素で消化し、次いで3つのDNAセグメントをすべて含有する、単一の反応混合物に結紮した。ori5′末端は、カナマイシン耐性遺伝子に関する終結情報を提供し得るようにこの領域内に一般に見出されるT2 rho非依存性ターミネーター配列を包含するよう意図した。制限酵素消化(>8酵素)により、並びに結紮接合部のDNA配列解析により、結紮物質を確認した。V1R内でのウイルス遺伝子を用いたDNAプラスミド収率及び異種発現は、V1Jnsと同様であると思われる。ベクターサイズの正味低減は、1346bp(V1Jns=4.86Kb;V1R=3.52Kb)であった(図36(配列番号45)参照)。
【0144】
V1Rを合成するために用いたPCRオリゴマー配列を以下に示す(制限酵素部位には下線を施し、配列の後ろのかぎ括弧内にその名称を示した):
(1)5′−GGT ACA AAT ATT GG CTA TTG GCC ATT GCA TAC G−3′ [SspI](配列番号60);
(2)5′−CCA CAT CTC GAG GAA CCG GGT CAA TTC TTC AGC ACC−3′ [XhoI](配列番号61);(CMVintA/BGHセグメントに関して)
(3)5′−GGT ACA GAT ATC GGA AAG CCA CGT TGT GTC TCA AAA TC−3′ [EcoRV](配列番号62);
(4)5′−CCA CAT GGA TCC G TAA TGC TCTGCC AGT GTT ACA ACC−3′ [BamHI](配列番号63);(カナマイシン耐性遺伝子に関して)
(5)5′−GGT ACA TGA TCA CGT AGA AAA GAT CAA AGG ATC TTC TTG−3′ [BclI](配列番号64);
(6)5′−CCA CAT GTC GAC CC GTA AAA AGG CCG CGT TGC TGG−3′ [SalI](配列番号32) (大腸菌複製原点に関して)
【0145】
【配列表】
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642
Figure 0003608642

【図面の簡単な説明】
【図1】PCRによる筋肉中のNPプラスミドDNAの検出を示す電気泳動の写真である。RSV−NP DNA又はブランクベクター(100μg/足)をBALB/cマウスの両四頭筋に3週間間隔で3回注射し、その後マウスをインフルエンザに感染させた。最終注射後4週間目に筋肉を摘出し、直ちに液体窒素中で凍結させた。次にそれらをMIKRODISMEMBRATORTM(B.BraunInstruments)に入れた溶解緩衝液(25mM トリス−HPO,pH8、2mM トランス−1:2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CDTA)、2mM DTT、10% グリセロール、1% Triton X−100)中で粉砕し、高分子DNAをフェノール/クロロホルム及びエタノール沈降により抽出した。40サイクルPCR反応(PCRはPerkin ElmerCetus GENEAMPTMキットでの操作支持どおりとした)を実施して筋肉中のNPプラスミドDNAの存在を検出した。CMVプロモーターからの挿入NP遺伝子の5′部分の殆どに及ぶ772塩基対のPCR生成物質(矢印を参照)を、プロモーター領域でプライムした18塩基長センスオリゴヌクレオチド(GTGTGCACCTCAAGCTGG, 配列番号1)及び挿入NP配列の5′部分の23塩基長オリゴヌクレオチドアンチセンスプライマー(CCCTTTGAGAATGTTGCACATTC,配列番号2)から生成した。この772bp物質は、選択NP DNA注入筋肉標本において臭化物染色アガロースゲル上で観察されるが、ブランクベクター対照(600L)では認められない。上記の各レーンの名称は、マウス同定番号及び右又は左足を示す。
【図2】NP DNA注射マウスにおけるNP抗体の産生。マウスの各足にV1−NPDNA 100μgを0、3及び6週間目に注射し、0、2、5及び8週目に血液を採取した。血清中の抗NP IgGの存在を、バキュロウイルス発現ベクターでトランスフェクトしておいた昆虫細胞から精製したNPを用いて、ELISA(J.J.Donnellyら,J.Immunol.145,3071(1990))により検定した。結果は、最初のNP DNA注射後の時間に対する平均log10ELISA力価±SEM(n=10)としてプロットした。ブランクベクターで免疫化したマウスは検出可能なNP抗体を生じなかった。
【図3】DNAで免疫化したマウスから得られたCTLに関して4時間51Cr放出検定で測定した特異的溶解(%)。マウスを400μgのV1−NP DNA(黒丸)又はブランクベクター(黒四角)で免疫化して、3〜4週間後に屠殺した。陰性対照CTLは、未使用マウス(白三角)、そして陽性対照は4週間前にA/HK/68で感染させておいたマウス(黒三角)から得た。グラフは代表的な個々のマウスからのデータを示す。少なくとも8匹の個体を各組の条件に関して調べた。A図:NP147−155パルス化自系脾細胞で再刺激し、NP147−155パルス化P815細胞に対して検定した脾細胞。B図:NP147−155パルス化自系脾細胞で再刺激し、CTL付加前に6時間インフルエンザA/Victoria/73(H3N2)で感染させたP815標的に対して検定した脾細胞。C図:付加的抗原を用いずにCon A及びIL−2で再刺激し、NP147−155でパルス化したP815細胞に対して検定した脾細胞。D図:マウスに1回の注射につき200μgのV1−NP DNA又はブランクベクターを3週間置きに3回注射した。最終免疫化後4週目に脾臓を取り出して、脾細胞をIL−2及びCon Aと7日間培養し、CTLをA/Victoria/73で感染させたP815標的細胞に対して検定した。
【図4】10TCID50のA/HK/68を用いた非麻酔下鼻腔内誘発後のDNA免疫化マウスにおける体重損失(グラム)及び回復。V1−NP DNA又はブランクベクターを用いて3週間置きに3回マウスを免疫化するか、あるいは注射せずに、最終免疫化後3週目に誘発した。誘発時点でそして4日目から毎日、NPDNA注射マウス(黒丸)、ブランクベクター対照(白三角)及び非注射対照(白丸)に関し、各群マウス10匹の重量を調べた。ここに、平均体重±SEMを示す。NP DNA注射マウスは、t−検定によると、8〜13日目にブランクベクター注射(p≦0.005)及び非注射マウス(p≦0.01)より有意に低い体重損失を示した。2つの対照間に有意差は認められなかった(t−検定ではp=0.8)。
【図5】102.5TCID50のA/HK/68を用いた非麻酔下鼻腔内誘発後のDNA免疫化マウスの生存率。V1−NP DNA(黒丸)又はブランクベクター(白丸)で3週間置きに3回免疫化したマウス、及び非注射対照(白三角)を最終免疫化後3週間目に誘発した。生存率(%)は、9匹又は10匹のマウス群に関して示す。NP DNA注射マウスの生存率は、対照より有意に大きかった(χ2乗分析でp=0.0004)が、一方ブランクベクター注射マウスと非注射マウスとの間に有意差は認められなかった(χ2乗分析でp=0.17)。
【図6】発現ベクターV1J,配列番号10の配列。
【図7】発現ベクターV1Jneo,配列番号18の配列。
【図8】CMVintA−BGHプロモーター−ターミネーター配列,配列番号11の配列。
【図9】サル抗−NP抗体。
【図10】フェレット赤血球凝集抑制。点線は最小防御抗体力価を示し、貫通横線付き丸で平均値を示す。
【図11】DNA免疫化後のフェレットにおけるIgG抗NP抗体。
【図12】DNA免疫化をした場合としない場合のフェレットにおけるインフルエンザウイルス脱落。
【図13】pRSV−PR−NP及びV1−NPベクターの図解。NPは挿入されたコーディング領域を示す。
【図14】インフルエンザタンパク質及び株の図解。
【図15】細胞内での注入DNAプロセッシングの図式。
【図16】HA及び内部タンパク質遺伝子による免疫化によって誘発されるインフルエンザA/RP/8/34に対するフェレットの耐性。
【図17】V1Jnsベクターの図解。
【図18】アフリカミドリザルにHA DNA(A/Beijing/89,B/Panama/90,A/Texas/91)、NP DNA(A/PR/34)及びM1 DNA(A/PR/34)から成るDNAのカクテルを注射した。各成分は、10μg(黒四角)又は100μg(黒丸)を6週間の間隔をおいて(矢印参照)2回投与した。比較のために、他の動物に完全ヒト用量(45μgタンパク質当量;15μg/HA)で、認可サブビリオン(白四角)及び全ビリオン(白丸)ワクチンを別の動物に注射した。血清標本を2週間毎に18週間収集し、A/Beijing/89 HAに対するHI力価に関して分析した。データは幾何平均HI力価±SEM(この場合n=3)として表す。
【図19】雌BALB/cマウス(4〜6週齢)にA/PR/34 NP DNA(200μg)を3週間おきに3回注射した。陰性対照としては、対照DNA(200μg)、組換え体NPタンパク質(10μg)を注射したマウス、及び未使用非注射マウス(模擬)が含まれた。比較のために、インフルエンザウイルスA/HK/68(インフルエンザ)に感染させたマウスも試験した。CTLは投与後6か月のものから得られ、ウイルス感染同系脾細胞を用いてin vitroで再刺激して、10:1のエフェクター:標的比でNPペプチドパルス化P815細胞に対して試験した。データは%特異的溶解±sd(n=3)で示す。
【図20】C3H/HeNマウスに正常C12筋原細胞(1×10細胞)、組換え体NPタンパク質(2μg)又はNPトランスフェクト化筋原細胞(1×10細胞)を注射した。この量のNPタンパク質(2μg)は抗体反応を生じるのに十分であり、移植NPトランスフェクト化筋原細胞中に存在するNPの量の約100倍と等価であった。CTLは処置後6週目のこれらのマウスから調製し、インフルエンザウイルス感染同系脾細胞でin vitroで再刺激した。陽性対照として、CTLをインフルエンザウイルスA/HK/68に感染させておいたマウスから調製した。未処置(黒)、インフルエンザウイルスA/Victoria/73−感染(斜線)及びNPトランスフェクト筋原細胞(点描)を25:1のエフェクター:標的比で標的細胞として用いた。データは%特異的溶解±sd(n=3)で示す。
【図21】4週齢雌BALB/cマウスを、3週間おきに3回NP DNA 200μgを筋注して免疫化した。麻酔下での300TCID50のA/HK/68投与により3回目の免疫化後3週目にマウスに誘発した(全気道誘発)。生存マウス(10匹/群)の比率を誘発後の時間に対してプロットした。
【図22】4週齢雌BALB/cマウスを、3週間おきに3回NP DNA 100μgを筋注して免疫化した。麻酔下での300TCID50のA/HK/68投与により3回目の免疫化後3週目にマウスに誘発した(全気道誘発)。マウスを毎日計量し、各生存マウスに関して初期体重との比率を算出した。初期体重との平均パーセントを±SEM対誘発後の時間でプロットした。
【図23】4週齢雌BALB/cマウスを、3週間おきに3回NP DNA 200μgを筋注して免疫化した。非麻酔下での2000TCID50のA/HK/68投与により3回目の免疫化後3週目にマウスに誘発した(上部気道誘発)。誘発後7日目にマウスを安楽死させて、肺を摘出し、ホモジェナイズして、MDCK細胞に関する順次測定によりウイルス力価を測定した。
【図24】4週齢雌BALB/cマウスを、3週間おきに3回NP DNA 6.25、25、100又は200μgを筋注して免疫化した。麻酔下での300TCID50のA/HK/68投与により3回目の免疫化後3週目にマウスに誘発した(全気道誘発)。生存マウス(10匹/群)の比率を誘発後の時間に対してプロットした。
【図25】4週齢雌BALB/cマウスを、3週間おきに3回、200μgのNP DNA、対照DNA又は模擬物質を筋注して免疫化した。次に麻酔下で300TCID50のA/HK/68を用いてDNAの3回注射後6、12及び25週目にマウスに誘発した。選択マウスでは22週目にNP DNA 200μgで再免疫化し、次いで25週目に誘発した(“追加免疫”)。平均体重は、各群に関する初期全体重の百分率として示す。図示した対照体重は6、12及び25週誘発からの全対照群、対照DNAを摂取した又は模擬物質を注射した6群の合計の体重の平均である。各群は最初は各々10匹の動物を含有した。死亡したマウスは次の重量分析から除外した。
【図26】成熟(22〜28週齢)雄フェレットをA/Beijing/89からのNPをコードするDNA 1mg、A/Beijing/89からのM1をコードするDNA 1mg、又は両DNAを併合したもの 1mgを用いて、0及び42日目に免疫化した。対照フェレットは非コードDNA又は全ヒト用量(15μg/株)のA/Beijing/89を含有する認可全ウイルスインフルエンザワクチン(92〜93処方物)を0及び42日目に摂取した。A/Georgia/93を用いて56日目にフェレットに誘発した。鼻腔洗浄時のウイルス脱落は上記と同様に測定した。3〜5日目のウイルス脱落を2次元分散分析により対照DNA投与フェレットの脱落と比較した。NP DNA、M1 DNA又はNP+M1 DNA投与フェレットにおける脱落は対照フェレットの脱落よりも有意に低かった(それぞれp<0.0001、0.0016及び<0.0001)。NP(データは示されていない)、M1又はNP+M1投与フェレットの脱落は、認可ワクチン投与フェレットの場合の脱落と有意に異ならなかった(それぞれp=0.104、0.533及び0.145)。1mgの免疫化用量は、任意に選択した。用量範囲試験は非ヒト霊長類で実施した。
【図27】雄22〜25週齢フェレット8匹の各群を対照DNA、食塩水又はインフルエンザA/PR/8/34タンパク質をコードするDNAを筋注して0、21及び121日目に免疫化し、148日目に200TCID50のA/PR/8/34を鼻腔内投与して誘発した。免疫化動物はNP DNA 1mg又はNP、NS1、PB1、PB2及びM1 DNAを併合したもの 2mg(各構成分 400μg)を摂取した。対照は食塩水 0.5ml/足又は対照DNA 1mgを摂取した。解析の都合上、食塩水及び対照DNAを摂取した群を併合し(対照)、NP DNAを単独で又は他の内部タンパク質遺伝子と組合せて摂取した群(内部)と比較した。グラフは、3mlの容量の鼻腔洗浄液の50μl当たりのTCID50での鼻腔洗浄感染性力価を示す。未希釈洗浄液(試験最低希釈)は原鼻腔浸出物の1:10希釈物であると仮定して、陽性未希釈標本は1 logの値を割り当てた。1 logより大きい力価は3回の反復実験の中からReed−Muench内挿法に基づいて割り当てて、50%感染性終点を得た。未希釈を試験した場合に陰性であった標本には、0 logの値を割り当てた。グラフに示したpの値を、2平均に関するT−検定により指定日に免疫化フェレット対対照に関してコンピューター処理する。全曲線に関するpの値を2次元分散分析によりコンピューター処理すると、NP対対照は<0.0001、併合DNA対対照は<0.001となった。
【図28】DNAで免疫化し、次いでインフルエンザウイルスで誘発したマウスの生存率。マウスに、200μgのA/PR/34からのHAをコードするDNA又は対照(非コード)DNAを3週間置きに3回筋注した。最終免疫化後3週目にマウスに1000TCID50のA/PR/34を用いた全気道誘発(麻酔下での鼻腔内点滴注入による)を施した。データは、誘発後の生存率(%)対時間としてプロットした(n=9又は10匹/群)。
【図29】DNAで免疫化し、次いでインフルエンザウイルスで誘発したマウスの体重損失。マウスに、200μgのA/PR/34からのHAをコードするDNA又は対照(非コード)DNAを3週間置きに3回筋注した。最終免疫化後3週目にマウスに1000TCID50のA/PR/34を用いた全気道誘発(麻酔下での鼻腔内点滴注入による)を施した。データは、各群に関して平均を出した各個体の初期体重の%対時間としてプロットした(死亡動物は平均から除外した)。
【図30】DNAで免疫化し、次いでインフルエンザウイルスで誘発したマウスの生存率。マウスに、1、10又は100μgのA/PR/34からのHAをコードするDNA又は対照(非コード)DNAを3週間置きに3回筋注した。最終免疫化後3週目にマウスに1000TCID50のA/PR/34を用いた全気道誘発(麻酔下での鼻腔内点滴注入による)を施した。データは、誘発後の生存率(%)対時間としてプロットした(n=9又は10匹/群)。
【図31】雄22〜25週齢フェレット8匹の各群を対照DNA、食塩水又はインフルエンザA/PR/8/34タンパク質をコードするDNAを筋注して0、21及び121日目に免疫化し、148日目に200TCID50のA/PR/8/34を鼻腔内投与して誘発した。免疫化動物はHA DNA 1mg又はHA、NP、NS1、PB1、PB2及びM1 DNAを併合したもの2mg(各構成分 330μg)を摂取した。対照は食塩水 0.5ml/足又は対照DNA 1mgを摂取した。解析の都合上、食塩水及び対照DNAを摂取した群を併合し(対照)、HA DNAを単独で又は他の内部タンパク質遺伝子と組合せて摂取した群(HA,HA+内部)と比較した。グラフは、3mlの容量の鼻腔洗浄液の50μl当たりのTCID50での鼻腔洗浄感染性力価を示す。未希釈洗浄液(試験最低希釈)は原鼻腔浸出物の1:10希釈物であると仮定して、陽性未希釈標本に1 logの値を割り当てた。1 logより大きい力価は3回の反復実験の中からReed−Muench内挿法に基づいて割り当てて、50%感染性終点を得た。未希釈を試験した場合に陰性であった標本には、0 logの値を割り当てた。全曲線に関するpの値を2次元分散分析によりコンピューター処理すると、HA対対照は<0.0001、併合DNA対対照は<0.0001となった。
【図32】成熟(22〜28週齢)雄フェレットをA/Geogia/93からのHAをコードするDNA 1mgを筋注して、0及び42日目に免疫化した。対照フェレットは非コードDNA又は全ヒト用量(15μg/株)のA/Beijing/89を含有する認可全ウイルスインフルエンザワクチン(92〜93処方物)を0及び42日目に摂取した。A/Georgia/93を用いて56日目にフェレットに誘発した。鼻腔洗浄時のウイルス脱落は上記と同様に測定した。1〜6日目のウイルス脱落を2次元分散分析により対照DNA投与フェレットの脱落と比較した。HA DNA投与フェレットにおける脱落は対照フェレットの脱落よりも有意に低かった(p<0.0001)。
【図33】成熟(22〜28週齢)雄フェレットをA/Hawaii/91又はA/Beijing/89(データは示されていない)からのHAをコードするDNA 1mgを筋注して、0及び42日目に免疫化した。対照フェレットは非コードDNA又は全ヒト用量(15μg/株)のA/Beijing/89を含有する認可全ウイルスインフルエンザワクチン(92〜93処方物)を0及び42日目に摂取した。A/Georgia/93を用いて56日目にフェレットに誘発した。鼻腔洗浄時のウイルス脱落は上記と同様に測定した。1〜6日目のウイルス脱落を2次元分散分析により対照DNA投与フェレットの脱落と比較し、著しく低い(p<0.0001)ことを認めた。A/Hawaii/91 HA DNA投与フェレットにおける脱落は認可物質投与フェレットの脱落よりも有意に低かった(A/Hawaii/91 HA DNAに関してはp=0.021;1〜6日目についての2次元分散分析)。一方、A/Beijing/89 HA DNA投与フェレットの場合の脱落(データは示されていない)は認可物質投与フェレットにおける脱落と有意に異ならなかった(p=0.058;1〜6日目についての2次元分散分析)。
【図34】成熟(22〜28週齢)雄フェレットをA/Hawaii/91(図13参照)からのHAをコードするDNA 1mgを用いて、又はA/Hawaii/91からのHA並びにA/Beijing/89からのNP及びM1をコードするDNA各々330μgを筋注して、0及び42日目に免疫化した。対照フェレットは非コードDNA又は全ヒト用量(15μg/株)のA/Beijing/89を含有する認可全ウイルスインフルエンザワクチン(92〜93処方物)を0及び42日目に摂取した。A/Georgia/93を用いて56日目にフェレットに誘発した。鼻腔洗浄時のウイルス脱落は上記と同様に測定した。1〜6日目のウイルス脱落を2次元分散分析により対照DNA投与フェレットの脱落と比較した。HA+NP+M1 DNA投与フェレットにおける脱落は認可ワクチン(p<0.0001)又はHA DNA単独(p=0.0053)投与フェレットの脱落よりも有意に低かった。
【図35】成熟(22〜28週齢)雄フェレットをA/Geogia/93からのHAをコードするDNA 1mgを用いて、又はA/Hawaii/91からのHA、並びにA/Beijing/89からのNP及びM1をコードするDNA 各々330μgを筋注して、0及び42日目に免疫化した。対照フェレットは非コードDNA又は全ヒト用量(15μg/株)のA/Beijing/89を含有する認可全ウイルスインフルエンザワクチン(92〜93処方物)を0及び42日目に摂取した。A/Georgia/93を用いて56日目にフェレットに誘発した。鼻腔洗浄時のウイルス脱落は上記と同様に測定した。1〜6日目のウイルス脱落を2次元分散分析により対照DNA投与フェレットの脱落と比較した。HA+NP+M1 DNA投与フェレットにおける脱落は同種HA DNA投与フェレットにおける脱落と有意に異ならなかった(p=0.064)。
【図36】発現ベクターV1R,配列番号45の配列。

Claims (14)

  1. 組換えDNAを含むポリヌクレオチドワクチンであり、プラスミドベクターおよび該DNAプラスミドベクター中に存在する少なくとも1つの転写調節因子に操作可能に結合したヒト感染株由来のインフルエンザウイルスタンパク質をコードする1以上のヌクレオチド配列を含み、該インフルエンザウイルスタンパク質がヘマグルチニンのH1ベースのサブタイプ以外のヘマグルチニンまたはノイラミダーゼであり、該ポリヌクレオチドワクチンを哺乳類に投与した場合に該哺乳類がインフルエンザウイルス関連疾患から防御されることを特徴とする前記ワクチン。
  2. 前記インフルエンザウイルスタンパク質がヘマグルチニンのH1ベースのサブタイプ以外のヘマグルチニンである請求項1に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  3. 前記インフルエンザウイルスタンパク質がノイラミダーゼである請求項1に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  4. 前記組換えDNAがA型およびB型ヒトインフルエンザウイルス由来の以上の前記ヌクレオチド配列を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  5. 前記組換えDNAが少なくとも2種類以上のヒトインフルエンザウイルス由来の2以上のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  6. 前記ヌクレオチド配列がH2N2、H3N2またはB株のヒトインフルエンザウイルス由来である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  7. 前記DNAプラスミドベクターがラウス肉腫ウイルスLTR(long terminal repeat)のプロモーターを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  8. 前記DNAプラスミドベクターがサイトメガロウイルスプロモーターを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  9. 前記プラスミドベクターがV1Jnsである請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  10. 前記プラスミドベクターが配列番号10のV1Jである請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  11. 前記プラスミドベクターが配列番号18のV1J−neoである請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  12. 前記プラスミドベクターが配列番号45のV1Rである請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン。
  13. a)V1Jneo−PA−HA(この5’末端が配列番号26であり、3’末端が配列番号27である);
    b)V1Jns−GA−HA(A/Georgia/03/93)、構築物サイズ6.56 Kb(この5’末端が配列番号46であり、3’末端が配列番号47である);
    c)V1Jns−PA−HA(B/Panama/45/90)、構築物サイズ6.61 Kb(この5’末端が配列番号50であり、3’末端が配列番号51である);
    から成る群より選択される1以上のDNAプラスミドを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチン
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドワクチンの有効量を含む、インフルエンザウイルス感染に対して哺乳類を防御するための医薬組成物。
JP29013797A 1993-03-18 1997-10-22 核酸製剤 Expired - Fee Related JP3608642B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US3238393A 1993-03-18 1993-03-18
US8998593A 1993-07-08 1993-07-08
US032383 1993-07-08
US089985 1993-07-08

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6049102A Division JP2812352B2 (ja) 1993-03-18 1994-03-18 核酸製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10113194A JPH10113194A (ja) 1998-05-06
JP3608642B2 true JP3608642B2 (ja) 2005-01-12

Family

ID=26708344

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6049102A Expired - Fee Related JP2812352B2 (ja) 1993-03-18 1994-03-18 核酸製剤
JP29013797A Expired - Fee Related JP3608642B2 (ja) 1993-03-18 1997-10-22 核酸製剤

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6049102A Expired - Fee Related JP2812352B2 (ja) 1993-03-18 1994-03-18 核酸製剤

Country Status (22)

Country Link
EP (1) EP0620277A1 (ja)
JP (2) JP2812352B2 (ja)
CN (1) CN1119458A (ja)
AU (1) AU676258B2 (ja)
BG (1) BG63126B1 (ja)
BR (1) BR9406007A (ja)
CA (1) CA2119175A1 (ja)
CZ (1) CZ290315B6 (ja)
DZ (1) DZ1759A1 (ja)
FI (1) FI954329A (ja)
HR (1) HRP940175A2 (ja)
HU (1) HUT73397A (ja)
IL (1) IL108915A0 (ja)
NO (1) NO953649L (ja)
NZ (1) NZ263680A (ja)
PL (1) PL178626B1 (ja)
RO (1) RO117710B1 (ja)
SI (1) SI9420014A (ja)
SK (1) SK114295A3 (ja)
UA (1) UA42715C2 (ja)
WO (1) WO1994021797A1 (ja)
YU (1) YU12894A (ja)

Families Citing this family (69)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5849719A (en) 1993-08-26 1998-12-15 The Regents Of The University Of California Method for treating allergic lung disease
US6911216B1 (en) 1994-10-12 2005-06-28 Genzyme Corporation Targeted delivery via biodegradable polymers
US5736524A (en) * 1994-11-14 1998-04-07 Merck & Co.,. Inc. Polynucleotide tuberculosis vaccine
DE19512142A1 (de) * 1995-03-31 1996-10-02 Immuno Ag Infektiöser cDNA-Klon des Tick-Borne Enzephalitis (TBE)-Virus, davon abgeleiteter rekombinanter Impfstoff und Herstellung desselben sowie ein pharmazeutisches Produkt, das eine replizierbare Nukleinsäure enthält
US6083925A (en) * 1995-06-07 2000-07-04 Connaught Laboratories Limited Nucleic acid respiratory syncytial virus vaccines
US6017897A (en) * 1995-06-07 2000-01-25 Pasteur Merieux Connaught Canada Nucleic acid respiratory syncytial virus vaccines
US6019980A (en) 1995-06-07 2000-02-01 Connaught Laboratories Limited Nucleic acid respiratory syncytial virus vaccines
US6537776B1 (en) 1999-06-14 2003-03-25 Diversa Corporation Synthetic ligation reassembly in directed evolution
FR2751225B1 (fr) * 1996-07-19 1998-11-27 Rhone Merieux Formule de vaccin polynucleotidique aviaire
US6204250B1 (en) 1996-11-22 2001-03-20 The Mount Sinai Medical Center Of The City Of New York Immunization of infants
EP1017283B1 (en) * 1997-02-14 2004-12-15 Merck & Co., Inc. Polynucleotide vaccine formulations
UA78180C2 (uk) 1997-10-03 2007-03-15 Меріаль Кільцевий вірус свині типу ii, вакцини та діагностичні реагенти
US6517843B1 (en) 1999-08-31 2003-02-11 Merial Reduction of porcine circovirus-2 viral load with inactivated PCV-2
FR2772047B1 (fr) 1997-12-05 2004-04-09 Ct Nat D Etudes Veterinaires E Sequence genomique et polypeptides de circovirus associe a la maladie de l'amaigrissement du porcelet (map), applications au diagnostic et a la prevention et/ou au traitement de l'infection
US6686339B1 (en) 1998-08-20 2004-02-03 Aventis Pasteur Limited Nucleic acid molecules encoding inclusion membrane protein C of Chlamydia
CA2340330A1 (en) 1998-08-20 2000-03-02 Aventis Pasteur Limited Nucleic acid molecules encoding inclusion membrane protein c of chlamydia
US6693087B1 (en) 1998-08-20 2004-02-17 Aventis Pasteur Limited Nucleic acid molecules encoding POMP91A protein of Chlamydia
US6881723B1 (en) 1998-11-05 2005-04-19 Powderject Vaccines, Inc. Nucleic acid constructs
US7618797B2 (en) 1998-12-22 2009-11-17 Pfizer Inc Infectious cDNA clone of North American porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) virus and uses thereof
US7691389B2 (en) 1998-12-22 2010-04-06 Pfizer Inc Infectious cDNA clone of north american porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) virus and uses thereof
AU3593200A (en) 1999-02-09 2000-08-29 Powderject Vaccines, Inc. (mycobacterium tuberculosis), immunization
US6943152B1 (en) 1999-06-10 2005-09-13 Merial DNA vaccine-PCV
JP2001151698A (ja) * 1999-09-10 2001-06-05 Nichiko Pharmaceutical Co Ltd インフルエンザワクチン
DK1227837T3 (da) 1999-10-22 2008-09-15 Aventis Pasteur Fremgangsmåde til introduktion og/eller fremskyndelse af et immunrespons på et tumorantigen
US7196066B1 (en) 1999-11-03 2007-03-27 Powderject Vaccines, Inc. DNA-vaccines based on constructs derived from the genomes of human and animal pathogens
US7078388B2 (en) 2000-01-21 2006-07-18 Merial DNA vaccines for farm animals, in particular bovines and porcines
US6852705B2 (en) 2000-01-21 2005-02-08 Merial DNA vaccines for farm animals, in particular bovines and porcines
EP1792995A3 (en) 2000-05-08 2007-06-13 Sanofi Pasteur Limited Chlamydia secretory locus orf and uses thereof
DE60124899T2 (de) 2000-05-10 2007-08-16 Sanofi Pasteur Ltd., Toronto Durch mage minigene kodierte immunogene polypeptide und ihre verwendungen
CA2566355C (en) 2004-05-18 2014-04-15 Vical Incorporated Influenza virus vaccine composition and methods of use
US8202967B2 (en) 2006-10-27 2012-06-19 Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc. H5 proteins, nucleic acid molecules and vectors encoding for those, and their medicinal use
JP2010528619A (ja) 2007-05-31 2010-08-26 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー インフルエンザaおよびインフルエンザbウイルスを検出するための配列および方法
US8354230B2 (en) * 2007-12-21 2013-01-15 Quest Diagnostics Investments Inc. Multiplex detection assay for influenza and RSV viruses
AU2009276304B2 (en) 2008-08-01 2012-10-11 Gamma Vaccines Pty Limited Influenza vaccines
CA2760553A1 (en) * 2009-04-30 2010-11-04 Jr. James E. Crowe Monoclonal antibodies to influenza h1n1 virus and uses thereof
SG168423A1 (en) * 2009-07-13 2011-02-28 Agency Science Tech & Res Influenza detection method and kit therefor
AR078253A1 (es) 2009-09-02 2011-10-26 Boehringer Ingelheim Vetmed Metodos para reducir la actividad antivirica en composiciones pcv-2 y composiciones pcv-2 con mejor inmunogenicidad
AR083533A1 (es) 2010-10-22 2013-03-06 Boehringer Ingelheim Vetmed Proteinas de hemaglutinina 5 (h5) para el tratamiento y prevencion de las infecciones de gripe
AR088028A1 (es) 2011-08-15 2014-05-07 Boehringer Ingelheim Vetmed Proteinas h5, de h5n1 para un uso medicinal
WO2013033092A2 (en) 2011-09-03 2013-03-07 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Streptococcus suis pilus antigens
WO2013138118A1 (en) 2012-03-14 2013-09-19 The Regents Of The University Of California Treatment of inflammatory disorders in non-human mammals
WO2014127825A1 (en) 2013-02-21 2014-08-28 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh H5 proteins of h5n1 influenza virus for use as a medicament
CN105143251B (zh) * 2013-03-18 2021-05-11 奥西瓦科斯公司 流感核蛋白疫苗
CA2925281C (en) 2013-09-25 2022-05-03 Zoetis Services Llc Pcv2b divergent vaccine composition and methods of use
CA2943816A1 (en) 2014-04-03 2015-10-08 Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc. Porcine epidemic diarrhea virus vaccine
EP3344289B1 (en) 2015-08-31 2020-01-29 Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH Pestivirus vaccines for congenital tremors
US20170072042A1 (en) 2015-09-16 2017-03-16 Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc. Salmonella choleraesuis-salmonella typhimurium vaccines
UY37406A (es) 2016-09-20 2018-03-23 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Nuevo sitio de inserción orf70 de ehv
AR109538A1 (es) 2016-09-20 2018-12-19 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Vacuna contra la gripe porcina
EA201990719A1 (ru) 2016-09-20 2019-10-31 Новые промоторы
CA3036386A1 (en) 2016-09-20 2018-03-29 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Canine adenovirus vectors
WO2018083154A1 (en) 2016-11-03 2018-05-11 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Vaccine against porcine parvovirus
PL3534939T3 (pl) 2016-11-03 2023-06-12 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Szczepionka przeciw parwowirusowi świń i wirusowi zespołu rozrodczo-oddechowego świń oraz sposoby ich wytwarzania
JP2020506915A (ja) 2017-01-30 2020-03-05 ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッド ブタコロナウイルスワクチン
CA3068052A1 (en) 2017-07-12 2019-01-17 Boheringer Ingelheim Animal Health Usa Inc. Senecavirus a immunogenic compositions and methods thereof
EP3675903A1 (en) 2017-09-23 2020-07-08 Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH Paramyxoviridae expression system
WO2019092027A1 (en) 2017-11-09 2019-05-16 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Sapelovirus immunogenic compositions and uses thereof
US11033616B2 (en) 2018-02-23 2021-06-15 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Recombinant viral vector systems expressing exogenous feline paramyxovirus genes and vaccines made therefrom
EP3768307A1 (en) 2018-03-19 2021-01-27 Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH New ehv with inactivated ul18 and/or ul8
AU2019239552A1 (en) 2018-03-19 2020-09-10 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh EHV insertion site UL43
CN112088013A (zh) 2018-03-26 2020-12-15 勃林格殷格翰动物保健美国有限公司 制备免疫原性组合物的方法
TW202027785A (zh) 2018-09-20 2020-08-01 德商百靈佳殷格翰維美迪加股份有限公司 經修飾之pedv棘蛋白
TW202026010A (zh) 2018-09-20 2020-07-16 德商百靈佳殷格翰維美迪加股份有限公司 抗豬流行性下痢之鼻內載體疫苗
IT201900007060A1 (it) 2019-05-21 2020-11-21 St Superiore Di Sanita Cellule tumorali ingegnerizzate e loro usi
IT201900012540A1 (it) 2019-07-22 2021-01-22 Humanitas Mirasole Spa Inibitori di CHI3L1 e loro usi
US11858962B2 (en) 2020-02-06 2024-01-02 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Polypeptides useful for detecting anti-rhabdovirus antibodies
JP2023544403A (ja) 2020-10-05 2023-10-23 ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッド サーコウイルス科カプシドタンパク質を含む融合タンパク質、及びそれから構成されるキメラウイルス様粒子
TW202229314A (zh) 2020-10-05 2022-08-01 德商百靈佳殷格翰維美迪加股份有限公司 用於針對輪狀病毒疫苗接種之融合蛋白質
WO2023194913A1 (en) 2022-04-05 2023-10-12 Boehringer Ingelheim Vetmedica Gmbh Immunogenic composition useful for vaccination against rotavirus

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL86354A0 (en) * 1987-05-22 1988-11-15 Orion Yhtymae Oy Episomal vector for the expression of selected dna fragments coding for optional polypeptides in mammalian cells and methods for the production thereof
JP3250802B2 (ja) * 1989-03-21 2002-01-28 バイカル・インコーポレイテッド 脊椎動物における外因性ポリヌクレオチド配列の発現
US5643578A (en) * 1992-03-23 1997-07-01 University Of Massachusetts Medical Center Immunization by inoculation of DNA transcription unit

Also Published As

Publication number Publication date
HU9502702D0 (en) 1995-11-28
NO953649L (no) 1995-11-17
CZ290315B6 (cs) 2002-07-17
WO1994021797A1 (en) 1994-09-29
BR9406007A (pt) 1996-01-02
PL310677A1 (en) 1995-12-27
NZ263680A (en) 1997-05-26
BG63126B1 (bg) 2001-04-30
AU5788994A (en) 1994-09-22
YU12894A (sh) 1997-12-05
EP0620277A1 (en) 1994-10-19
PL178626B1 (pl) 2000-05-31
IL108915A0 (en) 1994-06-24
DZ1759A1 (fr) 2002-02-17
BG100006A (bg) 1996-12-31
FI954329A0 (fi) 1995-09-14
CN1119458A (zh) 1996-03-27
CZ237395A3 (en) 1996-02-14
HRP940175A2 (en) 1997-04-30
AU676258B2 (en) 1997-03-06
HUT73397A (en) 1996-07-29
JP2812352B2 (ja) 1998-10-22
SI9420014A (en) 1996-08-31
NO953649D0 (no) 1995-09-15
SK114295A3 (en) 1996-02-07
RO117710B1 (ro) 2002-06-28
JPH10113194A (ja) 1998-05-06
JPH0795888A (ja) 1995-04-11
UA42715C2 (uk) 2001-11-15
FI954329A (fi) 1995-09-14
CA2119175A1 (en) 1994-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3608642B2 (ja) 核酸製剤
US20210252130A1 (en) Vaccines comprising mutant attenuated influenza viruses
AU2006236910B2 (en) Vaccine against pandemic strains of influenza viruses
JP3545418B2 (ja) インフルエンザの新規組換え温度感受性変異体
MXPA04007914A (es) Senal para empaquetado de vectores de virus de influenza.
JP2024513999A (ja) インフルエンザ-コロナウイルス組み合わせワクチン
US20070003576A1 (en) Vaccines for the rapid response to pandemic avian influenza
PT1968632E (pt) Vacina da gripe melhorada
US20070122430A1 (en) Influenza vaccine compositions and methods of use thereof
CN108026515B (zh) 用于预防和/或治疗感染性疾病以及用于治疗肿瘤疾病的减毒流感病毒载体
WO1998022145A9 (en) Immunization of infants
EP0946200A1 (en) Immunization of infants
KR101835989B1 (ko) 인플루엔자 바이러스의 다중 아형 h3 및 h7 에 대한 다중 교차 면역반응을 형성하는 신규한 재조합 인플루엔자 바이러스 및 이를 포함하는 백신
RU2193065C2 (ru) Конструкция днк (варианты), днк-вектор, иммуногенная композиция против вируса гриппа, способ индукции иммунного ответа, вакцина и способ вакцинации
KR101908905B1 (ko) 인플루엔자 바이러스의 h9 및 h5의 다중 아형에 대한 교차 면역반응을 형성하는 신규한 재조합 인플루엔자 바이러스 및 이를 포함하는 백신
AU3723099A (en) Attenuated influenza viruses
CA3179035A1 (en) Influenza vaccines
AU2012216357B2 (en) Vaccine against pandemic strains of influenza viruses
KR101582490B1 (ko) 인플루엔자 바이러스의 다중 아형에 대한 교차 면역반응을 형성하는 신규한 재조합 바이러스 백신
US20020103145A1 (en) Immunization of infants
US9220769B2 (en) Composition
WO2023227758A1 (en) Vaccine with reduced anti-vector antigenicity
CN117750972A (zh) 流感-冠状病毒组合疫苗
Boutot The impact of codon optimization in H5N1 vaccine

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040204

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees