JP3596099B2 - 暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は温水流量を制御する流量制御弁を用いた暖房装置に関し、特には自動車用として用いた場合に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、温水式暖房装置を含む自動車用空調装置の吹出空気の温度制御方式として、暖房用熱交換器への温水流量を制御して、吹出空気温度を制御する方式のものが知られている。この温水流量制御方式は、冷風と温風の混合割合をエアミックスドアにより制御して、吹出空気温度を制御するエアミックス方式に比べて、次の様な利点がある。
【0003】
すなわち、温水流量制御方式では、エアミックス方式における冷風と温風を混合するための混合空間が不必要なので、その分、通風ダクト系の容積を小型化できる。また同時に、混合空間が不必要となることから、通風抵抗が低減し、送風機電力及び送風騒音の低減を図ることができる。
ところで、上記温水流量制御方式を採用した自動車用空調装置の従来技術として、例えば特開昭59−114118号公報に記載されたものがある。
【0004】
この公報記載のものは図14に示すように、第1ヒータコア101および第2ヒータコア102への供給温水量を流量制御弁103にて制御するものである。その上で、上方吹出口104と足元吹出口105の両方から車室内に風を吹き出すバイレベルモードのときは、開閉弁106を閉じて第1ヒータコア101への温水供給を停止することによって、上方吹出口104からの吹出風温度を低めに、足元吹出口105からの吹出風温度を高めにする、というものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記開閉弁106は、あくまでも第1ヒータコア101への温水供給を許容するか停止するかを切り換える弁であって、それぞれのヒータコア101、102への温水供給量をリニアに制御するものではない。従って、上記公報記載の考え方を利用して、例えばヒータコア105を通過した空気を運転席に吹き出し、ヒータコア106を通過した空気を助手席に吹き出す左右独立温度制御を行おうとしても、各席への吹出風温度をリニアに制御することができない。
【0006】
そこで本発明は上記問題に鑑み、温水回路から分岐した第1通路と第2通路のそれぞれの途中に第1熱交換器および第2熱交換器を設け、この第1熱交換器にて室内の第1空間の暖房を行い、第2熱交換器にて室内の第2空間の暖房を行う暖房装置において、それぞれの熱交換器への温水供給量をリニアに制御することによって、上記第1および第2空間を独立に暖房することのできる暖房装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、
水冷式の走行用エンジン(1)を有する自動車に用いられる暖房装置であって、
前記エンジン(1)によって加熱された温水を循環させる温水回路(17)の途中の通路である第1通路(17b)中に設けられ、前記温水と空気とを熱交換して車室内の第1空間の暖房を行う第1熱交換器(3A)と、
前記温水回路(17)の途中の通路でかつ前記第1通路(17b)と並列に設けられた第2通路(17c)中に設けられ、前記温水と空気とを熱交換して車室内の第2空間の暖房を行う第2熱交換器(3B)と、
前記温水回路(17)途中に設けられ、前記第1熱交換器(3A)と前記第2熱交換器(3B)とを流れる温水の総流量を制御する総流量制御弁(4)と、
前記温水回路(17)途中に設けられ、前記総流量制御弁(4)によって流量制御された温水を、前記第1熱交換器(3A)と前記第2熱交換器(3B)とにリニアに分配する分配弁(7)と
を備える暖房装置を特徴とする。
【0008】
また請求項2記載の発明では、請求項1記載の暖房装置において、
前記総流量制御弁(4)は、前記温水回路(17)が前記第1通路(17b)と第2通路(17c)とに分岐する部位(17a)よりも上流側に設けられたことを特徴とする。
また請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の暖房装置において、
前記総流量制御弁(4)は、
流量制御弁ハウジング(21)と、
この流量制御弁ハウジング(21)に設けられ、前記エンジン(1)からの温水が流入する第1温水入口パイプ(22)と、
前記流量制御弁ハウジング(21)に設けられ、前記エンジン(1)に温水を還流させる第1温水出口パイプ(23)と、
前記流量制御弁ハウジング(21)に設けられ、前記第1温水入口パイプ(22)から流入した温水を前記第1および第2熱交換器(3A、3B)に流入させる第2温水出口パイプ(25)と、
前記流量制御弁ハウジング(21)に設けられ、前記第1および第2熱交換器(3A、3B)からの温水を前記流量制御弁ハウジング(21)内に流入させる第2温水入口パイプ(24)と、
前記流量制御弁ハウジング(21)内に設けられ、前記第1温水入口パイプ(22)からの温水を直接前記第1温水出口パイプ(23)にバイパスさせるバイパス回路(5)と、
前記流量制御弁ハウジング(21)内に設けられ、前記第1温水入口パイプ(22)から前記第2温水出口パイプ(24)に通ずる温水流路の開口面積を制御する流量制御弁体(20)と
を備えることを特徴とする。
【0009】
また請求項4記載の発明では、請求項3記載の暖房装置において、
前記バイパス回路(5)には、温水圧力の上昇により開弁する圧力応動弁(6)が備えられていることを特徴とする。
また請求項5記載の発明ては、請求項1ないし4いずれか1つ記載の暖房装置において、
前記分配弁(7)は、前記第1通路(17b)と前記第2通路(17c)とが再び集合する部位(17d)に設けられたことを特徴とする。
【0010】
また請求項6記載の発明では、請求項1ないし4いずれか1つ記載の暖房装置において、
前記分配弁(7)は、前記温水回路(17)が前記第1通路(17b)と前記第2通路(17c)とに分岐する部位(17a)に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また請求項7記載の発明では、請求項5記載の暖房装置において、
前記分配弁(7)は、
分配弁ハウジング(41)と、
この分配弁ハウジング(41)に設けられ、内部に前記第1温水通路(42a)および前記第2温水通路(42b)が形成された第3温水入口パイプ(42)と、
前記分配弁ハウジング(41)に設けられ、前記第3温水入口パイプ(42)から流入した温水を前記エンジン(1)に還流させる第3温水出口パイプ(43)と、
前記分配弁ハウジング(41)内に設けられ、前記第1温水通路(42a)から前記第3温水出口パイプ(43)に通ずる第1温水流路の開口面積を制御するとともに、前記第2温水通路(42b)から前記第3温水出口パイプ(43)に通ずる第2温水流路を制御する分配弁体(40)と
を備えることを特徴とする。
【0012】
また請求項8記載の発明では、請求項1ないし7いずれか1つ記載の暖房装置において、
前記第1熱交換器(3A)は、1つの熱交換器(3)の一部(3a、3f、3b)で構成され、
前記第2熱交換器(3B)は、前記1つの熱交換器(3)の残部(3a、3g、3c)で構成され、
前記総流量制御弁(4)と前記分配弁(7)とは、前記1つの熱交換器(3)と一体的に構成されていることを特徴とする。
【0013】
また請求項9記載の発明では、
温熱源(1)によって加熱された媒体を循環させる媒体回路(17)の途中の通路である第1通路(17b)中に設けられ、前記媒体と空気とを熱交換して室内の第1空間の暖房を行う第1熱交換器(3A)と、
前記媒体回路(17)の途中の通路でかつ前記第1通路(17b)と並列に設けられた第2通路(17c)中に設けられ、前記媒体と空気とを熱交換して室内の第2空間の暖房を行う第2熱交換器(3B)と、
前記媒体回路(17)途中に設けられ、前記第1熱交換器(3A)と前記第2熱交換器(3B)とを流れる媒体の総流量を制御する総流量制御弁(4)と、
前記媒体回路(17)途中に設けられ、前記総流量制御弁(4)によって流量制御された媒体を、前記第1熱交換器(3A)と前記第2熱交換器(3B)とにリニアに分配する分配弁(7)と
を備える暖房装置を特徴とする。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0015】
【発明の作用効果】
請求項1〜9記載の発明によれば、総流量制御弁にて流量制御された温水を、分配弁によって第1熱交換器と第2熱交換器とにリニアに分配するので、第1熱交換器が車室内(または室内)の第1空間を暖房する能力、および第2熱交換器が車室内(または室内)の第2空間を暖房する能力をそれぞれリニアに制御できる。従って、上記第1空間および第2空間の暖房をリニアに制御することができる。
【0016】
特に請求項4記載の発明では、バイパス回路に、温水圧力の上昇により開弁する圧力応動弁が備えられているので、エンジンの温水供給圧が変動しても、第1および第2熱交換器に加わる温水圧力を一定に維持して、吹出空気温度の変動を抑制することができる。
また請求項5または6記載の発明では、分配弁を、第1通路と第2通路とが再び集合する部位もしくは温水回路が第1通路と第2通路とに分岐する部位に設けているので、総流量制御弁にて流量制御された温水を第1および第2通路に分配するという機能を、1つの弁にて実現することができる。
【0017】
また請求項8記載の発明では、第1および第2熱交換器が1つの熱交換器として構成され、さらに総流量制御弁と分配弁とがこの1つの熱交換器と一体的に構成されているので、これら総流量制御弁、分配弁、熱交換器を一体構造物として取り扱って、自動車への組付、搭載作業を容易に行うことができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を自動車用空調装置の温水式暖房装置に適用した第1実施例を、図1〜12を用いて説明する。
図1において、1は自動車走行用の水冷式エンジン、2はエンジン1により駆動されるウオータポンプで、エンジン1の温水回路17に温水を循環させるものである。この温水回路17は、途中の部位17aにて第1通路17bと第2通路17bとに分岐し、さらにこれらの通路17b、17cの途中に第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bが設けられている。そして通路17aと17bが再び集合する部位17d(図12)に分配弁7が設けられている。
【0019】
上記各ヒータコア3A、3Bはそれぞれ、エンジン1から供給される温水と空調ダクト12(図2)内の送風空気とを熱交換して、この送風空気を加熱する暖房用熱交換器である。これら各ヒータコア3A、3Bは、1つのヒータコア3(図3)のコア部を半分に分割したそれぞれより成るものである。
4は総流量制御弁で、温水出入口を3つ有する三方弁タイプの弁構造を有するものであり、その詳細構造は後述する。
【0020】
5はヒータコア3と並列に設けられたバイパス路である。また、6は定差圧弁(圧力応動弁)であり、その前後の差圧が予め定められた所定値に達すると開弁するものであって、エンジン1の回転数変動によりウオータポンプ2の吐出圧が変動しても、ヒータコア3の前後圧を一定に近づける役割を果たすものである。図1には具体的に示していないが、総流量制御弁4にはバイパス回路5および定差圧弁6が一体に内蔵され、さらに暖房用熱交換器3に対して一体構造として組付られている。この組付構造も後述する。
【0021】
上記分配弁7は、上記総流量制御弁4によって調節された温水流量のうち、第1ヒータコア3Aを流れる流量と第2ヒータコア3Bを流れる流量とを振り分けるものである。この分配弁7の詳細構造は後述する。
8aは車室内温度を検出する内気温センサ、8bは外気温度を検出する外気温センサ、および8cは車室内に照射される日射量を検出する日射センサである。
【0022】
9a、9bは、車室内前席に設けられた空調パネル(図示しない)上に設けられた温度設定器で、9aは運転席用、9bは助手席用である。また10は、ROM、RAM、マイクロコンピュータ等よりなる制御装置で、上記各センサ8a〜8cおよび温度設定器9a、9b等からの入力信号に基づいて後述する所定の処理を実行し、上記総流量制御弁4、分配弁7等に制御信号を出力するものである。
【0023】
図2において、11は、空気を車室内に導く空気通路としての空調ダクトであり、その一端側には内気吸入口および外気吸入口(それぞれ図示しない)が形成され、他端側には複数の吹出口群12、13が形成されている。また14は、上記内気吸入口または外気吸入口から吸入した空気を上記吹出口群12、13に向かって圧送する送風手段である。
【0024】
15は、送風手段14から圧送されてきた空気を冷却する熱交換器で、具体的には図示しない冷凍サイクルの蒸発器である。そして上記第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bは、この蒸発器15の空気下流側部位における空調ダクト11内の全面にわたって配設されている。従って、蒸発器15を通過した空気は全てこのヒータコア3A、3Bで再加熱される。
【0025】
ヒータコア3Aの空気下流側には、ヒータコア3Aを通過した空気を運転席側に導く運転席側通路16aが形成されている。上記吹出口群12はこの運転席側通路16aの下流端に形成されている。また、ヒータコア3Bの空気下流側には、ヒータコア3Bを通過した空気を助手席側に導く助手席側通路16bが形成されている。上記吹出口群13はこの助手席側通路16bの下流端に形成されている。
【0026】
上記吹出口群12は具体的には、運転手上半身に向けて空気を吹き出す運転席側サイドフェイス吹出口およびセンターフェイス吹出口と、運転手足元に向けて空気を吹き出す運転席側フット吹出口と、窓ガラス内面に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口とから成る。
上記吹出口群13は具体的には、助手席乗員上半身に向けて空気を吹き出す助手席側サイドフェイス吹出口およびセンターフェイス吹出口と、助手席乗員足元に向けて空気を吹き出す助手席側フット吹出口と、上記デフロスタ吹出口とから成る。
【0027】
次に図3〜5を用いて、総流量制御弁4、分配弁7、ヒータコア3の一体構造について説明する。なお図3は、総流量制御弁4と分配弁7とヒータコア3との一体構造を示す一部断面図示した正面図、図4は上蓋21a、41a、扇型ギア27、45を外した状態における図3の一部を破断した上面図、および図5は図3の要部拡大図である。また、図面作成の都合上、図3においては、総流量制御弁4と分配弁7の詳細部分への引出線、およびハッチングの図示は省略した。
【0028】
まず最初に総流量制御弁4について具体的に説明する。
総流量制御弁4の弁体20は樹脂材料にて円柱状に成形され、やはり樹脂にて成形された流量制御弁ハウジング21内に回動可能に配置され収納されている。従って、弁体20は図3、5の上下方向に軸が延びる回動可能な円柱状ロータから構成されている。
【0029】
上記弁ハウジング21には、エンジン1からの温水が流入する第1温水入口パイプ22と、エンジン1に温水を還流させる第1温水出口パイプ23と、ヒータコア3の出口からの温水が流入する第2温水入口パイプ24と、上記第1温水入口パイプ22から流入した温水をヒータコア3に向けて流出させる第2温水出口パイプ25とが樹脂にて一体成形されている。また、弁ハウジング21内には、第1温水入口パイプ22から弁体20を介して第1温水出口パイプ23に温水をバイパスさせるバイパス回路5が形成されている。
【0030】
円柱状の弁体20には、上記各パイプ22、25およびバイパス回路5の開口面積を後述の所定の相関関係をもって制御する制御流路20a〜20c(図6)が形成されている。また、弁体20を回動操作するためのシャフト26は、弁体20に一体に結合されており、弁ハウジング21の上蓋21aの上部に突出している。
【0031】
このシャフト26の突出端は非円形の断面形状であるD形状に形成され、このD形状の突出端には扇形ギヤ27の回転中心穴(扇の要の位置)が一体に嵌合して連結され、この両者26、27は一体に回転するようになっている。
また、シャフト26の突出端は、弁体20の回転位置を検出する回転位置検出手段としてのポテンショメータ(可変抵抗器)28に連結されている。このポテンショメータ28のケース部28aはブラケット29を介して上蓋21aに固定されている。上記制御装置10は、このポテンショメータ28の弁体回転位置信号に基づいて、後述するサーボモータ31にフィードバック制御し、弁体20を所定位置に位置決め制御する。
【0032】
弁ハウジング21には、弁体駆動機構を収納する駆動機構ケース部30が一体成形されている。このケース部30内には、電気的駆動手段31(具体的には直流モータからなるサーボモータ)が配設されており、このモータ31のシャフトの先端部にはウオームギヤ31aが形成されている。
このウオームギヤ31aは減速用平ギヤ32と噛み合っており、この平ギヤ32は弁ハウジング21に設けられた軸受(図示しない)に回転可能に軸支され、平ギヤ32のシャフトに形成されたウオームギヤ32aは上記扇形ギヤ27の外周部のギヤ部27aと噛み合うようになっている。この扇形ギヤ27の使用により数段の減速ギヤによる減速量を1個のギヤで達成できる。
【0033】
弁ハウジング21内に形成されたバイパス回路5には定差圧弁6が配設されている。この定差圧弁6は樹脂により成形され、その底面凹部6aに当接したコイルバネ6b(バネ手段)が、定差圧弁6を図3〜5の左方向(閉弁方向)に押圧するようになっている。この定差圧弁6の中心部には、定差圧弁6の閉弁時にもバイパス回路5に所定流量の温水が流れるようにするための孔6cが形成されている。
【0034】
また、定差圧弁6の外壁面と温水入口パイプ24の内壁面との間には隙間が形成されており、分配弁7からの温水がこの隙間を通って温水出口パイプ23に流れるようになっている。
33は弁座を形成する隔壁で、その中心部には定差圧弁6により開閉される円形穴が形成されている。この円形穴は温水入口側をテーパ状に拡大して通水抵抗を減少するようにしてある。
【0035】
34(図4)、35(図5)はゴム等の弾性材からなるシール部材で、その全体形状は中央部に開口を有する矩形状になっており、弁体20の外周面と弁ハウジング21の内周面との間に配置されている。このシール部材34、35は弁体20の制御流路20a〜20cを介することなく、パイプ22と25とバイパス回路5との間で直接温水が流通してしまうことを防ぐためのものである。
【0036】
ところで、上記弁体20の制御流路20a〜20cの具体的形状は図6に示す形状となっており、このうち制御流路20aは図6(b)に示すように、半円状部分20a−1 と細長部分20a−2 と小穴20a−3 とから形成されている。そして、弁体20の開度が0°(非暖房時)から所定開度(本実施例では20°)までは、温水入口パイプ22を開口する面積A1 は小穴20a−3 による一定の開口面積となり、上記所定開度を越えると、弁体開度の増加に応じて上記開口面積A1 も大きくなるようにしてある。
【0037】
また、弁体20の制御流路20aの左側方には、制御流路20cが連続して形成されており、この制御流路20cにより、弁体20の開度が0°から所定開度(本実施例では20°)までは、温水入口パイプ24を開口する面積A2 はほぼ全開となり、上記所定開度を越えると、弁体開度の増加に応じて上記開口面積A2 は小さくなるようにしてある。
【0038】
一方、弁体20の底面側に配置された温水出口パイプ25(ヒータコア3の入口に接続)の開口面積A3 は、図6(a)に示すように、弁体20の開度が0°のときは上記開口面積A3 は0となり、この状態から弁体開度が増加するに応じて、上記開口面積A3 は徐々に大きくなるようにしてある。
次に、分配弁7について具体的に説明する。
【0039】
弁体40は本実施例では樹脂材料にて円柱状に成形され、やはり樹脂にて成形された分配弁ハウジング41内に回動可能に配置され収納されている。従って、弁体40は図3の上下方向に軸が延びる回動可能な円柱状ロータから構成されている。
上記弁ハウジング41には、第1ヒータコア3Aからの温水が流入する第1温水通路42a、および第2ヒータコア3Bからの温水が流入する第2温水通路42bが形成された第3入口パイプ42と、総流量制御弁4側の温水入口パイプ24に温水を還流させる第3温水出口パイプ43とが樹脂にて成形されている。
【0040】
円柱状の弁体40には、上記パイプ42の開口面積を後述の所定の相関関係をもって制御する制御流路40a、40b(図7)と、上記パイプ43の開口面積をほぼ一定で全開とする制御流路40c(図7)とが形成されている。また、弁体40を回動操作するためのシャフト44は、弁体40に一体に結合されており、弁ハウジング41の上蓋41aの上部に突出している。
【0041】
このシャフト44の突出端は非円形の断面形状であるD形状に形成され、このD形状の突出端には扇形ギヤ45の回転中心穴(扇の要の位置)が一体に嵌合して連結され、この両者44、45は一体に回転するようになっている。
また、シャフト44の突出端は、弁体40の回転位置を検出する回転位置検出手段としての図示しないポテンショメータ(可変抵抗器)に連結されている。このポテンショメータの図示しないケース部は上記上蓋41aに固定されている。上記制御装置10(図1)は、このポテンショメータの弁体回転位置信号に基づいて、後述するサーボモータ47にフィードバック制御し、弁体40を所定位置に位置決め制御する。
【0042】
弁ハウジング41には、弁体駆動機構を収納する駆動機構ケース部46が一体成形されている。このケース部46内には、電気的駆動手段47(具体的には直流モータからなるサーボモータ)が配設されており、このモータ47のシャフトの先端部にはウオームギヤ47aが形成されている。
このウオームギヤ47aは減速用平ギヤ48と噛み合っており、この平ギヤ48は弁ハウジング41に設けられた軸受(図示しない)に回転可能に軸支され、平ギヤ48のシャフトに形成されたウオームギヤ48aは上記扇形ギヤ45の外周部のギヤ部45aと噛み合うようになっている。この扇形ギヤ45の使用により数段の減速ギヤによる減速量を1個のギヤで達成できる。
【0043】
49、50はともにゴム等の弾性材からなるシール部材で、その全体形状は中央部に開口を有する矩形状になっており、弁体40の外周面と弁ハウジング41の内周面との間に配置されている。このシール部材49、50は弁体40の制御流路40a〜40cを介することなく、パイプ42の温水通路42aと42bとパイプ43との間で直接温水が流通してしまうことを防ぐためのものである。
【0044】
ところで、上記弁体40の制御流路40a〜40cの具体的形状は図7に示す形状となっている。図7からも分かるように、弁体40の開度が0°のときは、制御流路40aが第1温水通路42aを開口する開口面積B1 は最大となるのに対して、制御流路40bが第2温水通路42bを開口する開口面積B2 は0となる。
【0045】
そして、弁体開度が増加するのに応じて、上記開口面積B1 は小さくなり、上記開口面積B2 は大きくなる。そして弁体40の開度が90°のときは、上記開口面積B1 は0となり、上記開口面積B2 は最大となる。なお、制御流路40cが温水出口パイプ43を開口する開口面積B3 は、弁体40の開度に関係無く、常にほぼ最大の状態となる。
【0046】
ところで上記ヒータコア3は、図3に示すように、その一端部に温水の入口側タンク3aを有し、他端部に温水の第1出口側タンク3bおよび第2出口側タンク3cを有している。そしてこの両タンク3aと3bとの間、および3aと3cとの間に、多数の偏平チューブ3dが並列設置され、各々の隣り合う偏平チューブ3dの間にはコルゲートフィン3eが設けられている。
【0047】
ここで、偏平チューブ3dとフィン3eとから成るコア部は、第1出口側タンク3bに対応した第1コア部3fと、第2出口側タンク3cに対応した第2コア部3gとからなる。また、上記コア部3f、3gはともに、入口側タンク3aからの温水が出口側タンク3b、3cへ一方向のみに流れる全パスタイプ(一方向流れタイプ)として構成されている。
【0048】
本実施例では、入口側タンク3aと第1コア部3fと第1出口側タンク3bとで上記第1ヒータコア3Aを構成し、入口側タンク3aと第2コア部3gと第2出口側タンク3cとで上記第2ヒータコア3Bを構成している。そして、第1出口側タンク3bは上記第1温水通路42aと連通し、第2出口側タンク3cは上記第2温水通路42bと連通している。
【0049】
次に、上記制御装置10(図1)のマイクロコンピュータによる総流量制御弁4および分配弁7の制御処理を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
まず、自動車のイグニッションスイッチがオンされて制御装置10に電源が供給され、かつ空調装置を自動で制御させるオートエアコンスイッチ(図示しない)がオンされると図8のルーチンが起動される。すると最初にステップ110にて、運転席用温度設定器9aで設定された運転席側設定温度Tset(Dr) と、助手席用温度設定器9bで設定された助手席側設定温度Tset(As) とを読み込む。
【0050】
そして次のステップ120にて、内気温センサ8aが検出した内気温度Tr 、外気温センサ8bが検出した外気温度Tam、および日射センサ8cが検出した日射量Ts をそれぞれ読み込む。そして次のステップ130では、上記ステップ110、120で読み込んだ値を下記数式1、2に代入することによって、運転席側の目標吹出温度TAO(Dr)、および助手席側の目標吹出温度TAO(As)をそれぞれ算出する。
【0051】
【数1】
TAO(Dr)=Kset(Dr) ×Tset(Dr) −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
【0052】
【数2】
TAO(As)=Kset(As) ×Tset(As) −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +D
なお、上記Kset(Dr) 、Kset(As) 、Kr 、KamおよびKs はそれぞれ制御ゲイン、CおよびDは定数である。
【0053】
そして次のステップ140、150にて、総流量制御弁4の開度および分配弁7の開度を、上記ステップ130で算出したTAO(Dr)およびTAO(As)と、図9の3次元マップとに基づいて決定する。ここで、▲1▼この3次元マップについて、および▲2▼総流量制御弁4および分配弁7の各開度の決定方法について、詳細に説明する。
【0054】
先ず上記▲1▼についてであるが、図9の3次元マップは実験データに基づいて作成されたものである。この実験データの一例を図10、11に示す。この図10、11のうち実線で示される2本のデータは、第1コア部3fを通過した直後の空気温度を示すもので、このうち上の実線は第1コア部3fの図3左半分について、下の実線は第1コア部3fの図3右半分についてのものである。
【0055】
また、図10、11のうちの破線で示される2本のデータは、第2コア部3gを通過した直後の空気温度を示すもので、このうち上の破線は第2コア部3gの図3左半分について、下の破線は第2コア部3gの図3右半分についてのものである。
そして、上記2本の実線および破線をそれぞれ平均化したデータを多数組み合わせることによって、図9の3次元マップが得られる。本実施例では、この3次元マップのz軸を目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(As))としてROMに記憶させている。
【0056】
なお、図10、11に示される4つのデータは全て、蒸発器15を通過した直後の空気温度が約3℃で、ヒータコア3を通過する直前の空気温度が約8℃で、ヒータコア3の入口(具体的には温水出口パイプ25内部)の水温が約85℃で、ヒータコア3の出口(具体的には温水入口パイプ24内部)の水温が約80℃のときの実験データである。
【0057】
次に上記▲2▼についてであるが、まず図9のx−y平面に平行な面のうち、上記ステップ130で算出されたTAO(Dr)に相当する面とTAO(As)に相当する面とをサーチする。これらの面上にはそれぞれ、1本の線が形成される。そしてこれらの線をx−y平面に投影したときに得られる交点から、総流量制御弁4の開度および分配弁7の開度を決定する。
【0058】
以上のようにして総流量制御弁4および分配弁7の各開度が決定されたら、次のステップ160、170にて、実際の弁開度が上記決定された開度となるように、上記サーボモータ31、47(図4)に制御信号を出力する。その後リターンする。
以上説明したように本実施例では、第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bを流れる温水の総流量を総流量制御弁4にて制御し、この流量制御された温水を、分配弁7にて第1ヒータコア3Aと第2ヒータコア3Bとにリニアに分配するので、各ヒータコア3A、3Bへの供給温水量をリニアに制御でき、その結果、運転席と助手席とをリニアに温度制御することができる。
【0059】
また上記総流量制御弁4を、サーボモータ31が円柱状ロータの弁体20を回し、この弁体20の制御流路20a〜20cが各パイプ22、24、25内の通路を開口する面積を制御することによって、各パイプ22、24、25を流れる温水流量を制御する構成としたので、従来から一般的に知られている電磁弁に比べて、流量制御弁4の製造コストを安くすることができる。
【0060】
また本実施例では、流量制御弁4のハウジング21内にバイパス回路5を形成し、このバイパス回路5に、温水圧力の上昇により開弁する定差圧弁6を設けた構成としたので、エンジン1の温水供給圧が変動しても、第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bに加わる温水圧力を一定に維持して、吹出空気温度の変動を抑制することができる。
【0061】
また本実施例では、分配弁7を、サーボモータ47が円柱状ロータの弁体40を回し、この弁体40の制御流路40a〜40cが各パイプ42、43内の通路を開口する面積を制御することによって、各パイプ42、43を流れる温水流量を制御する構成としたので、従来から一般的に知られている電磁弁に比べて、分配弁7の製造コストを安くすることができる。
【0062】
また、上記分配弁7を、第1通路17bと第2通路17cとが再び集合する部位17dに設けたので、総流量制御弁4にて流量制御された温水を各ヒータコア3A、3Bに分配するという機能を、1つの弁にて実現することができる。
また本実施例では、ヒータコア3Aとヒータコア3Bとを1つのヒータコア3として一体的に構成し、さらに総流量制御弁4と分配弁7がこのヒータコア3と一体的に構成したので、これら総流量制御弁4、分配弁7、ヒータコア3を一体構造物として取り扱って、自動車への組付、搭載作業を容易に行うことができる。
【0063】
また本実施例では、温水圧力を吸収するための定差圧弁6を備えた総流量制御弁4にて総流量を制御した後、分配弁7にて各ヒータコア3A、3Bへの温水流量を分配する構成としたので、図12に示す比較例のように、上記総流量制御弁4を2つ用いて各ヒータコア3A、3Bへの温水流量をリニアに制御する場合に比べて、分配弁7が定差圧弁6を備えていない分、部品点数を減らすことができる。
次に本発明の第2実施例を説明する。
【0064】
図13に示すように、分配弁7を、温水回路17が第1通路17bと第2通路17cとに分岐する部位17a(図1参照)に設けても良い。
(変形例)
上記各実施例では、第1ヒータコア3Aにて運転席空間を暖房し、第2ヒータコア3Bにて助手席空間を暖房する構成としたが、これに限らず、例えば第1ヒータコア3Bにて前席側空間を暖房し、第2ヒータコア3Bにて後席側空間を暖房する構成としても良い。
【0065】
また上記各実施例では、目標吹出温度TAO(Dr)およびTAO(As)を算出し、これらの目標吹出温度と図9のマップとから総流量制御弁4および分配弁7の各開度を決定するようにしたが、第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bのそれぞれについて、これらを通過した直後の空気温度を検出する手段を設け、この検出温度が各目標温度となるように総流量制御弁4および分配弁7を制御するようにしても良い。
【0066】
また上記各実施例では、1つのヒータコア3を2つに分けて、それぞれを第1ヒータコア3Aおよび第2ヒータコア3Bとしたが、第1ヒータコア3A、第2ヒータコア3Bをそれぞれ別体で構成しても良い。
また上記各実施例では、弁体20、40をサーボモータ31、47によって電気的に駆動する構成したが、例えば扇形ギヤ27、45の上面にピンを一体成形し、このピンにレバー、ケーブル等を連結するように構成しても良い。
【0067】
また上記各実施例では、上記部位17aまたは17dに分配弁7を1つ設ける構成としたが、それぞれの通路17b、17cにそれぞれ分配弁を設け、それぞれの分配弁の開度を制御するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の温水回路図である。
【図2】上記実施例のヒータコア3A、3Bの空調ダクト11内への配置形態を示す断面図である。
【図3】上記実施例の総流量制御弁4と分配弁7とヒータコア3との一体構造を示す一部断面図示した正面図である。
【図4】図3の一部を破断した上面図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】(a)は上記総流量制御弁4の弁体の断面図、(b)はこの弁体の展開図である。
【図7】上記分配弁7の弁体の展開図である。
【図8】上記実施例のマイクロコンピュータによる制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】上記実施例の目標吹出温度と総流量制御弁開度と分配弁開度との関係を示す3次元マップである。
【図10】(a)、(b)ともに上記分配弁7の開度と吹出温度との関係を示す実験データで、(a)は上記総流量制御弁4の開度が25°のとき、(b)は総流量制御弁4の開度が30°のときを示す。
【図11】(a)、(b)ともに上記分配弁7の開度と吹出温度との関係を示す実験データで、(a)は上記総流量制御弁4の開度が40°のとき、(b)は総流量制御弁4の開度が90°のときを示す。
【図12】比較例の温水回路図である。
【図13】本発明第2実施例の温水回路図である。
【図14】従来の温水流量制御方式の空調装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1…エンジン、3A…第1ヒータコア、3B…第2ヒータコア、
3…ヒータコア、4…総流量制御弁、5…バイパス回路、6…定差圧弁、
7…分配弁、10…制御装置、17…温水回路、17b…第1通路、
17c…第2通路、20…弁体、21…流量制御弁ハウジング、
22…第1温水入口パイプ、23…第1温水出口パイプ、
24…第2温水入口パイプ、25…第2温水出口パイプ、40…弁体、
41…分配弁ハウジング、42…第3温水入口パイプ、
43…第3温水出口パイプ。

Claims (9)

  1. 水冷式の走行用エンジンを有する自動車に用いられる暖房装置であって、
    前記エンジンによって加熱された温水を循環させる温水回路の途中の通路である第1通路中に設けられ、前記温水と空気とを熱交換して車室内の第1空間の暖房を行う第1熱交換器と、
    前記温水回路の途中の通路でかつ前記第1通路と並列に設けられた第2通路中に設けられ、前記温水と空気とを熱交換して車室内の第2空間の暖房を行う第2熱交換器と、
    前記温水回路途中に設けられ、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを流れる温水の総流量を制御する総流量制御弁と、
    前記温水回路途中に設けられ、前記総流量制御弁によって流量制御された温水を、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とにリニアに分配する分配弁と
    を備えることを特徴とする暖房装置。
  2. 前記総流量制御弁は、前記温水回路が前記第1通路と第2通路とに分岐する部位よりも上流側に設けられたことを特徴とする請求項1記載の暖房装置。
  3. 前記総流量制御弁は、
    流量制御弁ハウジングと、
    この流量制御弁ハウジングに設けられ、前記エンジンからの温水が流入する第1温水入口パイプと、
    前記流量制御弁ハウジングに設けられ、前記エンジンに温水を還流させる第1温水出口パイプと、
    前記流量制御弁ハウジングに設けられ、前記第1温水入口パイプから流入した温水を前記第1および第2熱交換器に流入させる第2温水出口パイプと、
    前記流量制御弁ハウジングに設けられ、前記第1および第2熱交換器からの温水を前記流量制御弁ハウジング内に流入させる第2温水入口パイプと、
    前記流量制御弁ハウジング内に設けられ、前記第1温水入口パイプからの温水を直接前記第1温水出口パイプにバイパスさせるバイパス回路と、
    前記流量制御弁ハウジング内に設けられ、前記第1温水入口パイプから前記第2温水出口パイプに通ずる温水流路の開口面積を制御する流量制御弁体と
    を備えることを特徴とする請求項1または2記載の暖房装置。
  4. 前記バイパス回路には、温水圧力の上昇により開弁する圧力応動弁が備えられていることを特徴とする請求項3記載の暖房装置。
  5. 前記分配弁は、前記第1通路と前記第2通路とが再び集合する部位に設けられたことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の暖房装置。
  6. 前記分配弁は、前記温水回路が前記第1通路と前記第2通路とに分岐する部位に設けられたことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の暖房装置。
  7. 前記分配弁は、
    分配弁ハウジングと、
    この分配弁ハウジングに設けられ、内部に前記第1温水通路および前記第2温水通路が形成された第3温水入口パイプと、
    前記分配弁ハウジングに設けられ、前記第3温水入口パイプから流入した温水を前記エンジンに還流させる第3温水出口パイプと、
    前記分配弁ハウジング内に設けられ、前記第1温水通路から前記第3温水出口パイプに通ずる第1温水流路の開口面積を制御するとともに、前記第2温水通路から前記第3温水出口パイプに通ずる第2温水流路の開口面積を制御する分配弁体と
    を備えることを特徴とする請求項5記載の暖房装置。
  8. 前記第1熱交換器は、1つの熱交換器の一部で構成され、
    前記第2熱交換器は、前記1つの熱交換器の残部で構成され、
    前記総流量制御弁と前記分配弁とは、前記1つの熱交換器と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載の暖房装置。
  9. 温熱源によって加熱された媒体を循環させる媒体回路の途中の通路である第1通路中に設けられ、前記媒体と空気とを熱交換して室内の第1空間の暖房を行う第1熱交換器と、
    前記媒体回路の途中の通路でかつ前記第1通路と並列に設けられた第2通路中に設けられ、前記媒体と空気とを熱交換して室内の第2空間の暖房を行う第2熱交換器と、
    前記媒体回路途中に設けられ、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを流れる媒体の総流量を制御する総流量制御弁と、
    前記媒体回路途中に設けられ、前記総流量制御弁によって流量制御された媒体を、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とにリニアに分配する分配弁と
    を備えることを特徴とする暖房装置。
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