JP3578030B2 - 交流無停電電源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インバータから得られる交流電圧の位相を商用電源等の交流主電源の出力電圧の位相に一致させるように制御する交流無停電電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
商用電源等の交流主電源が停電した際にインバータの出力電圧を負荷に供給するようにした交流無停電電源装置においては、インバータの出力電圧の位相及び周波数を交流主電源の出力電圧の位相及び周波数に合わせるための制御行なう必要があり、そのために、位相同期制御[PLL(Phase−Locked Loop )制御]を行なっている。
【0003】
従来の交流無停電電源装置で用いられていた位相同期制御部を図9及び図10を用いて説明する。図9は一般的な位相同期制御部を構成する位相同期回路の基本構成を示すブロック図であり、図10はその動作波形図である。
【0004】
従来の位相同期回路は、図9に示すように、位相比較器1と、低域通過フィルタ[LPF(Low Pass Filter )]2と、電圧制御発振器[VCO(Voltage Controlled Oscillator )]3とにより構成されている。
【0005】
位相比較器1は、基準信号Vo (図10A参照)を入力する入力端子1aと、電圧制御発信器3のフィードバック出力を同期信号Vs (図10B)として入力する入力端子1bとを有していて、基準信号Vo と同期信号Vs の位相を比較する。
【0006】
位相比較器1は、基準信号Vo に対して同期信号Vs の位相差が遅れている場合に、図10(C)に示したように、正側(図示のVOH側)に差信号電圧Vd を出力し、基準信号Vo に対して同期信号Vs の位相が進んでいる場合に負側(VOL側)に差信号電圧Vd を出力する。
【0007】
低域通過フィルタ2は、位相比較器1から出力される差信号電圧Vd を、高調波成分が取り除かれたリニアなアナログ信号電圧Va に変換して出力する。
【0008】
電圧制御発振器3は、低域通過フィルタ2から出力されるアナログ信号電圧Va に比例した周波数をもつ同期信号Vs を出力し、この同期信号を位相比較器1の入力端子1bにフィードバックする。
【0009】
上記の位相同期制御部においては、図10(A),(B)に示したように基準信号Vo に対して同期信号Vs が、時間TA だけ遅れている場合に、同期信号Vs の周波数を遅れ時間TA に比例した増加分だけ高くし、同期信号Vs が時間TB だけ進んでいる揚合には、同期信号Vs の周波数を進み時間TB に比例した減少分だけ低くするように、基準信号と同期信号との位相関係に応じて同期信号の周波数を増減させることにより、同期信号と基準信号との位相差をゼロにするように制御している。
【0010】
このような位相同期回路を用いた交流無停電電源装置においては、商用電源が出力する交流電圧の検出信号を基準信号とし、インバータの出力電圧の検出信号を同期信号としている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示した従来の位相同期回路を用いて交流無停電電源装置の位相同期制御部を構成した場合には、位相同期の操作量、同期速度、同期追従範囲等を容易に変更することができない上に、回路構成が複雑になるという問題点があった。
【0012】
これらの問題を解決する手段として、位相同期制御部をマイクロコンピュータにより構成する方法が考えられる。
【0013】
従来の位相同期回路を使用した交流無停電電源装置の位相同期制御部では、基本正弦波信号を構成するパルス数を増減することによりインバータの出力電圧の周期(周波数)を1サイクル毎に変化させて、インバータ出力電圧の周波数を増減させているため、これを単純にマイクロコンピュータで置き換える場合には、パルス数とパルス幅の積をインバータ出力電圧の周波数(周期)として演算することが必要となり、またインバータから基本正弦波形の出力を得るために、1パルス毎の信号を正弦波(sin ωt)の各瞬時の電気角度に対応させることが必要になる。
【0014】
しかしながら、この場合、インバータ出力の1周期毎にパルス数が増減することになるため、sin ωtの演算が複雑になり、マイクロコンピュータが実行するプログラムのアルゴリズムが複雑になって、演算処理時間が長くなるという問題があった。そのため、マイクロコンピュータとして演算処理が早い高価なものを用いることが必要になり、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0015】
また、インバータの出力を、内燃機関により駆動される発電機のような周波数変動が大きい交流主電源の出力に同期させる場合には、位相同期操作量及び同期追従範囲を大きくとる必要があるが、従来の位相制御回路ではインバータの出力電圧の周期を1サイクル毎に変化させていたため、出力電圧の周期の変化量が大きくなり過ぎてハンチングが生じるだけでなく、波形歪みが大になるという問題があった。
【0016】
そのため従来は、位相同期操作量や同期追従範囲に制限を設けたり、位相同期操作量を積分演算してインバータの出力電圧の周期が急激に変化しないようにしたりしているが、このような構成をとると、インバータの出力電圧を周波数変動の大きい交流主電源の出力に同期させることが困難になるとい問題があった。
【0017】
本発明の目的は、マイクロコンピュータを用いて位相同期制御部を構成するのに適した交流無停電電源装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インバータの出力電圧を交流主電源の出力電圧に同期させるために位相同期制御を行なう交流無停電電源装置に係わるもので、本発明においては、蓄電池が出力する直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、該インバータの出力電圧と交流主電源の出力電圧とを切り換えて負荷に供給する電源切換スイッチとからなる主回路部と、インバータの出力と交流主電源の出力との位相差に応じてインバータから出力させる交流電圧の正弦波形を表す正弦波形デジタル信号を出力する位相同期制御部と、該位相同期制御部が出力する正弦波形デジタル信号により表される正弦波形の交流電圧をインバータから出力させるように該インバータに駆動信号を与えるインバータ駆動回路とが設けられる。
【0019】
更に詳述すると、上記位相同期制御部は、交流主電源が出力する交流電圧を検出して検出した交流電圧を該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の基準信号に変換する第1のパルス化回路と、インバータが出力する交流電圧を検出して該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の同期信号に変換する第2のパルス化回路と、前記基準信号及び同期信号のそれぞれの立上りまたは立ち下がりを基準点として、基準信号の基準点が検出されてから同期信号の基準点が検出されるまでの時間及び同期信号の基準点が検出されてから基準信号の基準点が検出されるまでの時間をそれぞれ第1及び第2の位相差T1 及びT2 として検出する位相差検出手段と、該位相差検出手段により検出された位相差を記憶する位相差記憶手段と、インバータが出力すべき交流電圧の基本正弦波形を多数に分割してデジタル信号で表す場合の各分割点を規定する各パルス信号と各分割点における基本正弦波形の数値情報との関係を与えるテーブルを基本正弦波形演算用テーブルとして記憶した基本正弦波形データ演算用テーブル記憶手段と、第1及び第2の位相差T1 及びT2 のうちの小さい方を基準位相差として、該基準位相差を零にするために必要なパルス信号の周期または周波数の変化量を位相同期操作量として該位相同期操作量と基準位相差との関係を与える数値データのテーブルを位相同期操作量演算用テーブルとして記憶した位相同期操作量演算用デーブル記憶手段と、位相同期操作量演算用テーブルを用いて基準位相差に対する位相同期操作量を演算する位相同期操作量演算手段と、演算された位相同期操作量だけパルス信号の周期または周波数を変化させるとともに、各パルス信号に対する基本正弦波形の瞬時値を基本正弦波形データ演算用テーブルを用いて演算して、インバータから出力させる交流電圧の正弦波形を表す正弦波形デジタル信号を出力する正弦波デジタル信号出力手段とを備えることにより構成される。
【0020】
上記のように構成すると、制御アルゴリズムを複雑にすることなく、また長い演算処理時間を要することなく、交流無停電電源装置の位相同期制御部をマイクロコンピュータを用いて構成して、回路の簡略化を図ることができる。
【0021】
また上記のように構成すると、位相同期の操作量、同期速度、同期追従範囲等を容易に変更することが可能になる上に、インバータの出力電圧の1周期内で基本正弦波パルス信号のパルス発生周期を徐々に増減することができるため、インバータの出力を周波数変動が大きい交流主電源の出力に同期追従させても大きなハンチング現象を伴うことなく、波形歪みが少ない安定した動作を行なわせることができる。そのため、例えば、内燃機関により駆動される発電機等、周波数変動が大きい交流主電源にインバータの出力を同期させる特殊用途の交流無停電電源装置にも対応することができる。
【0022】
上記位相同期操作量を演算する際には、第1の位相差T1 と第2の位相差T2 との大小関係からインバータの出力電圧と交流主電源の出力電圧との位相関係を判定して、位相同期操作量を演算するのが好ましい。即ち、第1の位相差T1 が第2の位相差T2 以下の場合には、インバータの出力電圧の位相が交流主電源の出力電圧の位相よりも遅れているとしてパルス信号の周波数を増加させるように位相同期操作量を演算し、第1の位相差T1 が第2の位相差T2 を超えている場合には、インバータの出力電圧の位相が交流主電源の出力電圧の位相よりも進んでいるとしてパルス信号の周波数を減少させるように位相同期操作量を演算するのが好ましい。
【0023】
本発明においてはまた、現時点より少なくとも交流主電源の2サイクル以上前の時点から現時点までの間に検出された出力電圧及びインバータの出力電圧の第1及び第2の位相差を記憶するように位相差記憶手段を構成し、第1及び第2の位相差T1 及びT2 の大小関係及びそれぞれの大きさと、所定サイクル前の位相差と現在の位相差との差分とをパラメータとして位相同期操作量演算用テーブルを構成するのが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係わる交流無停電電源装置の構成例を示したブロック図、図2及び図3は図1に示した交流無停電電源装置の位相同期制御部における位相比較動作を示す波形図、図4は基本正弦波パルス信号の動作波形図、図5はインバータの出力電圧の波形図、図6(A),(B)及び図7は図1の交流無停電電源装置の位相同期制御部に用いるマイクロコンピュータが実行するプログラムの制御アルゴリズムを示すフローチャート、図8(A)〜(D)は位相同期操作量演算用テーブルの構成例を示した図である。
【0025】
図1に示した交流無停電電源装置において、1は交流主電源、Aは主回路部、Bは位相動機制御部、Cはインバータ駆動回路である。
【0026】
主回路部Aは、蓄電池2の直流電圧を入力として交流電圧に変換するインバータ3と、インバータ3の出力電圧と商用電源等の交流主電源1が出力する交流電圧とを切り換えて負荷5に供給する電源切換スイッチ4とにより構成されている。以下の説明では、交流主電源1が商用電源であるとする。
【0027】
図示の位相同期制御部Bは、第1のパルス化回路6及び第2のパルス化回路7と、第1及び第2の位相差検出器8及び9を備えた位相差検出手段B1と、マイクロコンピュータの主演算制御部(CPU)10と、フィルタ回路11と、システムクロック信号を発生するシステムクロック発生回路12と、タイマ・カウンタ13と、RAM14と、ROM15とにより構成されている。
【0028】
第1のパルス化回路6は、交流主電源1が出力する交流電圧を検出して検出した交流電圧を該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の基準信号Vo に変換する回路で、この第1のパルス化回路6が出力する基準信号Vo は第1及び第2の位相差検出器8及び9に入力されている。
【0029】
また第2のパルス化回路7は、インバータ3が出力する交流電圧を検出して、検出した交流電圧を該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の同期信号Vs に変換する回路で、この第2のパルス化回路7が出力する同期信号Vs は、第1及び第2の位相差検出器8及び9に入力されている。
【0030】
第1の位相差検出器8は、図2に示すように、基準信号Vo 及び同期信号Vs のそれぞれの立上りを基準点として、基準信号Vo の基準点が検出されてから同期信号Vs の基準点が検出されるまでの間に発生するシステムクロック信号を計数することにより、基準信号Vo の基準点が検出されてから同期信号Vs の基準点が検出されるまでの時間を第1の位相差T1 として検出する。
【0031】
また第2の位相差検出器9は、同期信号Vs の基準点が検出されてから基準信号Vo の基準点が検出されるまでの間システムクロック信号を計数することにより、同期信号Vs の基準点が検出されてから基準信号Vo の基準点が検出されるまでの時間を第2の位相差T2 として検出する。
【0032】
第1及び第2の位相差検出器8及び9により、基準信号Vo の基準点(立上り)が検出されてから同期信号Vs の基準点(立上り)が検出されるまでの時間及び同期信号の基準点が検出されてから基準信号の基準点が検出されるまでの時間をそれぞれ第1及び第2の位相差T1 及びT2 として検出する位相差検出手段B1 が構成されている。
【0033】
またCPU10は、基準信号Vo の立上りが検出されてから次の立上りが検出されるまでの間タイマ・カウンタ13にシステムクロック信号を計数させることにより、基準信号Vo の周期(主電源1が出力する交流電圧の周期)TBYP を検出する。CPUはまた、同期信号Vs の立上りから次の立上りまでタイマ・カウンタ13にシステムクロック信号を計数させることにより、同期信号Vs の周期(インバータ3の出力の周期)TINV を検出する。
【0034】
なおこの例では、基準信号Vo 及び同期信号Vs のそれぞれの立上りを基準点としているが、基準信号Vo 及び同期信号Vs のそれぞれの立下がりを基準点として、基準信号の基準点が検出されてから同期信号の基準点が検出されるまでの時間及び同期信号の基準点が検出されてから基準信号の基準点が検出されるまでの時間をそれぞれ第1及び第2の位相差T1 及びT2 として検出するように位相差検出手段B1 を構成してもよい。
【0035】
CPU10は、位相差検出手段B1 により計測された位相差T1 及びT2 をRAM14に記憶させる。このRAM14により位相差記憶手段が構成される。
【0036】
またマイクロコンピュータのROM15は、基本正弦波形データ演算用テーブル記憶手段を構成していて、この記憶手段は、インバータ3が出力すべき交流電圧の基本正弦波形を多数に分割してデジタル信号で表す場合の各分割点を規定する各パルス信号と各分割点における基本正弦波形の瞬時値との関係を与える数値データのテーブルを記憶している。
【0037】
ROM15はまた、位相同期操作量演算用デーブル記憶手段を構成しており、この記憶手段は、第1及び第2の位相差T1 及びT2 のうちの小さい方を基準位相差として、この基準位相差を零にするために必要なパルス信号の周期または周波数の変化量を位相同期操作量として、該位相同期操作量と基準位相差との関係を与える数値データのテーブルを位相同期操作量演算用テーブルとして記憶している。
【0038】
CPU10は、ROM15に記憶された所定のプログラムを実行することにより、位相同期操作量演算手段と、正弦波デジタル信号出力手段とを実現する。
【0039】
位相同期操作量演算手段は、ROM15に記憶された位相同期操作量演算用テーブルを用いて基準位相差に対する位相同期操作量を演算する。
【0040】
また正弦波デジタル信号出力手段は、位相同期量演算手段により演算された位相同期操作量だけパルス信号の周期または周波数を変化させるとともに、各パルス信号に対する基本正弦波形の瞬時値を基本正弦波形データ演算用テーブルを用いて演算してインバータから出力させる交流電圧の正弦波形を表す正弦波形デジタル信号を出力する。
【0041】
CPU10が出力する正弦波形デジタル信号はフィルタ回路11を通してアナログ信号に変換された後、PWM回路16に入力されている。
【0042】
PWM回路16は、正弦波形デジタル信号により表される正弦波形の交流電圧をインバータ3から出力させるように該インバータに駆動信号を与える。この例では、PWM回路16によりインバータ駆動回路Cが構成されている。
【0043】
次に図1の位相同期制御部の動作を説明する。交流主電源1が出力する交流電圧は、第1のパルス化回路6により図2(A)に示したような矩形波パルス状の基準信号Vo に変換される。またインバータ3の出力電圧は第2のパルス化回路7により、図2(B)に示すような矩形波パルス状の同期信号Vs に変換される。
【0044】
CPU10は、基準信号Vo の各立上りが検出されてから次の立上りが検出されるまでの間タイマ・カウンタ13にシステムクロック信号を計数させることにより、基準信号Vo の周期TBYP を検出し、同期信号Vs の各立上りから次の立上りまでタイマ・カウンタ13にシステムクロック信号を計数させることにより、同期信号Vs の周期TINV を検出する。
【0045】
CPU10はまた、位相差検出手段B1 により検出された第1の位相差T1 と第2の位相差T2 とを取り込んで、第1の位相差T1 と第2の位相差T2 との大小比較演算を行う。
【0046】
図2(A),(B)のように、T1 ≦T2 である場合には、同期信号Vs が基準信号Vo に対して遅れているので、CPUはインバータ位相遅れ(インバータ3の出力の位相が主電源1の出力の位相に対して遅れている)と判定する。逆に、T1 >T2 である場合にはインバータ位相進み(インバータの出力の位相が主電源の出力の位相よりも進んでいる)と判定する。
【0047】
位相同期制御においては、基準信号Vo と同期信号Vs との間の位相差をゼロに近づけるのが目的であるから、位相同期操作量は位相差T1 ,T2 の小さい方を基準位相差として演算する。即ち、位相差T1 ,T2 の比較により、インバータ位相遅れと判定された場合には、第1の位相差T1 を基準位相差として位相同期操作量を演算し、インバータ位相進みの場合には第2の位相差T2 を基準位相差として位相同期操作量を演算する。
【0048】
インバータ位相遅れと判定された場合、基準信号と同期信号の位相差をゼロに近づける操作は、インバータ3の出力電圧の周波数を一時的に高くする(周期を短くする)ことにより行われる。
【0049】
図2(B)に波線で示した波形は、インバータの出力電圧の周期を短く( TINV >TINV ´)した時の例であり、この場合、次の周期には、第1の位相差T1 がT1 ´(<T1 )となる。
【0050】
インバータ位相進みと判定された場合、基準信号Vo と同期信号Vs の位相差をゼロに近づける操作は、逆にインバータ3の出力電圧の周波数を一時的に低く(周期を長く)することにより行われる。このとき、周波数を低くした後の第2の位相差T2 ´は、TINV <TINV ´、T2 >T2 ´となる。
【0051】
位相同期制御においては、基準信号と同期信号の位相差をゼロに近づける動作の他に、基準信号となる主電源1の周波数にインバータ3の出力電圧の周波数を一致させる動作も当然のことながら必要となるので、位相同期制御部Bは、前述の位相同期操作を行いつつ検出された基準信号Vo の周期(主電源の出力の周期)TBYP を目標値として、インバータ3の出力電圧の周期TINV を主電源の出力の周期TBYP に一致させる演算を常に行っている。
【0052】
演算装置10は、位相同期演算を行ってインバータの出力電圧の基準波形を与える基本正弦波パルス信号を出力する。この基本正弦波パルス信号は、同期信号(インバータの出力電圧)の基本正弦波形を与えるデジタル信号を構成するものであり、複数のクロックパルスにより構成される。
【0053】
即ち、各基本正弦波パルス信号は、インバータ3が出力すべき交流電圧の基本正弦波形を多数に分割してデジタル信号で表す場合の各分割点を規定するもので、1パルス毎にsin ωtに対応した数値情報が与えられている。
【0054】
一例として、システムクロック発生回路12が発生するクロックパルスの基本周波数を2400Hz (周期=約417μs) とし、50Hzの正弦波交流電圧を生成するものとすると、50Hzの正弦波は48(=2400/50)分割されて、48個のクロックパルスで構成されることになる。電気角2πは360゜に相当するので次式が成立する。
【0055】
Figure 0003578030
ここで、Tは50Hzの正弦波の周期(20ms)であり、tはクロックパルスの周期(417μs)×パルスの番号である。第1番目のパルス(417μs)は、50Hzの正弦波の7.5゜に相当する。この第1番目のパルスには、(1)式より、sin ωt=0.131という数値情報が与えられる。
【0056】
同様にして48個のパルスにそれぞれsin ωtに対応した数値情報を与えるわけであるが、本発明においては、この数値情報をあらかじめサイン数表と呼ばれるテーブル(基本正弦波形演算用テーブル)に記入して、ROM15に記憶させておく。こうすることにより前述の演算を行うことなく、テーブルから数値情報を読み出すだけで基本正弦波パルス信号を生成できる。
【0057】
次に、インバータ出力電圧の周波数(周期)を増減する操作を具体的な数値例を用いて説明する。
【0058】
インバータ出力電圧の周波数(周期)を増減する方法としては、基本正弦波信号を構成するバルス数を増減する方法が考えられるが、この方法では、従来例でも説明したように、1パルスに対応するsin ωtの演算が複雑になるという問題があり、上記サイン数表から数値情報を読み出す方法を適用することができない。更に、上記の例ではパルスの周波数を2400Hzとしているが、基本正弦波信号を構成するバルス数を増減する方法をとると、1パルスの増減でインバータ出力電圧の周波数が変化し過ぎてしまうので、周波数変化の分解能を上げるためには、クロックパルスの周波数を更に高くしなければならず、位相同期制御を行なうために、演算速度が速い高速の演算装置が必要となる。
【0059】
そこで、本発明においては、パルス数を増減させずに、インバータの出力電圧の周波数(周期)を変化させる方法を採用する。この方法は、クロックパルスの周期を増減させることにより実現することができる。
【0060】
例えば、クロックパルスの周波数2400Hz(周期417μs )を2405Hz(周期416μs)に変化させた場合を考える。
【0061】
この場合、インバータ正弦波信号の周期を48分割したことになるのでその周波数は次式で求められる。
【0062】
T´=48・t´ …(2)
f´=1/T´ …(3)
ここで、 T´:インバータ正弦波パルス信号の周期
f´:インバータ正弦波パルス信号の周波数
t´:パルスの周期
(2),(3)式より、パルスの周期が416μsの場合、インバータの出力電圧の周波数は150.1Hzとなり、インバータの出力電圧の周波数を0.1Hzだけ変化させたことになる。なお、周波数の変化量の最小単位は、タイマ・カウンタ13のパルス幅分解能により決まる。
【0063】
上記のように、パルスの周期(または周波数)を変化させると、インバータの出力電圧の周波数を複雑な演算を行うことなく調整することができ、かつ、サイン数表のテーブルを活用することができる。
【0064】
図4(A),(B)は、基本正弦波パルス信号の周期を変化させた例を示したものである。図示のようにパルス波形の周期TT1を変化分Δtt1だけ増加させることにより、インバータ出力電圧全体の周期(周波数)を変化させることができる。
【0065】
次に位相同期操作量について説明する。位相同期操作量は第1及び第2の位相差T1 及びT2 のうちの小さい方を基準位相差として演算することは前述した通りであり、基準信号Vo と同期信号Vs の位相差の大きさに応じでインバータ3の出力電圧の周波数の変化量を調整することが必要不可欠である。
【0066】
すなわち、基準信号Vo と同期信号Vs の位相差が大きいときには、インバータの出力周波数の変化量(操作量)を大きくし、基準信号と同期信号の位相差が小さいときには変化量(操作量)を小さくしながらインバータの出力電圧の周波数を制御しなければならない。
【0067】
位相同期操作量はインバータ出力電圧の周波数精度と同期速度とに応じて適当に決めればよいが、位相差の増大に伴なって位相同期操作量を増大させると、位相差が大きくなったときに位相同期操作量が過大になり、周波数変化率が増加してしまうので、通常は、決められた位相差を超えた場合に操作量を一定にするようにリミッタを設けるのが好ましい。
【0068】
位相同期操作量も、同期信号と基準信号との間の位相差の変化に対する位相同期操作量の変化のパターンが決まれば、その数値情報をテーブルに表現することができるので、複雑な演算を実行することなくテーブルからデータを読み出す操作だけで位相同期制御を実現できる。
【0069】
ここで、「操作量」とは、基本正弦波パルス信号を構成するクロックパルスの周期の増減量であり、例えば、タイマ・カウンタ13のパルス幅分解能が0.5 μsであった場合、操作量を+1増加させることは、クロックパルスの周期を0.5 μs増加させることに相当する。
【0070】
図2(B),(C),(D)は、クロックパルスの周期の増加に伴なって同期信号Vs と基準信号Vo (図2A)との間の位相差が目標値(位相差ゼロ)に徐々に近づいていく動作を順次示した波形である。これらの図から明らかなように、同期信号と基準信号との間の位相差が目標値に近付く割合は、該位相差の変化に伴なって変化する。図2の(B)から(C)に変化する過程では、基準位相差が大きいため、位相同期操作量が大きく、位相差が大きな割合で目標値(ゼロ)に近付くが、(C)から(D)に変化する過程では、位相差が小さくなっているので、位相同期操作量が小さくなり、位相差が目標値(ゼロ)に近付く割合が小さくなっている。
【0071】
次に位相同期操作と時間の関係について説明する。図3は、図2と同様に位相同期の状態を示した波形図であり、同図(A)は基準信号Vo を示している。また図3(B)は同期信号の3サイクル前の状態を示し、(C),(D)及び(E)は現在のサイクルの状態を示している。
【0072】
図3の(B)から(C)の過程は、3サイクル前の位相差T1 が、現在はΔTだけ目標値(位相差ゼロ)に近づいてT1 ´となった状態を示し、図3(B)から(C)の過程は、位相差がΔT´だけ目標値に近付いてT1 ”となった状態を示している。
【0073】
図3(C),(D),(E)の差は、3サイクル前から現在までの位相同期操作量及び基準信号の動作条件の違いから生じている。このことから、3サイクル前の位相差と現在の位相差とを比較することにより、位相差が目標値にどれだけの割合(速度)で近付きつつあるか(または離れつつあるか)を推測することが可能になる。
【0074】
現在の位相差だけで次の操作量を決定した揚合には、3サイクル前から現在までの操作量が異なっていても同じ操作量で制御を継続することになるので、目標値を行き過ぎたり、目標値に近付けなかったりすることがある。これに対し、数サイクル前の位相差と現在の位相差を比較してその差分に応じて位相同期操作量を決めるようにすれば、同期追従動作を安定に、かつ高速で行なわせることができる。
【0075】
本実施例では所定サイクル前から現在の位相差を記憶するメモリの量と周波数変動速度(周波数変動の大きい電源等)とを考慮して3サイクル前の位相差と現在の位相差とを比較するとしたが、現在の位相差と比較するのは必ずしも3サイクル前の位相差である必要はなく、2サイクル以上前(好ましくは10サイクル以下)の位相差と現在の位相差とを比較することにより、位相差が目標値にどれだけの割合(速度)で近付きつつあるか(または離れつつあるか)を推測するようにしてもよい。
【0076】
上記のように、2サイクル以上前の位相差と現在の位相差との差分から位相差が目標値に近付く割合を推測して位相同期操作量の適値を演算する場合には、現時点より少なくとも交流主電源の2サイクル以上前の時点から現時点までの間に検出された出力電圧及びインバータの出力電圧の第1及び第2の位相差を記憶するように位相差記憶手段を構成して、第1及び第2の位相差T1 及びT2 の大小関係及びそれぞれの大きさと、所定サイクル前の位相差と現在の位相差との差分とをパラメータとして位相同期操作量演算用テーブルを作成しておくことにより、位相同期操作量の演算を簡単に行なうことができる。
【0077】
上記位相同期操作量演算用テーブルは、実機の動作の確認や、シミュレーション等により、第1及び第2の位相差T1 及びT2 の大小関係及びそれぞれの大きさと、所定サイクル前の位相差と現在の位相差との差分と、位相同期操作量との間の関係を求めることにより作成することができる。
【0078】
以上のように、本発明の好ましい態様では、位相進みであるか位相遅れであるかの情報と、位相差と、少なくとも2サイクル前の位相差と現在の位相差との差分とを条件として位相同期操作量を求めるように位相同期操作量演算用テーブルを作成して、該テーブルからデータを読み出すことにより、位相同期操作量を決定する。
【0079】
次に図5によりインバータの出力電圧の波形歪みについて説明する。
【0080】
図5(A)は従来の位相同期制御によるインバータの出力電圧波形の時間的な変化を示しており、図5(B)は本発明の実施例におけるインバータの出力電圧波形の時間的な変化を示している。
【0081】
従来は、図5(A)に示したように、位相同期制御によりインバータの出力電圧の周期(周波数)を変化させた場合には、期間Aと期間Bの周期(周波数)がいきなり変化することになるので、期間A2と期間B1の面積比率が変化する。インバータの出力電圧制御は波形制御と平均値制御とがあり、平均値制御では、周波数が変化しても平均値(及び実効値)が変化しないように制御されるが、一般には、よほど高速な制御を行なわない限り、1サイクル毎に平均値(及び実効値)を一定にすることは不可能である。そのため、従来は、位相同期制御において波形歪みが発生することはやむを得ないとされており、位相同期操作量が大きくなるに従って波形歪みにより重畳される直流分が大きくなっていた。通常は位相同期操作量を制限するリミッタを設けたり、積分演算により波形を急激に変化させないようにしたりして、波形歪みを抑制するように制御を行っているが、このような制御を行なった場合には、内燃機関により駆動される交流発電機のように、周波数変動が大きい交流主電源とインバータとを同期させる場合に、位相同期制御を適確に行なわせることができない。
【0082】
これに対し、本発明によれば、前述の通り、基本正弦波バルス信号のパルス波形の周期を増減することができるので、図5(B)のようにインバータの出力電圧の1周期内で徐々に波形を変化させることが可能となる。
【0083】
図5(A),(B)を比較すると、同じ目標値(図5ではd点)にインバータ出力電圧の周期を変化させた場合、期間A2と期間B1´の比率は、期間A2と期間B2の比率より小さくなる。したがって、波形歪みを少なくしつつ周波数変動の大きい電源に追従させるに充分な位相同期操作量を得ることができる。但し、当然のことながら、期間B1´と期間B2´の比率も、期間A2と期間B1の比率より少なくなるようにする必要がある。
【0084】
次に上記位相同期制御部の各手段を実現するためにCPUが実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートを図6及び7を用いて説明する。
【0085】
位相同期制御のプログラムとしては、基本正弦波パルス信号を構成するパルスを発生するルーチン(以下、タイマータスクと呼ぶ。)と、周期と位相差を計測して演算し、位相同期操作量を決定するルーチン(以下サブタスクと呼ぶ。)とに分けられ、それぞれタイマー割り込みにより時分割で実行される。
【0086】
ここで、タイマータスクは、前述の例に対応して2400Hzで動作させることとする。タイマータスクの動作周期は、そのまま基本正弦波パルス信号を構成するパルスの基本周期に相当する。サブタスクにおいてはプログラム処理時間の制約は特にないが、交流主電源の周波数を計測することや、前述のインバータ出力電圧の1周期内に徐々に波形を広げる操作を行うこと等から、サブタスクは仮に150 Hzで動作させることとする。この条件では、サブタスクが1回の処理を終了するまでの間に、タイマータスクが16回処理される計算になる。
【0087】
図6(A)に示したタイマータスクにおいては、先ずステップS1においてタイマータスクの周期を決めるタイマーデータを読み出す。初期値としては、2400Hz(周期417μs)に相当するデータが読み出される。
【0088】
次いでステップS2において、上記タイマーデータをタイマーにセットしてタイマーをスタートさせる。この動作は、図1においてCPU10がタイマ・カウンタ13を制御する動作である。
【0089】
ステップS3においては、基本正弦波パルス信号を発生させる。この時、タイマータスクのプログラム実行回数に応じてサイン数表のテーブルより決められた数値情報を読み出す。前述の如く50Hzの正弦波に対しては48個の数値情報があるので、タイマータスクのプログラムが48回実行されて初めて50Hzの基本正弦波パルス信号を出力したことになる。
【0090】
ここで、60Hzの正弦波に対してはタイマータスクの基本周期が変わらないので40個の数値情報となり、サイン数表のテーブルは50Hz用と60Hz用の2つのテーブルを有することになる。ステップS3では50Hz,60Hzのデータを読み出すための切り換え操作も行っている。
【0091】
交流電圧の周波数が60Hzである場合に、パルスの周期を347μsに設定すれば、上記切り換え動作及び2つのテーブルは必要としないが、初期値のデータ及び位相同期操作量等を変えなければならないのでデータの切り換え操作を行なう方が容易である。
【0092】
ステップS3では、更に基本正弦波パルス信号を構成するパルスの周期を決めるタイマ・カウンタ13を制御する動作も行う。
【0093】
タイマータスクの処理が終了した時点でタイマー割り込みが終了し、サブタスクのプログラムがスタートする。サブタスク実行中にタイマー割り込みが発生するとサブタスクの処理は一時中断してタイマータスクのプログラムがスタートする。しかし、サブタスクの処理時間がタイマータスクの半周期未満(208μs未満)であれば処理を中断する必要がなくまたタイマータスクを含む他のプログラムも同様にタイマータスクの半周期未満であるように構成すれば、2400Hz,150Hz以外の処理動作を行なうプログラムも作成可能である。以下、本動作を繰り返す。タイマー割り込み時間は前記のタイマーデータより決まる。
【0094】
図6(B)に示したサブタスクにおいては、その最初のステップS4において、交流主電源の周期TBYP を計測したデータを読み出す。これが位相同期における基準信号となり、同期信号の目標値になる。
【0095】
次いでステップS5において、インバータの出力電圧の周期TINV を計測したデータを読み出す。これが同期信号となる。
【0096】
ステップS6において、基準信号の第1の立ち上がりから同期信号の第1の立ち上がりまでの時間T1(位相差)を計測したデータを読み出した後、ステップS7において、同期信号の第1の立ち上がりから基準信号の第2の立ち上がりまでの時聞T2(位相差)を計測したデータを読み出す。
【0097】
次いでステップS8において、T1とT2の大小比較を行う。この比較の結果T1≦T2であるときには、ステップS9に進む。図2(A),(B)に示したように同期信号が基準信号より遅れている場合には、ステップS9において、インバータ位相遅れと判定し、位相差T1を基準位相差としてセットする。
【0098】
また、ステップS8においてT1>T2であると判定された場合には、ステップS10に進んでインバータ位相進みと判定し、位相差T2を基準位相差としてセットする。
【0099】
次いでステップSllにおいては、基準位相差のデータを基に位相同期演算を行なう。ここでは、位相進み、位相遅れ、位相差の大きさ等をパラメータとしてROMに記憶された位相同期操作量演算用テーブルから必要なデータを読み出す操作を行う。このデータが位相差をゼロに近付けるためのデータとなる。ステップS11では、更に、同期信号の周期を基準信号の周期に合わせる操作も行われる。
【0100】
図7は図6(B)のステップS11の詳細を示すフローチャートの一例である。図7に示した例では、ステップS13で位相差、周期の判定と、周波数チェックとを行い、現在位相差が所定の範囲内であるかどうかを判定する。
【0101】
この位相同期判定結果に基いて、図1の電源切換スイッチ4の動作タイミングが決まる。例えば、非同期時に電源切換スイッチ4を切り換える動作が発生した場合、交流主電源とインバータ出力電圧とが非同期条件において無瞬断切換にならないよう動作タイミングをずらす操作を行う。
【0102】
次いでステップS14では、交流主電源の停電の有無の判定を行い、停電時はステップS34に進み、インバータ3の出力電圧の周期の初期値データを読み出す。
【0103】
交流主電源の停電時には前記の基準信号がなくなってしまうので、周期、位相差の計測ができなくなる。従って、主電源の停電時はインバータの出力電圧周波数を固定値として設定する必要があるので、通常は初期値のデータ(タイマータスクの周波数2400Hz)をタイマーデータとして設定する。
【0104】
商用電源が停電していないときには、位相同期制御を行うことになり、ステップS15で位相差データ(現在の計測データ)をスタックした後、ステップS16で本位相差データをシフトする。この操作は3サイクル前の位相差データから現在の位相差データをメモリに記憶する操作となる。本実施例ではサブタスクが150Hzで動作するので、インバータの出力電圧が50Hzであれば、3サイクル前のデータを記憶するには9つのメモリに150Hz毎のデータが記億される。例えば、メモリのアドレスが1000番地から1008番地に予約されている場合には、1000番地のデータが1001番地ヘシフトされる。1000番地のデータが1008番地へ移動するまでの間には8回のシフト動作が行なわれる。この揚合1000番地のデータが現在の位相差データであり、10008番地のデータは3サイクル前のデータである。上記の位相差データシフト操作は、サブタスク1回の処理で1回実効される。
【0105】
ステップS17で現在の位相差データを読み出し、ステップS18以降のステップで位相差の判定を行う。図7に示した例においては、位相差が2゜(インバータの出力電圧の周波数が50Hzの場合、約111μs)以内であればステップS24に進み、後述の位相同期操作量テーブルのA1行(位相遅れT1≦T2の揚合はA1行,位相進みT1>T2の場合はB1行)のデータを読み出す準備をする。以下、ステップS19〜S23のように判定する。
【0106】
次に、ステップS25で現在の位相差データP1と3サイクル前の位相差デー夕P2を読み出し、P1−P2の演算を行う。ステップS26でP1−P2の演算結果が1゜(約56μs)以内であれば、ステップS32へ進み、C1列(P1≧P2の場合はC1列,P1<P2の場合はD1列)のデータを読み出す準備をする。以下、ステップS27〜S31のように判定する。
【0107】
ステップS33で前述の判定結果である行列のデータを図8の位相同期操作量演算用テーブルより読み出す。これが位相同期操作量データとなる。前述の判定値は実機動作等により決めることになるので、何度の範囲内であっても良いが、n≧mとしてnを20°以内とするのが実用的である。
【0108】
ステップS35では、位相同期操作量データを積分演算する。積分演算結果よりタイマータスクの割り込み周期が決まる。
【0109】
図6(B)のステップS12において、前記データを基にタイマータスクの周期(タイマーデータ)を設定する動作を行う。
【0110】
以上のように、交流無停電電源装置の位相同期制御では、商用電源電圧とインバー夕出力電圧との位相差をゼロに近ずける動作と、商用電源の周波数にインバー夕出力電圧の周波数を一致させる動作との2つの動作を同時に行う。
【0111】
そのため、位相同期制御部においては、インバータ出力電圧の周波数を増減する制御を迅速に行なう必要があるが、上記の実施例のような制御を行なえば、マイクロコンピュータによる制御でも充分対処できる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、インバータの出力電圧が交流主電源の出力電圧に対して進んでいるか遅れているかの判定を、第1及び第2の位相差T1 ,T2 の比較演算により行ない、また基本正弦波パルス信号の周期を増減させることによりインバータの出力電圧の周波数を増減させて主電源の出力電圧とインバータの出力電圧との位相差をゼロにするように制御するようにしたので、複雑な演算を行なうことなく位相同期制御を行なわせることができる。したがって、マイクロコンピュータを用いて位相同期制御部を構成することができ、従来の装置よりも位相同期制御部構成を簡単にすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる交流無停電電源装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】図1に示した例における基準信号と同期信号の波形を示した波形図である。
【図3】図1の電源装置で用いる位相同期制御部の位相同期状態を説明するための基準信号及び同期信号の波形図である。
【図4】基本正弦波パルス信号の動作波形を示した波形図である。
【図5】図1に示した交流無停電電源装置におけるインバータの出力電圧の動作波形を示した波形図である。
【図6】図1の装置のCPUが実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートの位相同期演算を行なうステップのアルゴリズムを詳細に示したフローチャートである。
【図8】(A)ないし(D)は図1の装置で用いる位相同期操作量テーブルの構成例を示した図である。
【図9】従来の交流無停電電源装置で用いられていた位相同期制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の位相同期制御部の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
1…交流主電源、2…蓄電池、3…インバータ、4…電源切換スイッチ、5…負荷、6…第1のパルス化回路、7…第2のパルス化回路、8…第1の位相差検出器、9…第2の位相差検出器、10…CPU、11…フィルタ回路、16…PWM回路、A…主回路部、B…位相同期制御部、C…インバータ駆動回路。

Claims (3)

  1. 蓄電池が出力する直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、前記インバータの出力電圧と交流主電源の出力電圧とを切り換えて負荷に供給する電源切換スイッチとからなる主回路部と、
    前記交流主電源が出力する交流電圧を検出して検出した交流電圧を該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の基準信号に変換する第1のパルス化回路と、前記インバータが出力する交流電圧を検出して検出した交流電圧を該交流電圧と同位相の矩形波パルス状の同期信号に変換する第2のパルス化回路と、前記基準信号及び同期信号のそれぞれの立上りまたは立ち下がりを基準点として、基準信号の基準点が検出されてから同期信号の基準点が検出されるまでの時間及び同期信号の基準点が検出されてから基準信号の基準点が検出されるまでの時間をそれぞれ第1及び第2の位相差T1 及びT2 として検出する位相差検出手段と、前記位相差検出手段により検出された位相差を記憶する位相差記憶手段と、前記インバータが出力すべき交流電圧の基本正弦波形を多数に分割してデジタル信号で表す場合の各分割点を規定する各パルス信号と各分割点における基本正弦波形の数値情報との関係を与えるテーブルを基本正弦波形演算用テーブルとして記憶した基本正弦波形データ演算用テーブル記憶手段と、前記第1及び第2の位相差T1 及びT2 のうちの小さい方を基準位相差として、該基準位相差を零にするために必要な前記パルス信号の周期または周波数の変化量を位相同期操作量として該位相同期操作量と前記基準位相差との関係を与える数値データのテーブルを位相同期操作量演算用テーブルとして記憶した位相同期操作量演算用デーブル記憶手段と、前記位相同期操作量演算用テーブルを用いて前記基準位相差に対する位相同期操作量を演算する位相同期操作量演算手段と、演算された位相同期操作量だけ前記パルス信号の周期または周波数を変化させるとともに、各パルス信号に対する基本正弦波形の瞬時値を前記基本正弦波形データ演算用テーブルを用いて演算して前記インバータから出力させる交流電圧の正弦波形を表す正弦波形デジタル信号を出力する正弦波デジタル信号出力手段とを備えた位相同期制御部と、
    前記正弦波形デジタル信号により表される正弦波形の交流電圧を前記インバータから出力させるように該インバータに駆動信号を与えるインバータ駆動回路とを具備し、
    前記同期信号の位相を基準信号の位相に一致させるように制御することを特徴とする交流無停電電源装置。
  2. 前記第1の位相差T1 が第2の位相差T2 以下の場合には、前記インバータの出力電圧の位相が前記交流主電源の出力電圧の位相よりも遅れているとして前記パルス信号の周波数を増加させるように前記位相同期操作量を演算し、前記第1の位相差T1 が第2の位相差T2 を超えている場合には、前記インバータの出力電圧の位相が前記交流主電源の出力電圧の位相よりも進んでいるとして前記パルス信号の周波数を減少させるように前記位相同期操作量を演算することを特徴とする請求項1に記載の交流無停電電源装置。
  3. 前記位相差記憶手段は、現時点より少なくとも前記交流主電源の2サイクル以上前の時点から現時点までの間に検出された出力電圧及びインバータの出力電圧の第1及び第2の位相差を記憶するように構成され、
    前記位相同期操作量演算用テーブルは、前記第1及び第2の位相差T1 及びT2 の大小関係及びそれぞれの大きさと、所定サイクル前の位相差と現在の位相差との差分とをパラメータとして構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の交流無停電電源装置。
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