JP3561119B2 - 同期制御方法、周波数検出方法及び同期制御装置 - Google Patents

同期制御方法、周波数検出方法及び同期制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させるための同期制御方法、周波数検出方法及び同期制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図42は、例えば、特開昭55−34851号公報に示された従来の同期制御装置を示すブロック図である。図42において、符号31は3相交流信号VBu、VBv、VBwをこれに同期した2相交流信号VBα、VBβに変換する2相交流変換回路、32は2相交流変換回路31からの2相交流信号VBα、VBβと2相交流生成回路35からの2相交流信号とVα、Vβとから両者の位相差△θを生成する位相差検出回路、33はループフィルタ、34は入力電圧に応じて発振周波数が変化する可変周波数発振器、36は可変周波数発振器34の出力パルスを計数して位相信号θを生成するカウンタであり、2相交流生成回路35は位相信号θに基づいて2相交流信号Vα、Vβを生成する。
次に、この従来例の動作について説明する。2相交流変換回路31は3相交流信号VBu、VBv、VBwを次式で示される2相交流信号VBα、VBβに変換する。
【0003】
VBα=VBu ・・・・(1)
VBβ=1/31/2(VBw−VBv) ・・・・(2)
この変換により、例えば、
VBu=sin(θ0) ・・・・(3)
VBv=sin(θ0−2π/3) ・・・・(4)
VBw=sin(θ0+2π/3) ・・・・(5)
のとき、
VBα=Vsinθ0 ・・・・(6)
VBβ=Vcosθ0 ・・・・(7)
となる。但し、Vは振幅、θ0は位相である。
【0004】
2相交流生成回路35は、位相信号θから次式に基づいて2相交流信号Vα、Vβを生成する。
【0005】
Vα=sinθ ・・・・(8)
Vβ=cosθ ・・・・(9)
この2相交流信号Vα、Vβを2相交流信号VBα、VBβとともに位相差検出回路32へ入力し、この位相差検出回路32により、次式に基づいて位相差△θ(=θ0−θ)を生成する。
【0006】
Δθ=sin−1{(VBα・Vβ−VBβ・Vα)/(VBα2+VBβ2)1/2} ・・・・(10)
この位相差Δθをループ・フィルタ33を介して可変周波数発振器34に加える。位相差信号Δθが零となるように、ループ・フィルタ33、可変周波数発振器34、カウンタ36及び2相交流生成回路35によりフィードバックループを構成しており、可変周波数発振器34が3相交流信号VBu、VBv、VBwと同期する周波数パルスを生成し、これを交流出力の電力変換装置などにおける同期制御に利用している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の同期制御装置は以上のように構成されており、位相差検出を交流信号から直接演算しているため、交流信号に歪みが含まれている場合、位相差が正確に求められないという問題点があった。
【0008】
また、3相交流信号が不平衡成分を含んでいる場合、位相差信号に基本波の倍周波リップルが発生し、ループフィルタ33を介して可変周波数発振器34の入力にリップルを含むことになり、安定して同期制御を行えなかった。
【0009】
更に、従来の同期制御装置は、乗算器等のアナログ回路とディジタル回路とが混在した複雑な回路構成となっていた。
【0010】
この発明は上述したような課題点を解決するためになされたものであり、交流信号の歪み、不平衡の影響を受けることのない同期制御方法、同期制御装置及び、それを用いた無停電電源装置を提供することを目的とするものである。
この発明の他の目的は、マイクロプロセッサ等を用いたソフトウェアにより構成され同期制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る同期制御方法は、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器により設定された分周毎に交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、このベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、この位相差を増幅し、この増幅した位相差信号を前記可変周波数回路に入力し、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより、三相出力交流信号と分周器出力とを同期させるものである。
【0012】
請求項2の発明に係る同期制御方法は、発振器と、前記発振器の発振周波数をプロセッサからの指令により可変にできる可変周波数回路と、前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、プロセッサと、三相交流電源の電圧を検出する電圧検出器と、前記分周器の持つ位相情報により交流出力電力を発生する交流出力電力変換装置とを備える同期制御装置における、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、前記分周器により設定された分周毎に前記プロセッサ上で、前記電圧検出器から出力される交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を前記プロセッサに取り込み、当該三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、前記位相差を増幅し、前記増幅された位相差信号を前記プロセッサより前記可変周波数回路へ出力し、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより前記三相出力交流信号と分周器出力とを同期させるものである。
【0013】
請求項3の発明に係る同期制御方法は、前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記ベクトルが位置する前記回転座標上の象限が、位相差が90度から180度までの象限となる場合には、位相差を90度に制限し、位相差が−90度から−180度までの象限となる場合には、位相差を−90度に制限するものである。
【0014】
請求項4の発明に係る同期制御方法は、前記ベクトルと前記回転座標基準軸との位相差につき、前回プログラム実行時のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から90度までの象限にあり、現在のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から−90度までの象限にある時、当該位相差を遅れと判定し、前回プログラム実行時のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から−90度までの象限にあり、現在のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から90度までの象限にある時、当該位相差を進みと判定するものである。
【0015】
請求項5の発明に係る同期制御方法は、前記回転座標上の前記ベクトルに高調波振動成分を除去する処理を行ってから、前記位相差を求めるものである。
【0016】
請求項6の発明に係る同期制御方法は、前記位相差を前記三相交流信号の基本波1周期にて移動平均を行ってから増幅するものである。
【0017】
請求項7の発明に係る同期制御方法は、前記三相交流信号から基本波逆相分を減じ、この信号を前記回転座標上のベクトルに変換するものである。
【0018】
請求項8の発明に係る同期制御方法は、前記三相交流信号から高調波成分を減じ、この信号を前記回転座標上のベクトルに変換するものである。
【0019】
請求項9の発明に係る同期制御方法は、前記位相差の検出は電源周波数の逓倍毎に起動される周期1のプログラムで演算し、前記位相差検出信号に含まれる高調波の除去処理を行い、高調波除去された位相差を増幅する処理は前記周期1より長い一定時間毎に起動される別のプログラムにより実行するものである。
【0020】
請求項10の発明に係る同期制御方法は、前記位相差を増幅した信号の変化率を前記別のプログラムにより制限するものである。
【0021】
請求項11の発明に係る同期制御方法は、同期制御停止時に、可変周波数回路への出力信号の変化率を前記別のプログラムにより制限するものである。
【0022】
請求項12の発明に係る同期制御方法は、前記位相差と前記可変周波数回路への出力信号の変化率とが共にそれぞれの許容値以内である場合に、同期判定するものである。
【0023】
請求項13の発明に係る同期制御方法は、前記位相差の変化率と前記可変周波数回路への出力信号とを加算した信号から前記三相交流信号の周波数を演算するものである。
【0024】
請求項14の発明に係る周波数検出方法は、発振器と、前記発振器の発振周波数をプロセッサからの指令により可変にできる可変周波数回路と、前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、プロセッサと、単相交流電源の電圧を検出する電圧検出器と、前記分周器の持つ位相情報により交流出力電力を発生する交流出力電力変換装置とを備える同期制御装置における、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、前記分周器により設定された分周毎に前記プロセッサ上で、前記電圧検出器から出力される交流出力電力変換装置の単相出力交流信号を前記プロセッサに取り込み、当該単相出力交流信号を仮想的な三相交流信号に変換し、前記三相交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、前記位相差を増幅し、前記増幅された信号を前記プロセッサより前記可変周波数回路へ出力し、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより前記三相交流信号と分周器出力とを同期させ、前記位相差の変化率と前記可変周波数回路への出力信号とから前記三相交流信号の周波数を演算するものである。
【0025】
請求項15の発明に係る同期制御装置は、発振器と、前記発振器の発振周波数を可変制御する可変周波数回路と、前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、前記分周器により設定された分周毎に交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、このベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、この位相差を増幅し、この増幅した位相差信号を前記可変周波数回路へ出力して、前記三相出力交流信号と分周器出力とを同期させる制御手段とを備えるものである。
請求項16の発明に係る同期制御装置は、前記可変周波数回路がレートマルチにより構成されるものである。
【0026】
請求項17の発明に係る同期制御装置は、前記分周器はカウンタにより構成されるものである。
【0027】
請求項18の発明に係る同期制御装置は、前記制御手段はマイクロコンピュータにより構成されるものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0032】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による同期制御装置を示しており、この実施の形態1では、本発明を無停電電源装置を用いた非常用電源に適用したものであり、図1はその無停電電源装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
図1において、符号1はバイパス回路用交流電源、2は交流入力電源、3は無停電電源装置、4は負荷である。10番台の数字は、無停電電源装置3の主要構成要素を示すもので、11は整流器、12は蓄電池、13はインバータ、14、15はスイッチとしての開閉器、16はバイパス回路用交流電源1と交流入力電源2の電圧を検出する電圧センサ、17は無停電電源装置3の同期制御装置である。20番台の数字は、同期制御装置17の主要構成要素を示すもので、21はCPU(マイクロプロセッサ)、22はプログラムやデータを格納するメモリ、23は電圧センサ16の検出したアナログ信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換回路、24はCPU21の電圧指令よりインバータ13のスイッチング指令を生成するパルス幅変調(PWM)回路、25は基準周波数faを発振する発振器、26はCPU21の分周指令Nより周波数fb(=fa×N/N0、N=0〜N0)を出力する可変周波数回路としてのレートマルチ、27は周波数fbをK分周する分周器としてのカウンタであり、K分周毎にCPU21へ割込信号を出力する。
【0034】
次に、上述した図1の非常用電源装置の動作について述べる。交流入力電源2の正常時は、整流器11が蓄電池12を充電しつつ、インバータ13へ直流電力を供給し、インバータ13は開閉器14を介して負荷4へ交流電力を供給する。交流入力電源2が停電した場合は、整流器11は停止し、インバータ13は蓄電池12の直流電力を交流に変換し開閉器14を介して負荷4へ供給する。開閉器15は通常オフ状態にあり、開閉器14はオン状態にあるが、負荷4が過負荷状態になりインバータ13の給電能力を超えた場合、或いはインバータ13が故障した場合には、開閉器14をオフし、開閉器15をオンして、バイパス回路用交流電源1から負荷4へ給電する。このとき、バイパス回路用交流電源1とインバータ13の出力電圧の位相を同位相にしておくことにより、負荷4へ位相急変を与えることなく、安定してインバータ給電からバイパス給電へ切り換えることができる。また、過負荷状態の解除後、あるいはインバータ故障の復旧後に、バイパス給電からインバータ給電へ切り戻す場合も、バイパス回路用交流電源1とインバータ13の出力電圧の位相を同位相にしておくことにより、負荷4への位相急変を無くすことができる。
【0035】
同期制御装置17では、インバータ13の出力電圧Vinvを電圧センサ16により検出し、アナログ/ディジタル変換回路23にてディジタル信号に変換した後、インバータ13の出力電圧Vinvが出力電圧指令値と一致するようにCPU21、メモリ22を用いて制御演算が行われ、PWM回路24に電圧指令値が書き込まれる。PWM回路24では、三角波等のキャリア信号と電圧指令を比較することにより、インバータ13のスイッチング指令を出力する。ここで、インバータ13の出力電圧Vinvとバイパス回路用交流電源1を同位相にするには、まず、バイパス回路用交流電源1と同位相の位相情報を持つ必要がある。本発明は、交流電源等の交流信号と同期した同位相の位相信号を得るためのディジタル制御回路構成及びプログラム・フローチャートを提供するものである。
【0036】
本実施の形態1では、発振器25、レートマルチ26、カウンタ27、後述する演算処理を行うCPU21により、ディジタル同期制御装置を構成している。図2に同期制御装置17でのタイミング例を示す。例えば、レートマルチ26に1/2分周の指令が与えられた場合(N/N0=1/2)、その出力周波数fbは、図2に示すように、発振器25の出力周波数faの1/2の周波数になる。カウンタ27がアップダウンカウンタである場合には、レートマルチ26の出力周波数fbを分周して三角波状にカウント値が変化する。カウンタ27は、この三角波の山・谷にて出力パルスfcを発生させ、CPU21への割込信号とし、この割込信号毎にインバータ13の出力電圧をサンプリング制御する。この三角波状のカウント値はPWM回路24のキャリア信号として使用することができる。今、三角波キャリアの分解能が8bit(K=256)、周波数が6kHz、インバータ13の出力周波数が60Hzとすると、サンプリング制御を行うタイミングは、6kHz×2÷60Hz=200回となる。また、fbは6kHz×2×256=3.072MHzとなる。従って、レートマルチ26のダイナミックレンジを2倍にとり、定常時での分周比を1/2とすると、faは3.072MHz×2=6.144MHzとなる。ここで、インバータ13の出力電圧制御をディジタル制御にて実施している場合には、キャリア用のカウンタ、発振器等が必要であるため、実際にはレートマルチ26を追加するだけで、同期制御を実現することができる。
【0037】
割込が1サイクル当たり200回の場合、割込毎に位相情報を2π/200だけ進め、この位相情報より電圧指令値を作成する。従って、この位相情報とバイパス回路用交流電源との位相差を求めこれを零に制御する。
【0038】
図3に、CPU21で実行するプログラム・フローチャートを示す。このプログラムは、インバータ13の電圧制御と同じく、割込毎に起動される。以下に各処理の説明を行う。
【0039】
先ず、STEP10で、バイパス回路用3相交流電源1の各相電圧VBu、VBv、VBwをアナログ/ディジタル変換回路23にてディジタル信号に変換する。
【0040】
STEP20で、メモリ22に記憶しておいた、位相カウンタをインクリメントする。例えば、1サイクル当たり200回の割込を行う場合は、位相カウンタを0から199までのモジュロ・カウンタとする。
【0041】
STEP30で、正弦波のデータテーブルより、位相カウンタの値を用いて次のsin、cosを読み込む。
【0042】
sinU=sin(2πC/C0) ・・・(11)
sinV=sin(2πC/C0−2π/3) ・・・(12)
sinV=sin(2πC/C0+2π/3) ・・・(13)
cosU=cos(2πC/C0) ・・・(14)
cosV=cos(2πC/C0−2π/3) ・・・(15)
cosV=cos(2πC/C0+2π/3) ・・・(16)
但し、Cはプログラム内での位相カウンタ値、C0は1サイクル当たりの割込数である。
【0043】
次いで、STEP40で、次式によりプログラムの位相カウンタ上での、バイパス入力電圧d軸成分、q軸成分を求める。
【数1】
Figure 0003561119
ここで、バイパス入力電圧の周波数fvbと位相カウンタの周波数が等しく、位相については、dθ1だけバイパス入力電圧が進んでいる場合、即ち、
VBu=VB1・sin(2πfvb+dθ1) ・・・(18)
VBv=VB1・sin(2πfvb−2π/3+dθ1)・・・(19)
VBw=VB1・sin(2πfvb+2π/3+dθ1)・・・(20)
の時、
VBd=(3/2)1/2VB1・cos(dθ1) ・・・(21)
VBq=(3/2)1/2VB1・sin(dθ1) ・・・(22)
となる。
【0044】
図4はバイパス交流入力電圧をdq軸上でベクトル表示したものである。この図4より、バイパス交流入力電圧とプログラムの位相カウンタとの位相差は、バイパス交流入力電圧ベクトルとd軸との位相差に等しいことが分かる。
【0045】
STEP50で、上式(21)及び(22)より、バイパス交流入力電圧とプログラムの位相カウンタとの位相差dθは、次式より求められる。
【0046】
dθ=sin−1{VBq/(VBd2+VBq2)1/2} ・・・(23)
【0047】
STEP60で、次式により位相差dθにPI演算を行う。
【0048】
OUT=Kp(1+Ki/S)xdθ
ここで、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Sはラプラス演算子である。
【0049】
位相差dθがバイパス交流入力電圧進みの場合はPI演算結果OUTが正の方向へ、位相差dθがバイパス交流入力電圧遅れの場合はPI演算結果OUTが負の方向へ、調整される。
【0050】
STEP70で、PI演算結果OUTをレートマルチ26へ出力する。図5にレートマルチ26の特性例を示す。レートマルチ26への入力nを横軸とし、nが正の場合は出力周波数fbが増加し、nが負の場合は出力周波数fbが減少する。また、レートマルチ26への出力を零とした場合の出力周波数F0(自走周波数)は、バイパス交流入力電圧の定格周波数に相当する周波数とする。これより、位相差がバイパス交流入力電圧進みの場合は、レートマルチ26の入力が正方向へ調整され、その結果fbが増加し、割込周期が短くなり、プログラムの位相カウンタが速くカウントアップされるようになり、定常的にはプログラムの位相カウンタとバイパス入力電圧の位相が一致する。
【0051】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができる。
さらに、本発明の同期制御装置を無停電電源装置に適用することにより、交流入力電源とバイパス回路用交流電源との切り替え時の、両方の交流電力の位相の同期制御をソフトウエア的に行うことができ、交流信号に歪みや不平衡成分が含まれている場合でも、その影響を受けることなく正確に同期制御を行うことができる上、全体の装置構成も簡略化することができるものである。
【0052】
実施の形態2.
図6は、CPU21で実行する本発明の実施の形態2による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示した同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態1との違いは、STEP50の位相差検出を簡略化した点であり、他は実施の形態1と同様である。
【0053】
上記実施の形態1では、STEP50にて位相差を求める際にsin−1を用いているが、位相差を零にするフィードバック制御系となっていることから、
dθ=sin(dθ) ・・・(24)
と仮定することができる。従って、位相差を次式より求めることができる。
【0054】
dθ=VB/(VBd2+VBq2)1/2 ・・・(25)
本実施の形態2では、STEP50Aにて、上式25に基づいた位相差検出を行っている。
【0055】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、位相差検出にsin−1を用いていないため、プログラムがシンプルになり、CPU負荷を低減できる。
【0056】
実施の形態3.
図7は、CPU21で実行する本発明の実施の形態3による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示す同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態2との違いは、STEP50Aの位相差検出を更に簡略化した点である。
【0057】
上記実施の形態2では、STEP50Aにてバイパス交流入力電圧ベクトルとd軸との位相差を求める際に、バイパス交流入力電圧ベクトルの長さ即ちバイパス交流入力電圧が変動しても、正確に位相差が求められるように、バイパス交流入力電圧ベクトルの長さ(VBd2+VBq2)1/2を変数にしているが、バイパス交流入力電圧がほとんど変動しない場合は、これを定数として扱ってもよく、
KVB=1/線間電圧定格実効値 ・・・(26)
と定数として定義することにより、位相差を次式より求めることができる。
【0058】
dθ=VBqxKVB ・・・(27)
従って、バイパス交流入力電圧のd軸成分は不要となり、上記実施の形態2に対して以下の内容を変更している。
【0059】
STEP30Bで、d軸成分を求める必要が無いため、正弦波のデータテーブルより、位相カウンタの値を用いてcosのみを読み込む。
【0060】
cosU=cos(2πC/C0) ・・・・(28)
cosV=cos(2πC/C0−2π/3) ・・・・(29)
cosV=cos(2πC/C0+2π/3) ・・・・(30)
但し、Cはプログラム内での位相カウンタ値、C0は1サイクル当たりの割込数である。
【0061】
STEP40Bで、次式によりプログラムの位相カウンタ上での、バイパス入力電圧q軸成分のみを求める。
【数2】
Figure 0003561119
STEP50Bで、上式27より、バイパス交流入力電圧とプログラムの位相カウンタとの位相差dθを求める。
【0062】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、バイパス交流入力電圧がほとんど変動しない場合には、プログラムをシンプルな構成にでき、CPU負荷を低減できる。
【0063】
実施の形態4.
図8は、CPU21で実行する本発明の実施の形態4による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示した同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態1との違いは、STEP50の位相差検出後に、STEP51の位相差補正を追加した点であり、他は実施の形態1と同様である。
【0064】
図9は、バイパス交流入力電圧をdq軸上でベクトル表示したものである。図9において、バイパス交流入力電圧ベクトルVB1はI象限1にあり、図8のSTEP50の処理により位相差dθ1が求められる。しかし、バイパス交流入力電圧ベクトルがVB2のようにII象限2にある場合には、STEP50の処理では位相差が(π−dθ2)として求められるため、STEP50の位相差検出特性を図示すると、図10の点線となり、実際の位相差が増えても位相差検出出力が減少してしまう非線形性が見られる。この非線形性により、同期制御において所望の応答が得られなくなるばかりか、位相差がπの状態でロックされることも考えられる。
【0065】
STEP51の処理は、位相検出特性を図10の実線のように改善し、非線形性を解消するためのものであり、以下にこの処理について説明する。
【0066】
先ず、STEP51で、バイパス交流入力電圧ベクトルの象限を求め、II、III象限3、4の場合のみ以下の補正を行う。
【0067】
II象限2:dθ=π−dθ
III象限3:dθ=−π−dθ
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、位相差を−πからπまで線形に求めることにより、安定して同期制御を行うことができる。
【0068】
実施の形態5.
図11は、CPU21で実行する本発明の実施の形態5による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態4との違いは、STEP51の位相差検出をSTEP52に変更した点であり、他は実施の形態4と同様である。
【0069】
図12は、バイパス交流入力電圧をdq軸上でベクトル表示したものである。上記実施の形態4では、バイパス交流入力電圧ベクトルがII、III象限2、3にある場合、位相差が正しく求められるように補正していたが、図13に示すように、バイパス交流入力電圧ベクトルがII象限2にある場合には、位相差dθ=π/2(90度)、バイパス交流入力電圧ベクトルがIII象限3にある場合には、位相差dθ=−π/2(−90度)に制限することによっても、同期制御を安定に行い、位相差がπの状態でロックされることも防ぐことができる。
【0070】
STEP52の処理は、位相検出特性を図13の実線とするものであり、以下にこの処理について説明する。
【0071】
STEP52で、バイパス交流入力電圧ベクトルの象限を求め、II、III象限2、3の場合のみ以下の補正を行う。
【0072】
II象限2:dθ=π/2
III象限3:dθ=−π/2
ここでは、位相差をπ/2と−π/2で制限したが、特に高速な同期制御が必要でない場合には、例えばリミッタをπ/4と−π/4に設定しても勿論良い。このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ26の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、−πからπまでの位相差を上限・下限リミッタを介して求めることにより安定して同期制御を行うことができる。
【0073】
実施の形態6.
図14は、CPU21で実行する本発明の実施の形態6による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示す同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態4との違いは、STEP51の位相差検出をSTEP53に変更した点であり、他は実施の形態4と同様である。
【0074】
図15は、バイパス交流入力電圧をdq軸上でベクトル表示したものである。上記実施の形態4では、バイパス交流入力電圧ベクトルがII象限2にある場合、位相差を「dθ1進み」と求めていたが、これは「バイパス交流入力の周波数」と「現在のプログラム内の位相カウンタの動作周波数」が等しい場合には正しいが、これらの周波数が異なる場合には、「dθ1進み」か「dθ2遅れ」であるかが正しく分からないという問題がある。進み/遅れを誤検出した場合、フィードバック制御系が位相差を拡大するよう動作してしまうため、同期制御が行えなくなる。
【0075】
そこで、本実施の形態6では、過去のVBベクトルの挙動から、バイパス交流入力の周波数が変動しても、位相差の進み/遅れを正しく判断でき、位相差検出を図16に示す特性とする処理を、STEP53にて実施している。図17はSTEP53の処理を詳細に示したプログラム・フローチャートであり、以下に各処理の説明を行う。
【0076】
STEP53−1で、VBベクトルの象限(I〜IV)を判断する。
【0077】
STEP53−2で、メモリ22に記憶している「位相差フラグ」が「進み」か「遅れ」かにより処理フローを分ける。
【0078】
「位相差フラグ=進み」の場合
STEP53−3で、前回のVBベクトルVBareaOLDがI象限1であり、且つ、今回VBベクトルVBareaがIV象限4の場合(VBベクトルが右回りに回転)、VBベクトルが遅れと判断し、STEP53ー4で「位相差フラグ」を「遅れ」とする。位相差dθはSTEP50に求めたものをそのまま使用する。
【0079】
STEP53−3の条件を満足しないとき、STEP53−5で、VBベクトルVBareaが今回I象限1の場合には、位相差dθはSTEP50に求めたものをそのまま使用する。他の場合は、STEP53−6で、位相差dθをリミッタ上限値+LIMT(例:π/2進み)として扱う。
【0080】
「位相差フラグ=遅れ」の場合
STEP53−7で、前回のVBベクトルVBareaOLDがIV象限4で今回のVBareaがI象限1の場合(VBベクトルが左回りに回転)、VBベクトルが進みと判断し、STEP53−8で「位相差フラグ」を「進み」とする。位相差dθはSTEP50に求めたものをそのまま使用する。
【0081】
STEP53−7の条件を満足しない場合には、STEP53−9で、今回のVBベクトルVBareaがIV象限4の場合は、位相差dθはSTEP50で求めたものをそのまま使用する。他の場合は、STEP53−10で位相差dθをリミッタ下限値−LIMIT(例:π/2遅れ)として扱う。
【0082】
STEP53−11で、今回のVBベクトル象限を記憶しておき、次回割込処理にて「前回のVBベクトル象限」として使用する。
【0083】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求めているので、安定して同期制御を行うことができる。
【0084】
実施の形態7.
図18は、CPU21で実行する本発明実施の形態7による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態6との違いは、STEP53の前回位相差を考慮した位相差補正処理を高速化してSTEP53Aとした点であり、他は実施の形態6と同様である。
【0085】
上記実施の形態6では、「位相差フラグ」、前回VBベクトル象限、今回VBベクトル象限を用いて位相差補正を行っていた。これらの情報を、図19に示すように、1バイトのメモリ(状態記憶メモリと命名)に割り付けることを考える。以下、各ビットの説明を行う。
【0086】
Figure 0003561119
各ビットに情報を割り付けることにより、この状態記憶メモリは、0から31までの値をとる。この値に対して、実施の形態6にて行った位相差補正処理をまとめたのが図20である。
【0087】
そこで、本発明の実施の形態7では、状態記憶メモリを作成し、このメモリの値から処理を選定し、位相差の進み/遅れを正しく判断している。図21は、STEP53Aの処理を詳細に示したプログラム・フローチャートであり、以下に各処理の説明を行う。
【0088】
図21において、STEP53A−1で、VBベクトルの象限(I〜IV)を判断し、状態記憶メモリのBIT0、1に、VBベクトルの象限に応じた値をセットする。
【0089】
STEP53A−2で、状態記憶メモリの値により、図20に示した処理を行う。C言語ではcase文を用いることにより、実施の形態6のように条件分岐処理を行うよりも、高速に処理することができる。
【0090】
STEP53A−3で、状態記憶メモリのBIT0、1にあるVBベクトルの今回象限データを、BIT2、3にコピーし、次回割込処理にて「前回のVBベクトル象限データ」として使用する。
【0091】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができるのに加え、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく且つCPU負荷を低減して求めているので、安定して同期制御を行うことができる。
【0092】
実施の形態8.
図22は、CPU21で実行する本発明の実施の形態8による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態6との違いは、STEP41の高域除去フィルタを追加した点であり、他は実施の形態6と同様である。
【0093】
バイパス交流入力電圧に高調波成分が含まれている場合、dq変換されたバイパス交流入力電圧のd軸成分VBd、q軸成分VBqにも高調波が含まれる。dq変換は正相回転する回転座標変換であるため、例えば、5次の高調波が含まれている場合は、5次正相分がdq軸上では4次に、5次逆相分がdq軸上では6次になって現れる。従って、dq軸上のバイパス電圧ベクトルが高調波によって振動しているように動作し、位相差も高調波の影響を受ける。しかしながら、基本波正相分は「バイパス交流入力の周波数」と「現在のプログラム内の位相カウンタの動作周波数」が等しいか、または僅かに異なる場合には、dq軸上で直流分または二つの周波数差の成分となるので、VBd、VBqにSTEP41で高調波除去フィルタ(低域通過フィルタ)を通してから、STEP50の位相差検出を行うことにより、電圧高調波の影響を低減できる。一般的に、電圧高調波は5次、7次の成分がほとんどであるため、dq軸上では4次以上の高調波を除去するようにすればよい。
【0094】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求めているのに加え、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、安定して同期制御を行うことができる。
【0095】
実施の形態9.
図23は、CPU21で実行する本発明の実施の形態9による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態8との違いは、STEP54の移動平均フィルタを追加した点であり、他は実施の形態8と同様である。
【0096】
バイパス交流入力電圧が不平衡な場合、即ちバイパス交流入力電圧が基本波逆相分を持つ場合、dq変換は正相回転する回転座標変換であるため、基本波逆相分がdq軸上では基本波の2倍の周波数となり、バイパス交流入力電圧のd軸成分VBd、q軸成分VBqは、基本波逆相分に応じた2倍周波の高調波が含まれる。上記実施の形態8にて説明した高域除去フィルタは4次以上の高調波を対象にしていたが、不平衡による倍周波を高域除去フィルタにて除去するためには、フィルタの折れ点角周波数を下げるしかなく、同期制御への応答にも影響がでてくる。
【0097】
従って、本実施の形態9では、上記実施の形態8と同様に、STEP53までで位相差を求め、この位相差を基本波1サイクル周期にて移動平均を計算し、この結果をSTEP60のPI演算の入力としている。移動平均により、バイパス交流入力電圧の不平衡による倍周波の位相差リップルが平均化され、位相差が正確に求められる。
【0098】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減しているのに加え、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減し、安定して同期制御を行うことができる。
【0099】
実施の形態10.
図24は、CPU21で実行する本発明の実施の形態10による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態8との違いは、STEP31からSTEP34の処理を追加した点であり、他は実施の形態8と同様である。
【0100】
バイパス交流入力電圧が不平衡な場合、即ちバイパス交流入力電圧が基本波逆相分を持つ場合、dq変換は正相回転する回転座標変換であるため、基本波逆相分がdq軸上では基本波の2倍の周波数となり、バイパス交流入力電圧のd軸成分VBd、q軸成分VBqは、基本波逆相分に応じた2倍周波の高調波が含まれる。上記実施の形態8にて説明した高域除去フィルタは4次以上の高調波を対象にしていたが、不平衡による倍周波を高域除去フィルタにて除去するためには、フィルタの折れ点角周波数を下げるしかなく、同期制御への応答にも影響がでてくる。
【0101】
従って、本実施の形態10では、逆相分をまず検出し、これを除去した信号から位相差を求めることにより、逆相分の影響を低減した位相差を求めている。図24のプログラム・フローチャートにより、実施の形態8に追加したSTEP31からSTEP34の処理を以下に説明する。
【0102】
STEP31で、次式によりバイパス交流入力電圧を逆相回転座標に変換する。
【0103】
【数3】
Figure 0003561119
STEP32で、逆相回転座標でのd軸成分VBrd、q軸成分VBrqより、直流分を低域通過フィルタ等で求め、基本波逆相分を直流量で求める。
【0104】
STEP33で、STEP32で求めた直流量を次式にて3相座標に変換する。
【0105】
【数4】
Figure 0003561119
STEP34で、バイパス交流入力電圧から上式33にて求めた3相座標上での逆相分を減じて、STEP40への入力とする。
【0106】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減しているのに加え、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、電圧不平衡成分をまず求め、これを除去した信号から位相差を求めることによりその影響を低減し、安定して同期制御を行うことができる。
【0107】
実施の形態11.
図25は、CPU21で実行する本発明の実施の形態11による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。このプログラムは、図1に示された同期制御装置17のCPU21にて割込毎に実行される。上記実施の形態10との違いは、STEP31からSTEP34とSTEP41の処理を変更した点であり、他は上記実施の形態10と同様である。
【0108】
実施の形態10では、基本波逆相分を積極的に検出して、これをバイパス交流入力電圧から減じることにより逆相の影響を除去していたが、本実施の形態11では、これを5次高調波にも応用している。図25のプログラム・フローチャートにより、本実施の形態11の上記実施の形態10に対する変更点を説明する。
【0109】
STEP31Aで、基本波逆相回転座標変換、5次正相回転座標変換、5次逆相回転座標変換より、各座標上でのd軸成分(VBrd、VB5d、VB5rd)、q軸成分(VBrq、VB5q、VB5rq)を求める。
【0110】
STEP32Aで、各座標上でのd軸成分(VBrd、VB5d、VB5rd)、q軸成分(VBrq、VB5q、VB5rq)より、低域通過フィルタ等にて直流量を求める。
【0111】
STEP33Aで、STEP32Aで求めた直流量をそれぞれ3相座標に変換し、各相毎に和(VBhu、VBhv、VBhw)を求める。
【0112】
STEP34Aで、バイパス交流入力電圧からSTEP33Aにて求めた3相座標上での逆相分・5次高調波成分を減じて、STEP40への入力とする。
【0113】
また、5次高調波成分除去されたことにより、STEP41Aでは、7次以上の高調波の影響を低減するための高調波除去フィルタを設計すればよく、フィルタの折れ点角周波数を上げることができ、同期制御ループでの無駄時間が減少し、同期制御応答性能を更に上げることもできる。
【0114】
また、本実施の形態11では、5次高調波と基本波逆相分のみを積極的に検出し、これをバイパス交流入力電圧から減じることにより逆相と5次高調波の影響を除去していたが、高調波に関しては、CPUの能力に応じて7次、11次等さらに積極的に除去することにより、高調波による影響を改善することができる。
【0115】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減しているのに加え、バイパス交流入力電圧の不平衡・低次高調波に対しては、電圧不平衡成分・低次高調波成分をまず求め、これを除去した信号から位相差を求めることによりその影響を低減し、安定して同期制御を行うことができる。
【0116】
実施の形態12.
図26、図27はCPU21で実行する本発明の実施の形態12による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、図26のプログラムはf2割込毎に実行される。図27のプログラムは、一般的に、CPU周辺回路としてCPU内蔵または外付けされているタイマ等により一定時間毎に割込を発生させて(タイマ割込)実行される。上記実施の形態9との違いは、処理を2つに分けた点であり、処理の内容については実施の形態9と同様である。
【0117】
上記実施の形態1で示したように、今、三角波キャリアの分解能が8bit(K=256)、周波数が6kHz、インバータ13の出力周波数が60Hzとすると、f2割込は基本波1サイクルに対し200回となる。STEP41の高調波除去フィルタ、STEP54の移動平均フィルタにより、高調波・不平衡の影響を受けることなく位相差を正確に求めるためには、サンプリング点が多い方がよい。しかしながら、同期制御応答が10rad/sec程度でよい場合は、PI演算は数msec程度の演算周期でも十分である。従って、本実施の形態12では、「f2割込」ではSTEP54の位相差移動平均フィルタまでを求め、数msec程度の「タイマ割込」にて、STEP60、STEP70を実行している。
【0118】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減しているのに加え、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することにより、CPU負荷を低減しながら、安定して同期制御を行うことができる。
【0119】
実施の形態13.
図28は、CPU21で実行する本発明の実施の形態13による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、数msec程度のタイマ割込にて図28のプログラムが実行される。上記実施の形態12との違いは、タイマ割込処理にて同期制御の追従速度(スルーレート)を制限する機能(STEP61からSTEP66)を追加した点であり、f2割込については、実施の形態12と同様である。
【0120】
電力変換器の負荷には、モータ等、周波数が急変すると過電流となりやすい負荷がある。そのため、同期制御応答を犠牲にしても、周波数の時間当たりの変化を制限する場合がある。本実施の形態13では、ソフトウェアにより容易にこの機能が追加できることを示している。図28のプログラム・フローチャートにより、本実施の形態13の上記実施の形態12に対する追加点を説明する。
【0121】
STEP60で、位相差dθに対してPI演算を行う。
【0122】
STEP61乃至STEP64において、今回のPI演算結果OUT(k)と前回のPI演算結果OUT(k−1)との差が、設定値SLIMITより大きい場合には、今回のPI演算結果を制限する。
【0123】
すなわち、STEP61で、今回のPI演算結果OUT(k)と前回のPI演算結果OUT(k−1)との差が、設定値SLIMITより大きい場合には、STEP62で今回のPI演算結果OUT(k)をOUT(k)=OUT(k−1)+SLIMITに制限する。
【0124】
また、STEP61で、今回のPI演算結果OUT(k)と前回のPI演算結果OUT(k−1)との差が、設定値SLIMIT以下の場合には、STEP63に進み、今回のPI演算結果OUT(k)と前回のPI演算結果OUT(k−1)との差が、設定値−SLIMITより大きい場合は、STEP64で今回のPI演算結果OUT(k)をOUT(k)=OUT(k−1)−SLIMITに制限する。
【0125】
STEP65で、今回のPI演算結果OUT(k)をOUT(k−1)に記憶しておき、次回割込にて前回のPI演算結果OUT(k−1)として使用する。
【0126】
STEP66で、PI演算結果OUT(k)が制限された場合は、次式よりPI演算の積分項を設定することにより、同期制御を安定にする。
【0127】
積分項設定値=(OUT(k)−Kp・dθ)/(Kp・Ki)・・(34)
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減しており、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しているのに加え、同期制御の追従速度を制限する機能を追加することにより、周波数の変化率が規定されている負荷に対しても、安定して同期制御を行うことができる。
【0128】
実施の形態14.
図29は、CPU21で実行する本発明の実施の形態14による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、数msec程度のタイマ割込にて図29のプログラムが実行される。上記実施の形態13との違いは、PI演算のアルゴリズムを変更し、容易にスルーレートの制限をできるようにした点であり、その他は実施の形態13と同様である。
【0129】
まず、PI演算のアルゴリズムの変更について説明する。一般に、比例・積分制御をPI演算と呼んでおり、kサンプリング目でのPI演算出力は次式にて表すことができる。
【0130】
【数5】
Figure 0003561119
但し、mはPI制御出力、rは指令値、cは制御量、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。
【0131】
また、(k+1)サンプリング目でのPI演算出力は次式にて表すことができる。
【0132】
【数6】
Figure 0003561119
ここで、△m(k+1)=m(k+1)−m(k)と定義すると、指令値が一定の場合はr(k+1)=r(k)なので、次式が成り立つ。
【0133】
Δm(k)=Kp・c(k−1)−Kp・c(k)+Ki{r(k)−c(k)} ・・・・(37)
このように、PI演算出力の差分を求めることにより、PI演算出力m(k)は、
m(k)=△m(k)+m(k−1) ・・・・(38)
と求められる。
【0134】
次に、図29に基づき、容易にスルーレートの制限をできるようにしたプログラム・フローチャートを説明する。
【0135】
先ず、STEP60Aで、PI演算の差分dOUT(上記△mに相当)を求める。
【0136】
また、dθ・Kp(上記Kp・c(k−1)に相当)は次回割込時に必要となるため記憶しておく。
【0137】
STEP61A乃至STEP64Aにおいて、PI演算の差分dOUTが、設定値SLIMITより大きい場合には、差分dOUTを制限する。
【0138】
STEP67で、PI演算の差分dOUTを前回のPI演算結果OUTに加えて今回のPI演算結果OUTとして使用する。差分そのものに制限を加えているため、上記実施の形態13のように積分項を設定する必要がなく、アルゴリズムを簡素化できる。
【0139】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減しており、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しているのに加え、同期制御の追従速度を制限する機能をPI演算を差分型とすることにより簡単なアルゴリズムにて追加することにより、周波数の変化率が規定されている負荷に対しても、安定して同期制御を行うことができる。
【0140】
実施の形態15.
図30は、CPU21で実行する本発明の実施の形態15による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、数msec程度のタイマ割込にて図30のプログラムが実行される。上記実施の形態13との違いは、同期制御停止時に定められたスルーレートにて自走周波数に戻る機能(STEP59、STEP60−1)を追加した点であり、f2割込については実施の形態12と同様である。図30のプログラム・フローチャートにより、本実施の形態15の上記実施の形態13に対する追加点を説明する。
【0141】
STEP59で、シーケンス制御等から指令される同期制御スタート/ストップを判断する。スタートの場合は、実施の形態13と同一である。
【0142】
STEP60−1で、ストップの場合は、今回のPI演算結果OUT(k)を、前回のPI演算結果OUT(k−1)を用いて次式により求める。
【0143】
OUT(k)=−OUT(k−1) ・・・・(39)
以後、スタートの場合と同様に、STEP61以降を実行する。この処理を追加するだけで、今回のPI演算結果OUT(k)を設定されたスルーレートに従い、零に向かって減少させることができる。
【0144】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合にはレートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減しており、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減し、同期制御の追従速度を制限する機能を追加することにより、周波数の変化率が規定されている負荷に対しても、安定して同期制御を行うことができるのに加え、同期制御停止時にも、僅かなプログラムの追加のみで、周波数の変化率を規定値以下に制限しながら自走周波数にすることができる。
【0145】
実施の形態16.
図31は、CPU21で実行する本発明の実施の形態16による同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、数msec程度のタイマ割込にて図31のプログラムが実行される。上記実施の形態14との違いは、同期制御停止時に定められたスルーレートにて自走周波数に戻る機能(STEP59、STEP60−1)を追加した点であり、f2割込については実施の形態14と同様である。図31のプログラム・フローチャートにより、この実施の形態16の上記実施の形態14に対する追加点を説明する。
【0146】
STEP59で、シーケンス制御等から指令される同期制御スタート/ストップを判断する。スタートの場合は、実施の形態14と同一である。
【0147】
STEP60−1で、ストップの場合は、PI演算の差分dOUTを、前回のPI演算結果OUTを用いて次式により求める。
【0148】
dOUT=−OUT ・・・・(40)
以後、スタートの場合と同様に、STEP61A以降を実行する。この処理を追加するだけで、PI演算結果OUTを設定されたスルーレートに従い、零に向かって減少させることができる。
【0149】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減しており、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しているのに加え、同期制御の追従速度を制限する機能をPI演算を差分型とすることにより簡単なアルゴリズムにて追加することにより、周波数の変化率が規定されている負荷に対しても、安定して同期制御を行うことができるのに加え、同期制御停止時にも、僅かなプログラムの追加のみで、周波数の変化率を規定値以下に制限しながら自走周波数にすることができる。
【0150】
実施の形態17.
図32は、CPU21で実行する本発明の実施の形態17による同期判定機能を持つ同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、図32のプログラムはf2割込毎に実行される。上記実施の形態12との違いは、同期判定処理(STEP55)を追加した点であり、f2割込のその他及びタイマ割込については実施の形態12と同様である。図33は同期判定処理(STEP55)の詳細を示すプログラム・フローチャートである。
【0151】
同期を判定するには、位相差が許容値(ε)以内であることが第一条件であるが、「バイパス交流入力の周波数」と「現在のプログラム内の位相カウンタの動作周波数」が異なる場合でも、位相差が許容値(ε)以内であり、時間とともに位相差が増大していく場合も考えられる。従って、実施の形態17では、PI演算の差分dOUTが許容値(δ)以内であり、位相差がほぼ零であり、且つPI演算の出力もほぼ一定の場合に、同期と判断するよう構成している。次に、図33のプログラム・フローチャートにより同期判定処理を説明する。
【0152】
先ず、STEP55−1で、位相差dθが許容値(ε)以内か判断する。
【0153】
STEP55−2で、PI演算の差分dOUTが許容値(δ)以内か判断する。
【0154】
STEP55−3で、位相差dθ及びPI演算の差分dOUTがともに許容値以内の場合のみ、同期判定用カウンタをインクリメントする。
【0155】
STEP55−6で、位相差dθ、PI演算の差分dOUTのどちらかが許容値を逸脱した場合には、同期判定用カウンタをリセットし、「非同期状態」とする。
【0156】
STEP55−4で、同期判定用カウンタの値が設定値(N)を越えた場合、STEP55−5で「同期状態」とする。
【0157】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減し、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しながら、安定して同期制御を行うことができるのに加え、位相差だけでなくPI演算出力の差分を用いることによって、同期/非同期の判定を正確に行うことができる。
【0158】
実施の形態18.
図34は、CPU21で実行する本発明の実施の形態18による同期判定処理を示すプログラム・フローチャートである。上記実施の形態17との違いは、同期判定処理(STEP55)の内容のみであり、f2割込のその他及びタイマ割込については、実施の形態18と同様である。
【0159】
本実施の形態17では、同期判定にのみ時限を設け、位相差dθ、PI演算の差分dOUTのどちらかが許容値を逸脱した場合には、即時「非同期状態」と判定している。しかしながら、バイパス交流入力電圧の波形歪みが大きい場合等には、位相差に歪みの影響が若干でてくること、或いは、同期判定の位相差許容値が非常に小さい場合等には、「非同期状態」に陥りやすく、同期判定の時限によっては同期と見なされない場合もありうる。従って、ソフトウェアにて、同期判定用カウンタと非同期判定用カウンタとをそれぞれ設け、次に示す処理を行うことにより、同期判定をロバスト(堅牢)なものにすることができる。
【0160】
図34において、先ず、STEP55−1で、位相差dθが許容値(ε)以内か判断する。
【0161】
STEP55−2で、PI演算の差分dOUTが許容値(δ)以内か判断する。
【0162】
STEP55−3Aで、位相差dθ、PI演算の差分dOUTがともに許容値以内の場合のみ、同期判定用カウンタをインクリメントし、非同期用カウンタをリセットする。
【0163】
STEP55−6Aで、位相差dθ、PI演算の差分dOUTのどちらかが許容値を逸脱した場合には、同期判定用カウンタをリセットし、非同期判定用カウンタをインクリメントする。
【0164】
STEP55−4で、同期判定用カウンタの値が設定値(N)を越えた場合、STEP55−5で「同期状態」とする。
【0165】
STEP55−7で、非同期判定用カウンタの値が設定値(N1)を越えた場合、STEP55−8で「非同期状態」とする。
【0166】
ここで、設定値N、N1を調整することにより、電圧高調波等に対する感度を調節することができる。
【0167】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減し、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しながら、安定して同期制御を行うことができるのに加え、位相差だけでなくPI演算出力の差分を用いることによって、同期/非同期の判定を正確に且つ感度も調節して行うことができる。
【0168】
実施の形態19.
図35は、CPU21で実行する本発明の実施の形態19による周波数検出機能を持つ同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。図1に示された同期制御装置17のCPU21にて、図35のプログラムはf2割込毎に実行される。上記実施の形態18との違いは、周波数演算処理(STEP56)を追加した点であり、f2割込のその他及びタイマ割込については、上記実施の形態18と同様である。図36は、周波数演算処理(STEP56)の詳細を示すプログラム・フローチャートである。
【0169】
一般に、図1に示した無停電電源装置3では、バイパス交流入力電圧の監視からその周波数を求め、周波数が異常な場合には、同期制御を停止する等のシーケンス制御を行っている。本実施の形態19は、同期制御プログラムの機能を生かし、僅かなプログラムの追加にて周波数検出を実現するものである。次に、図36に基づき、周波数演算処理(STEP56)の説明を行う。
【0170】
STEP56−1で、位相差dθを微分してdω(=dθ/dt)を求める。
【0171】
STEP56−2で、レートマルチ26への出力より、「現在のプログラム内の位相カウンタの動作周波数」を求める。
【0172】
STEP56−3で、dωと「現在のプログラム内の位相カウンタの動作周波数」とを加えて「バイパス交流入力電圧周波数」を求める。
【0173】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減し、バイパス交流入力電圧の不平衡に対しては、移動平均フィルタによりその影響を低減し、位相差検出は高速に、PI演算は位相差検出よりも低速に処理するように構成することによりCPU負荷を低減しながら、安定して同期制御を行うことができ、位相差だけでなくPI演算出力の差分を用いることによって、同期/非同期の判定を正確に且つ感度も調節して行うことができるのに加え、位相差の微分値とレートマルチへの出力より、僅かなプログラムの追加でバイパス交流入力電圧周波数を求めることができる。
【0174】
実施の形態20.
ここまでは、バイパス交流入力電圧が3相の場合について説明してきたが、本発明の実施の形態20では、単相電源に対して、プログラムを僅かに追加するだけで仮想的な3相電源を生成し、本発明の同期制御を適用する場合について述べる。
【0175】
図37のベクトル図を用いて、単相電源から仮想的な3相電源を生成する方法を説明する。実際の単相電源のベクトルをUとすると、このベクトルUから、一時遅れフィルタ等により、僅かに位相の遅れたベクトルU1を生成する。ベクトルUとベクトルU1は2次元上の一次独立なベクトルであるので、この2つのベクトルよりベクトルUに対してV相の関係にあるベクトルV、W相の関係にあるベクトルWを演算することができる。
【0176】
図38は、本実施の形態20の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートであり、上記実施の形態9に対して、単相電源から仮想的な3相電源を生成する処理(STEP11)を追加している。
【0177】
図39は、単相電源から仮想的な3相電源を生成する処理(STEP11)の詳細を示すフローチャートであり、以下にその説明をする。
【0178】
STEP11−1で、単相電源電圧を、アナログ/ディジタル変換回路23にてディジタル信号VBuに変換する。
【0179】
STEP11−2で、一次遅れ演算にて、VBuより位相が遅れた信号VB1を生成する。この一次遅れによる位相遅れが少なければ、同期制御の応答を3相と同様にすることができる。
【0180】
STEP11−3で、VBuをU相としたときに、V相の関係にある信号VBvをVBuとVB1より求める。
【0181】
STEP11−4で、VBuとVBvよりVBw(=−VBu−VBv)を求める。
【0182】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減しているのに加え、3相用の位相差検出に単相から仮想的な3相信号を生成する処理を追加することにより、単相でも3相と同様な応答速度の同期制御を実現することができる。
【0183】
実施の形態21.
本発明の実施の形態21では、単相電源に対して、上記実施の形態20よりも容易に仮想的な3相電源を生成し、上記実施の形態10で説明した不平衡成分の除去を用いた場合について述べる。
【0184】
図40は、本実施の形態21の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートであり、上記実施の形態10に対して、単相電源から仮想的な3相電源を生成する処理(STEP12)を追加している点のみが異なる。
【0185】
図41は、単相電源から仮想的な3相電源を生成する処理(STEP12)の詳細を示すフローチャートであり、以下にその説明をする。
【0186】
STEP12−1で、単相電源電圧をアナログ/ディジタル変換回路23にてディジタル信号VBuに変換する。
【0187】
STEP12−2で、VBuをU相としたときにV相の関係にある信号VBvを−0.5×VBuとする。
【0188】
STEP12−3で、VBuをU相としたときにW相の関係にある信号VBwを−0.5×VBuとする。
【0189】
これより、VBu、VBv、VBwは不平衡成分多く含んだ3相信号であることが分かる。しかしながら、図40のSTEP31からSTEP34に示した不平衡成分除去により、位相差はVBuを基準とする正相分に対してのみ演算され、同期制御を容易に実現することができる。
【0190】
このように、電源周波数の逓倍にて割込プログラムを起動し、プログラム内の位相カウンタとバイパス交流入力電圧との位相差をソフトウェアにて求め、この位相差よりレートマルチ26への出力を演算し、割込周期を可変にしているので、インバータ13の出力電圧制御をマイクロプロセッサ等のソフトウェアにて行っている場合には、レートマルチ26を追加するだけで、同期制御を容易に実現することができ、また、VBベクトルの過去の状態より位相差の進み/遅れを正しく求め、高調波除去フィルタにより位相差の高調波による影響を低減しているのに加え、3相用の位相差検出に、単相から仮想的な3相信号を生成する簡単な処理を追加することにより、単相でも、3相と同様な応答速度の同期制御を実現することができる。
【0191】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器により設定された分周毎に交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、このベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、この位相差を増幅し、この増幅した位相差信号により、三相出力交流信号と分周器出力とを同期させるようにしているので、交流信号に歪みや不平衡成分が含まれている場合でも、その影響を受けることなく同期制御を行うことができるものである。
また、上記ベクトル変換や位相差の算出をソフトウエアにより行うことができるので、乗算器等のアナログ回路とデジタル回路との混在を極力抑えることができ、装置構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の制御回路動作タイミングの説明図である。
【図3】実施の形態1の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図4】実施の形態1の位相差検出を説明するベクトル図である。
【図5】実施の形態1のレートマルチの特性を示す図である。
【図6】実施の形態2の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図7】実施の形態3の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図8】実施の形態4の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図9】実施の形態4の位相差補正を示すベクトル図である。
【図10】実施の形態4の位相差検出特性を示す図である。
【図11】実施の形態5の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図12】実施の形態5の位相差リミッタを示すベクトル図である。
【図13】実施の形態5の位相差検出特性を示す図である。
【図14】実施の形態6の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図15】実施の形態6の位相差補正を示すベクトル図である。
【図16】実施の形態6の位相差検出特性を示す図である。
【図17】実施の形態6の位相差補正を示すプログラム・フローチャートである。
【図18】実施の形態7の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図19】実施の形態7の位相差補正に用いるビット構成図である。
【図20】実施の形態7の位相差補正処理をまとめた図である。
【図21】実施の形態7の位相差補正を示すプログラム・フローチャートである。
【図22】実施の形態8の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図23】実施の形態9の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図24】実施の形態10の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図25】実施の形態11の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図26】実施の形態12の位相差検出部を示すプログラム・フローチャートである。
【図27】実施の形態12のPI演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図28】実施の形態13のPI演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図29】実施の形態14のPI演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図30】実施の形態15のPI演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図31】実施の形態16のPI演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図32】実施の形態17の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図33】実施の形態17の同期判定部を示すプログラム・フローチャートである。
【図34】実施の形態18の同期判定部を示すプログラム・フローチャートである。
【図35】実施の形態19の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図36】実施の形態19の周波数演算部を示すプログラム・フローチャートである。
【図37】実施の形態20の仮想的3相信号生成を説明するベクトル図である。
【図38】実施の形態20の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図39】実施の形態20の仮想的3相信号生成を示すプログラム・フローチャートである。
【図40】実施の形態21の同期制御方法を示すプログラム・フローチャートである。
【図41】実施の形態21の仮想的3相信号生成を示すプログラム・フローチャートである。
【図42】従来の同期制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 バイパス回路用交流電源、2 交流入力電源、3 無停電電源装置、4 負荷、11 整流器、12 蓄電池、13 インバータ、14、15 開閉器(スイッチ)、16 電圧センサ、17 同期制御装置、21 CPU(マイクロプロセッサ)、22 メモリ、23 アナログ/ディジタル変換回路、24 パルス幅変調(PWM)回路、25 発振器、26 レートマルチ(可変周波数回路)、27 カウンタ(分周器)。

Claims (18)

  1. 交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、
    可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器により設定された分周毎に交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、
    このベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、
    この位相差を増幅し、
    この増幅した位相差信号を前記可変周波数回路に入力し、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより、前記三相出力交流信号と分周器出力とを同期させる、
    ことを特徴とする同期制御方法。
  2. 発振器と、前記発振器の発振周波数をプロセッサからの指令により可変にできる可変周波数回路と、前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、プロセッサと、三相交流電源の電圧を検出する電圧検出器と、前記分周器の持つ位相情報により交流出力電力を発生する交流出力電力変換装置とを備える同期制御装置における、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、
    前記分周器により設定された分周毎に前記プロセッサ上で、
    前記電圧検出器から出力される交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を前記プロセッサに取り込み、当該三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、
    前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、
    前記位相差を増幅し、
    前記増幅された位相差信号を前記プロセッサより前記可変周波数回路へ出力し、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより前記三相出力交流信号と分周器出力とを同期させる、
    ことを特徴とする同期制御方法。
  3. 前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記ベクトルが位置する前記回転座標上の象限が、
    位相差が90度から180度までの象限となる場合には、位相差を90度に制限し、
    位相差が−90度から−180度までの象限となる場合には、位相差を−90度に制限する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  4. 前記ベクトルと前記回転座標基準軸との位相差につき、
    前回プログラム実行時のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から90度までの象限にあり、現在のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から−90度までの象限にある時、当該位相差を遅れと判定し、
    前回プログラム実行時のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から−90度までの象限にあり、現在のベクトルの前記回転座標上での位置が、位相差が0度から90度までの象限にある時、当該位相差を進みと判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  5. 前記回転座標上の前記ベクトルに高調波振動成分を除去する処理を行ってから、前記位相差を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  6. 前記位相差を前記三相交流信号の基本波1周期にて移動平均を行ってから増幅することを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  7. 前記三相交流信号から基本波逆相分を減じ、この信号を前記回転座標上のベクトルに変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  8. 前記三相交流信号から高調波成分を減じ、この信号を前記回転座標上のベクトルに変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の同期制御方法。
  9. 前記位相差の検出は電源周波数の逓倍毎に起動される周期1のプログラムで演算し、
    前記位相差検出信号に含まれる高調波の除去処理を行い、高調波除去された位相差を増幅する処理は前記周期1より長い一定時間毎に起動される別のプログラムにより実行することを特徴とした請求項2に記載の同期制御方法。
  10. 前記位相差を増幅した信号の変化率を前記別のプログラムにより制限することを特徴とする請求項9に記載の同期制御方法。
  11. 同期制御停止時に、可変周波数回路への出力信号の変化率を前記別のプログラムにより制限することを特徴とする請求項9に記載の同期制御方法。
  12. 前記位相差と前記可変周波数回路への出力信号の変化率とが共にそれぞれの許容値以内である場合に、同期と判定することを特徴とする請求項9に記載の同期制御方法。
  13. 前記位相差の変化率と前記可変周波数回路への出力信号とを加算した信号から前記三相交流信号の周波数を演算することを特徴とする請求項9に記載の同期制御方法。
  14. 発振器と、前記発振器の発振周波数をプロセッサからの指令により可変にできる可変周波数回路と、前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、プロセッサと、単相交流電源の電圧を検出する電圧検出器と、前記分周器の持つ位相情報により交流出力電力を発生する交流出力電力変換装置とを備える同期制御装置における、交流出力電力変換装置の出力電圧位相を他の交流電源の電圧位相に同期させる際に用いる交流出力電力変換装置の出力電圧位相の同期制御方法であって、
    前記分周器により設定された分周毎に前記プロセッサ上で、
    前記電圧検出器から出力される交流出力電力変換装置の単相出力交流信号を前記プロセッサに取り込み、当該単相出力交流信号を仮想的な三相交流信号に変換し、
    前記三相交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、
    前記ベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を、前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、
    前記位相差を増幅し、
    前記増幅された信号を前記プロセッサより前記可変周波数回路へ出力し、
    前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより前記三相交流信号と分周器出力とを同期させ、
    前記位相差の変化率と前記可変周波数回路への出力信号とから前記三相交流信号の周波数を演算することを特徴とする周波数検出方法。
  15. 発振器と、
    前記発振器の発振周波数を可変制御する可変周波数回路と、
    前記可変周波数回路の出力周波数を分周する分周器と、
    前記分周器により設定された分周毎に交流出力電力変換装置の三相出力交流信号を回転座標上のベクトルに変換し、このベクトルと前記回転座標の基準軸との位相差を前記可変周波数回路の出力周波数の逓倍のタイミングにて演算により求め、この位相差を増幅し、この増幅した位相差信号を前記可変周波数回路へ出力して、前記可変周波数回路の出力周波数を分周した分周器出力を可変することにより、前記三相出力交流信号と分周器出力とを同期させる制御手段と、
    を備えることを特徴とした同期制御装置。
  16. 前記可変周波数回路はレートマルチにより構成されることを特徴とする請求項15に記載の同期制御装置。
  17. 前記分周器はカウンタにより構成されることを特徴とする請求項15に記載の同期制御装置。
  18. 前記制御手段はマイクロプロセッサにより構成されることを特徴とする請求項15に記載の同期制御装置。
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