JP3575061B2 - 静電写真用現像剤およびそれを用いる画像形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、正帯電性粒子を含む静電写真用現像剤およびそれを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法における湿式現像方式は、感光体上に帯電および画像露光を行って静電潜像を形成し、樹脂および着色剤を主成分とするトナー粒子を通常脂肪族炭化水素中に分散した液体現像剤で静電潜像を現像し、得られたトナー画像を転写紙上に転写、定着することで画像を形成する方法が一般的である。この方法で感光体として酸化亜鉛等の光導電材を塗工した感光紙や感光フィルムを用いる場合は、転写工程を省略し現像後、直接感光体上にトナー像を定着してもよい。また、感光体を用いずに電気入力により誘電体上に静電潜像を形成する静電記録方式等の現像手段としても湿式現像が良く利用される。
湿式現像方式では、サブミクロンから数μm程度の微粒子トナーを、前述のように脂肪族炭化水素等の高電気抵抗率キャリア液中に分散し、主に電気泳動原理によって潜像を現像する。それ故に、数μm以上のトナー粒子を用いる乾式現像方式に比べ高解像度の画質が得られやすいという利点を持っている。
しかしながらサブミクロンのトナー粒子径を持つ液体現像剤は、トナー粒子一個あたりの電荷量が小さくなるため、電気泳動に基づく現像速度が遅くなり、(1)画像濃度が上がらない、(2)高速複写に適さない、という問題を有している。また、従来検討されている多くのトナーは、定着がキャリア液体に溶解した樹脂の乾燥・固着による為に、基材との接着性が悪く、さらに画像部自体の凝集力が小さい為に、画像の機械的強度が弱いといった欠点があった。
【0003】
この点を改善するものとして、特開昭58−2851号公報、特開昭58−152258号公報、特開昭59−87463号公報あるいは米国特許第4,794,651明細書に記載されている様に、熱可塑性樹脂および着色剤を主成分とする平均粒子径数μmのトナー粒子を、脂肪族炭化水素中に分散させた組成の液体現像剤が提案されている。
しかしながら、熱可塑性樹脂を含むトナー粒子を、単に脂肪族炭化水素中に分散した組成の液体現像剤は、基材との接着性や画像の機械的強度は改善されるが、周知の液体現像方法で、電子写真感光体上の潜像を現像すると、低画像濃度・低解像度で低品位の像が得られたり、場合によっては画像が全く得られないことが多く、実用に用いることができない。
前述した現像・転写性の不良は、トナー粒子の帯電制御作用が満足し得るものでは無いために生じるものであり、画像品位を改善するためには、従来より液体現像剤に用いられている染料・顔料あるいは金属石鹸等のチャージディレクターの使用が不可欠である。
チャージディレクターについては、メトカルフェが公表した初期の二つの文献[K.A.Metcalfe,J.Sci.Instrum,32,74(1955)およびibid.,33, 194 (1956)]に既に示してあるように、現像剤作成時にキャリア液中に添加し、トナーの帯電性を制御するのが通常の方法であった。しかしながら、これら金属石鹸等のチャージディレクターは、一般にキャリア液の電気抵抗を著しく低下させる。したがって、良好な画像特性を得るには、経験上なるべく少ない量をキャリア液に添加するのが望ましい。一方、トナーに良好な電荷を付与させる為には、キャリア液体中のチャージディレクターの濃度はなるべく高いことが望ましく、両者は相反する結果を生じる。また、上記チャージディレクターの後添加だけによるトナーの帯電制御方法では、実際に複写操作を行うと、消費されず残ったキャリア液中のチャージディレクターにより、液体現像剤の電気抵抗が初期値と異なるようになり、安定した画像が得られないという不都合もみられた。さらに又、金属石鹸等がチャージディレクターとして効果を発揮するには、使用されるキャリア液中でミセルを形成し、ある程度溶解することが必要である。しかしながら多くの金属石鹸等は液体現像剤のキャリア液として実用上好適に使用されているノルマルパラフィン、イソパラフィン等の炭化水素系キャリア液に溶解しないか、あるいは僅かに溶解するのみで、目的とする帯電制御効果を十分に得ることはできなかった。
【0004】
特開昭58−152258号公報には室温で溶媒に不溶な樹脂、着色剤、金属石鹸等の帯電制御剤を適当な溶媒中で加熱溶融した後、この溶融物を室温まで冷却することで粒子状トナーを得、その後溶媒を実際に使用するキャリア液に置換する液体現像剤の製造方法が提案されている。この方法で得られた液体現像剤は、キャリア液の電気抵抗を低く抑えることができ、初期的には比較的満足しうる画像を得ることができるが、実用機での連続複写を継続するにつれて良好な画像を得ることができなくなるという欠点を有していた。特に、液体現像剤中のトナー濃度が大きく変動した際、或いは温湿度環境が変わった際に、画像欠陥が顕著に表れるという欠点を有した。この理由としては、キャリア液中にチャージディレクターを含まない液体現像剤は、電荷安定化機能を有するサイトが存在しなかったり、あるいは液体現像剤中に含まれる微量水分およびこれに溶解した親水性の不純物等が疑似的に電荷安定化のサイトとして作用するのみであり、この結果(1)トナー粒子−チャージディレクター間、(2)トナー粒子−トナー粒子間の電荷交換が十分満足に行われず、トナー濃度や温湿度の変動に対し不安定であったためと推察される。したがって、液体現像剤中に、意図的に電荷交換を促進させる物質であるチャージディレクターの添加が不可欠である。
【0005】
さらにまた、従来液体現像剤用として提案されているキャリア液は、ほとんどが蒸気圧の高い有機溶媒であるために、i)定着時等に排出されるキャリア液の蒸気が環境汚染を引き起こしやすい、ii)引火しやすい、iii )紙等の基材に定着した後、基材中に残存したキャリア液が徐々に蒸発しコピーから溶剤臭が発生する、という共通の問題をかかえており、昨今の環境規制問題に対して十分に対応することができないのが実情である。これらの問題点に対して、例えばキャリア蒸気の発生を防止するため、キャリアとして、実質上常温で固体の高分子量化した炭化水素を用い、使用時に適当な加熱手段にて溶融状態に保持し、静電潜像を現像する手段が考えられる。たとえば特開平2−6965号公報、特開平5−72820号公報等には、常温で固体のキャリアを用いた現像剤は、常温で液体のものを用いた場合に比して、メンテナンス性、現像液のハンドリング性が好ましい旨記載されている。しかしながら、これらの文献に記載の現像剤は、実用機内での加熱や、加熱→冷却→加熱という熱履歴を繰り返すにつれ、コロイドの安定性が劣化し、意図しない保存中のトナー凝集や塊状化や、キャリアの増粘が発生し、現像剤の信頼性が乏しいといった問題点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第一の課題は、上記した問題点あるいは不都合点をもたらすことなく、トナー帯電特性および実機内での帯電安定性の良好な正帯電性の現像剤を提供すること、そして良好な画質の画像を経時的に安定して得られる現像剤およびそれを用いる画像形成方法を提供することにある。
本発明が解決しようとする第二の課題は、液体現像方式を用いた複写機、プリンターから排出されるキャリアの量を低減させ、さらに、無臭で火災の危険性が少ない現像剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の静電写真用現像剤は、(a)0.5μm以上、5μm以下の体積平均粒子径を有し、現像時の現像液温度でキャリアに実質上不溶な熱可塑性樹脂、着色剤および下記一般式(1)で示される第四級アンモニウム塩および下記一般式(2)で示されるアルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる正帯電制御剤から形成された正帯電性トナー粒子と、(b)常温で実質上固体であり、加熱により溶融する高電気抵抗率のキャリアと、(c)該キャリア中に含まれるチャージディレクターとからなり、該キャリア中に該正帯電性トナー粒子が分散されてなることを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体上に潜像を形成する工程、および上記の静電写真用現像剤を用いて、該現像剤を加熱しながら該潜像を現像する工程を有することを特徴とするものである。
【0008】
以下、本発明について説明する。本発明の静電写真用現像剤は、トナー、キャリア、およびチャージディレクターの三つの成分から本質的に構成される。
本発明において、「現像剤」とは、現像処理時に液状を示すものを意味し、常温で固体状のものを意味する。
また、「本質的に構成される」とは、現像剤の利点の妨げとならないような不特定の成分を組成から除外するものではないことを意味する。例えば微粒子サイズの金属酸化物、その他補助剤等のような追加的成分を存在させることができる。
本発明において使用される用語の「正帯電制御剤」とは、トナー粒子表面および内部に存在し、電荷発生のサイトになる物質を意味する。
「チャージディレクター」とは、キャリア液体側に存在し、トナー粒子とキャリア液体間の電荷交換を安定化するものである。例えばトナー粒子中の正帯電制御剤として塩構造を有するものを使用した場合は、その対イオンがキャリア液体中のチャージディレクターにより安定化されトナー/キャリアの電荷交換が促進・安定化させる機能を有するものと推定される。
【0009】
まず、正帯電性トナー粒子について説明する。正帯電性トナー粒子は、熱可塑性樹脂、着色剤および負帯電制御剤から形成される。
熱可塑性樹脂としては、現像時の現像液温度でキャリアに実質上不溶なものであれば、いかなるものでも使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類が用いられ、特に極性基を有するエチレン系共重合体、例えばアクリル酸とメタクリル酸を代表例とするα,β−エチレン不飽和酸またはそのアルキルエステルとエチレンとの共重合体、あるいは該共重合体の酸部分を金属塩化、アミン塩化、アンモニウム塩化したアイオノマー類等が好ましい。このタイプの共重合体の合成法は、例えばリー(Ree)の米国特許第3264272号明細書に記載されており、詳細は同明細書を援用する。
さらにスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の単独重合体またはスチレン−アクリル系重合体、或いは他の単量体との共重合体を挙げることができる。
【0010】
上記スチレン−アクリル系共重合体を与えるアクリル系成分としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、さらには同様のメタクリル酸エステルがあげられ、その他、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレンモノカルボン酸エステル類、メタクリル酸アンモニウム塩、そのベタイン化合物等が挙げられる。
また上記アクリル酸類の単独重合体、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチル、ビニルトルエンスルホン酸、そのナトリウム塩、そのビニルピリジン類、そのピリジニウム塩等の単独重合体、あるいは他の単量体との共重合体、ブタジエン、イソプレン等のジエン類とビニル系単量体との共重合体、ダイマー酸をベースにしたポリアミド樹脂等を用いることができる。さらには、ポリエステル、ポリウレタン等を単独または前述の樹脂と混合した形で用いることができる。
【0011】
本発明において、前記熱可塑性樹脂中に分散させる着色剤としては、有機、または無機の顔料や染料、油溶性染料を使用することができる。例えば、C.I.ピグメントレッド48:1,C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45432)、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、金属錯塩染料の誘導体およびこれらの混合物等を挙げることができる。さらに、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイトや各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の種々の金属酸化物およびこれらの適宣の混合物などが挙げられる。
これらの着色剤は、充分な濃度の可視像が形成される割合でトナー粒子中に含有されることが必要であり、その配合割合は、トナー粒径や現像量に依存するが、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して通常1〜200重量部程度の割合が適切である。
【0012】
本発明において、トナー粒子中に含有する正帯電制御剤としては、現像液の加熱条件や各種の熱履歴に対し熱的安定であり、安定した正帯電特性を示す下記一般式(1)で示される第四アンモニウム塩および下記一般式(2)で示されるアルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれるものが使用される。
【0013】
【化3】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 およびR5 は、それぞれC1 〜C30の脂肪族基、芳香族基またはアミド基を有する脂肪族基を表し、Xはハロゲン原子、
【化4】
(ただし、R6 は水素原子、C1 〜C8 の脂肪族基、または水酸基を表す。)、CH3 SO3 またはBF4 を表す。〕
【0014】
上記一般式(1)において、R1 、R2 、R3 およびR4 は、互いに同一もしくは異なってもよく、それぞれ、炭素原子1〜30個を有する脂肪族基、芳香族基または、式:R9 −C(=O)−NH−R10−(但しR9 はアルキル基、R10はアルキレン基を表す。)で表わされるアミド基を含む脂肪族基である。アニオンとしては、アルキル硫酸塩およびスルホン酸塩、例えばメチル硫酸塩、およびメチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、さらにはハロゲン、BF4 - 等の陰イオンが包含される。
【0015】
上記一般式(1)で示される第四アンモニウム塩および上記一般式(2)で示されるアルキルピリジニウム塩の具体例としては、次のものを例示することができる。
【化5】
【0016】
トナーの成分に対する上記正帯電制御剤の量は、一般に0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜8重量%の範囲である。正帯電制御剤の量が、0.1重量%を下回ると希望とする帯電制御効果が不充分であり、また10重量%を越えると、現像剤の過度な電導度の上昇を引き起こし、使用し難くなる。
【0017】
本発明において、キャリアとしては、常温で実質上固体であり、加熱により溶融する高電気抵抗率のものが使用されるが、電気抵抗率は108 〜1012Ωcmの範囲のものが好ましい。また、キャリアとしては、25℃での蒸気圧130Pa以下、または沸点170℃以上の低蒸気圧を有するものが好ましく使用できる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
本発明において、上記エーテル化合物は、キャリアとして、単独あるいは二種類以上混合して用いてもよく、また、従来用いられているキャリアと混合して用いてもよい。エーテル化合物の全キャリアに対する組成比は、5から100重量%の範囲が程度が適当である。5重量%未満では、改善しようとする分子量の大きい脂肪族炭化水素等の凝固点の降下作用や、分子量の小さい、パラフィンオイル等の蒸気圧の低減化に対する効果が十分でない。混合して用いることができる公知のキャリア液としては、例えば、エクソン社製のノルパー16等の直鎖脂肪族炭化水素類等の他に、n−オクタデカン、n−ノナデカン等の分子量の比較的大きいワックス状炭化水素および変性シリコーン化合物等があげられる。
【0023】
本発明におけるキャリアは、常温で実質上固体であり、加熱により溶融する性質を有するものである。
常温で実質上固体であり、加熱により溶融する性質を材料の融点について考察すると、キャリアの融点、あるいは実質上液体とみなせる温度は、通常の使用環境や取扱性を考慮して25℃以上とし、より好ましくは30℃以上である。融点、あるいは実質上液体とみなせる温度の上限は、特に限定されるものではないが、実用的にはおおよそ80℃、より好ましくは50℃以下、更に好ましいのは40℃以下である。但しこれらキャリアの融点、あるいは実質上液体とみなせる温度(T1 )を、分散されているトナー粒子を構成する熱可塑性樹脂が軟化したり、あるいは担持体であるキャリアに溶媒和する温度、さらには溶融する温度(T2 )以上に設計すると、現像剤の加熱温度(T)により、トナー粒子がキャリア液中で膨潤やゲル化を起こし、現像剤中で“粒子”として機能しなくなる為に好ましくない。以上の関係を図式化すると以下の関係になる。すなわち、現像剤の設定温度(現像時の現像液温度)Tは、
室温<T1 <T<T2
を満たすことが必要である。常温で実質上固体であり、加熱により溶融する性質を有するキャリアは、上記の関係を満たすように材料を選択して構成する必要がある。
【0024】
これらの要求を満たすキャリアの材料としては、パラフィン類、ロウ類、ワックス類、低分子量の結晶性高分子樹脂および此れらの混合物が挙げられる。特に分岐または直鎖状のパラフィン類またはワックス類が好ましい。
パラフィン類としては、オクタデカン(C 18 H38、融点27.5℃)からヘキサコンタン(C40H82、融点81.5℃)に至る炭素数18〜40程度の各種のノルマルあるいはイソパラフィンがあげられる。
ロウ類、ワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックスおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等があげられる。
また、これら天然ワックスの他に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスも使用することができる。
さらにポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体または共重合体(例えばn−ステアリルアクリレートエチルメタクリレートの共重合体等)等の、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子も使用可能である。
【0025】
次に、上記キャリアに含有させるチャージディレクターに就いて説明する。
キャリア液中に存在し、ミセル形成能を有するイオン性、または非イオン性のチャージディレクターとしては、イオン性、非イオン性の界面活性剤、親油性部と親水性部からなるブロックもしくはグラフト共重合体類、さらにまた環状、星状、樹状高分子(デンドリマー)等の高分子鎖骨格をもった化合物、さらにはサリチル酸の金属錯体、カテコールの金属錯体、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体等より選ばれる化合物を用いることができるが、中でも特に好ましいものは、現像剤の加熱条件や各種の熱履歴に対し化合物自体が熱的に安定であり、トナーに塩構造の帯電制御剤を用いた場合には、アニオンの安定化機能を有し、安定した分散性が得られるようなものであって、イオン性、非イオン性の界面活性剤、親油性部と親水性部からなるブロックもしくはグラフト共重合体類、さらにはサリチル酸の金属錯体、カテコールの金属錯体、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体等より選ばれる化合物が特に好ましく用いられる。
【0026】
より具体的に、親油性部と親水性部からなるブロックもしくはグラフト共重合体類としては、親油性部として、ブタジエン、イソプレン、およびアクリル酸、メタクリル酸を代表例とするα,β−エチレン不飽和酸のアルキルエステル等を単量体とするポリマーが好都合に用いられる。親水性部としては、カルボキシル基、スルホン酸基、オキシエチレン基等の極性基を側鎖に有すα,β−エチレン不飽和酸のアルキルエステル等を単量体とするポリマー等が好都合に用いられる。さらにまたポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体も好ましい。これ等親油性部と親水性部からなるブロックまたはグラフト共重合体の場合は、全体で1000〜50000程度の数平均分子量を持ち、ブロックポリマーの構造がAB型、ABA型、BAB型のいずれでもよく、また、グラフト共重合体の場合は、櫛形のグラフト構造であってもよい。
さらにまた、クラウンエーテル、大環状アミン、ポリノルボルネン等の環状高分子、スチレン星状高分子、ポリアルキルアミド−アルポロール等の樹状高分子(デンドリマー)等の高分子鎖骨格をもった化合物も用いることができる。
これらチャージディレクターと組み合せて金属石鹸を用いることができる。使用できる金属石鹸としては、トリステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、バリウム、カルシウム、鉛および亜鉛のステアリン酸塩、またはコバルト、マンガン、鉛および亜鉛のリノレン酸塩、さらにはアルミニウム、カルシウムおよびコバルトのオクタン酸塩、またさらにはカルシウムとコバルトのオレイン酸塩、パルミチン酸亜鉛、カルシウム、コバルト、マンガン、鉛および亜鉛のナフテン酸塩、カルシウム、コバルト、マンガン鉛および亜鉛のレジン酸塩等があげられる。
【0027】
イオン性および非イオン性の界面活性剤類としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等があげられる。 これらチャージディレクターは、トナー成分に対して0.01重量%以上、20重量%以下が好ましく、特に0.05〜10重量%の範囲が好ましい。0.01重量%を下回ると、希望とする帯電制御効果が不充分であり、また20重量%を越えると、現像液の過度な電導度の上昇を引き起こし、使い難くなるからである。少量の添加で十分な帯電制御効果を発揮するのは、これらチャージディレクターが前述したトナー粒子中の帯電制御剤と組み合せて用いられる為である。
【0028】
これらチャージディレクターの他にも、現像剤の物性制御の為に、ポリマー微粒子、無機微粒子等を更に分散させたり、さらにまたキャリアやチャージディレクターの熱劣化や光、湿度等による酸化あるいはラジカル連鎖による増粘防止の目的で、各種添加剤を現像液中に分散あるいは溶解させてもよい。酸化防止剤としてはより具体的に、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ジラウリルチオジプロピオネート、トリフェニルフォスファイト等をあげることができる。ラジカル重合禁止剤としてはより具体的に、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ナフトキノン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド等をあげることができる。
【0029】
次に、本発明の現像剤を製造する方法について説明する。
本発明の現像剤におけるトナーを製造する方法としては、従来公知の如何なる方法を用いてもよい。例えば、特開昭58−152258号公報などに記載の方法、さらにはB.Landaらによる米国特許第4794651明細書(Dec.,27,1988)に記載されている様な各種の方法を応用してトナーを製造することもできる。
さらには前述した樹脂、顔料および帯電制御剤を所定の混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて微粒子を調製し、得られたトナー粒子をその後、加熱溶融したキャリアに分散する方法が使用できる。
また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で帯電制御剤をトナー中に含有させたトナーを調製し、その後、加熱溶融したキャリアに分散して現像液を製造してもよい。
さらにまた、樹脂が可塑化可能で、キャリアが沸騰せず、かつ、樹脂、帯電制御剤および/または着色剤の分解点よりは低い温度で、前記の樹脂、着色剤、帯電制御剤およびキャリアの原材料を分散および混錬することができる適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂、帯電制御剤をキャリア媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させてトナーを作製することができる。
【0030】
さらに別の方法としては、分散および混練のための粒状メディアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミルのような加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を好ましい温度範囲、例えば80〜160℃で分散および混練する方法が使用できる。粒状メディアとしては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が好ましく用いられる。
この方法によってトナーを製造するには、あらかじめ十分に流動状態にした原材料をさらに粒状メディアによって容器内に分散させた後、キャリアを冷却してキャリア液から着色剤を含む樹脂を沈殿させる。粒状メディアは冷却中および冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断および/または、衝撃を発生させトナー粒子径を小さくさせることが重要である。
現像剤中に占めるトナーの濃度は0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。
【0031】
以上の方法により粒子化されたトナーは、遠心沈降式粒度分布測定装置で求められる所望の体積平均粒子径が0.5μm以上、5μm以下であることが必要である。体積平均粒子径が0.5μmよりも小さい場合は、トナーの現像速度が遅くなり、高速の複写プリントに適用できなくなり、また5μmよりも大きい場合は、目標とする高画質画像を得ることができなくなる。粒子化されたトナーは、必要に応じて多数の繊維を持った形状をとることもできる。ここで「繊維を持った形状」とは、繊維、巻ひげ、触手などをともなって形成されたトナー粒子の形状である。
【0032】
次に、本発明の画像形成方法について説明する。本発明の画像形成方法における潜像保持体上に潜像を形成する工程は、電子写真或いは静電記録方法において採用されている周知の方法を用いることができる。潜像保持体は、電子写真感光体のみならず、誘電体であってもよい。
上記工程で形成された潜像を現像する工程についても、現像剤を使用する周知の方法が採用できるが、常温で固体のキャリアを用いるので、現像剤を加熱しながら現像する必要がある。
【0033】
上記の現像工程を採用する画像形成方法について、図1により説明する。図1は便宜上、一枚の長い感光体に対して各工程が順次適用されていくものとして示してある。
帯電工程においては、感光体(1)がコロナ放電器(2)等の適当な帯電手段を用いて例えばマイナスに一様に帯電される。次の露光工程では、半導体赤外レーザー光線(3)等の適当な露光手段を用い、画像情報部分のプラス電荷を消失させる。次の現像工程では、前述の様にして形成した静電潜像が現像剤タンク(4)の上を通過する。現像剤タンク(4)の中には、常温で固体の電気絶縁性キャリア液(5)中にプラスに帯電したトナー粒子(6)が分散された静電潜像用現像剤が入っており、この現像剤は加熱手段(7)によって加熱溶融され液状を呈している。上記現像剤タンク(4)に供給される現像剤は、少なくとも常温では固体であり加熱冷却により固液化する電気絶縁性キャリア(5)に、トナー粒子とチャージディレクター等が分散されてなるものであり、キャリアは前記した関係、すなわち、
室温<T1 <T<T2
の関係を満たす材料から選択されたものである。次いで、形成されたトナー像は、転写ロール(9)によって転写紙(8)上に転写される。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明を実施例および比較例をもって説明する。ただし下記の実施例によって本発明が限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、「部」は「重量部」を意味する。
実施例1
1.エチレン(89%)−メタクリル酸(11%)の共重合体: 40部
(ニュークレルN699;デユポン社製)
2.銅フタロシアニン顔料: 8部
(シアニンブルー4933M;大日精化社製)
3.帯電制御剤: 2部
例示化合物(1):(3−ラウリルアミドプロピル
トリメチルアンモニウムメチルサルフェート)
4.ノルパー15(エクソン社製) 100部
上記組成物をステンレスビーカーに投入した後、オイルバスにて120℃に加熱しながら、1時間撹拌を続け、完全に溶融した樹脂、顔料および帯電制御剤の均一な溶融体を調製した。得られた溶融物を撹拌をしながら徐々に室温まで冷却し、さらに、ノルパー15を100部添加した。系の温度が低下していくにつれて顔料、帯電制御剤を包含した粒径10〜20μのトナー母粒子が析出してきた。析出したトナー100部を01型アトライター(三井三池社製)に投入し、直径0.8mmのスチール鋼球を用いてローターの回転速度300rpmで約20時間粉砕した。粉砕は、遠心沈降式粒度分布測定器(SA−CP4L;島津製作所製)で体積平均粒子径をモニターしながら粒子径が2.5μmになるまで粉砕を続けた。
得られた濃縮トナー20部(トナー濃度18重量%)を現像剤に対するトナー濃度が2重量%になるようにあらかじめ75℃で加熱溶融させた160重量部のエイコサン(C20H42、融点36.8℃)で希釈し十分に撹拌を行った。さらに得られた液状混合物にチャージディレクターとして3,5−ジターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム錯体を現像剤中のトナー量1部あたり、0.1重量部添加し十分に撹拌した後、ステンレス鋼製のバットに移し、現像剤を調製した。トナー現像量の測定は、現像剤と測定システム全体を40℃の環境下において行った。
【0035】
実施例2
実施例1で用いた帯電制御剤として、例示化合物(2)(ステアリルトリエチルアンモニウムナフトスルフォン酸)を使用した以外は、実施例1と同様にして濃縮トナーを作製し、同様にあらかじめ75℃で加熱溶融させたトリアコンタン(C30H62、融点65.8℃)160重量部で希釈し十分に撹拌を行った。その後、得られた液状混合物にチャージディレクターとして、3,5−ジターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム錯体を実施例1と同様の割合で添加し、十分に撹拌して現像剤を製造した。
実施例3
実施例1で用いた帯電制御剤として、例示化合物(3)(ステアリルジメチルベンジルアンモニウムp−トルエンスルホネート)を使用し、顔料としてカーボンブラック(カーボンブラック#4000;三菱化成社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして濃縮トナーを作製した。その後、このトナーをあらかじめ100℃で加熱溶融させたパラフィンワックス120(日本精ろう社製、融点約50℃)にトナー重量濃度で2重量%になるように分散した。得られた液状混合物にチャージディレクターとして、3,5−ジターシャリブチルカテコールのほう素錯体を実施例1と同様の割合で添加し、十分に撹拌して現像剤を製造した。
【0036】
実施例4
1.ポリエステル樹脂 85部
(テレフタル酸とエチレンオキサイド付加ビスフェノールAとを重合させることによって得られた重量平均分子量Mw:12000、酸化:5、軟化点:110℃のポリエステル樹脂)
2.マゼンタ顔料(カーミン6B;大日精化社製) 15部
3.帯電制御剤:例示化合物(4) 2部
(ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)
上記組成物をエクストリューダーにて混練し、さらにジェットミルで微粉砕した後、風力式分級機で分級して平均粒径3μmのトナーを調製した。
この粉体トナーをトナー重量濃度で2重量%になるようにあらかじめ75℃で加熱溶融させたペンタコサン(C25H52、融点53.7℃)160重量部で希釈した。さらにこの液状混合物に、チャージディレクターとしてジオクチルスルフォコハク酸ナトリウムを、実施例1と同様の割合で添加し、十分に撹拌して現像剤を調製した。
【0037】
実施例5
顔料としてピグメントイエロー17(大日精化社製)を使用した以外は、すべて実施例1と同様にしてトナーを作製し、実施例1と同様にエイコサンで希釈した。その後、得られた液状混合物にチャージディレクターとして、3,5−ジターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム錯体を実施例1と同様の量を添加し、十分に撹拌して現像剤を調製した。
実施例6
実施例1で用いた濃縮トナーを用い、チャージディレクターとして以下のイオン性コポリマーを用いた。
チャージディレクター:ステアリルメタクリレート/メチルメタクリレート/テトラオキシエチレンメチルメタクリレートを単量体とし、共重合比68/30/2重量%の割合で共重合して得たポリマー。(数平均分子量5000)
このチャージディレクターを実施例1と同様に添加し現像剤を調製した。
実施例7
実施例1で用いた濃縮トナーにおいて、帯電制御剤として、例示化合物(5):(セチルピリジニウムクロライド)を用いた以外は、全て実施例1と同じにしてトナーを作製した。チャージディレクターとして以下の化学構造を有するノニオン界面活性剤を用いた。
チャージディレクター:C16H33−O(CH2 CH2 O)6 −H
このチャージディレクターを実施例1と同様に添加して現像剤を調製した。
【0038】
比較例1
実施例1で用いた濃縮トナーにおいて、帯電制御剤として、例示化合物(6):(セチルピリジニウムp−トルエンスルホネート)を用いた以外は、全て実施例1と同じにしてトナーを作製した。さらに液状混合物中にチャージディレクターを添加しない以外は、すべて実施例1と同様にして、現像剤を製造した。
比較例2
実施例1で用いた現像剤において、チャージディレクターを用いない以外はすべて実施例1と同様にして現像剤を調製した。
比較例3
実施例1でトナー組成中に帯電制御剤を添加しない以外は、すべて実施例1と同様にしてトナーを作製した。さらに現像剤中にチャージディレクターを実施例1と同様に添加し現像剤を製造した。
比較例4
実施例1でトナー組成中に帯電制御剤を添加しない以外は、すべて実施例1と同様にしてトナーを作製した。実施例2で帯電制御剤として用いた例示化合物(2)1重量部を、プロピレングリコールブチルオクチルエーテル100重量部に加熱溶解させ、さらに実施例1と同様に現像剤中のトナー1部あたり、0.1部添加し、十分に撹拌して現像剤を調製した。
比較例5
比較例4で用いた現像剤に、さらに3,5−ジターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム錯体を実施例1と同様に添加して現像剤を調製した。
【0039】
(現像剤評価テスト)
(1)現像剤トナー帯電極性および正極性トナー量と逆極性トナー量の測定
間隔1mmで直径10cmの平行平板電極(電極面積78cm2 )間に現像剤を3ml充填し、電場が+104 V/cmとなるように1000Vの電圧を1秒間印加した。その後、トナーが付着した電極を真空乾燥機に入れ、120℃で2時間加熱乾燥しキャリア液を完全に除去した。付着前後の電極重量の差から現像した正極性トナーの量を求めた。また印加する電圧の極性を換える(電場−104 V/cm)ことにより同様の手順で逆極性トナーの量を測定した。図2にこれらトナー量を測定するトナー現像量測定装置の回路図を示す。
(2)画像品質評価
図1に画像出力評価装置の概略を示す。
現像剤は前述の如く、現像剤タンク(4)に入れて使用される。そして液化した現像剤が感光体と接触すると、トナー粒子(6)が感光体の電荷部分に引かれて現像が行われる。最後に定着工程で転写紙(8)上に定着され、画像が形成される。
なお、現像に際しては、感光体(1)と現像剤とが接触後直ちに固化すると画像品位を低下する恐れがあるため、感光体自体あるいは固定するステージにも加熱手段を設けてもよい。
【0040】
実施例1〜実施例7現像剤組成を表1に、比較例1〜比較例5の現像剤組成を表2に、評価結果を表3に示す。
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
実施例1から7の現像剤は逆極性トナー量の少ない良好な正帯電性トナー特性を示した。また現像量も調製後7日を経ても安定していた。比較例1、2および4の現像剤のトナーは正負いずれにも帯電していなかった。比較例3の現像剤の現像量は実施例1の現像剤と比べて1/2以下の量であった。また現像量は調製後7日を経て、逆極性トナー量が増加していく不安定なものであった。比較例5の現像剤の現像量は実施例2の現像剤と比べて1/2以下の量であり逆極性トナーの量も多かった。また現像量は調製後7日を経て、逆極性トナー量が増加していく不安定なものであった。
【0043】
実施例8
上記した画像出力評価装置で、実際の画像評価を行った。実施例1の現像剤を用い、現像剤の温度を75℃に設定し、画像出力を行った。得られた画像は高解像度の良好なものであった。さらに、実施例1の2000時間放置後の現像剤を用いて200枚連続の複写を行ったが100枚後の画像は初期と変化のない良好なものであった。さらにこの画像は、有機溶剤臭が全く無い良好なものであった。
比較例6
上記した画像出力評価装置で、同様の画像評価を行った。比較例1の現像剤を用い、現像剤の温度を75℃に設定し、画像出力を行った。得られた画像は画像濃度が低く、品位の劣ったものであった。さらにこの現像剤を用いて200枚連続の複写を行ったが、画像の品位はますます低下し、甚だ不満足なものであった。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【発明の効果】
本発明の静電写真用現像剤は、上記の構成を有するから、トナー中に含まれる正帯電制御剤とキャリア中に溶解して含有されるチャージディレクターとの電荷交換作用により、両者の効果が一層発揮されてキャリアの電気抵抗率が過度に低下することなく、トナーに正帯電性が付与される。また、本発明の静電写真用現像剤においては、トナー中に正帯電制御剤が含有されているから、従来のキャリアに正帯電制御剤を含有させたものに比して、僅かな添加量で十分な正帯電性をトナーに付与することができる。したがって、本発明の静電写真用現像剤を用いる画像形成方法によれば、良好な画質の画像を経時的に安定して得ることができる。さらに、本発明の静電写真用現像剤は、その作製過程で、キャリアを所望の低蒸気圧のキャリアに置換することができるため、溶剤蒸気の発生がなく、また、複写に際して、装置から排出されるキャリアの量を低減させることができるので、臭気および火災の危険がなく、環境上好ましいものであるという効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の説明図であって、常温で固体のキャリアを用いた現像剤を使用する場合を説明する図である。
【図2】実施例および比較例の現像剤のトナー量を測定するトナー現像量測定装置の回路図を示す。
【符号の説明】
(1)…感光体、(2)…コロナ帯電器、(3)…半導体赤外レーザー光線、(4)…現像剤タンク、(5)…電気絶縁性キャリア、(6)…トナー粒子、(7)…加熱手段、(8)…転写紙、(9)…転写ロール。
Claims (7)
- (a)0.5μm以上、5μm以下の体積平均粒子径を有し、現像時の現像液温度でキャリアに実質上不溶な熱可塑性樹脂、着色剤および下記一般式(1)で示される第四級アンモニウム塩および下記一般式(2)で示されるアルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる正帯電制御剤から形成された正帯電性トナー粒子と、(b)常温で実質上固体であり、加熱により溶融する高電気抵抗率のキャリアと、(c)該キャリア中に含まれるチャージディレクターとからなり、該キャリア中に該正帯電性トナー粒子が分散されてなることを特徴とする静電写真用現像剤。
- キャリアが25℃での蒸気圧130Pa以下、または沸点170℃以下の低蒸気圧を有する請求項1記載の静電写真用現像剤。
- トナー中に含まれる上記正帯電制御剤の量が、トナー成分に対して0.1重量%以上、10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の静電写真用現像剤。
- キャリア中に含まれるチャージディレクターの添加量が、トナー成分に対して0.01重量%以上、20重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の静電写真用現像剤。
- キャリアが、下記一般式(3)で示されるエーテル化合物の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の静電写真用現像剤。
R7 O(Cn H2nO)x R8 (3)
(式中、R 7 およびR 8 は、同一または異なっていてもよく、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアルアルキル基を表し、ただし、R 7 およびR 8 に含まれる炭素原子数の合計は6以上、20以下であり、nは2または3の整数、xは0ないし33の整数である。) - キャリアが分岐または直鎖状のパラフィン類またはワックス類であることを特徴とする請求項1記載の静電写真用現像剤。
- 潜像保持体上に潜像を形成する工程、および請求項1に記載の静電写真用現像剤を用いて、該現像剤を加熱しながら該潜像を現像する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
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