JP3574036B2 - インクジェット画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット画像形成方法におけるドット形成方法、すなわち、インクジェット方式のプリンタを用いてプリントする際のドット形成方法、およびその方法により画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置(以下では適宜、インクジェットプリンタと称す)では、画質向上や乾燥時間の短縮のためのドット形成方法の改善が検討されている。
【0003】
例えば特開平5−330086号公報には、黒の再現性は高いが乾燥に時間がかかる遅乾性の黒インクと、乾燥は速いが印字濃度が薄い速乾性の黒インクとを用いて画像形成を行う技術が開示されている。この技術では、黒ドットを形成すべき領域に隣接してカラードットが形成される場合には、その境界領域を速乾性の黒インクで、またはCMYのインクを重ねて形成し、他の領域を遅乾性の黒インクで形成するようにしている。
【0004】
これにより、黒の再現性の向上と、黒ドットとカラードットとの境界で発生するにじみの抑制を実現している。
【0005】
また、特開平7−149036号公報には、記録用紙への浸透性が低い黒インクと、浸透性が高いCMYインクとを用いた技術が開示されている。図20および図21は、この技術によるドット形成の例を示している。すなわち、黒ドットを形成すべき領域に隣接してカラードットの領域が形成される場合に、黒ドット領域内の黒ドットを間引いて、代わりにカラードットを形成するようにしている。また、カラードットを黒ドット領域の下地に形成しておいて、黒ドットをカラードットに重ねて形成することが示されている。
【0006】
これにより、黒ドット領域とカラードット領域との境界で発生するにじみを防止するとともに、黒ドットの乾燥時間を短縮している。また、特開平8−197831号公報にも同様の技術が開示されている。
【0007】
また、特開平8−336961号公報には、塗り潰し部分のドットを間引き、乾燥時間を短縮する技術が開示されている。さらに、前記公報には、塗り潰し部分のドットを間引いた際、輪郭部のシャギー(ぎざぎざ感)が拡大することを防止するために、輪郭線はそのまま印刷する技術が開示されている。
【0008】
一方、上記のようなプリント方法の改善とは別に、ハロゲンランプによる加熱などの乾燥手段を設けることにより、プリント物の乾燥時間を短縮するための技術も多数提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平5−330086号公報に開示された技術では、黒ドット密度が大きくなる領域(以下、黒べた領域と称す)の形成において、次の様な問題が生じる。
【0010】
すなわち、画質の向上のために、黒の再現性が高い遅乾性の黒インクによって黒べた領域を形成しているため、黒インクの乾燥不足によりプリント物に汚れや裏移りなどを生じさせてしまう。これは、黒ドット密度と乾燥時間との間には相関があり、例えば10ポイント以上の文字や0.5ポイント以上の線や点のように、黒ドット密度が大きく、かつ、その面積がある程度を越える黒べた領域では乾燥時間が長くなるためである。
【0011】
特に、操作性を高めるためにフェースダウン方式を採用するインクジェットプリンタでは、印刷直後に最初に印刷面に接触することになる搬送ローラなどヘのインクの付着や、記録用紙へのインクの再転写などの問題が顕著になる。
【0012】
一方、黒べた領域を速乾性の黒インクで形成した場合では、黒の再現性が低いために画質の低下を招来する。
【0013】
また、特開平7−149036号公報および特開平8−197831号公報に開示された技術では、上記の問題に加えて、黒ドット領域内の境界領域にカラードット、すなわちイエロー(Y)、マゼンタ(M)、またはシアン(C)の単色が混在することによる、黒の画質劣化の問題が生じる。
【0014】
さらに黒ドット密度が高い場合に乾燥時間を短縮する方法については開示されていない。
【0015】
また、特開平8−336961号公報に開示された技術では、黒ドットを間引くことにより、濃度低下および画質劣化の問題が生じる。
【0016】
以上のように、上記の従来技術においては、画像形成において、黒べた領域の乾燥時間が考慮されていないため、上記の問題が生じる。
【0017】
一方、上記の乾燥手段を設ける技術においては、装置構成が複雑になることに加えて、乾燥手段で消費される電力のために消費電力が増大するという問題が生じる。
【0018】
本発明の目的は、消費電力が大きく、しかも装置の大幅なコストアップを招来する乾燥手段の設置を省略、または規模を縮小し、かつ、画質劣化を抑制しつつ、ドット密度の高い領域を効率良く乾燥させることができるインクジェット方式の画像形成方法および画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記の課題を解決するために、相対的に乾燥時間が長い遅乾性インクと、相対的に乾燥時間が短い速乾性インクとを用いてドットを形成し、該ドットにより画像を形成するインクジェット画像形成方法において、前記各ドットに対応して、前記画像領域を設定し、該画像領域におけるドットの密度を、画像データに基づいて識別し、識別結果に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から、前記ドットを形成するために用いるインクを選択し、さらに、前記画像領域におけるドットの密度を表すドット面積率を算出し、該ドット面積率が予め定められた値より大きくなる画像領域に対応するドットの集合を高密度ドット群とし、該高密度ドット群を形成する際には、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクを用いるとともに、前記速乾性インクの上に前記遅乾性インクを同心円状に重ね、前記速乾性インクに重ねる前記遅乾性インクによるドットのドットサイズを、予め定められたドットサイズ以下に設定することを特徴としている。
【0020】
ここで、上記インクジェット画像形成方法は、予め定められた範囲の画像領域におけるドットの密度を、画像データに基づいて識別し、識別結果に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から、前記ドットを形成するために用いるインクを選択してもよい。
【0021】
上記の方法によると、ドットを形成する際に、画像データに基づいて、予め定められた範囲の画像領域におけるドットの密度を識別する。そして、その識別結果に基づいて、遅乾性インクおよび速乾性インクから、何れか一方のインク、または両方のインクを選択し、選択したインクを用いてドットを形成する。
【0022】
ドットを形成するインクの乾燥時間は、そのドットを形成する位置におけるドットの密度の影響を受ける。そして、インクの乾燥時間が長くなると、上記のような種々の問題が生じる。一方、速乾性インクを用いると、乾燥時間を短くすることは可能である。しかし、速乾性インクは、一般にプリント濃度が薄く色の再現性が低いため、速乾性インクのみを用いた場合では、形成する画像の画質の劣化は避けられない。
【0023】
これに対して上記の方法では、ドットの密度を識別し、その結果から乾燥時間の長さが問題になると判断される場合には、速乾性インクを多く用いるようにインクを選択することで、インクの乾燥時間の短縮化を図ることができる。一方、ドットの密度から乾燥時間の長さが問題にならないと判断される場合には、遅乾性のインクのみ、または遅乾性のインクを多く用いるようにインクを選択することで画像全体として画質の劣化を抑制することができる。
【0024】
その結果、形成する画像の画質劣化を抑制して画質を高品位に保ちつつ、乾燥時間の増大、すなわちプリント速度の低下を回避することが可能となる。
【0025】
また、上記の方法を画像形成装置で用いることにより、乾燥時間の短縮化を図るための乾燥装置などの設置を省略、または規模を縮小することができる。その結果、画質およびプリント速度を維持しつつ、低コスト、低消費電力、小型などの利点を有する画像形成装置を実現することが可能となる。
【0026】
前記した本発明のインクジェット画像形成方法では、前記各ドットに対応して、前記画像領域を設定し、前記画像領域におけるドットの密度を表すドット面積率を算出し、該ドット面積率が予め定められた値より大きくなる画像領域に対応するドットの集合を高密度ドット群とし、該高密度ドット群を形成する際には、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクを用いている。
【0027】
上記の方法によると、各ドットに対して画像領域を設定しておき、その画像領域に形成されるドットの密度を表すドット面積率を算出する。そして、対応する画像領域のドット面積率が予め定められた値より大きい値となるドットの集合である高密度ドット群に関しては、遅乾性インクおよび速乾性インクを用いてドットを形成する。
【0028】
このようにドットの密度を表すドット面積率を定義することで、このドット面積率を、インクの乾燥に要する時間の尺度とすることができる。そして、遅乾性インクのみを用いた場合に、インクの乾燥時間が問題となりはじめるドット面積率を予め定められた値として設定することができる。これにより、この値を越えるドット面積率となる高密度ドット群に関しては、遅乾性インクと速乾性インクとを用いることで、画質の劣化を抑制しつつ、インクの乾燥時間を短縮化することができる。
【0029】
すなわち、高密度ドット群に対して適度に遅乾性インクを用いることで遅乾性インクによるドット量を確保するので、画質劣化が実用上問題ない程度に抑制され、画質を高品位に保つことができる。また、例えば遅乾性インク同士が重なり合わないように適度に速乾性インクに置き換え、遅乾性インクによるドットの密度を低減することにより、乾燥時間が増大することを抑制することができる。
【0030】
また、さらに、遅乾性インクによるドットに速乾性インクによるドットが隣接する、または重なるため、速乾性インクの影響により遅乾性インクの記録用紙への浸透が促進されるので、このことも乾燥時間の短縮に寄与する。
【0031】
ここで、画像領域の設定やドット面積率の算出は、例えば、画像形成装置において画像を形成するための情報を格納するメモリ上の、各ドットに対応するセルにおいて行うことができる。また、これにより、ドットの数密度や面積密度などをドット面積率とすることができる。
【0032】
また、上記インクジェット画像形成方法では、前記ドット面積率が予め定められた値より小さくなる画像領域に対応するドットを形成する際には、前記遅乾性インクを用いてもよい。
【0033】
上記の方法では、上記したドット面積率を基準として、インクの乾燥時間の長さが問題とならない部分を識別することができる。したがって、この部分のドットを形成する際に、遅乾性インクを用いることで画質を高品位に保つことが可能となる。
【0034】
さらに、上記インクジェット画像形成方法では、前記高密度ドット群の形成時には、前記遅乾性インクによるドットと前記速乾性インクによるドットとを交互に配置してもよい。
【0035】
ドットの密度が高く、遅乾性インク同士が重なり合う部分が生じていると、その部分で特にインクの乾燥時間が増大する。
【0036】
上記の方法では、高密度ドット群を、遅乾性インクによるドットと速乾性インクによるドットとを交互に配置して形成する。これにより、遅乾性インク同士が隣接することを避けることができ、遅乾性インク同士が重なり合う部分を形成しない、または極力小さくすることができる。したがって、インクを効率的に乾燥することができ、インクの乾燥時間の増大をさらに抑制することができる。
【0037】
また、さらに、速乾性インクによるドットが集合することを避けることができるので、各部での色の再現性が均等になり画質を高品位に保つことができる。
【0038】
その結果、プリント速度および画質の品位を向上させることができる。
【0039】
前記した本発明の、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法では、前記高密度ドット群の形成時には、前記遅乾性インクと前記速乾性インクとを重ねている。
【0040】
上記の方法では、遅乾性インクと速乾性インクとを重ねることで、各ドットでの色の再現性(濃度)が均一になるため、画質を高品位に保つことができる。
【0041】
また、上記した本発明の、上記の遅乾性インクと速乾性インクとを重ねるインクジェット画像形成方法にて、さらに、前記速乾性インクに重ねる前記遅乾性インクによるドットのドットサイズを、予め定められたドットサイズ以下に設定している。
【0042】
上記の方法では、遅乾性インクによるドットのドットサイズを予め定められたドットサイズ、例えばドット同士が重なり合う部分を形成しない、または極力小さくするようなドットサイズ以下に設定することができる。これにより、そのドットのドット面積率を予め定められた値以下に固定することができる。また、上記と同様に、速乾性インクの存在により、遅乾性インクの浸透性が向上する。したがって、さらにインクの乾燥時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
また、上記設定のドットサイズでは不足する部分を速乾性インクによるドットで補充することができるため、所望のドットサイズを得ることができ、画質の劣化を回避できる。
【0044】
さらに、上記の方法はドットサイズが可変である場合にも有効である。
【0045】
また、前記した本発明の、上記の遅乾性インクと速乾性インクとを重ねるインクジェット画像形成方法にて、前記遅乾性インクと前記速乾性インクとを重ねる場合は、前記速乾性インクの上に前記遅乾性インクを重ねている。
【0046】
上記の方法では、速乾性インクが遅乾性インクの下地となるため、上記の遅乾性インクの浸透性がさらに向上し、インクの乾燥時間をさらに短縮することができる。また、遅乾性インクが表面側に位置することにより、色の再現性がさらに向上し、画質が向上する。
【0047】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、前記遅乾性インクがブラックであり、前記速乾性インクをカラーインクの混色により構成することが好ましい。
【0048】
上記の方法では、速乾性インクとしてのブラックインクを別途用いる必要がない。したがって、上記の方法を行うための画像形成装置としては、速乾性インクのためのヘッド(インク吐出系)などを別途設けることなく、従来のカラー画像形成装置と同様のヘッド構成のものを用いることができる。したがって、上記の各方法をより簡単に実行することが可能となる。
【0049】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、前記速乾性インクによるドットを形成することが好ましい。
【0050】
上記の方法では、カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、速乾性インクによるドットを形成することで、インクの乾燥時間の短縮とともに、カラー領域へのブラックインクのにじみを抑制することができる。したがって、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【0051】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、前記遅乾性インクが混色によらないブラックであるとともに、前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、前記遅乾性インクによるドットを形成することが好ましい。
【0052】
カラー画像のブラック領域の輪郭部に速乾性インクの混色によるドットを形成した場合、インクの差によるドット径もしくはドット位置の不揃いなシャギーの増大や、重ね合わせる個々のY、M、Cドットの無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側への色むらが生じることがある。
【0053】
上記の方法では、これらによる画質劣化を解決するために、画像シフト、1次微分フィルタ、ラプラシアン演算、アダマール変換など広く知られている輪郭抽出方法を用いて輪郭部を識別し、カラー画像のブラック領域の輪郭部のドットを混色によらないブラックの遅乾性インクのみで形成する。
【0054】
これにより、速乾性のインクの使用を原因とする上記のような画質劣化を抑制できるため、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、ドット面積率50%を予め定められた値と設定することにより、無地領域側以外もしくは輪郭部以外の領域においては、混色が位置ずれを起こしても黒ドットにカバーされるので、実用上問題がない程度に抑制することができる。
【0056】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、前記ドット面積率の50%を、前記予め定められた値として設定することが好ましい。
【0057】
インクジェット画像形成方法による画像形成速度は、インクの乾燥時間が増大するにしたがって遅くなり、インクの乾燥時間は、上記ドット密度が増大するほど長くなる傾向にある。特に、ドット面積率が50%(上記画像領域に形成され得る全てのドットのうち、半分のドットが形成されたときのドット密度)を越えるところで、隣接するドットが重なり合う部分が増加し、インクの乾燥時間が増大することにより、画像形成速度は最低値の域に入る。
【0058】
したがって、上記の方法では、ドット面積率50%を上記予め定められた値として設定することにより、画像形成速度の低下を実用上問題がない程度に抑制することができる。
【0059】
また、本発明のインクジェット画像形成方法は、上記のインクジェット画像形成方法において、前記予め定められたドットサイズは、遅乾性インクによるドッ ト同士が重なり合う部分を形成しないようなドットサイズであることが好ましい。
【0060】
さらに、本発明のインクジェット画像形成方法は、上記のインクジェット画像形成方法において、前記各ドットのドットサイズは、可変であることが好ましい。
【0061】
また、本発明のインクジェット画像形成方法は、上記のインクジェット画像形成方法において、前記ドット面積率は、画像領域における黒ドットの密度を表すことが好ましい。
【0062】
さらに、本発明のインクジェット画像形成方法は、上記のインクジェット画像形成方法において、前記遅乾性インクによるドットのドットサイズは、前記高密度ドット群のドットのドットサイズの50%分であることが好ましい。
【0063】
なお、本発明のインクジェット画像形成装置は、相対的に乾燥時間が長い遅乾性インクおよび相対的に乾燥時間が短い速乾性インクを用いてドットを形成し、該ドットにより画像を形成するインクジェット画像形成装置において、前記ドットを形成する際に、該ドットに対して予め定められた領域内に形成されるドットの密度を表すドット面積率を算出する算出手段と、該ドット面積率に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から用いるインクを選択する判別手段とを備えている。
【0064】
上記の構成では、算出手段により上記した各方法において用いられるドット面積率を算出する。そして、判別手段により、このドット面積率に基づいて遅乾性インクおよび速乾性インクの中から、上記ドットを形成するために用いるインクを選択する。
【0065】
したがって、上記各方法実行することができ、それによって奏される各効果を得ることができる。
【0066】
その結果、上記のように、インクを乾燥させるために、プリント速度を遅くする、または印刷物を乾燥するための装置を設け、その出力を増大するなどの対策をとることを回避しつつ、画質を高品位に保つことができる。
【0067】
したがって、画質が高品位であり、プリント速度が速く、装置構成が簡素で、消費電力が小さく、さらに小型で安価なインクジェット画像形成装置を提供することができる。
【0068】
本発明のインクジェット画像形成装置は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成装置において、さらに、前記遅乾性インクが混色によらないブラックであるとともに、前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、前記判別手段が、前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分のドットに前記遅乾性インクを選択するものであることが好ましい。
【0069】
カラー画像のブラック領域の輪郭部に速乾性インクの混色によるドットを形成した場合、インクの差によるドット径もしくはヘッドのKブロックとYブロック・Cブロック・Mブロックとのドット位置のずれによるシャギーの増大や、重ね合わせる個々のY、M、Cドットの無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側への色むらが生じることがある。
【0070】
上記の構成では、これらによる画質劣化を解決するために、前記判別手段が、画像シフト、1次微分フィルタ、ラプラシアン演算、アダマール変換など広く知られている輪郭抽出方法を用いて輪郭部を識別し、カラー画像のブラック領域の輪郭部のドットを混色によらないブラックの遅乾性インクのみで形成する。
【0071】
これにより、速乾性のインクの使用を原因とする上記のような画質劣化を抑制できるため、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【0072】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1から図15に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0073】
本実施の形態に係るインクジェット方式のドット形成方法が適用されるカラーインクジェットプリンタ2の構成を図2に基づいて説明する。図2は、本実施の形態に係るカラーインクジェットプリンタ2の内部を、側面方向から見たときの構成を示す内部構成図である。
【0074】
本カラーインクジェットプリンタ2には、キャビネット4内部に、給紙トレイ6、搬送ベルト8、ヘッド10、スターローラ12、搬送ローラ14、搬送路15、および乾燥器16が、また、キャビネット4上部に排紙トレイ18が設けられている。また、カラーインクジェットプリンタ2は各部を制御する制御装置22を有している。なお、以下に説明するカラーインクジェットプリンタ2での処理および動作は、特に断らないかぎり制御装置22が制御するものとする。
【0075】
プリント動作が開始されると、まず、給紙トレイ6に収納されている記録用紙20が搬送ベルト8により、ヘッド10と搬送ベルト8とが対向している画像形成位置9に搬送される。そして、記録用紙20が画像形成位置9を通過する際に、記録用紙20の位置および後述するプリントデータに基づいてヘッド10からインクが吐出されることにより、記録用紙20に対して画像形成が行われる。
【0076】
インクが付与された記録用紙20は、その移動先において、スターローラ12が配置された搬送路15を通過する際に、搬送路15と対向する位置に設けられた乾燥器16により乾燥される。この乾燥器16は、ハロゲンランプ16aとハロゲンランプ16aからの光を搬送路15に照射するように配置された反射板16bとにより構成されており、これらにより記録用紙20のインクが付与された面を熱して乾燥を促進するものである。
【0077】
乾燥済みの記録用紙20は、さらにその移動先の搬送路15上に設けられた搬送ローラ14によって、キャビネット4外部の排紙トレイ18にフェースダウンで排出される。
【0078】
ここで、次に図3に基づいて説明するヘッド10の構成と、カラーインクジェットプリンタ2の本体との位置関係を明確にするために、方向を定義する。図に示すように、画像形成位置9における記録用紙20の法線方向をz方向、画像形成位置9における記録用紙20の移動方向(図中矢印A方向)をy方向、z方向およびy方向に対して直交する方向をx方向とする。これらの各方向は、図2および図3において共通の方向を指すものとする。
【0079】
次に、ヘッド10の構成を図3に基づいて説明する。図3は、ヘッド10を上から見たとき(ヘッド10から記録用紙20に向かう方向に見たとき)のノズル11a…の配置を示す配置図である。
【0080】
ヘッド10は、ブラックヘッド・ブロック10aおよびカラーヘッド・ブロック10bから構成されている。ブラックヘッド・ブロック10aには、ブラックヘッド11Kを構成する第1ないし第3ブラックヘッド11K1 ・11K2 ・11K3 が設けられており、カラーヘッド・ブロック10bには、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色にそれぞれ対応するシアンヘッド11C、マゼンタヘッド11Mおよびイエローヘッド11Yが設けられている。
【0081】
そして、各ヘッド11K1 ・11K2 ・11K3 ・11Y・11M・11Cは、例えば、それぞれのインクを吐出するための64個のノズル11a…を有しており、600dpiの解像度となっている。
【0082】
各ブロック10a・10bのインク吐出量およびインク濃度、並びにプロセス条件は、例えば表1に示すものである。また、各インクとしては、例えば表2に示す組成のものを用いることができる。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
このヘッド10は、用紙搬送方向であるA方向に対して直角方向であるヘッド移動方向(図中矢印B方向)に揺動可能となるように、駆動機構(図示せず)に搭載されている。そして、後述するプリントデータ、記録用紙20の位置、ヘッド10の位置に基づいて、ノズル11a…からのインクの吐出がオン・オフされることにより、上記した画像形成が行われる。
【0086】
次に、上記ヘッド10により記録用紙20上に形成(印刷、印字)されるドットの密度について説明する。
【0087】
ここで、ドットとは、上記ノズル11aからのインク吐出により、記録用紙20上に形成される画像の最小単位を指すものである。つまり、1つのノズル11aからの1回のインク吐出により(インクを重ねる場合を除く)、記録用紙20上にインクが付与される領域が1つのドットに対応する。このドットの直径(ドット径)を示す値をドットサイズとする。
【0088】
また、ドット形成位置およびドットピッチを次のように定義する。すなわち、ドット形成位置とはドットが形成され得る位置を指すものとし、ドットピッチとは最も近接しているドット形成位置間の距離を指すものとする。
【0089】
以下においては、ドット形成位置が行列状に配置されており、各ドット形成位置に対して、行方向および列方向に隣接するドット形成位置との距離が全て等しい場合について説明する。
【0090】
本実施の形態では、各ドットのドットサイズが同一である(ドットサイズが固定されている)ものとする。そこで、この場合において、m行×n列のドット形成位置によって構成される所定領域のドットの密度(ドット密度)を示す値として、面積率SO 1(ドット面積率)を式1により定義する。
【0091】
(面積率SO 1)=p0/(m×n) … 式1
なお、p0は、所定領域内に形成されるドット数、つまり、所定領域内のドット形成位置に対して実際に形成されるドット数を指している。また、mは所定領域を構成するドット形成位置の行数、nは所定領域を構成するドット形成位置の列数を指しており、したがって、m×nは所定領域内のドット形成位置の数となる。以下では面積率SO 1を適宜パーセンテージで表すものとする。
【0092】
上記面積率SO 1の具体例を図4から図7に示す。図4から図7は、記録用紙20上でのドットの配置を示す平面図であり、面積率SO 1がそれぞれ、25%、50%、75%、100%の場合を示している。つまり、図4から図7は、それぞれドット形成位置の1/4、1/2、3/4、および全てに対してドットが形成されている場合である。
【0093】
各図において、ドットを円、ドット形成位置を格子点で表しており、ドット形成位置の数は5行×8列=40である。また、各ドットのドットサイズは、理想ドットサイズに設定されている。なお、理想ドットサイズとは、ドットピッチ×√2である。
【0094】
これらの例では、面積率SO 1が50%を越える場合(図6および図7の場合)においては、隣接するドット同士が重なり合っている。
【0095】
ここで、黒ドットのみに注目する黒ドット面積率SK 1(ドット面積率)を考えると、上記の面積率SO 1に基づくことにより式2のように定義できる。
【0096】
(黒ドット面積率SK 1)=p1/(m×n) … 式2
なお、p1は、所定領域内に形成される黒ドット数、つまり、所定領域内のドット形成位置に対して実際に形成される黒ドット数を指している。
【0097】
上記のように、画質向上のために遅乾性の黒インクを用いると、黒ドット密度が高い領域、すなわち黒ドット面積率SK 1が高い領域ではインクの乾燥時間が長くなる。特に、黒ドット面積率SK 1が50%を越えて隣接するドット同士が重なり合うようになると、インクの乾燥に要する時間が極端に長くなる。インクは、記録用紙20の厚み方向より、記録用紙20を構成する紙の繊維方向(すなわち面方向)に広がって浸透しやすいので、ドット同士の重なり合いは乾燥時間に多大な影響を与える。
【0098】
このことを示すデータを図8および図9に示す。図8および図9は、黒ドット面積率SK 1に対するプリント時間およびプリント速度の関係を示すグラフである。
【0099】
図8のプリント時間は、遅乾性の黒インクを用いて黒ドット面積率SK 1が50、75、100%となるように平均的に黒ドットを形成した場合(図5、図6、図7のように黒ドットを形成した場合)におけるプリント時間(実測値)を求めたものである。なお、プリント時間は、A4サイズの記録用紙20を1枚プリントするのに要する時間(秒)を表しており、インクの乾燥時間に基づいて設定されている。
【0100】
また、図9のプリント速度は、上記で得られたプリント時間の逆数をとることにより、1分間あたりのA4サイズの記録用紙20のプリント枚数を表している。
【0101】
ここで、図9のグラフにおける曲線を折線近似して得られる折線グラフから、黒ドット面積率SK 1が50%を越えるとプリント速度が最低値の領域に入ることが分かる。したがって、黒ドットの乾燥時間を短縮し、プリント速度を高く保つためには、遅乾性の黒インクにより形成する黒ドット面積率SK 1を50%以下に制限することが好ましい。
【0102】
次に、上記ドットにより画像を形成するためのプリントデータ(画像情報)について説明する。
【0103】
まず、プリントデータの流れを図10に基づいて説明する。図10は、プリントデータのデータ処理回路30を示すブロック図である。このデータ処理回路30は、例えば制御装置22内に設けられているものである。なお、図10において、R、G、B、およびY、M、C、Kは、それぞれレッド、グリーン、ブルー、およびイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各プリントデータ(各色データ)を表している。また、各ブロック間を結ぶラインにおいて「//」とともに付与した「3」または「4」の数字は、その部分のデータ数(データライン数)を表している。
【0104】
RGB系のプリントデータは、フレームメモリ32を経てRGB/YMCK変換回路34にてYMCK系のプリントデータに変換される。そして各色データ(画像データ)に対応するラインメモリ36Y・36M・36C・36Kに入力される。なお、元のプリントデータがYMCK系のデータであれば、RGB/YMCK変換回路34は不要である。
【0105】
ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kに入力された各色データは、順次、面積率処理回路38に送られ、黒ドット面積率SK 1が計算される。そして、この黒ドット面積率SK 1に基づいて、データ変換をすべきか否かが判別される。すなわち、面積率処理回路38は、黒ドット面積率SK 1を算出するための算出手段としての機能、およびデータ変換をすべきか否かを判別するための判別手段としての機能を担っている。そして、このデータ変換の有無によって、ドットを形成する際に用いるインクが決定される。なお、黒ドット面積率SK 1の算出、データ変換をすべきか否かの判別、およびデータ変換の詳細に関しては後述する。
【0106】
上記のようにして適宜データ変換された各色データは、各ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kに再度入力される。面積率処理回路38から各ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kに再度入力された各色データは、それぞれに対応するヘッドドライバ40Y・40M・40C・40Kに入力される。これらのヘッドドライバ40Y・40M・40C・40Kは、入力されたプリントデータに基づいてそれぞれイエローヘッド11Y、マゼンタヘッド11M、シアンヘッド11C、ブラックヘッド11K(図3参照)を駆動する。そして、各ヘッド11K・11Y・11M・11Cにより記録用紙20上にドットが形成される。
【0107】
ここで、各ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kについて、図11に基づいて説明する。なお、各ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kは、同一のメモリ構成を有しているため、以下では、説明の便宜上これらを重ね合わせて1つのラインメモリ36として説明する。すなわち、各ラインメモリ36Y・36M・36C・36Kにおいて、以下で説明するアドレスが等しいセルCoを1つとして考え、このセルCoには、各色データの情報が格納されているものとする。図11は、ラインメモリ36のメモリ構造を示す説明図である。
【0108】
ラインメモリ36は、プリントデータ領域(記録画像領域)50と、第1および第2補正用データ領域52a・52bと、第1および第2ダミーデータ領域54a・54bと、各領域の行・列に対して付与されているアドレスとから構成されている。
【0109】
プリントデータ領域50は、プリントデータの一部を格納するためのm行×n列のセルCo…から構成されたメモリマップからなっている。このプリントデータ領域50を構成する各セルCoは、上記のドット形成位置と1対1に対応しており、各セルCoによって各ドット形成位置に形成すべきドットの情報であるデータDが格納されている。
【0110】
このデータDは、ドットを形成するか否かに応じて、それぞれ1か0かの値を有している。具体的にi行j列のセルCoであるセルCoijに格納されているデータDijに関しては、セルCoijに対応するドット形成位置にドットを形成する場合はデータDij=1であり、セルCoijに対応するドット形成位置にドットを形成しない場合はデータDij=0である。なお、添字「ij」は、i行j列を示すものとし、以下では、特に行列上の位置を特定する場合にのみ付記するものとする。また、データDは各色データを区別しない一般的な説明の場合に用い、各色データを区別するデータDを表す場合は、それぞれデータY・M・C・Kと表すことにする。
【0111】
ここで、プリントデータ領域50の行方向および列方向は、それぞれヘッド10の主走査方向(ヘッド移動方向、図3におけるB方向)および副走査方向(用紙搬送方向、図3におけるA方向)に対応している。
【0112】
また、プリントデータ領域50は、プリントデータを上記副走査方向に分割して順次記憶するように構成されている。つまり、プリントデータ領域50の1行に含まれるセルCo…は、上記主走査方向(記録用紙20(図3参照)の幅方向)における1行分の全データDを格納可能となっており、プリントデータ領域50の1列に含まれるセルCo…は、上記副走査方向における分割されたデータDの1列分を格納可能となっている。
【0113】
また、プリントデータ領域50内のm行×n列のセルCo…には、先頭行から最終行にそれぞれ1からmの行No.(チャンネル、row.)、先頭列から最終列にそれぞれ1からnの列No.(col.)が付与されている。
【0114】
第1および第2補正用データ領域52a・52bと第1および第2ダミーデータ領域54a・54bとは、実際のプリント画像において、プリントデータ領域50に対応する部分の周辺部に対応しているデータ領域である。これらは、プリントデータ領域50の最外周において、後述する黒ドット面積率SK 1を算出する際に用いられるデータDを格納している。
【0115】
まず、第1および第2補正用データ領域52a・52bは、それぞれプリントデータ領域50の先頭行の直前(図中、上側)の行および最終行の直後(図中、下側)の行を成すセルCo…から構成されおり、0およびm+1の行No.が付与されている。そして、第1および第2補正用データ領域52a・52bには、それぞれその直前にプリントデータ領域50に記憶されていたrow=mのデータ(チャンネル1補正用データ)、およびその直後にプリントデータ領域50に記憶されるrow=1のデータ(チャンネルm補正用データ)が格納される。
【0116】
また、第1および第2ダミーデータ領域54a・54bは、それぞれプリントデータ領域50の先頭列の直前(図中、左側)の列および最終列の直後(図中、右側)の列を成すセルCo…から構成されており、それぞれ0およびn+1の列No.が付与されている。これら第1および第2ダミーデータ領域54a・54bは、記録用紙20(図3参照)の両端部において画像が形成されない領域(プリントデータが存在しない領域、余白部)に対応しているため、全セルCo…にデータD=0が格納されている。
【0117】
以上の各領域を構成する各行および各列に対して、それぞれアドレスRadおよびアドレスCadが付与されている。このアドレスRadおよびアドレスCadは、それぞれ行No.および列No.を2進数で表したものである。なお、説明の便宜上、アドレスRadおよびアドレスCadを下位ビットから順に(1桁目、2桁目…)、それぞれアドレスRad20 、Rad21 …、およびアドレスCad20 、Cad21 …と表す。
【0118】
次に、面積率処理回路38(図10参照)によりラインメモリ36上のプリントデータのデータ変換について、図12から図15に基づいて説明する。
【0119】
上記のように、黒ドット面積率SK 1が50%を越える領域の黒ドットをすべて遅乾性の黒インク(遅乾性インク)により形成すると、プリント速度の低下が顕著になる。そこで、黒ドット面積率SK 1が50%を越える領域では、一部に速乾性の黒インク(速乾性インク)を用いるようにする。以下においては、遅乾性の黒インクによって形成される黒ドットを第1黒ドット、速乾性の黒インクによって形成される黒ドットを第2黒ドットと称す。
【0120】
上記では、m行×n列のドット形成位置によって構成される所定領域に、平均的に黒ドットが形成されている場合の黒ドット密度の度合い(黒べたの度合い)を示す値として黒ドット面積率SK 1を定義した(図4から図7参照)。実際のプリント画像では、画像の各部によって黒ドット密度が異なるため、ここでは次に説明するように黒ドット面積率SK 1を設定する。
【0121】
あるドット形成位置に注目した場合、そのドット形成位置(以下、注目位置と称す)に黒ドットが形成されているときには、その黒ドットのインク乾燥時間はそのドット形成位置の周辺領域(隣接する領域)にどのくらい黒ドットが存在するかに依存する。したがって、注目位置を中心としてこれに隣接する3行×3列の領域(注目ドット領域、画像領域)の黒ドット面積率SK 1を、この注目位置の黒ドット面積率SK 1とする。
【0122】
上記のように設定した注目位置の黒ドット面積率SK 1を求める方法について、図12を用いて説明する。図12は、ラインメモリ36のプリントデータ領域50(図11参照)における注目ドット領域に対応する部分(注目セル領域)を示す説明図である。ここで、ドット形成位置はセルCoに1対1に対応しているため、以下では、上記注目位置に対応するセルCoを注目セルCa、上記注目ドット領域を構成するドット形成位置に対応するセルCo…の領域を注目セル領域と称する。
【0123】
図12に示すように、セルCoijを注目セルCaijとすると、(i−1)、i、または(i+1)行に属し、かつ、(j−1)、j、または(j+1)列に属するセルCo…が注目セル領域を構成する。したがって、注目セル領域は、プリントデータ領域50における3行×3列フィルタであるといえる。
【0124】
注目セルCaijには、黒ドットに関しては黒ドットを形成するか否かを表す0か1かのデータKijが書き込まれているだけであるから、黒ドット面積率SK 1を求めるためには注目セル領域のデータDが必要となる。つまり、注目セル領域を構成している3行×3列の9つのセルCo…内において、黒ドットのデータKが1であるセルCo…の数をカウントし、それを9で割ることによって黒ドット面積率SK 1を求めることができる。なお、以下では、黒ドットのデータKが0でないデータKを黒データと称する。
【0125】
具体的には、注目セルCaijに対する注目セル領域内のセルCo…において、黒データを有するセルの数がXであれば、注目セルCaijの黒ドット面積率SK 1はX/9となる。
【0126】
このようにして求められる黒ドット面積率SK 1を基準として、形成する黒ドットを決定する方法について図13から図15を用いて説明する。図13から図15は、ラインメモリ36のプリントデータ領域50内のデータ変換を示す説明図であり、図13は変換前のデータD、図14は各セルCoの黒ドット面積率SK 1、図15は変換後のデータDを示している。
【0127】
なお、図13から図15においては、データY・M・C・Kが1である場合はそれぞれ「Y」・「M」・「C」・「K」と表示し、データY・M・C・Kが0である場合は表示していない。また、図に示す領域に隣接するセルCo…のデータDは、全て0であるものとする。
【0128】
まず、図13に示すデータDを有するプリントデータ領域50内において、黒データを有する全セルCo…に対して、順次各セルCoの黒ドット面積率SK 1が求められる。その結果、各セルCoの黒ドット面積率SK 1は図14に示すようになる。なお、黒ドット面積率SK 1は各セルCoに保存されるものではないが、説明のため図14では各セルCoに対応する黒ドット面積率SK 1を表示している。
【0129】
そして、上記したように、黒ドット面積率SK 1が50%を越える(すなわち、5/9以上となる)とプリント速度の低下が顕著になるため、黒ドット面積率SK 1が50%を越えることを、セルCo…のデータDに対して第1黒ドットの代わりに第2黒ドットを用いるように変換(データ変換)するための条件とする(条件1)。
【0130】
ここで、黒ドット面積率SK 1が50%を越えるセルCo…(高密度ドット群)のうち、実際に第2黒ドットを用いるようにデータ変換されるセルCo…が、行方向および列方向に交互に配列されるようにする。このためには、例えば、各セルCoの行アドレス最下位ビットであるアドレスRad20 および列アドレス最下位ビットであるアドレスCad20 の排他的論理和が1であるセルCo…を、データ変換の対象となるセルCo…としておけばよい(条件2)。図13から図15では、変換前に黒ドットのデータKを有するセルCo…であって、上記排他的論理和が1であるセルCo…を斜線で示す。
【0131】
これより、黒ドット面積率SK 1が50%を越えるセルCo…が行方向および列方向に隣接する場合には、第1ドットを形成するためのデータK(以下、第1黒データと称す)を有するセルCo…と第2ドットを形成するためのデータK(以下、第2黒データと称す)を有するセルCo…とが交互に配列されることになる。
【0132】
また、さらに、カラー領域(データY・M・Cの何れかが0でない領域)との境界(境界部分)において黒データを有するセルCo…に関しては、カラー領域に黒ドットがにじむことを防止するために、黒ドット面積率SK 1が50%以下であっても、上記条件2を満たす場合は、データ変換を行う。つまり、カラー領域との境界において黒データを有するセルCo…を、データ変換の対象となるセルCo…とする(条件3)。
【0133】
なお、ここでは、YMC各色のインク(カラーインク)を重ねることにより第2ドットを形成するものとする。したがって、第2黒データへのデータ変換がされたセルCo…に格納される値は、データY・M・Cがすべて1であり、データKが0となる。このデータ変換における変換前のデータDと変換後のデータDとの対応を表3に示す。また、以上のデータ変換を行った結果を図15に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
同図からわかるように、交互に配列した結果、高い黒ドット面積率が続くエリアでは、第1の黒ドットは3×3の中に多くとも5個までしか形成されないので、第1の黒ドットによる黒ドット面積率は5/9以下に抑えられ、残りの黒ドット面積率が第2の黒ドットで形成されることになる。5/9は50%よりも大きいが、50%に近い値であり、簡単なドット配置でほぼ理想的なインク配分が実現できる。
【0136】
以上の処理を図1に示すフローチャートに基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。図1に示す処理では、第1列の各セルCoを順次注目セルCaとして、この注目セルCaのドット形態(黒ドット面積率SK 1および隣接するセルCo…が形成するドットの色)を求め、これを第n列まで繰り返し行う。
【0137】
なお、説明の便宜上、変換後のデータD(後述する図18参照)は、変換前のデータD(後述する図16参照)とは別に保存されるものとし、以下の各ステップで用いる変換前のデータDは変化しないものとする。
【0138】
まず、ステップS0では、初期値として注目セルCaijを(i,j)=(1,1)とする。そして、ステップS1において注目セルCaijが黒データを有するか否かを判定する。ここで、注目セルCaijが黒データを有する(データKij=1)場合には次のステップS2に進み、黒データを有さない(データKij=0)場合には後述するステップS8に進む。
【0139】
ステップS2では、上記3行×3列フィルタによる処理を行うことにより注目セル領域内において黒データ(データK=1)を有するセルCo…をカウントし、その値を黒ドット数p1とする。
【0140】
ここで、注目セル領域は3行×3列に固定されているため、実際に黒ドット数p1から黒ドット面積率SK 1を求める場合には、除算を行うことなく黒ドット数p1と黒ドット面積率SK 1との対応関係を表したテーブルである面積率換算TBLを用いて黒ドット面積率SK 1を求めることにより、黒ドット面積率SK 1を求める演算処理に要する時間を大幅に短縮することができる。この換算をステップS3にて行う。なお、黒ドット数BをステップS4における判別に直接用いるようにしてもよい。
【0141】
そして、ステップS4では、注目セルCaijの黒ドット面積率SK 1に対する判定を行う。ステップS4において、黒ドット面積率SK 1が50%以下であればステップS5へ進む。
【0142】
ステップS5では、注目セルCaijを中心とする注目セル領域(3行×3列のセルCo…)にカラードットがあるか否かを調べる。具体的には、注目セル領域内のデータY・M・Cの和を隣接色ドットチェックckに代入する。したがって、カラードットがある場合には隣接色ドットチェックck≧1、カラードットがない場合には隣接色ドットチェックck=0となる。
【0143】
そして、ステップS6においてステップS5で求めた隣接色ドットチェックckに対する判定を行う。ここで注目セル領域内にカラードットを形成するデータDが存在しない、すなわちck=0である場合は、ステップS7で注目セルCaijのデータDijに第1黒データ(データKij=1)を適用する(データ変換しない)。
【0144】
一方、ステップS4で黒ドット面積率SK 1が50%を越える場合、またはステップS6でカラードットを形成するデータDが存在する場合は、ステップS12で注目セルCaijのアドレスRad20 およびアドレスCad20 の排他的論理和をとり、その値を排他論理和Sとする。そして、ステップS13で排他的論理和Sに対する判定を行い、排他的論理和Sが0の場合にはステップS7に進み上記のように注目セルCaijのデータDijに第1黒データ(データKij=1)を適用する(データ変換しない)。
【0145】
ステップS13において、排他的論理和Sが1の場合には、ステップS14で注目セルCaijに第2黒データ(データYij・Mij・Cij=1、データKij=0)を適用する(データ変換する)。
【0146】
ステップS7またはステップS14により、注目セルCaijのデータDijを決定すると、ステップS8に進みiを1増やす(すなわち行を1行繰り上げる)。そして、ステップS9でi=mとなるまで上記の処理を繰り返す。i=mとなり、第1列の処理が終了するとステップS10へ進みjを1増やす(すなわち列を1列繰り上げる)。そして、ステップS11でj=nとなるまでさらに処理を繰り返し、処理を終了する。
【0147】
上記では各セルCoに、黒ドットに関してはデータKとして0または1が格納されている場合、すなわちビット単位で黒ドット面積率SK 1を算出する方法について説明したが、各ヘッド11K1 ・11K2 ・11K3 ・11Y・11M・11C(図3参照)がドットサイズ可変で、各セルCoの入力データDがドットサイズ変調されたものであるときにも同様の処理が可能である。
【0148】
このとき、注目セルCaに対して例えば3×3フィルタでドットサイズを加味した黒ドット面積率SK 2(実施の形態2において定義する)を算出し、これが50%を越えかつ排他的論理和が1となるときに、表4に示すようなドットサイズ(理想ドットサイズに対する比)の対応関係でYMCの各色ドットを重ね合わせるようにする。表4のデータY・M・C・Kの値は、ドットサイズを示している。
【0149】
【表4】
【0150】
また、さらに注目セルCaのドットサイズも考慮して、データ変換を行うことも可能である。これについては、次の実施の形態2において詳述する。
【0151】
以上のように、本実施の形態において説明したインクジェット画像形成装置およびその画像形成方法では、黒ドットの密度が高い領域において、遅乾性の黒インクによるドットと、速乾性のカラーインクの混色により黒を形成したドットとを交互に配置しているため、遅乾性インクによるプリント速度低下の問題、および速乾性インクによる画質低下の問題を同時に解決することができる。
【0152】
また、本カラーインクジェットプリンタ2においては、インクの乾燥時間が短いため、乾燥器16(図2参照)を設置しない、またはその規模・出力を縮小することができる。したがって、本カラーインクジェットプリンタ2においては、装置の簡素化・小型化・低コスト化、消費電力の低減などを実現することができる。
【0153】
なお、上記では、主にメモリマップ上のセルCoに関して説明したが、セルCoとドットとは1対1に対応しているため、上記のセルCoおよび注目セル領域に関する説明は、適宜ドットおよび注目ドット領域に関するものとして読み替えることができる。
【0154】
また、本実施の形態では、ドットの密度を表す値としての面積率SO 1を、上記のように定義したが、本発明は、上記の定義に厳密に限られるものではなく、他の方法でドットの密度を表す値を定義することも可能である。特に、注目セル領域の定義については、上記以外にも、例えば注目セルCaに対して行・列方向に隣接するセルCo…を含んだ5つのセルCo…からなる十字型の領域を定義することもできる。
【0155】
さらに、本実施の形態では、黒べたに対する対策として説明したが、他の色のインクに対しても適用することができる。
【0156】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の第2の実施の形態について図2、図3、図10および図11並びに図16から図19に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0157】
なお、本実施の形態に係るインクジェット方式のドット形成方法は、実施の形態1において図2、図3、図10および図11に基づいて説明したカラーインクジェットプリンタ2に適用されるものであるため、この構成要素に関しては同一の符号を付記して引用し、その説明を省略する。また、実施の形態1において定義した用語については、特に断らない限り本実施の形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0158】
実施の形態1においては、プリント画像を形成する各ドットのドットサイズが同一である(ドットサイズが固定されている)場合について主に説明したが、本実施の形態では、ドットサイズが可変である(ドットサイズ変調されている)場合について説明する。
【0159】
本実施の形態では、ラインメモリ36(図10および図11参照)の各セルCoに格納されるデータDが実施の形態1の場合と異なる。すなわち、実施の形態1では、データDがドットを形成するか否かに応じて、それぞれ1か0かの値を有していたのに対し、本実施の形態では、データDが、形成するドットのドットサイズを示す値を有している。
【0160】
具体的には、データDが有する値は理想ドットサイズに対する割合である。そして、ここではドットサイズが理想ドットサイズに対して100%、75%、50%、25%であるドットを形成するものとし、これらに対応するデータDは、それぞれデータD=100%、75%、50%、25%である。
【0161】
ここで、上記各ドットサイズのドットを形成した場合におけるドット同士の重なりについて説明する。注目位置に上記各ドットサイズを有するドットが形成された場合に、注目位置に対して水平・垂直方向(行・列方向)および斜め方向に隣接する位置に上記各ドットサイズを有するドットが形成されたときの、注目位置のドットとそれに隣接する位置のドットとの間での重なりの有無は表5のように表すことができる。
【0162】
【表5】
【0163】
表5では、注目位置のドットとそれに隣接する位置のドットとの間での重なりがある場合を「×」、重なりがない場合を「○」で表している。また、ドットピッチ比は、ドットピッチに対するドットサイズの比率を表している。
【0164】
表5から分かるように、注目位置のドットのドットサイズが50%以下の場合において、ドット同士の重なりが生じるのは、注目位置のドットのドットサイズが50%であり、かつ、水平または垂直方向にドットサイズ100%の隣接ドットが存在する場合のみである。ただし、この場合であっても、ドットピッチと各ドットサイズとを考慮すると、重なり部分の面積は小さいことが分かる。
【0165】
そこで、本実施の形態においては、注目位置のドットがドットサイズが50%を越える黒ドットである、つまり、注目セルCaに格納されているデータKが50%を越える(データK=75%、100%)場合をデータ変換を行う条件とする(条件4)。
【0166】
次に、注目位置を含む領域の黒ドットの密度によってデータ変換を行う条件について説明する。まず、ドットサイズ変調されている場合において、m行×n列のドット形成位置によって構成される所定領域の黒ドットの密度を示す値として、黒ドット面積率SK 2(ドット面積率)を式3により定義する。
【0167】
(黒ドット面積率SK 2)=p2/(m×n) … 式3
なお、p2は所定領域内に形成される黒ドットのドットサイズの合計(%)を、mは所定領域内のドット形成位置の行数を、nは所定領域内のドット形成位置の列数をそれぞれ示している。
【0168】
ここで、実施の形態1と同様に、注目セルCaを中心とする3行×3列の注目セル領域の黒ドット面積率SK 2を、その注目セルCaの黒ドット面積率SK 2とする。そして、実施の形態1の場合と同様に、注目セルCaの黒ドット面積率SK 2が50%を越える場合をデータ変換を行う条件とする(条件5)。
【0169】
上記の条件4および条件5を満たす注目セルCaに対応して形成される注目位置のドットは、次に説明するようにして形成する。上記したように、ドットサイズが50%以下のドットは、重なることがないか、または重なる面積が小さいかの何れかである。そこで、注目位置のドットが条件4および条件5を満たす場合であっても、そのドットサイズの50%分は第1黒ドットにより形成する。そして、不足する黒ドットの面積を補充するために、注目位置のドットの実際のドットサイズのドットを第2黒ドットにより形成する。これにより、第1黒ドットのみに注目した黒ドット面積率SK 2を50%以下に固定することができる。
【0170】
このとき、第2黒ドットを先に形成した後、その上に第1黒ドットを、例えば同心円状に重ねて形成するようにすると、第2黒ドットにより、第1黒ドットを形成するインクの記録用紙20(図3参照)への浸透が促進されることになり、乾燥時間の短縮を図ることができる。また、第1黒ドットが上側に形成されてるため、プリント画像における黒の再現性を低下させることがない。
【0171】
具体的には、条件4および条件5を満たす注目位置のドットのドットサイズが75%および100%である場合には、それぞれ、まずドットサイズ50%および75%の第2黒ドットを形成し、その上にドットサイズ50%の第1黒ドットを形成する(それぞれを、75%重ね射ち、および100%重ね射ちとも称する)。なお、第2黒ドットのドットサイズは、記録用紙20上でのドットの広がりを考慮して上記のように決定している。
【0172】
一方、条件4を満たさない注目セルCaが形成する注目位置のドット(ドットサイズが25%および50%のもの)は、ドット同士が重ならない、または重なる面積が小さいので、インクの乾燥時間が短いため、第1黒ドットによってそのドットサイズのドットが形成される。また、条件5を満たさない注目セルCaが形成する注目位置のドットは、その周囲の黒ドットの密度が低いため、上記と同様インクの乾燥時間が短いので、第1黒ドットによってそのドットサイズのドットが形成される。
【0173】
なお、実施の形態1の場合と同様、条件5を満たさない注目セルCaが形成する注目位置のドットであっても、カラー領域との境界に位置する場合、すなわち、その注目ドット領域内にカラードットが存在する場合(条件6)であって、かつ、条件4を満たす場合は、条件4および条件5を満たす場合と同様にしてドットを形成する。
【0174】
ここで、本実施の形態に係るカラーインクジェットプリンタ2(図2)では、面積率処理回路38(図10)が、黒ドット面積率SK 2を算出するための算出手段としての機能、およびデータ変換をすべきか否かを判別するための判別手段としての機能を担っている。そして、このデータ変換の有無によって、ドットを形成する際に用いるインクが決定される。
【0175】
上記のようにしてドット形成を行うためのデータ変換について、図16から図18に基づいて説明する。図16から図18は、ラインメモリ36のプリントデータ領域50内のデータ変換を示す説明図であり、図16は変換前のデータD、図17は各セルCoの黒ドット面積率SK 2、図18は変換後のデータDを示している。
【0176】
なお、図16から図18においては、黒ドットを形成するセルCo…に斜線を付与している。また、カラードットを形成するセルCo…に関しては単に「Y」、「M」または「C」を表示している。
【0177】
まず、図16に示すデータDを有するプリントデータ領域50内において、黒データを有する全セルCo…に対して、順次各セルCoの黒ドット面積率SK 2が求められる。その結果、各セルCoの黒ドット面積率SK 2は図17に示すようになる。なお、黒ドット面積率SK 2は各セルCoに保存されるものではないが、説明のため図17では各セルCoに対応する黒ドット面積率SK 2を表示している。
【0178】
図16に示す変換前のデータDによって、注目セルCaが上記条件4または条件6を満たすか否かが判別される。また、図17に示す黒ドット面積率SK 2によって、注目セルCaが上記条件5を満たすか否かが判別される。そして、条件4および条件5、または条件4および条件6を満たす場合はデータ変換が行われる。このデータ変換における注目セルCaの変換前のデータKと変換後のデータY・M・C・Kとの対応を表6に示す。なお、表6では、条件5または条件6を満たす場合を前提としている。
【0179】
【表6】
【0180】
なお、図18においては、第1黒ドットのみを形成するセルCo…には、そのドットサイズを、75%重ね射ちおよび100%重ね射ちを行うセルCo…には、「50」と、それぞれ「ymc」および「YMC」とを表示している。
【0181】
以上の処理を図19に示すフローチャートに基づいて説明する。図19は、本実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。なお、図19に示すフローチャートにおいて、実施の形態1における図1に示すフローチャートと同等の処理を行うステップに関しては、同一の符号を付記し、その説明を一部省略する。
【0182】
実施の形態1と同様のステップS0からステップS1を行った後、ステップS22を行う。ステップS22では、上記3行×3列フィルタによる処理を行うことにより、注目セル領域内において黒データ(データK>0)を有するセルCo…のデータKの和、つまり、注目セル領域内の黒ドットのドットサイズの和を求めて、その値を黒ドットのドットサイズの合計p2とする。
【0183】
ここで、実施の形態1の場合と同様、注目セル領域は3行×3列に固定されているため、実際に黒ドットのドットサイズの合計p2から黒ドット面積率SK 2を求める場合には、除算を行うことなく黒ドットのドットサイズの合計p2と黒ドット面積率SK 2との対応関係を表した面積率換算テーブル(図示せず)を用いて黒ドット面積率SK 2を求めることにより、黒ドット面積率SK 2を求める演算処理に要する時間を大幅に短縮することができる。この換算をステップS23にて行う。なお、黒ドットのドットサイズの合計p2をステップS24における判別に直接用いるようにしてもよい。
【0184】
そして、ステップS24では、注目セルCaijの黒ドット面積率SK 2に対する判定を行う。ステップS24において、黒ドット面積率SK 2が50%以下であればステップS5へ進み、さらにステップS26においてステップS5で求めた隣接色ドットチェックckに対する判定を行う。ここで注目セル領域内にカラードットを形成するデータDが存在しない、すなわちck=0である場合は、ステップS27で注目セルCaijにもとの黒データ(データKij)を適用する(データ変換しない)。
【0185】
一方、ステップS24で黒ドット面積率SK 2が50%を越える場合、またはステップS26でカラードットを形成するデータDが存在する場合は、ステップS28で表6に基づいて適宜データ変換を行う。
【0186】
ステップS27またはステップS28により、注目セルCaijのデータDを決定すると、以降実施の形態1と同様の処理を行う。
【0187】
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット画像形成方法では、ドットサイズが可変である場合であっても、実施の形態1と同様に、遅乾性インクによるプリント速度低下の問題、および速乾性インクによる画質低下の問題を同時に解決することができる。
【0188】
〔実施の形態3〕
上述のように、実施の形態1,2に係るインクジェット画像形成方法および画像形成装置は、ドット密度に応じて、遅乾性インクのみあるいは速乾性インクによる黒ドットと併用することにより、画質を劣化することなく乾燥時間を短縮する。
【0189】
すなわち、実施の形態1,2に係るインクジェット画像形成方法および画像形成装置によれば、消費電力が大きく、しかも装置の大幅なコストアップを招来する乾燥手段の設置を省略、または規模を縮小し、かつ、画質劣化を抑制しつつ、ドット密度の高い領域を効率良く乾燥させることができる。
【0190】
また、輪郭部においても、黒ドットが間引かれることなく存在するので、シャギーによる輪郭劣化は生じない。
【0191】
ただし、上記のインクジェット画像形成方法および画像形成装置では、印刷条件によっては、ブラック領域の輪郭部において遅乾性インクによる黒ドットと速乾性インクによる黒ドットとのドット径もしくはドット位置の不揃いが生じて、シャギーが増加することがある。また、速乾性インクのYMCを重ね合わせた第2黒ドットを形成する際にドット位置が無地方向に位置ずれが生じて、輪郭部に色むらが発生することがある。これらの問題は、ブラックインクヘッドおよびカラーインクヘッドが個別に交換できる方式で顕著となる。
【0192】
そこで、上記のような輪郭部の色むら発生を防止し、かつ、乾燥時間を短縮し、画質劣化を抑制することができるインクジェット画像形成方法および画像形成装置について、実施の形態3,4に説明する。
【0193】
本発明の第3の実施の形態について、図2、図3、図10および図11、並びに図22から図26に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0194】
なお、本実施の形態に係るインクジェット方式のドット形成方法は、実施の形態1において図2、図3、図10および図11に基づいて説明したカラーインクジェットプリンタ2に適用されるものであるため、この構成要素に関しては同一の符号を付記して引用し、その説明を省略する。また、実施の形態1において定義した用語については、特に断らない限り本実施の形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0195】
実施の形態1においては、カラー領域との境界において黒データを有するセルをデータ変換の対象として速乾性インクを使用する場合について説明したが、本実施の形態では、ブラック領域の輪郭部すなわちカラー領域および無地領域との境界に速乾性インクの使用を禁止する場合について説明する。
【0196】
黒ドット面積率SK 1を基準として、形成する黒ドットを決定する方法について図23から図26を用いて説明する。図23から図26は、ラインメモリ36のプリントデータ領域50内のデータ変換を示す説明図であり、図23は変換前のデータD、図24は各セルCoの黒ドット面積率SK 1、図25はデータDの輪郭ビットマップ、図26は変換後のデータDを示している。
【0197】
なお、図23および図26においては、データY・M・C・Kが1である場合はそれぞれ「Y」・「M」・「C」・「K」と表示し、データY・M・C・Kが0である場合は表示していない。また、図に示す領域に隣接するセルCo…のデータDは、全て0であるものとする。図25は、ブラック領域の輪郭部、すなわち黒データを有するセル(K≠0)であってカラー領域および無地領域(K=0)と接するセルを輪郭ドットとして、輪郭ドットチェック「1」を表示している。
【0198】
まず、図23に示すデータDを有するプリントデータ領域50内において、黒データを有する全セルCo…に対して、順次各セルCoの黒ドット面積率SK 1が求められる。その結果、各セルCoの黒ドット面積率SK 1は図24に示すようになる。なお、黒ドット面積率SK 1は各セルCoに保存されるものではないが、説明のため図24では各セルCoに対応する黒ドット面積率SK 1を表示している。
【0199】
そして、上記したように、黒ドット面積率SK 1が50%を越える(すなわち、5/9以上となる)とプリント速度の低下が顕著になるため、黒ドット面積率SK 1が50%を越えることを、セルCo…のデータDに対して第1黒ドットの代わりに第2黒ドットを用いるように変換(データ変換)するための条件とする(条件1)。
【0200】
ここで、黒ドット面積率SK 1が50%を越えるセルCo…(高密度ドット群)のうち、実際に第2黒ドットを用いるようにデータ変換されるセルCo…が、行方向および列方向に交互に配列されるようにする。このためには、例えば、各セルCoの行アドレス最下位ビットであるアドレスRad20 および列アドレス最下位ビットであるアドレスCad20 の排他的論理和が1であるセルCo…を、データ変換の対象となるセルCo…としておけばよい(条件2)。図23および図24では、変換前に黒ドットのデータKを有するセルCo…であって、上記排他的論理和が1であるセルCo…を斜線で示す。
【0201】
これより、黒ドット面積率SK 1が50%を越えるセルCo…が行方向および列方向に隣接する場合には、第1ドットを形成するためのデータK(以下、第1黒データと称す)を有するセルCo…と第2ドットを形成するためのデータK(以下、第2黒データと称す)を有するセルCo…とが交互に配列されることになる。
【0202】
また、さらに、黒画像の輪郭部(図25)、すなわちカラー領域(データY・M・Cの何れかが0でない領域)との境界(境界部分)において黒データを有するセルCo…に関しては、条件1,条件2を無視して、変換しないで用いる(条件7)。つまり、第1ドットと第2ドットとのドット径もしくはドット位置の不揃いによるシャギーの増大や、混色による第2ドットを用いた場合に生じる重ね合わせるY,M,Cドット個々の無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側に生じる色むら、これらによる画質劣化を防止するために、黒ドット面積率SK 1が50%以上であってもデータ変換を禁止することを最優先する。そのため、輪郭黒データ(黒画像の輪郭部のセルCo…)をデータ変換の対象としない。これにより、その注目位置のドットが輪郭ドットである場合(条件7)、条件1および条件2にかかわらず変換が禁止され、第1黒ドットが形成される。
【0203】
なお、ここでは、YMC各色のインク(カラーインク)を重ねることにより第2黒ドットを形成するものとする。したがって、第2黒データへのデータ変換がされたセルCo…に格納される値は、データY・M・Cがすべて1であり、データKが0となる。このデータ変換における変換前のデータDと変換後のデータDとの対応は、前記の表3に示したとおりである。
【0204】
以上のデータ変換を行った結果を図26に示す。図26では、変換前に黒ドットのデータKを有するセルCo…であって、上記排他的論理和が1であるセルCo…から、黒領域の輪郭ドット(図25)を除いたセルCo…を斜線で示す。
【0205】
図26からわかるように、交互に配列した結果、高い黒ドット面積率が続くエリアでは、第1の黒ドットは3×3の中に多くとも5個までしか形成されないので、第1の黒ドットによる黒ドット面積率は5/9以下に抑えられ、残りの黒ドット面積率が第2の黒ドットで形成されることになる。5/9は50%よりも大きいが、50%に近い値であり、簡単なドット配置でほぼ理想的なインク配分が実現できる。加えて、黒領域の輪郭部では、セルCo…の黒ドット面積率SK 1が50%以上であってもデータ変換を禁止することにより、画質劣化が防止できる。
【0206】
ここで、本実施の形態に係るカラーインクジェットプリンタ2(図2)では、面積率処理回路38(図10)が、黒ドット面積率SK 1を算出するための算出手段としての機能、およびデータ変換をすべきか否かを判別するための判別手段としての機能を担っている。そして、このデータ変換の有無によって、ドットを形成する際に用いるインクが決定される。
【0207】
以上の処理を図22に示すフローチャートに基づいて説明する。図22は、本実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。図22に示す処理では、第1列の各セルCoを順次注目セルCaとして、この注目セルCaのドット形態(黒ドット面積率SK 1および輪郭ドットチェックcke)を求め、これを第n列まで繰り返し行う。
【0208】
なお、説明の便宜上、変換後のデータDは、変換前のデータDとは別に保存されるものとし、以下の各ステップで用いる変換前のデータDは変化しないものとする。
【0209】
まず、ステップS0では、初期値として注目セルCaijを(i,j)=(1,1)とする。そして、ステップS1において注目セルCaijが黒データを有するか否かを判定する。ここで、注目セルCaijが黒データを有する(データKij=1)場合には次のステップS31に進み、黒データを有さない(データKij=0)場合には後述するステップS8に進む。
【0210】
ステップS31では、注目セルCaijが輪郭ドットであるか否かを調べる。具体的には、式4で定義される輪郭ドットチェックckeに、注目セル領域内のデータKの演算結果を代入する。したがって、注目セルCaijが輪郭ドットである場合には輪郭ドットチェックcke=1、輪郭ドットでない場合には輪郭ドットチェックcke=0となる。
【0211】
【数1】
【0212】
ここで、式4のSIGN(数値)は、引き数である数値の正負を調べる演算式であり、戻り値は数値が正の数のときは1、0のときは0、負の数のときは−1となる。そして、Kijがドットのデータであり0または正の値であるため、SIGN(Kij)は負の数とはならない。また、NOT(論理式)は、引数である論理式の否定を求める演算式である。よって、NOT(SIGN(Kij))は、Kijが0のときのみ1となり、それ以外のときは0となる。
【0213】
次に、ステップS2では、上記3行×3列フィルタによる処理を行うことにより注目セル領域内において黒データ(データK=1)を有するセルCo…をカウントし、その値を黒ドット数p1とする。つづいて、ステップS3では、面積率換算TBLを用いて、上記黒ドット数p1から黒ドット面積率SK 1を求める。
【0214】
そして、ステップS4では、注目セルCaijの黒ドット面積率SK 1に対する判定を行う。ステップS4において、黒ドット面積率SK 1が50%以下であればステップS32へ進む。
【0215】
そして、ステップS32においてステップS31で求めた輪郭ドットチェックckeに対する判定を行う。ここで注目セルが輪郭ドットである、すなわちcke=1である場合は、ステップS7で注目セルCaijのデータDijに第1黒データ(データKij=1)を適用する(データ変換しない)。
【0216】
一方、ステップS4で黒ドット面積率SK 1が50%を越える場合、またはステップS32で注目セルが輪郭ドットでない、すなわちcke=0である場合は、ステップS12で注目セルCaijのアドレスRad20 およびアドレスCad20 の排他的論理和をとり、その値を排他論理和Sとする。そして、ステップS13で排他的論理和Sに対する判定を行い、排他的論理和Sが0の場合にはステップS7に進み上記のように注目セルCaijのデータDijに第1黒データ(データKij=1)を適用する(データ変換しない)。
【0217】
ステップS13において、排他的論理和Sが1の場合には、ステップS14で注目セルCaijに第2黒データ(データYij・Mij・Cij=1、データKij=0)を適用する(データ変換する)。
【0218】
ステップS7またはステップS14により、注目セルCaijのデータDijを決定すると、ステップS8に進みiを1増やす(すなわち行を1行繰り上げる)。そして、ステップS9でi=mとなるまで上記の処理を繰り返す。i=mとなり、第1列の処理が終了するとステップS10へ進みjを1増やす(すなわち列を1列繰り上げる)。そして、ステップS11でj=nとなるまでさらに処理を繰り返し、処理を終了する。
【0219】
上記では各セルCoに、黒ドットに関してはデータKとして0または1が格納されている場合、すなわちビット単位で黒ドット面積率SK 1を算出する方法について説明した。しかし、実施の形態1と同様、各ヘッド11K1 ・11K2 ・11K3 ・11Y・11M・11C(図3参照)がドットサイズ可変で、各セルCoの入力データDがドットサイズ変調されたものであるときにも同様の処理が可能である。また、さらに注目セルCaのドットサイズも考慮して、データ変換を行うことも可能である。これについては、次の実施の形態4において詳述する。
【0220】
以上のように、本実施の形態において説明したインクジェット画像形成装置およびその画像形成方法では、黒ドットの密度が高い領域において、遅乾性の黒インクによるドットと、速乾性のカラーインクの混色により黒を形成したドットとを交互に配置しているため、遅乾性インクによるプリント速度低下の問題、および速乾性インクによる画質低下の問題を同時に解決することができる。
【0221】
また、本カラーインクジェットプリンタ2においては、インクの乾燥時間が短いため、乾燥器16(図2参照)を設置しない、またはその規模・出力を縮小することができる。したがって、本カラーインクジェットプリンタ2においては、装置の簡素化・小型化・低コスト化、消費電力の低減などを実現することができる。
【0222】
さらに、黒画像の輪郭部においては、第1黒ドットのみを形成する。したがって、第1黒ドットと第2黒ドットとのドット径もしくはドット位置の不揃いによるシャギーの増大や、混色による第2黒ドットを用いた場合に生じる重ね合わせるY,M,Cドット個々の無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側に生じる色むらが発生せず、これらによる画質劣化を防止することができる。
【0223】
〔実施の形態4〕
次に、本発明の第4の実施の形態について図2、図3、図10および図11、並びに図27から図30および図25に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0224】
なお、本実施の形態に係るインクジェット方式のドット形成方法は、実施の形態1において図2、図3、図10および図11に基づいて説明したカラーインクジェットプリンタ2に適用されるものであるため、この構成要素に関しては同一の符号を付記して引用し、その説明を省略する。また、実施の形態1において定義した用語については、特に断らない限り本実施の形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0225】
実施の形態3においては、プリント画像を形成する各ドットのドットサイズが同一である(ドットサイズが固定されている)場合について主に説明したが、本実施の形態では、実施の形態2と同様、ドットサイズが可変である(ドットサイズ変調されている)場合について説明する。すなわち、実施の形態2においては、カラー領域との境界において黒データを有するセルをデータ変換の対象として速乾性インクを使用する場合について説明したが、本実施の形態では、ブラック領域の輪郭部すなわちカラー領域および無地領域との境界に速乾性インクの使用を禁止する場合について説明する。
【0226】
黒ドット面積率SK 2を基準として、形成する黒ドットを決定する方法について図28,図29,図25,図30を用いて説明する。図28,図29,図25,図30は、ラインメモリ36のプリントデータ領域50内のデータ変換を示す説明図であり、図28は変換前のデータD、図29は各セルCoの黒ドット面積率SK 2、図25はデータDの輪郭ビットマップ、図30は変換後のデータDを示している。
【0227】
なお、図28,図29,図25,図30においては、黒ドットを形成するセルCo…に斜線を付与している。また、カラードットを形成するセルCo…に関しては単に「Y」、「M」または「C」を表示している。また、図25は、ブラック領域の輪郭部、すなわち黒データを有するセル(K≠0)であってカラー領域および無地領域(K=0)と接するセルを輪郭ドットとして、輪郭ドットチェック「1」を表示している。
【0228】
まず、本実施の形態においては、注目位置のドットがドットサイズが50%を越える黒ドットである、つまり、注目セルCaに格納されているデータKが50%を越える(データK=75%、100%)場合をデータ変換を行う条件とする(条件4)。
【0229】
次に、図28に示すデータDを有するプリントデータ領域50内において、黒データを有する全セルCo…に対して、順次各セルCoの黒ドット面積率SK 2が求められる。その結果、各セルCoの黒ドット面積率SK 2は図29に示すようになる。なお、黒ドット面積率SK 2は各セルCoに保存されるものではないが、説明のため図29では各セルCoに対応する黒ドット面積率SK 2を表示している。
【0230】
そして、実施の形態2の場合と同様に、注目セルCaの黒ドット面積率SK 2が50%を越える場合をデータ変換を行う条件とする(条件5)。
【0231】
また、さらに、実施の形態3と同様、黒画像の輪郭部(図25)、すなわちカラー領域(データY・M・Cの何れかが0でない領域)との境界(境界部分)において黒データを有するセルCo…に関しては、条件4,条件5を無視して、変換しないで用いる(条件8)。つまり、第1ドットと第2ドットとのドット径もしくはドット位置の不揃いによるシャギーの増大や、混色による第2ドットを用いた場合に生じる重ね合わせるY,M,Cドット個々の無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側に生じる色むら、これらによる画質劣化を防止するために、黒ドット面積率SK 2が50%以上であってもデータ変換を禁止することを最優先する。そのため、輪郭黒データ(黒画像の輪郭部のセルCo…)をデータ変換の対象としない。これにより、実施の形態3の場合と同様、その注目位置のドットが輪郭ドットである場合(条件8)、条件4および条件5にかかわらず変換が禁止され、第1黒ドットが形成される。
【0232】
以上のデータ変換を行った結果を図30に示す。なお、このデータ変換における注目セルCaの変換前のデータKと変換後のデータY・M・C・Kとの対応は、前記の表6に示したとおりである。また、図30においては、第1黒ドットのみを形成するセルCo…には、そのドットサイズを、75%重ね射ちおよび100%重ね射ちを行うセルCo…には、「50」と、それぞれ「ymc」および「YMC」とを表示している。
【0233】
図30からわかるように、黒領域の輪郭部では、セルCo…の黒ドット面積率SK 2が50%以上であってもデータ変換を禁止することにより、画質劣化が防止できる。
【0234】
ここで、本実施の形態に係るカラーインクジェットプリンタ2(図2)では、面積率処理回路38(図10)が、黒ドット面積率SK 2を算出するための算出手段としての機能、およびデータ変換をすべきか否かを判別するための判別手段としての機能を担っている。そして、このデータ変換の有無によって、ドットを形成する際に用いるインクが決定される。
【0235】
以上の処理を図27に示すフローチャートに基づいて説明する。図27は、本実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。なお、図27に示すフローチャートにおいて、実施の形態1〜3で図1,図19,図22に示すフローチャートと同等の処理を行うステップに関しては、同一の符号を付記し、その説明を一部省略する。
【0236】
実施の形態1と同様のステップS0からステップS1を行った後、ステップS31を行う。
【0237】
ステップS31では、注目セルCaijが輪郭ドットであるか否かを調べる。具体的には、実施の形態3で示した式4で定義される輪郭ドットチェックckeに、注目セル領域内のデータKの演算結果を代入する。したがって、注目セルCaijが輪郭ドットである場合には輪郭ドットチェックcke=1、輪郭ドットでない場合には輪郭ドットチェックcke=0となる。
【0238】
次に、ステップS22では、上記3行×3列フィルタによる処理を行うことにより、注目セル領域内において黒データ(データK>0)を有するセルCo…のデータKの和、つまり、注目セル領域内の黒ドットのドットサイズの和を求めて、その値を黒ドットのドットサイズの合計p2とする。つづいて、ステップS23では、面積率換算テーブル(図示せず)を用いて、上記黒ドットのドットサイズの合計p2から黒ドット面積率SK 2を求める。
【0239】
そして、ステップS24では、注目セルCaijの黒ドット面積率SK 2に対する判定を行う。ステップS24において、黒ドット面積率SK 2が50%以下であればステップS32へ進み、さらにステップS32においてステップS31で求めた輪郭ドットチェックckeに対する判定を行う。ここで注目セルCaijが輪郭ドットである、すなわちcke=1である場合は、ステップS27で注目セルCaijにもとの黒データ(データKij)を適用する(データ変換しない)。
【0240】
一方、ステップS24で黒ドット面積率SK 2が50%を越える場合、またはステップS32で注目セルCaijが輪郭ドットでない場合は、ステップS28で表6に基づいて適宜データ変換を行う。
【0241】
ステップS27またはステップS28により、注目セルCaijのデータDを決定すると、以降実施の形態1と同様の処理を行う。
【0242】
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット画像形成方法では、ドットサイズが可変である場合であっても、実施の形態2と同様に、遅乾性インクによるプリント速度低下の問題、および速乾性インクによる画質低下の問題を同時に解決することができる。
【0243】
さらに、黒画像の輪郭部においては、第1黒ドットのみを形成する。したがって、第1黒ドットと第2黒ドットとのドット径もしくはドット位置の不揃いによるシャギーの増大や、混色による第2黒ドットを用いた場合に生じる重ね合わせるY,M,Cドット個々の無地方向への位置ずれによる輪郭部の無地側に生じる色むら、これらによる画質劣化を防止することができる。
【0244】
なお、実施の形態3,4に係るインクジェット画像形成方法は、相対的に乾燥時間が長い遅乾性インクと、相対的に乾燥時間が短い速乾性インクとを用いてドットを形成し、該ドットにより画像を形成するインクジェット画像形成方法において、予め定められた範囲の画像領域におけるドットの密度を、画像データに基づいて識別し、識別結果に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から、前記ドットを形成するために用いるインクを選択し、かつ、記録画像の輪郭部を検出し、検出された輪郭部においては前記識別結果に基づくインクの選択を禁止する方法であってもよい。
【0245】
また、実施の形態3,4に係るインクジェット画像形成方法は、インクの選択を禁止した記録画像の上記輪郭部に遅乾性インク(ブラック)を使用する方法であってもよい。
【0246】
さらに、実施の形態3,4に係るインクジェット画像形成装置は、相対的に乾燥時間が長い遅乾性インクおよび相対的に乾燥時間が短い速乾性インクを用いてドットを形成し、該ドットにより画像を形成するインクジェット画像形成装置において、前記ドットを形成する際に、該ドットに対して予め定められた領域内に形成されるドットの密度を表すドット面積率を算出する算出手段と、該ドット面積率に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から用いるインクを選択する判別手段とを備え、かつ、記録画像の輪郭部を識別する手段と、検出された輪郭部においては前記ドット面積率に基づくインクの選択を禁止する手段とを備えた構成であってもよい。
【0247】
また、実施の形態3,4に係るインクジェット画像形成装置は、インクの選択を禁止した記録画像の上記輪郭部に遅乾性インク(ブラック)を使用する装置であってもよい。
【0248】
【発明の効果】
本発明のインクジェット画像形成方法は、以上のように、各ドットに対応して、画像領域を設定し、該画像領域におけるドットの密度を、画像データに基づいて識別し、識別結果に基づいて、遅乾性インクおよび速乾性インクの中から、前記ドットを形成するために用いるインクを選択し、さらに、前記画像領域におけるドットの密度を表すドット面積率を算出し、該ドット面積率が予め定められた値より大きくなる画像領域に対応するドットの集合を高密度ドット群とし、該高密度ドット群を形成する際には、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクを用いるとともに、前記速乾性インクの上に前記遅乾性インクを同心円状に重ね、前記速乾性インクに重ねる前記遅乾性インクによるドットのドットサイズを、予め定められたドットサイズ以下に設定する方法である。
【0249】
ここで、上記インクジェット画像形成方法では、ドットを形成する際に、画像データに基づいて画像領域におけるドットの密度を識別し、識別結果に基いて、遅乾性インクおよび速乾性インクから、そのドットを形成するために用いるインクを選択してもよい。
【0250】
上記の方法では、ドットの密度を識別し、その結果から乾燥時間の長さが問題になるか否かを判断することができる。そして、その判断に応じて遅乾性インクおよび速乾性インクから、ドットを形成するために用いるインクを選択するため、画像の劣化を抑制しつつインクの乾燥時間の短縮化を図ることができる。
【0251】
その結果、形成する画像の画質を高品位に保ちつつ、プリント速度の低下を回避することが可能となる。
【0252】
また、上記の方法を画像形成装置に用いることにより、乾燥時間の短縮化を図るための乾燥装置などの設置を省略、または規模を縮小することができる。その結果、画質およびプリント速度を維持しつつ、低コスト、低消費電力、小型などの利点を有する画像形成装置を実現することが可能となる。
【0253】
前記した、本発明のインクジェット画像形成方法は、各ドットに対応して画像領域を設定し、画像領域に形成されるドットの密度を表すドット面積率を算出し、対応する画像領域が予め定められた値より大きいドット面積率を有するドットの集合である高密度ドット群を形成する際には、遅乾性インクおよび速乾性インクを用いている。
【0254】
上記の方法では、ドットの密度を表すドット面積率を定義することで、インクの乾燥に要する時間の尺度とすることができる。そして、遅乾性インクのみを用いた場合に、インクの乾燥時間が問題となりはじめるドット面積率を基準として、ドットの密度がそれ以上となる部分では、遅乾性インクと速乾性インクとを用いることで、画質の劣化を抑制しつつ、インクの乾燥時間を短縮化することができる。
【0255】
その結果、形成する画像の画質を高品位に保ちつつ、プリント速度の低下を回避することが可能となる。
【0256】
上記のインクジェット画像形成方法では、対応する画像領域が予め定められた値より小さいドット面積率を有するドットを形成する際には、遅乾性インクを用 いてもよい。
【0257】
上記の方法では、上記したドット面積率を基準として、インクの乾燥時間が問題とならない部分を識別することができる。したがって、この部分のドットを形成する際に、遅乾性インクを用いることで画質を高品位に保つことが可能となる。
【0258】
また、上記のインクジェット画像形成方法では、高密度ドット群を形成する際には、遅乾性インクおよび速乾性性インクのそれぞれによるドットとを交互に配置してもよい。
【0259】
上記の方法では、遅乾性インク同士が隣接することを避けることができ、遅乾性インク同士が重なり合う部分を最小化することができる。したがって、インクの乾燥時間の増大をさらに抑制することができる。
【0260】
また、速乾性インクによるドットが集合することを避けることができるので、各部での色の再現性が均等になり、画質を高品位に保つことができる。
【0261】
その結果、プリント速度および画質の品位を向上させることができる。
【0262】
前記した本発明の、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法では、高密度ドット群を形成する際には、遅乾性インクと速乾性インクとを重ねている。
【0263】
上記の方法では、速乾性インクの存在により、遅乾性インクの記録媒体への浸透性が向上する。そのため、遅乾性インクの乾燥時間をさらに短縮することができる。また、各ドットでの色の再現性が均一になるため、画質を高品位に保つことができる。
【0264】
また、前記した本発明の、上記の遅乾性インクと速乾性インクとを重ねるインクジェット画像形成方法では、さらに、遅乾性インクによるドットのドットサイズを予め定められたドットサイズ以下に設定している。
【0265】
上記の方法では、遅乾性インクによるドット同士が重なり合う部分を最小化することができる。また、上記と同様に、速乾性インクの存在により、遅乾性インクの浸透性が向上する。したがって、さらにインクの乾燥時間の短縮化を図ることができる。
【0266】
また、前記した本発明の、上記の遅乾性インクと速乾性インクとを重ねるインクジェット画像形成方法では、さらに、速乾性インクの上に遅乾性インクを重ねることが好ましい。
【0267】
上記の方法では、速乾性インクが遅乾性インクの下地となるため、上記の遅乾性インクの浸透性がさらに向上し、インクの乾燥時間をさらに短縮することができる。また、遅乾性インクが表面側に位置することにより、色の再現性がさらに向上し、画質が向上する。
【0268】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、遅乾性インクがブラックであり、速乾性インクをカラーインクの混色により構成することが好ましい。
【0269】
上記の方法では、従来のカラー画像形成装置と同様のヘッド構成のものを用いることで上記の各方法を実行することができる。したがって、上記の各方法による効果を奏するインクジェット画像形成装置をより簡単に構成することができる。
【0270】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、各インクがブラックであり、かつ、画像がカラー画像であって、ブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、乾性インクによるドットを形成することが好ましい。
【0271】
上記の方法では、カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、速乾性インクによるドットを形成することで、カラー領域へのブラックインクのにじみを抑制することができる。したがって、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【0272】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、前記遅乾性インクが混色によらないブラックであるとともに、前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、前記遅乾性インクによるドットを形成することが好ましい。
【0273】
上記の方法では、カラー画像のブラック領域の輪郭部のドットを混色によらないブラックの遅乾性インクのみで形成することで、速乾性のインクの使用を原因とする画質劣化を抑制できる。したがって、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【0274】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成方法において、さらに、ドット面積率の50%を、上記の予め定められた値として設定することが好ましい。
【0275】
上記の方法では、画像形成速度の低下を実用上問題がない程度に抑制することができる。
【0276】
なお、本発明のインクジェット画像形成装置は、ドットを形成する際に、ドット面積率を算出し、このドット面積率に基づいて、遅乾性インクおよび速乾性インクの中から用いるインクを選択する判別手段を備えた構成である。
【0277】
上記の構成では、上記各方法実行することができ、それによって奏される各効果を得ることができる。
【0278】
その結果、上記のように、インクを乾燥させるために、プリント速度を遅くする、または印刷物を乾燥するための装置を設け、その出力を増大するなどの対策をとることを回避しつつ、画質を高品位に保つことができる。
【0279】
したがって、画質が高品位であり、プリント速度が速く、装置構成が簡素で、消費電力が小さく、さらに小型で安価なインクジェット画像形成装置を提供することができる。
【0280】
本発明のインクジェット画像形成装置は、上記ドット面積率を用いるインクジェット画像形成装置において、さらに、前記遅乾性インクが混色によらないブラックであるとともに、前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、前記判別手段が、前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分のドットに前記遅乾性インクを選択するものであることが好ましい。
【0281】
上記の構成では、カラー画像のブラック領域の輪郭部のドットを混色によらないブラックの遅乾性インクのみで形成することで、速乾性のインクの使用を原因とする画質劣化を抑制できる。したがって、さらに画質の品位を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態に係るカラーインクジェットプリンタの内部を、側面方向から見たときの構成を示す内部構成図である。
【図3】図2のヘッドを上から見たときのノズルの配置を示す配置図である。
【図4】記録用紙上でのドットの配置を面積率が25%の場合について示す平面図である。
【図5】記録用紙上でのドットの配置を面積率が50%の場合について示す平面図である。
【図6】記録用紙上でのドットの配置を面積率が75%の場合について示す平面図である。
【図7】記録用紙上でのドットの配置を面積率が100%の場合について示す平面図である。
【図8】黒ドット面積率に対するプリント時間の関係を示すグラフである。
【図9】黒ドット面積率に対するプリント速度の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施の形態に係るプリントデータのデータ処理回路を示すブロック図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るラインメモリのメモリ構造を示す説明図である。
【図12】図11のラインメモリのプリントデータ領域における注目画素に対応する部分を示す説明図である。
【図13】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、一実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換前のデータを示している。
【図14】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、一実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、各セルの黒ドット面積率を示している。
【図15】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、一実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換後のデータを示している。
【図16】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換前のデータを示している。
【図17】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、各セルの黒ドット面積率を示している。
【図18】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換後のデータを示している。
【図19】本発明の他の実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
【図20】従来の技術によるドット形成の例を示す平面図である。
【図21】従来の技術によるドット形成の別の例を示す平面図である。
【図22】本発明のさらに他の実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
【図23】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換前のデータを示している。
【図24】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、各セルの黒ドット面積率を示している。
【図25】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、ブラック領域の輪郭ビットマップを示している。
【図26】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換後のデータを示している。
【図27】本発明のさらに他の実施の形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
【図28】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換前のデータを示している。
【図29】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、各セルの黒ドット面積率を示している。
【図30】図11のラインメモリのプリントデータ領域内の、さらに他の実施の形態に係るデータ変換を示す説明図であり、変換後のデータを示している。
【符号の説明】
2 カラーインクジェットプリンタ
10 ヘッド
20 記録用紙
22 制御装置
38 面積率処理回路(算出手段、判別手段)
50 プリントデータ領域
Co セル
Ca 注目セル
Claims (9)
- 相対的に乾燥時間が長い遅乾性インクと、相対的に乾燥時間が短い速乾性インクとを用いてドットを形成し、該ドットにより画像を形成するインクジェット画像形成方法において、
前記各ドットに対応して、前記画像領域を設定し、該画像領域におけるドットの密度を、画像データに基づいて識別し、識別結果に基づいて、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクの中から、前記ドットを形成するために用いるインクを選択し、
さらに、前記画像領域におけるドットの密度を表すドット面積率を算出し、
該ドット面積率が予め定められた値より大きくなる画像領域に対応するドットの集合を高密度ドット群とし、該高密度ドット群を形成する際には、前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクを用い、
前記高密度ドット群のドットのうち、隣接するドット同士が重なる場合には、前記速乾性インクの上に前記遅乾性インクを同心円状に重ねることによってドットを形成し、
前記速乾性インクに重ねる前記遅乾性インクによるドットのドットサイズを、予め定められたドットサイズ以下に設定することを特徴とするインクジェット画像形成方法。 - 請求項1に記載のインクジェット画像形成方法において、
前記遅乾性インクがブラックであり、前記速乾性インクをカラーインクの混色により構成することを特徴とするインクジェット画像形成方法。 - 請求項1又は2に記載のインクジェット画像形成方法において、
前記遅乾性インクおよび前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、
前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、前記速乾性インクによるドットを形成することを特徴とするインクジェット画像形成方法 。 - 請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記遅乾性インクが混色によらないブラックであるとともに、前記速乾性インクがブラックであり、かつ、前記画像がカラー画像であって、
前記カラー画像のブラック領域におけるカラー領域との境界部分に、前記遅乾性インクによるドットを形成することを特徴とするインクジェット画像形成方法。 - 請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記ドット面積率の50%を、前記予め定められた値として設定することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- 請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記予め定められたドットサイズは、遅乾性インクによるドット同士が重なり合う部分を形成しないようなドットサイズであることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- 請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記各ドットのドットサイズは、可変であることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- 請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記ドット面積率は、画像領域における黒ドットの密度を表すことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
- 請求項1から8の何れか1項に記載のインクジェット画像形成方法において、前記遅乾性インクによるドットのドットサイズは、前記高密度ドット群のドットのドットサイズの50%分であることを特徴とするインクジェット画像形成方 法。
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