JP3573804B2 - 酸性pHにおける、水性分散液中での塩化ビニルのラジカル重合法 - Google Patents

酸性pHにおける、水性分散液中での塩化ビニルのラジカル重合法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酸性pHにおいて、水性分散液中で行う塩化ビニルのラジカル重合法に関する。さらに詳細に述べると、ラジカル重合を、油溶性開始剤を使用することによって開始し、かつその重合媒質の温度を直接調節する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル重合の油溶性開始剤を用いる塩化ビニルのラジカル重合は、塩化ビニルポリマー類を製造する周知の重合法を構成している。これは一般に、非連続的に、並びに内部を冷却液(主に水)が循環している、反応器を囲む二重ジャケットによって、水性の重合媒質の温度を調節し、酸性pHにおいて行われる。しかし、塩化ビニルの重合反応速度、及び結果的に該反応器から取り除かれる熱量は、一般に重合サイクルを通して一定ではない。前記媒質が、ゲル相中に豊富であり、かつ未だ塩化ビニル中で減少していない場合には、一般に圧力低下の直前又は開始時に、自動促進効果が発生することは周知であり、これは前述の二重ジャケット内を循環している冷却液の最高温度によって示される。この自動促進効果は、重合温度が低くなるにつれて、より大きな意味を持つようになる。従って、この問題点は、高分子の塩化ビニルポリマー類の製造において特に深刻である。標準的な方法において、使用された開始剤の量は、自動促進効果が最も激しい期間中、その重合温度を調節し続けるような量に設定される。この場合、該重合サイクルの初期の、該反応器の冷却能の利用不足は、許容できる。これらの処置は、該樹脂の安全性、品質及び品質の再現性の理由で欠くことができない。
【0003】
水性分散液中における、塩化ビニルの重合反応器の生産性を向上するために、既にいろいろな手段が提供されている。その一つは、使用量が少ない即効性の開始剤、及び別の使用量がより多い即効性がやや低い開始剤とを含む、油溶性開始剤システムの利用を明らかにしている(例えば、ベルギー特許第756,976 号、1970年10月 2日出願参照) 。しかし自己促進効果が顕著になり、重合反応器の温度調節の困難さを増す以前に、開始剤を完全に消費するために、即効性のある開始剤の量の制限が絶対的に必要であるとすると、生産性の向上は、あまり顕著ではない。
“ピーク抑制剤(peak suppressors)”としても公知である、重合を遅延する化合物、例えばヒドロキノン又はヒドロキシフェノールなどの化合物を重合媒質中に注入することによって、該反応器の生産性が向上することも既に提案されてきている(例えば、米国特許第3,642,756 号参照) 。塩化ビニルのラジカル重合の穏やかな抑制効果をわずかに示すこれらの重合抑制剤は、持続的の作用を示し、さらに、転化率を増加する。それらは、ある程度、さらに具体的に述べると“ピーク”時に、温度分布を直線状にすることを事実上可能にするにもかかわらず、塩化ビニル中の重合媒質の減少によって重合が遅くなるような、圧力が低下した期間には、重合速度が遅くなるという欠点がある。この場合も、生産性の向上は高くない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、該重合反応器の生産性が非常に顕著に向上した、塩化ビニルの重合温度の調節が可能である改善された方法を提供することを目的としている。
この目的のために、本発明は、油溶性開始剤を用いる、酸性pHでの、水性分散液中における、塩化ビニルのラジカル重合法であって、その重合媒質の温度は、有効量の、ラジカル重合の強力な無機禁止剤又はそのような禁止剤の前駆物質の、直接及び改良された注入によって、本質的に調節されていることを特徴とする重合法に関連している。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このラジカル重合の強力な無機禁止剤とは、本発明の目的のために、非常に少量を一回、すなわち塩化ビニルに対して約25ppm を越えない量を単回使用することで、重合を、限定された時間、完全かつ即時に停止するような、いずれかの無機化合物を意味する。実際には、重合が停止するための時間は、使用される禁止剤の量に正比例し、開始剤の量に反比例している。
前述の強力な無機禁止剤とは対照的に、先行技術の重合抑制剤は、同じ条件下において、より長い持続性の効果によって重合を遅延させるだけの、弱い禁止剤である。
【0006】
本発明の方法において使用することができる強力な無機阻害剤の例は、ヨウ素及び一酸化窒素、並びにそれぞれの前駆物質、すなわちこの場合はアルカリ金属のヨウ化物又は亜硝酸塩であるということができる。前駆物質とは、重合条件下で、その場で、強力な禁止剤を形成することができる化合物を意味する。従って、酸性pH(すなわちpHは7を越えない)の、塩化ビニルの水性分散液中における重合条件下で、アルカリ金属の亜硝酸塩は、分解し、一酸化窒素を発生する。さらに、アルカリ金属のヨウ化物の、ヨウ素へのその場での転化は、適量の過酸化化合物、例えば過酸化水素、又は水に一定量溶解する代わりの有機過酸化化合物の、反応媒質への添加によって、得ることができる。
強力な無機禁止剤(又はその前駆物質)は、都合が良いことに、非常に希薄な水溶液の状態で使用され、このことは、前述の強力な無機禁止剤(又はその前駆物質)の非常に正確な定量、並びに微量の強力な無機禁止剤(又はその前駆物質)の瞬間的な適時注入による、重合媒質の温度調節を可能にする。使用される水溶液の濃度は、重要ではない。理想的には、これは、禁止剤を約0.1 〜5g/リットル(又は等量の前駆物質)、さらに詳細に述べると約0.5 〜2g/リットル含むことができる。
それらの水への高い溶解度のために、アルカリ金属のヨウ化物又は亜硝酸塩の使用が好ましく、これらはヨウ素及び窒素酸化物の各々の前駆物質である。アルカリ金属のヨウ化物又は亜硝酸塩の例として、ナトリウム及びカリウムのヨウ化物又は亜硝酸塩を挙げることができる。中でも、ヨウ化物が好ましい。特に好ましい強力な無機禁止剤は、ヨウ化カリウムであり、これはヨウ素の前駆物質である。
酸性pHの確立、つまりpHは7を越えないことに関して、少量の残留酸素が存在している場合には、塩化ビニル重合媒質の酸性化が、その重合の開始時に自発的に生じることは公知である。必要であるならば、重合媒質の酸性pHは、非酸素酸、例えば塩酸、硫酸又はリン酸を適量使用する酸性化によって、確立することができる。
【0007】
重合サイクルを通して使用される強力な禁止剤の全量は、当然個々の場合において、重合の一般的な条件、特に重合温度及び油溶性ラジカル開始剤の性質及び量によって決まるであろう。特徴として、該重合サイクル中に、重合媒質の温度を直接調節するために使用される強力な無機禁止剤の全量は、使用される塩化ビニルに対し一般に約75ppm を越えず、かつ最も頻繁には約60ppm を越えない(又は等量の前駆物質) 。さらに、該重合サイクル中に使用される強力な無機禁止剤の全量は、使用される塩化ビニルに対し一般に少なくとも約2ppm 、最も頻繁には少なくとも約5ppm (又は等量の前駆物質) である。
禁止剤の前駆物質を用いる場合には、当然適量の強力な無機禁止剤を、その場で生成するような量に適応させることが望ましい。
同様に、前記の強力な禁止剤の流量は、重合の一般的な条件によって決まり、かつ重合サイクルを通して一定ではなく、重合温度が上昇する時点で、該禁止剤の注入を行う。一般に、強力な無機禁止剤の1時間の流量は、使用される塩化ビニルに対し約40ppm (又は等量の前駆物質) を越えることはない。
【0008】
従って、本発明の方法の注目すべき改善点は、該重合媒質の温度を、前述の二重ジャケットによって得られる冷却能とは関係なく、高い精度で調節することができるという事実である。当然の結果として、本発明の方法は、重合反応器の生産性を非常に顕著に向上することになる、より大きい開始剤の充填を可能にする。
該反応媒質の温度の変化に瞬時に反応する、前記の強力な無機禁止剤(又はその前駆物質)の改良された注入用の装置は、重要ではない。従って、禁止剤の注入は、その目的のために公知である、いずれかの手動調節装置、又はコンピュータ制御が適している場合には自動の調節装置によって行うことができる。実際には、強力な無機禁止剤(又はその前駆物質)の貯蔵タンクは、該重合反応器の圧力に対してわずかに正圧であるように、都合がよいことには窒素の正圧、例えば約1.2 bar の正圧下に置かれる。該禁止剤(又はその前駆物質) の水溶液の注入時の流量は、例えば空気弁を使って調節することができ、かつ質量流量計によって測定される。
前記の強力な禁止剤の直接の注入によって温度調節が始まる時間は、重大ではない。一般に、その循環路内の冷却液が、予定の温度限界、例えば約20又は25℃に達すると同時に、直接の注入による調節が始まる。
【0009】
前述の本発明の方法の特徴的な態様の他の、該重合の一般的条件は、水性分散液中における、酸性pHでの、通常の塩化ビニルのラジカル重合で使用される条件と同じである。
本発明の目的に沿った塩化ビニルの重合とは、塩化ビニルの単独重合、及び塩化ビニルとラジカルな反応によって重合可能な他のエチレン系不飽和モノマー類との共重合を意味している。本発明の方法において使用することができる通常のコモノマーの例として、オレフィン類、ハロゲン化オレフィン類、ビニルエーテル類又はビニルエステル類、さらにはアクリル酸エステル類、ニトリル類及びアミド類を挙げることができる。これらのコモノマーは、共重合において使用されるコモノマー混合物の50モル%、最も頻繁には35モル%を越えない量で使用される。本発明の方法は、特に塩化ビニルの単独重合に適している。
【0010】
ラジカル開始剤を使用する水性分散液中のラジカル重合は、周知の水性の懸濁重合法及び水性の微小懸濁重合法を意味する。
水性の懸濁重合において、重合は、通常の分散剤、例えば水溶性セルロースエーテル類、特にけん化されたポリ(酢酸ビニル)類(ポリビニルアルコール類として公知である)、及びそれらの混合物の存在下で、脂溶性(liposoluble) の開始剤を用いて行われる。同時に分散剤として、界面活性剤を使用することも可能である。使用される分散剤の量は、一般に使用される塩化ビニルに対し0.7 〜2.0 重量‰の範囲を変化する。
均質化された水性分散液の重合としても知られている、水性の微小懸濁重合において、モノマー液滴の乳濁液は、一般に陰イオン乳化剤のような乳化剤の存在下での、激しい機械的な攪拌によって製造され、重合は脂溶性の開始剤を用いて行われる。
本発明の方法は、水性の懸濁重合に適用する場合に特に優れている。
【0011】
いずれの脂溶性の開始剤も、本発明の方法の水性の微小懸濁重合又は懸濁重合において、通常の量、使用されるモノマー(複数)に対して、約0.5 〜2.0 重量‰、又は約4重量‰に達するようなそれ以上の量で使用することができる。それらの例として、過酸化ジラウロイル及び過酸化ジベンゾイル、アルキルペルピバレート類のようなペルオキシエステル類、ペルオキシジカーボネート、又は代わりにアゾ化合物がある。本発明の好ましい実施態様において、前述の油溶性のラジカル開始剤は、ジアルキルペルオキシジカーボネート、さらに詳細に述べると、そのアルキル基が炭素原子を6個以上有さないようなジアルキルペルオキシジカーボネートから選択される。特に好ましいジアルキルペルオキシジカーボネートは、アルキル基が炭素原子を4個以上有さないものである。このような開始剤の使用には、多くの利点がある。第一に、これらは、水への溶解度は大変低いが、それはその場で好ましい強力な無機禁止剤、この場合は前駆物質であるアルカリ金属のヨウ化物からヨウ素を生成することを可能にするのに十分である。さらに、該サイクルの終了時に任意に重合媒質中に存在し、本方法で得られる塩化ビニルポリマー類の温度安定性に影響するような、ジアルキルペルオキシジカーボネートの残留物又は過剰物は、この重合サイクルの終了時に、その媒質の塩基化によって、容易に破壊される。そのために、それ自身公知であるアルカリ金属の水酸化物又は水酸化アンモニウムを使用し、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物に比して塩化ビニルポリマー類の電気特性に影響しないというさらに優れた点を持つ、水酸化アンモニウムを使用する。
【0012】
従って、本発明の方法を、アルキル鎖が炭素原子を4個以上有さないようなジアルキルペルオキシジカーボネートを用いる、水性懸濁液における、塩化ビニルの単独重合の温度調節に適用すること、並びにさらに、重合媒質の温度を直接調節するための、強力な無機禁止剤として、(少なくとも)1種のヨウ素の前駆物質であるアルカリ金属のヨウ化物を、希薄水溶液の形で使用することは、特に好ましい。
前述のように、酸性pH(pHは7を越えないことを意味する)は、いくつかの場合には、重合以前の反応器中に存在している残留酸素量の作用で、自然に確立される。必要であるならば、適量の非酸化性無機酸を該媒質に添加し、酸性pHを確立する。さらに都合がよいことに、pHは、約3〜5の範囲で確立される。
この重合温度は、一般に約40〜80℃である。本発明の方法は、温度65℃以下、さらに詳細に述べると55℃以下での重合において、特に適し、これは、まさに重合の終了時の自動促進効果が最も顕著な温度である。使用される水の量は、一般に水の全重量は、水及びモノマー類の全重量の50〜65%である。
【0013】
本発明の方法によって得られた塩化ビニルポリマー類は、それらの重合媒質から、通常の方法で、一般には残留モノマー (複数) の精製が行なわれた後に、単離される。
従って、本発明の方法は、特に該重合を恒温で実施するという意図で、重合媒質の温度を調節するための非常に正確で容易な方法を可能にし、これは、前述の二重ジャケットを使って得られる冷却能を、不要にすることが可能であり、かつ非常に評価できる生産性の増加、最も頻繁には20〜25%の増加をもたらす。
【0014】
【実施例】
下記の実施例は、本発明を詳細に説明することを意図する。
実施例1及び比較例1〜2
実施例1及び比較例1〜2は、開始剤としてジエチルペルオキシジカーボネート(EPC) を用いる、53℃における、塩化ビニルの水性の懸濁重合に関する。
本発明の実施例1において、重合媒質の温度を、ヨウ化カリウムの直接の注入によって実質的に調節した。
比較例1は、重合の開始時に、弱い禁止剤を使用した。
比較例2も、重合の間、禁止剤を使用せず、その結果、重合媒質の温度は、該二重ジャケット内を循環している冷却水によってのみ調節された。
比較例1及び2は、重合サイクル間の最大温度勾配が、実施例1において達成されたものと同じであるように、開始剤の量を調節した。温度勾配とは、重合媒質と該二重ジャケット内を循環している冷却水との温度差を意味する。
【0015】
実施例1
脱塩された水 1860kg 、ポリビニルアルコール 1.50kg、及びジエチルペルオキシジカーボネート(EPC) 0.90kgを、室温で、攪拌しながら(50rpm) 、スターラー及び二重ジャケットが装着された、容量3.9mの反応器に入れた。この反応器を、密封し、攪拌を停止し、かつこの反応器を部分真空(約79.8mbar(60mmHg)) 中に5分間放置した。攪拌(100rpm )を再開し、次に、塩化ビニルを 1330kg を添加した。その後この媒質を、53℃まで昇温し、その後冷水を、該二重ジャケット内を循環させた。この重合媒質が53℃に達した瞬間に、重合サイクルが始まったとみなした (=時間t) 。
+2 時間15分後、該二重ジャケット内を循環している冷却水の温度が20℃の域値に達した時 (この時許容可能な最低温度に近い) 、ヨウ化カリウムを1g/リットル含む水溶液を、重合媒質中に調節しながら注入することによって、重合媒質の温度を調節するように転換した。
3時間30分間操作した後(tから計って) 、この反応器の圧力は1.5kg/cmまで低下した。連続的に、アンモニア0.35kgの添加、未転化の塩化ビニルの脱気、かつ冷却を行うことによって、この重合を停止した。生成したポリ塩化ビニルは、常法で該水性懸濁液から単離した。
該媒質の温度を一定に保つためのヨウ化カリウムの流量は、0〜25ppm/時の範囲を変動し、かつ重合サイクル中に、注入されたヨウ素の全量は、24ppm であった。
【0016】
下記の表1は、重合の一般条件、すなわち開始剤の種類及び使用された塩化ビニルに対する使用量(‰)、禁止剤の種類及び使用された塩化ビニルに対する使用量(ppm) 、さらに一定圧力下での重合時間、及び圧力が1.5kg/cmに下がるまでにかかった全時間、並びに最後に、温度勾配の平均及び最大値、すなわち反応媒質の温度、つまり全実施例で53℃と、二重ジャケット内を循環している冷却水の温度との温度差(℃) の平均及び最大値を示した。最大勾配と平均勾配の差は、わずか数度( ℃) であったことを特記しなければならない。従って、該反応媒質の温度調節の大半は、全部でヨウ素約18ppm と等しい量の、ヨウ化カリウム水溶液の直接の注入によってもたらされた。
【0017】
比較例1
比較例1は、強力な無機禁止剤によって反応媒質の温度調節を行う代わりに、重合開始時に弱い禁止剤、この場合は150ppmに相当する初電荷を有した2,6−ジタートブチル−p− ヒドロキシトルエン(BHT) を使用し、かつEPC 使用量は、実施例1に似た最大温度勾配を得るために、40%(すなわち0.54kg) まで減らすこと以外は、全ての点で、実施例1に従った。
圧力が1.5kg/cmに下がるために要した反応時間(実施例1と比較)は、5時間35分であった(表1と比較)。
比較例2
比較例2は、重合調節剤を使用しないこと、並びに実施例1で得られたものに似た最大温度勾配を得るために、開始剤の量を、60%(すなわち0.34kg) まで下げたこと以外は、全ての点で、実施例1に従った。
全体の重合時間 (圧力が1.5kg/cmに下がるまでの時間)は、6時間30分であった。
【0018】
実施例2及び比較例3
実施例2及び比較例3は、53℃での、ミリスチルペルオキシジカーボネート(MYPC)を用いた、水性の懸濁重合に関する。
本発明の実施例2において、重合媒質の温度は、ヨウ素の直接の注入によって実質的に調節された。比較例3においては、禁止剤を使用せず、重合媒質の温度は、二重ジャケット内を循環する冷却水によってのみ調節した。
実施例2
実施例2は、MYPC 2.13kg を使用した以外は、実施例1に従った。
+1時間30分後、冷却水の温度が28℃に達した時 (この時許容可能な最低温度に近い) 、ヨウ素を0.2 g/リットル含む水溶液の注入を開始した。圧力が1.5kg/cmに下がるまでの時間に相当する、全体の重合時間は、4時間35分であった。
このヨウ素の流量は、0〜10ppm/時の範囲を変動し、かつ注入されたヨウ素の全量は、18ppm であった。
比較例3
比較例3は、いずれの禁止剤も使用せず、かつMYPC開始剤の量を、約50%に減少した(すなわち1.05kg) 以外は、実施例2に従った。
圧力が1.5kg/cmに下がるまでの時間に相当する、全体の重合時間は、6時間15分であった(表1参照)。
【0019】
実施例1及び2と、比較例1、2及び3の結果のそれぞれの比較は、本発明の方法によってもたらされた反応器の生産性が、非常に実質的に増加したことを明確に示した。
実施例1及び比較例2から得られるポリ塩化ビニル類の、190 ℃における、熱安定性を、下記の組成物をローラーミキサーで180 ℃、30分間混合することによって得られた、クレープについて評価した。
成分 重量部
ポリ塩化ビニル 100
ジオクチルフタレート 60
加工助剤 2
潤滑剤 0.2
オクチル化スズ 安定剤
実施例1で生成されたポリ塩化ビニルを含有する組成物の、190 ℃における熱安定性は、38分であり、かつ比較例2で生成されたポリ塩化ビニルを含有する組成物の熱安定性は、36分であった。
分単位で表される190 ℃における熱安定性とは、クレープが、190 ℃で、暗化(darken)するまでの時間を表す。
【0020】
【表1】
Figure 0003573804

Claims (8)

  1. 油溶性の開始剤を用い、酸性pHにおいて、水性分散液中で行われ、重合媒質の温度が調節される、塩化ビニルのラジカル重合法であって、有効量のラジカル重合の無機禁止剤又はそのような禁止剤の前駆物質の、重合媒質の温度の上昇に瞬時に反応するようになっている直接注入によって、重合媒質の温度を実質的に調節し、該無機禁止剤が、ヨウ素、一酸化窒素、並びにそれぞれのアルカリ金属のヨウ化物及び亜硝酸塩である前駆物質から選択されることを特徴とする、ラジカル重合法。
  2. 前記無機禁止剤が、アルカリ金属ヨウ化物類又はアルカリ金属亜硝酸塩類から選択され、これらがそれぞれ、ヨウ素前駆物質及び一酸化窒素前駆物質である、請求項記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  3. 前記無機禁止剤が、ヨウ素の前駆物質である、アルカリ金属のヨウ化物類から選択される、請求項記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  4. 前記無機禁止剤又はその前駆物質が、希薄水溶液の形態で使用される、請求項1記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  5. 重合サイクルの過程において使用される無機禁止剤の全量が、塩化ビニルに対して約75ppmを越えない、もしくは等量の該前駆物質である、請求項1記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  6. 重合サイクルの過程において使用される無機禁止剤の全量が、塩化ビニルに対して少なくとも約2ppm、もしくは等量の該前駆物質である、請求項1記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  7. 水性の懸濁重合に適用される、請求項1記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
  8. アルキル基が炭素原子を6個以上有さないような、ジアルキルペルオキシジカーボネート類から選択された、油溶性開始剤を用いる重合に適用される、請求項1記載の塩化ビニルのラジカル重合法。
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