JP3802999B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体の製造方法に関し、特に可塑剤吸収性のバラツキが少なく、且つ抗初期着色性、熱安定性共に良好な塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体及びこれと共重合可能な単量体との単量体混合物を水媒体中で重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法においては、得られる塩化ビニル系重合体の抗初期着色性及び熱安定性を改良し、また重合率を一定に保って重合体の可塑剤吸収性のバラツキを少なくする等の目的で、酸化防止剤の添加が行われている。この酸化防止剤は、異常反応時における緊急反応停止の目的で添加される場合もある。
【0003】
酸化防止剤の添加時期は、重合開始前;重合中の重合器内の圧力(以下、内圧という)が変化しない間;重合末期において内圧が低下した時点;重合終了後の残存未反応単量体の回収前、回収中又は回収後等であるが、特に酸化防止剤は重合停止作用があることから、通常は重合末期において内圧が低下した時点で重合停止を兼ねて重合混合物に添加されている。酸化防止剤の添加方法としては、(1)常温(20〜25℃、以下同じ)で液状の酸化防止剤を直接重合混合物中に添加する方法(特公平7−113041)、(2)常温で粉末状の酸化防止剤をメタノール、トルエン等の有機溶媒に溶解し、溶液としてポンプにより圧入、添加する方法、(3)前記粉末状酸化防止剤を、乳化剤や懸濁剤を用いて水性分散液としてポンプにより圧入、添加する方法(特公平5−86407)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの添加方法で使用される酸化防止剤としては数多く提案されている。しかし、これらの酸化防止剤は各々特有の性能を有しており、例えば、重合停止能力は不十分であるが、液状であるため操作性が良好で、且つ重合後の排水中のCODが低いものや、重合停止能力は十分であっても、重合体の抗初期着色性や熱安定性を低下させてしまうもの、粉末状であるために有機溶媒に溶解する必要があり、その結果、重合排水中のC0Dを高めてしまうもの等、一長一短があり、一種類の酸化防止剤で全ての要求を満足させるものは得られていないのが現状である。
即ち、常温で液状の酸化防止剤を直接重合混合物中に添加する方法(1)では、添加する酸化防止剤量が少なくなると、重合停止能力が不十分となったり、重合体の抗初期着色性や熱安定性が低下する等の問題が残されていた。
【0005】
常温で粉末状の酸化防止剤を有機溶媒に溶解した溶液を添加する方法(2)では、塩化ビニル単量体を水媒体中で重合する場合、酸化防止剤の溶解に用いた有機溶媒が重合後の排水中に排出され、その結果、排水中のCODが増大する問題がある。また、用いた溶媒が塩化ビニル系重合体中に含まれ、製品及び加工時の臭気の原因となったり、未反応単量体を回収する際に回収単量体中に混入する等の問題も生じる。更に、酸化防止剤の種類によっては各種有機溶媒への溶解性が低いものもあり、この場合は、有機溶媒の使用量が増大し、上記問題は更に深刻となる。
【0006】
また常温で粉末状の酸化防止剤を乳化剤や懸濁剤を用いて水性分散液として添加する方法(3)では、二種以上の酸化防止剤を一つの安定な水性分散液として得ることは通常困難であるため、二種以上の酸化防止剤を用いるためには、各々専用の添加設備(タンク、配管、ポンプ等)が必要であり、その結果、コストアップになってしまうという問題があった。
更にいずれの添加方法でも、重合率を一定に保つことが困難で、可塑剤吸収性のバラツキが少ない塩化ビニル重合体を得ることは困難であった。
【0007】
従って本発明の課題は、操作性が良好で、少量の酸化防止剤で十分な重合停止能力を有し、可塑剤吸収性のバラツキが少なく、且つ抗初期着色性、熱安定性共に良好な塩化ビニル系重合体が得られる塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものとして、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体及びこれと共重合可能な単量体の混合物を水媒体中で重合させる工程、及び酸化防止剤を添加する工程を含む塩化ビニル系重合体を製造する方法であって、前記酸化防止剤として、20℃で液状の酸化防止剤Aと20℃で粉末状の酸化防止剤Bとの混合酸化防止剤を添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる20℃で液状の酸化防止剤Aは、融点が20℃以下の酸化防止剤であればよい。このような酸化防止剤としては、20℃で液状であり、かつ一般式(1):
【0010】
【化2】
(式中、R1は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、R2及びR3は独立に水素原子、又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。)
で表される化合物が好適である。
【0011】
一般式(1)において、R1の具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、イソプロピル基等が好ましく、またR2及びR3の具体例としては、水素原子、t−ブチル基、sec−ブチル基等が好ましい。
上記の20℃で液状であり、かつ一般式(1)で表される化合物の好ましいものとしては、2−イソプロピルフェノール(融点16℃)、2−t−ブチルフェノール(融点−5℃)、2−t−アミルフェノール(融点−5℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノール(融点18℃)等が挙げられる。特に好ましいものは、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノールである。
【0012】
20℃で粉末状の酸化防止剤Bは、融点が20℃を超える酸化防止剤、好ましくは融点が35℃以上の酸化防止剤であればよい。このような酸化防止剤Bとしては、塩化ビニル系重合体の製造において一般に用いられる融点が20℃を超える油溶性酸化防止剤、例えば、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点75〜79℃)、t−ブチルヒドロキシアニソール(融点57℃以上)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(融点208〜212℃)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(融点130〜133℃)、2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(融点116℃以上)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(融点69℃以上)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール(融点43℃以上)、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール(融点140℃)、n−オクタデシル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(融点50〜54℃)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(融点152〜154℃)、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)(融点161〜164℃)、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(融点120℃)等のフェノール化合物;サイクリックソオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)(融点45〜50℃)等のリン化合物;ジラウリルチオジプロピオネート(融点38℃以上)、ジミリスチルチオジプロピオネート(融点49〜54℃)、ジステアリルチオジプロピオネート(融点59℃以上)等の硫黄化合物等が挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても用いられる。これらのうちで、重合禁止能力が良好で、重合器へのスケール付着が少ない等の点で、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4.4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、t−ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルハイドロキノン及びn−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
【0013】
本発明で使用される混合酸化防止剤は、20℃で液状の酸化防止剤Aと20℃で粉末状の酸化防止剤Bとを混合することにより調製される。こうして得られる混合酸化防止剤は酸化防止剤Aと酸化防止剤Bとの混合比にもよるが、通常、液状(溶液又は分散液)である。酸化防止剤Aと酸化防止剤Bとの混合比(A/B)は、9/1〜2/8(重量比)の範囲が好ましく、8/2〜3/7の範囲がより好ましい。液状酸化防止剤Aの割合が少なすぎると、混合酸化防止剤の粘度が上昇したり、液状にならないことがあり、また多すぎると、酸化防止剤Bの特徴が発揮できなくなる(例えば重合禁止能力が向上しない等)ことがある。なお、混合酸化防止剤の調製は、得られる混合酸化防止剤が固化しないような温度(通常20℃以上、好ましくは25℃以上)で行なう。また酸化防止剤の酸化を防止するために窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0014】
こうして得られる混合酸化防止剤は、溶液状又は分散液状が好ましく、また均一溶液を得るためにメタノール、エタノール等の有機溶媒を加えてもよい。但し、有機溶媒を加える場合は重合排水のCODを低く抑えるという観点から、有機溶媒量は、有機溶媒と混合酸化防止剤との合計量に対して60重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下とする。
【0015】
酸化防止剤の添加時期としては、重合前;重合中の内圧が変化しない間;重合末期において内圧が低下した時点;或いは重合終了後の残存単量体回収前、残存単量体回収中、又は残存単量体回収後が挙げられる。特に、重合末期において内圧が低下し始め、該内圧が所定のO.3〜1.0 MPaとなった時点で添加することにより、本発明の効果を著しく発揮することができる。
【0016】
混合酸化防止剤の添加量は、通常、重合器に仕込まれる塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体及びこれと共重合可能な単量体の混合物(以下、該混合物を塩化ビニルを主成分とする単量体混合物という)100重量部当たり、通常O.O001〜O.5重量部である。この添加量は、内圧がO.3〜1.OMPaの時点で添加する場合、重合反応をいっそう有効に停止することができ、且つ抗初期着色性がいっそう良好な重合体が得られる点から、O.001〜O.05重量部とすることが好ましい。
【0017】
本発明で使用される単量体原料は、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体を主成分とする単量体混合物である。塩化ビニル単量体を主成分とする単量体混合物は、少なくとも50重量%の塩化ビニルと、残部が塩化ビニルと共重合可能な他の単量体とからなる混合物である。塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等の、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。
【0018】
本発明方法は従来の塩化ビニル系重合体の製造方法と同様、以上のような単量体原料を水媒体中、分散助剤及び重合開始剤の存在下で重合することにより行われる。
【0019】
ここで使用される分散助剤は、特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に使用されているものでよい。この分散助剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、水溶性部分鹸化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレエート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤などが挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても使用できる。使用量は単量体原料100重量部に対し、通常0.01〜3重量部の範囲である。
【0020】
本発明方法で使用される重合開始剤も特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に用いられているものでよい。例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド等の過酸化物;アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても使用できる。使用量は単量体原料100重量部に対し、通常0.01〜1重量部の範囲である。
【0021】
水媒体としては、水(純水又は脱イオン水)が使用される。水媒体の使用量は使用量は単量体原料100重量部に対し、通常80〜300重量部の範囲である。
重合における他の条件、例えば、重合器への水媒体、単量体原料、分散助剤、重合開始剤等の仕込み方法、仕込み割合、重合温度なども従来と同様でよい。例えば、重合温度は40〜70℃程度である。また重合法としては懸濁重合、乳化重合のいずれでもよい。
【0022】
本発明方法においては、必要に応じて塩化ビニル系重合体の製造に一般的に使用されている重合度調整剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良剤、耐電防止剤などを適宜使用することもできる。また、酸化防止剤を重合反応の制御、生成重合体の劣化防止などの目的で、重合開始前、重合中の内圧が変化しない間、あるいは重合終了後に重合混合物又は重合反応生成物に添加することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
内容量2m3のステンレス製重合器に脱イオン水980kg、ケン化度80.5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール382g、及びメトキシ置換度28.5重量%及びヒドロキシプロポキシ置換度8.9%のヒドロキシプロピルメチルセルロース143gを仕込んだ。重合器内を内圧が60mmHg(-0.09MPa)となるまで脱気した後、塩化ビニル単量体700kgを仕込んだ。攪拌しながら、重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート350gを仕込み、同時に重合器のジャケットに温水を通して昇温を開始することにより重合を開始し、更に重合器内が57.O℃に昇温したところで、この温度を保ち重合を続けた。
重合器内の圧力が0.588MPaに低下した時点(この時の重合率は86%)で、重合器内に、表1に記載の酸化防止剤液I(25℃で調製)を、表1に記載の量添加した。重合終了後、重合器から未反応単量体を回収し、得られた重合体スラリーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得た。
得られた重合体の可塑剤吸収性、抗初期着色性、熱安定性及び嵩比重を下記の方法で測定すると共に、製造工程から排出される重合排水のCODをJIS K0102に準拠して測定した。結果を表2に示す。
【0024】
可塑剤吸収性:
重合体400gを、ジャケット温度を80℃に調節した攪拌機付きブラベンダープラストグラフに投入して、攪拌しながら4分間予熱した後、DOP 200gを加えて、ドライアップするまでの時間を測定した。
【0025】
抗初期着色性:
重合体100重量部に、ラウリル酸すず1重量部、カドミウム系安定剤O.5重量部及びジオクチルフタレート50重量部を配合し、ロールを用いて160℃で5分間混練した後、混練物をプレス成形してシート状の試料を作成した。実施例1の重合体から得られたシート状試料を基準とし、初期着色がこれと同等のものを○、これよりやや多いものを△、著しく多いものを×と評価した。
【0026】
熱安定性:
抗初期着色性の測定用として作製した上記のシート状試料を、185℃に保ったギヤオーブン中に入れ、試料が黒化するまでの時間を測定した。
実施例2、比較例1〜3
酸化防止剤液Iの代わりに、表1に記載の酸化防止剤液II、III、IV又はV(いずれも25℃で調製)を用いた以外は実施例1と同様にして塩化ビニル重合体を製造した。得られた重合体の可塑剤吸収性、抗初期着色性、熱安定性、重合排水のCODを実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
実施例1〜2及び比較例1〜3の結果から判るように、本発明方法により得られた塩化ビニル系重合体の可塑剤吸収性、抗初期着色性、熱安定性は何れも良好であり、また重合排水のCODは低かった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
※仕込み単量体100重量部に対する混合酸化防止剤(実施例の場合)又は酸化防止剤(比較例の場合)の重量部
【0029】
実施例3
内容量100L(リットル)のステンレス製重合器に脱イオン水60kg、ケン化度80.5モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール18g、メトキシ置換度28.5重量%及びヒドロキシプロポキシ置換度8.9%のヒドロキシプロピルメチルセルロース12g、及び重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート21gを仕込んだ。重合器内を内圧が60mmHgとなるまで脱気した後、塩化ビニル単量体30kgを仕込み、攪拌しながら、ジャケットに温水を通して昇温を開始することにより重合を開始し、更に重合器内が57.0℃に昇温したところで、この温度を保ち重合を続けた。重合開始1時間後(重合中)、表1に記載の酸化防止剤液Iを30g添加した。この添加により、重合反応が大きく抑制され、重合が停止されたことが確認された。
【0030】
実施例4
酸化防止剤Iの代わりに酸化防止剤IIを30g添加した以外は実施例3と同様にして重合を行った。重合中に酸化防止剤IIを添加した時点で重合反応が大きく抑制され、重合が停止されたことが確認された。
【0031】
比較例4
酸化防止剤Iの代わりに酸化防止剤IVを30g添加した以外は実施例3と同様にして重合を行った。酸化防止剤IVを添加した時点で重合反応の抑制が不充分であり、重合が停止されなかったことが確認された。
実施例3〜4及び比較例4の結果から、本発明に用いられる混合酸化防止剤は重合停止能力が良好であることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、操作性が良好で、少量の酸化防止剤で十分な重合停止能力を有し、酸化防止剤専用の添加設備や有機溶媒を必要とせずに、可塑剤吸収性のバラツキが少なく、且つ抗初期着色性、熱安定性共に良好な塩化ビニル系重合体を得ることができる。
Claims (5)
- 前記一般式 (1) において、 R 1 がt−ブチル基、t−アミル基、またはイソプロピル基であり、R 2 及びR 3 が独立に水素原子、t−ブチル基、またはsec−ブチル基である請求項1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 前記液状酸化防止剤Aが、2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノールである請求項1又は2記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 前記酸化防止剤Bが、 3,5 −ジ− t −ブチル− 4 −ヒドロキシトルエン、トリエチレングリコール−ビス〔 3 − (3 − t −ブチル− 5 −メチル− 4 −ヒドロキシフェニル ) プロピオネート〕、 2,2' −メチレンビス (4 −エチル− 6 − t −ブチルフェノール ) 、 4,4' −ブチリデンビス (3 −メチル− 6 − t −ブチルフェノール ) 、 t −ブチルヒドロキシアニソール、 t −ブチルハイドロキノン及び n −オクタデシル 3 − (3,5 −ジ− t −ブチル− 4 −ヒドロキシフェニル ) プロピオネートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか一項記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 前記混合酸化防止剤を、重合中の重合器内の圧力が O.3 〜 1.0 MPa となった時点で添加する請求項1〜4のいずれか一項記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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