JP3571684B2 - 磁気抵抗非対称性を補正するための装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗ヘッドの分野に関するもので、特に該磁気抵抗ヘッドからの出力(読取り信号)の非対称性(磁気抵抗非対称性ともいう)を補正するための装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術および背景となる技術】
ディスク・ドライブで現在使用されている磁気抵抗ヘッド(以下、MRヘッドともいう)は、温度やバイアス・ポイント変化等の様々な理由による非対称パルスをしばしば生ずる。
【0003】
図2に示すような波形の非対称性は以下の式によって与えられる。すなわち、
【0004】
非対称性 = (最大値 − 最小値)/最大値
【0005】
もし最小値が30mVであり、最大値が60mV(絶対値)であるならば、非対称性は50%となる。このことを負の非対称性と定義する(図2参照)。
【0006】
非対称性の問題は、回路技術を用いる前に解決されてきてた。補正回路の目的は、そのような非対称波長を利用し、それを正及び負のパルスが等しくなるように(すなわち、対称となるように)整形する。
【0007】
米国特許第6,072,647号は、MRヘッドにおけるバイアス電流を変えることでMRヘッドの非対称性を補正する方法を開示している。これは、再生信号に基づいている。
【0008】
米国特許第6,043,943号(特公平10−214403号公報)はマッチング遅延回路を必要とする非対称性補正の方法を開示している。
【0009】
米国特許第5,943,177号は、ピーク検出及び整流回路に基づいた非対称性の検出方法及び補正の方法を開示している。また、この方法は信号の正及び負のローブを分けることを含む。
【0010】
特開平06−23410号公報は、MRヘッドにおけるバイアス電流を変化させる補正方法を開示している。
【0011】
米国特許第6,052,245号は、非対称性を補正するため積算方法の遅延に基づいたデジタル・インプリメンテーションである検出方法を開示している。
【0012】
米国特許第5,999,349号は、非対称性を補正するためのデジタル方法を開示している。この特許では、タップ重みが変化して波長の形状を変える方法が記載されている。しかし、この非対称性補正方法は複雑である。
【0013】
米国特許第5,986,831号は、複数の試料を複数のステータスに区分するデジタル・フイルタを使用し、続いて等化波形を生成する回路を使用するMR非対称性検出を処理する。
【0014】
米国特許第5,787,005号は、ピーク・ホールド回路に基づいた方法を開示している。
【0015】
従来の非対称性補正方法の多くがヘッド・バイアス電流の変化に依存し、または補正を実施する上でマッチング遅延回路の使用に依存していることから、パフォーマンスは制御困難であるレイアウト及びプロセス・パラメータに対してかなり依存するものである。
【0016】
したがって、制御困難なレイアウト及びプロセス・パラメータとは独立した改善された非対称性補正回路を提供し、それによって従来の問題点や限界を克服することが求められている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第1の目的は、磁気抵抗非対称性補正装置及び方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、磁気抵抗ヘッドからの非対称パルスが簡単かつ効果的に補正されるように上記の問題点を解決する磁気抵抗非対称性補正装置及び方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のそれらの目的及び他の目的は、以下に説明する方法及び装置によって達成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、補正の範囲と実際の回路の大きさから、模範的な実施形態のインプリメンテーションはBICMOS技術での読取りチャンネルに対して十分に適している。
【0021】
本発明の一態様によれば、模範的な実施形態例は研究室及びシミュレーションの両方で効果的であることが明らかになった。
【0022】
本発明の一態様によれば、模範的な実施形態例は磁気抵抗(MR)ヘッドの歩留まりを有利に増加させる。なぜなら、回路を読取りパスに置くことで、よりいっそう大きなヘッド非対称性を許容し、ドライブ上での許容エラー率を得ることが可能であろう。非対称性がより大きなヘッドを出荷することで、構成部品の歩留まりが増える。
【0023】
本発明の一態様によれば、非対称性の量の検出又は測定を行うことなく、非対称性の補正は有利に達成される。
【0024】
本発明の一態様によれば、本発明の模範的な実施形態例では、磁気抵抗(MR)ヘッドにおけるバイアス条件の変化が含まれない。その代わり、模範的な実施形態例は読取りチャンネルにおいて非線形及び線形差動段階を用いることによるアナログ波形の整形の新規な方法を用いる。
【0025】
本発明の一態様によれば、模範的な実施形態例は、正及び負のパルスが等しくなるように非対称性を補正する。
【0026】
本発明の一態様によれば、模範的な実施形態例は、従来の方法とはかなり異なる方法で非対称性を補正する。補正を実施する際にマッチング遅延回路に依存する既知の非対称性補正回路と比較して、本発明の模範的な実施形態例はマッチング遅延回路を必要としない。したがって、本発明の模範的な実施形態例の実施は、制御が困難なレイアウト及びプロセス・パラメータとは無関係である。
【0027】
本発明の一態様によれば、 磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性を補正するための回路装置は、シフト回路、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路を備える。ここで、シフト回路は、磁気抵抗ヘッドの読取り信号と読取り信号の任意の非対称性の極性を示す極性信号とを受信する。また、シフト回路は非対称性の極性に応じて、シフト値を読取り信号に対して加算又は除算することでシフトされた読取り信号を生成する。さらに、シフト回路は読取り信号、シフトされた読取り信号、及びシフト値を生成する。第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路は、それぞれ読取り信号、シフトされた読取り信号、及びシフト値を受信し、それぞれの制御信号を受信する。また第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路は、それぞれの制御信号に応じて増幅された出力をそれぞれが生成する。
【0028】
本発明の一態様によれば、それぞれの制御信号及び極性信号は、制御手段によって読取り信号から派生し、制御手段は読取り信号を受信し、読取り信号の任意の非対称性の極性を検出し、必要とする補正の量に応じて、シフト回路へ極性信号を与えるとともに、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路へ、それぞれの制御信号を与える。
【0029】
本発明の一態様によれば、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路からのそれぞれの出力を統合された出力として受信し、また統合された出力に作用するように任意の共通モードを補正する共通モード調整手段を有する。また、共通モード調整手段は共通モード・フィードバック回路を有するものであてもよい。さらに、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路からのそれぞれの出力を受信し、また共通モード調整手段へ統合された出力を与える一対のエミッタ・フォロワを有するものであってもよい。
【0030】
本発明の一態様によれば、制御手段は、読取り信号を受信し、読取り信号での任意の非対称性及び任意の非対称性の極性を検出し、極性信号を生成し、さらに必要とする非対称性の補正量を示すデジタル補正信号を生成する検出手段と、デジタル補正信号を受信し、必要とする補正量に応じて第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路に対してそれぞれの制御信号を生成するデジタル・アナログ変換器とを有する。
【0031】
本発明の一態様によれば、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路は、所定の相互コンダクタンス特性を持つ差動増幅器対を有し、所定の相互コンダクタンス特性は差動増幅器対の一方の側へ電流を印加することで変化する。第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路は、一実施形態例として差動バイポーラ・トランジスタ対であってもよい。
【0032】
本発明の一態様によれば、磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、読取り信号の非対称性の量と検出された非対称性の極性とを検出するステップと、変更されていない読取り信号を受信する線形利得段階である第1の利得段階、検出された非対称性の極性に基づいてシフト値によって変更された読取り信号を受信する非線形利得段階である第2の利得段階、及びシフト値を受信する第3の利得段階のそれぞれの出力を統合することによって補正された読取り信号を生成するステップとを有する。ここで、第1の利得段階、第2の利得段階、及び第3の利得段階は、検出された非対称性に基づいて制御された利得をそれぞれが有する。
【0033】
本発明の上記態様及びそれらとは別の態様は、以下の詳細な説明によって明らかになるだろう。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態例を説明する。なお、以下に説明する実施形態例はあくまでも例として示すものであり、特定の物理的構成に本発明の概念を限定するために構成されるものではないことに留意すべきである。
【0035】
既に説明したように、ディスク・ドライブに現在使用される磁気抵抗(MR)ヘッドは、温度及びバイアス・ポイントの変動等、様々な理由で非対称パルスをしばしば生ずる。以下に説明する模範的な回路にインプリメントされた本発明の目的は、そのような非対称波形を利用し、正及び負のパルスが等しく(すなわち、対称的に)なるように整形することである。すなわち、非対称性の補正は、非対称性の量を検出又は測定することなく、有利に達成することである。
【0036】
図1は、本発明に基づく実施形態例としての磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置を説明するためのブロック図である。図1のブロック図では、磁気抵抗(MR)ヘッドブロック1が磁気抵抗(MR)ヘッド104を有するディスク・ドライブの磁気抵抗読取りチャンネルを構成する読取り経路内で可変利得増幅器102と低域濾波回路(ロー・パス・フィルタ)103との間にMR非対称性補正回路101が置かれている。図に示すように、磁気抵抗ヘッド読取チャンネルは、MRヘッド104、該MRヘッド104からの読取り信号を受信するとともに前置増幅した読取り信号を出力する前置増幅器105と、前置増幅した読取り信号を受信するとともに補正した読取り信号を出力する非対称性補正回路101と、前記補正した読取り信号を受信するとともに濾過した読取り信号を出力する低域濾波回路103と、濾過した読取り信号を受信するとともにそれを表すデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換器106とを有する。
【0037】
模範的実施形態例のインプリメンテーションは、BICMOS技術での読取りチャンネルに十分適しており、その理由として補正の範囲及び実際の回路の大きさが挙げられる。模範的実施形態のインプリメンテーションは、研究室及びシミュレーション実験で有効であることが示されている。模範的実施形態例は、MRヘッドの歩留まりを有利に増加させる。なぜなら、読取り経路内に回路を置くことでより大きなMRヘッド非対称性を許容し、デバイス上の許容可能なエラー率を得ることを可能とする。非対称性がよりいっそう大きいMRヘッドの出荷が可能であることから、構成部品の歩留まりを高めることができる。いくつかの従来の装置とは対照的に、本発明はMRヘッドにおけるバイアス状態を変化させることを有利に含まない。その代わりに、模範的実施形態例は読取りチャンネルにおいて非線形及び線形差動段を用いることによるアナログ波整形の新規な方法を用いる。また、補正を行う際にマッチング遅延回路に依存する他の周知の非対称性補正回路とは対照的に、本発明の模範的実施例は、マッチング遅延回路を必要としない。したがって、本発明の模範的実施形態例の実行は、制御が困難なプロセス・パラメータ及びレイアウトとは無関係である。
【0038】
本発明の模範的実施形態例に基づく磁気抵抗(MR)非対称性補正にインプリメントされた概念を以下に説明する。本発明の模範的実施形態例にもとづくMR非対称性補正回路101は、動作の2つの基本的モードを有する。第1のモードは正常モードである。MR非対称性補正回路101は、おおよそ1つの対称的な利得を有する信号を送る。第2のモードは補正モードである。信号を対称性のあるものにするために該信号に対して電流のかたちで補正が加えられる。
【0039】
この非対称性補正回路が根拠とする考えは、差動双極対が特定の相互コンダクタンス(GM)特性を持つということである。このGM特性は差動双極対の一方の側に対して電流が好ましく印加されることで変化する。線形化1:4:4:1差動双極対の典型的特性を図3に示す(同様に参照すべき文献:James R. Schmook, ”An Input Stage Transcoductance Reduction Technique for High−Slew Rate Operational Amplifiers”, IEEE Journal of Solid−State Circuits, vol. SC−10, pp. 407−411, Dec. 1975)。
【0040】
信号が通過すると、得られたそのような線形化差動双極対Vout対Vinを図4に示す。入力信号は、Vin=0Vを基準にして対称的となる。
【0041】
差動対が非線形である場合のGM特性を図5に示す。そのような差動双極対はよりいっそう小さく、そのことは図5から明らかである。図6は、図5のGM特性を有する非線形化差動双極対から得たVout対Vin特性を示す。これらの効果を組み合わせることで非対称性波形を補正することができることが分かる。
【0042】
ここで上記した新規概念の模範的回路のインプリメンテーションを図7及び図8を参照しながら説明する。図7及び図8は、本発明の模範的実施形態例にもとづいた図1のMR非対称性補正回路101を説明するための回路図で、図7はMR非対称性補正回路101の一部を示し、図8は、図7と接続したMR非対称性補正回路101の残りの部分を示し、図7と図8とは相互に続く。
【0043】
概ね、図7及び図8を参照すると、MRヘッド非対称性を補正するための回路装置は、MRヘッドからの読取り信号(Vin)と読取り信号の非対称性の極性検出に基づいた入力制御信号(極性)を受信するシフト回路とを有する。非対称性の極性に応じて、シフト回路704は読取り信号に対してシフト電圧を加算又は除算のいずれか一方を行うことでシフトされた読取り信号を生成する。シフト回路704は読取り信号、シフトされた読取り信号、及びシフト電圧を出力する。第1、第2、及び第3の利得回路701、702、及び703がそれぞれ与えられ、各々がデジタル・アナログ変換器(DAC)707から各々の制御信号を受信する。第1、第2、及び第3の利得回路701、702、及び703は、受信した各々の制御信号に基づいて該制御信号の大きさに比例して増幅された出力信号をそれぞれ出力する。
【0044】
検出回路708は、読取り信号Vin から所望の補正量及びその極性における非対称性を検出し、所望の補正量に応じた制御信号を第1、第2、及び第3の利得回路701、702、及び703へDAC707を介して送り、極性に関する信号を極性の切り換え及びシフト制御を行うシフト回路704へ送る。検出回路708は、デジタル制御ループを有するものであってもよく、所望の補正量は、例えば該デジタル制御ループによって決定される。ここで、当業者が容易に理解できるように、検出回路708は当業者に知られている他の多数の形態のいずれかを採用したものであってもよい。
【0045】
コモンモード・フィードバック回路(CMFB)705は、波形整形で生じたコモンモードにおける変化を調整する。
【0046】
より詳細に実施形態例を検討することで、図7及び図8においてVinで示されるMRヘッド読取り信号は、2通りの方法で処理される。第1の方法では、MRヘッド読取り信号は変化することなく第1の利得回路(線形GM段階)701を通過し、一方他の方法では第2の利得回路(非線形GM1段階)702で所定量の補正(図7のVshift)がなされる。非対称回路は直流電流をGM対Vin曲線の1つの側に加え、直流オフセットが補正の間誘導される。
【0047】
したがって、第2の非線形差動対、すなわち何ら信号が印加されていない第3の利得回路(非線形GM2段階)703は、この効果をキャンセルするために使用される。図7及び図8の極性切り換え及びシフト制御回路704は、補正を正又は負の信号のいずれか一方に対して加えるために使用される。次に、これら3つの差動対(すなわち線形GM段階701、非線形GM1段階702及び非線形GM2段階703)の出力を合計し、エミッタ・ホロワ706を用いて共通モード・フィードバック回路(CMFB)705に接続する。
【0048】
全ての異なる差動対の電流は、DAC707によって制御される。補正量に基づいた電流変化は信号に必要である。補正量は、デジタル制御ループを介して決定される。図7及び図8に示す回路は、シミュレーション及び実験評価において最大で40%の非対称性を補正することができる。
【0049】
非線形差動対がシフト・アップして線形化差動対に加算された場合、図9に示すようなGM特性が生成される。したがって、Vout対Vin特性は、図10に示すようなかたちに変わる。図中、y軸の右側部分の曲線の勾配が左側部分の曲線の勾配よりも大きいことから、この差動対は信号の正の部分を高め、その一方で負の部分を維持する。このことは、正の補正(負の非対称性)と呼ぶことができ、正の側の増幅が負の側の増幅よりも小さい。負の補正(正の非対称性)のVout対Vin特性を図11に示す。
【0051】
非対称信号がこの回路の中に入力されると、非対称性の極性、すなわち正又は負の極性が測定から得られる。非対称性の極性に応じて、信号に対してVshiftが加算又は減算される。この非線形GM1段階702の段階で加えられたシフトは、線形GM段階701の直流点を変える。非線形GM2段階703は、GM1段階701からのものと等しい直流シフトを与えるが、該線形GM段階701が同一の直流レベルを持つように異符号である。
【0052】
したがって、制御信号KASYMは、アナログ・デジタル変換器(DAC)707に印加され、読取り信号内の非対称性のほとんどが無くなるまで増加し始める。KASYMが増加するので、よりいっそう多くの線形特性とよりいっそう劣った非線形特性のほとんどが波形の整形に適用される。このことは線形段階701における負荷抵抗器を通る電流を変化させるので、線形段階の共通モードが移動する。共通モード・フィードバック(CMFB)回路705は、低域濾波回路103(図1参照)に入力されるMR補正回路出力(Vout)の共通モードを補正する。
【0053】
クレームされた発明の装置を製造し、かつ使用する方法が図面を参照しながら説明した上記の好ましい実施形態例において十分に開示されていることは、当業者が容易に理解することができるだろう。
【0054】
また、上記した本発明の好ましい実施形態例に対して特許請求の範囲に記載した発明の範囲から逸脱することなく、本発明の等価物として種々の修正、変更、及び付加が可能である。
【0055】
上記の説明及び図面に示した本発明の好ましい実施形態例を構成する構成要素と等価な構成要素は、上記実施形態例を構成する構成要素と置き換えて使用することができる。しかし、このことは、と特定の等価物又はその組み合わせに対して特許請求の範囲によって規定された発明を限定するものではなく、全ての可能な等価物の徹底的な処理を意味するものでもない。当業者は、特許請求の範囲によって定められた本発明の精神及び範囲内で使用できる既知の、又はこれから開発される他の等価な構成要素があることを理解するだろう。
【0056】
例えば、上記の実施形態例は異なる双曲対が優先的に電流を異なる対の一面に加えることによって変化する特定の相互コンダクタンス(GM)特性を有するという考えに基づいているが、当業者は本発明が差動双曲対に限定されるものではないことを理解するだろう。差動対の一方の側又は他方の側の利得が調整可能である限り、任意の種類の差動利得段階、例えば電解効果トランジスタを有するものを使用することができる。
【0057】
まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
(1)磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性を補正するための装置であって、
シフト回路、第1の利得回路、第2の利得回路、及び第3の利得回路を備え、前記シフト回路は、磁気抵抗ヘッドの読取り信号と前記読取り信号の任意の非対称性の極性を示す極性信号とを受信するシフト回路を有し、前記非対称性の極性に応じて、シフト値を前記読取り信号に対して加算又は除算することでシフトされた読取り信号を生成し、また前記読取り信号、前記シフトされた読取り信号、及び前記シフト値を生成するシフト回路であり、さらに、
前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路は、それぞれ前記読取り信号、前記シフトされた読取り信号、及び前記シフト値を受信するとともに、それぞれの制御信号を受信し、また前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路は、前記それぞれの制御信号に応じて増幅された出力をそれぞれが生成することを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置。
(2) 前記それぞれの制御信号及び前記極性信号は、制御手段によって前記読取り信号から派生し、前記制御手段は前記読取り信号を受信し、前記読取り信号の任意の非対称性の極性を検出し、必要とする補正の量に応じて、前記シフト回路へ前記極性信号を与えるとともに、前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路へ、前記それぞれの制御信号を与えることを特徴とする上記(1)に記載の装置。
(3)前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路からの前記それぞれの出力を統合された出力として受信し、また前記統合された出力に作用するように任意の共通モードを補正する共通モード調整手段をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の装置。
(4)前記共通モード調整手段は共通モード・フィードバック回路を有することを特徴とする上記(3)に記載の装置。
(5)前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路からの前記それぞれの出力を受信し、また前記共通モード調整手段へ前記統合された出力を与える一対のエミッタ・フォロワをさらに有することを特徴とする上記(3)に記載の装置。
(6)前記それぞれの制御信号及び前記極性信号は、制御手段によって前記読取り信号から派生し、前記制御手段は前記読取り信号を受信し、前記読取り信号の任意の非対称性の極性を検出し、必要とする補正の量に応じて、前記シフト回路へ前記極性信号を与えるとともに、前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路へ、前記それぞれの制御信号を与えるもので、
前記制御手段は、
前記読取り信号を受信し、前記読取り信号での任意の非対称性及び前記任意の非対称性の極性を検出し、前記極性信号を生成し、さらに必要とする非対称性の補正量を示すデジタル補正信号を生成する検出手段と、
前記デジタル補正信号を受信し、必要とする補正量に応じて前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路に対して前記それぞれの制御信号を生成するデジタル・アナログ変換器とを有することを特徴とする上記(1)に記載の装置。
(7)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、
上記(1)に基づく装置を利用することを含むことを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
(8)前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路は、所定の相互コンダクタンス特性を持つ差動増幅器対を有し、前記所定の相互コンダクタンス特性は前記差動増幅器対の一方の側へ電流を印加することで変化することを特徴とする上記(1)に記載の装置。
(9)前記第1の利得回路、前記第2の利得回路、及び前記第3の利得回路は、差動バイポーラ・トランジスタ対を有することを特徴とする上記(8)に記載の装置。
(10)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、
上記(2)に基づく装置を利用することを含むことを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
(11)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、
上記(3)に基づく装置を利用することを含むことを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
(12)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、
上記(6)に基づく装置を利用することを含むことを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
(13)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号における非対称性を補正するための方法であって、
前記読取り信号の非対称性の量と前記検出された非対称性の極性とを検出するステップと、
変更されていない前記読取り信号を受信する線形利得段階である第1の利得段階、
検出された前記非対称性の極性に基づいてシフト値によって変更された前記読取り信号を受信する非線形利得段階である前記第2の利得段階、及び
前記シフト値を受信する第3の利得段階のそれぞれの出力を統合することによって補正された読取り信号を生成するステップとを有し、
前記第1の利得段階、前記第2の利得段階、及び前記第3の利得段階は、検出された前記非対称性に基づいて制御された利得をそれぞれが有することを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
(14)磁気抵抗ヘッド読取りチャンネルで読取り信号の任意の非対称性を補正する装置であって、
前記読取り信号の任意の非対称性と該非対称性の極性とを検出するための検出手段と、
前記検出手段に基づいて前記読取り信号の任意の検出された非対称性を補正するための補正手段と、
を備えたことを特徴とする装置。
(15)前記補正手段は、
前記検出手段から非対称性極性制御信号と前記読取り信号とを受信し、前記読取り信号、シフトされた読取り信号、及びシフト信号を出力する極性切り換え及びシフト制御回路手段と、
前記読取り信号、前記シフトした読取り信号、及び前記シフト信号をそれぞれ受信し、またそれぞれの出力を生成するために与えられた増幅の量を調整するそれぞれの別個の利得制御信号を各々が受信する第1の利得手段、第2の利得手段、及び第3の利得手段と、
前記第1の利得手段、前記第2の利得手段、及び前記第3の利得手段からの前記それぞれの出力を受信して統合された出力とし、該統合された出力で作用するように任意の共通モードを調整することを特徴とする上記(14)に記載の装置。
(16)前記補正手段は、さらに、
前記読取り信号における非対称性の量を示す前記検出手段からのデジタル信号を受信し、受信された前記デジタルに基づいて前記第1の利得手段、前記第2の利得手段、及び前記第3の利得手段へ前記それぞれの利得制御信号を与えるデジタル・アナログ変換手段を有することを特徴とする上記(15)に記載の装置。(17)前記磁気抵抗ヘッド読取りチャンネルは、
磁気抵抗ヘッドと、
前記磁気抵抗ヘッドからの読取り信号を受信し、前置増幅された読取り信号を出力するように結合した前置増幅器と、
前記前置増幅された信号を受信し、増幅された読取り信号を出力するように結合した可変利得増幅器と、
前記検出手段及び前記補正手段を有し、かつ前記増幅された読取り信号の受信及び補正された読取り信号の出力を行うように結合した補正手段と、
前記補正された読取り信号を受信し、かつ濾過された読取り信号を出力するように結合した低域濾波回路と、
前記濾過された読取り信号を受信し、該濾過された読取り信号を表すデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換器と、
を備えることを特徴とする上記(14)に記載の装置。
(18)前記第1の利得手段、前記第2の利得手段、及び前記第3の利得手段は、所定の相互コンダクタンス特性を持つ差動増幅器対をそれぞれ有し、さらに、前記所定の相互コンダクタンス特性は前記差動増幅器対の一方の側へ電流を印加することによって変化することを特徴とする上記(15)に記載の装置。
(19)前記第一の利得回路、前記第二の利得回路、及び前記第三の利得回路は、それぞれ異なる双極子対を有することを特徴とする上記(18)に記載の装置。
(20)磁気抵抗ヘッドからの読取り信号の非対称性を補正する方法であって、上記(14)に記載の装置の使用が含まれることを特徴とする磁気抵抗ヘッド非対称性補正方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例にもとづく磁気抵抗非対称性補正装置を説明するためのブロック図である。
【図2】負の非対称性の波形の一例を示すグラフである。
【図3】線形化双曲差動対の典型的な相互コンダクタンス(GM)特性を説明するためのグラフである。
【図4】図3のGM特性を有する線形化差動対から得たVout対Vin特性を説明するためのグラフである。
【図5】非線形化差動対の典型的なGM特性を説明するためのグラフである。
【図6】図5のGM特性を有する非線形差動対から得たVout対Vin特性を説明するためのグラフである。
【図7】図1に示す本発明の一実施形態例にもとづく磁気抵抗非対称性補正回路を説明するための図8に続くブロック図である。
【図8】図1に示す本発明の一実施形態例にもとづく磁気抵抗非対称性補正回路を説明するための図7に続くブロック図である。
【図9】正の補正(負の非対称性)について線形化差動対に対してシフトアップ及び加算がなされた非線形差動対のGM特性を示すグラフである。
【図10】正の補正(負の非対称性)について図9のGM特性を有する差動対のVout及びVin特性を示すグラフである。
【図11】負の補正(正の非対称性)についてVout対Vin特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 磁気抵抗(MR)ヘッド非対称性補正回路ブロック
101 MR非対称性補正回路
102 可変利得増幅器
103 低域濾波回路
104 磁気抵抗(MR)ヘッド
105 前置増幅器
106 アナログ・デジタル変換器
701 第1の利得回路(線形GM段階)
702 第2の利得回路(非線形GM1段階)
703 第3の利得回路(非線形GM2段階)
704 シフト回路(極性切り換え及びシフト制御回路)
705 共通モード・フィードバック(CMFB)回路
706 エミッタ・フロワ
707 アナログ・デジタル変換器(DAC)
708 検出回路
Claims (7)
- 磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性を補正するための装置であって、
磁気抵抗ヘッドの読取り信号から、補正量及び任意の非対称性の極性を検出する検出回路と、
前記読取り信号と前記極性を受信し、該読取り信号、シフト値及び該極性に応じて該読取り信号に対して該シフト値を加算又は減算することでシフトされた読取り信号を生成・出力するシフト回路と、
前記シフト回路からの読取り信号及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第1の利得回路と、
前記シフト回路からのシフトされた読取り信号及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第2の利得回路と、
前記シフト回路からのシフト値及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第3の利得回路と、
前記各利得回路の出力を合計し出力する一対のエミッタホロワを備えることを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置。 - 前記一対のエミッタホロワからの出力を受信し、任意の共通モードを補正する共通モード調整手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置。
- 前記共通モード調整手段は共通モード・フィードバック回路を有することを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置。
- 前記検出回路は、補正量を示すデジタル補正信号を生成・出力し、
前記デジタル補正信号を受信し、デジタル・アナログ変換を行い、前記補正量に基づく制御信号を生成・出力するデジタル・アナログ変換器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正装置。 - 各利得回路は、所定の相互コンダクタンス特性を持つ差動増幅器対を有し、前記所定の相互コンダクタンス特性は前記差動増幅器対の一方の側へ電流を印加することで変化することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗非対称性補正装置。
- 前記各利得回路は、差動バイポーラ・トランジスタ対を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
- 磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性を補正するための方法であって、
磁気抵抗ヘッドの読取り信号から、補正量及び任意の非対称性の極性を検出する検出ステップと、
前記読取り信号と前記極性を受信し、該読取り信号、シフト値及び該極性に応じて該読取り信号に対して該シフト値を加算又は減算することでシフトされた読取り信号を生成・出力するシフトステップと、
前記シフトステップの読取り信号及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第1の利得ステップと、
前記シフトステップのシフトされた読取り信号及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第2の利得ステップと、
前記シフトステップのシフト値及び前記補正量に基づく制御信号を受信し、該制御信号に応じて増幅された出力を生成・出力する前記第3の利得ステップと、
前記各利得ステップの出力を合計し出力する合計出力ステップを備えることを特徴とする磁気抵抗ヘッドの磁気抵抗非対称性補正方法。
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