JP3565784B2 - ガラス基板成形用金型、及びガラス基板の製造方法 - Google Patents

ガラス基板成形用金型、及びガラス基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
[技術分野]
本発明は磁気ディスクなどの記録媒体に最適な磁気ディスク用ガラス基板を大量かつ安価に生産する方法に関する。
【0002】
[背景技術]
近年、磁気記録の分野、特に磁気ディスクにおいては、小型化、薄型化、高容量化等の高性能化が進んでいる。これに伴って高密度磁気記録媒体への要求が高まっている。ガラス基板は、高剛性、高硬度で平滑化が容易で、高密度化、高信頼性化に極めて有利なことから盛んに検討されている。
【0003】
従来、磁気ディスク用ガラス基板は所定のサイズに切り抜かれた後、平滑な表面を得るために基板を研磨する研磨法により製造されてきた。しかしながら、近年、基板表面には超平滑性が要求され、研磨工程には技術的にも非常に難しい高い精度が求められるようになっている。従って、こうした基板を1枚1枚研磨することは工程数も多く高価になるという欠点があった。
【0004】
また、ガラス素材を加熱、成形、冷却することで、成形型の成形面を転写するプレス成形法は、後加工を必要としないため、安価で生産性が高く、かつ高品質であるため、光学素子製造の分野では既に数多くの検討がなされ、実用化が図られている。
【0005】
しかしながら、ガラス基板のように基板厚が薄く、外径が大きく、基板厚と外径との比が大きなものを成形することは、光学素子の様にレンズ厚と外径との比が比較的小さく、曲率を持ったものを成形する時とは違った課題を有していた。
【0006】
例えば特開平1−176237号公報では、胴型と、この胴型に摺動可能に嵌合するレンズ面成形型と、胴型の周囲を保持する胴型ホルダーとを具備し、胴型の熱収縮量をレンズ素材の熱収縮量より小さく、胴型ホルダーの熱収縮量をレンズ素材の熱収縮量よりも大きく構成したことを特徴とするレンズ成形装置を用いた成形方法が示されている。
【0007】
この装置を用いると、胴型ホルダーの厚さ寸法を規定することにより所望の厚さの成形ガラスレンズを得ることができ、また、胴型ホルダーの熱収縮量がレンズ素材の熱収縮量よりも大きく構成されているため、冷却の過程では常にレンズに上型の加圧力が作用するため、レンズは所望の面形状を得ることができる。
【0008】
しかしながら、外径Xと厚さYの関係がX>40Yであるような薄肉のガラス基板を成形するときに、このように上型の加圧力が常にガラス素材にかかった状態で冷却すると、ガラス素材が上下型に密着し離型することができないという欠点があった。近年では特にガラス基板表面を超平滑にする要望があり、金型転写面を超平滑にするほどその傾向が強くなる。
【0009】
また、例えば特開平2−26843号公報では、外径が大きく、肉厚が薄いガラス成形体を成形するために、薄肉形状の被成形ガラス素材を用いる方法が示されている。この方法は、被成形ガラス素材がガラス成形体に近い形状をしているため、加熱しやすく、変形量も少なく、成形サイクルを短くすることが容易である。
【0010】
しかしながら、このような形状のガラス素材を用いて、平行平板であるガラス基板を成形すると、ガラス素材を成形型に載置した時点でガラス素材と成形型との間に空気が噛み込み、成形過程を経てもこれを全て抜くことができず、ガラス基板にバブルを発生させるという欠点があった。また、ここでもガラス基板表面を超平滑にするほどその傾向が強くなる。
【0011】
[発明の開示]
本発明は、前記した従来技術の欠点を解消し、超平滑な表面を有し、プレス成形で磁気ディスク用ガラス基板を製造することができるガラス基板成形用金型、及びガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成とする。
【0013】
本発明のガラス基板成形用金型は、一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなり、平行平板状のガラス基板を製造するためのガラス基板成形用金型であって、前記規制部材の熱収縮量が、前記ガラス基板材料の熱収縮量よりも小さいことを特徴とする。上下型の厚さ方向の空隙を規制する規制部材の熱収縮量が、ガラス基板材料の熱収縮量よりも小さいために、成形後、冷却時に、ガラス基板の上面及び/又は下面は金型と分離する。従って、厚さに対して径が大きく、かつ表面が超平滑なガラス基板を容易に製造することができる。
【0014】
ここで、ガラス基板材料よりも熱収縮量の小さい規制部材の材質としては、用いるガラス素材により異なるが、例えば、タングステンカーバイト、アルミナ、クロム、サファイヤ、ジルコン等が挙げられる。
【0015】
本発明の成形用金型は、外径Xと厚さYとの関係がX>40Yを満足するようなガラス基板の成形に用いると上記の効果を特に顕著に発揮する。
【0016】
また、本発明の成形用金型における規制部材は上下型の空隙を1mm以下に規制するものであることが好ましい。
【0017】
また、用いた金型を特定するために、上下型の少なくともどちらか一方の中央部に凹部を設けることが好ましい。更に、その凹部を複数とすることで識別できる種類を増大させることができる。
【0019】
また、本発明の第1のガラス基板の製造方法は、一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内にガラス素材を載置した後、前記ガラス素材を加圧成形して、平行平板状のガラス基板を製造する方法であって、前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さく、前記ガラス素材は、前記成型用金型内に載置されたときは前記成形用金型と点接触し、加圧成形されることにより前記成形用金型との接触部が増えるときには前記接触部に空気を巻き込まないように連続的に変形することを特徴とする。
【0020】
上記の第1のガラス基板の製造方法によれば、上下型の厚さ方向の空隙を規制する規制部材の熱収縮量が、ガラス素材の熱収縮量よりも小さいために、成形後、冷却時に、ガラス基板の上面及び/又は下面は金型と分離する。従って、厚さに対して径が大きく、かつ表面が超平滑なガラス基板を容易に製造することができる。
【0021】
更に、ガラス素材は、金型に対して、当初は点接触し、その後空気を巻き込まないように接触面積を増大させながら成形されていくので、成形の歩留まりが良好で、高品質のガラス基板を安定して得ることができる。これを実現するためのガラス素材の形状として、例えばその垂直断面が円形状または楕円形状であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の第2のガラス基板の製造方法は、一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内にガラス素材を載置する第1の工程と、前記ガラス素材を加熱し軟化させる第2の工程と、前記ガラス素材を平行平板状のガラス基板に加圧成形する第3の工程と、前記ガラス基板を冷却する第4の工程と、前記ガラス基板を取り出す第5の工程とを有し、前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さいことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の第3のガラス基板の製造方法は、受け皿上にガラス素材を載置する第1の工程と、前記ガラス素材を加熱し軟化させる第2の工程と、前記受け皿上の前記ガラス素材を一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内に載置する第3の工程と、前記ガラス素材を平行平板状のガラス基板に加圧成形する第4の工程と、前記ガラス基板を冷却する第5の工程と、前記ガラス基板を取り出す第6の工程とを有し、前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さいことを特徴とする。
【0024】
上記第2,第3の製造方法において、冷却工程でガラス基板の温度が少なくともガラス転移点温度になるまで加圧を継続することが好ましい。これにより、金型の形状精度を正確にガラス基板に転写することができる。
【0025】
上記第1,第2,第3の製造方法において、ガラス基板の外径Xと厚さYとの関係がX>40Yを満足するのが好ましい。また、規制部材は上下型の空隙を1mm以下に規制するのが好ましい。また、上下型の少なくともどちらか一方の中央部に凹部を設けるのが好ましく、その凹部は複数であるのがより好ましい。
【0026】
また、上記第1,第2,及び第3の製造方法により得られるガラス基板は磁気ディスク用として好適であり、また、磁気ディスク用ガラス基板とした場合、ガラス基板の表面に影響しないようなバブルをガラス基板内に含ませることも可能である。
【0027】
以上のように、本発明によれば、金型成形により所望の超平滑な表面を持った、うねりのないガラス基板が、後加工を必要とすることなく得られる。よって、安価で安定した品質の磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。
【0028】
[発明を実施するための最良の形態]
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1(A)は、本発明の実施の形態1におけるガラス基板成形用金型内にガラス基板成形用ガラス素材4を載置した状態を示す断面図である。
【0030】
ガラス基板成形用金型は、所望の表面粗さのガラス基板19(図6)を得るための成形面1aを備えた上型1と、この上型1とほぼ同軸上に対向配置され所望の表面粗さのガラス基板19を得るための成形面2aを備えた下型2と、成形完了時の上型1の成形面1aと下型2の成形面2aとの間の空隙を規制する規制部材3とから構成されている。このときの成形面1a,2aの表面粗さ(Ra)は、磁気ディスク用としては5nm以下が適当で、望ましくは2nm以下、さらに望ましくは1nm以下である。
【0031】
また、上記空隙は成形するガラス基板の厚さにより異なるが、ガラス基板の厚さとほぼ同じであり、最大でも1mm程度である。
【0032】
また、用いた金型を特定するために、具体的には用いた金型番号を判別するために、上型1および下型2の中央部には複数の凹部5が設けてある。図2はその凹部5を設けた上型1を上面から見た図である。
【0033】
このようなガラス基板成形用金型を用いると、ガラス基板成形後、ガラス基板の両面にはこの凹部5が転写した凸部が形成される。具体的には、金型の中央部に横1列に配列された8個の小さな凹部と、その8個の凹部に対応した箇所(それぞれの下)に金型番号によって異なるように0〜8個の凹部が様々な組み合わせで横1列に配列される。これによりガラス基板19がどの金型で成形されたかが判別できるようになっている。この場合は256通りの組み合わせとなる。この数は金型を判別するには充分な数であるが、このような凹部の配置は8つに限られるものではなく、用途に応じて凹部の数を変えてもよいし、凹部の配列方法を変えてもよい。尚、このような凹部は金型を特定する他に、金型とガラス基板との離型性を良好にする効果も有する。
【0034】
ガラス基板成形用金型の各部材はタングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金(「イゲタロイ」(住友電気工業株式会社の商標)、バインダレスシリーズ、線熱膨張係数α=43×10−7(室温〜400℃))により形成される。成形面1a、2aは所望の表面粗さに加工され、白金(Pt)系の合金保護膜により被覆されている。
【0035】
図3は、ガラス基板成形用ガラス素材4の形状の例を示している。ガラス素材の形状は、金型に載置した初期状態では点接触し、変形過程では金型との間に空気を巻き込まないように連続的に接触部が広がっていく形状であれば良い。具体的には垂直断面が円形状または楕円形状であるのが好ましい。硝種としては、ソーダライム系のガラス(ガラス転移点温度Tg=539℃、線熱膨張係数α=87×10−7(100〜300℃))を用いた。
【0036】
また、図4は図1(A)に示すガラス基板成形用金型と図3(B)に示すガラス基板成形用素材(外径20mm、厚さ7mm、厚さ方向断面形状は略楕円状)を用いて、図6(C)に示すガラス基板19を成形するためのガラス基板の成形装置の概要を示す断面図である。
【0037】
上型1は、ヒータ6に固定され、ヒータ6はチャンバー12に断熱板8を介して固定されている。また、下型2は、ヒータ7に固定され、ヒータ7は断熱板9を介してシリンダ11により上下駆動するシリンダロッド10上に固定されている。リング状の規制部材3は、下型2のフランジ面に、成形完了時、上型1と下型2との空隙が0.635mmになるように載置されている。
【0038】
次に成形する過程について説明する。本発明の実施の形態1において作るガラス基板は、外径65mm、厚さ0.635mmの磁気ディスク用ガラス基板である。
【0039】
まず、載置台15に供給されたガラス素材4は、チャンバー12外から硝材チャック16により、N 雰囲気中のチャンバー12内の下型成形面2a上のほぼ中央に載置される。
【0040】
載置後、下型2がシリンダ11によりゆっくりと上昇する。ガラス素材4が上型成形面1aに接するまで上昇したところでヒータ6,7の電源が入れられる。ガラス素材4は770℃(ガラス粘度が7.1ポアズになる温度)で加熱され、素材内部がこの温度になるまで加熱される。加熱に伴いガラス素材4は膨張し、上下型が固定されていることによって変形を生じる。このとき、バブルを巻き込むこともあるので、下型2は低荷重により保持されている。
【0041】
ガラス素材4が内部まで加熱軟化された後、シリンダ11により下型2に高荷重がかけられることにより下型2が上昇し、ガラス素材4が加圧成形され、規制部材3が上型1のフランジ部に当たったところで変形は終了する。
【0042】
このときガラス素材4は規制部材3により上型1と下型2との間につくられる空隙と同じ0.635mmの厚さに成形されている。
【0043】
変形が終了した時点でヒータ6,7の電源は切られ、高荷重が保持されたまま、上型1、下型2、規制部材3およびガラス素材4は冷却される。このとき強制的に冷却しても良いが、成形用金型の面内ができるだけ均一温度になるように冷却しなければならない。
【0044】
この冷却の過程において、上型1、下型2、規制部材3およびガラス素材4はそれぞれ収縮する。上型1と下型2は規制部材3によって空隙を規制されているので、この空隙量は規制部材3の収縮量に依存する。規制部材3の熱収縮量よりもガラス素材4の熱収縮量の方が大きいので、温度が下がるにつれて次第にガラス素材4は上下金型から離型することができる。
【0045】
ガラス基板成形用金型には、ガラス素材4の温度がガラス転移点温度の539℃になるまでシリンダ11により高荷重がかけられ、その後低荷重に減圧される。
【0046】
その後、300℃程度まで冷却後、シリンダ11により下型2は下降され、原点位置に戻る。成形用金型内に残ったガラス基板19は図示されていない搬送パッドにより冷却工程の冷却上ヒータ17と冷却下ヒータ18との間に移載され、徐冷された後、成形装置から取り出し、成形は終了する。
【0047】
図6(C)は、本実施の形態によるガラス基板19の外観図を示している。得られたガラス基板19は、金型成形面の形状がほぼ転写され、表面粗さ1nmの超平滑な表面を持ち、平坦度5μm以内でうねりがなく、中央部に成形用金型の番号を判別するための凸部22を有している。
【0048】
なお、ここでは、上型1および下型2の中央部に金型番号を判別するための複数の凹部5を設けた場合を説明したが、上型1および下型2のどちらか一方のみにこの凹部5を設けた場合でも良い。また、この凹部5が無くても良く、この場合に得られるガラス基板19は、図6(A)に示すように、凸部22を有しない他は図6(C)に示すガラス基板と全く同様なガラス基板である。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、ガラス基板成形用ガラス素材4として、内部にバブルを含んだ素材を使用する他は実施の形態1と同じである。すなわち、バブルを含んだ素材を成形することにより、本発明によるガラス基板19は図6(B)に示すように内部にバブル21を含んだものとなり、バブル21を含まない図6(A)または(C)に示すガラス基板19よりも比重の軽いものとなり、高速回転を要求される磁気ディスク用ガラス基板として有効である。
【0050】
(実施の形態3)
図1(B)は、本発明の実施の形態3におけるガラス基板成形用金型内にガラス基板成形用ガラス素材4を載置した状態を示す断面図である。
【0051】
ガラス基板成形用金型は、所望の表面粗さのガラス基板19(図6)を得るための成形面1aを備えた上型1と、この上型1とほぼ同軸上に対向配置され所望の表面粗さのガラス基板19を得るための成形面2aを備えた下型2と、成形完了時の上型1の成形面1aと下型2の成形面2aとの間の空隙を規制する規制部材3とから構成されている。このときの成形面1a,2aの表面粗さ(Ra)は、磁気ディスク用としては5nm以下が適当で、望ましくは2nm以下、さらに望ましくは1nm以下である。
【0052】
また、上記空隙は成形するガラス基板の厚さにより異なるが、ガラス基板の厚さとほぼ同じであり、最大でも1mm程度である。
【0053】
また、実施の形態1と同様に、用いた金型を特定するために、上型1および下型2の中央部には複数の凹部5が設けてある。図2はその凹部を設けた上型1を上面から見た図である。
【0054】
このようなガラス基板成形用金型を用いると、ガラス基板成形後、ガラス基板の両面にはこの凹部5が転写した凸部が形成される。具体的には、実施の形態1と同様に、横1列に配列された8個の小さな凹部と、その下に金型番号によって異なる凹部が配列されている。これによりガラス基板19がどの金型で成形されたかが判別できるようになっている。
【0055】
ガラス基板成形用金型の各部材はタングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金(「イゲタロイ」(住友電気工業株式会社の商標)、バインダレスシリーズ、線熱膨張係数α=43×10−7(室温〜400℃))により形成される。成形面1a,2aは所望の表面粗さに加工され、白金(Pt)系の合金保護膜により被覆されている。
【0056】
図5は図1(B)に示すガラス基板成形用金型と図3(A)に示すガラス基板成形用素材(直径22.1mmの球)を用いて、図6(C)に示すガラス基板19を成形するためのガラス基板の成形装置の概要を示す断面図である。
【0057】
ガラス素材4を載置し加熱し軟化させる工程で用いる硝材受け皿20は、高温でガラス素材4との離型性が良好な材料、例えばSiCやTiC等の炭化物、カーボン、AlNやTiN等の窒化物等からなるか、あるいはそれらがCVD法などの各種成膜技術により表面に形成されており、所望の表面粗さに仕上げられている。
【0058】
用いたガラス素材の硝種は、アルミノシリケートのガラス(ガラス転移点温度Tg=492℃、線熱膨張係数α=95×10−7(100〜300℃))であり、図3(A)に示す形状も金型に載置した初期状態では点接触し、変形過程で金型との間に空気を巻き込まないように連続的に接触部が広がっていく形状である。
【0059】
上型1は、ヒータ6に固定され、ヒータ6はチャンバー12に断熱板8を介して固定されている。また、下型2は、ヒータ7に固定され、ヒータ7は断熱板9を介してシリンダ11により上下駆動するシリンダロッド10上に固定されている。リング状の規制部材3は、下型2の成形面2aに、成形完了時、上型1と下型2との空隙が0.8mmになるように載置されている。
【0060】
次に成形する過程について説明する。本発明の実施の形態3において作るガラス基板は、外径95mm、厚さ0.8mmの磁気ディスク用ガラス基板である。
【0061】
まず、載置台15上の硝材受け皿20に供給されたガラス素材4は、硝材チャック16により、N 雰囲気中の予熱上ヒータ13と予熱下ヒータ14との間に移載される。ここで、ガラス素材4は750℃(ガラス粘度が6.4ポアズになる温度)で加熱され、素材内部がこの温度になるまで加熱される(加熱軟化工程)。
【0062】
加熱後、ガラス素材4は硝材受け皿20に載置されたまま、再び硝材チャック16によりチャンバー12内の上型1と下型2との間に搬送される。そして、図示されていない移載装置によりガラス素材4のみチャックされ、硝材チャック16及び硝材受け皿20が退避した後、下型2の成形面2a上のほぼ中央に載置される。
【0063】
載置後、直ちにシリンダ11に圧力が供給され、下型2は上昇し、高荷重で加圧成形される。下型2の成形面2a上の規制部材3が上型成形面1aに当たったところで変形は終了する。
【0064】
このときガラス素材4は規制部材3により上型1と下型2との間につくられる空隙と同じ0.8mmの厚さに成形されている。
【0065】
ここで、上型1と下型2はそれぞれヒータ6,7により600℃に設定されている。変形後のガラス素材4は0.8mmの薄肉であるため直ちにこの温度まで冷却される。
【0066】
変形が終了した時点でヒータ6,7の電源は切られ、高荷重が保持されたまま、上型1、下型2、規制部材3およびガラス素材4は冷却される。このとき強制的に冷却しても良いが、成形用金型の面内ができるだけ均一温度になるように冷却しなければならない。
【0067】
この冷却の過程において、上型1、下型2、規制部材3およびガラス素材4はそれぞれ収縮する。上型1と下型2は規制部材3によって空隙を規制されているので、この空隙量は規制部材3の収縮量に依存する。規制部材3の熱収縮量よりもガラス素材4の熱収縮量の方が大きいので、温度が下がるにつれて次第にガラス素材4は上下金型から離型することができる。
【0068】
ガラス基板成形用金型には、ガラス素材4の温度がガラス転移点温度の492℃になるまでシリンダ11により高荷重がかけられ、その後低荷重に減圧される。
【0069】
その後、300℃程度まで冷却後、シリンダ11により下型2は下降され、原点位置に戻る。成形用金型内に残ったガラス基板19は図示されていない搬送パッドにより冷却工程の冷却上ヒータ17と冷却下ヒータ18との間に移載され、徐冷された後、成形装置から取り出し、成形は終了する。
【0070】
図6(C)は、本実施の形態によるガラス基板19の外観図を示している。得られたガラス基板19は、金型成形面の形状がほぼ転写され、表面粗さ0.6nmの超平滑な表面を持ち、平坦度5μm以内でうねりがなく、中央部に成形用金型の番号を判別するための凸部22を有している。
【0071】
なお、ここでは、上型1および下型2の中央部に金型番号を判別するための複数の凹部5を設けた場合を説明したが、上型1および下型2のどちらか一方のみにこの凹部5を設けた場合でも良い。また、この凹部5が無くても良く、この場合に得られるガラス基板19は、図6(A)に示すように、凸部22を有しない他は図6(C)に示すガラス基板と全く同様なガラス基板である。
【0072】
(実施の形態4)
本実施の形態では、予熱上ヒータ13と予熱下ヒータ14とによるガラス素材4の加熱温度を700℃(ガラス粘度が7.1ポアズになる温度)とし、また、成形時のヒータ6,7による上型1と下型2の加熱温度を700℃とする以外は実施の形態3と同様にして、外径95mm、厚さ0.8mmの磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
【0073】
得られるガラス基板19の外観形状は図6(C)に示すとおりであり、ガラス基板19は、金型成形面の形状がほぼ転写され、表面粗さ0.6nmの超平滑な表面を持ち、平坦度5μm以内でうねりがなく、中央部に成形用金型の番号を判別するための凸部22を有している。
【0074】
以上に説明した実施の形態は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
図1(A)は本発明の実施の形態1及び2におけるガラス基板成形用金型の断面図、図1(B)は本発明の実施の形態3及び4におけるガラス基板成形用金型の断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1〜4におけるガラス基板成形用金型の上面図である。
図3は、本発明のガラス基板成形用ガラス素材の外観図である。
図4は、本発明の実施の形態1及び2におけるガラス基板の成形装置の概要を示す断面図である。
図5は、本発明の実施の形態3及び4におけるガラス基板の成形装置の概要を示す断面図である。
図6は、本発明のガラス基板の外観図である。

Claims (17)

  1. 一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなり、平行平板状のガラス基板を製造するためのガラス基板成形用金型であって、
    前記規制部材の熱収縮量が、前記ガラス基板材料の熱収縮量よりも小さいことを特徴とするガラス基板成形用金型。
  2. 前記ガラス基板の外径Xと厚さYとの関係がX>40Yを満足する請求項1に記載のガラス基板成形用金型。
  3. 前記規制部材が上下型の空隙を1mm以下に規制する請求項1に記載のガラス基板成形用金型。
  4. 上下型の少なくともどちらか一方の中央部に凹部を設けた請求項1に記載のガラス基板成形用金型。
  5. 前記凹部が複数である請求項4に記載のガラス基板成形用金型。
  6. 一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内にガラス素材を載置した後、前記ガラス素材を加圧成形して、平行平板状のガラス基板を製造する方法であって、
    前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さく、
    前記ガラス素材は、前記成型用金型内に載置されたときは前記成形用金型と点接触し、加圧成形されることにより前記成形用金型との接触部が増えるときには前記接触部に空気を巻き込まないように連続的に変形することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  7. 前記ガラス素材の垂直断面が円形状または楕円形状である請求項に記載のガラス基板の製造方法。
  8. 一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内にガラス素材を載置する第1の工程と、
    前記ガラス素材を加熱し軟化させる第2の工程と、
    前記ガラス素材を平行平板状のガラス基板に加圧成形する第3の工程と、
    前記ガラス基板を冷却する第4の工程と、
    前記ガラス基板を取り出す第5の工程とを有し、
    前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さいことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  9. 前記第4の工程でガラス基板の温度が少なくともガラス転移点温度になるまで加圧を継続する請求項に記載のガラス基板の製造方法。
  10. 受け皿上にガラス素材を載置する第1の工程と、
    前記ガラス素材を加熱し軟化させる第2の工程と、
    前記受け皿上の前記ガラス素材を一対の上下型と前記上下型の空隙を規制する規制部材とからなる成形用金型内に載置する第3の工程と、
    前記ガラス素材を平行平板状のガラス基板に加圧成形する第4の工程と、
    前記ガラス基板を冷却する第5の工程と、
    前記ガラス基板を取り出す第6の工程とを有し、
    前記規制部材の熱収縮量は、前記ガラス素材の熱収縮量よりも小さいことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  11. 前記第5の工程でガラス基板の温度が少なくともガラス転移点温度になるまで加圧を継続する請求項10に記載のガラス基板の製造方法。
  12. 前記ガラス基板の外径Xと厚さYとの関係がX>40Yを満足する請求項6、8又は10に記載のガラス基板の製造方法。
  13. 前記規制部材が上下型の空隙を1mm以下に規制する請求項6、8又は10に記載のガラス基板の製造方法。
  14. 上下型の少なくともどちらか一方の中央部に凹部を設けた請求項6、8又は10に記載のガラス基板の製造方法。
  15. 前記凹部が複数である請求項14に記載のガラス基板の製造方法。
  16. 前記ガラス素材を前記成型用金型内に載置したときは前記ガラス素材は前記成形用金型と点接触し、かつ前記ガラス素材を加圧成形することにより前記成形用金型との接触部が増えるときには前記ガラス素材は前記接触部に空気を巻き込まないように連続的に変形する請求項又は10に記載のガラス基板の製造方法。
  17. 前記ガラス素材の垂直断面が円形状または楕円形状である請求項又は10に記載のガラス基板の製造方法。
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