JP3558898B2 - 自動分析装置及び自動分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動分析装置及び方法に係り、特に血液や尿等の生体液検体の分析項目を分析する自動分析装置及び自動分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体液を分析する自動分析装置は、一般に多種類の分析項目を分析処理するように構成されており、検体と試薬の反応によって生じた反応生成物を測定部により測定する。測定結果のデータが異常値を示すような場合には、同じ検体について再分析が自動的になされる。また、検体を収容した検体容器を検体採取位置に位置づけるには、検体容器をターンテーブルに載置して移動する方法及び検体容器をラックに保持し該ラックをベルトコンベア等で移動する方法がある。
【0003】
特開平2−66461号公報は、検体容器の移動用としてラックを用い、検体の再分析機能を有する自動分析装置を記載している。この先行技術では、ラック供給部と待機部の間に第1コンベア路が設けられ、第1コンベア路に沿って夫々反応ディスクを有する2台の分析部が配置され、第1コンベア路上の検体採取位置から反応ディスク上の反応容器へ検体が分注される。再分析用の第2コンベア路は第1コンベア路と平行に配置される。待機部は、往復動するラック搬送台を有し、ルーチン用の第1コンベア路から試料採取済みのラックを受け取り、採取された検体の分析結果が判明するまでラック搬送台上にラックを待機させる。再分析を要する検体に保持するラックは、待機部から第2コンベア路に送り出されそのラックから再度検体が採取される。
【0004】
また、特開平2−245665号公報は、検体容器の移動用としてターンテーブルを用い、再分析を実行し得る自動分析装置を記載している。この先行技術は固相担体を利用して抗原抗体反応(免疫反応)をさせる免疫分析装置を例示している。回動アームを有する検体分注装置は、2本で1組のディスポチップを有しており、1回目の分析に際して検体テーブル上の検体容器から2本のディスポチップ内に検体を吸入し、その内の1本のディスポチップ内の検体を反応ディスク上の反応容器に吐出して分析する。第1回目の分析後に2回目の分析の必要性を判定し、再分析が必要であれば残り1本のディスポチップに保有していた検体を反応容器に分注して2回目の分析を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
検体の各分析項目に対する第一次の分析結果に対し再分析を必要とする割合は全体の5%程度である。このように大部分の検体は再分析が不要であるけれども、自動分析装置に再分析機能を設ける必要性は高い。特に、緊急に分析結果を得なければならない緊急検体の場合は、再分析結果も迅速に得ることが要求される。
【0006】
上述した特開平2−66461号公報の例では、複数の検体容器を保持するラックはそのラック上の全検体に対する第一次分析の結果が得られるまで待機部のラック搬送台上で待機される。そして、ラック上の複数検体の内で再分析が必要とされた検体が1つでもあれば再分析の必要がない検体まで一緒にラックのまま戻り用の第2コンベア路を移動しなければならない。このため、ラックを待機させて戻すための複雑な機構部及び大きなスペースが必要になる。
【0007】
一方、特開平2−245665号公報の例では、特殊な形状のディスポチップを必要とするばかりでなく、1回目の分析結果が出るまでの間中2本目のディスポチップを持った検体分注装置が専有される。このため、その間検体分注装置を他の検体の分注のために使用できなくなり極めて処理効率が低くなる。
【0008】
本発明の目的は、第一次分析用の検体採取の後に第一次の分析結果が得られるまで元の検体容器を待機部に留めて置かずに済む再分析可能な自動分析装置及び分析方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、採取済み検体に関する第一次の分析結果が得られるまでの間中1つの検体によって検体分注装置が専有されるということがない再分析可能な自動分析装置及び分析方法を提供することにある。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、第一次分析用の検体採取後に第一次の分析結果が得られるまで元の検体容器を待機させるための特別な場所が不要であり、あるいは特別な容器を付設することも不要である再分析可能な自動分析装置及び分析方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、複数の分析部を具備する場合に、先に適用される分析部のために検体が分注された元の検体容器を、先の分析部による分析結果が得られる前に次の分析部へ移動しても、先の分析部による該検体に関する再分析を実行し得る自動分析装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明が適用される自動分析装置は、検体を収容する検体容器を検体採取位置に位置づける検体容器移動装置と、複数の反応容器が配置される反応ディスクと、検体採取位置の検体容器から反応ディスク上の反応容器に分析すべき検体を分注する検体分注装置とを備え、反応ディスク上の反応容器に採取された検体に対し分析操作を実行する。検体容器移動装置は、ターンテーブルのような回転式の態様や検体容器をラックに保持して搬送ライン上を移送する態様を用いることができる。反応ディスクを有する分析部は1つあるいは2つ以上具備される。分析部が2つ以上の場合は、各分析部に対応して検体分注装置が設けられる。
【0013】
本発明の1つの概念は、分析すべき検体の分注の際に検体採取位置の検体容器から反応ディスク上の別の反応容器に対し、検体分注装置が予備の検体を分注するように検体分注装置の動作を制御すると共に、分析すべき検体に関する第一次の分析結果が得られるまで上記別の反応容器内に予備の検体を保持するように該別の反応容器を管理し、第一次の分析結果に対する再分析が必要との判定に基づいてその別の反応容器内の予備の検体の一部を再分析用検体として反応ディスク上の他の反応容器に分注するように検体分注装置の動作を制御する制御部を備えたことである。
【0014】
この自動分析装置では、好ましくは、反応容器に採取された分析すべき検体に対する分析操作の間に、別の反応容器内の予備検体を希釈液と混合させて、再分析用の検体採取に備えて所定割合に希釈した検体(希釈試料)を得ておく。
【0015】
本発明の他の概念は、分注のための検体採取位置に位置づけられる検体容器内の検体が緊急検体であるときに第一次分析用の検体の分注に伴って検体採取位置の検体容器から反応ディスク上の別の反応容器に対し予備の検体を分注し、採取された検体に関する第一次の分析の結果が再分析を必要とするか否かを判定し、再分析が必要であれば上記別の反応容器から反応ディスク上の他の反応容器に予備の検体を分注し、該他の反応容器に採取した検体に対する再分析の分析操作を実行するように構成したことである。
【0016】
自動分析装置が複数の分析部を備える場合には、分注される前の検体容器に収容されている検体の液量が複数の分析部にて必要とされる分析すべき検体の量と予備検体の量との合計量よりも少ないときに、上記予備の検体の分注動作を中止するように構成してもよい。
【0017】
本発明のもう1つの概念は、自動分析装置が複数の分析部を具備し、各分析部に対応して設けられたそれぞれの検体採取位置に検体容器を位置づけ得る検体容器移動装置を具備するものであって、それらの複数の分析部は少なくとも免疫項目分析部及び生化学項目分析部を含んでおり、免疫項目分析部と生化学項目分析部の両方による分析を必要とする特定検体を収容する検体容器は生化学項目分析部の検体採取位置への位置づけに先立って免疫項目分析部の検体採取位置に位置づけられ、免疫項目分析部では検体分注装置が第一次分析用の検体の分注に伴って検体採取位置の検体容器から免疫項目分析部の反応ディスク上の反応容器に対し予備の検体を分注し、免疫項目分析部での該検体に関する第一次の分析の結果が再分析を必要とするときに予備の検体を採取してある反応容器から免疫項目分析部の反応ディスク上の他の反応容器に再分析用の検体を分注するように構成したことである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく一実施例である自動分析装置の全体構成を示す概略図を図1に示す。この例では、透光性の反応容器1が多数配置された反応ディスク2を有する分析部が1つである。反応ディスク2は時計方向及び反時計方向に回転可能である。
【0019】
図1において、検体を収容する多数の検体容器5は、サンプルディスク11に配置されており、各検体容器は回動動作に伴って所定の検体採取位置に位置づけられる。全検体容器に対する検体の分注動作が終了すれば、サンプルディスク11は未処理検体がセットされている新たなサンプルディスクと交換される。コンピュータ12は、インターフェース14を介して自動分析装置内の各機構部の動作を制御する。サンプルディスク11は、各検体に対して指示されている分析項目の数と同数の分注及び予備の検体の分注の間、該当する検体容器5が検体採取位置に停止しているように回転動作を制御される。分注ノズル15を保持する旋回アームを有する検体分注装置6は、その分注ノズル15に連結されたサンプル用ポンプ16の動作に応じて分注ノズルによる検体の吸排動作を行う。各検体は分析項目毎に検体分注装置6により反応容器1へ分注される。
【0020】
反応ディスク2は、各反応容器1が検体添加位置、試薬添加位置、攪拌位置、測光位置及び容器洗浄位置を通るように回動される。検体添加位置にて分注ノズル15から検体を受け入れた反応容器1は、試薬添加位置まで移動され、試薬分注装置7により分析項目に対応する試薬が添加される。多種類の分析項目用に準備された複数の試薬ボトル21は、試薬ディスク8により選択的に試薬吸入位置に位置づけられる。各試薬ボトルの位置づけは、試薬添加位置に停止される反応容器に対し割り当てられている分析項目に応じて試薬ディスク8を回動することにより達成される。試薬分注装置7の分注ノズルは、試薬用ポンプ18の働きにより試薬を吸入し吐出する分注動作を行う。
【0021】
試薬を受け入れた反応容器1は、攪拌位置まで移動され、検体と試薬の混合液が攪拌装置19により攪拌される。試薬ディスク8には、希釈液を収容した希釈ボトル26(図6)も設置される。検体と試薬の反応液を保持する反応容器1は、光度計3の測光位置の光束を横切るように移動される。これに伴って反応生成物を有する反応液の光学的特性が光度計3により検出され、検出信号はアナログ/デジタル変換器17を経由しインターフェース14を介してコンピュータ12に入力される。コンピュータ12は予め求めてある検量線に基づいて該当分析項目の濃度を演算し、分析結果をプリンタ22に印字出力し及び/又はCRT23の画面に表示する。
【0022】
測定が終了した反応容器1は、洗浄位置まで移動され、容器洗浄用ポンプ25に連結されている反応容器洗浄部9にて反応液が排出されると共に、洗剤液及び水による洗浄が行われ、清浄にされた反応容器が新たな検体受け入れのために検体添加位置の方へ移動される。各機構部の動作プログラムは、FDドレイブ24にて読み出されるフロッピーディスクメモリに記憶されている。各検体のための分析項目の選択、各分析項目用の検体分注量、各試薬の分注量、再分析時の希釈倍率及び検体分注量などの分析条件は、CRT23の画面との対話方式で操作パネル13から入力又は選択できる。
【0023】
次に、図2乃至図9を参照して、図1の実施例における自動再分析のための動作を説明する。ここでは、通常の分析操作時に反応ディスク2が1回転と1容器分ずつ回動して停止するサイクルを繰り返す動作をするものとして説明している。光度計3は、反応容器1の列が光束4を横切ったときにそれぞれの反応容器内の反応液の吸光度を瞬時に測光する。
【0024】
図2において、サンプルディスク11の検体採取位置には、例えばイ、ロ及びハの3種の分析項目を分析するように指示された検体aを収容した検体容器5aが位置づけられて停止し、試薬ディスク8の試薬吸入位置には先に使用された試薬ボトル21が停止しているものとする。反応ディスク2は、分析項目イの分析のために割り当てられた反応容器1Aを検体添加位置に位置づけて停止する。この状態で、検体分注装置6は、分注ノズルを検体容器5a上に旋回しノズル先端を検体容器5a内の検体a内に挿入して検体aを分注ノズル内に吸入保持する。次いで、検体分注装置6は、分注ノズルを反応容器1A上に旋回し、分析項目イの第一次分析のための検体として2μlの検体aを反応容器1Aに添加する。
【0025】
このような分注操作のあと、反応ディスク2は1回転と1容器分の距離を回動し、反応容器1Bを検体添加位置に位置づけて停止する。同時に試薬ディスク8は、分析項目イ用の試薬ボトル21aを試薬吸入位置に位置づける。サンプルディスク11は動作せず、検体容器5aは停止したままである。これにより図3の如き状態となる。
【0026】
図3において、検体分注装置6は、分析項目口の第一次分析用の検体aを、検体容器5aから反応容器1Bへ3μl分注する。同時に試薬分注装置7は、試薬添加位置に停止している反応容器1Aに対し分析項目イ用の試薬を試薬ボトル21aから所定量分注する。その後、反応ディスク2は1回転と1容器分の距離を回動し、反応容器1Cを検体添加位置に位置づけて停止する。同時に試薬ディスク8は、分析項目口用の試薬ボトル21bを試薬吸入位置に位置づける。サンプルディスク11は依然として動作せず検体容器5aは停止したままである。これにより図4の状態となる。
【0027】
図4において、検体分注装置6は、分析項目ハの第一次分析用の検体aを、検体容器5aから反応容器1Cへ4μl分注する。同時に、試薬分注装置7は、試薬添加位置に停止している反応容器1Bに対し分析項目ロ用の試薬を試薬ボトル21bから所定量分注する。次いで、反応ディスク2は1回転と1容器分だけ回動し、反応容器1Dを検体添加位置に位置づけて停止する。同時に、試薬ディスク8は、分析項目ハ用の試薬ボトル21cを試薬吸入位置に位置づける。サンプルディスク11はまだ動作せず検体aが入っている検体容器5aは検体採取位置に停止したままである。これにより図5の状態となる。
【0028】
図5において、反応ディスク2上の反応容器1Dは、検体aが再分析を必要とする場合に備えて予備の検体を受け入れるように割り当てられている。すなわち、3項目の第一次分析を行う場合には3プラス1個の反応容器が検体aの受け入れに使用される。言い換えれば、検体分注装置6は、指示されている分析項目の数より1個多い反応容器に同じ検体を分注する。
【0029】
図5において、検体分注装置6は、検体aの予備用として、検体容器5aから反応容器1Dへ検体aを80μl分注する。同時に、試薬分注装置7は、試薬添加位置に停止している反応容器1Cに対し分析項目ハ用の試薬を試薬ボトル21cから所定量分注する。次いで、反応ディスク2は、1回転と1容器分の距離を回動し、反応容器1Eを検体添加位置に位置づけて停止する。同時に試薬ディスク8は希釈液ボトル26を試薬吸入位置に位置づける。さらに同時に、サンプルディスク11は、次の検体bを収容している検体容器5bを検体採取位置に位置づけるように回動する。これにより分注されるべき検体が変わり、図6の状態となる。
【0030】
図6において、検体分注装置6は、分析項目ロの第一次分析用の検体bを検体容器5bから反応容器1Eへ3μl分注する。これと並行して、試薬分注装置7は、試薬添加位置に停止している反応容器1Dに対し希釈液を希釈液ボトル26から160μl分注する。これにより、80μlの検体と160μlの希釈液が混合され、予備の検体は3倍に希釈されることになる。検体aに関する予備の検体の希釈が不要の場合は、制御部としてのコンピュータ12により希釈液を添加しないように試薬分注装置の動作が制御される。
【0031】
検体bに関しても、他の分析項目のための反応容器への分注が実行されると共に、1つの反応容器に予備の検体が分注される。さらに、検体b以降に後続する検体に関しても、指示されている分析項目のための分注と予備の検体の分注が反応ディスク2上の反応容器に対してなされる。そして、検体aの分注開始から10分後には、検体aの各分析項目に関する第一次の分析結果が得られる。このときの反応ディスク2の状態は図7のようである。
【0032】
検体aの分析項目イ、ロ、ハの各々の第一次分析の結果を基準値と対比し、各分析項目の再分析が必要か否かを制御部(コンピュータ12)が判定する。例えば、第一次の分析結果が異常に高値を示したり異常に低値を示した場合には、再分析が必要であると判定される。今、検体aに関しては、分析項目ハのみが再分析を必要とすると判定され、分析項目イ及びロは再分析不要と判定されたものとする。
【0033】
これに伴って、反応ディスク2は、図7の状態から図8の状態に動作される。すなわち、反応ディスク2は、希釈済みの予備の検体aを240μl収容している反応容器1Dを、図7の如き中途の位置から図8の如き検体添加位置へ位置づけるように時計方向(正転)に回動して停止する。次いで、検体分注装置6は分注ノズル15の先端を反応容器1D内の希釈済み検体に挿入し、分注ノズル内に所定量吸入して保持し、分注ノズルを上昇する。その状態で、反応ディスク2は、図7の状態に復帰するように反時計方向(逆転)に回動して停止する。この様子を図9に示す。
【0034】
図9の状態では、空の反応容器1Fが検体添加位置に位置づけられる。検体分注装置6は、分注ノズル15を反応容器1F内に下降し、分注ノズル内に保持していた希釈済み検体を4μl吐出する。この反応ディスクの停止の間に、測定済みの反応容器1Aは反応容器洗浄部9により洗浄され、清浄にされる。その後、反応ディスク2は通常の動作を行い、再分析用の検体aを受け入れた反応容器1Fには分析項目ハ用の試薬が添加され、攪拌され、反応液が測光される。
【0035】
検体b以降の検体についてもその分析項目の第一次分析結果が得られたことに伴って、再分析の要否が判定され、要と判定された分析項目に関し予備の検体の一部が新しい反応容器に分注され、再分析のための分析処理操作が実行される。上述したサンプルディスク、反応ディスク、検体分注装置、試薬分注装置などの動作は制御部であるコンピュータ12により制御される。
【0036】
本発明による再分析のための予備検体を反応容器に保持させる操作は、第一次分析がなされる総ての検体に適用しなくてもよい。すなわち、大部分のルーチン分析用の通常検体については、従来と同様に元の検体容器をサンプルディスク又はラックに保持させておいて必要に応じて元の検体容器を検体採取位置に位置づけるように構成するが、緊急検体については、本発明を適用するように構成する。これにより、緊急検体に関しては、再分析がどの項目についても不要と判断された場合は予備検体に無駄が生ずるが、再分析要とされた検体については極めて迅速に再分析の結果を得ることができ、反応ディスク上の予備検体に対する反応容器使用率も低くできる。
【0037】
この場合、緊急検体の入った検体容器は、図1のサンプルディスク11に予め定められている緊急検体エリア、又は分注ノズルの移動軌跡上に設けてある緊急検体エリアにセットされる。そのエリアに検体容器がセットされたことを容器検知機で検知するか、又は操作者が緊急検体測定指示ボタンを選ぶことにより、コンピュータ12は緊急検体が依頼されたことを認識する。これに伴い検体分注装置6は緊急検体エリアの検体採取位置に分注ノズルを移動し、その検体を指示されている分析項目に応じて反応容器に分注すると共に、予備の検体を1つの反応容器に分注する。その後の動作は上述した例と同様に実行される。
【0038】
図10は、図1の実施例の変形例を説明するための図である。第1の変形例は、図8および図9のように再分析用検体を分注するための反応ディスクの正転及び逆転を行う代わりに、検体分注装置の動作範囲を変えたものである。この場合、回転中心10Aの周りに旋回するアームを持つ検体分注装置6は、分注ノズルにより第一次分析用の検体及び予備用検体を検体容器5から位置Pに位置づけられる反応容器に分注すると共に、位置γにある予備の検体を収容した反応容器から位置Pの空の反応容器に再分析用の検体を分注するように動作する。
【0039】
第2の変形例は、2台の検体分注装置を設けたものである。この場合、1台の検体分注装置6は回転中心10Aの周りに旋回するアームを有し、位置Pに位置づけられる反応容器に第一次分析用の検体及び予備用検体を分注する。そして、もう1台の検体分注装置は、回転中心10Bの周りに旋回するアームを有し、位置αにある予備検体を収容した反応容器から位置Pの反応容器に再分析用の検体を分注する。
【0040】
第3の変形例は、1台の検体分注装置を回転中心が水平移動するように構成したものである。この場合、検体分注装置6は、基準の回転中心10Aと他の回転中心10B、10Cが変わるように移動される。例えば分析項目のイの再分析用検体は反応容器1Dがα位置のときに吸入して位置Pの新たな反応容器に吐出し、次のサイクルでは分析項目ロの再分析用検体は反応容器1Dがβ位置のときに吸入して位置Pの新たな反応器に吐出し、さらに次のサイクルでは分析項目ハの再分析用検体は反応容器1Dがγ位置のときに吸入して位置Pの新たな反応容器に吐出する。その後、反応容器1Dは洗浄される。実際には再分析要がそれほど多くの項目で発生するわけではないので数箇所(図ではα、β、γの3ヶ所)追従にとどめておいて良い。どうしても数箇所で足りない時は、反応容器1Dを洗浄せずにそのままやり過ごし、約12分後に2周回目でα、β、γの位置に再びきた時に分取すれば良い。
【0041】
次に、本発明を適用した他の実施例について説明する。CEA、HCG、TSH、T4などの免疫分析項目の分析は、感染症なども扱うため、検体同士の相互汚染(キャリオーバ)を極端に嫌う。CRE、TP、UA、GOTなどの生化学分析項目の分析では、検体間のキャリオーバがさほど厳しくないので、共通した分注ノズルが洗浄して繰り返し使用される。これに対し、免疫項目分析装置では、検体が変わる毎に、分注ノズルチップ及び反応容器を新品のものに交換する。
【0042】
図11は、免疫項目分析部と生化学項目分析部を備えた自動分析装置の概略構成である。図11では、2台の分析部の例を示しているが、分析部は3台以上配置することもできる。これらの分析部では、同じ検体容器から検体を採取できるように、同一検体容器が各分析部の検体採取位置に位置づけられる。
【0043】
図11において、ラック供給部35からラック収納部38へラックを搬送するための搬送ライン40に沿って免疫項目分析部20及び生化学項目分析部30が配置されている。検体を収容した複数検体容器を保持したラック52は、ラック供給部35の2個のラックトレイに並べられ搬送ライン40の方へ1ピッチずつ送られる。搬送ライン40に移されたラックは、すべて検体情報読み取り部36の前で一旦停止され、バーコードリーダ37により各検体容器及びラックに付された検体関連情報が読み取られ制御部50に伝達される。一方、ラック収納部38は、2個のラックトレイを有しており、分析部において検体採取処理を終えたラック52を搬送ライン40から受け取る。搬送ラインのベルトコンベアの移動及び停止の動作は、制御部50によって制御される。
【0044】
免疫項目を分析するように指示されている検体を保持するラックは、。免疫項目分析20のラック取り込み領域41に立ち寄り、検体採取位置28にて所望の分析項目のために検体を採取される。また、生化学項目を分析するように指示されている検体を保持するラックは、生化学項目分析30のラック取込領域42に立ち寄り、検体採取位置32にて所望の分析項目のために検体を採取される。免疫項目と生化学項目の両方を分析するように指示されている検体を保持するラックは、2つの分析部20、30のラック取込領域41、42に立ち寄り、検体を採取される。免疫項目分析20と生化学項目分析部30の両方に立ち寄る必要のあるラックは、生化学項目分析30への立ち寄りに先立って、免疫項目分析部20に優先的に立ち寄る。
【0045】
免疫項目分析部20は、ラック取込領域41と、使用済みの反応容器を新しいものに変換する交換器と、その交換器から供給される使い捨てタイプの反応容器を配列した反応ディスク45と、検体採取位置28におけるラック上の検体容器から反応ディスク45上の反応容器へ検体を分注する検体分注装置44と、分析項目に応じた試薬ボトルを搭載した試薬ディスク46、試薬ボトルから反応容器へ試薬を分注する試薬分注装置47を具備する。検体分注装置44は、旋回可能アームに保持された分注管の先端に使い捨てタイプの分注ノズルチップを取り付けることができ、1つの検体のための分注操作が終わったときに、使用済みの分注ノズルチップを分注管から取り外すことができる。免疫項目分析部20は、そのような分注ノズルチップを多数供給する供給部と使用済みノズルチップの廃棄場所を具備する。
【0046】
一方、生化学項目分析部30は、ラック取込領域42と、洗浄して繰り返し使用される反応容器を配列した反応ディスク55と、検体採取位置32におけるラック上の検体容器から反応ディスク55上の反応容器へ検体を分注する検体分注装置54と、多種類の試薬ボトルを搭載した試薬ディスク56と、試薬ボトルから反応容器へ試薬を分注する試薬分注装置57とを具備する。検体分注装置54の分注ノズルは、洗浄により繰り返し使用される。なお、両分析部はそれぞれ反応液又は反応生成物の測定部を備えている。
【0047】
ラック移載装置27、31は、搬送ライン40からラック取込領域41、42へラックを移すように動作し、ラック移載装置29、33は、分注処理を施されたラックを各々のラック取込領域41、42から搬送ライン40へ移すように動作する。
【0048】
図11の実施例では、再分析のための予備の検体を反応ディスク上の反応容器に分注するという機能は、免疫項目分析部20だけが備えており、生化学項目分析部30は備えていないが、必要に応じて両分析部に具備させてもよい。免疫項目分析部20では、生化学項目分析部30で検体の分注処理がなされる前に、該当するラック上の検体容器に収容されている検体に関し指示されている分析項目のための分注と予備の検体の分注が反応容器に対して実行されるので、免疫項目分析部20における各分析項目の第一次分析の結果に基づいて再分析が必要であると判定された場合でも、ラック取込領域41から一旦送り出した検体ラックを再び搬送ライン40を介して取り込んで再分析用の検体採取をする必要がない。
【0049】
従って、免疫項目分析部20で分注処理されたラックは、速やかに次の生化学項目分析部30へ引き渡すことができ、第一次分析の結果が出るまでラックを特別なエリアにて待機させる必要がない。また、生化学項目分析部30で分注処理されたラックが再分析のために免疫項目分析部20にて検体の分注処理をされることを回避できるので、検体間のキャリオーバの影響をたくみに排除することができる。
【0050】
免疫項目分析部20における予備の検体の分注は、上述した図1の実施例の場合と同様であるので、重複を避けるためにここでは詳述しない。要するに、免疫項目分析部20では、検体分注装置44が検体採取位置28に位置づけられているラック上の検体容器内の検体を第一次分析のために反応ディスク45上の反応容器へ分注することに伴って、それと同じ検体を反応ディスク45上の別の反応容器へ予備の検体として分注するのであり、該第一次分析の結果に基づいて再分析が必要であると判定されたことに伴って、予備の検体を採取してある別の反応容器から免疫項目分析部の反応ディスク上の他の反応容器に再分析用の検体を分注するように構成してある。
【0051】
本発明を適用した自動分析装置では、反応ディスクを有する複数の分析部を備えると共に各分析部に対応して検体分注装置を備えた場合に、分注される前の検体容器に収容されている検体の液量が複数の分析部にて必要とされる分析すべき検体の量と予備の検体の量との合計量よりも少ないときに、予備の検体の分注動作を中止するように構成される。これにより、予備の検体を分注したために検体量が不足するという事態を避けることができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、再分析の可能性がある検体に関し、第一次分析用の検体採取の後に第一次の分析結果が得られるまで元の検体容器を特別に設置された待機部に留めて置かずに済み、採取済み検体に関する第一次の分析結果が得られるまでの間一つの検体によって検体分注装置が専有されるということがない。また、複数の分析部を具備する場合に、先に適用される分析部のために検体の分注処理がされた元の検体容器を、先の分析部による分析結果が得られる前に次の分析部へ移動しても、先の分析部による該検体に関する再分析を実行し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1の実施例における検体分注動作を説明する図である。
【図3】検体分注動作の途中経過の説明図である。
【図4】検体分注動作の説明図である。
【図5】検体分注動作の説明図である。
【図6】予備の検体の希釈動作の説明図である。
【図7】分注開始から10分後の反応ディスクの状態を示す図である。
【図8】予備検体の分注動作の説明図である。
【図9】予備検体の分注動作の説明図である。
【図10】図1の実施例の変形例を説明するための図である。
【図11】本発明の他の実施例の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1・・・反応容器、2,45,55・・・反応ディスク、3・・・光度計、5・・・検体容器、6,44,54・・・検体分注装置、7,47,57・・・試薬分注装置、11・・・サンプルディスク、12・・・コンピュータ、15・・・分注ノズル、20・・・免疫項目分析部、26・・・希釈液ボトル、28,32・・・検体採取位置、40・・・搬送ライン、50・・・制御部、52・・・ラック。
Claims (6)
- 検体を収容する検体容器を検体採取位置に位置づける検体容器移動装置と、複数の反応容器が配置される反応ディスクと、上記検体採取位置の検体容器から上記反応ディスク上の反応容器に分析すべき検体を分注する検体分注装置とを備え、上記反応ディスク上の反応容器に採取された上記分析すべき検体に対し分析操作を実行する自動分析装置において、上記分析すべき検体の分注の際に上記検体採取位置の検体容器から上記反応ディスク上の別の反応容器に対し、上記検体分注装置が予備の検体を分注するように上記検体分注装置の動作を制御すると共に、上記分析すべき検体に関する第一次の分析結果が得られるまで上記別の反応容器内に上記予備の検体を保持するように上記別の反応容器を管理し、第一次の分析結果に対する再分析必要との判定に基づいて上記別の反応容器内の上記予備の検体の一部を再分析用検体として上記反応ディスク上の他の反応容器に分注するように上記検体分注装置の動作を制御する制御部を備えたことを特徴とする自動分析装置。
- 請求項1記載の自動分析装置において、反応容器に採取された上記分析すべき検体に対する分析操作の間に、上記別の反応容器内の予備検体を希釈液と混合させて希釈するように構成したことを特徴とする自動分析装置。
- 請求項1記載の自動分析装置において、該自動分析装置は、それぞれに反応ディスクを有する複数の分析部を備えると共に各分析部に対応して検体分注装置を備えており、分注される前の前記検体容器に収容されている検体の液量が上記複数の分析部にて必要とされる分析すべき検体の量と上記予備検体の量との合計量よりも少ないときに、上記予備の検体の分注動作を中止するように構成したことを特徴とする自動分析装置。
- 所定位置にある検体容器から反応ディスク上の反応容器に検体分注装置によって検体を分注し、該検体を試薬と反応させて分析項目を分析する方法において、上記検体容器から上記反応ディスク上の反応容器に第一次分析用の検体を分注する際に、上記反応ディスク上の別の反応容器に予備の検体を分注しておき、第一次分析の結果が得られたことに伴って再分析が必要であるとされた検体に対応する予備の検体を、上記別の反応容器から上記反応ディスク上の新たな反応容器に分注し、該新たな反応容器内の検体を用いて再分析操作を実行することを特徴とする自動分析方法。
- 検体を収容する検体容器を検体採取位置に位置づける検体容器移動装置と、複数の反応容器が配設される反応ディスクと、上記検体採取位置の検体容器から上記反応ディスク上の反応容器に分析すべき検体を分注する検体分注装置とを備え、上記反応ディスク上の反応容器に採取された上記分析すべき検体に対し分析操作を実行する自動分析装置において、上記検体採取位置に位置づけられる検体容器内の検体が緊急検体であるときに上記分析すべき検体の分注に伴って上記検体採取位置の検体容器から上記反応ディスク上の別の反応容器に対し予備の検体を分注し、採取された上記分析すべき検体に関する第一次の分析の結果が再分析を必要とするか否かを判定し、再分析が必要であれば上記別の反応容器から上記反応ディスク上の他の反応容器に上記予備の検体を分注し、該他の反応容器に採取した検体に対する再分析の分析操作を実行するように構成したことを特徴とする自動分析装置。
- 複数の反応容器が配置される反応ディスク及び該反応ディスク上の反応容器に分析すべき検体を分注する検体分注装置を有する分析部であって、反応容器に採取された検体の分析操作を実行する複数の分析部と、検体を収容する検体容器を各分析部に対応して設けられた複数の検体採取位置に位置づける検体容器移動装置と、を備えた自動分析装置において、上記複数の分析部は少なくとも免疫項目分析部及び生化学項目分析部を含んでおり、上記免疫項目分析部と上記生化学項目分析部の両方による分析を必要とする特定検体を収容する検体容器は上記生化学項目分析部の検体採取位置への位置づけに先立って上記免疫項目分析部の検体採取位置に位置づけられ、上記免疫項目分析部では対応する検体分注装置が上記分析すべき検体の分注に伴って検体採取位置の検体容器から上記免疫項目分析部の反応ディスク上の反応容器に対し予備の検体を分注し、上記免疫項目分析部での上記分析すべき検体に関する第一次の分析の結果が再分析を必要とするときに予備の検体を採取してある反応容器から上記免疫項目分析部の反応ディスク上の他の反応容器に再分析用の検体を分注するように構成したことを特徴とする自動分析装置。
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