以下、図面を参照して実施形態を説明する。
本実施形態では、第1のパラメータに基づく標準試料及び試薬の混合液の測定により生成された標準データと標準試料に対して設定された標準値との関係を示す第1の関係式を生成する演算部と、第2のパラメータに基づく検証試料及び試薬の混合液の測定により生成された検証データの良否の判定を行なう判定部とを備え、判定部は、第1の関係式と第2のパラメータに対応する検証試料の許容範囲値とを用いて、検証データの良否の判定を行なう。
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目に対して設定された複数のパラメータに基づいて、当該検査項目に対応する標準試料、検証試料及び被検試料の各試料と当該検査項目に対応する試薬とを分注し、当該試料及び当該試薬の混合液を測定する分析部10を備えている。また、自動分析装置100は、分析部10の各試料や各試薬の分注等を行う複数のユニットを駆動する駆動部30と、駆動部30を制御する分析制御部31とを備えている。
また、自動分析装置100は、複数のパラメータのうちの通常のパラメータである第1のパラメータに基づいて分析部10で標準試料及び試薬の混合液の測定により生成された標準データから第1の関係式を生成し、被検試料及び試薬の混合液の測定により生成された被検データから第1の関係式を用いて第1の分析データを生成する演算部32を備えている。
また、自動分析装置100は、演算部32で生成された第1の関係式や第1の分析データ等を保存するデータ記憶部33を備えている。また、自動分析装置100は、第1のパラメータに基づいて生成された標準データや、複数のパラメータのうちの特定のパラメータである第2のパラメータに基づき検証試料及び試薬の混合液の測定により生成された検証データの良否の判定を行う判定部34を備えている。
また、自動分析装置100は、演算部32で生成された各検査項目の第1の関係式や第1の分析データ等を表示する表示部35を備えている。また、自動分析装置100は、第1のパラメータ、第2のパラメータ等の各パラメータを設定するための入力、各試料の識別情報や検査項目情報を設定するための入力等を行う入力部36を備えている。また、自動分析装置100は、分析制御部31、演算部32、データ記憶部33、判定部34及び表示部35を制御するシステム制御部37を備えている。
図2は、分析部10の構成の一例を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料、検証試料及び被検試料等の各試料を収容する試料容器11と、試料容器11を保持する試料ラック12とを備えている。また、分析部10は、各試料に含まれる各検査項目の成分と反応する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬や各試料を希釈する希釈液を収容する第1試薬容器13と、複数の第1試薬容器13を移動可能に保持する第1試薬ラック14とを備えている。
また、分析部10は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器15と、複数の第2試薬容器15を移動可能に保持する第2試薬ラック16とを備えている。また、分析部10は、円周上に配置された複数の反応容器17と、この反応容器17を回転移動可能に保持する反応ディスク18とを備えている。
また、分析部10は、各検査項目の成分を含有しないブランク液や、各試料容器11内の試料を吸引して反応容器17内に吐出する分注を行う試料分注プローブ19と、試料分注プローブ19を上下移動及び回転移動可能に支持する試料分注アーム20とを備えている。また、分析部10は、各第1試薬容器13内の第1試薬や希釈液を吸引して反応容器17内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ21と、第1試薬分注プローブ21を上下移動及び回転移動可能に支持する第1試薬分注アーム22とを備えている。
また、分析部10は、各第2試薬容器15内の第2試薬を吸引して反応容器17に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ23と、第2試薬分注プローブ23を上下移動及び回転移動可能に支持する第2試薬分注アーム24とを備えている。また、分析部10は、各反応容器17内の試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット25と、撹拌が行われた各混合液を光学的に測定する測定部26とを備えている。また、分析部10は、各混合液の測定が行われた反応容器17内を洗浄して空にする洗浄ユニット27を備えている。
そして、測定部26は、ブランク液及び試薬の混合液の測定により例えば吸光度で示されるブランクデータを生成する。また、測定部26は、標準試料及び試薬の混合液の測定により例えば吸光度で示される標準データを生成する。また、測定部26は、検証試料及び試薬の混合液の測定により例えば吸光度で示される検証データを生成する。また、測定部26は、被検試料及び試薬の混合液の測定により吸光度で示される被検データを生成する。
図1に戻り、駆動部30は、搬送機構及びこの搬送機構を駆動するモータを有し、分析部10の試料ラック12を搬送する。また、駆動部30は、第1及び第2試薬ラック14,16をそれぞれ駆動するモータを有し、各第1及び第2試薬容器13,15を回転移動する。また、駆動部30は、反応ディスク18を駆動するモータを有し、各反応容器17を回転移動して各停止位置で停止させる。
また、駆動部30は、試料分注アーム20、第1試薬分注アーム22及び第2試薬分注アーム24をそれぞれ上下駆動するモータ及び回転駆動するモータを有し、試料分注プローブ19、第1試薬分注プローブ21、及び第2試薬分注プローブ23をそれぞれ上下移動及び回転移動する。
分析制御部31はCPU及び記憶回路を有し、入力部36からの入力により各検査項目に対して設定された第1のパラメータや第2のパラメータ等の各パラメータ、第1のパラメータに対応する標準試料、第2のパラメータに対応する検証試料、及び被検試料の各試料に対して設定された識別情報や検査項目情報等の入力情報に基づき駆動部30を制御して、分析部10の各ユニットを作動させる。
そして、分析制御部31は、入力部36よりキャリブレーションを開始させる入力が行われると、試料ラック12の搬送、第1試薬容器13の移動、第2試薬容器15の移動、標準試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、混合液の撹拌、混合液の測定等の第1のキャリブレーションを実行させる。また、分析制御部31は、第1のキャリブレーションに引き続き、試料ラック12の搬送、第1試薬容器13の移動、第2試薬容器15の移動、検証試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、混合液の撹拌、混合液の測定等の第2のキャリブレーションを実行させる。
また、分析制御部31は、入力部36より検査を開始させる入力が行われると、試料ラック12の搬送、第1試薬容器13の移動、第2試薬容器15の移動、被検試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、混合液の撹拌、混合液の測定等の検査を実行させる。
演算部32は、CPU及び記憶回路を備えている。そして、演算部32は、第1のキャリブレーションのときに分析部10で各検査項目の第1のパラメータに基づき標準試料及び試薬の混合液の測定により生成された標準データが判定部34により良であると判定された場合、標準データと標準試料に対して設定された当該検査項目の成分の濃度を示す標準値とに基づいて、第1の関係式を生成する。
また、演算部32は、第2のキャリブレーションのときに分析部10で各検査項目の第2のパラメータに基づき検証試料及び試薬の混合液の測定により生成された検証データが判定部34により良であると判定された場合、検証データと検証試料に対して設定された当該検査項目の成分の濃度を示す検証値とに基づいて、第2の関係式を生成する。
また、演算部32は、検査のときに分析部10で第1のパラメータに基づき被検試料及び各検査項目の試薬の混合液の測定により生成された被検データから、当該検査項目の第1の関係式を用いて活性値や濃度値で表される第1の分析データを生成する。
データ記憶部33は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを備えている。そして、データ記憶部33は、各検査項目の標準試料に対して設定された識別情報及び標準値や検証試料に対して設定された識別情報、検証値及び許容範囲値、分析部10で生成された各検査項目の標準データ、検証データ及び被検データ、演算部32で生成された第1の関係式、第2の関係式及び第1の分析データ等を保存する。
判定部34はCPU及び記憶回路を備え、各検査項目の第1のパラメータに対応する標準試料に対して設定された許容範囲値に基づいて、分析部10で生成された当該検査項目の標準データの良否を判定する。また、判定部34は、各検査項目の第1の関係式と第1のパラメータに対応する検証試料に対して設定された許容範囲値とに基づいて、分析部10で生成された各検査項目の検証データの良否を判定する。
表示部35は液晶パネルなどのモニタを備えている。そして、表示部35は、各各検査項目の標準試料の識別情報、標準値及び許容範囲値、各検査項目の検証試料の識別情報、検証値及び許容範囲値等を設定するための標準試料設定画面、各検査項目のパラメータを設定するためのパラメータ設定画面、被検試料毎に識別情報及び検査項目を設定するための被検試料設定画面等を表示する。また、表示部35は、分析部10で生成された標準データ、検証データ、被検データ、演算部32で生成された第1の関係式、第2の関係式、第1の分析データ等を表示する。
入力部36は例えばキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備えている。そして、入力部36は、各検査項目の標準試料の識別情報、標準値及び許容範囲値、各検査項目の検証試料の識別情報、検証値及び許容範囲値等を設定するため入力を行なう。また、入力部36は、各検査項目のパラメータを設定するための入力、被検試料の識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
システム制御部37はCPU及び記憶回路を備え、入力部36から入力されたコマンド信号や、入力情報を記憶回路に記憶する。そして、システム制御部37は、入力情報に基づいて、分析制御部31、演算部32、データ記憶部33、判定部34及び表示部35を統括してシステム全体を制御する。
次に、表示部35に表示されたパラメータ設定画面及びこのパラメータ設定画面で設定されたパラメータに基づく分析部10、演算部32及び判定部34の動作の一例について説明する。
図3は、表示部35に表示されたパラメータ設定画面の一例を示した図である。このパラメータ設定画面40は、「項目」の欄、「通常のパラメータ」の欄及び「特定のパラメータ」の欄等により構成される。そして、入力部36からの入力により設定された各パラメータが各欄に表示されている。
「項目」の欄には、検査項目を識別する例えば項目名を設定する。ここでは、検査項目Aの項目名として設定された「A」が表示されている。
「通常のパラメータ」の欄は、「検査のパラメータ」の欄、「再検査1のパラメータ」の欄、「再検査2のパラメータ」の欄等により構成される。
「検査のパラメータ」の欄は、「検体量」の欄、「第1試薬量」の欄、「第2試薬量」の欄等により構成される。そして、「検査のパラメータ」の欄には、第1のキャリブレーションのときに検査項目Aの第1の関係式を生成させ、検査のときに検査項目Aの第1の分析データを生成させるための第1のパラメータを設定する。
「検体量」の欄には、反応容器17に分注させる検査項目Aの標準試料及び被検試料の各試料の量を設定する。ここでは、各試料の量として設定された例えば3.0μLであることを示す「3.0」が表示されている。これにより、3.0μLの被検試料が、検査項目Aの分析に用いられる。
「第1試薬量」の欄には、各試料が分注された反応容器17に分注させる検査項目Aの第1試薬の量を設定する。ここでは、第1試薬の量として設定された100μLであることを示す「100」が表示されている。これにより、100μLの第1試薬が、検査項目Aの分析に用いられる。
「第2試薬量」の欄には、検査項目Aの第1試薬が分注された反応容器17に分注させる検査項目Aの第2試薬の量を設定する。ここでは、第2試薬の量として設定された50μLであることを示す「50」が表示されている。これにより、50μLの第2試薬が、検査項目Aの分析に用いられる。
第1のキャリブレーショでは、試料分注プローブ19は、「検体量」の欄に設定された量の、例えば測定波長域で吸光度が0に相当する水等のブランク液を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「第1試薬量」の欄に設定された量の検査項目Aの第1試薬を、ブランク液が分注された反応容器17に分注する。第2試薬分注プローブ23は、「第2試薬量」の欄に設定された量の検査項目Aの第2試薬を、第1試薬が分注された反応容器17に分注する。撹拌ユニット25は、反応容器17内のブランク液、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する。
また、試料分注プローブ19は、ブランク液と同量の検査項目Aの標準試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「第1試薬量」の欄に設定された量の検査項目Aの第1試薬を、標準試料が分注された反応容器17に分注する。第2試薬分注プローブ23は、「第2試薬量」の欄に設定された量の検査項目Aの第2試薬を、第1試薬が分注された反応容器17に分注する。撹拌ユニット25は、反応容器17内の標準試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する。
測定部26は、ブランク液、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定によりブランクデータを生成する。また、測定部26は、標準試料、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定により標準データを生成する。判定部34は、標準試料に対して設定された許容範囲値を用いて、標準データの良否を判定する。
演算部32は、判定部34により標準データが良であると判定された場合、当該標準試料に対して設定された検査項目Aの成分の濃度を示す標準値C1、並びに測定部26で生成されたブランクデータ及び標準データに基づいて、標準値C1と標準データとの関係を示す第1の関係式を生成する。
図4は、第1の関係式の一例を説明するための図である。この第1の関係式は、X軸を検査項目Aの成分の濃度とし、Y軸を吸光度とする2次元座標上に検量線D1で表すことができる。この検量線D1は、ブランクデータを吸光度A0とし、標準データを吸光度A1とすると、座標P0(0,A0)と座標P1(C1,A1)とを通る直線で表すことができる。
図3に戻り、「再検査1のパラメータ」の欄は、「検体量」の欄、「希釈液量」の欄、「希釈検体量」の欄及び「再検査条件」の欄により構成される。ここでは、第1のパラメータに基づき被検試料及び試薬の混合液の測定により生成された第1の分析データの値が「再検査条件」の欄に設定された値よりも高い場合、当該被検試料を希釈して再検査を実行させる再検パラメータを設定する。
「検体量」の欄には、再検査のときに、洗浄されて空になった反応容器17に分注させる被検試料の量を設定する。ここでは、被検試料の量として設定された20.0μLであることを示す「20.0」が表示されている。
「希釈液量」の欄には、再検査のときに、被検試料が分注された反応容器17に、当該被検試料を希釈する希釈液を分注させる量を設定する。ここでは、希釈液の量として設定された80μLであることを示す「80」が表示されている。これにより、被検試料が希釈液で5倍希釈された希釈被検試料が分析に用いられる。
「希釈検体量」の欄には、再検査のときに、希釈液の分注により希釈された反応容器17内の希釈被検試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注させる量を設定する。ここでは、希釈被検試料の量として設定された3.0μLであることを示す「3.0」が表示されている。これにより、再検査では、検査のときの被検試料の量と同量の希釈被検試料が分注されることから、検査のときの5分の1の量の被検試料が分析に用いられる。
「再検査条件」の欄には、検査のときに生成された第1の分析データに対応する被検試料に対して、再検査を実行させるか否かを判断する閾値を設定する。ここでは、閾値として設定された1000であることを示す「1000」が表示され、第1の分析データが閾値以上であると、再検査が実行される。
再検査が実行されると、再検パラメータに基づいて、試料分注プローブ19は、「検体量」の欄に設定された量の被検試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「希釈液量」の欄に設定された量の希釈液を、被検試料が分注された反応容器17に分注する。試料分注プローブ19は、反応容器17内における「希釈検体量」の欄に設定された量の希釈被検試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「第1試薬量」の欄に設定された量の第1試薬を、希釈被検試料が分注された反応容器17に分注する。第2試薬分注プローブ23は、「第2試薬量」の欄に設定された量の検査項目Aの第2試薬を、第1試薬が分注された反応容器17に分注する。撹拌ユニット25は、反応容器17内の希釈被検試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する。測定部26は、希釈被検試料、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定により被検データを生成する。
「再検査2のパラメータ」の欄は、「再検査1のパラメータ」の欄と同様に構成される。そして、「再検査2のパラメータ」の欄には、「再検査1のパラメータ」に設定された再検パラメータと異なる再検パラメータを設定する。ここでは、一部の再検パラメータしか設定されていないので、「再検査2のパラメータ」の欄の再検パラメータを用いての再検査を実行させることできない。
「特定のパラメータ」の欄は、「パラメータ」の欄と、「選択」の欄とにより構成される。そして、「特定のパラメータ」の欄には、検査のときに第1のパラメータ以外のパラメータを用いて分注や測定等を行わせる可能性がある場合、そのパラメータを第2のパラメータとして設定する。第2のパラメータを設定し選択することにより、第1のキャリブレーションに引き続き、第2のパラメータを用いて第2のキャリブレーションを実行させることができる。
「パラメータ」の欄は、「再検査1のパラメータ」の欄、「再検査2のパラメータ」の欄等の複数の第2のパラメータの設定が可能な複数の欄により構成される。
「再検査1のパラメータ」の欄は、「試料」の欄、「値」の欄及び「許容値」の欄の各欄により構成され、各欄に設定されたパラメータと「通常のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄に設定された再検パラメータとを第2のパラメータとして用いる。
「試料」の欄には、第2のキャリブレーションに用いる検証試料を設定する。ここでは、例えば検査項目Aの標準試料であることを示す「標準試料」が表示されている。これにより、第2のパラメータでは、第1のパラメータで用いられた標準試料が検証試料として用いられる。
「値」の欄には、「試料」の欄に設定された標準試料が検証試料として用いられたときに検証試料に含まれる検査項目Aの成分の濃度を検証値として設定する。「通常のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄に設定された再検パラメータを用いると、標準試料が5倍に希釈されることになる。従って、「値」の欄には、標準試料の標準値C1を5で除した値が設定され、その値が検証値C2であることを示す「C2」が表示されている。
「許容値」の欄には、検証試料及び試薬の混合液の測定により生成される検証データを良と判定する許容範囲値を設定する。ここでは、例えば、「値」の欄に設定した検証値C2に対する許容範囲値の下限が例えば検証値C2よりも小さい下限値CLであり、上限が検証値C2よりも大きい上限値CHであることを示す「CL-CH」が表示されている。
「再検査2のパラメータ」の欄は、「再検査1のパラメータ」の欄と同様に、「試料」の欄、「値」の欄及び「許容値」の欄の各欄により構成され、各欄に設定されたパラメータと「通常のパラメータ」の欄の「再検査2のパラメータ」の欄に設定された再検パラメータとを第2のパラメータとして用いる。ここでは、「試料」の欄、「値」の欄及び「許容値」の欄には、パラメータが設定されていないので空白になっている。
「選択」の欄は、「パラメータ」の欄に設定された第2のパラメータのうち、第2のキャリブレーションのときに用いる第2のパラメータを選択設定する。ここでは、「再検査1のパラメータ」に対応する四角枠に、「再検査1のパラメータ」の再検パラメータと、「試料」の欄、「値」の欄及び「許容値」の欄の各欄に設定されたパラメータとが第2のパラメータとして選択設定されたことを示す「レ」が表示されている。
ここで、「通常のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄に再検パラメータが設定され、且つ、第2のパラメータとして「再検査1のパラメータ」が選択設定されているので、キャリブレーションのとき、分析制御部31は、検査項目Aに対して、第1のパラメータに基づいて第1のキャリブレーションを実行させ、第2のパラメータに基づいて第2のキャリブレーションを実行させる。
なお、「通常のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄に再検パラメータが設定されていない、又は第2のパラメータが選択設定されていない場合、分析制御部31は、キャリブレーションのとき、検査項目Aに対して、第2のキャリブレーションを実行させない。
第2のキャリブレーションでは、試料分注プローブ19は、「通常のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄における「検体量」の欄に設定された量の標準試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「再検査1のパラメータ」の欄の「希釈液量」の欄に設定された量の希釈液を、標準試料が分注された反応容器17に分注する。
標準試料及び希釈液の分注により反応容器17内の標準試料は希釈されて検証試料となる。試料分注プローブ19は、「再検査1のパラメータ」の欄の「希釈検体量」の欄に設定された量の検証試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、「検査のパラメータ」の欄の「第1試薬量」の欄に設定された量の第1試薬を、検証試料が分注された反応容器17に分注する。第2試薬分注プローブ23は、「検査のパラメータ」の欄の「第2試薬量」の欄に設定された量の第2試薬を、第1試薬が分注された反応容器17に分注する。測定部26は、検証試料、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定により検証データを生成する。
判定部34は、「特定のパラメータ」の欄の「再検査1のパラメータ」の欄における「許容値」の欄に設定された許容範囲値及び第1のキャリブレーションで生成された検査項目Aの第1の関係式を用いて、測定部26で生成された検証データの判定を行う。
そして、判定部34は、図5に示すように、検証データが例えば吸光度A3であると、検量線D1で示される第1の関係式に吸光度A3を代入して値Cx1を算出し、値Cx1が下限値CLから上限値CHまでの許容範囲値に入ることから、吸光度A3を良であると判定する。また、判定部34は、図6に示すように、検証データが例えば吸光度A4であると、第1の関係式に吸光度A4を代入して値Cx2を算出し、値Cx2が上限値CHよりも大きいので許容範囲値から外れることから、吸光度A4を不良であると判定する。
演算部32は、判定部34により吸光度A3が良であると判定された場合、吸光度A3と、「特定のパラメータ」の欄における「再検査1のパラメータ」の欄の「値」の欄に設定された検証値C2との関係を示す第2の関係式を生成する。また、演算部32は、判定部34により吸光度A4が不良であると判定された場合、第2の関係式の生成を止める。
ここで、図3のパラメータ設定画面40に表示された第1のパラメータと第2のパラメータとでは、混合液の量と、第1試薬の分注量と、第2試薬の分注量とが同じである。また、第1のパラメータと第2のパラメータとでは、第1試薬の量と第2試薬の量を合計した試薬の量に対する試料の量の割合が異なり、第2のパラメータでは第1のパラメータに対して試料の量が5分の1になるように試料を希釈する工程がある。従って、検証データが不良である場合、第2のパラメータとして設定された試料を5倍に希釈するときの分注精度の低下が想定される。
図7は、第2の関係式の一例を説明するための図である。この第2の関係式は、X軸を検査項目Aの成分の濃度とし、Y軸を吸光度とする2次元座標上に検量線D2で表すことができる。
再検パラメータを用いた場合、ブランク液の分注量は、「再検査1のパラメータ」の欄の「希釈検体量」の欄に設定された量と同じになるので、ブランクデータは図4で説明した吸光度A0を用いることができる。従って、検量線D2は、座標P0(0,A0)と座標P3(C2,A3)とを通る直線で表すことができる。ここでは、値Cx1が検証値C2と異なる場合の例を示したが、値Cx1が検証値C2に一致する場合、第2の関係式は第1の関係式で示されることになる。
以下、図1乃至図8を参照して、自動分析装置100の動作の一例について説明する。
図8は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。この自動分析装置100には、図3のパラメータ設定画面40に表示された検査項目Aのパラメータが設定されている。
各検査項目のうち、検査項目Aを選択してキャリブレーションを開始させる入力が入力部36から行なわれると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
システム制御部37は、分析制御部31、演算部32及び判定部34等に検査項目Aのキャリブレーションの開始を指示する。分析制御部31は、駆動部30を制御して、分析部10の各ユニットを作動させる。
分析部10は、第1のパラメータに基づいて作動する。試料分注プローブ19は、ブランク液を洗浄ユニット27により洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、ブランク液が分注された反応容器17に第1試薬を分注する。第2試薬分注プローブ23は、第1試薬が分注された反応容器17に第2試薬を分注する。また、試料分注プローブ19は、標準試料を洗浄ユニット27により洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、標準試料分注された反応容器17に第1試薬を分注する。第2試薬分注プローブ23は、第1試薬が分注された反応容器17に第2試薬を分注する。
測定部26は、撹拌ユニット25により撹拌された反応容器17内のブランク液、第1試薬及び第2試薬の混合液を測定してブランクデータを生成する。また、測定部26は、撹拌ユニット25により撹拌された反応容器17内の標準試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を測定して標準データを生成する。
判定部34は、標準試料に対して設定された許容範囲値に基づいて、標準データの良否の判定を行なう。以下では、標準データが良であると判定された場合について説明する。
演算部32は、測定部26により生成されたブランクデータ、標準データ及び標準値C1等に基づいて、標準値C1と標準データとの関係を示す第1の関係式を生成する(ステップS2)。
試料分注プローブ19は、第1のパラメータに基づき標準試料を分注した後、第2のパラメータに基づいて、洗浄されて空になった反応容器17に標準試料を分注する。第1試薬分注プローブ21は、標準試料が分注された反応容器17に希釈液を分注する。試料分注プローブ19は、標準試料及び希釈液が分注された反応容器17内の検証試料を、洗浄されて空になった反応容器17に分注する。第1試薬分注プローブ21は、検証試料が分注された反応容器17に第1試薬を分注する。第2試薬分注プローブ23は、第1試薬が分注された反応容器17に第2試薬を分注する。測定部26は、撹拌ユニット25により撹拌された反応容器17内の検証試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を測定して検証データを生成する(ステップS3)。
判定部34は、演算部32で生成された第1の関係式及び検証試料の許容範囲値を用いて、測定部26で生成された検証データの良否の判定を行なう(ステップS4)。
そして、第1の関係式と検証データとを用いて算出した値が許容範囲値内である場合(ステップS5のはい)、ステップS6に移行する。また、第1の関係式と検証データとを用いて算出した値が許容範囲値から外れている場合(ステップS6のいいえ)、ステップS7に移行する。
ステップS5の「はい」の後、演算部32は、検証試料に対して設定された検証値C2と検証データとの関係を示す第2の関係式を生成する(ステップS6)。
ステップS5の「いいえ」の後、表示部35は、検査項目Aの検証データの不良情報を表示出力する(ステップS7)。
ステップS6又はステップS7の後、システム制御部37が分析制御部31、演算部32及び判定部34等に指示してキャリブレーションの終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS8)。
キャリブレーションの終了後、図8のステップ5において検証データが良である場合、検査項目Aの検査を実行させる入力が入力部36から行なわれると、演算部32は、分析部10で第1のパラメータに基づく被検試料及び試薬の混合液の測定により生成された被検データに対して第1の関係式を用いて第1の分析データを生成する。
そして、第1の分析データが「再検査1のパラメータ」に再検査条件として設定された閾値未満である場合、表示部35は、閾値未満の第1の分析データを表示する。また、第1の分析データが「再検査1のパラメータ」に再検査条件として設定された閾値以上である場合、演算部32は第1の分析データに閾値以上であることを示す第1のフラグを付加する。表示部35は、第1のフラグが付加された第1の分析データを表示する。
また、第1の分析データが「再検査1のパラメータ」に再検査条件として設定された閾値以上である場合、分析制御部31は第2のパラメータに基づき被検試料の希釈、並びに希釈被検試料、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定により被検データを生成させる。演算部32は、被検データから第2の関係式を用いて第2の分析データを生成し、第2の分析データに第2のパラメータに基づき生成したことを示す第2のフラグを付加する。表示部35は、第2のフラグが付加された第2の分析データを表示する。
このように、キャリブレーションのときに第1のパラメータに基づいて第1の関係式を生成させるだけでなく、第2のパラメータに基づいて第2の関係式を生成させることにより、検査のときに第2のパラメータを用いた測定により、第2の関係式を用いて第2の分析データを生成させることができる。これにより、第1の関係式を用いるよりも分析精度の高い第2の分析データを得ることができる。
キャリブレーションの終了後、図8のステップ5において、検証データが不良である場合、検査項目Aに対して、第2のパラメータに基づく被検試料の分注、試薬の分注、及び被検試料及び試薬の混合液の測定を停止させる。
このように、キャリブレーションのときに第1のパラメータだけでなく、検査のときに用いる第2のパラメータを用いた第2のキャリブレーションを実行させることにより、検査のときに第2のパラメータに基づく被検試料及び試薬の分注及び測定を停止させることができるので、分析精度が低下する第2の分析データの生成を未然に防ぐことができる。
以上述べた実施形態によれば、キャリブレーションのときに、第1のキャリブレーションを行なわせて第1のパラメータに基づき標準試料及び試薬の混合液の測定により第1の関係式を生成させ、第1のキャリブレーションに引き続き第2のキャリブレーションを行なわせて第2のパラメータに基づき検証試料及び試薬の混合液の測定により検証データを生成させて、検証試料に対して設定された許容範囲値及び第1の関係式に基づいて検証データの良否の判定を行なうことができる。
そして、検証データが良である場合、検証試料に対して設定された検証値及び検証データに基づいて第2の関係式を生成させ、第2のパラメータに基づき被検試料及び試薬の混合液の測定により生成される被検データから第2の関係式を用いて第2の分析データを生成させることができる。また、検証データが不良である場合、第2のパラメータに基づく被検試料及び試薬の分注、及びその混合液の測定を停止させることができる。
以上により、精度の低下した第2の分析データの生成を未然に防ぐことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。