JP3554099B2 - インクジェットプリント装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドユニット,インクジェットカートリッジ,インクジェットプリント装置に関し、詳しくは、プリント媒体上にインクおよび該インク中の色材を不溶化または凝集させるプリント性向上液(以下、単に処理液ともいう)を吐出してプリントを行うためのインクジェットヘッドユニット,インクジェットカートリッジおよびインクジェットプリント装置に関するものである。
【0002】
本発明は、紙や布、革、不織布、OHP用紙等、さらには金属等を、吐出されたインクおよびプリント性向上液を受容する媒体(以下、プリント媒体という)として用いる機器すべてに適用可能である。具体的な適用機器としては、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器や工業用生産機器等を挙げることができる。
【0003】
【背景技術】
従来、インクジェット方式は、低騒音、低ランニングコストであること、装置の小型化、カラー化が容易であること等の利点を有し、プリンタや複写機等に広く利用されているものである。
【0004】
しかしながら、このようなインクジェット方式を用いたプリント装置において、所謂普通紙と呼ばれるものをプリント媒体に用いた場合、プリントされた画像等の耐水性が不十分であることによって水等が付着したときに滲みを生じたり、また、カラープリントを行う場合に、フェザリングを生じない高濃度の画像と各色間におけるにじみのない画像とを両立させることができず、良好な画像堅牢性を有し、また良好な品位のカラー画像が得られないことがある。
【0005】
これに対し、インク中に含まれる色材に耐水性を持たせたインクも近年では実用化されてきている。しかしながら、これらのインクはその耐水性がまだ不十分であるとともに、原理的に一旦乾燥した後は水に溶解しにくいものであるため、インクジェットヘッドの吐出口等において目詰まりを生じやすく、また、これを防止するために装置構成が複雑になるという問題がある。
【0006】
また、従来よりプリント物の堅牢性を向上させるための技術が多数提案されている。
【0007】
例えば特開昭53−24486号公報には、染色物の湿潤堅牢度を増進させるために、染色物を後処理することで染料をレーキ化し固着させる技術が提案されている。
【0008】
また、特開昭54−43733号公報ではインクジェット方式を用いて、相互に接触すると常温または加熱時に被膜形成能が増大する2以上の成分を用いてプリントする方法が開示されており、プリント媒体上で各成分が接触することにより強固に密着した被膜を形成したプリント物を得ている。
【0009】
さらに、特開昭55−150396号公報には、水性染料インクをプリント後に、染料とレーキを形成する耐水化剤を付与する方法が開示されている。
【0010】
さらには、特開昭58−128862号公報では、ドットを形成すべき位置をあらかじめ認識し、その位置においてプリント用インクと処理インクとを重ねてプリントするインクジェットプリント方法を開示している。ここでは、プリント用インクに先立って処理インクを吐出したり、これとは逆に先に吐出されたプリント用インク上に処理インクを重ねたり、さらには、先に吐出された処理インク上にプリント用インクを重ねた後、さらに処理インクを重ねることにより、プリント物の耐水性等の向上を図っている。
【0011】
一方、インクジェットプリント方式には、次のような問題があることもよく知られたことである。
【0012】
第1に、インクジェット方式は、インクジェットヘッドからインク液滴を紙,OHPフィルムなどのプリント媒体に吐出してプリントを行うものであるため、吐出したインク滴以外に発生した微細なインク滴やプリント媒体へ吐出したインク滴の跳ね返りなどのミストを生じることがあり、これらのミスト等がインクジェットヘッドの吐出口面に付着することがある。このようなインク滴が吐出口の周囲に多量に付着し、又はこれに紙粉等の異物が付着した場合には、インク吐出が阻害され、吐出方向が偏向したり(ヨレ)、インク液滴が吐出しない(不吐出)等の弊害を引き起こすという問題がある。
【0013】
第2に、インクジェットヘッドは、非吐出時、特に長期にわたって吐出を行わないときは吐出口内のインクが増粘,固化することもあり、この場合にも、ヨレや不吐出などの吐出不良を引き起こすことがある。
【0014】
インクジェットプリント方式では、このような不都合を解消するための構成として次のようなものを有していることも、従来より知られているところである。
【0015】
上記第1の問題に関して上述のインクミストにより吐出口面に付着したインクや紙粉等の異物を清掃除去する手段として、ゴムなどの弾性部材で形成したブレードにより吐出口面を掃拭(ワイピング)する構成が一般的に採用されている。
【0016】
また、第2の問題に関して、非記録時にはキャップにより吐出口面を覆い、これにより、インクジェットヘッドの吐出口内のインクが蒸発,乾燥して増粘,固着するのを防ぐ構成を用いている。また、仮に、増粘,固着によって吐出不良を生じたり、第1の問題に関してブレードで除去しきれなかった異物などがある場合でも、キャップに接続された吸引ポンプにより吐出口内の増粘インクや吐出口面に付着したインク等を排出し正常な吐出に回復することも行っている。
【0017】
さらに、オンデマンド型のインクジェットプリント方式のプリント動作においては、プリントデータによるが通常は一つのヘッドに設けられた複数の吐出口の全てを常に使用しているわけではなく、ある時間以上使用されない不使用吐出口が存在することがある。また、カラープリント装置のように色ごとの複数のインクジェットヘッドを有する場合でも、プリントデータが転送されないことにより(プリントが行われないことにより)、インクジェットヘッド全体が不使用の場合もある。このように吐出口面がキャップされない状態で、ある時間連続してプリント動作を行うことがあるが、このような場合にもインク吐出が行われない吐出口面及び吐出口内のインクの蒸発,乾燥が促進され、結果として吐出性能の低下、画像品位の低下を引き起こすこととなる。
【0018】
このような問題に対しては、上述した吸引回復とともに、あるいはこれとは別個に、例えば所定時間毎にプリントデータとは無関係に所定の場所でインクの吐出を行い、吐出口内のインクを排出してフレッシュなインクにすることによって吐出状態を常に適性に保つ、いわゆる予備吐出を行っている。この予備吐出は、プリント媒体や装置内部に飛散して汚れが発生しないように、例えば回復ユニットのキャップ内や別個に設けた予備吐出受け部材に向けて吐出される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェットプリント装置において、従来より知られている上述のようなプリント物の耐水性等に関する問題および吐出不良に関する問題を、同時に解決することが容易でない場合がある。
【0020】
すなわち、耐水性や画質向上の観点から、インクを不溶化する処理液を用いる場合には、耐水性,画質等は向上するものの、上述したはねかえりミストによって吐出口面の吐出口部およびその近傍にこの不溶化したものが付着するとこのような付着物は上述したワイピングや予備吐出によって除去し難いものとなり、比較的重大な吐出不良などの弊害を引き起こすことがある。
【0021】
インクの不溶化したものの付着は主に次に示す2つの現象によって発生することがある。1つ目は、インクジェットヘッドから吐出されたインク滴や処理液がプリント媒体上で跳ね返り、それらが混合してインクジェットヘッドに付着する場合であり、特に、処理液がすでに吐出された所にインク滴が吐出されると、処理液とインク滴が既に反応した不溶化物として跳ね返えり付着する場合である。2つ目は、プリント中にプリント媒体としての紙等が紙詰まりを起こしたり、何枚もの紙が重送されるなどの不具合が発生した際に、すでに紙のプリントされた部分がインクジェットヘッドの吐出口部に付着し、これによって吐出口部で不溶化が生じる場合などがある。
【0022】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、インクジェットヘッドの吐出口部への不溶化物の付着を防止もしくは低減し、安定した吐出を行なわせることができるインクジェットプリント装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、プリント中におけるインクジェットヘッドへのインク滴や処理液、あるいはそれらの混合物が、その跳ね返りやミストによって吐出口部に付着することを防止することができるインクジェットプリント装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、吐出口面に形成された吐出口からインクを吐出するインク吐出部を用い、プリント媒体にインクを吐出してプリントを行うインクジェットプリント装置において、前記吐出口を避けて前記インク吐出部の前記吐出口面を覆うカバープレートであって、前記吐出口面を覆った状態でプリントを行うことが可能なカバープレートと、該カバープレートを前記インク吐出部に対して移動させる移動手段と、を具え、前記カバープレートは、該カバープレートが前記移動手段によって前記インク吐出部に対して移動するとき、当該移動に伴って前記インク吐出部の前記吐出口面を掃拭する掃拭部材を有したことを特徴とする。
【0027】
他の形態では、吐出口面に形成された吐出口からインクを吐出するインク吐出部と、吐出口面に形成された吐出口から前記インクを不溶化させる処理液を吐出する処理液吐出部とを用い、プリント媒体にインクおよび処理液を吐出することによりプリントを行うインクジェットプリント装置において、前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方の吐出口を避けて当該吐出口面を覆うカバープレートであって、前記吐出口面を覆った状態でプリントを行うことが可能なカバープレートと、該カバープレートを前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方に対して移動させる移動手段と、を具え、前記カバープレートは、該カバープレートが前記移動手段によって前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方に対して移動するとき、当該移動に伴って前記インク吐出部の前記吐出口面および前記処理液吐出部の前記吐出口面の少なくとも一方を掃拭する掃拭部材を有したことを特徴とする。
【0031】
以上の構成によれば、インクと処理液を重ねて吐出する場合に、プリント媒体上でのこれらのはね返りによってミストが生じるが、このミストが被覆手段によって少なくともインク吐出部の吐出口面に付着することを防止できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明は、吐出の結果生じるプリント媒体からのはね返りによって生じるミストの挙動を検討した結果として新規な観点からなされたものである。
【0033】
すなわち、このようなはね返りミストがある場合に問題となるのは、上述したように、はね返りミストにおける不溶化物がインクジェットヘッドの吐出口又はその近傍に付着して重大な吐出不良を生じさせることである。従って、本発明の第1の実施形態では、はね返りミストの挙動を検討し、これらが付着しようとする部分に対して被覆する手段を設けることにより、吐出口又はその近傍はもとより吐出口面自身に不溶化物が付着することを防止するか、又はその付着量を低減するものである。
【0034】
このような被覆手段を設ける場合、吐出口面においてそれを設ける範囲が問題となる。以下、被覆範囲の検討について説明する。
【0035】
図1(a)〜(c)は、吐出された液滴がプリント媒体もしくは、プリント媒体上に形成された液体膜に衝突した際のはね返り等の挙動を説明する模式図であり、同図(a)は液滴がプリント媒体に直接衝突した場合を、同図(b)は比較的薄い液体膜に衝突した場合、同図(c)は比較的厚い液体膜に衝突した場合をそれぞれ示すものである。なお、各図(a)〜(c)のそれぞれは図中上から順に時間の経過に伴う挙動の変化を示しており、また、各図(a)〜(c)の状態において液滴の速度は等しいものである。
【0036】
同図(a)に示すように、液滴1がプリント媒体2に直接衝突する場合、その衝突によりプリント媒体2上で変形する液体(液滴)1は、その周囲部が突出し、最終的に一部の液体が分離してはね返りミストを形成する複数の液滴4を生じる。そして、この液滴4の飛翔する方向は斜め上方に向かうものとなる。
【0037】
図1(b)に示す例では、上記の例とほぼ同様の挙動を示す。すなわち、はね返り液滴(不図示)は、そのほとんどが吐出された液滴1の一部であり、そのはね返り液滴は円錐状のミストを形成する。但し、はね返りミストの各液滴の中には、吐出液滴1に関して、プリント媒体上に形成される液体膜3の性質に応じた割合で液体膜3を形成する液体が混入する。
【0038】
上記二例に対して、図1(c)に示す例では、はね返り液滴(不図示)の方向は同一であるものの、その液滴を形成する液体は、ほとんどが液体膜3の液体となる。これは、液滴1が液体膜3と衝突する際、その厚さによって、衝突のエネルギーは反射的に液滴1に作用するよりも液体膜3を形成する液体に伝わるからである。なお、液滴1の速度が増した場合は、衝突の際の挙動は、図1(b)に示す状態に近づくものとなる。
【0039】
以上の説明から明らかなように、はね返りミストは、円錐状にはね返るものであるため、一定の条件下では吐出口およびその近傍に付着する可能性は小さいかもしくは付着したとしてもその量は少ないが、本発明の実施形態において被覆手段を設ける場合上述のような挙動を示すはね返りミストにより吐出口面のいずれの部分が付着する領域となるかが問題となる。
【0040】
まず、図1に関する上述の説明から明らかなように、円錐状に形成されるはね返りミストは、インク等を吐出したその吐出口自身に対しては、ミストが付着する可能性は小さいかもしくは付着量を極めて少ないが、例えば複数の吐出口が配列するインクジェットヘッドにおいては、隣接する吐出口から吐出されたインク等のはね返りミストが吐出口又はその近傍に付着するおそれがある。
【0041】
このため、被覆範囲の基本的な形態として、吐出口およびその近傍の周囲のみに対応する部分が開口する被覆範囲とし、これにより、特に隣接する吐出口について生じるはね返りミストが吐出口およびその近傍に付着する量を低減する。
【0042】
次に、本願発明者等は、インクジェットヘッドとプリント媒体との間の距離(以下、紙間距離ともいう)に応じて、その付着領域を含め液体の付着状態が大きく異なることを見い出した。本発明の他の実施形態では、この観点から被覆範囲を適切に定めるものである。
【0043】
図2(a)〜(d)は、紙間距離によってはね返りミストおよびその付着の状態が異なる様子を示す模式図である。これらの図に示す各状態は、各吐出口の吐出量が7〜15[pl]で、吐出速度が10〜20[m/sec]の条件の下での状態を示し、また、それぞれの吐出デューティーは相互に等しいものである。
【0044】
なお、これらの図は、インクジェットヘッドの吐出口に関して、はね返りミストの位相を対称なものとして示しているが、例えば実際のプリント装置の中には、インクジェットヘッドがプリント媒体に対して相対移動するものがあり、この場合には、厳密には上記のような対称性は保証されない。しかしながら、以下の説明は、はね返りミストの付着に関するものであり本質的に上記対称性が関与するものではなく、また、相対移動があっても、液滴の速度の相対移動方向の成分により上記対称性からのずれはわずかなものにすぎない。従って、以下の説明は、インクジェットヘッドが相対移動する場合にも、その本質において妥当なものである。
【0045】
図2(a)は、紙間距離が2.0mmの場合のはね返りミストの様子および吐出口面のミスト付着の状態を示す図である。同図に示すように、インクジェットヘッド5の吐出口6から吐出されたインク滴は、図1に示すようなプリント媒体2におけるはね返りによってはね返りミスト7を形成するが、このミスト7のほとんどは、紙間距離が比較的大きいため吐出口面5Aには到達せず、従って、吐出口面5Aにはほとんどミストが付着しない。
【0046】
紙間距離を上記の場合より小さくしていくと、吐出口から離れた周囲の部分にわずかにミスト7が付着し始める。さらに紙間距離を小さくし、例えば図2(b)示すように、紙間距離を1.5mmとしたときは、吐出口6の比較的近くの領域にミストが付着する。しかし、この場合でも、吐出口およびその近傍ではミストの付着はほとんどみられない。そして、この図および図2(c),(d)に示すように、各吐出口に関する個々のはね返りミストは、上述のように円錐状となるものの、複数の吐出口において同時にある一定の吐出デューティーで吐出が行われるときには、吐出口の配列に沿って、その配列の両側にミストが付着する。
【0047】
次に、紙間距離が1.0mm前後となると、はね返りミストの様子は上述したものと異なる場合がある。すなわち、ある吐出口に着目するとき吐出デューティーが比較的低く、例えば吐出が間欠的になされる場合には、その吐出口に関して形成されるはね返りミストは図2(a),(b)に示したものと同様となる。しかしながら、吐出デューティーがある程度高くなると、その連続的な吐出によりはね返りミストは渦を形成する。このような渦の形成には、上述のように吐出デューティーが1つの要因となるが、他に、紙間距離や吐出時間が関与するものである。
【0048】
図3および図4は、はね返りミストが渦を形成する過程を説明する模式図である。なお、以下の説明は、渦の形成を含め、吐出口面におけるミスト付着状態からの推察に基づいてなされるものである。
【0049】
図3に示すように、インクジェットヘッド5の吐出口6からインク等の吐出が行われると、上述したように図中B方向に向うはね返りミスト7が形成されるが、上記吐出が連続的である場合には、その連続的に吐出されるインク滴の飛翔により図中Aに示すような気流を生じ、これによって、はね返りミスト7は徐々に図中中央側へ向う力を受けて、最終的に図4に示すような渦を形成する。
【0050】
なお、この渦形成においても、前述したインクジェットヘッドの相対移動が関与する。すなわち、連続的な吐出が行われる場合、上記相対移動によりそれらの着弾位置は連続的にずれていくため、厳密には、図4に示すような渦は形成されない。しかしながら、前述したように、はね返りミスト自体が相対移動方向の速度成分を有していること、およびその成分と比較して吐出速度がはるかに大きいことから、ある着目する吐出口に関しては、ほぼ図4に示すような渦が形成されると推定される。
【0051】
再び図2を参照すると、上述した渦の形成により図2(c)に示すように、吐出口面5Aの吐出口近傍に付着するミストの量は多くなり、また、付着滴の大きさもより大きなものとなる。
【0052】
さらに、紙間距離を小さくし、0.5mm程度とすると、吐出口部分およびその近傍のミストの付着量が急激に増大する。
【0053】
以上の説明から明らかなように、はね返りミストが吐出口面において付着する領域は、紙間距離に応じて異なる。従って、本実施形態では、装置構成において紙間距離がどのように定められているかに応じて吐出口面を覆う部材による被覆範囲を定める。例えば、図2(a)に示すように紙間距離が比較的大きく、はね返りミストが付着するおそれがない装置では被覆部材を設けなくてもそれ程支障はない。また、同図(b)に示すように、付着範囲が吐出口から離れた周囲である装置では、少なくともその周囲の部分のみ覆うようにすると効果的である。さらに、同図(c)に示すように、渦が形成され、吐出口近傍にまではね返りミストが付着するおそれがある装置では、吐出口およびその近傍に対応する部分のみ開口を設け他の部分を覆うものとする。
【0054】
また、本実施形態では、以上のような被覆部材の態様に応じて、吐出口面のワイピングの構成を異ならせ、これにより、不溶化物の吐出口面への付着を適切に防止するとともに、インクジェットヘッドの温度変化に起因して生じる結露等の水滴や紙粉を良好に除去することができる。
【0055】
本発明の第2の実施形態では、インクとこれを不溶化する処理液もしくはこの処理液を含んだインクとの吐出順序に応じて、各インクジェットヘッドに対する被覆手段の態様を異ならせる。以下、吐出順序に応じた各インクジェットヘッドへの不溶化物の付着の状態を説明する。
【0056】
図5(a)〜(d)は、処理液Sを吐出するインクジェットヘッド(以下、処理ヘッドという)と黒インクKを吐出するインクジェットヘッド(以下、黒インクヘッドともいう)とを用いたときにその吐出順序によってそれぞれの吐出口面に付着する液滴の違いを説明する模式図である。なお、これらの図において、吐出口面における吐出口列の図示は省略されている。
【0057】
図5(a)に示すように、処理液ヘッドのみで吐出が行われる場合には、図2〜図4にて説明したはね返りミストによりその処理液ヘッドの吐出口面5Aに処理液のみが付着する。同様に、黒インクヘッドのみで吐出が行われる場合には、同図(b)に示すように、その吐出口面5Aに黒インクKのみが付着する。
【0058】
これに対し、実際のプリントにおいて黒ドットを形成しようとするとき、同図(c)に示すように処理液S、黒インクKの順に吐出を行う場合には、処理液ヘッドの吐出面5Aには、処理液Sの液滴が付着し、黒インクヘッドの吐出口面5Aには、黒インク中に処理液Sと黒インクKとが反応して生じる凝集物の粒子が比較的多く存在した液滴が付着する。この凝集物を含んだ液滴は、吐出口面5Aにおいて不溶化物となり除去し難いものとなる。
【0059】
一方、同図(d)に示すように、黒インクK、処理液Sの順で吐出を行う場合には、処理液ヘッドの吐出口面5Aには、処理液Sの液滴中に上述した凝集物の粒子を1〜2個含んだものが付着し、また、その付着量は同図(c)に示す黒インクヘッドの場合より少なくなる。また、黒インクヘッドの吐出口面5Aには、黒インクの液滴のみが付着する。
【0060】
図6(a)および(b)は、図5(c)および(d)に示した吐出順序の違いによる液滴付着の違いを説明する図であり、同図(a)は、図5(c)に対応して処理液S、黒インクKの順で吐出した場合のはね返りミストの生成を示し、図6(b)は、図5(d)に対応して黒インクK、処理液Sの順で吐出した場合のはね返りミストの生成を示している。
【0061】
はね返りミストの生成は、図1にも示したように、プリント媒体に衝突した液滴が変形し、その一部が分離して飛翔することによるものである。すなわち、吐出順に応じて既に処理液又は黒インクが吐出されている場合、それらはプリント媒体上に薄い膜となって形成されており、そこに次に着弾する黒インク又は処理液はすでに形成されている薄膜の液面を押しのけその液体を飛翔させるよりは自身が変形,分離して飛翔する。従って、はね返りミストを形成する液滴の大部分は、後から吐出された液体となり、その一部に衝突の際2液の境界部に接する先行吐出の液体が含まれるものとなる。
【0062】
図6(a)に示す場合、既に処理液Sが吐出されてその薄膜が形成されており、この部分に黒インクKが吐出されると、その衝突によって黒インクを主体としその一部に処理液を含んだ液滴が飛翔する。この場合、黒インクKと処理液Sとの間では処理液S側から黒インクK側へ向う方向性を有した反応を生じて凝集物が形成されるため、はね返りミストを形成する黒インク滴の中には比較的多数の凝集物が含まれることになる。
【0063】
これに対し、図6(b)に示すように、吐出順序が黒インクK、処理液Sの場合は、はね返り液滴の飛翔方向に対して上記反応の方向性が逆となるため、はね返りミストを形成する処理液Sの液滴中に存在する凝集物は、かなり少ないものとなる。
【0064】
以上説明したように、吐出順序によって不溶化物の付着の程度が異なる。このため、本発明の第2の実施形態では、処理液Sおよびその他のインクを吐出するための複数のインクジェットヘッドおいてそれらの吐出する順序に応じて被覆手段の配設を異ならせる。
【0065】
本発明の第3の実施形態では、吐出口面に不溶化物が付着することは許容するものの、少なくとも吐出口およびその近傍に不溶化物が付着することを防止するように被覆手段を設けるものである。
【0066】
図7は、本実施形態の被覆手段の一例を示す図であり、インクジェットヘッドの吐出口5Aにおける吐出口列からある程度離れた周囲部をカバー8によって覆った場合において、図2(c)に示す紙間距離を示す装置の例を示す。
【0067】
すなわち、上記紙間距離の場合において、図7に示すようなカバーを用いるときは、前述したように吐出口およびその近傍にはね返りミストが付着するが、本願発明者等はインクジェットヘッドの走査によって生ずる気流の影響により図7に示すような付着分布を生じることに着目したものである。
【0068】
なお、以上説明した被覆部材は、最終的に不溶化物の付着を防止ないしは低減することを目的とするものであるが、上述のような処理液を併用するインクジェット装置に限られず、通常のインクのみを用いるインクジェット装置においてもインクが吐出口面に付着することを防止する上で同様な作用、効果を奏することができる。
【0069】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0070】
図8は、本発明の一実施例に係るインクジェットプリント装置の概略図を示す斜視図である。
【0071】
図8において、装置100の給紙位置に挿入された記録媒体106は、送りローラ109によってインクジェットユニット103によるプリント可能領域へ搬送される。このプリント可能領域におけるプリント媒体の背面部には、プラテン108が設けられている。
【0072】
キャリッジ101は、2本のガイド軸104および105によって一定の方向に移動可能な構成となっており、これにより、ヘッドユニット103はプリント領域を往復走査することができる。キャリッジ101には、後述される各ユニットを搭載することができる。すなわち、複数の色それぞれのインクと処理液を吐出するインクジェットヘッドと、それぞれのインクジェットヘッドにインク又は処理液を供給するためのインクタンクを含むインクジェットユニット103が搭載される。例えば複数の色のインクとしては、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色を用いることができる。
【0073】
キャリッジ101が移動可能な領域の左端においては、その下部に回復系ユニット110が設けられ、非プリント時等に各インクジェットヘッドの吐出口部をキャップすること等が可能となる。この左端位置を各インクジェットヘッドのホームポジションと呼ぶ。
【0074】
107はスイッチ部と表示素子部を示し、スイッチ部はインクジェットプリント装置の電源のオン/オフや各種プリントモードの設定時等に使用され、表示素子部はプリント装置の各種状態を表示するためのものである。
【0075】
図9は、キャリッジ101に搭載可能なインクジェットユニット103の一例を示す斜視図である。
【0076】
この例は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクと、処理液のタンクが全て独立に交換可能な構成の場合である。
【0077】
キャリッジ101にはBk,C,M,Yおよび処理液をそれぞれ吐出する5個のインクジェットヘッドがヘッドユニット102として搭載され、また、Bk用タンク20K、C用タンク20C、M用タンク20M、Y用タンク20Y、及び、処理液のタンク21が搭載される。各タンクはそれぞれが対応するインクジェットヘッドとの接続部を介してそれぞれインクジェットヘッドと接続し、インク又は処理液を供給する。なお、上例以外にも、例えば、処理液とBkのタンクを一体構造としても良く、また、C,MおよびYのタンクを一体構造としても良い。
【0078】
図10は、各色インク又は処理液を吐出するためのインクジェットヘッドの詳細な構成を示す拡大断面図である。
【0079】
同図に示すように、インクジェットヘッド200は、複数のインク吐出口を備え、それぞれの吐出口に対応して電気熱変換体である発熱体を配置し、吐出情報に対応した駆動信号を発熱体に印加して吐出口からインク又は処理液を吐出させる方式を採用するものである。
【0080】
発熱体230は、各吐出口毎にそれぞれ独立に発熱可能な構成となっている。発熱体230の発熱により急速に加熱されたインク路240内のインクは膜沸騰により気泡を形成し、この気泡生成の圧力によりインク滴又は処理液235がプリント媒体106に向かって吐出され、プリント媒体106上に文字や画像がプリントされる。この時、吐出される各色のインク又は処理液の体積は5〜80ngである。
【0081】
吐出口223の各々には、吐出口に連通するインク路240が設けられており、インク路240が配設される部位の後方にはこれらインク路にインクを供給するための共通液室232が設けられる。吐出口223の各々に対応するインク路240には、上述の発熱体230やこれに電力を供給するための電極配線(不図示)が設けられている。これら、発熱体230や電極配線は、シリコン等からなる基板233上に成膜技術によって形成される。発熱体230の上にはインクと発熱体が直接接触しないように保護膜236が形成されている。さらに、この基板上に樹脂やガラス材よりなる隔壁34を積層することによって上記吐出口、インク路、共通液室等が構成される。
【0082】
このように、発熱体を使用した記録方式は、インク滴吐出時に熱エネルギー印加により形成される気泡を使用しているため、通称バブルジェット方式と呼ばれている。
【0083】
インク染料を不溶化する処理液は、一例として以下のようにして得ることができる。
【0084】
すなわち、下記の成分を混合溶解した後、さらにポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィルタ、住友電気工業株式会社製)にて加圧濾過した後、NaOHでpHを4.8に調整し、処理液Alを得ることができる。
【0085】
Figure 0003554099
また、上記処理液と混合し不溶化するインクの好適な例として以下のものを挙げることができる。
【0086】
すなわち、下記の成分を混合し、さらにポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィルタ、住友電気工業株式会社製)にて加圧濾過してイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのインクY1,M1,C1,K1を得ることができる。
【0087】
Y1
C.I.ダイレクトイエロー142 2部
チオジグリコール 10部
アセチレノールEH 0.05部
(川研ファインケミカル株式会社製)
水 残部
M1
染料をC.I.アシッドレッド289;2.5部に代えた以外はY1と同じ組成
C1
染料をC.I.アシッドブルー9;2.5部に代えた以外はY1と同じ組成
K1
染料をC.I.フードブラック2;3部に代えた以外はY1と同じ組成以上示したそれぞれ処理液(液体組成物)とインクとの混合において、本発明では、上述した処理液とインクが被プリント材上あるいは被プリント材に浸透した位置で混合する結果、反応の第1段階として処理液中に含まれているカチオン性物質の内、低分子量の成分またはカチオン性オリゴマーとインクに使用しているアニオン性基を有する水溶性染料とがイオン的相互作用により会合を起こし、瞬間的に溶液相から分離を起こす。
【0088】
次に、反応の第2段階として、上述した染料と低分子カチオン性物質またはカチオン性オリゴマーとの会合体が処理液中に含まれる高分子成分により吸着されるために、会合で生じた染料の凝集体のサイズがさらに大きくなり、被プリント材の繊維間の隙間に入り込みにくくなり、その結果として固液分離した液体部分のみが記録紙中にしみこむことにより、プリント品位と定着性との両立が達成される。同時に上述したようなメカニズムにより生成したカチオン物質の低分子成分またはカチオン性オリゴマーとアニオン性染料で形成される凝集体は粘性が大きくなり、液媒体の動きとともに移動することがないので、フルカラーの画像形成時のように隣接したインクドットが異色のインクで形成されていたとしても互いに混じり合うようなことはなく、ブリーデイングも起こらない。また、上記凝集体は本質的に水不溶性であり形成された画像の耐水性は完全なものとなる。また、ポリマーの遮蔽効果により形成された画像の耐光堅牢性も向上するという効果も有する。
【0089】
本明細書において使用される「不溶化」または「凝集」の用語は、前記第1段階のみの現象または、第1段階と第2段階の両方を含んだ現象を意味する。
【0090】
また、本発明の実施にあたっては、従来技術のように分子量の大きいカチオン性高分子物質や多価の金属塩を使用する必要がないか、あるいは使用する必要があっても本発明の効果をさらに向上させるために補助的に使用するだけで良いので、その使用量を最小限に抑えることができる。その結果として、従来のカチオン性高分子物質や多価金属塩を使用して耐水化効果を得ようとした場合の問題点であった染料の発色性の低下がなくなるということを本発明の別の効果として挙げることができる。
【0091】
図11は、本実施例のプリント装置における回復ユニット110の一例を示す斜視図である。
【0092】
図9に示したヘッドユニットに対応し、Bk用のキャップ112と、C用のキャップ114と、M用のキャップ115と、Y用のキャップ116と、処理液用のキャップ113が設けられる。各キャップは上下方向に移動可能に設けられ、これにより、ヘッドユニットがホームポジションに位置するときは各インクジェットヘッドの吐出口面と接合してこれをキャッピングし、各インクジェットヘッドにおける吐出口内のインクの蒸発を阻止し、この蒸発に起因するインクの増粘や固着による吐出不良を防止する。回復ユニットの各キャップは不図示のポンプユニットに連結しており、これにより、キャップユニットとインクジェットヘッドとを接合させた状態でインクを吸引する吸引回復処理などに際してキャップ内に負圧を発生させることができる。ポンプユニットは処理液専用と、インク用の各ヘッドごとに独立に設け、廃液はそれぞれ独立した経路により廃液タンクに送られる。これはキャップ及びポンプ内でプリント用の各色インクと処理液の接触による不溶化がポンプ内で起こらない様にするものである。なお、ポンプユニットは処理液用とプリント用の各色インク用の2つであっても良い。
【0093】
回復ユニットには、さらに、処理液吐出用インクジェットヘッドの吐出口面をワイピングする処理液ブレード117と、インク吐出用インクジェットヘッドの吐出口面をワイピングするためのインクブレード118が設けられている。これらの各ブレードは、インクジェットヘッドの吐出口面に付着したインクや処理液をワイピングするための、ゴムなどの弾性部材で形成されたものである。また、各ブレードは各インクジェットヘッドの移動によってその吐出口面をワイピングすべく上昇した位置と、吐出口面に干渉しないように下降した位置が取れるよう、不図示の昇降装置により上下方向に移動可能な構成となっている。なお、その動作の詳細については後述する。
【0094】
図11から明らかなように、ワイピング動作によりインクジェットヘッドの吐出口面でインクと処理液が混合して不溶化することを防ぐために、処理液吐出部分をワイピングする処理液ブレード117と、インク吐出部分をワイピングするためのインクブレード118とは独立に設けられ、さらに独立に上下動できる構成となっている。
【0095】
図12は、本実施例に係るインクジェットプリント装置の制御構成を示すブロック図である。
【0096】
図12において、ホストコンピュータから、プリントすべき文字や画像のデータ(以下画像データという)が本例プリント装置の受信バッファ401に入力される。また、正しくデータが転送されているかを確認するデータや、プリント装置側の動作状態を知らせるデータがプリント装置側からホストコンピュータに転送される。受信バッファ401に保持された画像データはCPU402の管理のもとでメモリ部403に転送され、そのRAM(ランダムアクセスメモリ)に一時的に格納される。メカコントロール部404は、CPU402からの指令によりキャリッジモータやラインフィードモータ等のメカ部405を駆動する。センサ/SWコントロール部406は、各種センサやSW(スイッチ)からなるセンサ/SW部407からの信号をCPU402に転送する。表示素子コントロール部408は、CPU402からの指令により表示パネル群のLEDや液晶表示素子等からなる表示素子部409を制御する。ヘッドコントロール部410はCPU402からの指令により各インクジェットヘッド200の駆動を制御する。また、ヘッドコントロール部410はインクジェットヘッド200の状態に関して、不図示のセンサによって検出される温度情報等をCPU402に伝える。
【0097】
図13は、図8等に示したインクジェットユニット103を構成することができるヘッドユニットの一例を吐出口面において示す図である。
【0098】
ヘッドユニット102は、それぞれ黒インクKを吐出する2つのインクジェットヘッド200Bk1,200Bk2と処理液Sを吐出するインクジェットヘッド200Sとからなり、各ヘッドチップはフレーム204によりピッチ1/2インチで配設されている。なお、吐出口列方向での駆動のタイミングを考慮して傾けて(tanθ=1/160)各ヘッドチップが配設される。各ヘッドチップBk1,SおよびBk2は共に図10にその一例を示した同一の構造のものを使用しており、その吐出特性は以下に示されるものである。
【0099】
<Bk1/S/Bk2>
(吐出特性)
吐出数:160(分割ブロック数:16ブロック順次駆動)
解像度:360dpi
駆動周波数:8.0(KHz)
吐出量:Vd=80±4(pl/dot)
吐出速度:15±0.5(m/s)
図13に示すように、処理液Sを吐出するインクジェットヘッド200Sを挾むように黒インクKを吐出するインクジェットヘッド200Bk1および200Bk2が配設され、このヘッドユニット102により、キャリッジ101による走査のAおよびBの双方向で黒画像のプリントを行う。
【0100】
この場合、前述した本発明の第2の実施形態によれば、不溶化物排除の観点からA方向のプリントでは、インクジェットヘッドBk1,Sの順で吐出を行い、またB方向のプリントではインクジェットヘッドBk2,Sの順で吐出を行い、必ず黒インクKが処理液Sに先だって吐出されるようにすることが好ましい。これにより、インクジェットヘッド200Sに付着するはね返りミストが不溶化物の混入がほとんど無いものとすることができる。そして、この場合、不溶化物の混入はほとんど無いものの万全を期して後述されるカバー部材を装着する場合は、インクジェットヘッド200Sの吐出口面に装着する。
【0101】
一方、図13に示すヘッドユニット102において処理液Sを先に吐出し、黒インクKを後に吐出する吐出順序とする場合には、黒インク用のインクジェットヘッド200Bk1および200Bk2の吐出口面にカバー部材を装着し、これにより、凝集物を比較的多く含んだはね返りミストがそれぞれの吐出口およびその近傍に付着するのを防止することができる。
【0102】
なお、図13に示すヘッドユニットを用いた場合には、双方向プリントにおけるいずれの方向においても、処理液Sと黒インクKとの吐出順序を同じものとすることができ、これにより、吐出順序(ドット形成の際の重なりの順序)の違いによって生じる濃度や色味の差に起因したプリント品位の低下を防止できる。
【0103】
また、図13に示すヘッドユニットを用いたプリント方法の変形例として、片方向プリント又は双方向プリントにおける一方向の走査において、インクジェットヘッド200Bk1,200Sおよび200Bk2の全てのヘッドを用い、1つの画素に対して黒インクK,処理液S,黒インクKの順で吐出を行うようにすることもできる。すなわち、黒インクKを2回吐出し、黒インクKの上に処理液Sを重ね、さらに黒インクを重ねるものである。
【0104】
この変形例によれば、処理液Sにさらに黒インクKが重ねられることにより、黒インクの染料がプリント用紙表面に残る量を多くすることができ、これによって光学濃度を向上させることができる。
【0105】
図14は、図8に示すインクジェットユニット103を構成するヘッドユニットの他の例を吐出口面において示す模式図である。
【0106】
本例のヘッドユニットは、黒インクを吐出するインクジェットヘッド200Bk、処理液を吐出するインクジェットヘッド200SおよびC,M,Yのインクを吐出する各吐出部を一体としたインクジェットヘッド200CMYからなり各ヘッドチップはフレーム204によりピッチが1/2インチおよび1インチで配設されている。ここで、ヘッド200Sとヘッド200CMYとのピッチを1インチとするのは図12に示す構成で用いたインクタンクを共用することが可能となるためである。黒インクKを吐出するインクジェット200Bkは、図12にて上述したものと同様のものである。処理液Sおよび各カラーインクC,M,Yのインクジェットヘッド200Sおよび200CMYの吐出特性を以下に示す。
【0107】
<S>
吐出口数:160(分割ブロック数:16ブロック)
解像度:360dpi
駆動周波数:8.0(KHz)
吐出量:Vd=40±4(pl/dot)
吐出速度:12±0.5(m/s)
<CMY>
吐出口数:160相当、各色48(48×3)/各色間封止のための間隔8吐出口分(8×2)
(分割ブロック数:16ブロック)
解像度:360dpi
駆動周波数:8.0(KHz)
吐出量:Vd=40±4(pl/dot)
吐出速度:12±0.5(m/s)
1ブロック当たりの開放時間:Tb=7.5(μs)
図14に示すヘッドユニットも、双方向プリントに用いられるものである。この場合、図13に示す構成と同様に、本発明の第2の実施形態によれば、A方向のプリントでは黒インクK、処理液Sの順で吐出をし、B方向のプリントでは、シアンC,マゼンタM,イエローYの吐出の後に処理液Sを吐出することが好ましい。これによれば、後から吐出する処理液Sを吐出するインクジェットヘッド200Sの吐出口面に付着する不溶化物を極めてわずかなものとすることができる。
【0108】
一方、上記とは逆に、各色インクの吐出に先立って処理液Sを吐出する場合には、黒インクKおよびインクC,M,Yを吐出するインクジェットヘッド200Bkおよび200CMYそれぞれの吐出口面にカバーを装着することが好ましい。
【0109】
(第1実施例)
図15(a)および(b)は、上述した各インクジェットヘッドに対して装着することができる被覆手段としてのカバープレートの第1の実施例を説明する模式図であり、図16(a)〜(e)はカバープレートを装着した場合の各インクジェットヘッドの吐出口面に対するワイピング動作を説明する図である。
【0110】
図15(a)に示すように、カバープレート208は、各吐出口に対応しても吐出用孔208Aを有し、これにより、その吐出用孔208Aの部分を除いて吐出口面205Aを覆うことができる。本発明の第1の実施形態によれば、吐出用孔208Aの径は、前述したように、紙間距離に応じて定めることができる。本実施例装置の紙間距離が、例えば1mmであるとすれば、はね返りミストによって渦が形成され、吐出口の極めて近くまでミストが付着する可能性がある。このため、吐出用孔208Aの径を50μmとし、はね返りミストの渦が形成された場合でも、それによるミストの付着が生じないようにする。
【0111】
カバープレート208のインクジェットヘッドへの装着は、図17に示すように吐出口面205Aにスペーサ201を設け、これにより、インクジェットヘッド200に対してカバープレート208を摺動可能に設けることができる。また、カバープレート208のインクジェットヘッドに対する固定は、カバープレート208を磁力によって吸着される材料で構成し、インクジェットヘッドのスペーサ201の部分を電磁石の一部とすることによって可能となる。そして、ブレードによるワイピングやキャッピングを行うときは、上記電磁石による吸着を解除し、図15(b)に示すようにカバープレート208をスライドできる構成とする。
【0112】
図16(a)〜(e)は、このスライドに伴うワイピング動作を示しており、同図(a)は、カバープレート208が上記電磁石による保持力によって、インクジェットユニット103の各吐出口面に装着されてプリントのための走査を行っている状態を示す。
【0113】
そして、ワイピングによる吐出回復処理のタイミングでは、インクジェットユニット103は、ホームポジション側へ移動し、回復ユニット116(図8参照)に隣接して設けられるプレートホルダ209の配設位置でカバープレート208とプレートホルダ209とを対向させ、プレートホルダ209も同様に電磁石を形成することにより、電磁石のスイッチ切替えによってカバープレート208を保持する(同図(b))。このとき、プレートホルダ209は、その待機位置より、高い位置に移動しており、カバープレート208を保持した後、不図示のスライド機構により待機位置まで降下する。その降下とともに、インクジェットユニットは、装置の最端部まで移動した後、その移動方向を反転させる(同図(d))。その反転に伴って、ブレード118または117(図11参照)がそれぞれ対応するインクジェットヘッドの通過するタイミングに応じて上昇し、それぞれの吐出口面をワイピングする(同図(e))。
【0114】
図18(a)〜(c)は、それぞれ上記第1実施例に係るカバープレートの変形例を示す平面図であり、同図(d)はこれらカバープレートによって覆われるインクジェットヘッドの断面図である。
【0115】
これら図に示すインクジェットヘッドはいずれも同一色のインク又は処理液について2列の吐出口列を有し、それぞれの列の吐出口の配設位置をずらすことによって、同一色のインク又は処理液に関して2倍の解像度の吐出口列としたものである。そして、その吐出方式は電気熱変換体であるヒータ212の面と垂直方向にインク滴を吐出するものである。また、同図に示すヘッドは、ヒータ212と吐出口206との距離等を適切に定めることによって比較的微細なインク滴を吐出することができる。
【0116】
このような吐出口列を有するインクジェットヘッドに対して図18(a)に示す例では、図15に示すカバープレートと同様個々の吐出口毎に吐出用孔208Aを設け、また、同図(b)に示す例では、2個の吐出口毎に吐出用孔208Aを設け、さらに、同図(c)に示す例では、吐出用孔を設ける形態ではなく、吐出口列全体に対応して開口部を設けるものである。これら例に示す開口の形状もしくはその大きさは、前述したように本発明の第1の実施形態として、紙間距離に応じて定まるはね返りミストの付着領域を考慮して定められるものである。
【0117】
なお、上述した実施例では、カバープレート208にインクジェットヘッドに対し摺動可能に設けられ、これにより、ワイピング等の吐出回復動作を直接インクジェットヘッドの吐出口面に対して行うことが可能であるとしたが、カバープレートは必ずしも吐出口面に対して摺動可能とされなくてもよく、固定されるものであってもよい。この場合、キャッピングはカバープレートに対して行われるが、吐出口面に付着するはね返りミスト以外の水滴等はワイピングによって除去できない。従って、この場合は、例えば、電気熱変換体の駆動を適切に制御し吐出に至らない気泡の発生によりインク等のメニスカスを吐出口から突出させその近傍の水滴等を突出したインク等に合体させて取り込んだ後、予備吐出で排出することもできる。
【0118】
また、上記カバープレートがインクジェットヘッドに固定的に装着されるものであっても、カバープレートがヘッドに着脱自在な構成のものであってもよい。
【0119】
(第2実施例)
図19は本発明の第2実施例に係るヘッドユニットおよびカバープレートを示す模式図である。本実施例のカバープレートは、図13に示したヘッドユニットとは別の形態のヘッドユニットに対応したものであり、このユニットに対して摺動可能に設けられる。また、図21(a)〜(e)は、本例におけるワイピング動作を説明する図である。
【0120】
本実施例のヘッドユニットは、各インクジェットヘッドについて吐出口配列を2列としたものであり、それぞれの配列において、各列は互いに吐出口ピッチの1/2だけずれて配置される。これにより、各列の2倍の解像度を実現することができる。
【0121】
図19から明らかなように、2つのインクジェットヘッド200Bk1およびBk2に対して、カバープレート208は一体に形成され、上記2つのインクジェットヘッドの吐出口面を開口部208Bを除いて被覆する。この被覆する範囲は、前述した本発明の第1の実施形態に従うものである。一方、インクジェットヘッド200Sについては、前述のようにその吐出口面に付着するミストに含まれる不溶化物の量はそれ程多くないため、この面を覆わなくてもそれ程支障はない。
【0122】
上述した構成に対するワイピング動作(およびキャッピングのためのカバープレートの解除動作)は、前述した第1実施例の場合と異なり、カバープレートのスライドおよびワイピングの方向は、各インクジェットヘッドの吐出口の配列方向となる。すなわち、図21(a)に示すように、インクジェットユニット103が回復ユニット116(図8参照)に対向する位置に移動すると、インクジェットユニット103はその位置に停止した状態でカバープレート208は、主走査方向と垂直な方向にスライドする(同図(b))。なお、このスライドは、不図示のプレート保持およびそのスライド機構によって可能となる。
【0123】
カバープレート208のスライドに伴い、このプレートに取付けられたブレード118,117がそれぞれ対応するインクジェットヘッドの吐出口面をワイピングし、これと同時に、カバープレート208の表面もブレード210によりワイピングされる(同図(b))。なお、このブレード210は、カバープレート208の表面に付着した不溶化物がブレード210によって容易に除去できない程付着量が多いなど、その付着状態が比較的重大な場合は、ブレードに不溶化物を溶解することができる溶剤を含浸させておくことが好ましい。
【0124】
さらに、カバープレート208のスライドによって、カバープレートに取付けられたブレード118,117はワイパークリーナ211を当接し相対的に摺動することによってブレード118,117に付着した水滴等を除去することができる(同図(c))。その後、カバープレートは、上記とは逆方向にスライドし、この間に上述と同様の、それぞれブレード118,117およびブレード210によるワイピングが行われる(同図(d),(e))。
【0125】
なお、上述した形態のカバープレートについても、スライド可能とするものに限られず、固定等されるものであってもよい。
【0126】
図20は本実施例の変形例に係るカバープレート208を示す斜視図である。この変形例のヘッドユニット102は図19に示したものと同一のものであり、カバープレートのみが異なり、図20に示すカバープレート208は、インクジェットヘッド200Sについても2列の吐出口列の周囲の部分を除いた吐出口面205を覆うものである。
【0127】
図20において、各インクジェットヘッド200BK1,200S,200BK2の各吐出口には、インク路が連通して設けられ、各インク路には熱エネルギーを発生するための電気熱変換素子が形成されている。配線基板210上に設けられるコンタクトパッド210Aはインクジェットヘッドと装置本体との電気的なコンタクトをとるために用いられる。
【0128】
カバープレート208は、ステンレス(SUS)製のプレートを接着剤により吐出口面に張り合せたものである。各色のインクジェットヘッドは、支持部材209によって固定されている。そして、前述と同様に、1つの画素をプリントするのに、ヘッド200BK2,200S,200BK1の順、すなわち、黒インク、処理液、黒インクの順で吐出する。
【0129】
本変形例においては、カバープレート208の厚みは0.3mm、カバープレート208の開口部の図中x方向の長さは2.5mm、y方向の長さは18mmであり、図に示す3つの開口部は同寸法である。また、カバープレート全体は、図中x方向は40mm、y方向は20mmであり、各ヘッド間のx方向のプレート幅は10.2mmである。さらに開口部のエッジは、略垂直であることが望ましい。
【0130】
各インクジェットヘッドは、その吐出液滴の体積8.5pl、吐出速度18m/s、また、吐出口は1列が300dpiの解像度で配列されている。また、吐出口から用紙106までの距離は1.3mmである。さらに、各ヘッドの駆動周波数は、10kHz、プリント解像度は600dpiである。
【0131】
(第3実施例)
図22(a)および(b)は、本発明の第3実施例に係るカバープレートを示す模式図である。
【0132】
本実施例では、同図に示すように、カバープレートを所定の材料よりなる繊維状のものを網目状に構成することによって形成するものである。この網目の密度を適切に定めることによって、はね返りミストを確実に補えることができる。なお、同図(b)に示す例は、吐出口列に対応する部分の網目の密度を他の部分より小さなものとしてインク等の吐出を阻害しないようにするとともに、吐出口近傍に付着し易いと考えられるより大きな径のはね返りミストをも補えるように網目の密度分布を定めるものである。
【0133】
(他の実施例)
図23および図24は、前述した本発明の第3の実施形態に関するはね返りミスト付着の推察される現象について説明する図である。
【0134】
前述のように、紙間距離に応じてはね返りミストの状態は、円錐状に飛散するか(図23)、又は渦を形成するか(図24)のいずれかである。このいずれの場合にもインクジェットヘッド200の走査のための移動によりこのインクジェットヘッドに対して気流が生じる。この気流は、まず、気流の上流側のカバープレート208の存在によりまわり込む流れEを生ずる。すなわち、カバープレート208の表面に沿って流れる気流は、上流側のカバープレート208の角部208jで流れの剥離を生じカバープレート208の背後にまわり込む流れEを生じ、これにより、はね返りミストがカバープレート208の背後の部分に導かれると考えられる。
【0135】
一方、後流側のカバープレートにおいては、カバープレート208からある程度離れた一定の流れDが存在し、この比較的大きな速度を有する部分に対して後流側カバープレート208の周囲の流れが相対的に大きな圧力を有することによって、その部分の流れは、図中矢印Fで示すものとなる。これにより、はね返りミストは、後流側カバープレート208の表面側に導かれると考えられる。
【0136】
このように、本発明の他の実施例では、カバープレート208を適切に配置することによって、はね返りミストの付着位置を制御することができる。
【0137】
なお、上述した各実施例では、インクジェットヘッドとインクタンクとが別体である例について説明したが、本発明の適用はこれに限られるものではなく、これらを一体とした、いわゆるインクジェットカートリッジについても本発明を適用できることは明らかである。
【0138】
また、本発明を実施するにあたって、使用するインクは特に染料インクに限るものではなく、顔料を分散させた顔料インクを用いることもできるし、使用する処理液はその顔料を凝集させるものを用いることができる。前記した無色液体A1と混合して凝集を引き起こす顔料インクの一例として以下のものを挙げることができる。すなわち、下記に述べるようにして、それぞれ顔料とアニオン性化合物とを含むイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色インク、Y2,M2,C2およびK2を得ることができる。
【0139】
ブラックインクK2
アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エチルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ3時間分散処理を行った。分散後の粘度は9cps、pHは10.0であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去し、重量平均粒径100nmのカーボンブラック分散体を作製した。
【0140】
(カーボンブラック分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 40部
・カーボンブラック Mogul L (キャブラック製) 24部
・グリセリン 15部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を充分に拡散して顔料が含有されたインクジェット用のブラックインクK2を得た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0141】
イエローインクY2
アニオン系高分子P−2(スチレン−アクリル酸−メチルメタアクリレート、酸価280、重量平均分子量11,000、固形分20%の水溶液、中和剤:ジエタノールアミン)を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、ブラックインクK2の作製の場合と同様に分散処理を行い、重量平均粒径103nmのイエロー色分散体を作製した。
【0142】
(イエロー分散体の組成)
・P−2水溶液(固形分20%) 35部
・C.I.ピグメントイエロー180 24部
(ノバパームイエロー PH−G、ヘキスト製)
・トリエチレングリコール 10部
・ジエチレングリコール 10部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 1.0部
・イソプロピルアルコール 0.5部
・水 135部
上記で得られたイエロー分散体を充分に拡散して、顔料が含有されたインクジェット用のイエローインクY2を得た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0143】
シアンインクC2
ブラックインクK2の作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径120nmのシアン色分散体を作製した。
【0144】
(シアン色分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 30部
・C.I.ビグメントブルー15:3 24部
(ファストゲンブル−FGF、大日本インキ化学)
・グリセリン 15部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
上記で得られたシアン色分散体を充分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用のシアンインクC2を得た。最終調製物の固形分は、約9.6%であった。
【0145】
マゼンタインクM2
ブラックインクK2の作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径115nmのマゼンタ色分散体を作製した。
【0146】
(マゼンタ色分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 20部
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学) 24部
・グリセリン 15部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
上記で得られたマゼンタ色分散体を充分に拡散して、顔料が含有されたインクジェット用のマゼンタインクM2を得た。最終調製物の固形分は、約9.2%であった。
【0147】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、インクと処理液を重ねて吐出する場合に、プリント媒体上でのこれらのはね返りによってミストが生じるが、このミストが被覆手段によって少なくともインク吐出部の吐出口面に付着することを防止できる。
【0148】
この結果、はね返りミスト中に存在する不溶化物が吐出口面に付着して、インク吐出口等を塞いだり、吐出不良を生じさせることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の一実施形態に係るインク等のはね返りミストの生成を説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係り、紙間距離に応じたはね返りミストの形成およびその付着の状態を説明する図である。
【図3】上記はね返りミストを説明する図である。
【図4】同様にはね返りミストによる渦形成を説明する図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の一実施形態に係り、インクおよび処理液の吐出順序に応じたはね返りミストの内容の相違を説明する図である。
【図6】(a)および(b)は上記内容の相違の原理を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係り、カバープレートの配置によって生じるはね返りミストの付着位置の違いを説明する図である。
【図8】本発明の一実施例に係るインクジェットプリント装置を示す概略斜視図である。
【図9】上記装置で用いられるインクジェットユニットを示す斜視図である。
【図10】上記インクジェットユニットを構成するインクジェットヘッドの一構造例を示す縦断面図である。
【図11】上記装置に設けられる回復ユニットの詳細を示す斜視図である。
【図12】上記装置の制御構成を示すブロック図である。
【図13】上記装置で用いることができるヘッドユニットの一例を示す正面図である。
【図14】上記ヘッドユニットの他の例を示す正面図である。
【図15】(a)および(b)は、本発明の第1実施例に係り、はね返りミストを遮蔽するためのカバープレートおよびその非遮蔽状態を示す図である。
【図16】(a)〜(e)は、上記第1実施例のカバープレートを備える場合のワイピング動作等を説明する図である。
【図17】上記カバープレートとインクジェットヘッドとの接合状態を説明する図である。
【図18】(a)〜(d)は、上記第1実施例の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第2実施例に係るカバープレートを示す図である。
【図20】上記第2実施例の変形例に係るカバープレートおよびインクジェットヘッドを示す斜視図である。
【図21】(a)〜(e)は、上記第2実施例のカバープレートを具えたインクジェットヘッドのワイピング動作を説明する図である。
【図22】(a)および(b)は、それぞれ本発明の第3の実施例に係るカバープレートを示す図である。
【図23】本発明の他の実施例に係るカバープレートの配置によるはね返りミストの付着位置制御を説明する図である。
【図24】本発明の他の実施例に係るカバープレートの配置によるはね返りミストの付着位置制御を説明する図である。
【符号の説明】
2,106 プリント媒体
4,7 はね返りミスト
5,200,200Bk,200Bk1,200Bk2,200S,200YMC インクジェットヘッド
5A,205A 吐出口面
6,206,223 吐出口
8,208 カバープレート(被覆部材)
101 キャリッジ
110 回復ユニット
117,118,210 ブレード

Claims (3)

  1. 吐出口面に形成された吐出口からインクを吐出するインク吐出部を用い、プリント媒体にインクを吐出してプリントを行うインクジェットプリント装置において、
    前記吐出口を避けて前記インク吐出部の前記吐出口面を覆うカバープレートであって、前記吐出口面を覆った状態でプリントを行うことが可能なカバープレートと、
    該カバープレートを前記インク吐出部に対して移動させる移動手段と、
    を具え、前記カバープレートは、該カバープレートが前記移動手段によって前記インク吐出部に対して移動するとき、当該移動に伴って前記インク吐出部の前記吐出口面を掃拭する掃拭部材を有したことを特徴とするインクジェットプリント装置。
  2. 吐出口面に形成された吐出口からインクを吐出するインク吐出部と、吐出口面に形成された吐出口から前記インクを不溶化させる処理液を吐出する処理液吐出部とを用い、プリント媒体にインクおよび処理液を吐出することによりプリントを行うインクジェットプリント装置において、
    前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方の吐出口を避けて当該吐出口面を覆うカバープレートであって、前記吐出口面を覆った状態でプリントを行うことが可能なカバープレートと、
    該カバープレートを前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方に対して移動させる移動手段と、
    を具え、前記カバープレートは、該カバープレートが前記移動手段によって前記インク吐出部および前記処理液吐出部の少なくとも一方に対して移動するとき、当該移動に伴って前記インク吐出部の前記吐出口面および前記処理液吐出部の前記吐出口面の少なくとも一方を掃拭する掃拭部材を有したことを特徴とするインクジェットプリント装置。
  3. 前記移動手段によって前記カバープレートが移動し当該掃拭部材が前記吐出口面を掃拭するとき、該掃拭に伴って当該カバープレートの表面を掃拭する掃拭手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリント装置。
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